整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
66 巻, 2 号
選択された号の論文の47件中1~47を表示しています
  • 小牧 ゆか, 大友 一, 大茂 壽久, 清水 建詞
    2017 年 66 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症に骨軟化症が合併している病態である,osteoporomalacia症例を2例経験した.症例1:80歳女性.右大腿骨転子部骨折の術後に,骨粗鬆症に対しビスフォスフォネート(BP)製剤による治療が開始となっていたが,術後約1年半経過時に,左非定型大腿骨骨折を受傷した.血液検査での血清カルシウム(Ca),リン(P),アルカリフォスファターゼ(ALP)値の異常を認め,骨軟化症が強く疑われた.症例2:77歳女性.右大腿骨頚部骨折と左尺骨骨幹部骨折の術後に,骨粗鬆症に対しエルデカルシトールが投与されていたが,術後1年経過時に,左非定型大腿骨骨折と診断され,骨形成促進剤の導入及び治療目的に当院に紹介となった.血清Ca,P,ALPは異常値であり,骨軟化症が強く疑われた.考察:本症例のように脆弱性骨折を繰り返している症例では,血液検査の重要性が高く,骨粗鬆症のみならず骨軟化症の合併も考慮して治療すべきと考えられた.
  • 神宮司 誠也, 松延 知哉, 泉 貞有, 河野 勤, 鬼塚 俊宏, 平塚 徳彦, 畑中 均, 今村 寿宏, 加治 浩三
    2017 年 66 巻 2 号 p. 208-211
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    65歳女性.旅行先で転倒して左大腿骨転子下骨折受傷.受傷3年前より多発性骨髄腫に対してビスフォスフォネイト製剤(BP)服用.他院にてBP関連非定型骨折と診断され,同投与中止,髄内釘による骨接合術施行.術後1ヶ月頃から副甲状腺ホルモン製剤注射開始(約1年間投与).さらに術後3ヶ月頃から低出力超音波パルス(LIPUS)照射開始.術後1年経過しても骨癒合得られず,偽関節手術を検討された.セカンドオピニオンにて当科受診.単純X線写真では過剰仮骨型偽関節,骨シンチにて骨折部に強い集積像あり.LIPUS治療継続し,さらに4ヶ月一部骨癒合.さらに1年治療継続にてほぼ完全に骨癒合した.長期間BP製剤服用に関連すると言われる非定型骨折は,治癒遷延の傾向がある.PTH製剤が有効とする報告もあるが,本例はそれだけでは十分でなく,比較的長期間のLIPUS照射継続によって骨癒合にいたったと考えられた.
  • 竹下 修平, 嶋﨑 貴文, 松浦 恵里子, 髙山 剛
    2017 年 66 巻 2 号 p. 212-218
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    非定型大腿骨骨折(atypical femoral fracture:AFF)は骨吸収抑制剤,大腿骨の弯曲などの因子を背景に生じ,治療に難渋することがある.当院では日本整形外科学会骨粗鬆症委員会報告のAFF治療マニュアル5)に準拠し,逆行性を含む髄内釘を第1選択とし,可及的に固定範囲を長くすることを基本治療方針としている.しかし,大腿骨の弯曲が強い不全骨折では,上市されている内固定材料では対応困難な症例が存在する.我々はこれらの対応困難症例に限り,大腿骨骨切り併用骨接合術を選択肢の一つとしている.これら症例の治療経過を供覧し骨切り併用に至った経緯,有用性,問題点につき考察し,AFFに対する当院の治療方針を呈示する.
  • 中沢 不二雄
    2017 年 66 巻 2 号 p. 219-221
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    観血的整復を要した小趾MP(metatarsophalangeal)関節脱臼の1例を経験した.14歳男性,畳で滑って右小趾MP関節伸展位で小趾MP関節背側脱臼を受傷した.徒手整復不能で,後日観血的整復を行った.小趾MP関節を背側から展開すると,関節包は裂離し,小趾中足骨は蹠側へ陥入,小趾中足骨頚部へ深横趾間靭帯が乗り上げていた.深横趾間靭帯を小趾中足骨頚部から外すと,小趾MP関節は整復された.手指ではこのような機序の整復困難例は報告されておらず,足趾関節はMP関節破綻に伴う整復困難に留意する必要があると考えられた.
  • 鬼木 泰成, 藤原 怜, 宮園 大地, 大橋 浩太郎, 山隈 維昭, 髙木 克公, 知花 尚徳, 水野 秀夫, 鬼木 泰博
    2017 年 66 巻 2 号 p. 222-226
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    スポーツ外傷の中でも足底筋膜断裂は極めて稀である.今回我々は女子バスケットボール選手に発生した足底筋膜断裂の1例を経験したので報告する.34歳女性,主訴は右足底部痛と歩行困難である.学生時代より県内トップクラスの選手であり,現在も競技生活を継続している.平成27年11月,バスケットボールのストップ動作にて右足底部に激痛とポップ音を自覚し,当院スポーツ外来を受診した.右足底,踵骨足底筋膜付着部を中心に,腫脹,圧痛,皮下出血を認めた.MRIで足底筋周囲,付着部,heelpad内へ広がる高信号域が確認され,連続性の途絶を認めた.2週間のシーネ固定と足部トレーニング,体幹下肢機能改善訓練を実施した.受傷後4週で若干の圧痛は残存するものの,歩行可能となった.受傷後8週でジョギングが可能となり,12週でバスケットボールへ復帰した.本症例は保存療法が奏功し,比較的早期復帰が可能であった.
  • 石渕 晃人, 石倉 透, 横井 脩, 古子 剛, 福原 志東, 有田 忍, 赤星 正二郎, 馬場 賢治, 沖本 信和
    2017 年 66 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    Bosworth型足関節脱臼骨折は腓骨の近位骨片が腓骨切痕から後方に逸脱し,脛骨後面に固定された稀な外傷である.我々は当外傷を経験したので,特に受傷機転の点から若干の考察を踏まえ報告する.症例は41歳女性.ぬれた地面に足を取られ,外旋ストレスが加わり転倒受傷.近医受診し,足関節脱臼骨折の診断で当院へ紹介.単純X線およびCTにて,Bosworth型足関節脱臼骨折と診断した.受傷当日に徒手整復を試みたが不能であったため,観血的整復と創外固定を行った.受傷後7日目に内固定術を施行.内固定5週後に脛腓間スクリューを抜去し,荷重を開始,9週で全荷重となり,独歩退院となった.術後8ヶ月の最終観察時,足関節可動域に左右差なく,経過良好である.当外傷は単純X線でLauge-Hansen分類のSupination-External Rotation(SER)型と酷似し見誤られやすい.正しい診断にはCTが有用である.受傷機転はSERと報告した文献もあるが,本症例の受傷機転は,患者の訴えや過去の報告例を鑑みて,足関節が固定された状態での強い外旋力であると考えた.
