整形外科と災害外科
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64 巻 , 3 号
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  • 橋本 貴弘, 村松 慶一, 富永 康弘, 山縣 大樹, 田口 敏彦, 重冨 充則
    2015 年 64 巻 3 号 p. 385-389
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】橈骨遠位端骨折に対するロッキングプレートによる治療では,良好な成績が報告されている一方で合併症のリスクも指摘されている.当科ではSynthes VA-TCPを使用してきており,その術後成績と合併症について調査検討することを目的とした.【対象と方法】29例30手で骨折型はAO分類でA2 11手,A3 4手,C1 2手,C2 8手,C3 3手,および変形治癒骨折2手であった.これらについてSoong gradeによるプレート設置位置の評価を中心に検討した.【結果】術後成績は概ね良好であったが,合併症を6手に認めた.主な内訳はFPL刺激症状2手,スクリュートラブル2手,矯正損失1手であった.【結論】同じSoong gradeでもプレート突出の程度が異なり,grade 0でも抜釘不要とは結論付けられない.また抜釘時にはスクリュー折損のリスクがあることを念頭におく必要がある.
  • 玉井 崇, 藤本 勝也
    2015 年 64 巻 3 号 p. 390-393
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートによる骨接合術は,良好な固定力のため一般的な術式となった反面,インプラントの折損が散見される.当院でも遠位・尺側のスクリュー折損を3例経験したので報告する.【症例】30歳,53歳,55歳のいずれも男性.職業は配管工,専業農家,トラックドライバー.いずれも転落して受傷.Acu-LocとAcu-Loc2(Acumed/日本メディカルネクスト)にて骨接合術を行い,いずれも術後6ヵ月で抜釘した.3症例中2症例で疲労破損の痕跡が認められた.3症例とも若年の肉体労働者であった.折損の可能性について抜釘前に十分に説明し,対策を取っておくことが必要である.
  • 桑野 洋輔, 安達 耕一, 森 愛, 瀬良 敬祐, 今村 宏太郎, 江良 允
    2015 年 64 巻 3 号 p. 394-397
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】橈骨遠位端骨折に対しては掌側プレート固定が広く行われているが,術後合併症として長母指伸筋腱(以下EPL)皮下断裂の報告は比較的稀である.当院にて平成20年から平成25年までに手術を行った橈骨遠位端骨折は337例であり,このうち2例に術後EPL皮下断裂を生じたので報告する.【症例】①.66歳女性,転倒し受傷.AO分類23-A3骨折を認めたため掌側プレート固定を施行.術後2か月で母指伸展制限が出現しEPL皮下断裂の診断で腱移行術を施行.②.81歳女性,転倒し受傷.AO分類23-C2骨折を認めたため掌側プレート固定を施行.術後1か月で母指伸展制限が出現しEPL皮下断裂の診断で腱移行術を施行.【考察】橈骨遠位端骨折後のEPL皮下断裂の発生機序としては,転位骨片や仮骨などの摩擦による機械的要因と血行動態的要因に大別されるが,当院で経験した2例は背側骨片の整復不良による機械的要因がEPL皮下断裂の原因と考えられた.
  • 辻 王成, 岡元 勉, 野村 一俊, 前川 清継
    2015 年 64 巻 3 号 p. 398-401
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    デノスマブの海外・国内第3相試験においては,腰椎のみならず大腿骨頸部に対しても骨密度を上昇させる結果が報告され,骨密度の低下した高齢者の大腿骨近位部骨折予防効果が期待される.当院でデノスマブ(60mg)の皮下投与を行った女性骨粗鬆症患者68例(平均年齢77.8歳)を対象とし6か月の短期成績を調査した.デノスマブ投与前に骨代謝マーカー(BAP, TRACP-5b),骨密度(腰椎(L2-4)と大腿骨頸部)の測定を行い,投与3か月後に骨代謝マーカーを,投与6か月後に骨密度を測定し検討を行った.6か月後の骨密度の平均変化率は腰椎で5.2%,大腿骨頸部で1.6%の増加であった.また,BAPの変化率(3か月)と大腿骨骨密度変化率(6か月)に弱い負の相関を認めた.さらに75歳以上の50例についてADLの違いによる骨密度変化率を検討した結果,日常生活が自立している群で大腿骨頸部骨密度変化率が有意に高く,薬物治療下に歩行による荷重ストレスの重要性が示唆された.
  • 柳澤 義和, 原田 晢誠, 溝口 孝, 岡 和一郎, 新井 貴之, 高野 祐護, 野村 裕, 田中 孝幸, 有馬 準一
    2015 年 64 巻 3 号 p. 402-406
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    近年,四肢の骨折難治症例にテリパラチドを応用した報告が散見される.今回,骨粗鬆性椎体骨折に本剤を応用した症例について検討した.対象は骨粗鬆性椎体骨折のうち,本剤を用いて治療した9患者で,肺疾患などでコルセット装着が困難な症例や偽関節症例などに用いた(T群).またコルセット装着のみで治療した8症例をコントロール(C群)とし,平均年齢,治療開始時の腰椎骨密度,罹患期間,骨癒合率と期間,隣接椎体椎体などを検討した.結果はT群はより高齢で,骨密度も低かった.さらに罹患期間と骨癒合に要した期間もT群で長かった.ただし隣接椎体骨折はT群で認知1例のみで,C群は2例に認めた.全ての項目で両群に統計学的有意差は認めなかったが,T群はより高齢で低骨密度群,罹患期間も長かったため,骨癒合に時間を用したものと考えられた.ただし隣接椎体骨折に関しては従来の保存治療より隣接椎体骨折を予防できる可能性が示唆された.
  • 城野 修, 白石 浩一, 浜崎 晶彦, 福谷 龍郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 407-410
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【緒言】軟骨下脆弱性骨折は比較的軽微な外傷で発症し,その急性期MRI像はとりわけ大腿骨頭においては広範囲にT1低信号T2高信号の骨髄浮腫パターンをとることが多いと言われる.今回亜急性期MRI像での骨髄浮腫パターンが顕著でなかった大腿骨内顆軟骨下脆弱性骨折の1例を経験したので報告する.【症例】60歳女性.走り出そうとした瞬間に左膝に激痛を自覚し歩行困難となった.受傷後11日目のMRIで内側半月板損傷および骨挫傷と診断したが,さらに1週後のレントゲンで大腿骨内顆の平坦化を認め脆弱性骨折と診断し免荷を強化した.受傷後3ヶ月のMRIにていわゆる特発性膝骨壊死に典型的な像を呈した.【考察】中高齢患者の軽微な外傷後の膝激痛をみた場合,軟骨下脆弱性骨折を疑い免荷の上で早期に脂肪抑制T2強調像を含むMRI精査を行うべきである.
