整形外科と災害外科
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64 巻, 4 号
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  • 植木 貴之, 柴田 陽三, 城島 宏, 秋吉 祐一郎, 櫻井 真, 黒田 大輔, 瀧井 穣, 矢野 真太郎, 伊崎 輝昌, 篠田 毅, 三宅 ...
    2015 年 64 巻 4 号 p. 629-632
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    鏡視下腱板修復術(ARCR)の成績は,腱板修復を行わない関節鏡視下デブリドマンよりも優れていると思われるが,年齢・性別・生活様式の違いというバイアスが入り,真の比較は困難である.今回我々は同一症例で一方の肩にARCRを,もう一方の肩にデブリドマンを施行した2症例を経験した.その臨床成績を検討したので報告する.その結果は予測通り,腱板断裂修復術後成績は修復を行わないデブリドマンよりも優れていた.
  • 中江 一朗, 後藤 昌史, 白地 功, 光井 康博, 大川 孝浩, 樋口 富士男, 志波 直人
    2015 年 64 巻 4 号 p. 633-635
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.バーベルを持ち上げた際に右肩関節痛を自覚し,肩甲下筋腱及び棘上筋腱断裂の診断で,鏡視下腱板縫合術を施行した.術中,上腕二頭筋腱長頭腱(LHB)は脱臼していたため,切離して結節間溝にアンカーで固定した.術後,しばらくは良好であったが,次第に右肩痛が再燃したため,再鏡視を施行した.縫合した腱板は問題なく癒合していたが,LHB腱固定部表面から腱峰下面間に連続する癒着組織を認めた.LHBを切離し,癒着組織をシェーバーで切除することによって,術後は速やかに症状の改善を得た.
  • 金城 仁, 新垣 和伸, 新城 宏隆, 金谷 文則
    2015 年 64 巻 4 号 p. 636-639
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    色素性絨毛結節性滑膜炎(pigmented villonodular synovitis;以下PVNS)は比較的稀な疾患である.膝関節に2つの結節を形成したPVNSの1例を経験したので報告する.症例は21歳男性.半年前から誘因なく右膝痛が出現したため,他院を受診した.関節内血腫が認められたが,保存的に経過観察していた.その2ヵ月後に再び関節内血種を認め,精査加療目的に当院を紹介された.疼痛と可動域制限(ROM-10°/135°)を認め,MRIでは大腿骨外側顆後方にφ27×10×30 mm大と後十字靭帯大腿骨付着部後方にφ10×10×10 mm大のプロトン強調画像,T2強調画像で低信号と高信号の混在する腫瘍を認め,双方ともガドリニウムにて辺縁が造影され,関節鏡視下の術中迅速病理では悪性所見はなく全切除した.永久病理診断にて両者ともPVNSと診断された.術後6カ月で疼痛,可動域制限なく,MRIでも再発を認めていない.膝関節内に2つの結節を生じたPVNSは,我々が渉猟しえた中では例がなく,稀な症例と考えられた.
  • 杉山 健太郎, 古市 格, 渡邉 航之助, 川口 耕平, 秋山 隆行, 井上 拓馬, 小河 賢司
    2015 年 64 巻 4 号 p. 640-643
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    完全隔壁型の膝蓋上滑膜ひだ障害の1例を経験したので報告する.〈症例〉68歳女性.半年前から右膝痛を自覚,その後症状改善ないため当科受診した.当科初診時,右膝蓋上部に径約3 cm大の圧痛を伴う腫瘤を触知した.MRI上,膝蓋上嚢に隔壁を有する嚢胞性病変を認め,内部は炎症性変化が疑われた.関節鏡視下に隔壁を確認し,同部と膝関節腔内とを交通させるよう隔壁および滑膜切除を行い,術後は右膝痛改善を認めた.〈考察〉膝蓋上滑膜ひだ障害の画像的特徴として,MRIで膝蓋上嚢部にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号の関節液貯留を認め,内部に低信号の隔壁を有するとの報告がある.治療は関節鏡下での隔壁切除で症状軽快すると報告されている.本症例でも同様の画像所見を認め,関節鏡視下での隔壁および滑膜切除術が症状改善に有効であった.
  • 浦田 泰弘, 岡元 信和, 中村 英一, 西岡 宏晃, 唐杉 樹, 山部 聡一郎, 井手尾 勝政, 浦上 勝, 水田 博志
    2015 年 64 巻 4 号 p. 644-647
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    ロッキング様症状をきたしたfabello-femoral osteoarthritisに対して,fabella摘出により症状の改善が得られた1例を経験したので報告する.症例は68歳女性.右膝窩部の引っかかり感と疼痛が出現し,ロッキング様症状を認めるようになったが自然整復していた.しかし,その後も症状が持続するため当科紹介受診となった.身体所見では,右大腿骨後外側に圧痛があり,単純Xp,CTにて大腿骨外側顆後面,腓腹筋外側頭内にfabellaが存在し,fabello-femoral関節に変性変化を認めた.MRIにて,同部位に軟骨欠損を認めた.疼痛とロッキング様症状が持続しfabello-femoral関節に変性変化があり,キシロカインテストで疼痛が消失したためfabella OAと診断した.関節鏡で大腿骨外側顆後面にfabellaのmirror lesionと考えられる軟骨欠損を伴う陥凹様変化を認めた.関節内に遊離体は認めなかった.膝窩部後外側皮切にて直視下に14×12 mm大のfabellaを摘出した.fabellaの表面には軟骨の欠損があり骨棘を形成していた.術後より症状は消失した.大腿骨外側顆後面に陥凹様変化があることからfabellaの同部位への陥頓によりロッキング様症状が生じたと推察される.
  • 杉 崇, 西川 正修, 小島 政廣, 工藤 啓久, 永山 盛隆, 新垣 晃
    2015 年 64 巻 4 号 p. 648-650
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    Hoffa骨折と前・後十字靭帯脛骨付着部裂離骨折,内側側副靭帯大腿骨付着部裂離骨折を合併した稀な症例を経験した.傍膝蓋アプローチとBurkesアプローチを用い,すべての骨折に対してスクリュー固定で骨癒合が得られ,術後ROMは0/130°と良好な結果であった.本症例は特殊な受傷機転と考えられ,また,Hoffa骨折に関して,スクリュー固定のみでも十分な固定力があった.
  • 水光 正裕, 﨑村 俊之, 依田 周, 森 圭介, 根井 吾郎, 矢部 嘉浩, 北原 博之
    2015 年 64 巻 4 号 p. 651-656
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    外側円板状半月を伴った大腿骨外側顆離断性骨軟骨炎の1例を経験したので報告する.【症例】28歳女性,介護職.重量物を抱えた際に右膝痛が出現.4日後椅子から立ち上がる際に疼痛が増強し歩行困難となったため近医を受診した.MRIにて外側円板状半月の断裂と大腿骨外側顆の骨軟骨欠損像を認めたため,手術目的で受傷後11日に当院へ紹介となった.当科初診時CTでは外側顆後方に25×15 mmの骨欠損と遊離骨片を認めた.受傷後20日に鏡視下手術を行った.【手術所見】外側円板状半月断裂に対して部分切除を行った.大腿骨外側顆の遊離骨片の約1/2に海綿骨を含んでおり,骨軟骨接合可能と判断し吸収ピンで固定した.残存した欠損部には骨軟骨移植を行った.【経過】術後4週間免荷の後に部分荷重を開始した.術後1年3ヶ月で疼痛や可動域制限なく経過良好である.
