整形外科と災害外科
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63 巻, 4 号
選択された号の論文の60件中51~60を表示しています
  • 田中 尚洋, 古市 格
    2014 年 63 巻 4 号 p. 875-877
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    2008年から2011年までに骨欠損部の補填にβ-TCPを53例に使用した.内訳は骨折手術31例,人工関節関連手術15例,骨腫瘍手術4例,膝関節骨切り術2例,骨髄炎手術1例であった.全例で骨形成を認め,骨折手術での矯正損失や人工関節でのインプラントのアライメントの変化を起こしたものはなかった.X線の検討では,β-TCPの陰影が消失し自家骨に置換されたと思われる時期は術後平均8か月であった.今回の我々の結果からは,骨欠損部の補填材料としてβ-TCPは十分有用と結論した.
  • 原口 明久, 美浦 辰彦, 白石 浩一, 浜崎 晶彦, 城野 修, 喜多 正孝, 仲西 知憲, 久保 祐介, 新井 堅
    2014 年 63 巻 4 号 p. 878-881
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子部骨折に使用されるインプラントであるInterTANとGamma 3を使用して手術を行った症例の術後の短期成績について比較・検討した.Jensen分類で不安定型に分類され,術後早期荷重を許可した症例を対象とした.対象はInterTANを用いて手術を行った17例と,Gamma 3を用いて手術を行った22例であった.手術時間,術中出血量については両群間に有意差を認めなかった.術後telescoping量についてはInterTAN群で明らかに少なかったが,平行棒1往復が可能となるまでの期間はGamma 3群が短かった.
  • 萩原 弘, 太田 真悟, 乗松 崇裕, 辻 正二, 野口 雅夫
    2014 年 63 巻 4 号 p. 882-885
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    6歳,女児.明らかな誘因なく急性に頚部痛と斜頚が出現.発症3日目に38℃ の発熱を認め当院を受診した.血液検査で炎症反応の上昇あり,単純X線で頚椎椎間板前方の石灰化像を認めた.また軽度の嚥下痛を訴えており頚部CTを施行した.C5/6椎間腔の石灰化と椎体の扁平化のほか,気道の圧排所見はなく呼吸苦も訴えなかったが,症状の増悪懸念と局所の安静目的にて入院とした.ネックカラー装着とアセトアミノフェンによる疼痛管理を行いながら,発症7日目からH2ブロッカーの内服を開始した.その後徐々に解熱傾向となり発症19日目に斜頚の消失を認め退院.発症60日目の単純X線およびCTで石灰化の消失を認めた.
  • 井上 三四郎, 菊池 直士, 宮崎 幸政, 松田 匡弘, 吉本 憲生, 中川 亮, 阿久根 広宣
    2014 年 63 巻 4 号 p. 886-888
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】当科でのV.A.C.ATS®治療システム(以下VAC,KCI社)の治療成績を検討すること.【対象と方法】12例.平均58.0(25~97)歳,男性11例女性1例.対象疾患は,骨接合術後感染に伴う創離開3例,仙骨部褥瘡2例,開放骨折後軟部欠損2例,足部壊疽2例などであった.治療の実際と成績を調査した.【結果】使用日数は,平均20.8(3~41)日であった.有害事象で中止した症例は1例あり,VAC施行後に生じたしびれであった.その1例をのぞくと,治療成績は,治癒が8例,軽快2例,不変・悪化が1例であった.【結語】VACの治療成績は概ね良好であった.目立った有害事象もなかった.
  • 田邨 一訓, 杉 基嗣, 田口 敏彦
    2014 年 63 巻 4 号 p. 889-891
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    小児下肢変形に対する成長線抑制手術は骨切りに比べ低侵襲で安全性の高い手術である.今回3歳男児の高度内反膝変形に対して8プレートを用いた治療を行ったので報告する.症例は3歳男児.出生・発育に問題はなかったが,徐々に内反膝変形が目立つ様になった.近医にてビタミンD欠乏性くる病と診断され,高度内反膝変形を認めたため鼓ヶ浦こども医療福祉センターを紹介受診した.長下肢装具と内服による保存的加療で経過観察となったが改善を認めず,8プレートを使用した成長線抑制手術で矯正を図った.術後7ヵ月で著明な内反膝の改善を認めた.8プレートを用いた成長線抑制手術は低侵襲でありstaplingで生じていたimplantの脱転や矯正の遅延,抜去困難等の合併症を防ぐことができる.術後は荷重・運動制限の必要性がなく,小児下肢変形の治療として有用であると考えられた.
  • 中川 亮, 松田 匡弘, 菊池 直士, 井上 三四郎, 宮崎 幸政, 吉本 憲生, 阿久根 広宣
    2014 年 63 巻 4 号 p. 892-895
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】大腿骨転子部病的骨折により診断し得た骨原発成人T細胞白血病(ATL)の1例を経験したので報告する.