  • 上條 秀樹, 鬼塚 俊宏, 泉 貞有, 大森 康宏, 渡辺 恵理
    2015 年 64 巻 3 号 p. 411-413
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    近年,非定型骨折の報告が散見されるようになっている.今回,両側発生に注目し,当科で経験した3例について報告する.1例は非定型骨折後2年5ヶ月で反対側に非定型骨折を生じ,いずれも転位を認め,骨接合を施行した.その後経験した2例は,一側の非定型骨折時に単純X線像にて反対側に不全骨折を認め,不全骨折に対しても積極的に骨接合を施行し,早期荷重を進めることができた.非定型骨折を受傷後は両側発生を念頭におき,反対側の注意深い観察が必要である.
  • 白地 仁, 信藤 真理, 田中 潤, 内藤 正俊
    2015 年 64 巻 3 号 p. 414-418
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    (目的)頸椎症,頸椎椎間板ヘルニアに対してPEEKケージを使用した前方固定術の成績について報告した.(対象)2012年から2014年までに当院で前方固定術を施行した46例のうち,PEEKケージを用いた40例である.基礎疾患は頸椎症35例,頸椎椎間板ヘルニア14例,外傷1例であり,固定椎体は1椎間15例,2椎間23例,3椎間1例,4椎間1例であった.(方法)X線側面像による頸椎後弯角,椎体高を術前後,最終経過時に比較と癒合判定を行った.さらにJOAscoreと合併症の有無と対策について検討した.(結果)手術の平均時間は112分(70-180分),出血は24.9cc(10-75cc)であった.JOAscoreは術前12.9が最終診察時は15.6であった.術後血腫やケージの脱転,食道損傷の症例は認めなかった.(考察)前方固定術にPEEKケージとplateを使用する利点は,強固な初期固定,椎体終板温存による椎体圧潰リスクの低減,後弯矯正,入院期間の短縮などがあげられた.
  • 時岡 孝光, 阿部 光伸, 土井 英之
    2015 年 64 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    後外側進入により頭側と尾側に複数の皮膚切開を加えて強斜位で椎弓根スクリューを挿入し,頭尾側の創から指で皮下トンネルを作製してロッドを連結することで多椎間に最小侵襲頚椎椎弓根スクリュー固定(MICEPS)を行った7例を検討した.手術時年齢は39-85歳(平均60.5歳),原疾患は転移性頚椎腫瘍が5例,強直性脊椎骨増殖症に伴った頚椎椎体骨折1例,首下がり症1例であった.固定範囲は4椎間が5例,6椎間1例,7椎間1例で,手術時間は平均259.6分,出血量は平均191.6mlであった.椎骨動脈損傷などの合併症はなく,広範囲固定に有用であった.
  • 田中 哲也, 齊藤 太一, 糸川 高史, 入江 努, 末永 英慈, 青野 誠, 岩田 真一郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 424-429
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【対象および方法】腰椎椎間板ヘルニアに対して同一術者によりMEDを施行した81例中,術後6ヶ月以上経過観察し得た59例を対象とした.そのうち再手術を行った症例は7例(11.9%)であった.術前MRIでの椎間板ヘルニアの大きさ,年齢,BMI,手術までの期間,手術時間,術中出血量や椎間板ヘルニア摘出量等について非再手術群と比較検討した.【結果】術前MRIでの椎間板ヘルニアの大きさと尾側脱出例において2群間に有意差を認めた.症例全体でみると術前MRIにおける椎間板ヘルニアの矢状断での長さが13mm以上,術中摘出量が1.0g以上の症例では,それぞれ未満の症例と比較して有意に再手術となる例が多かった.【考察】本邦での再手術率の報告は概ね5%未満であるが,自験例は11.9%と高かった.過去の報告と同様に脱出ヘルニア例は再発しやすく,残存ヘルニアの十分な検索や術後の患者教育が重要となる.
  • 髙田 弘誠, 田畑 聖吾, 藤本 徹, 谷脇 琢也, 緒方 光次郎, 水田 博志
    2015 年 64 巻 3 号 p. 430-433
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    腰椎高度すべり症(Meyerding IV度)の治療を経験したので報告する.【症例】52歳女性.2006年に腰痛が出現し,近医での保存的加療で改善した.2012年より両下腿の痺れ・疼痛が出現し保存的加療で改善ないため当科を受診した.レントゲンでMeyerding IV度のL5分離すべりを認めた.仙骨の形成不全は認めなかった.MRIではL5/S1間での脊柱管と椎間孔の狭窄を認めた.手術はL3からS2のpedicular transvertebral screw fixationを用いた後側方固定(PLF)を施行した.腰痛及び下肢痛は著明に改善し,JOAスコアは8点から28点へ改善した.術後1年,アライメントは保たれており,PLFおよびL5/S1椎体間での骨癒合を認めた.【考察】高度すべり症でのすべりの整復の必要性に関しては議論がある.短期ではあるがpedicular transvertebral screw fixationを用いたPLFで良好な結果が得られた.
  • 神保 幸太郎, 田邉 潤平, 塚本 祐也, 松原 庸勝, 江﨑 佑平, 佐々木 威治, 重留 広輔, 吉田 史郎, 坂井 健介, 田中 憲治 ...
    2015 年 64 巻 3 号 p. 434-438
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    強直性脊椎増殖症に生じた脊椎骨折の報告は近年増加している.受傷直後の転位は少なくても,経時的に伸展転位進行し重篤な遅発性麻痺を起こすことが多い.手術方法は,癒合椎に関しては可動域の温存を考慮しなくて良いことから,PSを用いた3 above 3 below以上の強固な固定を推奨する意見が多い.しかし高度な前方骨折部の開大や不安定性に加えて骨粗鬆症を合併している事も多く,PSのみでは不充分な場合も多い.我々は正中にhookを併用した後方固定術を行い良好な結果を得たので報告する.整復と強固な内固定が可能であり,高度な転位や不安定性を有する場合には極めて有効な方法であると考える.
  • 岩田 真一郎, 入江 努, 糸川 高史, 田中 哲也, 末永 英慈, 青野 誠, 齊藤 太一
    2015 年 64 巻 3 号 p. 439-441
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    腰椎術後に可吸収性止血剤による麻痺を生じた2例を経験したので報告する.症例1:79歳女性,腰部脊柱管狭窄症に対してL4/5後側方固定術+L3/4・L5/S後方除圧術を施行.術後1日目に右大腿四頭筋筋力低下を認め(MMT2),術後2日目に筋力低下が進行した(MMT1).症例2:65歳女性,腰部脊柱管狭窄症+椎間板ヘルニアに対してL2/3・L3/4・L4/5後方除圧術」+L2/3椎間板ヘルニア摘出術を施行.術後4日目に左腸腰筋,大腿四頭筋筋力低下を認めた(MMT2).2例とも術後MRIにて異物(止血剤)による神経圧迫所見を認め,同日再手術(異物除去術)を施行した.神経周囲に対して可吸収性局所止血剤を使用した場合には,可及的に除去する必要がある.