  • 石原 新, 花田 麻須大, 岡田 貴充, 竹内 直英, 門田 英輝, 芳田 辰也, 高村 和幸, 中島 康晴, 岩本 幸英
    2017 年 66 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    症例は7才男児,出生直後に神経線維腫症Ⅰ型と先天性脛骨偽関節症の診断を受けた.生後6カ月時,髄内釘による骨接合を施行されたが骨癒合が得られず当院紹介受診となった.4才時,当科で同側の有茎腓骨移植を施行したが骨癒合が得られず,ピン刺入部感染を生じたため,抜釘し感染が沈静化するまで待機した.6才時,対側からの遊離血管柄付き腓骨移植と創外固定を行った.術後は問題なく経過し,創外固定は術後10カ月で抜去.現在術後1年6カ月経過し装具装着し歩行している.先天性脛骨偽関節症においては1)髄内釘に骨移植を併用,2)血管柄付き腓骨移植,3)イリザロフ創外固定の3術式の有用性が報告されている.今回は同側からの有茎腓骨移植を行い骨癒合が得られなかった先天性脛骨偽関節症に対して,健側からの遊離腓骨移植を行い骨癒合が得られた症例を経験したので報告する.
  • 田中 宏毅, 佐々木 大, 萩原 博嗣, 溝口 孝, 伊東 孝浩, 上田 幸輝, 内村 大輝, 水城 安尋
    2017 年 66 巻 2 号 p. 235-239
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    脛骨プラトー・骨幹部合併骨折に対し,ロッキングプレートとエンダー釘を併用して治療し,骨癒合を得た2例を報告する.【症例1】44歳男性.転倒により右脛骨プラトー骨折(AO分類41-B3.1,Schatzker分類:Type 2),骨幹部骨折(AO分類42-C3)を受傷した.ロッキングプレートとエンダー釘による固定を行った.術後4ヶ月で骨癒合した.膝伸展-5度,職場復帰可能であった.【症例2】35歳男性.バイクで転倒し,左脛骨プラトー骨折(AO分類41-C3.1,Schatzker分類:type 5),骨幹部開放骨折(AO分類42-A3,Gustilo分類3A)を受傷した.受傷当日,洗浄・デブリードマン,ロッキングプレートとエンダー釘による骨接合を施行した.術後1年で骨癒合した.軽度の膝伸展制限と歩行時痛が残存した.【まとめ】脛骨プラトー・骨幹部合併骨折の多くのタイプに対し,本法は対応可能である.
  • 大隈 暁, 畠山 英嗣, 竹山 文徳, 守谷 和樹, 西村 春来, 紙谷 美保, 金澤 洋介
    2017 年 66 巻 2 号 p. 240-243
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    アキレス腱付着部裂離骨折に対し諸家により様々な手術方法が報告されている.今回,我々は,suture anchorによるbridging法を用いて骨接合術を行い,良好な結果を得たので報告する.【症例】85歳,女性,原付走行中に自己転倒し受傷,初診時所見では,アキレス腱踵骨付着部から2横指近位に陥凹あり,踵骨部にも腫脹,皮下出血を認めた.左足関節の自動底背屈は不能であった.単純X線像では,踵骨結節部に骨折を認め,遠位骨片は近位側へ約3 cm転位していた.MRI像では,遠位骨片にアキレス腱が付着していた.以上から,アキレス腱踵骨付着部裂離骨折と診断し,受傷後2日目に骨接合術を施行した.踵骨結節近位健常部と踵骨骨折部にsuture anchorを挿入し,bridging法で固定した.術後6ヶ月,骨癒合を得られており,痛みなく,患側でのつま先立ちが可能である.
  • 久保 壱仁, 田行 活視, 渡邊 匡能, 佐藤 元紀
    2017 年 66 巻 2 号 p. 244-246
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    レボフロキサシンの稀な副作用としてアキレス腱障害がある.今回レボフロキサシン投与が誘因と考えられる両側アキレス腱断裂の1例を経験したので報告する.症例は70歳男性.尿路感染症に対しレボフロキサシン500 mg/日で4日間投与され,3日目より両側足関節痛を認めていた.レボフロキサシン投与中止後NSAIDS内服にて経過観察されていたが4週後起床時に両側足関節腫脹を認め,徐々に階段昇降やつま先立ちができなくなったためMRI撮影したところ両側アキレス腱断裂を認めた.両側アキレス腱縫合術を施行し,術後3週間免荷期間を設け,その後荷重訓練を開始した.現在は自立歩行可能で再断裂は認めていない.ニューキノロン系薬剤の副作用による腱障害の機序については明らかにされていないが,高齢,ステロイド内服,慢性腎不全などがリスク因子である.
  • 松田 匡弘, 王寺 享弘, 徳永 真巳, 松田 秀策, 真鍋 尚至
    2017 年 66 巻 2 号 p. 247-253
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】今回,膝内側半月板(以下MM)後角縫合術の成績を調査し,手術適応について検討した.【対象】平成25年1月から27年10月まで47例であった.内訳は,男性4例,女性43例,年齢は平均64.6歳で,経過観察期間は平均15.5ヶ月であった.【調査方法】①成績不良群と成績良好群にわけ,術前評価項目(年齢,BMI,K-L分類,立位FTA,術前MDI,術前髄内信号変化の有無,受傷から手術までの期間)について検討した.②術前評価項目から術後成績を検討した.【結果】①有意差を認めたのはBMIのみであった.②有意差を認めたのは,年齢,BMI,術前MDI,術前髄内信号変化においてであった.【考察とまとめ】比較的新しい術式である半月板後角縫合術が広く施行され,良好な術後成績を得るためには手術適応を明確にすべきと考える.中高齢者の多彩な患者背景を考慮した手術決定を鑑みるに,さらなる縫合法の改善や緩徐な後療法などの工夫を行い,より良好な術後成績も望まれる.