  • 松永 大樹, 花田 弘文, 藤原 明, 熊野 貴史, 山口 史彦, 原 道也
    2015 年 64 巻 4 号 p. 657-661
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】外側円板状半月損傷(以下DLM)に合併し,急速進行した離断性骨軟骨炎(以下OCD)の1例を経験したので報告する.【症例】14歳男性,スポーツ;サッカー.特に誘因なく,両膝痛が出現.Osgood-Schlatter病の診断で保存療法としていた.その後,体育でバレーボールをした際に右膝痛増悪した.MRIで外側半月板(LM)損傷を認めた.早期の手術を勧めたが,本人・家族の希望で部活動終了後に手術予定となった.X線・MRIで大腿骨外側顆にOCDを認めた.鏡視所見は不完全型DLMで半月板切除を行った.軟骨病変は不安定性が強く,骨軟骨柱移植術を行った.術後約2年で膝痛や可動域制限ない.【まとめ】外側顆OCDとDLMの合併例の報告が散見されるが,今回,既存のDLMにスポーツ負荷が加わったことが,急速にOCDに進行したと考えた.
  • 廣田 高志, 尾上 英俊, 中村 厚彦, 河野 大, 大里 恭平, 柴田 光史, 内藤 正俊
    2015 年 64 巻 4 号 p. 662-664
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】大腿骨頭骨折は股関節脱臼に合併して起こることが多い.今回一期的に人工股関節置換術(以下THA)を行った2例について検討を加えたので報告する.【症例1】45歳男性,ソフトボールのキャッチャーをしていて座った状態からボールを取ろうとして立ち上がろうとした際に受傷,単純X線,CTにて大腿骨頭骨折を伴った左股関節脱臼骨折を認めPipkin分類ではType IIIと診断した.受傷後5日にTHAを行った.【症例2】48歳女性,駐車場の縁石に座っているときに自動車が突っ込んできて受傷,単純X線,CTにて大腿骨頭骨折を伴った右股関節脱臼骨折を認め,Pipkin分類ではType IVと診断した.整復操作で頚部骨折を生じ,受傷後8日にTHAを行った.【考察】いずれの症例も経過良好であり,大腿骨頭骨折を伴った股関節脱臼骨折に対して骨折型によっては一期的なTHAは選択肢の一つになりうると考えられた.
  • 松浦 充洋, 樋口 富士男, 吉光 一浩, 瓜生 拓也, 白地 功, 後藤 昌史, 大川 孝浩, 志波 直人
    2015 年 64 巻 4 号 p. 665-669
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    人工大腿骨全置換術(TFA)は主に骨腫瘍切除後の骨欠損に対して行われる稀な手術である.今回人工股関節再置換術後の大腿骨側のゆるみに対してTFAを行ったので報告した.症例は72歳,男性.膝痛のため歩行困難であった.42歳に人工股関節全置換術を受け,以降55歳,57歳,66歳と3回の再置換を受けていた.3回目の再置換の際にTFAが可能な大腿骨近位モジュールを使用していた.単純X線では大腿骨近位モジュールの大腿骨接合部のゆるみによりステム先端が膝関節内への貫通していた.人工股関節のゆるみは無く,大腿骨遠位での再固定が困難であったためTFAを行った.術翌日より歩行訓練開始,術後2週目に歩行器自立歩行,術後3ヶ月目にT字杖自立歩行まで回復した.脱臼や感染などの合併症は認めなかった.TFAは諸家の報告によると脱臼や感染のリスクが高いが機能的予後が良く,salvage手術として有用と考えた.
  • 泉 秀樹, 大川 孝, 稲留 辰郎, 有永 誠, 横山 正一, 中原 真明, 矢成 亮介
    2015 年 64 巻 4 号 p. 670-672
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    深部静脈血栓症(deep vein thrombosis; DVT)と肺血栓塞栓症(plumonary thromboembolism; PTE)は一連の病態として静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism; VTE)と呼ばれる.外傷のため臥床余儀なくされた患者には肺血栓塞栓症(以下,PTE)を発症する可能性があり,わが国での致死性PTEは0.3%と言われている.受傷後48時間以内の手術でのDVT 6.9%に対し,受傷後48時間以降の手術ではDVT 48.1%との報告があり,手術が遅れるとVTEリスクが上昇する可能性が指摘されている.受傷後3日目での人工骨頭挿入術中に致死性PTEを発症しPCPS使用し救命しえた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 内山 迪子, 中原 信一, 﨑村 幸一郎, 衛藤 正雄
    2015 年 64 巻 4 号 p. 673-676
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】化膿性関節炎が疑われ,早期に加療,治癒した仙腸関節炎の1例を経験したので報告する.【症例】49歳女性.1ヵ月前に尻餅をついて殿部痛が出現したが,3週間の保存的治療で軽快していた.数日前より感冒症状出現し,2日後より強い右殿部痛が出現し体動困難となり,近医より当院紹介となった.37.4℃ の発熱があり,血液検査にて炎症反応を認めた.初診時MRIでは右腸骨筋に浮腫性変化があるのみだったが,Pelvic compression testが陽性であったため,化膿性仙腸関節炎を疑い抗菌薬を開始した.治療開始3週間後のMRIでは右仙腸関節に浮腫性変化を認めた.血液培養は陰性であったが,抗菌薬開始17日目で疼痛と炎症反応は改善し,その後内服を2週間継続した.治療開始10ヵ月後のMRIでは右仙腸関節に軽度の変形はあるも,再発なく経過良好である.【まとめ】化膿性仙腸関節炎は比較的希な疾患であるが,発熱,仙腸関節周囲の強い疼痛を主訴とした症例では本疾患も念頭におく必要がある.
  • 菅田 耕, 税所 幸一郎, 吉川 教恵, 帖佐 悦男, 濱田 浩朗
    2015 年 64 巻 4 号 p. 677-680
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    サルモネラ菌は腸内細菌科のグラム陰性桿菌であり,一般的に食中毒の原因菌としてしられているが,腸管外病変としてまれに骨髄炎を起こすことがしられている.今回われわれは,成人の大腿骨転子部に発生したサルモネラ菌による骨髄炎1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は27歳男性.主訴は右大腿部痛.右大腿部の歩行時の疼痛出現し,近医X-P上右大腿骨大転子部に透瞭像を認め,骨腫瘍疑われ紹介となった.血液検査,CT,MRI検査にて,骨腫瘍,骨壊死,骨膿瘍が疑われた.骨生検時に骨孔より,膿汁の溢出を認め,細菌塗抹検査にてグラム陰性桿菌を多数認めたため,骨髄炎と判断,掻破・洗浄・抗生剤含有ハイドロキシアパタイトの充填をおこなった.培養よりSalmonella Oranienburg 07型が検出され,サルモネラ骨髄炎と診断した.セフトリアキソン2 g/日×14日間,シプロフロキサシン600 mg/日×14日間の点滴投与をおこない,その後CRPの陰性化を確認し,セフジニル300 mg/日の内服へ変更した.