  • 滝田 裕之, 原 真一郎, 日高 信道, 島内 良三
    2015 年 64 巻 3 号 p. 442-444
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    今回我々は外傷を契機に胸腰椎部硬膜外膿瘍と化膿性肩関節炎を併発した1例を経験したので報告する.症例は82歳女性.自転車走行中に3mの高さから転落し受傷.受傷2日目腰痛と左肩痛のため前医入院した.入院後疼痛増悪し,受傷5日目より38℃台の発熱を認めたため精査加療目的に当科紹介となった.血液検査にて白血球10900/μl,CRP26.81mg/dlと炎症反応の上昇を認め,MRIにてTh10からL5まで硬膜外膿瘍と左化膿性肩関節炎の所見を認め当科入院.入院2日目に病状進行し,緊急で椎弓切除および切開排膿術を施行した.術中の組織培養にて口腔内常在菌であるStreptococcus gordoniiを検出した.術後抗菌薬投与にて加療継続し,経過良好にて術後6ヶ月で自宅退院となった.
  • 森寺 邦晃, 村上 忠誌, 有田 忍, 赤星 正二郎, 福原 志東, 古子 剛, 石倉 透, 馬場 賢治, 沖本 信和
    2015 年 64 巻 3 号 p. 445-449
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    疼痛管理が困難な腰部脊柱管狭窄症による腰部神経根症に化膿性脊椎炎を合併した症例に対し,神経除圧術と脊椎制動術を施行し経過良好な症例を経験したので報告する.除圧を行う椎体に化膿性脊椎炎が合併しており,椎弓切除のみでは脊柱変形の進行が危惧されたため,制動を得るとともにinstrument failureを回避するためU-rodを用いた脊椎制動術を行った.術後に腰椎は短縮し前彎が減少したが,instrument failureを生じることなく経過は良好である.
  • 寺本 周平, 井上 哲二, 中島 三郎, 宮﨑 信, 沼田 亨祐, 平山 雄大, 酒本 高志
    2015 年 64 巻 3 号 p. 450-454
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    腰椎化膿性椎間関節炎に対して保存的治療にて良好な経過を得た1例を経験したので報告する.症例:73歳男性,近医にて局所注射後に発熱の出現とともに腰痛増悪し,当科紹介となった.WBC 13,900/μl,CRP 19.55mg/dl.MRIにて右L5/S1椎間関節から傍脊柱筋に異常輝度変化と硬膜外に占拠性病変を認めたが,単純レントゲン上,関節破壊は認めなかった.椎間関節部穿刺を施行し膿汁を採取し,培養の結果MSSAであり,抗菌薬投与を開始した.入院17日目で症状は軽快し退院となった.腰椎化膿性椎間関節炎は化膿性脊椎疾患の中では比較的希である.発症機序は周囲感染巣からの直接波及,血行性,医原性がある.当症例では先行感染がなく,局所注射後に症状が出現したことから医原性感染と考えられた.診断と治療を兼ねた椎間関節部穿刺ドレナージ及び抗菌薬による保存的治療で良好な結果が得られた.
  • 音羽 学, 川内 義久, 中條 正英, 廣田 仁志, 富村 奈津子, 吉野 伸司, 小宮 節郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 455-456
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腰椎疾患として治療されていた脊髄腫瘍の症例を経験したので報告する.【症例】症例1 72歳女性9ヶ月前両足部しびれ感出現し,近医受診,腰部脊柱管狭窄症と診断され手術を受けたが症状改善せず当院受診した.初診時右臍部以下のしびれ感,知覚障害,両下肢の筋力低下があり,MRIにてTh10レベルに硬膜内髄外腫瘍を認めた.腫瘍摘出術を行い症状は改善した.症例2 58歳男性 3年前左下肢しびれ感出現し,近医でL5分離症と診断され保存的治療を受けていたが,徐々に右下肢の筋力低下,歩行障害が出現,当院初診した.初診時四肢の知覚障害,筋力低下が見られ歩行困難であった.MRIでC6レベルに硬膜内髄外腫瘍を認めた.腫瘍摘出術を行い症状は改善した.【考察】下肢のしびれ等の下肢症状が脊髄腫瘍の初発症状の場合もあり,腰椎に異常が見られた場合腰椎疾患として治療されることが少なくない.誤診を防ぐためには詳細な診察と注意深い経過観察が必要である.
  • 信藤 真理, 白地 仁, 田中 潤, 内藤 正俊
    2015 年 64 巻 3 号 p. 457-461
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    特発性硬膜外血腫(以下SSEH)は突然の頚背部痛,進行性の麻痺を呈する比較的稀な疾患である.近年,MRIの普及とともに報告例は除々に増加している.今回われわれは当科にて治療を行ったSSEHの治療成績を検討し,若干の知見を得たので文献的考察を加えて報告する.症例は2003年4月から2014年7月までの9症例を対象とした.手術症例は7例,保存症例は2例であった.血腫部位は頸椎1例,頚胸椎3例,胸椎5例,であった.麻痺出現までの時間は平均2.5時間であった.麻痺出現から手術までの時間は平均7.9時間であった.手術症例では初診時,改良Frankel分類でB2~C1がD3~Eに改善,保存症例ではB2~C1がEに改善した.麻痺症例は6時間以内に改善傾向を示し,麻痺が改善しないものに対しても麻痺発症から10時間以内の手術で良好な結果を得ることができた.
  • 楊 昌憲, 長嶺 隆二, 近藤 桂史, 陳 維嘉, 田中 公一朗, 田中 基貴, 小佐野 圭, 小西 淳二, 秋山 武徳
    2015 年 64 巻 3 号 p. 462-464
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    高位脛骨骨切り術(HTO)における下肢深部静脈血栓症(DVT)に関して検討した.対象は変形性膝関節症に対してHTO施行された23膝(男性7膝,女性16膝),平均年齢63.6才,平均BMI26.0.術式はclosed wedge osteotomy14膝,open wedge osteotomy9膝,平均手術時間は108.9分だった.超音波検査を術前,術翌日,術後1,2,4週目に施行し,DVT発生率,発生部位を検討した.Hb値,D-dimer値を術前,術翌日,術後1,2週目に計測した.全例術翌日よりフォンダパリヌクス2.5mgを2週間使用した.結果,DVTは術前に認めず,術翌日に12膝(52.2%),術後4週までに14膝(60.9%)認めた.全例遠位,ヒラメ静脈に認め,1膝は後脛骨静脈に,1膝は腓骨静脈にも認めた.発生側は術側6膝,健側2膝,両側6膝であった.DVT発生群とDVT発生無群で比較すると,術翌日のD-dimer値に有意差を認めた.HTOにおけるDVTの発生は人工膝関節置換術(TKA)と同等であり,TKA同様の対応が必要と思われた.
  • 新見 龍士, 米倉 暁彦, 小関 弘展, 宮本 力, 千葉 恒, 金丸 由美子, 西 紘太朗, 尾﨑 誠
    2015 年 64 巻 3 号 p. 465-470
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症に対するDouble Osteotomyの報告は海外に比し本邦では稀である.症例は59歳,女性で15年前に膝OAの診断を受け,2年前から徐々に疼痛が増悪した.左膝のJOA scoreは55点で,単純X線では大腿骨遠位の外反変形を伴う内側型膝OA(K-L分類 grade IV)を認めた.術前の%MAは14%で,aMPTAは83度,mLDFAは81度であった.手術は大腿骨遠位内反骨切りをclosed wedge osteotomyで行い,脛骨は脛骨顆外反骨切り術(TCVO)を行い,いずれもTomoFix® plateで固定した.術後1年のJOA scoreは70点に改善し,KOOSは術前と比しほぼ全ての項目で改善を認めた.