  • 戸田 雅, 田島 卓也, 山口 奈美, 帖佐 悦男
    2017 年 66 巻 2 号 p. 254-257
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】変性を伴う半月の水平断裂は切除術の適応であったが,近年Fibrin Clot(以下FC)を用いた関節鏡視下半月縫合術が提唱され,諸家により良好な臨床成績が報告されている.今回われわれはFCを用いて半月縫合術を施行した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【方法】対象は2014年4月から2015年9月に当院でFCを用いて半月縫合術を施行した11例11膝で,男性8例,女性3例,手術時年齢は平均28.1歳(17-47歳),平均経過観察期間は40週(14-72週)であった.臨床成績として術前後のLysholm score,JOA scoreを評価し,統計学処理はpaired t-検定を用いた.【結果】Lysholm scoreは術前平均58.5点から術後平均93.5点へ,JOA scoreは術前平均47.2点から術後平均83.1点へと各々有意に改善した.11例中再断裂は2例であった(転倒し強制荷重,ラグビー試合中の再受傷).術後感染等の合併症は認めなかった.【結語】FCを用いた関節鏡視下半月縫合術は半月変性断裂に対する治療の選択肢の一つとなると考えられた.
  • 溝口 孝, 佐々木 大, 田中 宏毅, 伊東 孝浩, 上田 幸輝, 内村 大輝, 水城 安尋, 萩原 博嗣
    2017 年 66 巻 2 号 p. 258-261
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    比較的稀な非血友病性ヘモジデリン沈着性滑膜炎の1例を報告する.症例は62才女性.輸血歴・外傷歴なく,繰り返す関節内血腫にて当院紹介された.MRIで関節内に滑膜増生を認め色素性絨毛結節性滑膜炎(PVS)が示唆され,診断的加療目的に鏡視下滑膜切除術を施行した.関節内全体に滑膜増生を認め,可及的に滑膜切除し残存滑膜は二期的に直視下切除する方針としたが,術後病理診断は再発の報告が少ないヘモジデリン沈着性滑膜炎であったため経過観察のみとした.術後6か月で関節血腫の再燃・MRI上の滑膜増生はない.ヘモジデリン沈着性滑膜炎はPVSと臨床・画像所見は同一であり,鑑別には病理診断が必要となる.PVSは術後再発率が高く直視下一期的に切除されることが多いが,本疾患は再発の報告例も少なく,PVSを念頭に置いた滑膜切除術では鏡視下切除・病理学的検査後の二期的切除とすることで患者の侵襲を減らせる可能性がある.
  • ―OAの要因―
    松下 任彦, 橋本 伸朗, 福元 哲也, 前田 智, 中馬 東彦, 平井 奉博, 坂本 圭
    2017 年 66 巻 2 号 p. 262-266
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症(OA)では,大腿骨外弯変形が強くても進行度は低い場合とアライメントが良好であっても進行している場合が少なからず存在する.TKAやHTOでの矯正角度決定には,Mikulicz line(%MA)を用いる計測とFTAを基準にする計測があることから,Mikulicz lineとFTAのOA成因との関連および両計測値の関係について検討した.原発性内側型OAの100下肢を対象とし,立位全下肢長尺レントゲン画像で%MA,FTA,大腿骨弯曲率,脛骨弯曲率,Kellgren-Lawrence病期分類(Grade)を調査して各項目間での相関関係について検討した.大腿骨外弯がない場合もGradeは高い傾向にあり,外弯例がGrade別に占める割合は4よりも3が高かった.また,大腿骨の弯曲はFTAよりも%MAと強く相関していた.これらの結果より,大腿骨の外弯変形はOA進行を抑えるために生じる生理的変化の可能性があると思われ,Mikulicz line(%MA)よりもFTAの方が関節内荷重を示すのではないかと考えられた.
  • 栗之丸 直朗, 川崎 展, 佐羽内 研, 森 俊陽, 村上 武史, 矢野 雄大, 酒井 昭典
    2017 年 66 巻 2 号 p. 267-270
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    人工膝関節置換術(TKA)における膝関節内ドレーン留置は,関節内血腫を抑制し,術後可動域の改善が期待できる.当院では,2014年7月以降はTKA術後においてドレーンを留置していない.本研究の目的は,TKAにおけるドレーン留置の有無の影響を検討することである.2014年6月までドレーン留置した32例33膝(D群),2014年7月以降のドレーン留置をしなかった27例27膝(ND群)を対象とした.測定項目はHb,d-dimerの推移,大腿周径,下腿周径,歩行時間および可動域であった.両群においてHb値の推移に有意な差を認めなかった.d-dimer(D群;術前1.8μg/ml,術後7.8μg/ml:ND群;術前1.3μg/ml,術後8.2μg/ml),大腿周径(D群;術前38.5 cm,術後39 cm:ND群;術前38.9cm,術後40 cm),下腿周径(D群;術前33.3 cm,術後32.8 cm:ND群;術前34.1 cm,術後33.6 cm),歩行時間(D群;術前10.9秒,術後10.4秒:ND群;術前10.9秒,術後10.5秒)および可動域(D群;術前12°-117°,術後6°-109°:ND群;術前12°-125°,術後5°-115°)において,いずれも有意な差を認めなかった.TKA術前後の血液学的検査,下肢腫脹および可動域に有意な差を認めなかった.TKAにおいてドレーン留置の有用性は認めず,ドレーンを留置する必要はないと考える.
  • 原口 和史
    2017 年 66 巻 2 号 p. 271-273
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    TKA術後の167例(男15,女152,検査時年齢78.1±7.3歳)を生活様式によりJ群(布団で就寝または床(畳)に座って食事),W群(ベッドで就寝かつイスに座って食事)の2群に分け,臨床成績や身体機能を比較検討した.臨床成績はJOA Score:J群84.8±8.3,W群79.9±9.5,JKOM:J群16.6±16.1,W群25.3±18.8と有意にJ群が良好であった.膝屈曲角度:J群131.2±13.6,W群131.3±10.1(°),L-SMI:J群4.55±0.62,W群4.43±0.63(kg/m2),膝伸展筋力:J群99.1±35.6,W群92.6±32.1(kg),20 cmの台よりの起立が可能であったのはJ群68.4%(13/19),W群47.8%(22/46)で身体機能はいずれも有意差はなかった.和式生活といえば正座や胡座を思い浮かべるが,TKA術後では大多数が床に坐った時は長座位をとっている.床からの起立を適切に行えば膝に過剰な負荷は加わらず,和式(床)生活はTKA術後でも避ける必要はないと思われた.