  • 杉原 祐介, 宮本 俊之, 福島 達也, 田口 憲士, 尾﨑 誠
    2015 年 64 巻 4 号 p. 681-684
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    2011年10月から2014年7月までに当施設で経験した壊死性軟部組織感染症について報告する.壊死性軟部組織感染症の中でも壊死性筋膜炎は致死性の高い疾患であるが初診時に蜂窩織炎との鑑別に迷う症例が散見される.救命率向上の為には早期に診断を得て外科治療を行う必要がある.壊死性筋膜炎の予後は初診から24時間以内に外科治療が行えるかどうかにかかっている.早期診断にはLRINEC scoreが有用であり当施設での症例でも全例でカットオフ値を超えていた.また経過中に腎不全,DIC,septic shock等の重篤な症状を呈する事が多く集中治療や抗菌薬加療など他科との連携が必要である.
  • 富永 冬樹, 井上 三四郎
    2015 年 64 巻 4 号 p. 685-689
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    犬猫咬傷は日常よく遭遇する疾患であるが,診療の注意点は周知されていない.今回,当院の犬猫咬傷について報告する.対象は2013年1月から2014年8月までに当院を受診した46例で,犬が35例,猫が11例であった.それらの症例の受傷部位,受傷から受診までの日数,感染徴候の有無,手術の有無,治療期間を調べた.受傷部位は手部19例,手指13例と上肢に多かった.受傷から受診までは平均0.74日で,犬0.46日,猫1.64日と有意に猫が長かった(p=0.0001).感染徴候は11例に認め,犬2例,猫9例で,有意に猫に多かった(p<0.0001).手術は12例に行われ,犬5例,猫7例で,有意に猫に多く施行され(p=0.0011),治療期間は平均10.3日で,犬4.6日,猫28.5日と,猫が有意に長かった(p=0.0008).受診の頻度は犬咬傷が多いが,感染徴候を認め手術に至る症例は猫咬傷が多く注意が必要である.
  • 鬼塚 俊宏, 畑中 均, 高崎 実, 上田 幸輝, 糸満 盛憲
    2015 年 64 巻 4 号 p. 690-693
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    大腿骨の大きな骨欠損に対してMasquelet法にて特に合併症なく再建を果たした症例を経験したので報告する.症例は60歳男性.仕事中にリフトに挟まれ受傷.左大腿骨開放骨折(Gustilo Type IIIc)にて受傷当日に創外固定及び血行再建を行い,汚染された血行のない骨片を摘出した.骨欠損は長径6 cmに及んだが,骨セメントにて充填し,6週後に自家骨移植を施行した.現在術後10ヶ月,移植骨は吸収されずに骨癒合進んでおり,全荷重歩行にて外来フォロー中である.外傷による大きな長管骨欠損に対して,Bone Transport,血管柄付き腓骨移植などの方法が挙げられるが,今回行ったInduced Membrane Technique,いわゆるMasquelet法は特殊な技術を必要とせずに施行できる点で優れた方法であると考える.今後,外傷後のみならず,骨髄炎や腫瘍切除後の骨欠損に対しても適応が広がる可能性がある.
  • 阿南 敦子, 生田 拓也, 北村 歳男, 西岡 宏晃, 田籠 泰明, 西野 剛史
    2015 年 64 巻 4 号 p. 694-696
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【症例】23歳男性.サッカーの試合中に両下腿外側の張りと疼痛を自覚,持続するため当科を受診した.その後,足背から母趾にかけてのしびれ,感覚低下に加え,足関節および足趾の背屈減弱を認めた.検査所見としてCPK高値に加えミオグロビン尿を認め,横紋筋融解症を疑い輸液負荷を開始した.MRIではT2強調像で両下腿外側コンパートメントは高信号を呈し腫脹していた.コンパートメント症候群の診断で減張切開を施行したところ,速やかに疼痛は軽減した.その後のリハビリにより,可動域,筋力ともに改善傾向である.【まとめ】本症例のように外傷なく運動のみにより引き起こされた横紋筋融解症の報告は多くなく,さらに両下腿外側に限局したコンパートメント症候群が引き起こされた症例はまれである.患肢機能予後のためには速やかな診断,治療を要する.
  • 生田 拓也
    2015 年 64 巻 4 号 p. 697-699
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    アキレス腱陳旧性断裂に対して腓腹筋筋膜の一部を反転し移植腱として用い再建術を行ったので報告した.症例は5例である.男性2例,女性3例,平均年齢は57.4歳であった.受傷より当院初診までの期間は平均2.2ヶ月(最長4ヶ月)であった.術後療法は新鮮例と同様のプログラムでおこなった.術後3ヶ月の時点では全例跛行はなく歩容は正常化した.術後6ヶ月時,可動域制限はなく,全例つま先立ちは可能であった.しかしながら,下腿三頭筋筋力については2例において正常に回復したが,4例においては4であった.再断裂例はなかった.陳旧性アキレス腱断裂では断端が退縮して端端縫合が困難な場合が少なくない.肥厚した腓腹筋腱膜は採取が簡便であり成績も安定しており,本法はアキレス腱の再建手術として有用であると考えられた.
  • 渡邊 匡能, 田行 活視, 羅本 尚樹, 佐藤 元紀, 竹内 一哉
    2015 年 64 巻 4 号 p. 700-702
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    (目的)足関節内果骨折,アキレス腱断裂は単独では頻度が多い外傷であり,それぞれ日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,同一外傷での合併損傷は極めて稀である.今回われわれは足関節内果骨折とアキレス腱断裂を合併した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.(症例)39歳女性.バドミントンの試合中に後方に下がり踏ん張った際に受傷.同日,右アキレス腱部痛を主訴に当院受診.アキレス腱断裂を疑いMRI施行したところ,右アキレス腱断裂に加え,右足関節内果骨折を認めた.受傷3日目に観血的骨接合術及び腱縫合術施行した.(考察)今回のような合併例ではどちらか一方を見逃す危険があり,診察の際に常に合併損傷の可能性を念頭に置き,注意深く問診及び理学所見の観察を行う必要がある.