  • 堀川 朝広, 久保田 健治, 小田 勇一郎, 原 慎太郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 471-474
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    Opening wedge HTO(OWHTO)後のロッキングプレート(TomoFix)を抜去した30例33膝中にlocking head screw抜去困難を5例5膝経験したので報告する.症例は全例女性.抜去困難であったlocking head screw(直径5mm径)は全例ともTomoFix plateの近位端前方に偏在し,部位はhole A 1例,hole B 2例,hole A・B 2例であった.抜去困難例の平均年齢は62.8歳,平均体重は63.0kg,BMIは26.0であり,OWHTOからロッキングプレート抜去までの平均期間は649日だった.通常抜去例との年齢,体重,BMI,抜去までの期間,また% mechanical axisや脛骨後傾角も有意差はなかった.プレート近位端前方のhole A・hole B screwの長さに有意差はなかったが,後方のhole C screwが抜去困難例で有意に短かった.原因としてhole A,B screw headへの負荷集中によるプレートとlocking head screwのcold welding(冷間圧接)が考えられた.
  • 玉井 貴之, 王寺 享弘, 真鍋 尚至, 松田 匡弘
    2015 年 64 巻 3 号 p. 475-480
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】変形性膝関節症(OA)を伴う内側半月板(MM)後角損傷の縫合術の治療成績について検討する.【対象と方法】当院で施行したMM後角縫合20例20膝を対象とした.男性2膝,女性18膝で,平均年齢66.3(54~77)歳であった.臨床成績としてJOA score,単純X線にてKellgren-Lawrence(KL)分類と立位膝外側角(FTA),MRIにて軟骨損傷grade分類について検討した.【結果】術前JOA score 58.0±14.1点,FTA 177±3.8°,KL分類grade1:7膝,grade2:10膝,grade3:3膝,軟骨損傷分類grade1:6膝,grade2:8膝,grade3:6膝であった.調査時JOA score 83.3±12.4点で有意に改善していた.KL grade3,軟骨損傷grade3の症例では調査時JOA scoreが有意に低かった.FTAの程度では調査時JOA scoreに有意差はなかった.【考察】短期成績ではあるが,OAを伴うMM後角損傷の縫合術の治療成績は良好であった.軟骨損傷が進行した症例では適応を検討する必要がある.
  • 本山 達男, 尾川 貴洋, 小川 貴久, 古江 幸博, 永芳 郁文, 川嶌 眞之, 佐々木 聡明, 渡邊 裕介, 小杉 健二, 川嶌 眞人, ...
    2015 年 64 巻 3 号 p. 481-484
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    膝前十字靭帯(ACL)損傷に伴う骨挫傷は,MRIでのACL損傷診断の補助となる.ACL新鮮例のMRIでの骨挫傷について検討した.対象と方法)対象は2011年7月より2014年7月まで当院でACL損傷にて関節鏡もしくは鏡視下靭帯再建を行った41例,41膝,男性21例,女性20例,平均年齢30歳(13-58)右膝12例,左膝29例であった.MRIにて骨挫傷の有無,部位について,また受傷機転,スポーツ種目について検討した.結果)41膝中39膝(95.1%)に骨挫傷を認め,脛骨外側顆36膝,大腿骨外側顆28膝,脛骨内側顆13膝,大腿骨内側顆6膝であった.また内側コンパートメントの骨挫傷単独例はなく,外側コンパートメントの骨挫傷を合併していた.41例中39例はスポーツが原因で,バレーボール17例,バスケットボール10例,サッカー6例などであった.受傷機転はジャンプし着地時の受傷が21例と多かった.非接触型の受傷は34例(82.9%)を占め,接触型より内側の骨挫傷を多く合併していた.
  • 水田 和孝, 石井 英樹, 角田 憲治, 田中 博史, 重松 正森, 浅見 昭彦
    2015 年 64 巻 3 号 p. 485-488
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】鎖骨遠位端骨折に対して,ワイヤーを併用できるclavicle wiring plate(CWP)による治療成績を報告する.【対象・方法】2011年以降,当院にて鎖骨遠位端骨折に対してCWPにて治療を行った14例を対象とした.骨癒合の有無,臨床評価,合併症について調査した.臨床成績は最終診察時の日整会肩関節評価基準(JOA score)で評価した.【結果】全例に骨癒合を認めたが,術後一週間で転位の増強を来した1例を認めた.偽関節は認められず,JOA scoreは平均96点であった.【考察】CWPを使用することで,不安定型鎖骨遠位端骨折に対し良好な成績を得られたが,1例に術後早期の転位を認めた.それ以降遠位骨片が小さい症例や粉砕が強い症例には,遠位ロッキングスクリューの先端にワイヤーを斜めに掛けて固定している.それ以降,粉砕の強い症例にも転位の増強を認めることはなく,良好な骨癒合を獲得している.
  • 桑原 正成, 佐々木 宏介, 佛坂 俊輔, 川口 謙一, 加藤 剛, 塚本 伸章, 塩本 喬平, 稲光 秀明, 櫻木 高秀, 前 隆男
    2015 年 64 巻 3 号 p. 489-491
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    肩鎖関節脱臼に対しClavicle Hook Plate(CHP)を用いて手術を行った16例16肩を対象とし,その治療成績を評価した.全例男性,平均手術時年齢44(30~62)歳,平均術後調査期間22(6~42)ヵ月であった.全例,整復した肩鎖関節をCHPにて固定した.9例でCadenat変法による烏口鎖骨靭帯再建,3例でCadenat変法による烏口鎖骨靭帯再建とstrong sutureによる烏口鎖骨間縫合,4例で人工靭帯による烏口鎖骨靭帯再建を行った.CHPは術後6~8週で抜去した.治療成績の評価は,最終調査時の日本肩関節学会肩鎖関節機能評価法(JSS-ACJ score)と単純X線にて行った.最終調査時,平均JSS-ACJ scoreは94(89~100)点,単純X線にて解剖学的整復位13例・軽度亜脱臼3例であった.肩鎖関節脱臼に対するCHPを用いた手術の治療成績は良好であった.
  • 黒田 大輔, 柴田 陽三, 伊崎 輝昌, 城島 宏, 秋吉 祐一郎, 篠田 毅, 櫻井 真, 三宅 智, 南川 智彦, 植木 貴之, 瀧井 ...