  • 木村 岳弘, 諸岡 孝明, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2017 年 66 巻 2 号 p. 274-277
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    Weight bearing shoulderに発生した広範囲腱板断裂に対して鏡視下上方関節包再建術を行った1例を経験したので報告する.症例は65歳男性.幼少時にポリオに罹患し,後遺症として両下肢不全麻痺を認め,近年では松葉杖と車椅子を併用して生活していた.数年前より左肩痛が出現し,2015年になって疼痛が増悪し上肢の挙上が困難となり当科を受診した.自動屈曲75度,外旋0度と可動域制限を認め,MRIで広範囲腱板断裂と診断し関節鏡を施行した.鏡視所見では棘上・棘下筋腱は関節窩まで引き込まれ,引き出すことが困難であったため,大腿筋膜を採取し鏡視下上方関節包再建術を行った.術後6か月時点のMRIで再断裂は認めず,JOA scoreは術前の48点から91.5点へと改善した.可動域は自動屈曲135度,自動外旋30度へと改善し,push up運動も痛みなく可能である.本症例では短期の治療成績は良好であるが,weight bearing shoulderでは移植腱にかかる負荷が大きいため,長期的に経過観察が必要である.
  • 細山 嗣晃, 北村 歳男
    2017 年 66 巻 2 号 p. 278-282
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    三角筋拘縮症患者において凍結肩を発症した報告例は少ない.40年を経過した三角筋拘縮に凍結肩を伴った際の経過について報告する.症例は50歳,男性.特に誘因なく左肩痛を発症した.幼少期に三角筋拘縮症と診断され,三角筋切離術を施行された.初診時,左肩関節の外転拘縮および翼状肩甲を認め,屈曲80°,外転110°,内転-30°と可動域制限があった.単純X線像,CTにて烏口突起と肩峰の位置関係に,MRIでは腱板の走行に偏位がみられ,圧痛部位は通常の凍結肩と異なった.解剖学的位置関係の把握が困難であった為,透視下で関節内注射を行い症状は軽快した.三角筋拘縮症と診断された患者は,成長過程で肩関節に外転拘縮や翼状肩甲など形態学的異常を生じることがある.これらの患者が40-50歳代に入り,今後外来で当疾患の凍結肩に遭遇する可能性がある.理学所見のとり方や治療には注意が必要であり,十分なインフォームドコンセントを行い治療法の選択をすべきであると考えられる.
  • 田中 里紀, 長嶺 里美, 北島 将, 河野 俊介, 園畑 素樹, 馬渡 正明
    2017 年 66 巻 2 号 p. 283-285
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】THAを行ったRA患者の患者背景を調査した.【方法】2000~2015年にRA股関節症に対し初回THAを行った82例108股の手術件数の推移,患者背景,術前X線を調査した.2000~2007年を前期群,2008~2015年を後期群に分けて比較検討した.【結果】RAに対して行われたPrimary THAは108/6831件(1.6%)であり,前期群は2.1%,後期群は1.2%と減少していた.手術時平均年齢は後期群で有意に高く,罹病期間に有意差はなかった.他関節障害合併率は減少し,ステロイド使用率は変化なく,MTX・生物学的製剤使用率は増加していた.X線評価ではLarsen分類のGradeⅢの症例が増加し,GradeⅣ,Ⅴの症例は減少していた.【結論】手術件数は減少し,対象患者は高齢化する傾向にあり,RAに対する薬物治療内容の急速な進歩に伴うものと考えられた.
  • 佐久間 大輔, 眞田 雅人, 俵積田 裕紀, 本木下 亮, 高野 純, 前田 昌隆, 東郷 泰久, 小倉 雅
    2017 年 66 巻 2 号 p. 286-288
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    今回,大腿骨転子部骨折術後破綻例に対し再手術を行った7例について検討したので報告する.2010年から2016年までに当院で経験した7例を対象とした.全例女性で,年齢は平均81歳だった.初回手術はcompression hip screwが4例,short femoral nailが3例,破綻理由は,骨頭壊死が3例,早期のcut outが1例,偽関節が3例だった.初回手術から再手術までの期間は平均28か月だった.検討項目は,手術時間,術中出血量,使用機種,術中術後合併症とした.手術時間は平均175分,術中出血量は平均710 mlであった.使用機種は人工骨頭4例,人工股関節3例であり,術中骨折2例,術後脱臼1例に認めた.大腿骨転子部骨折術後破綻例に対する人工関節手術は,インプラントの存在や骨脆弱性,解剖学的破綻のため難易度が高く,手術侵襲が大きくなる傾向にある.このためCT画像を用いた綿密な術前計画が重要になる.それに伴い,使用機種に関しては各症例に応じて選択する必要がある.
  • 伊東 孝浩, 水城 安尋, 佐々木 大, 内村 大輝, 上田 幸輝, 溝口 孝, 田中 宏毅, 萩原 博嗣
    2017 年 66 巻 2 号 p. 289-293
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】当院における大腿骨転子部骨折後のカットアウト症例についてその詳細を検討した.【方法】2012年1月~2015年12月までに当院で髄内釘による治療を行った大腿骨転子部骨折は343例で,追跡しえた症例のうち,ラグスクリューがカットアウトした4例,および他院で手術されカットアウトし当院で手術を行った1例の計5例について検討した.【結果】諸家の報告ではカットアウトの危険因子として骨折型が不安定なものや複雑なもの,解剖学的整復が得られていないもの,ラグスクリューの刺入位置など様々挙げられ,5例中3例はその危険因子は重複していたが2例はいずれも当てはまらなかった.全例とも術前の骨折型は回旋不安定性を認めた.【考察】カットアウトの原因は上記のような術者側の要因の他,患者側の要因も挙げられ,回旋不安定例や骨癒合遅延例はカットアウトの危険因子の可能性があることが示唆された.