  • 田行 活視, 竹内 一哉, 佐藤 元紀
    2015 年 64 巻 4 号 p. 703-704
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    〈はじめに〉踵骨骨折は比較的よくみられる骨折であるが,骨折の形態は多種多様である.今回,踵骨嘴上骨折で治療成績が良好であった症例を経験することができたため報告する.〈症例・治療経過〉71歳女性.H25年12月,横断歩道横断中に左折してきた普通自動車に驚き転倒,受傷.全身検索の結果.左踵骨嘴上骨折,左腓骨遠位端骨折を認めた.治療は踵骨上方のアキレス腱付着部の骨片のボリュームが比較的大きく,変位も大きくないことからCCSとAI-wireringによる内固定とした.術後4週間免荷とし適時追加荷重とした.術後ROMは翌日から開始とした.術後6週間で立位時の完全荷重が可能となり,10週で疼痛は完全消失し片杖歩行可能となった.可動域は足間接背屈15°,底屈40度まで回復したが,腓骨神経領域の痺れが残る結果となった.骨癒合を認めたため,H26年6月に抜釘を行い,現在もスキントラブル等の術後合併症も認めなかった.〈考察〉治療後に多く見られる後遺症のうち,疼痛に関しては良好な経過をたどったが,諸家の報告どおり骨萎縮は著明であった.本症例は機能予後的には比較的良好な成績であったが,本症例の問題点を文献的考察を加えて報告する.
  • 田丸 満智子, 山中 芳亮, 善家 雄吉, 目貫 邦隆, 平澤 英幸, 樋高 由久, 酒井 昭典
    2015 年 64 巻 4 号 p. 705-707
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腓骨近位部骨折に長母趾伸筋単独麻痺を生じた1例を経験したので報告する.【症例】60歳,男性.バイク運転中に転倒し左下腿がバイクの下敷きになり受傷,当院救急搬送された.左脛骨骨幹部開放骨折・腓骨近位部骨折を認め,同日洗浄,デブリードマン及び創外固定術を施行した.来院時より左母趾の自動背屈は不能であったが,明らかな知覚障害は認めなかった.受傷後7日目に観血的整復固定術(髄内釘)を行い,脛骨骨折部で長母趾伸筋が介在していないことを確認した。筋電図からは神経原性の麻痺が疑われた.髄内釘固定術後6ヶ月が経過し,長母指伸筋の筋力は改善傾向(MMT 4)にある.【考察・結語】腓骨近位部骨折に長母趾伸筋単独麻痺を合併した1例を経験した.腓骨頭から遠位68~153 mmでの腓骨骨折では長母趾伸筋支配神経枝損傷による長母指伸筋単独麻痺が起こりうる.
  • ―臼蓋側と大腿骨側のインプラント固着性の比較―
    辻村 良賢, 森 俊陽, 川崎 展, 佐羽内 研, 塚本 学, 嶋津 大輔, 酒井 昭典
    2015 年 64 巻 4 号 p. 708-710
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    Charnley型人工股関節全置換術(以下Charnley型THA)の長期成績は,ソケット側の成績が不良と報告されている.今回20年以上経過したCharnley型THAで,ソケット側とステム側を比較評価した.1980~1989年に60歳以下の変形性股関節症患者に対し,Charnley型THAを施行した21例23関節の最終観察時でのX線学的評価を行った.手術時平均年齢52歳,平均観察期間26.1年,骨移植(塊状骨21関節,無2関節),内転筋切離(有5関節,無18関節)であった.X線学的弛みはソケット側で18関節(78.3%),ステム側は3関節(13.0%)に認めた.Charnley型THAの長期成績はソケット側がより不良であった.ソケット側の不良因子としてポリエチレン摩耗,寛骨臼塊状骨移植,ステム側の不良因子としてセメント充填不足が示唆された.
  • 嶋津 大輔, 森 俊陽, 川崎 展, 佐羽内 研, 塚本 学, 辻村 良賢, 酒井 昭典
    2015 年 64 巻 4 号 p. 711-714
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    当院で50歳以下の二次性変形性股関節症患者に対して施行したCharnley型人工股関節全置換術(以下,Charnley型THA)12例13股関節の長期成績について検討した.評価項目は,インプラント生存率,再置換例の評価,X線学的評価とした.インプラント生存率は25年で75.9%であった.再置換4例中4例に塊状骨を使用し,4例中3例にポリエチレン摩耗(以下,PE摩耗)を認めた.X線学的弛みは臼蓋側で13例中8例(61.5%),大腿骨側で13例中2例(15.4%)認めた.セメントマントル幅は,臼蓋側および大腿側ともにX線学的弛みの有無に有意な差を認めなかった.大腿骨側のセメント充填が不十分と判断したものは13例中3例(23.1%)であった.当院での42歳から50歳における25年インプラント生存率は75.9%であったが,その成績はPE摩耗と塊状骨移植に影響されていた.
  • 田村 諭史, 渡邉 弘之, 相良 孝昭, 瀬形 建喜, 畠 邦晃, 棚平 健, 清家 一郎, 赤崎 幸二
    2015 年 64 巻 4 号 p. 715-717
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当院では2007年より2011年まで比較的若年の症例を中心にBIOMET社のMetal-on-Metal THA(以下MOM-THA)を使用しており,施行したMOM-THA全例の臨床成績を調査したので報告する.【対象と方法】対象はMOM-THAを用いて施行した134例,151関節.男性29例,女性105例.平均年齢は59.2歳.平均観察期間は37ヵ月であった.X線評価として外方開角,Engh's fixation classification,Radiolucent line,Osteolysis.臨床的評価として術前,最終調査時のJOA Score,合併症および再置換の有無を評価した.【結果】151関節中148関節は固定性良好で,JOA scoreも十分に改善し,成績は良好であった.3関節に進行性のルーズニングを認め,そのうちARMDが原因と考えられる再置換例を2関節認めた.
  • 儀間 朝太, 仲宗根 哲, 山内 貴敬, 堀苑 英寛, 金谷 文則, 大湾 一郎
    2015 年 64 巻 4 号 p. 718-720
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    当院で行ったmetal on metal型THA(以下MoM-THA)の短期成績について検討した.2009年4月から2011年2月の間に当院にてMoM-THAを行った10例12股関節(平均年齢48歳,全例男性,平均観察期間は27ヵ月)を対象とした.全例後側方アプローチを行い,カップは1 mmアンダーリーミングでプレスフィット固定した.カップサイズの中央値は52 mm,骨頭サイズは44 mmであった.JOAスコアは術前平均52点から術後86点と改善した.後方脱臼を1例に認め,徒手整復後外来経過観察中である.カップの外方開角の平均は34°,前方開角は平均23.5°であり,ステムの内反角は平均1.3°内反であった.インプラント周囲の骨透亮像は認めなかったが,違和感と疼痛が残存した例がそれぞれ2例あり,当院におけるMoM-THAの短期成績は不良であった.
