整形外科と災害外科
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65 巻 , 2 号
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  • 玉井 貴之, 王寺 享弘, 真鍋 尚至, 松田 匡弘
    2016 年 65 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】変形性膝関節症(OA)を伴う内側半月板(MM)後角縫合術の治療成績について報告する.【対象と方法】6か月以上経過観察を行いMRI撮影が可能であった24例を対象とした.男性2例,女性22例,平均年齢66.4(54~77)歳,手術方法は端々縫合(E群)7例,pull out(P群)17例であった.MRIにてMMの偏位率をMedial Displacement Index(MDI)で評価し,また軟骨変性の変化について検討した.【結果】MDIはE群では術前0.41±0.07,術後0.57±0.07と術後有意に増悪していたのに対し,P群では術前0.39±0.04,術後0.42±0.04と有意差はなかった.また術前と調査時のMDI変化については,E群では改善した症例が見られなかったのに対し,P群では4例に改善が見られた.軟骨変性についてはE群では2例(29%),P群では6例(35%)に軟骨変性の進行を認め,有意差はなかった.【考察】端々縫合よりpull outのほうがMDIの改善は期待できると考えられた.今後も長期的な経過観察が必要である.
  • 赤嶺 卓哉, 高田 大, 萬久 博敏, 藤井 康成, 添嶋 裕嗣, 田口 信教
    2016 年 65 巻 2 号 p. 193-195
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    膝関節症例49名(平均年齢61.4±8.6歳)に対し,平均約6.0ヵ月間(週2回)の水中運動療法を行い,以下の知見を得た.(1)水中運動後では運動前に比し,肥満の軽減,心肺機能の向上,体幹・下肢の筋力・柔軟性の増強,症状の改善がそれぞれ統計学的に有意に認められた(以下p<0.05).(2)水中運動後には,全身的には,体脂肪量(率)・インピーダンス・BMIの減少,除脂肪量・筋肉量の増加が観察され,部位別には,下肢・上肢・体幹の体脂肪率の減少,下肢筋肉量の増加がそれぞれ有意に認められた.以上より,膝関節症例に対する水中運動療法の有益性が示唆された.
  • 古庄 寛子, 井原 秀俊
    2016 年 65 巻 2 号 p. 196-198
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    67歳女性.両変形性膝関節症にて,近医で保存的に治療されていたが,平成25年4月,左膝腫脹と著しい疼痛が出現し,当院を受診した.X線にて石灰沈着と,膝蓋大腿(PF)関節外側面の鋸歯様変化が見られた.CRP 17,WBC 6400で,60mlの赤褐色混濁穿刺液にはCPPD結晶が存在した.細菌培養は陰性であった.5月に鏡視下滑膜切除を行った.増殖した滑膜には無数の結晶が沈着していたが,PF関節は軟骨下骨が露出するも出血斑は存在しておらず,同部に対する処置は実施しなかった.術後は一時,疼痛・腫脹とも改善したが,術後3.5ヵ月で関節血症が再発し,繰り返したためPF関節に対するspongializationを追加した.再手術1年半後の現在,疼痛,関節血症の再発はなく,X線上PF関節外側面は滑らかである.繰り返す関節血症を伴うPF関節面鋸歯状変化例において,spongializationが功を奏した.
  • 本山 達男, 田村 裕昭, 川嶌 眞之, 佐々木 聡明, 永芳 郁文, 古江 幸博, 後藤 剛, 渡邊 裕介, 川嶌 眞人
    2016 年 65 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    内側半月中後節移行部横断裂において特徴的なMRI所見がないか検討した.対象と方法)関節鏡を行い,内側半月中後節移行部横断裂と診断した51名,51膝で術前のMRI所見を検討した.結果)冠状断では典型例は大部分高信号像(vanishing signと仮称)で全体の62.7% に認められた.矢状断では横断裂様の高信号ライン,領域が典型例で全体の52.9% に認められた.まとめ)内側半月中後節移行部横断裂においての特徴的なMRI所見は冠状断では大部分高信号像(vanishing sign)で,矢状断では横断裂様の高信号ライン,領域であった.これらが認められれば,内側半月中後節移行部横断裂とおおよそ推測できる.しかし特異性は低く,これらの特徴的MRI所見がなくても内側半月中後節移行部付近のMRI異常があれば内側半月中後節移行部横断裂の可能性を念頭に置く必要がある.
  • 吉野 孝博, 岡元 信和, 中村 英一, 西岡 宏晃, 唐杉 樹, 山部 聡一郎, 髙田 弘誠, 水田 博志
    2016 年 65 巻 2 号 p. 203-205
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性.右人工膝関節置換術後1年経過時に,自宅で飼っている猫に右下腿遠位を咬まれ受傷した.2日後,右膝の腫脹と疼痛が出現し当科へ緊急入院となった.血液検査所見ではCRPの上昇,関節液所見では白血球数の上昇,糖値の低下を認めた.単純X線ではインプラントの緩みは認めなかった.以上から急性遅発性人工膝関節置換術後感染と診断し,同日緊急手術施行した.デブリドマンおよびインサート交換をし,持続洗浄を1週間施行した.術中の採取滑膜よりPasteurella multocidaが検出された.抗生剤投与を行いCRPは陰転化した.さらに6週間抗生物質を経静脈的に投与した.術後から1年現在,再発無く機能も受傷前まで回復している.