  • 末永 英慈, 住吉 康之, 髙田 真一
    2017 年 66 巻 2 号 p. 294-298
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    大腿骨頚部骨折に対し,初回よりS-ROMによる後方アプローチを用いた人工骨頭置換術を行い,その検討を行った.2000年6月より2013年8月にかけて,大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術を行い,4週以上の経過観察が可能であった150人156股(男性29人,女性121人,平均年齢81歳)を対象とした.インプラントは,術中X線コントロールおよびトライアルにて,股関節安定性が最も良好となるように,モジュラー構造を利用して脚長,オフセット,前捻角を調整,設置した.術中ワイヤリングなどの追加は5股(3.2%),術後の脱臼は3股(1.9%),深部感染は1股(0.6%)に認められた.脱臼とインプラント設置における脚長,オフセット,前捻角との明らかな関連はなかった.後方アプローチを用いた人工骨頭置換術に対する初回手術に,S-ROMを用いることは有用であると思われた.
  • 吉田 周平, 田丸 満智子, 福田 文雄
    2017 年 66 巻 2 号 p. 299-302
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    [目的]皮膚穿孔した開放性大腿骨介護骨折に対しspike状の骨折部を切除し断端を抗生剤含有セメントで被覆するセメントキャップ療法を行い,骨折前の介護を継続できた2症例を報告する.[症例1]94歳女性.10年間寝たきりでありオムツ交換時に大腿骨骨幹部骨折を受傷した.装具による保存療法中に骨折部の皮膚穿孔を認め,セメントキャップ療法を行い骨折前と同様の介護が可能となった.[症例2]90歳女性.ADLは車椅子であり車椅子移乗中に左大腿骨遠位部骨折を受傷した.装具による保存療法中に骨折部が皮膚を穿孔し,セメントキャップ療法を行い骨折前と同様の介護が可能となった.[考察]セメントキャップ療法は再穿孔の危険性を低減できること,感染に対応可能であること,骨切除のみの場合よりも骨折部の軟部縫縮・セメント補填により骨折部を安定化できることから,開放性大腿骨介護骨折に適応があると考えられた.
  • 前之園 健太, 川内 義久, 吉野 伸司, 富村 奈津子, 廣田 仁志, 井内 智洋, 中村 貴宏, 今別府 信吾
    2017 年 66 巻 2 号 p. 303-305
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【目的】当科での脊椎疾患に対するオピオイド製剤の使用状況について調査した.【方法】2013年4月~2015年3月の2年間に当科でトラマドール塩酸塩アセトアミノフェン配合錠(以下トラムセット)とブプレノルフィン経皮吸収型製剤(以下ノルスパンテープ)を処方した患者の性別,年齢,対象疾患,効果及び副作用について調査した.効果判定は著効,有効,やや有効,無効の4段階で評価した.【結果】トラムセットは314例(男175例,女139例)に処方,年齢は19~91歳(平均67.4歳)であった.効果は著効3例,有効132例,やや有効69例,無効45例,不明65例で副作用は50例にみられた.ノルスパンテープは81例(男47例,女34例)に処方,年齢は35~90歳(平均70.7歳)であった.効果は著効1例,有効27例,やや有効21例,無効18例,不明14例で副作用は22例にみられた.【考察】無効や副作用による例は比較的少なく,保存的治療や術後の遺残症状を緩和する上で有効と思われる.
  • 越智 宣彰, 佐羽内 研, 川﨑 展, 森 俊陽, 辻村 良賢, 西村 春来, 酒井 昭典
    2017 年 66 巻 2 号 p. 306-309
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    症例は関節リウマチで治療中の74歳女性.転倒して体動困難となり当科を受診した.単純X線上,右大腿骨頚部骨折と診断し,手術を予定した.脳梗塞の既往があり,抗血小板薬を内服していたため他院に待機入院の上,ヘパリンへの置換を行った.受傷後11日目に当院に転入院した際,受傷日に17万/μlであった血小板数が6.4万/μlと著明に減少していた.臨床的に出血を示唆する所見は無く,ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の臨床診断指標となる4T's scoreが6点と高スコアであったため,HITを強く疑った.造影CT検査を行ったところ,肺動脈本管から右下肺動脈および右大腿静脈に血栓を認めた.直ちにヘパリンを中止して抗トロンビン薬の投与を行うことで,病態は改善した.血清学的検査によりHITの確定診断を得た.HITは抗凝固薬であるヘパリンが凝固を過剰に促進させる病態であり,発症を疑った場合には早急な対応を要する.
  • 原口 和史, 細井 由美, 中野 唯, 境 有紀, 星野 敏美, 日野 敏明
    2017 年 66 巻 2 号 p. 310-311
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    整形外科外来通院患者450例(男45 女405,検査時年齢:75.2±8.5歳(41~93歳),を対象に筋量サルコペニアと運動器不安定症の有病率とそれらの相関について調査した.AWGSの基準によりSMI男7.0 kg/m2,女5.4 kg/m2未満を筋量サルコペニア,開眼片脚起立時(OLST)15秒未満,3 m timed up-and-goテスト(TUG)11秒以上を運動器不安定症とした.筋量サルコペニアの有病率は28.7%,運動器不安定症の有病率は44.9%.運動器不安定症と筋量サルコペニアのodds ratioは1.25(P=0.3357)で相関はなかった.SMIとOLSTとの相関係数はr=0.068,SMIとTUGはr=-0.066で筋量と運動機能との相関はなかった.筋量と運動器不安定症との相関は一般的にも低く,運動器不安定症では筋量を増やすことは重要ではなく,高負荷のトレーニングは必要ないと考える.
  • 井上 三四郎
    2017 年 66 巻 2 号 p. 312-318
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【目的】2015-2016シーズンに当院整形外科病棟で生じたインフルエンザアウトブレイクを報告し,今後の教訓とすること.【経過】前日から咳が続く1名の看護師が,病棟勤務中に発熱し当院内科外来を受診しインフルエンザと診断された.その後感染が拡大し,最終的に看護師5名患者7名に治療量の抗インフルエンザ薬が投与された.3例の患者が特に治療に支障をきたし,うち1例は手術を延期した.全例が内科的合併症を有する高齢者であった.【考察】整形外科病棟でインフルエンザアウトブレイクが生じた場合,整形外科病棟責任者は関連部署に速やかに連絡し,病院としての方針を確認する必要がある.そして,院内感染対策チームを中心に適切かつ迅速な対応が行われるべきである.そのようなバックアップの下に,可能な限り手術を含めた急性期治療を遅滞なく行っていくことこそが,整形外科医に与えられた責務である.