  • 末田 麗真, 藤井 政徳, 伊東 良広, 中村 哲郎, 原 俊彦
    2015 年 64 巻 4 号 p. 721-724
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】一次性変形性股関節症(OA)の頻度・骨形態を明らかにすること.【方法】2010年4月から2014年6月の間に,当院で初回THAを施行した368例404股を対象とした.一次性OAの定義は,OAの原因となりうる既往症がなく,LCE角>20°,荷重部傾斜角<15°,Sharp角<45°を満たすものとした.また,一次性OAにおけるFAI関連骨形態異常の頻度について検討した.【結果】404股中OAは310股で,うち17%(54/310股)は一次性OAの定義を満たしていた.このうち50%(27/54股)はMild dysplasiaや骨頭壊死による二次性OAと考えられたため,これらを除外した27股を一次性OAと判断した(8.7%;27/310股).一次性OAの74%(20/27股)にFAI関連骨形態異常を認めた.【結論】一次性OAの発症・進行にFAIの病態が関与する事が示唆された.
  • 林 和生, 中庭 大介, 春口 幸太郎, 大谷内 輝夫
    2015 年 64 巻 4 号 p. 725-729
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    目的:手術の回避・延期を目的としてゆうきプログラムを施行した変形性股関節症患者の片側例と両側例についての比較検討を行ったので報告する.方法:2011年から2013年までに変形性股関節症と診断されゆうきプログラムを施行した1077名の外来通院患者の中で統計解析可能だった305名を対象とした.治療開始時と3ヵ月後にJOAスコアー,NRS,ROM,Patrickテストでの開脚角度,外転筋力,を片側例群と両側例群に分けて評価した.両側例群では,疼痛の強い関節を評価した.結果:片側例群は,男性22例,女性127例,平均年齢56.3±14.3歳,両側例群は,男性10例,女性146例,平均年齢55.2±13.0歳であった.片側例群,両側例群ともにJOAスコアー,NRS,Patrick開脚角度,外転筋力は有意に改善していた.結論:手術の回避・延期につながる本プログラムの短期効果が得られた.
  • 棚平 健, 渡邉 弘之, 赤崎 幸二, 相良 孝昭, 瀬形 建喜, 畠 邦晃, 田村 諭史, 清家 一郎
    2015 年 64 巻 4 号 p. 730-732
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    当院では臼蓋形成不全性股関節症に対して寛骨臼回転骨切り術(RAO)を施行している.当院でのRAOは田川の原法に準じるが,寛骨臼の壊死を避けるために骨切りは厚めに行い骨癒合を優先し骨移植は行っていない.これまで施行した300例近くのRAO症例でも寛骨臼壊死や骨癒合の遷延,偽関節などは1例も発生していない.ただし寛骨臼後方の薄い骨切り部が上方へ回ってくるために多少の脚短縮が起こっているものと考えられ,脚短縮が術後経過に悪影響を及ぼしている懸念もある.今回,単純X線写真において患側と健側を比較することによって脚短縮量を測定し,術後の脚短縮に関連する因子と脚短縮が術後経過に及ぼす影響に関して術直後と術後1年それぞれについて検討を行ったので報告する.
  • 渡邉 弘之, 赤崎 幸二, 相良 孝昭, 瀬形 建喜, 清家 一郎, 畠 邦晃, 田村 諭史, 棚平 健
    2015 年 64 巻 4 号 p. 733-736
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当科では臼蓋形成不全による股関節症に対して,寛骨臼回転骨切り術(以下RAO)を施行してきた.今回10年以上経過観察できたRAO症例を調査し,術後成績に影響を与える因子を検討した.【対象】35例37股,全例女性,手術時年令は38.1歳,観察期間は13年11ヵ月であった.術式は田川の原法に準じるが,骨切りを厚めに行いブロック状骨移植は行っていない.【結果】末期股関節症・THAへ移行したものは37股中6股であった.初期・進行期まででとどまっている31股を良好群,末期・THAへ移行した6股を不良群とし,両群の比較検討を行った結果,手術時のBMI,手術側股関節のJOAスコア・荷重部関節裂隙幅,反対側股関節のJOAスコアで,両群間に有意差を認めた.【考察・結語】RAOの10年以上経過観察できた症例について検討した.手術時のBMI,手術側股関節のJOAスコア・荷重部関節裂隙幅,反対側股関節のJOAスコアが長期成績に影響していた.
  • 安樂 喜久, 西里 徳重, 堤 康次郎, 安藤 卓, 田原 隼, 大野 貴史, 福間 裕子, 白濵 正博
    2015 年 64 巻 4 号 p. 737-741
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    転位を有する寛骨臼骨折に対し,Ilioinguibal approachを用いて骨接合術を行ったので報告する.対象は,2012年12月~2014年4月までに観血的治療を行った5例(男性4例,女性1例)である.平均年齢55.4(39~68)歳で,両柱骨折3例,前柱+後方半横骨折2例であり,Ilioinguinal approach単独が2例で,Kocher-Langenbeck approachを併用したものが3例であった.平均手術時間は4時間41分,出血量は1416 mlであった.術後JOA scoreは87.8(73-100)点であり,整復位不良の一例で関節裂隙狭小化を認めたが,経過観察期間に変形性変化は進行していない.寛骨臼骨折においては,関節面の解剖学的整復が不可欠であり,Quadrilateral surfaceや後柱骨片の整復固定操作が困難な場合Modified Stoppa approachなど前方アプローチの検討が必要と考えられた.
  • 久嶋 史枝, 池邉 顕嗣朗, 坂本 公宣
    2015 年 64 巻 4 号 p. 742-744
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】乳児DDHでは,生後3ヶ月頃から寝返りを行うまでの期間(6ヶ月頃)にリーメンビューゲル(以下Rb)治療を行う事が多い.今回,頭部外傷後の片麻痺と同側のDDHを生後7ヶ月時に指摘し,Rb治療を行った症例を報告する.【症例】生後6ヶ月時に頭部外傷受傷し左片麻痺を発症.生後7ヶ月時にリハビリ目的に当センター紹介となった際,左DDH(脱臼)と診断した.入院後Rb治療を開始し骨頭は整復された.整復後まもなく寝返り可能となったが,約8週間のRb治療を行った.整復後14ヶ月の現在,骨頭の求心位・臼蓋形成は良好である.【考察】DDHに患側麻痺を合併した場合,治療方針に迷う事が多い.Rb治療の適応決定には,月齢・運動発達に加え,麻痺の病型・病期も考慮する必要がある.今回,外傷により発達の遅れや弛緩性片麻痺を認めたDDH患児に生後7ヶ月時よりRb治療を行い,短期ながら良好な経過となった.
  • 曽根崎 至超, 岩崎 達也, 津村 弘
    2015 年 64 巻 4 号 p. 745-749
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    右化膿性股関節炎発症1週間後に時間差で左化膿性股関節炎を発症した症例を報告する.症例は6歳男児.右足背部痛を初症状に,膝・大腿部へと上行する右下肢痛を認め,臨床所見より右化膿性股関節炎と診断され手術加療を施行された.その1週間後の時間差で左股関節痛が出現し左化膿性股関節炎と診断され,同様に手術加療を施行された.術後の経過は良好であり遺残変形は認めなかった.時間差で発症した機序として,1度の菌血症で左右の股関節に感染が生じるも感染経路の違いが生じた可能性や骨髄炎の波及速度の違いが生じた可能性,1度の菌血症で右股関節に感染が生じた後に手術操作や還流操作により2度目の菌血症が生じたことで対側に時間差で発症した可能性が考えられた.