  • 上田 幸輝, 水内 秀城, 岡崎 賢, 吉武 孝次郎, 濵井 敏, 桑島 海人, 岡本 重敏, 岩本 幸英
    2016 年 65 巻 2 号 p. 206-210
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【目的】人工膝関節置換術の術前計画におけるCTスライスを用いた大腿骨側の回旋アライメントの決定法の誤差を検討すること.【対象と方法】術前50膝のCTデータから大腿骨上顆軸と後顆ラインのなす角度を整形外科医3名が最適と判断したスライスと,その上下2スライスの計5スライスで計測した.【結果】最適スライスが3検者とも一致したのは24%(12膝)であった.検者間の角度差は平均では1.3°と僅かだったが,症例によっては最大5.1°の差があり,20%(10膝)で2°以上の差を認めた.3次元骨モデルで測定した値との比較では,症例によっては最大6.2°の差があり,18%(9膝)で2°以上の差を認めた.また最適スライスから1スライスずれると最大3.6°,2スライスずれると最大5.3°の差が生じた.【考察】CTスライスのみで回旋アライメントを決定する方法は誤差が生じやすく,正確な評価のためには3次元骨モデル・解析ソフトなどを併用する必要がある.
  • 安樂 喜久, 西里 徳重, 堤 康次郎, 安藤 卓, 立石 慶和, 田原 隼, 大野 貴史, 福間 裕子, 松下 絋三, 井手尾 勝政
    2016 年 65 巻 2 号 p. 211-214
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】脆弱性骨盤輪骨折に対し受傷早期に内固定術を行い良好な結果を得た2例を報告する.【症例】88歳および89歳の女性で,ともに屋内転倒による受傷であった.AO分類61-B2.3,Young & Burgess分類lateral compression(以下LC)IIの不安定型骨折であった.前方アプローチで仙腸関節プレートおよびリコンストラクションプレートを用いて内固定を行った.術後早期に車いす移乗訓練が可能となり,術後2ヶ月で歩行器歩行自立に回復した.また最終追跡時に単純X線検査およびCT検査で骨癒合が確認された.【考察】脆弱性骨盤輪骨折の多くは低エネルギー損傷であり軟部組織損傷は少ないが,骨折治癒能力に乏しく保存的治療で偽関節を生じた報告も散見される.保存的治療が原則であるが,不安定型骨折で離床が図れない場合には内固定術が有用であった.
  • 渡邉 航之助, 古市 格, 小河 賢司, 井上 拓馬, 秋山 隆行, 川口 耕平, 杉山 健太郎
    2016 年 65 巻 2 号 p. 215-219
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    脆弱性骨折とは骨密度の低下が原因で軽微な外傷で生じる骨折で,原因として,骨粗鬆症,骨軟化症,長期透析,糖尿病,関節リウマチなどが挙げられる.今回,特に誘因となる外傷なくおこった脆弱性脛骨近位部骨折の3症例を経験した.症例1は66歳女性でステロイド糖尿病を合併していた.症例2は29歳女性で1型糖尿病を合併していた.症例3は59歳女性で関節リウマチを合併していた.症例1,2では初回単純X線写真ではあきらかな骨折認めず,保存的に経過観察され,症例3では骨折あるも他医で保存的に経過観察されていた.しかし保存的加療中に3症例とも膝内反変形の進行を認めたため,矯正骨切り,自家骨骨移植,内固定術施行し,下肢アライメント改善し,骨癒合を確認した.本骨折を引き起こす可能性のある基礎疾患がある症例では,保存的治療では膝内反変形を引き起こす可能性が高く,CT,MRIを用い早期に診断かつ早期観血的治療も念頭にいれるべきである.
  • 萩尾 聡, 深川 真吾, 西井 章裕, 吉兼 浩一, 大江 健次郎, 岡田 文, 山口 司
    2016 年 65 巻 2 号 p. 220-222
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    本研究では骨吸収抑制剤を用いて骨粗鬆症の治療を行った患者における骨吸収マーカーの変化と骨密度の変化の相関について調査した.デノスマブまたはビスホスホネートを使用し骨粗鬆症の治療した患者において,調査開始時および6ヶ月後にTRACP-5b,骨密度の測定および胸腰椎単純X線を撮影した.デノスマブ群ではTRACP-5bは低下,骨密度は増加を認めた.一方ビスホスホネート群ではTRACP-5bの低下は認めず,骨密度の増加も認めなかった.両群ともに新規椎体骨折は認めなかった.調査開始より6ヶ月間でのTRACP-5bの低下は骨密度の増加に関連がある可能性が示唆された.
  • 井上 三四郎, 井上 隆
    2016 年 65 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    目的:剤型が多様化した現在におけるビスフォスフォネート(BP)の継続率を知ること.対象と方法:2013年1月より,東郷外科医院にて,骨粗鬆症に対してBPが投与されていた88例.1年3カ月後の状況を調査し,継続群(C群),スイッチ群(S群),脱落群(D群)に分類した.各群の症例数や継続率を調査した.結果:C群57例,S群16例,D群15例.S群は,週一製剤から静注製剤へ,週一製剤から月一製剤へ,各々6例ずつ変更されていた.D群の中止理由は,自己中止が11例を占めた.継続率は狭義(C群/全症例)64.5%,広義(C+S群/全症例)83.0% であった.考察:BPがいかに輝かしいエビデンスを誇ろうと,投与継続しなければ絵に描いた餅に過ぎない.初回BPを断念した患者の中は,スイッチングにてサルベージされる者が存在することは継続率向上のヒントとなる.
  • 井上 三四郎, 井上 隆
    2016 年 65 巻 2 号 p. 228-230
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    (目的)骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート(BP)の継続率を,骨粗鬆症治療のみを目的として受診している患者と他の疾患でも通院している患者とで比較すること.(対象)2013年1月より,東郷外科医院にて,骨粗鬆症に対してBPが投与されていた88例.この88例を,骨粗鬆症のためだけに通院している群(受診目的がひとつだけ,単独群)46例と内科的疾患に対する投薬や整形外科疾患に対する保存治療ためにもともと通院していた群(受診目的が複数存在,複数群)42例に分けた.2群間でKaplan Meier法にて生存分析を行い,logrank検定を行った.P<0.05を有意とした.(結果)両群間で,性別や年齢に有意差はなかった.継続率は単独群73.9% 複数群92.9% であり,有意差を認めた.(考察)無症状の骨粗鬆症に対するBPの継続率は,"ついでに" 治療されている患者の方が高い.