  • 小浜 博太, 新垣 寛, 知念 弘, 山口 浩, 大城 亙, 森山 朝裕, 金谷 文則
    2017 年 66 巻 2 号 p. 319-321
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    鎖骨遠位端骨折に対するフックプレート(HP)と非フックプレート(n-HP)の術後経過を比較した.HP群は14例(男性12例,女性2例,平均年齢47.8歳,術後平均観察期間9.7カ月)で全例LCP clavicle hook plateを使用した.n-HP群は12例(男性10例,女性2例,平均年齢41.2歳,術後平均観察期間9.9カ月)でClavicle Wiring plate 6例,Tension band wiring, Scorpion plate, Now J, Distal clavicle locking plate, LCPクラビクルプレートラテラルエクステンション,髄内釘をそれぞれに使用した.最終観察時の平均JOA ROMスコア(30満点)はHP群22点,非HP群28点で,n-HP群で良好であった.全例で骨癒合を認め,HP群で肩峰下のびらんを13例,偽関節を1例に認めた.肩峰を跨がないHP以外の内固定では術後肩関節可動域が良好な傾向であった.
  • 櫻井 真, 柴田 陽三, 秋吉 祐一郎, 野村 智洋, 西野 剛史, 戸田 慎, 山崎 裕太郎, 野村 耕平, 伊﨑 輝昌, 篠田 毅, 三 ...
    2017 年 66 巻 2 号 p. 322-325
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    症例は40歳,男性.主訴は左鎖骨部痛.バイク走行中に転倒し受傷.某医受診し単純X線写真・CTにて鎖骨骨折および肩甲骨関節窩骨折を指摘された.鎖骨骨折は転位が少ないため保存的加療となったが,関節窩骨折は転位が大きいため受傷後6日目に関節鏡視下に骨接合術を施行された.関節窩骨折は骨癒合したが鎖骨が偽関節となったため当院紹介となり,受傷後8ヵ月目に偽関節手術を施行した.手術創を延長するように皮切を加え骨折部を展開すると,偽関節部に人工血管様の人工物が介在していた.この人工物が偽関節の原因と考えられた.術中前医に連絡し骨接合時,人工物は使用されていない事を確認した.介在物を摘出後に腸骨移植を併用してプレート固定を行った.術後に本人に尋ねると,20数年前に肩鎖関節脱臼を生じ,その際,人工血管を用いた固定術を受けていたとのことであった.
  • 坂本 圭, 井手 淳二, 唐杉 樹, 徳永 琢也, 水田 博志
    2017 年 66 巻 2 号 p. 326-328
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    稀な鎖骨遠位端骨融解症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例:30歳,男性.主訴:左肩痛.現病歴:約10 kgの荷物の積み降ろし作業を左手で行っていた.3ヵ月前より左肩痛が出現したため,近医でMRI検査施行し,肩鎖関節に異常陰影を認め,ステロイド注射を1回施行,数日効果あったものの疼痛が再燃したため当科紹介となった.現症:左肩鎖関節に軽度の腫脹と圧痛・運動痛を認めたが発赤はなく,JOA scoreは72点であった.血液検査所見:CRPは陰性であった.画像所見:単純X線で左肩鎖関節の関節裂隙拡大と鎖骨遠位端の骨融解像を認め,MRIで左肩鎖関節内,左鎖骨遠位端に高信号域を認めた.以上より左鎖骨遠位端骨融解症と診断し,鏡視下に鎖骨遠位端切除術を施行した.病理所見は,鎖骨遠位端骨融解症に矛盾しない所見であった.術後,左肩痛は消失しJOA score 98点と改善した.
  • 香川 陽一, 川添 泰臣, 永野 聡, 小宮 節郎
    2017 年 66 巻 2 号 p. 329-331
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    両側肩関節後方脱臼を生じ,片側に観血的整復を要した症例を経験したので報告する.症例は78歳,女性で胃癌術後にて入院加療中であった.術後5日目に意識レベル低下,痙攣があり,精査目的のCTにて右肩関節後方脱臼指摘され当科紹介となった.初診時に左肩関節は自然整復得られていた.右肩関節に非観血的整復行うも,不安定性残存し再脱臼を認めたため観血的整復固定術を行った.肩関節後方脱臼は全肩関節脱臼のうち2%以下とされている.治療法は諸説あり,脱臼整復後の不安定性,関節面損傷の有無と大きさ,小結節骨折の有無,粉砕骨折の程度,などが指標とされている.本症例では不安定性の残存した右肩関節後方脱臼に対し観血的整復固定術を行い,短期成績であるが良好な経過が得られた.
  • 荒木 貴士, 古市 格, 井上 拓馬, 小河 賢司, 桑野 洋輔, 新見 龍士, 水田 和孝
    2017 年 66 巻 2 号 p. 332-336
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    MODE Proximal Humeral Plate®(以下PHP)は,近位に9~10本のscrewが挿入でき,infero-medial screwを腋窩神経より遠位側から骨頭頚部内側へ挿入できるのが特徴で,上腕骨近位端骨折に対し強固な初期固定性が得られると報告されている.上腕骨近位端骨折後の偽関節に,PHPを用いた2症例を報告する.【症例1】83歳,男性,転倒.左上腕骨近位端骨折(Neer分類3 part骨折)に対してPHILOS Plateで骨接合術.術後3ヶ月でscrewの骨頭内穿破と偽関節を認め,PHPと自家骨併用し偽関節手術を行った.再手術後9ヶ月で矯正損失もなく骨癒合し,肩関節挙上140度と可動域も得られている.【症例2】82歳,女性,転倒.右上腕骨近位端骨折(Neer分類3 part骨折)で他院にて保存的加療となるも,偽関節のため紹介.受傷後3ヶ月でPHPと自家骨+人工骨併用し偽関節手術.術後10ヶ月で肩関節挙上85度とやや拘縮あるも矯正損失なく骨癒合.【考察】PHPは,上腕骨近位端骨折後の偽関節に対しても,強固な固定性があることが示唆された.