  • 荒木 貴士, 池田 倫太郎, 飯岡 隆, 朝長 匡
    2015 年 64 巻 4 号 p. 750-754
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    外傷を契機に発症した化膿性仙腸関節炎に対し保存的治療を行い,発症後10ヵ月時点までMRIにて経過観察を行った症例を報告する.【症例】13歳,女児.ストレッチ中に股関節内転,内旋を強制され受傷.徐々に左股関節痛増強し歩行困難となり受傷9日目に初診.初診時MRI STIR像で左仙腸関節の腸骨側で高信号を認め腸骨骨挫傷の診断で入院となった.受傷14日目に発熱,炎症反応の上昇を認め抗菌薬投与を開始した.その後血液培養でS. aureusが検出され化膿性仙腸関節炎と診断した.安静,抗菌薬投与により炎症反応は低下し疼痛も改善,受傷46日目に退院となった.発症10ヵ月までMRIにて経時的な観察を行い,病状の再発はなく機能障害も認めない.【考察】化膿性仙腸関節炎は比較的稀な疾患であり非特異的な理学所見のため診断まで時間を要すことが多い.診断にはMRIが有用で急性期には炎症所見がみられる.約10ヵ月時点で仙腸関節の一部に変性所見を残し炎症所見は消退した.
  • 草野 雄貴, 菊川 憲志, 高田 興志, 森田 誠, 橋本 憲蔵
    2015 年 64 巻 4 号 p. 755-758
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    小児肩鎖関節脱臼2例を経験したので報告する.症例1,13歳男性.柔道の試合中に左肩を受傷,近医で保存的治療を施行し,受傷から1ヶ月後当科紹介となった.単純X線で左肩鎖関節脱臼,鎖骨遠位端に骨陰影,MRIで鎖骨遠位端が骨膜から剥離し,後方への転位が認められた.保存的治療を行い,鎖骨遠位端の隆起が残存,単純X線でも鎖骨遠位端の肥大が認められた.症例2,12歳男性.サッカーの試合で転倒し右肩を受傷.単純X線及びCTにて右肩鎖関節脱臼,MRIでは鎖骨遠位端は骨膜を残し後上方への転位が認められた.転位が大きいことから手術適応と判断し,観血的整復し烏口鎖骨靱帯と縫合固定,経皮的K-wire固定を行い良好な経過が得られた.小児肩鎖関節脱臼は成人の脱臼とは異なり,肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯が損傷されずに鎖骨遠位端が骨膜から脱出して脱臼する.成人とは病態が違うことを認識して治療を行うべきであり,その鑑別にはMRIが有用であることが示された.
  • 平山 雄大, 中島 三郎, 井上 哲二, 宮﨑 信, 沼田 亨祐, 酒本 高志, 寺本 周平
    2015 年 64 巻 4 号 p. 759-761
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】脛骨遠位端triplane fractureは『矢状面・水平面・前額面の3つの骨折面を持つ骨折』と定義された脛骨遠位骨端離開の特殊型である.本症の2例を経験したので報告する.【症例1】13歳,女性.サッカー中に右足関節を外反強制されて受傷.同日腰椎麻酔下に徒手整復を行い,ギプス固定とした.6週後にギプスを除去し,9週後にスポーツ(サッカー)に復帰した.【症例2】16歳,男性.木から転落して受傷.受傷後2日目に腰椎麻酔下に徒手整復を試みるも整復困難であったため,観血的整復,スクリュー固定を行った.術後3日目からROM訓練を開始し,術後4週から部分荷重,術後6週で全荷重とした.2例とも疼痛やROM制限はなく,X線像でも問題なく経過良好であった.【考察】本症では転位が2 mm以上の場合は整復が必要とする報告が多い.早期の徒手整復および観血的整復・内固定により,いずれも良好な結果が得られた.
  • 小阪 英智, 竹山 昭徳, 亀川 史武, 野田 大輔
    2015 年 64 巻 4 号 p. 762-765
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    小児大腿骨頚部骨折は比較的稀であり,交通外傷や転落外傷等の高エネルギー外傷に発生することが多く,高率に発症する合併症(骨頭壊死,内反股,偽関節)の為,治療に難渋することがある.本症例はサッカー練習中の受傷であり,高エネルギー外傷と考え難い大腿骨頚部骨折に対して,固定性や活動性を考慮し6.5 mm CCS×3本を骨端線を貫いて内固定を行った.術後10ヶ月後に骨癒合状態良好な事を確認して抜釘術を施行し,術後1年2ヶ月と経過観察期間は短いが,合併症の出現なく,術後経過良好な1症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 黒川 壽久, 長島 賢二, 蔵渕 智和, 鈴木 誠之, 宮山 祐, 岩本 柾澄, 山崎 純司, 渡辺 公三
    2015 年 64 巻 4 号 p. 766-769
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    恒久性膝蓋骨脱臼に伴う変形性膝関節症においてリアライメント手技を行わず人工膝関節置換術(TKA)を施行し良好な経過を経験したので報告する.症例は61歳女性,13歳の時に膝関節炎を患ってから膝の外反変形・恒久性膝蓋骨脱臼が出現.膝の不安感・違和感・下肢筋力低下を主訴に当科初診.初診時疼痛は中等度で,可動域(ROM)は0-130度,エクステンションラグは10度,徒手筋力テスト(MMT)は3レベルだった.膝蓋骨が膝関節全可動域で外側脱臼し整復困難だった.レントゲンでは大腿脛骨角(FTA)157度,外側型のOAを認めた.手術は外側傍膝蓋骨進入法で展開,外側は膝蓋支帯全切離と腸脛靭帯をガーディ結節で剥離した.人工膝関節はPS typeを使用した.膝蓋骨のトラッキングは良好だったため,脛骨粗面内側移行術は行わなかった.術後翌日よりROMエクササイズ・全荷重での歩行開始.術後4か月で杖なしで歩行可能となった.術後3年の現在も脱臼なく経過は良好である.
  • 鎌田 敬子, 関 万成, 目 昭仁, 田口 敏彦
    2015 年 64 巻 4 号 p. 770-772
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    高度外反変形を生じたCharcot様関節に対してTKAを施行した症例を経験したので報告する.症例:70歳女性.約15年前から両膝痛自覚.その後両膝の外反変形が進行し歩行困難となったため当科紹介受診となった.疼痛は軽度であったが,右膝の屈曲拘縮と両側の高度外反変形,および外反動揺性を認め独歩での歩行は不可能であった.単純X線像では脛骨の骨欠損を伴う著明な変形性変化を認め,立位FTA右123°,左146°と高度外反変形を認めた.本症例ではCharcot関節を疑ったが原因疾患を認めなかったためCharcot様関節と診断した.Charcot関節に準じて加療を行い,右膝に対してTKA(Zimmer RHK)施行した.Charcot関節に対するTKAは比較的良好な成績が報告されており本症例も短期ではあるが経過は良好である.