  • 崎村 幸一郎, 中原 信一, 内山 迪子, 衛藤 正雄, 福島 達也
    2016 年 65 巻 2 号 p. 231-233
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    寛骨臼骨折の観血的整復内固定後に感染を生じた2例を経験したので報告する.症例1は59歳男性.両柱骨折に対して前方後方複合アプローチで内固定を行った.術中にMorel-Lavallee lesionを認識し,デブリードマンとドレナージを行った.術後16日目に同部位に再貯留した血腫を除去したが,その後にMRSA感染を生じた.再度,デブリードマンと局所陰圧閉鎖療法,抗生剤投与を行い感染は深部に至ることなく鎮静化した.症例2は43歳男性.両柱骨折に対して前方アプローチで内固定を行った.術後3週経過時に37.5℃ の発熱と股関節痛の増強を認め,CTで骨盤腔内に膿瘍形成が疑われたため緊急でデブリードマンと抗生剤投与を行い感染は鎮静化した.いずれも早い段階で術後感染を疑い速やかに外科的デブリードマンを行うことができたためインプラントを抜去せずに感染を鎮静化することができたと考える.
  • 林 和生, 德永 章二, 春口 幸太郎, 石津 章, 大谷内 輝夫, 下瀬 堯之
    2016 年 65 巻 2 号 p. 234-236
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【目的】H19年からH21年に行ったゆうきプログラムでは,統計学的に有意な改善は見られなかったことを第120回西日本整形外科学会で報告した.今回,九州臨床研究支援センターに同じデータの分析を依頼し異なった結果を得たので報告する.【方法】H19年10月からH21年11月まで8の字ゆらしとCKC中殿筋調整訓練によるゆうきプログラムを行った片側性変形性股関節症99例99関節を対象とした.男性17例(67±8歳),女性82例(63±12歳)であった.治療開始時と3ヵ月後でのJOAスコアー,NRSを比較した.前回は,Wilcoxonの符号順位検定を行い,両側P<0.05を有意とした.今回,九州臨床研究支援センターに当時と同じエクセルデータの分析を依頼した.【結果】今回は,1標本t-検定での分析が行われJOAスコアー,NRSともに統計学的に有意な改善が見られていた.【考察】診療機関ではデータの入力のみを行い,データの抽出・解析は,専門の第3機関に依頼する必要があると思われた.
  • 富永 冬樹, 井上 三四郎
    2016 年 65 巻 2 号 p. 237-240
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    高齢者の非外傷性の股関節痛の鑑別として,不顕性骨折や閉鎖孔ヘルニアとともに股関節炎が挙げられる.当院では緊急MRIが困難である一方,単純CTは早急に撮影できるため,X線の次の画像診断としてCTを選択することが多い.今回,股関節痛を主訴に救急搬送され,単純CTの画像条件を変更することで股関節炎と診断し得た症例について報告する.症例1:94歳女性.移乗時に右股関節痛出現し救急搬送.股関節単純CTで「骨条件」では明らかな骨折は認めず,「軟部条件」で右股関節液の貯留を確認できた.穿刺の結果ピロリン酸カルシウム結晶陽性で偽痛風と診断した.症例2:87歳女性.受傷機転不明の右股関節痛を主訴に救急搬送.股関節単純CTの「軟部条件」で関節液貯留あり,透視下に穿刺し混濁した淡黄色の関節液を採取し関節炎と診断した.単純CTの画像条件を変えるという一手間を加えることで,股関節液の貯留が容易に確認でき,穿刺の結果股関節炎と診断し得た.
  • 土居 満, 石井 孝子, 土井口 祐一, 藤川 敬太, 渡邊 精一郎
    2016 年 65 巻 2 号 p. 241-243
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    家族性地中海熱(FMF)は感染や自己免疫によらない炎症が反復または持続する自己炎症性疾患である.今回我々は化膿性膝関節炎様の症状を呈したFMFの1例を経験したので報告する.症例は7歳男児.誘因なく左膝痛を発症.近医受診し経過観察となっていた.発熱,左膝腫脹が増強し歩行困難となり再診.関節穿刺液が膿性で,今後の治療目的に発症から9病日目に当院紹介となった.穿刺液は膿性であったが検鏡で菌は検出されなかった.WBC 8030,CRP 3.23と炎症反応の軽度上昇を認めた.化膿性関節炎としては経過が長く,データの異常も軽度で何らかの関節炎が疑われた.経過よりFMFを疑いコルヒチン投与を開始.開始後熱や関節腫脹は軽減したが,効果不十分なため増量し炎症反応は陰性化し腫脹,痛みも消失した.遺伝子検査でもMEFV(R202Q)ヘテロを認め,FMF非典型例と診断した.FMFは日本国内でも報告されており,膝関節炎の鑑別として念頭に置いておく必要がある.
  • 原口 和史, 川口 雅之, 木村 敦, 谷口 秀将
    2016 年 65 巻 2 号 p. 244-248
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    診断・治療に迷ったSpondyloarthritisの1症例を報告した.症例56歳,女性.42歳時より安静時腰背部痛,48歳頃より両胸鎖関節部の腫脹疼痛あり.52歳時,頸肩部痛を主訴に初診,XPにてC4/5,C6/7不整,C/5/6癒合あり.当初SAPHO症候群疑うが,皮膚症状なし.XP,MRIで両側の仙腸関節炎あり,Modified New York Criteriaを満たしておりASと診断した.NSAIDとSASPを投与したが,緩解増悪を繰り返えしていた.2014年1月より症状憎悪,PSL,MTX投与するも効果不十分で,Adalimumabの投与を開始した.