    2015 年 64 巻 3 号 p. 492-495
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    (はじめに)肩鎖関節脱臼(Rockwood Type III)に対して我々は自家半腱様筋腱,半膜様筋腱移植による肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯同時再建の良好な術後成績を報告しているが,自家腱採取に問題を感じている.今回我々は人工靱帯で鏡視下肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯同時再建術をおこなったので報告する.(症例)34歳,男性,右肩鎖関節脱臼(Rockwood Type III)術前日本肩関節学会肩鎖関節脱臼評価法33点 肩鎖関節脱臼を徒手整復後Kワイヤーで肩鎖関節を固定,まず烏口鎖骨靱帯をArthrexスーチャーボタンテープ(SBT)2本とドッグボーンプレート2個で鏡視下に再建し,肩鎖靱帯は同SBT1本を鎖骨遠位端と肩峰とを上下方向に通して結紮した.(結語)人工靱帯を用いた鏡視下肩鎖靱帯・烏口鎖骨靱帯再建は手技的に困難なものではなく解剖学的な再建ができ良好な整復位が得られた.
  • 橋本 卓, 原田 洋, 諸岡 孝明, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2015 年 64 巻 3 号 p. 496-502
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    肩鎖関節脱臼に対して手術を施行した8例8肩(Rockwood分類でtype II:2,type III:1,type IV:1,type V:4肩)の術後成績を検討した.全例男性,手術時平均年齢は42.5歳,術後経過観察期間は平均22.3ヶ月であった.6肩にClavicle Hook Plate(CHP)による固定を,type IIの1肩にCadenat変法を施行した.他医で保存的加療により肩関節拘縮を合併していたtype IVの1肩には鏡視下授動術を行った後Dog Bone ButtonとCadenat変法による烏口鎖骨靱帯再建術を施行した.日本肩関節学会肩鎖関節機能評価法で術後成績は平均91点であった.CHPを施行した2肩で肩関節拘縮を合併し抜釘時に鏡視下授動術を施行した.術後再脱臼は認めていない.CHPなどの肩鎖関節を跨ぐ固定ではフックによる肩峰の骨浸食や肩関節拘縮に注意を要する.
  • 北原 博之, 宮原 健次, 矢部 嘉浩, 田中 克己
    2015 年 64 巻 3 号 p. 503-505
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    今回,我々は上腕骨近位端の偽関節例に胸背動静脈のangular branchを利用した有茎骨移植術を経験することができたので報告する.症例は65才男性,上腕骨近位端骨折後,偽関節となり2年間経過後当科にて治療を行った症例である.上肢を自力で挙上しようとすると腱板と三角筋の機能が保たれているため,骨折部の遠位端が皮下に突き上げ疼痛を伴っていた.偽関節部は硬化しており広範囲の骨切除,骨移植が必要と思われた.今回,我々は骨移植のみでは骨癒合困難と判断し形成外科の協力を得て胸背動脈のangular branchを血管茎とした肩甲骨からの骨移植を行った.2×7センチメートルの骨片を肩甲骨から有茎で採取し大胸筋の下面を通して前方の骨折部に移植してプレート固定した.術後経過は良好で短期間で骨癒合を得ることができた本法の問題点として手術侵襲が大きいことがあげられるが上腕骨近位の難治性偽関節手術として有効な方法の一つと思われる.
  • 山縣 大樹, 橋本 貴弘, 村松 慶一, 富永 康弘, 田口 敏彦, 重冨 充則
    2015 年 64 巻 3 号 p. 506-509
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】化膿性肩関節炎は比較的稀であるが,一旦発症すると急速に関節機能が障害される重篤な疾患である.本研究の目的は当院における化膿性肩関節炎の治療経過を調査し,その原因や治療法について検討することである.【対象】対象は,当院において2000年8月以降に化膿性肩関節炎として加療した21例22肩である.男性16肩,女性6肩,平均年齢は67.6歳で,平均経過観察期間は22.4ヶ月であった.【結果】術後感染は10肩で,うち6肩は広背筋移行術を並施していた.術後感染例は全例直視下手術にて感染の鎮静化を得た.4肩において起炎菌を同定できなかった.直視下手術と鏡視下手術との間で最終観察時の自動挙上可動域に差はなかった.【考察】腱板修復術における広背筋腱移行術は術後感染のリスクとなる可能性が否定できず,注意を要する手技であると考えられた.病変の拡大範囲に応じて直視下・鏡視下手術を選択するべきである.
  • 櫻井 真, 柴田 陽三, 伊崎 輝昌, 城島 宏, 秋吉 祐一郎, 黒田 大輔, 三宅 智, 植木 貴之, 矢野 真太郎, 瀧井 穣
    2015 年 64 巻 3 号 p. 510-513
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当院では,腱板滑液包面不全断裂に対し,不全断裂部を完全断裂にした後にknotless suture bridgeを施行している.今回我々は,その臨床像・鏡視所見・術後成績について検討したので報告する.【対象】2009年10月以降,鏡視下腱板断裂修復術を施行した429肩中,滑液包面不全断裂症例は15肩であった.その内,1年以上経過観察が可能であった13肩が対象である.手術時年齢59.5歳,観察期間19.4ヵ月であった.【結果】全例で滑液包内に中等度~高度の滑膜増生を認めた.可動域は,屈曲は術前114.2度から術後145.8度へ,外転は103.8度から150.4度へ術後有意に高値を示した.JOA scoreの疼痛・機能・合計点も術後有意に高値を示した.閉所恐怖症の1肩を除き,全例で術後MRIにて完全癒合を呈していた.【結語】腱板滑液包面不全断裂の割合は腱板修復手術例の3.5%で,滑液包内には高度の滑膜増生を認めた.当院で施行している完全断裂作成法は安全且つ簡便で腱板治癒に有利な手術方法である.
  • 鬼塚 俊宏, 河野 勤, 糸満 盛憲
    2015 年 64 巻 3 号 p. 514-518
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    肩甲骨関節窩骨折は関節内骨折であり,解剖学的な整復および強固な内固定が望ましい.しかし,関節を大きく切開して骨接合を行うと侵襲が大きくなり,後療法が長くなったり可動域制限を生じる可能性がある.したがって可能であれば関節鏡視下で行った方が良いと考える.今回4例の鏡視下骨接合を経験したので報告する.症例は男性2名,女性2名,平均年齢45.8歳.関節鏡を挿入して骨片の大きさを評価し,スクリュー固定可能なものはCannulated Cancellous Screw 2本で固定し,不能と判断したものは鏡視下バンカート法に準じてスーチャーアンカーを用いて骨接合を行った.結果は全例骨癒合が得られ,可動域制限なく関節不安定性も生じなかった.肩甲骨関節窩骨折に対して,鏡視下骨接合は有用であった.骨片の大きさによりスクリューとアンカーの使い分けが重要である.また,長期的な関節症変化について検討していく必要がある.