  • 島袋 全志, 呉屋 五十八, 当真 孝, 山口 浩, 伊佐 智博, 森山 朝裕, 金谷 文則
    2017 年 66 巻 2 号 p. 337-341
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】上腕骨近位端骨折に対する骨接合術後の合併症である上腕骨頭壊死の検討を行ったので報告する.【対象および方法】対象は術後上腕骨頭壊死10肩,性別は男性3肩,女性7肩.手術時年齢は平均68歳であった.骨折型はNeer分類:3-part:2肩,3-part脱臼:1肩,4-part:6肩,4-part脱臼:1肩,平均経過観察期間は32ヵ月であり,術後肩関節可動域(屈曲,外旋),X線分類(Cruess分類),追加手術について調査した.【結果】屈曲は平均88°,外旋は平均36°であった.Cruess分類はstage 2:1肩,stage 3:1肩,stage 4:6肩,stage 5:2肩であった.追加手術として,2肩に人工骨頭置換術,1肩にスクリューの抜釘を行った.【まとめ】70歳未満では壊死後の可動域は比較的良好で,壊死のリスクが高い骨折型でも骨接合は選択肢の一つと考えられた.
  • ―デノスマブ使用の効果と有害事象―
    片江 祐二, 松本 康二郎, 近藤 秀臣, 西田 茂喜, 安田 学, 花桐 武志
    2017 年 66 巻 2 号 p. 342-345
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    市中病院における転移性骨腫瘍に対するデノスマブの治療報告は少ない.2012年からの4年間に当院呼吸器センターを受診した原発性非小細胞肺癌320例中,骨転移と診断され後方視的に3ヵ月以上経過観察しえた40例を対象とした.デノスマブ使用の有無による年齢,肺癌の組織型,病期,骨転移数,観察期間,累積生存率,SRE発生率(脊髄麻痺)とデノスマブ使用後の有害事象について検討した.デノスマブ使用(D群)14例(平均69.1歳),非使用(N群)26例(平均68.8歳).組織型(腺癌),病期IV期はD群/N群9例(64%)/16例(62%),12例(86%)/15例(58%).骨転移数2個以上,観察期間(日),SRE中脊髄麻痺を来したものはD群/N群13例(93%)/13例(50%),705日/539日,0例/3例であった.有害事象は低Ca血症11例,顎骨壊死2例認めた.デノスマブは進行肺癌症例に投与する傾向を認めたが,使用により予後の延長および重篤なSRE発症予防につながる可能性が示唆された.
  • 田中 啓吾, 津守 伸浩, 上松 幸三郎, 前原 尉, 田中 信次, 森本 典夫
    2017 年 66 巻 2 号 p. 346-349
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    近年,高齢者の骨粗鬆症治療において,生命予後・QOL維持の観点から,椎体骨折予防に加えて大腿骨近位部骨折予防も果たしうる薬剤を選択することの有用性が高いことが示唆されている.2013年3月のヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブ(プラリア®)の市販開始から3年余が経過し,当院では地域特性上,高齢者の割合が高く,現在まで約600名の患者に使用している.今回我々は,2016年5月31日までの間にデノスマブ投与開始から2年以上が経過し計5回の投与が終了した患者の内,データの経過観察が可能であった87名に対して検討を行った.投与患者に重大な有害事象は認めず,腰椎・大腿骨近位部骨密度は経時的な上昇を続けた.先頃発表されたDIRECT試験・FREEDOM試験において,骨密度は8年以上の長期にわたり上昇を続け,その間の安全性にも優れている事が報告されており当院でも同様の傾向が確認された.
  • 布施 好史, 沖本 信和, 吉岡 徹, 寺山 弘志, 坂 信一
    2017 年 66 巻 2 号 p. 350-352
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    近年月1回の静注製剤であるイバンドロネートが選択可能となったが,実臨床での治療報告は少ない.月1回イバンドロネート静注製剤を新規投与した71名を対象とし,通院群と施設入所群での治療継続率,投与中止例の理由,急性期反応の発生率とその内訳について検討した.通院患者群と施設入所群において,投与開始後6か月での治療継続率はそれぞれ68.9%,100%(全体で73.2%)であった.また,投与直後の急性期反応を通院群の2名に認めた.骨粗鬆症患者における月1回イバンドロネート静注製剤治療における継続率,急性期反応は,施設入所群のほうが継続率は高く,急性期反応は少なかった.この相違は,ベースになる患者背景,ADL,平均年齢の違いが関与する可能性もあるが,超高齢者の多い施設入所患者に対してでも適切に使用することにより,イバンドロネート製剤は骨粗鬆症治療の継続率向上に寄与する可能性が示唆された.
  • ―DXA法による測定を含めて―
    赤嶺 卓哉, 安部 孝, 藤田 英二, 高井 洋平, 添嶋 裕嗣, 藤井 康成, 中谷 深友紀, 原村 未来, 金久 博昭, 川西 正志, ...
    2017 年 66 巻 2 号 p. 353-355
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】中高年女性における生涯運動歴の全身身体組成・骨密度(BMD)に及ぼす影響についてDXAを用いて調査し,報告する.【対象と方法】中高年女性61名を,週3時間以上の生涯運動歴を有するA群31名(平均64.0±9.1歳)と平均週3時間未満であるB群30名(平均66.4±8.0歳)とに分け,全例に対しDXAを用いた全身身体組成・BMD測定を行い,両群を比較した.【結果】(1)両群間の全身身体組成では,統計学的に有意な差異を示す項目はなかった.(2)両群間の部位別BMDにおいては,A群の胸椎・腰椎・骨盤・脚部・頭部以外BMDの各平均値は,B群に比しそれぞれ有意な高値を示した(いずれもp<0.05).【考察とまとめ】日間平均約30分以上の様々な生涯的運動の継続は,特に体幹・下肢のBMDの維持に有効であることが示唆された.