  • 白石 和輝, 橋川 健, 村田 雅和, 坂本 和隆, 黒木 一央, 河野 昌文
    2016 年 65 巻 2 号 p. 249-252
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    76歳男性.主訴は強い後頸部痛.頸椎MRIで軸椎骨転移が疑われ,当科紹介受診.PET/CTにて軸椎および周辺に高集積あるも,全身に原発巣を認めず,全腫瘍マーカーも陰性であった.入院して追加検査を行うも確定診断には至らず,化膿性脊椎炎を疑い,抗菌薬の点滴を開始した.しかし,フォローの造影MRIにて病変の拡大に加え,椎体前面にも液体貯留像あり.耳鼻科に依頼し,口腔内から生検を行ったが,診断には至らず.その後の造影CTでも骨破壊進行を認めたため,頭蓋頸椎後方固定術(CO-C3/4)とMcgraw法(C1-C2)を施行し,口腔内より再度生検を行った.培養の結果,Streptococcus anginosus(以下,S. anginosus)が検出された.術後も抗菌薬治療(CTM→TAZ/PIPC→CTRX→LVFX→FMRX)を継続し,炎症所見や画像検査および症状の改善を認めた.S.anginosusS.milleri群の1つであり,全身の化膿性疾患に関与する菌として注目されている.同菌群による化膿性脊椎炎の報告は稀であるが散見され,起炎菌になり得ることを念頭におき治療をすることが重要である.
  • 密川 守, 副島 修, 伊藤 伸一, 白濱 善彦, 志波 直人
    2016 年 65 巻 2 号 p. 253-256
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    非常に稀である化膿性椎間関節炎を2例経験し,一例は保存的に,もう一例は緊急排膿ドレナージを施行し,良好な経過を得たので報告する.症例1)62歳女性.腰痛と微熱,体動困難で救急搬送.画像検査でL3/4左椎間関節から左傍脊柱筋に沿って膿瘍を認めた.血液培養でMSSA認め,抗生剤にて保存的に治療し,腰痛無く完治した.症例2)64歳女性.激烈な腰痛と右下肢放散痛で救急搬送.画像検査でL4/5右化膿性椎間関節炎と巨大な膿瘍を認め,脊柱管内への膿瘍の進展を認めた.当日緊急で排膿ドレナージを施行.培養でMSSAを認め,抗生剤投与併用し,腰痛無く完治した.両症例とも臨床症状,血液検査では化膿性脊椎炎との鑑別困難であるが,画像検査にて診断は容易であった.また化膿性椎間関節は感染の主座が硬膜より背外側にあるため,感染巣の直接の掻把・ドレナージが容易であり,感受性のある抗生剤に対する反応性も良好であった.
  • 片江 祐二, 松本 康二郎, 近藤 秀臣, 西田 茂喜, 安田 学, 中西 良一, 平方 良輔
    2016 年 65 巻 2 号 p. 257-259
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】MRI上腫瘤形成を伴わない癌性髄膜症を経験したので報告する.【症例】75歳女性.71歳時肺癌に対して呼吸器外科で胸腔鏡下右肺中下葉切除術を受けた.組織型は腺癌pT2a N2 M0 stage IIIAであった.術後2年目に再発し治療継続中であったが,術後4年目の平成X年9月食欲不振,全身倦怠感,腰痛,右下肢痛,両下肢脱力が出現したため精査目的で呼吸器外科に入院となった.頭部造影MRIで脳転移を認めず,当科での腰椎単純MRIで占拠性病変を認めなかった.その後四肢の脱力が進行してきたため10月神経内科を受診したが,胸椎単純MRIで異常を認めなかった.その後当科再診し,全脊椎造影MRIで脊髄への異常な造影効果を認め,癌性髄膜症と診断した.緩和治療を希望され,自宅退院後9日目で永眠された.【考察】癌の既往があり,頭部造影MRIで説明できない神経症状があるときは癌性髄膜症を疑い,脊髄の造影MRIを撮る必要があると考えた.
  • 中山 美数, 大田 秀樹, 松本 佳之, 星野 秀士, 井口 洋平, 巽 政人, 瀧井 穣, 木田 浩隆, 竹光 義治
    2016 年 65 巻 2 号 p. 260-264
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    脊柱管内外に発生した骨腫瘤性病変にて神経症状を呈した1症例を経験したので報告する.症例は43歳,男性.腰痛,右鼡径部痛,下肢痺れにて発症した.腰部に安静時痛および叩打痛があり,右膝蓋腱反射の消失と右L2,3領域の知覚鈍麻を呈していた.また,皮膚病変などの他疾患の合併は見られなかった.画像検査ではL1/2脊柱管内およびL2/3右椎間孔内外に腫瘤性病変を認めた.手術はL1-3の除圧,可及的腫瘍切除および後方固定術を行った.病理組織検査は骨軟骨腫であった.今回の症例では鑑別疾患として多発性骨軟骨腫症,類骨腫,黄色靭帯骨化症などが挙げられたが,病理学的には骨軟骨腫であった.脊柱管内・外もしくは椎間孔内に発生する報告は少なく,比較的稀と考えられた.また腫瘍の全摘出は困難であり,今回の症例も部分摘出に終わっているが,軟骨肉腫などへの悪性化の報告もあり今後慎重な観察を行っていく必要がある.