  • 緒方 宏臣, 山下 武士, 岩本 克也, 米村 憲輔
    2015 年 64 巻 4 号 p. 773-775
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    人工関節手術後の鎮痛に関節周囲多剤カクテル注射が有効であることが報告されているが,その多くはロピバカインを使用したものである.今回我々はブピバカインのS(-)異性体で長時間作用性の局所麻酔薬であるレボブピバカインを用いてカクテル注射を行い良好な結果が得られたので報告する.対象は2013年1月~2014年1月までに人工膝関節置換術を行った31例33膝.0.5%レボブピバカイン150 mg+メチルプレドニゾロン125 mg+ケトプロフェン50 mg(オピオイド類は添加せず)をインプラント設置前後に関節周囲に浸潤した.初期の5例には上記+エピネフリン0.3 mlを添加していたが局所の皮膚壊死が散見された為,エピネフリン無しのレシピに変更した.以後,皮膚壊死発生は無く,全例術後24~48時間の良好な除痛が得られ,初期のリハビリ導入がスムーズに行われていた.
  • 永山 盛隆, 工藤 啓久, 長谷川 太郎, 小島 政廣, 高江洲 美香, 西川 正修, 杉 崇
    2015 年 64 巻 4 号 p. 776-778
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    TKA後大腿骨顆上骨折に対してダブルプレートを用いた骨接合術について検討した.対象は2000年10月~2014年2月に当院にて施行したTKA後大腿骨顆上骨折治療にダブルプレートを用いた症例16例(全例女性)で,OA 12例,RA 4例,手術時年齢は平均80歳であった.手術時間は平均157分,術中出血量は平均290 ml,同種骨移植は10例に施行された.ADLは受傷前と同等か一段階低下し,膝屈曲角度は平均39°の減少をみた.同骨折についての観血的治療では遠位骨片の固定性が問題となる.当院では末梢骨片の骨量および骨質の状態が不良な場合にはダブルプレートによる固定法を選択している.ダブルプレートはプレート面による内外側からの把持力での固定性を期待して行い,仰臥位でTKAと同じ皮切から進入し適時同種骨移植を追加している.概ね良好な整復位と固定性が得られ比較的満足する結果を得ており,有用な術式と考える.
  • ―Posterior Intra-focal Pinnigを用いて治療した21肢の報告―
    村岡 辰彦, 井上 三四郎, 菊池 直士, 阿久根 広宣
    2015 年 64 巻 4 号 p. 779-782
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    当科では小児上腕骨顆上骨折のうち,2歳以上,Smith-阿部分類II型以上の骨折を手術適応としている.Posterior Intra-focal Pinnig(以下PIP)で治療した21肢の成績を報告する.平均年齢は5.8歳.骨折型はSmith-阿部分類でII型:5肢,III型:10肢,IV型:6肢であった.画像所見,Flynn臨床評価,合併症,ピン本数,固定法について検討した.術後3か月のBaumann's angleは69度(健側67.3度),Tilting angleは40.4度(健側38.9度),Carrying angleは8.3度(健側10.9度)であった.術後3か月のFlynn臨床評価では,Cosmetic factorでexcellent:15肢,Good:6肢.Functional factorでExcellent:20肢,Good:1肢であった.明らかな術後合併症はなかった.ピンの本数は平均3.1本であった.固定法はPIPにCross pinning追加の症例が14肢,Lateral pinning追加の症例が7肢であった.IV型の6肢はいずれもCross pinningが追加されていたが,II型・III型に関してはCross pinning追加とLateral pinning追加との間に画像所見,臨床所見共に有意差はなかった.PIPは有用な治療法であり,II型・III型に関してはPIPにLateral pinnig追加で良好な成績を得ることができる.
  • 梅﨑 哲矢, 森 治樹, 三橋 龍馬, 山口 洋一朗
    2015 年 64 巻 4 号 p. 783-787
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    小児のMonteggia骨折はしばしば遭遇する外傷である.しかしMonteggia骨折に更に肘周辺の骨折を伴うMonteggia類似損傷の報告はこれまでに少ない.今回われわれは観血的治療を行った小児Monteggia類似損傷の1例を経験した.症例は6歳,男児.学校からの帰宅途中に転倒し受傷.近医から同日当院へ紹介受診となり,CTにて肘頭骨折,橈骨頭脱臼,上腕骨外顆骨折を認め翌日に手術施行.術中には尺骨骨塑性変形を確認した.橈骨頭は徒手的に整復可能であり,外顆骨折に対しtension band wiring固定を施行.術後4週から可動域訓練を開始し,術後3ヶ月で骨癒合し抜釘した.術後4ヶ月の時点で肘関節・前腕骨の可動域は正常化し,最終観察時の1年半の時点で症状なく経過は良好である.Monteggia類似損傷は稀な外傷であり,若干の文献的考察を加え報告をする.
  • 溝上 健次, 坂井 健介, 中村 英智, 井上 貴司, 國武 真史, 志波 直人
    2015 年 64 巻 4 号 p. 788-792
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    症例は11歳男児.体育館で転倒し受傷した.初診時,右肘関節の腫脹・疼痛を認めた.単純X線およびCTにて橈骨近位骨端部は上腕骨小頭の後方へ90度反転していた.単純MRIでは,上腕骨小頭骨挫傷・外側側副靭帯損傷・尺骨鉤状突起のtip fractureを認めた.右橈骨近位骨端線損傷Willkins分類Type Dの診断で受傷翌日に手術を行った.骨端部骨片の徒手整復は困難であり,観血的に整復し鋼線固定を行った.術後は原因不明の肝炎を併発し5週目で抜釘を行った.術後8ヶ月の現在,良好な骨癒合とともに可動域制限も認めなかった.自験例では,外側側副靭帯損傷・橈骨近位骨端線損傷・尺骨鉤状突起のtip fracture・肘関節脱臼が存在したことからterrible triad injuryに類似した損傷形態であり後外側回旋メカニズムによる脱臼機転の存在が示唆された.治療には愛護的な観血的整復が必要であり,今後も骨頭壊死や骨端線早期閉鎖の有無について長期的な経過観察が必要であると思われた.
  • 須田 博子, 村岡 智也, 川口 馨, 村田 雅明, 山本 哲章
    2015 年 64 巻 4 号 p. 793-796
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    7歳女児.2日前より右肘関節痛,その翌日約40度の発熱が出現した.受診時,右肘関節の腫脹と熱感,運動時痛があり,WBC 16400/μl,CRP 14.78 mg/dl,関節液は黄色混濁,グラム染色で陽性球菌を認めた.以上より化膿性肘関節炎と診断し,同日関節鏡視下滑膜切除術を行った.後に関節液培養検査でA群溶連菌が検出された.術後数日で発熱・疼痛は改善,CRPも陰性化し,経過良好にて抗菌薬を術後1ヵ月で終了した.術後1年7ヵ月の時点で再燃・可動域制限はない.小児化膿性肘関節炎は,保存的治療では経過不良となる場合もあり,早期に外科的治療を行う方が良いと考えられた.