  • 瀧井 穣, 柴田 陽三, 城島 宏, 秋吉 祐一郎, 櫻井 真, 黒田 大輔, 植木 貴之, 矢野 真太郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 519-521
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    近年,肩鎖関節症に対し鏡視下鎖骨遠位端切除術が行われる様になりほぼ満足できる成績が報告されている.しかし,直視下手術と異なり,術中の骨切除量の判定が困難で,術中X線コントロールが必要となる.鎖骨遠位端から10~15mmの切除が適正とされるが,当院の鏡視下鎖骨遠位端切除術6例の切除範囲を検討したところ,平均9.2±2.8mmと骨切除量がやや不足する傾向にあった.術前JOA scoreは71.2±9.4点が平均術後経過10±6.5ヵ月で平均91.1±6.8点に改善した.術後成績に問題は無かったが,骨切除量不足のためか疼痛が遷延する症例があった.そこで切除前に鎖骨遠位端より15mmの位置にK-wireを経皮的に鎖骨上面から下面に貫通させ,切除範囲の指標とした.このK-wireに添って鏡視下に鎖骨遠位端切除を行った.術後の単純X線写真では切除量は15mmと,術前計画した切除量どおり骨切除が行われていた.
  • 井手尾 勝政, 井手 淳二, 唐杉 樹, 菊川 憲志, 水田 博志
    2015 年 64 巻 3 号 p. 522-525
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    肩関節多方向不安定症に対して手術療法を施行し,早期に職場復帰できた1例を経験したので報告する.症例は24歳,女性,看護師.右肩の(亜)脱臼を繰り返すため,精査加療目的で当科を紹介受診した.右肩関節の下方,前方,後方への不安定性と,全身関節弛緩性を認めた.右肩関節多方向不安定症の診断で,関節鏡下関節包縫縮術を施行した.術中所見では,下方関節唇隆起の消失,後方関節唇の亀裂,前方関節唇の剥離損傷を認め,前方関節唇関節包はスーチャーアンカーを用いて修復し,後下方関節包と腱板疎部の縫縮を行った.術後は装具固定を4週間行い,その後2週間は屈曲90°,外旋30°の制限下で可動域改善運動を行った.術後6週からは制限なく可動域改善運動を行い,筋力強化訓練を開始した.術後3ヵ月で職場復帰し,術後1年時には屈曲170°,外旋80°,内旋第6胸椎レベルと改善を認め,脱臼不安感は認めなかった.
  • 三宅 智, 伊崎 輝昌, 柴田 陽三, 櫻井 真, 内藤 正俊
    2015 年 64 巻 3 号 p. 526-529
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    肩関節前方不安定症に対する直視下手術後の再発率は2-8%といわれており,再手術では直視下手術が選択されてきた.近年,関節鏡視下での再手術が試みられるようになってきたがその報告は少ない.症例は58歳男性.35年前に外傷性肩関節前方不安定症に対してBoytchev変法による肩関節制動術が施行されていた.2014年2月,転倒しそうになり地面に手をついた後から脱臼不安感と水平内転時痛が出現した.精査の結果,肩関節前方不安症再発と診断し,鏡視下Bankart修復術を行った.術後,水平内転時痛および脱臼不安感は消失しJSS-SIS scoreは33点から80点に改善した.Boytchev変法は関節包切開や肩甲下筋腱切離などの侵襲も加えずに関節外処置のみで安定性を得る手技である.Boytchev変法術後の肩関節前方不安定性再発の手術として,未処置の関節内病変を修復する鏡視下手術は有用であると考えられた.
  • 大久保 昭史郎, 田中 祥継
    2015 年 64 巻 3 号 p. 530-533
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    骨性マレットは小さな骨片であるが伸筋腱が付着し関節運動に重要な部位の骨折である.そのため,不十分な整復や長期の外固定は術後成績不良の一因となることがあり,陳旧例や再骨折では癒合不全や術後運動開始時期の遅延が問題となることがある.今回我々は2007年にTeohらが報告したhook plateを用いた骨性マレットに対する固定法にならって2症例を経験したので報告する.本法は強固な骨片の固定と術後早期の自動運動が可能であり,腱付着部の裂離小骨片を破損する可能性が少なく,骨性マレットに対する固定法の有用な選択肢の1つとなると考えられた.
  • 大野 貴史, 安樂 喜久, 西里 徳重, 堤 康次郎, 安藤 卓, 田原 隼, 福間 裕子
    2015 年 64 巻 3 号 p. 534-536
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】日常動作で生じた尺骨掌側脱臼の1例を経験したので報告する.【症例】49歳女性,買い物袋を右前腕にかけ車のキーを押そうとした際に右手関節痛が出現した.尺骨頭隆起が消失しており,単純X線,CTで尺骨頭の掌側脱臼を認めた.手指を牽引しつつ掌側より尺骨頭を背側に押すと弾撥音とともに整復された.疼痛に応じて可動訓練を許可し回外動作を行わないように指導し保存的に経過観察しているが,現時点で再脱臼はない.【考察】尺骨掌側の初回脱臼後に遠位橈尺関節の不安定性が認められる場合,TFCC修復を推奨する報告もある.本症例では,茎状突起の形態異常,尺骨切痕の形態,およびTFCC損傷などが複合的原因となり反復性に脱臼していたと考えられた.可動域制限や不安定感の訴えなく保存的に経過を見ているが,今後再脱臼を繰り返す場合はTFCC修復を検討予定である.
  • 峯 博子, 鶴田 敏幸, 佛坂 俊輔
    2015 年 64 巻 3 号 p. 537-540
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    舟状月状骨(SL)解離は,欧米では外傷性手根不安定症の中で最も多く発生すると言われているが,本邦での報告は多くない.治療にはpinning,capsulodesis,Bone-Ligament-BoneやBone-Retinaculum-Bone(BRB)などの靱帯再建,橈側手根屈筋腱などを用いた腱固定などの報告があるが,未だにそのコンセンサスは得られていない。今回我々はSL解離の1例を経験したので報告する.症例は30年前に橈骨遠位端骨折の既往歴がある陳旧性症例(49歳,男性)である.手術はWeissらの方法に準じてBRB Autograftを用いたSL間靱帯再建術を行った.本法はLister結節部よりBRBを作成するため,同じ手術野で操作が出来る利点がある.SL gapは術前4.9mmから術直後1.2mm,術後16か月時1.2mm,SL angleは術前89°から術直後40°,術後16か月時45°に改善し,腫脹・疼痛なく,木工業もできており,経過は良好である.
  • 齋藤 嘉信, 上野 宜功, 米盛 公治, 小宮 節郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 541-544
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    今回我々は多発外傷に合併した橈骨手根関節脱臼骨折の1例を経験したので報告する.症例は19歳の女性.普通乗用車運転中,大型トラックに衝突し受傷.ドクターヘリで当院救急搬送された.左橈骨手根関節脱臼骨折に加え右上腕骨骨折,右橈尺骨骨折,右大腿骨骨折,骨盤骨折を認めた.受傷後14日目に骨接合術施行.掌側アプローチで展開.橈骨茎状突起骨片をheadless compression screwで内固定した後,橈骨月状骨間の靭帯及び関節包の断裂を修復した.術後1年3ヶ月で手関節可動域は掌屈90°,背屈90°,回内90°,回外80°,DASH1.7であった.橈骨手根関節脱臼骨折は比較的稀な外傷であり,正しい疾患概念を持って治療にあたることで良好な治療成績を得ることができると考える.