  • 比嘉 勝一郎, 屋良 哲也, 仲宗根 朝洋, 金谷 文則
    2016 年 65 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    強直性脊椎骨増殖症は,脊椎の骨増殖により強直変化をきたす疾患で,骨折を合併した脊髄損傷の報告は多いが,外傷の既往なく脊髄症をきたした報告は少ない.今回,前縦靱帯の骨化不連続部で不安定性を生じ,胸髄症をきたした強直性脊椎骨増殖症の1例を経験したので報告する.【症例】63歳男性,建築業.5週間前から特に誘因なく両下肢しびれが出現した.1週間前から両下肢筋力低下を生じ,歩行困難で仕事ができなくなり,当院を受診した.初診時,立位保持不可能で,両鼡径部以下の感覚鈍磨,両下肢腱反射の亢進と両腸腰筋以下MMT4程度の筋力低下を認めた.単純X線像・CTにて強直性脊椎骨増殖症とTh10/11に前縦靱帯の不連続部を認め,機能写で同部位の不安定性を認めた.胸髄症と診断し,初診後8日目にTh10~11の椎弓切除とTh8~L1の後側方固定を行った.術後歩行訓練を開始,術直後より両下肢の感覚鈍磨は改善した.筋力も徐々に改善し術後3週で独歩可能,術後6週で自宅退院した.術後6カ月の現在,両足底に軽度のしびれが残存しているが,両下肢筋力はMMT5に回復,痙性歩行は消失し,日常生活に支障はない.
  • 吉﨑 真吾, 井口 明彦, 小松 孝, 中原 寛之, 今村 隆太, 西田 顕二郎, 濱田 貴広, 有薗 剛
    2016 年 65 巻 2 号 p. 270-275
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】悪性黒色腫は,通常ではメラニン色素の無い粘膜上皮にもメラノサイトは存在しているため皮膚以外にもごく稀に発症する.今回,脊髄腫瘍に対して手術を行い悪性黒色腫であった症例を経験したので,術後経過と若干の考察を加えて報告する.【症例】49歳男性.腰痛で平成22年2月近医を受診.MRIにて脊髄腫瘍を認めた為8月に当科初診.次第に安静時痛が増悪した為,腫瘍摘出術(後方固定術併用)を行った.暗褐色調の硬膜外腫瘍で,硬膜自体にヘモジデリンの沈着のような黒い色素沈着を認めた.癒着は著明であった為,可及的切除となった.病理診断では悪性黒色腫であり大学病院へ紹介.放射線化学療法を行い,徐々に残存腫瘍は縮小し消失,現在のところ再発なく経過している.【考察】本症例は生下時より背部に青色母斑を認めており,それに関連した異所性メラノサイトを原発とする硬膜外腫瘍と考えられる.MRIにてT1WI高信号,T2WI等~低信号の信号変化を示す硬膜外腫瘍で,背部に皮疹を伴う症例では,悪性黒色腫を鑑別に挙げるべきである.
  • 田中 宏毅, 寺田 和正, 小原 伸夫, 宮崎 清, 貴島 賢, 江崎 幸雄, 宮原 寿明
    2016 年 65 巻 2 号 p. 276-279
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    頸椎前方アプローチによる術後合併症として,急性呼吸不全,反回神経麻痺による嗄声・嚥下困難,食道損傷等が挙げられる.今回我々は頸椎前縦靭帯骨化症術後に急性呼吸不全をきたした1例を経験したので報告する.症例は50歳男性,2008年に嚥下障害で前縦靭帯骨化症と診断され,2015年1月,頸椎前方アプローチによる骨化切除術を行った.術後10時間で急速に呼吸状態が悪化した.気道閉塞,急性呼吸不全と診断し,緊急コール後直ちにベッドサイドで用手的に開創,血腫除去を行った.創内の血腫量は少量で,活動性出血は認めなかった.同時に気管挿管を行ったが,挿管困難であった.挿管後呼吸状態は急速に改善し,有意な後遺症は認めなかった.頸椎前方アプローチによる手術後に急性呼吸不全を認めた場合は,速やかな気道確保と創内血腫除去が肝要である.気道閉塞は重篤な合併症であり,診療に関わるスタッフ全員がこれを熟知,初期対応ができるよう準備をしておくことが重要である.
  • 吉﨑 真吾, 有薗 剛, 小松 孝, 中原 寛之, 今村 隆太, 西田 顕二郎, 濱田 貴広, 井口 明彦
    2016 年 65 巻 2 号 p. 280-284
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腰動脈損傷は高エネルギー外傷による腰椎・骨盤骨折に合併するとの報告が散見される.今回,大腿骨頸部骨折で入院後,仰臥位で安静にしていたが腰動脈損傷を来たした非常に稀でかつ注意すべき症例を経験したので報告する.【症例】82歳男性.平成27年1月に自宅で転倒,当院へ救急搬送され左大腿骨頚部骨折を認め入院し介達牽引を行った.翌日,意識レベル・血圧の低下を認めCTにて椎体の逆Chance骨折・腰動脈損傷を認めた.緊急に処置が必要として高次病院へ転院.ステント留置を行いバイタルサインも安定し,大腿骨頸部骨折に対して内固定施行.その後は療養型の病院へ転院となった.【考察】本症例は,以前より腰椎骨折の既往があるため仰臥位を禁止されていたが,骨折の牽引のために仰臥位になったことで,不安定であった椎体が変形し腰動脈損傷を来たしたと考えられる.円背の強い高齢者に対して伸展強制することの危険性を留意しておく必要がある.