  • 中谷 優子, 山本 哲章, 村田 雅明, 村岡 智也, 川口 馨, 須田 博子
    2015 年 64 巻 4 号 p. 797-801
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    2012年6月から2013年11月に当院を受診した高齢発症関節リウマチ(elderly-onset rheumatoid arthritis:以下EORA)の中で,膝関節を初発とした6例の治療経験について報告する.症例は男性が1例,女性が5例,平均発症年齢は80.3歳であった.5例は前医で変形性膝関節症にて加療されていた.初診時の平均CRPは8.57 mg/dl,平均MMP-3は373.8 ng/mlであった.治療は,メトトレキサート(以下MTX)を基本とし,MTXの効果が不十分な5例に対し,平均2.6か月の比較的早期より生物学的製剤を導入し,全例で良好なコントロールを得た.EORAは膝関節などの大関節に発症し,急速に関節破壊が進行することがある.近年高齢者に対する生物学的製剤の有効性・安全性が報告されており,発症早期に生物学的製剤を使用することで良好なコントロールが可能となった.大関節より発症したEORAは,症例によって積極的に生物学的製剤を導入し,関節破壊を回避したほうがよいと思われる.
  • 西 紘太朗, 宮本 力, 新見 龍士, 千葉 恒, 松林 昌平, 穂積 晃, 尾﨑 誠, 辻本 律
    2015 年 64 巻 4 号 p. 802-804
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】今回我々は多中心性細網組織球症における手指の変形に対し,関節固定術を行い良好な結果を得たので報告する.【症例】49歳,女性.6年前に当院のリウマチ・膠原病内科で上記の診断を受け,関節リウマチの治療に準じてメトトレキサート,タクロリムスによる薬物治療が行われていた.両手指のDIP・PIP関節の破壊に伴う変形が進行してきたため,当科紹介となった.右手指に対し,母指のIP関節,示指のDIP,PIP関節,中指,環指,小指のPIP関節,計6関節の関節固定術を行った.アライメントの適正化および除痛が得られ,ADLが改善した.【考察】多中心性細網組織球症は関節リウマチと同じく手指の関節破壊をきたすが,DIP・PIP関節に著しい関節破壊がみられることが特徴である.本疾患に対する手術治療の報告は極めて少ないが,本症例では関節固定術を行い良好な結果が得られた.
  • 鬼木 泰成, 北村 孝一, 村上 大輝, 大橋 浩太郎, 山隈 維昭, 髙木 克公, 知花 尚徳, 水野 秀夫, 鬼木 泰博
    2015 年 64 巻 4 号 p. 805-808
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    バスケットボール(以下バスケット)によるスポーツ障害,外傷の実状と体幹機能との関連は未だ不明な点が多い.今回我々は当院スポーツ専門外来を受診した学生バスケット選手における疾患と体幹機能低下との関連を検討した.対象は学生バスケット選手214名,のべ316例とした.男性58名87例,女性156名229例,受診時平均年齢は15.0歳であった.調査内容は障害,外傷の部位と頻度,疾患群(名),体幹機能とした.体幹機能低下としては,前後屈制限,下肢筋のタイトネス,骨盤傾斜異常,腰痛を認めたものを陽性とした.部位別は重複も含め足関節・足部116例,膝111例,腰部38例であった.下肢疾患252例における体幹機能低下の合併率は,69例で27%であり,不顕性を含むと78%であった.スポーツ早期復帰にむけた治療においては患部のみではなく,潜在的な体幹機能低下を念頭においた体幹機能改善が重要だと考えられた.
  • 田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵, 田中 康博, 井手 将文, 浅見 豊子
    2015 年 64 巻 4 号 p. 809-812
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】リハビリテーション(リハビリ)は,時に単調で心身へのストレスとなることがあり継続の支障となる.楽しくリハビリをする方法として,ゲーム機の活用が能動的な身体運動による身体機能の改善や脳の活性化,コミュニケーションへの好影響を生むと報告されている.今回,フィットネス用ゲーム機であるWii Fit®が車いす患者にも使用できるように開発されたノッテコン®を用いてのリハビリを試みた.【対象と方法】当院関連の介護施設に入所中の車いす患者21名に対し,本法を用いたリハビリを行い,ゲームポイント,巧緻性評価(STEF),注意力評価(TMT),握力等について,ゲーム介入前後で比較した.【結果】巧緻性機能は有意に向上し,ゲームポイントと注意力は有意差は無いものの数値の改善を認めた.【考察・まとめ】本法により,車いす患者においても楽しさを持って能動的な身体運動が可能となった.
  • ―全身・腰椎骨密度測定を含めて―
    赤嶺 卓哉, 高田 大, 藤井 康成, 添嶋 裕嗣, 田口 信教
    2015 年 64 巻 4 号 p. 813-816
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    腰痛症例62名(平均年齢58.0±9.9歳)に対し,平均約6.0ヵ月間(週2回)の水中運動療法を行い,以下の知見を得た.(1)水中運動後では運動前に比し,肥満の軽減,心肺機能の向上,体幹・下肢の筋力・柔軟性の増強,症状の改善がそれぞれ統計学的に有意に認められた(以下p<0.05).(2)水中運動前後のDXA法による骨密度測定では,第4腰椎骨密度・対同性ピーク値比・対同性同年齢平均値比,第2~4腰椎対同性同年齢平均値比において,それぞれ有意な増強が認められた.(3)水中運動後においては,体幹伸展・屈曲力,ファンクショナルリーチ試験(バランス能力評価)の漸増的な向上が有意に観察された.以上より,腰痛症例に対する水中運動療法の有益性が示唆された.
  • 宮平 誉丸, 新垣 宜貞, 砂川 秀之, 呉屋 五十八, 松田 英敏, 金城 綾美, 金城 幸雄, 仲宗根 哲, 金谷 文則
    2015 年 64 巻 4 号 p. 817-819
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    当院の大腿骨転子部骨折(24例24関節,男性5例,女性19例,手術時平均年齢78歳,平均観察期間8ヵ月)について,受傷時の単純X線像における骨片数,小転子骨折,ネイル・ラグスクリュー刺入部の骨折の有無を評価し,3D-CTとの一致率を検討した.全例髄内釘を用いて内固定し,平均6ヵ月で骨癒合を得た.単純X線像と3D-CTとの一致率は,小転子骨折で88%(21例),骨片数で63%(15例),ネイル挿入部骨折の有無で83%(20例),ラグスクリュー刺入部骨折の有無で88%(21例)であった.単純X線像による転子部骨折の評価に比べて3D-CTではより確実に骨折の程度が評価でき,綿密な術前計画を立てる上で骨折状態の把握に有用と考えられた.
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