  • 樋口 貴之, 松尾 裕次郎, 當麻 俊彦, 長谷川 潔, 山中 清孝
    2015 年 64 巻 3 号 p. 545-548
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】当院で加療した肘頭骨折に対してPeri-LOC Ti Olecranon Locking Plate®(以下Peri-LOC)を使用し,手術成績について検討した.【対象と方法】対象は,2011年5月~2014年5月の間にPeri-LOCを用いて手術を施行した34例のうち,骨癒合まで追跡可能であった27例である.平均年齢は68歳,平均観察期間は8カ月である.骨折型は,Mayo分類でType1A 8例,1B 2例,2A 9例,2B 7例,3B 1例である.評価は,最終観察時の可動域,JOA score,術後の合併症,骨癒合,関節面について調査した.【結果】最終観察時の平均可動域は,伸展-12度,屈曲133度であった.JOA scoreは,平均88点であった.合併症は,1例に感染,2例に転位を認めた.骨癒合は,全例で認め平均3.3カ月であった.関節面は,2例を除き全例で保持できた.【結論】Peri-LOCは,2つのスパイクを上腕三頭筋腱に食い込ませる事が出来,近位から2.7mmスクリューによる軟骨下支持が得られるため陥没骨折に有用であると思われた.
  • 小杉 健二, 古江 幸博, 田村 裕昭, 川嶌 眞之, 永芳 郁文, 本山 達男, 佐々木 聡明, 尾川 貴洋, 渡邊 裕介, 川嶌 眞人
    2015 年 64 巻 3 号 p. 549-551
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    高齢者上腕骨遠位端骨折は骨脆弱性のため,治療に難渋することが多い.当院にてSynthes社製LCP Distal Humerus Plate(以下LCP-DHP)を用いて加療した症例の治療成績を報告する.60歳以上の16例のうち,7例は認知症等で追跡不能であったため,6ヵ月以上追跡可能であった9症例を対象とした.男性1例,女性8例で,平均年齢78.2歳,骨折型はAO分類でA2:7例,A3:1例,C3:1例,術後平均観察期間は8.6ヵ月であった.全例で骨癒合が得られ,最終観察時の平均可動域は,屈曲114度,伸展-14度と概ね良好で,認知症の悪化,その後の骨折等でADL低下を3例認めたが,疼痛はなく患側上肢の機能は術前と著変なく経過良好であった.LCP-DHPは強固な固定性を有し,早期可動域訓練を可能にするため有用である.特に高齢者は,長期追跡が困難なことも多いことから,type A骨折でもdouble platingの適応と考えている.
  • 小川 光, 小島 哲夫, 溝口 知行, 上新 淑文, 財津 泰久, 仲西 知憲, 村田 大, 牛島 貴宏, 榎原 純
    2015 年 64 巻 3 号 p. 552-554
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】神経再生誘導チューブ(ナーブリッジ®)の使用経験を報告する.【症例1】19歳男性.小指MPやや遠位での引き抜きによる切断で,再接着手術を行うも神経は縫合不能.術後3か月で神経再生誘導チューブを用いて再建した.現在再建手術後12か月経過し徐々に知覚の回復を認める.【症例2】51歳女性.40歳時に他医で鋼線を抜去する手術をうけた後より手関節の激痛・手背への放散痛としびれ出現,橈骨神経浅枝断裂の診断にて手術を施行した.神経は19mmの欠損があり神経再生誘導チューブを用いて再建した.手術翌日より術前にあった激痛は速やかに消失した.【まとめ】神経障害性疼痛の症例に対して明らかな症状の改善を認めた.使用する神経再生誘導チューブの長さに関しては限界もあると考えられ,今後も慎重に適応を検討する必要がある.
  • 宮地 有理, 酒井 和裕, 濱崎 将弘, 馬渡 玲子, 古川 雄樹, 杉田 健, 永吉 信介, 田中 希, 吉野 興一郎
    2015 年 64 巻 3 号 p. 555-557
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    神経痛性筋萎縮症の特徴は頚部・肩甲・上腕部の強い疼痛が急発症し,続いて運動神経麻痺と筋萎縮が生じることである.原因は腕神経叢炎などに加え近年は末梢神経のくびれも注目されている.今回,肩甲上肢帯の疼痛で発症し,のちに後骨間神経麻痺症状を呈した74歳と54歳の2例を経験した.発症5,8ヶ月で当科初診し,主に後骨間神経麻痺症状を呈していたが前腕伸側および小指球・骨間筋の筋萎縮も残存していた.肘関節付近に明らかなTinel徴候はなく神経のくびれは否定的であった.尺骨神経症状も合併していたため単神経炎より腕神経叢炎と考えた.保存療法は無効であり,年齢も考慮し発症後6,9ヶ月で神経剥離術は行わず腱移行術(津下変法)を行った.
  • 酒本 高志, 中島 三郎, 井上 哲二, 沼田 亨祐, 宮﨑 信, 平山 雄大, 寺本 周平
    2015 年 64 巻 3 号 p. 558-561
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    Microgeodic diseaseの1例を経験した.症例は9歳男児.12月誘因なく右中指の腫脹と疼痛が生じ,持続するため翌年2月当科受診した.初診時,右中指中節部に腫脹,疼痛を認め,X線像で中節骨に複数の小円形骨透亮像,骨皮質辺縁不整像,MRIで中節骨骨髄にびまん性にT1 low,T2 high,STIR highの異常信号域を認めた.Microgeodic diseaseと診断し,経過観察を行ったところ,初診より3ヵ月で理学所見,X線像とも軽快を認めた.本疾患の病因は現在のところ明らかではないが,一般的には一過性の末梢循環障害説が支持されている.教科書的な記載が乏しく,本疾患に関する認識がなければ,凍傷,骨髄炎,骨腫瘍などとの鑑別が困難であり,生検など侵襲的な検査を要することもある.
  • 土井 庸直, 石河 利之, 戸田 慎, 内藤 正俊
    2015 年 64 巻 3 号 p. 562-566
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    手指末節骨内に発生する類上皮嚢腫は稀である.外傷後に左環指末節骨内に発生し,長期経過により著明な増大・骨破壊をきたした類上皮嚢腫の1例を経験したので報告する.【症例】54歳の男性.20年前にモーターに左環指を挟み受傷し,末節骨粉砕骨折の診断にて某医にて手術施行.その後,指の変形・腫脹は続いていた.平成26年3月仕事中に左環指を打撲後に疼痛出現し,近医受診.軟部腫瘍の診断にて当科紹介となった.左示指の末節部~中節部にかけて腫瘤形成認め,皮膚表面は凹凸変形していた.X線にて示指末節骨の骨透亮像を認め,造影MRIでは嚢胞性病変を認め,明らかな造影効果は認めなかった.骨内類上皮嚢腫を疑い,手術施行した.病理診断は類上皮嚢腫であった.【考察】骨内類上皮嚢腫はしばしば骨破壊を伴う.本症例は長期経過により著明な骨破壊をきたしていた.悪性化する報告もあり,疑った際は比較的早期に手術を行うことが望ましいと思われた.