  • 松田 匡弘, 櫛田 学
    2016 年 65 巻 2 号 p. 285-288
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】手三角骨骨折は比較的稀な外傷であるが,保存的治療で治癒する症例が多い.今回,三角骨骨折治療中に尺側部痛が出現した症例を経験したので報告する.【症例】63歳男性.階段から転落し,左手をついて受傷.同日当院受診され,X線上三角骨骨折の診断にて,手関節シーネ固定2週間行い,以後リストサポーター固定とした.受傷後6週まで疼痛・可動域の改善を認めていたが,7週目より尺側部痛と可動域制限が出現した.さらに保存的加療を1ヶ月行うも改善なく,MRIにてTFCC disc proper損傷,尺骨突き上げ症候群の診断にて,鏡視下TFCCデブリードマンと尺骨短縮骨切り術を施行.術後に疼痛,可動域の改善を認め,術後2年時のMayo wrist scoreは90点(Excellent)で,疼痛や可動域制限なく経過良好である.【考察とまとめ】手三角骨骨折は手関節捻挫の重要なサインであり,TFCCなどの合併損傷に注意が必要である.
  • 尾上 英俊, 中村 厚彦, 廣田 高志, 河野 大, 大里 恭平, 柴田 光史
    2016 年 65 巻 2 号 p. 289-291
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    非常に希な全指CM関節脱臼の1例を経験したので報告する.症例:30歳 男性,バイク走行中に軽自動車に衝突し受傷した.単純レントゲンと3DCTより左全指CM関節脱臼と診断した.第1 CM関節は掌側脱臼,第2-5 CM関節は分散脱臼であり第2, 3 CM関節は背側脱臼,第4, 5 CM関節は橈側脱臼であった.受傷3日目に全身麻酔下に観血的整復を行った.整復の順番は可動性をほとんど認めない第2, 3 CM関節をまず整復し,これをメルクマールとして第4 CM関節,第5 CM関節の順に整復することで正確な解剖学的な整復が出来た.受傷機転はハンドルを中心として非常に強い回旋力が働き,第1 CM関節では第1中手骨を掌側に,第2, 3 CM関節では第2,3中手骨を一塊として背側に脱臼させ,さらに中手骨基部を連結している中手骨骨間靭帯により第4, 5 CM関節では第4,5中手骨基部が橈側へ引っ張られて脱臼を生じたのではないかと考えた.
  • 澤井 孝一, 園田 玲子, 高宮 啓彰, 保利 喜英, 田中 康人
    2016 年 65 巻 2 号 p. 292-294
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】距骨下関節脱臼は全外傷性脱臼の約1% とまれな外傷である.今回我々は距骨頭骨折を伴う距骨下関節脱臼の1例を経験したので報告する.【症例】46歳男性.ソフトボール中,ホームベースへスライディングした際キャッチャーにブロックされ右足を捻り受傷した.初診時,患足は内反底屈位で単純X線像では距踵関節と距舟関節の内側への脱臼を認めた.距骨下関節内側脱臼と診断し同日徒手整復を試みたが,整復困難であった.またCTでは距骨頭骨折も伴っていた.後日観血的整復術および骨接合術を行った.受傷後7カ月が経過するが歩行時痛なく単純X線,CTで距骨下関節症,距骨壊死なども認められていない.【まとめ】本脱臼の予後は一般的に良好であるが,距骨下関節症,距骨無廃性壊死などの合併症が報告されている.本例では距骨頭骨折を合併しており注意深い経過観察が必要と考える.
  • 根井 吾郎, 﨑村 俊之, 依田 周, 森 圭介, 水光 正裕, 矢部 嘉浩
    2016 年 65 巻 2 号 p. 295-297
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】踵骨裂離骨折は稀な骨折である.また,転位した骨片により皮膚壊死を起こすことが報告されている.今回我々は踵骨嘴状骨折の1例を経験したので報告する.【症例】36歳・男性.バック転をした際に左踵部痛が出現し当院へ救急搬送され,単純X線像で左踵骨嘴状骨折を認めた.転位骨片により皮膚は蒼白であり,皮膚壊死を回避するために緊急手術を行った.中空海綿骨裸子3本でのラグスクリュー固定と高強度糸による締結を行った.術後3週尖足位でシーネ固定と免荷を行い,以後はアキレス腱装具装着下に荷重を開始した.皮膚壊死や創感染などの合併症なく経過し,骨癒合が得られた.【考察】踵骨嘴状骨折は稀な骨折で,皮膚壊死を起こす危険性が高く緊急手術を行う必要がある.本症例は緊急手術を行い軟部組織合併症が回避できた.
  • 新城 安原, 吉村 一朗, 金澤 和貴, 萩尾 友宣, 蓑川 創, 内藤 正俊
    2016 年 65 巻 2 号 p. 298-300
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】足根骨癒合症に対する鏡視下癒合部切除術を経験したので報告する.【症例】37歳女性.特に誘因なく左足関節痛が出現.某医整形外科受診し,足根骨癒合症(距踵間)の疑いで当院紹介となった.左足関節後方に腫脹あり,圧痛を腓骨筋腱の後方から距骨下関節に認めた.足関節ROMは背屈5°底屈25°であった.単純X線像,CTで距踵関節後方の不整像を認めた.距踵骨癒合症の診断で鏡視下癒合部切除術を行った.腹臥位でアキレス腱内外側のポータルを使用し癒合部切除を行った.術後5ヶ月時点で疼痛,可動域は改善し,JSSF scaleは88点(術前67点)であった.