    【症例】64歳男性.主訴は右股関節痛で単純X線にて右大腿骨大転子部に骨融解像を認めた.原発巣精査を行っている段階で転倒され,右大腿骨転子部病的骨折となった.PET,胸腹部CTで他臓器に病変はなく,切開生検にて骨組織からT細胞系の異常細胞増殖およびHTLV-1プロウイルス単クローン性バンドを認め,骨原発ATLの診断となった.可及的な腫瘍掻爬と骨セメント併用人工骨頭置換術を施行することでPSの改善を得た.術後,血液内科で化学療法を行っており有病生存中である.
    【考察】ATLにおいて骨を主病変とするものは稀であり,過去に数例の報告があるのみである.しかし,九州を中心とする西南地方に多く,地域によっては鑑別に入れておくべき疾患である.術式選択においては,生命予後を当該科と相談しながら慎重に決定する必要がある.
  • 井上 三四郎, 松田 匡弘, 菊池 直士, 宮崎 幸政, 吉本 憲生, 中川 亮, 阿久根 広宣
    2014 年 63 巻 4 号 p. 896-897
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    大腿骨骨幹部骨折AO分類A型に対する,TRIGENトロカンテリックネイル(以下TRIGEN,スミスアンドネフュー社)の治療成績を調査した.対象は,13人13骨折であった.AO分類32-A1 2例,32-A2 3例,32-A3 8例の13例であった.骨折部位は,上1/3が4例,中1/3が9例であった.平均年齢38.7(16―75)歳,男性10例女性3例であった.開放骨折は1例,多発外傷・多発骨傷の患者は,9例であった.経過観察期間は平均15.8(4―37)か月であった.骨癒合は,全例で追加手術なく得られた.変形癒合は認めなかった.最終調査時に,明らかな機能異常や外観の不満を訴えていなかった.深部感染は認めなかった.追加手術を要した合併症はなく,インプラントの折損も認めなかった.遠位骨幹部骨折の症例が含まれていないことに注意が必要であるが,その治療成績は良好であった.
  • 佐々木 大, 大石 正信, 山本 卓明, 岩本 幸英
    2014 年 63 巻 4 号 p. 898-903
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    【目的】Propionibacterium acnes(以下P. acnes)の手術部感染で遷延骨癒合した2症例を経験した.文献的考察を含め報告する.【症例1】17歳女性.右鎖骨骨折に対し,近医でスクリューによる骨接合術を行われたが,遷延癒合のため骨移植・プレートによる再固定行った.しかし骨癒合せず当科紹介となった.抜釘を行い,採取した組織標本からP.acnes検出した.術後4週の抗菌薬投与で感染は鎮静化したが,広範な骨欠損が残存した.【症例2】25歳男性.左大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折に対し,大腿骨頭前方回転骨切り術を行った.術後5ケ月,骨切り部の遷延癒合を認めた.CTで骨溶解像あり,感染が原因と考えられた.抜釘を行い,採取した組織標本からP.acnes検出した.術後5週の抗菌薬投与・再固定を行った.【結論】術後の遷延骨癒合の原因として,P.acnesによる感染を念頭に置く必要がある.
  • 井上 三四郎, 菊池 直士, 宮崎 幸政, 松田 匡弘, 吉本 憲生, 中川 亮, 阿久根 広宣
    2014 年 63 巻 4 号 p. 904-906
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    当院で加療した足関節脱臼骨折のうち,PER IV型およびPA III型の治療成績を検討した.2007年4月から2013年2月までに,当院で経験した症例は6例であった.男性3例女性3例であった.平均年齢は,45.3(17~78)歳であった.骨折型はPER 4例,PA 2例であった.以上について,臨床成績をBurwellらの評価を用いて調査した.術後整復のX線学的評価は,anatomical 5例,Fair 1例であった.経過観察期間が短い2例を除き,4例の術後成績を評価した.主観的評価はGood 3例Poor 1例,客観的評価はGood 3例Fair 1例であった.
  • 安田 廣生, 井原 秀俊, 帖佐 博文
    2014 年 63 巻 4 号 p. 907-910
    発行日: 2014/09/25
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    Osgood-Schlatter病(OS病)の遊離骨片が,外傷にてさらに遊離し,膝屈曲障害を起こしたと思われる稀な例を経験した.16歳男性で,野球の練習中に走って,二塁ベースに右膝屈曲位で滑りこんだ.この際,右膝を打撲して膝は深屈曲位を強要され,歩行困難となった.4日後,整形外科医院からの紹介で受診した.脛骨粗面(TT)を中心に限局性の著明な腫脹と圧痛が存在した.膝は30°しか屈曲できず膝伸展位下肢挙上は不能であった.腫脹部から水血性液を穿刺した.X線ではTTが遊離していた.MRIでは,TTに出血を示す骨髄信号変化はなく,骨片には膝蓋腱が一部付着していた.紹介元の医院で,3年半前に右TT痛で受診した既往があり,当時のX線ではTTに遊離骨片が存在し,その像と比較すると今回の遊離骨片は高位にあった.
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