  • 西 亜紀, 富田 雅人, 宮田 倫明, 横田 和明, 尾﨑 誠
    2015 年 64 巻 3 号 p. 567-569
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腸骨翼に発生した骨巨細胞腫に対する腫瘍摘出術後,骨セメントとポリプロピレン製メッシュで腸骨を再建した1例を経験したので報告する.【症例】症例は22歳の女性である.初診1年前より右腰痛,初診1ヵ月前より右臀部痛が出現.2月に入り安静時痛も出現した為近医を受診,MRIで腫瘍性病変を指摘され当科紹介された.切開生検で骨巨細胞腫と診断,平成26年4月腫瘍切除術及び腸骨再建術を行った.手術は術後の歩行への影響を考え仙腸関節を温存した為一部腫瘍内切除となった.腸骨再建には袋状に形成したメッシュ内に骨セメントを充填し徒手的に腸骨の形状に形成した.術後7ヵ月現在,独歩可能で再発は認めていない.【考察】骨セメントによる腸骨再建術で美容的及び機能的に満足できる結果が得られた.骨セメントの重合熱による腫瘍再発予防も期待できる.また再建においては,メッシュでセメントを覆うことで加工が容易となった.
  • 中川 亮, 冨田 哲也, 熊谷 玲子, 田口 健一, 横山 良平
    2015 年 64 巻 3 号 p. 570-573
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    【背景】骨膜性軟骨肉腫は稀な骨腫瘍であり,さらに骨髄浸潤を伴うものは極めて稀である.【症例】36歳男性.初診の2か月前に右膝外側の腫脹,疼痛を自覚した.単純X線像では,右大腿骨遠位骨幹端骨外に淡い骨性隆起を認めた.MRIでは同部位に骨膜に連続するT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号の2.5cm大の骨外腫瘍に加えて,髄内にも同様の信号変化を認めた.切開生検で軟骨肉腫の診断が得られ,広範切除および自家腸骨移植により再建を行った.画像所見,病理組織より骨髄浸潤を伴った骨膜性軟骨肉腫と診断した.【コメント】本症例は腫瘍径が小さいにも関わらず骨髄浸潤を伴っており,骨膜性軟骨肉腫の中でも極めて稀な1例であると思われた.
  • 大城 裕理, 前原 博樹, 當銘 保則, 田中 一広, 上原 史成, 金谷 文則
    2015 年 64 巻 3 号 p. 574-577
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    右大腿骨遠位に発生した稀な疾患であるLangerhans cell sarcomaの1例を報告する.症例は49歳男性.右膝痛を主訴に近医を受診し,単純X線像で右大腿骨遠位に不整な骨透亮像と骨膜反応を認めたため,当科へ紹介された.MRIで大腿骨遠位部にT1強調像で低信号,T2強調像で低信号と高信号が混在する不均一な信号を示し,強い造影効果を認める腫瘍性病変を認めた.切開生検術を行い,大型類円形腫瘍細胞や多核異型細胞を認め,免疫染色ではCD1a・CD68・S-100が陽性でLangerhans cell sarcomaと診断された.術前化学療法を施行後,腫瘍広範切除術及び腫瘍用人工膝関節置換術(KLS system®)を施行した.現在術後3年で独歩可能で,復職し再発・転移を認めず,ISOLS scoreは100%である.
  • 中田 英二, 杉原 進介
    2015 年 64 巻 3 号 p. 578-581
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    当院では,脊椎転移による骨関連事象に対し保存的治療を行う場合,アルゴリズムを作成して安静度を決定し,早期離床させる取り組みを行っている.初診時にSINS(Spine Instability Neoplastic score)を用いて脊椎不安定性を評価し,安定,中等度,不安定に分類し,麻痺を認める場合,安定例は過度の負荷がかかる運動のみを制限した.今回,麻痺を認めたホルモン感受性前立腺癌骨転移に対し,保存的治療(RT,ステロイド投与)を行った2例について検討した.共に初診時のSINSで安定と判断し,特に体動制限せず歩行訓練を行った.RT後1ヵ月で骨形成を認め,さらにSINSは低下した.経過中に痛みや麻痺の増悪は認めず,ADLは経時的に改善し,1ヵ月後は独歩可能であった.ホルモン感受性前立腺癌骨転移は硬化性であることが多く,放射線治療に対する感受性は良好で,初診時にSINSで安定と判断されることが少なくない.従って,脊椎が安定であれば早期離床により廃用症候群を予防し,ADLの改善が得られると考えた.
  • 富田 雅人, 宮田 倫明, 杉原 祐介, 西 紘太朗, 林 徳眞吉, 尾﨑 誠
    2015 年 64 巻 3 号 p. 582-584
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    (はじめに)稀な疾患である下腿三頭筋層内に発生した良性線維性組織球腫(Deep benign fibrous histiocytoma)の1例を経験したので報告する.(症例)症例は37歳,男性である.2年程前に左下腿の腫瘤に気づいた.サイズの増大はみられなかったが,下腿のつっぱり感が出現したため近医を受診しMRIにて軟部腫瘍を指摘され当科紹介受診した.左下腿内側に41×32mm大,弾性硬の腫瘤を触知した.針生検を行いlow grade sarcomaが疑われたため広範切除を行った.切除標本の病理診断は良性線維性組織球腫であった.術後2年の現在,再発・転移ともにみとめていない.(考察)良性線維性組織球腫は皮下に発生することが多いが,筋層内発生も報告されている比較的稀な腫瘍である.不完全な切除が行われた症例の約20%が再発を生じ,ごく稀に転移を生じるとされている.本症例は,広範切除を行い2年の経過観察であるが経過良好である.
  • 松下 紘三, 佐藤 広生, 岡 潔, 末吉 貴直, 水田 博志
    2015 年 64 巻 3 号 p. 585-589
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/03
    ジャーナル フリー
    傍精索に発生した紡錘形細胞型脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.2年前より下腹部の腫瘤を自覚し次第に増大してきた為,近医を受診しMRIにて腫瘍性病変を指摘され当科外来紹介受診となった.右下腹部に径11cm×10cm,弾性硬,可動性良好な腫瘤を触知し,MRIでは右下腹部の皮下脂肪組織内に径10cm×6cm×4cmの境界明瞭な腫瘤性病変があり,腫瘍尾側は右精索と近接していた.信号パターンはT1強調画像では低信号,T2強調画像では高信号を呈し,内部にT1,T2強調画像ともに高信号を呈する,まだらな陰影が見られ,脂肪を含んでいると思われた.さらに,ガドリニウムにて不均一な造影効果を認めた.針生検にて高分化型脂肪肉腫の診断であった為,手術を施行した.術中所見では腫瘍と精索は近接していたが癒着はなく精索は温存可能で,腫瘍は傍精索発生と考えられた.術後病理は紡錘形細胞型脂肪肉腫の診断であった.【考察】紡錘形細胞型脂肪肉腫は高分化型脂肪肉腫の稀な組織亜型で,脂肪腫類似型と比べ予後不良である.また高分化型脂肪肉腫は発生部位によって予後が異なるが,傍精索発生は四肢発生と比べ再発率および脱分化率が高く,今後注意深い経過観察が必要である.
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