  • 増田 裕介, 富村 奈津子, 吉野 伸司, 川内 義久, 廣田 仁志, 中條 正英, 永野 聡, 小宮 節郎
    2016 年 65 巻 2 号 p. 301-305
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病性足病変は感覚障害,視力障害を伴うことが多い.痛みを感じず,創の状態が見えないため,壊死が広範になってから医療機関を受診し大切断になることが多い.今回我々は感染を伴った糖尿病患者の難治性足部潰瘍に対して,局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy:以下NPWT)を用いて創傷管理を行い救肢しえた1例を経験したので報告する.症例は55歳女性.平成26年10月に左足底部膿瘍・瘻孔に対し,近医にてドレナージ治療を受けていた.平成27年2月初旬に感染再燃し当科紹介され,入院当日にデブリドマンを施行した.創部の感染徴候がないこと,MRIにて骨髄炎の合併がないことを確認し,デブリドマン術後7日目よりKCI社Acti V.A.C ◯R 治療システムを用いてNPWTを開始し組織欠損部に良好な肉芽形成を得た.NPWTを行うにあたっては全身状態の把握や,XpやMRIを用いた深部を含む創周囲の感染の評価が重要である.
  • 中沢 不二雄
    2016 年 65 巻 2 号 p. 306-307
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    大腿骨転子下骨折保存的治療中に大腿骨遠位骨片が大腿動脈を傷つけ,大腿血腫を生じた一例を経験したので報告した.患者は誘引無く右大腿骨転子下骨折を生じて当院受診した.しかし患者の活動性が低いため経過観察とした.受傷3ヶ月後,右大腿が腫脹し,患者に貧血症状が見られ当院再診した.右大腿骨遠位骨片が大腿動脈を傷つけ,大腿血腫を生じているのが観察された.三次医療機関で処置を受けたが,1ヶ月後,右下肢は壊死に陥り,患者は多臓器不全で死亡した.骨折の合併症に十分注意する必要があることを改めて痛感した.
  • 石渕 晃人, 赤星 正二郎, 石倉 透, 古子 剛, 福原 志東, 有田 忍, 馬場 賢治, 沖本 信和
    2016 年 65 巻 2 号 p. 308-311
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    Juvenile Tillaux Fractureは脛骨遠位骨端前外側のSalter-Harris III型骨端線損傷である.本骨折は脛骨遠位の外側骨端線が残存している限られた時期に発生するとされ,まれな骨折である.今回,我々はサッカー中に受傷した症例を経験し,吸収スクリューを用いて骨接合を行い,良好な成績を得たので報告する.症例は14歳男性,サッカー中に床に置いてあったマーカーにのって,足を滑らせ受傷した.単純X線像およびCT像でJuvenile Tillaux Fractureと診断し,4.5mm径のHA/PLLA cannulated screwを用いて骨接合を行った.術後6週間の膝下ギプス固定の後,術後3ヶ月で運動へ復帰した.術後7ヶ月の単純X線像およびCT像で骨癒合は良好であり,疼痛なくサッカーへも復帰できた.生体内吸収性骨接合材である本スクリューの使用は本症例に対し有用であったと考えられる.
  • 滝田 裕之, 原 真一郎, 日髙 信道
    2016 年 65 巻 2 号 p. 312-315
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    Pyle病患者の両下腿骨折の治療を経験したので報告する.症例は57歳男性.仕事中に3 mの高さの斜面から転落受傷し,当院救急搬送された.来院時の単純X線で左脛骨顆部骨折と右脛腓骨遠位端粉砕骨折を示した.両大腿骨遠位と下腿骨に骨端部の拡大変形と皮質骨菲薄化,骨幹部では皮質骨の肥厚を認め,何らかの骨系統疾患と考えられた.受傷後11日目に手術施行した.左下腿はLocking compression plateを,右下腿はイリザロフ創外固定器を用いて骨接合を行った.受傷後20週で骨癒合を得られ,現在疼痛なく歩行可能となっている.日本整形外科学会骨系統疾患相談室に相談し,Pyle病の可能性が高いとの診断であった.
  • 岡田 祥明, 善家 雄吉, 嶋津 大輔, 安井 一貴, 山中 芳亮, 酒井 昭典
    2016 年 65 巻 2 号 p. 316-319
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    壊死性筋膜炎は,重症蜂窩織炎との早期鑑別は困難である.今回,急速に壊死性筋膜炎に進行した1例を経験したので報告する.【症例】61歳男性,数日前より右下腿の発赤・腫脹があり,疼痛が増強したため当院に救急搬送された.初療時,臨床所見より重症蜂窩織炎と診断され,同日入院し治療を開始した.搬送12時間後,発赤が大腿部近位まで進行し,当科に紹介された.敗血症性ショック状態となったため,緊急に右大腿切断術を施行した.大腿部内側は一部開放創とし,局所陰圧療法を併用した.その後,血液・創部培養よりAeromonas hydrophilaが検出された.術後44日目,皮膚欠損部に全層植皮術を施行し創閉鎖した.【考察】早期鑑別にはLRINEC(Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Faciitis)スコアが補助診断として有用と報告されている.本症例は初療時,緊急手術時のLRINECスコアは低値であった.外科的処置を躊躇しないこと,臨床所見の慎重な継時評価が最も重要と考えられた.
  • 林 豪毅, 舌間 寛士, 岩本 良太, 宇藤 一光, 石井 聡大, 瀬戸口 大介
    2016 年 65 巻 2 号 p. 320-324
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【はじめに】高度外弯変形を伴う両側大腿骨骨幹部非定型骨折に対して,矯正骨切りを併用した骨接合術を行った症例を経験した.【症例】57歳,女性.BP製剤の内服なし.H21年,他院にて両側大腿骨骨幹部非定型骨折に対して骨接合術(plate)を施行.H22年当院受診.右側はplate近位端で大腿骨外弯が残存,左側は偽関節の状態であった.左側の偽関節に対しては骨接合術を行った.このとき脚長を考慮し外弯矯正は行わなかった(locking plateをbendingして使用).以後外来にて経過観察中,H24年に誘因なくplate近位端での右大腿骨横骨折を生じた.外弯変形を矯正しlocking plateで骨接合を行った.術後,約2.8cmの脚長差を生じた.H25年,左側のbenndingしたplateのscrew緩みを認め,矯正骨切り術(髄内釘)を行った.骨癒合は良好で,脚長差は消失した.【考察・まとめ】外弯変形を矯正し骨接合を行うと,術後脚長差を生じるため,術前の同意が必要である.また矯正骨切り後の固定には髄内釘が有用であった.
  • 末次 弘征, 樽角 清志, 東野 修, 土井 俊郎
    2016 年 65 巻 2 号 p. 325-327
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    硬膜外血腫は腰椎穿刺の合併症の1つであるが,その発生頻度は極めて低い.今回我々は,脊髄造影検査後に硬膜外血腫を生じた1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,右下肢痛を主訴に近医を受診した.MRIにてL5/S1右外側ヘルニアが疑われたため,当科紹介受診となった.脳梗塞の既往があり,クロピドグレルを内服していた.脊柱管内病変の鑑別のため,脊髄造影検査を施行した.穿刺は22G針を用い,L2/3及びL3/4から複数回穿刺した.検査後より,左下肢痛が出現した.翌日にMRIを施行したところ,硬膜外血腫の所見を認め,症状の原因と考えられた.運動障害や膀胱直腸障害は認めなかったため,経過観察とした.脊髄造影検査後6日目には左下肢痛は消失した.
  • 田中 一広, 前原 博樹, 當銘 保則, 上原 史成, 金谷 文則
    2016 年 65 巻 2 号 p. 328-330
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    初回術後多発肺転移と複数回局所再発を来し治療に難渋した右肘頭骨巨細胞腫にdenosumabが著効した1例を報告する.【症例】18歳,女性.右肘頭骨腫瘍にて当科紹介され,単純X線像,切開生検にて骨巨細胞腫の診断に至った.骨腫瘍掻爬,アルコール処理,自家腸骨移植施行後4ヵ月で肺転移を認め化学療法施行,zoledronateを投与した.術後9ヵ月で局所再発し再手術施行するも,計3度再発を来した.転移性肺腫瘍は徐々に増加,増大し初回手術後4年2ヵ月より肺炎,血胸を来すようになりdenosumabを投与開始した所,転移性病変は縮小し症状改善した.10ヵ月投与後に一旦休薬したが,再度転移性病変が増大したため投与を再開した.以降転移性病変は縮小傾向であり,現在術後6年2ヵ月経過している.
  • 矢野 良平, 水城 安尋, 内村 大輝, 佐々木 大, 千住 隆博, 清水 大樹, 巣山 みどり, 萩原 博嗣
    2016 年 65 巻 2 号 p. 331-334
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    【目的】腱板断裂と滑膜性骨軟骨腫症を合併した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.【症例】73歳男性.2か月前に転倒し右肩を打撲し受傷.右肩拳上時の痛み,脱力及び夜間痛があり,近医にて保存的に加療されていたが改善なく加療目的に当院紹介.初診時JOA score 74点,肩可動域は屈曲150°,外旋90°,内旋Th12と軽度可動域制限があり,単純X線像とCT像では肩峰下骨棘と肩峰下前方に円形の石灰化陰影を複数認め,MRIで棘上筋腱の中断裂を認めた.その後も症状持続したため,鏡視下にて腱板修復術と遊離体摘出及び滑膜切除を行った.病理所見では軟骨細胞の増殖を認め滑膜性骨軟骨腫の診断であった.術後1年でJOA score 100点,骨軟骨腫の再発は認めていない.【考察】腱板断裂と滑膜性骨軟骨腫症を合併した症例に鏡視下に腱板修復,遊離体摘出,滑膜切除を行い良好な結果を得た.
  • 江島 健一郎, 白濵 正博, 仲摩 憲次郎, 大本 将之, 中田 路子, 志波 直人
    2016 年 65 巻 2 号 p. 335-339
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    当院では大腿骨近位部骨折手術の第一選択として2008年4月よりK'sネイルを導入してきた.K'sネイルでは近位骨片に対しラグスクリューと平行にAnti-Rotaition Pin(以下A-Rピン)を追加挿入することによって,ラグスクリュー挿入時および術後の近位骨片の回旋を防止することが可能である.当院ではK'sネイル導入時より大腿骨頸基部骨折を中心にA-Rピンを使用しており,不安定型の大腿骨転子部骨折に対してもA-Rピンを使用している.2009年10月から2014年7月までに治療した大腿骨転子部骨折,頚基部骨折症例で3カ月以上follow可能であった115例のうち,cut outをきたした症例は1本打ちで2例,A-Rピン使用症例では0例であり,全例骨癒合が得られた.このようにA-Rピンを留置することで骨頭回旋安定性が得られtelescoping量とcut outを予防できると考えられた.
  • 田邉 潤平, 神保 幸太郎, 塚本 祐也, 松原 庸勝, 江崎 佑平, 佐々木 威治, 重留 広輔, 吉田 史郎, 坂井 健介, 田中 憲治 ...
    2016 年 65 巻 2 号 p. 340-345
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/05/16
    ジャーナル フリー
    リスフラン関節脱臼骨折における第2中足骨基部-内側楔状骨間の整復について,骨折型,手術方法別に比較検討した.対象は27足,平均年齢は37.3歳,男性23例,女性4例であった.骨折型はHardcastle分類を用い,Type A 4例,B内側型4例,B外側型17例,C 2例であった.手術方法はリスフランスクリュー群,第1-2中足骨間スクリュー群,その他の3群に分類した.Type Aは受傷時から離開が大きく,最終も離開しやすい傾向にあった.リスフランスクリュー群は術直後の整復位は良好であったが,最終時に再離開しやすい傾向にあった.第1-2中足骨間スクリュー群は最終時の離開が少なかった.
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