  • 松浦 恵里子, 嶋﨑 貴文, 髙山 剛
    2017 年 66 巻 2 号 p. 356-359
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】ステロイド全身投与中にアキレス腱断裂を認めた2症例に対し,保存療法と手術療法を行った.【症例】症例1:63歳男性.自己免疫性水疱症に対しステロイド及び免疫抑制剤の投与中であった.ステロイド投与開始後4か月時に歩行中の右踵部の疼痛を主訴に来院し,右アキレス腱断裂を認めた.手術加療を検討したが,自己免疫性水疱症により皮膚の状態が不良であり,創傷治癒遅延や感染が危惧されたため装具を用いた保存療法を行った.症例2:79歳男性.ANCA関連腎炎に対しステロイド及び免疫抑制剤の投与中であった.ステロイド投与開始後5年時に両踵部の疼痛を主訴に来院し,亜急性右アキレス腱断裂を認めた.最大底屈位で断端の接触が得られず手術療法を行った.【考察】ステロイド全身投与患者のアキレス腱断裂に対する保存療法では腱修復に長期間を要し,画像上腱修復も不十分であり,早期運動開始および確実な腱修復を得るためには手術療法が望ましい.
  • 石原 新, 末永 賢也, 田山 尚久, 藤田 秀一, 川本 泰作, 新井 貴之
    2017 年 66 巻 2 号 p. 360-361
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【背景】大腿骨頚部骨折は基本的に観血的治療が選択されることが多い.しかし,高齢化に伴い合併症により手術不可能な例や患者と家族が手術を希望しない例も増えてきている.そこで当院における大腿骨頚部骨折の症例を振り返り,保存加療を選択された症例を検討した.【方法】2010年1月1日から2015年3月31日までの当院を受診した大腿骨頚部骨折290例左138例右152例を検討した.保存加療が選択された30例において追跡調査を行い,返答が得られた例において調査時点の運動能力,日常生活自立度,Barthel Index,基礎疾患,保存加療を選択した理由,生存期間を検討した.【結果】保存加療が選択された最多の理由は認知症によるものだった.受傷前の生活自立度,Barthel indexは手術群の方が保存群より高かった.調査時点での生存例は全例で車椅子生活まで可能となっていた.
  • 赤瀬 広弥, 吉岩 豊三, 宮崎 正志, 野谷 尚樹, 石原 俊信, 津村 弘
    2017 年 66 巻 2 号 p. 362-366
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提言した最尾側腰椎の肥大した横突起と仙骨間に関節を形成し,腰痛を生じる症候群である.今回,Bertolotti症候群に対し横突起切除術を施行した2例を経験したので報告する.【症例】28歳女性と64歳女性.いずれも保存的治療に抵抗性の腰痛があり,単純X線,CTでは片側性に横突起と仙骨翼での関節形成が見られた.両症例とも横突起直上より侵入し,横突起切除術を施行した.1例目では,横突起基部から関節突起間部にかけての視認性が不良であり,横突起基部の切除に難渋した.2例目では顕微鏡を使用し,L5神経根に対して,より愛護的に施行し得た.いずれも術後,症状改善を認めた.【考察】手術的治療には横突起切除術と固定術があり,いずれも良好な成績が報告されている.われわれの症例では,横突起切除術を施行し,症状の改善を認めた.横突起基部の切除には,L5神経根が近接するため慎重を要するが,愛護的な処置のために顕微鏡が有用であった.
  • 伊藤 康志, 塚本 正紹, 森本 忠嗣, 園畑 素樹, 馬渡 正明
    2017 年 66 巻 2 号 p. 367-370
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【背景】骨脆弱性仙骨骨折は仙骨翼と第2仙椎に多く,骨強度低下が一因としてあげられているが詳細な検討例はない.CTハンスフィールド値(CT値)は空気を-1000 HU,水を0 HUとして物質の密度を示し,関心領域の海綿骨のCT値から骨強度を評価した報告が散見される.【目的】仙椎部位別CT値を測定し仙椎の骨脆弱部位を明らかにすること.【方法】70歳以上の女性25例で腰椎手術前にCT撮像を行った例(平均年齢77.0歳)を対象とした.①第1-4腰椎で椎体別のCT値と骨密度の相関を求めた.②Denis分類に準じて仙椎を冠状面のZone 1仙骨翼,2神経孔,3椎体に分け高位別のCT値を計測した.【結果】腰椎の骨密度とCT値の間には有意な相関を認めた(相関係数=0.54,p<0.01).仙椎の部位別平均CT値は冠状面S1高位ではZone 1が有意に低く,S2高位ではZone 1,2が有意に低かった.(p<0.05)【考察】高齢女性の仙椎の部位別CT値が低い部位は,仙椎不顕性骨折の好発部位に一致していた.
  • 髙橋 宗志, 王寺 享弘, 吉本 栄治, 松田 匡弘
    2017 年 66 巻 2 号 p. 371-374
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【目的】人工膝関節全置換術(TKA)術後感染に対する二期的再置換術について検討した.【対象と方法】2010年5月から2015年1月までに二期的再置換術を施行した5症例を対象とした.初回TKAから感染までの期間,セメントスペーサー設置までの期間,再置換術までの期間などについて調査した.【結果】初回TKAから感染までの期間は平均39ヶ月(8~84ヶ月),Leone分類で全て遅発性慢性感染(TypeⅣ)であった.感染からセメントスペーサー設置までの期間は平均25ヶ月(1~112ヶ月),セメントスペーサー設置からTKA再置換までは平均12.2週(7~23週)であった.起因菌は,5例中4例同定しPseudomonas aeruginosa,MSSE,MSSA,Enterococcus faecalisで,再置換術後成績は良好であった.【結論】TKA術後感染に対する二期的再置換術は良好な結果であった.
  • ―合併症率と生存率―
    戸田 雄, 河野 俊介, 北島 将, 園畑 素樹, 馬渡 正明
    2017 年 66 巻 2 号 p. 375-378
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【要約】人工股関節全置換術(total hip arthroplasty: THA)では,除痛,脚長補正,可動域改善などが得られ,近年,良好な長期成績が報告されている.当院においてのcementless THAの中期成績として,合併症率とimplant生存率を検討した.2005年から2010年の間にprimary THAを行った2616股のうち術後5年以上経過観察可能であった1813股を対象とした.経過期間中の合併症を調査し,implantの生存率を算出した.合併症は,脱臼73股,深部静脈血栓症・肺塞栓症6股,術中骨折4股,表層感染・創治癒遅延7股,深部感染3股,末梢神経障害5股,implant破損0股,implant周囲骨折1股,implantのゆるみ3股であった.再手術を要した症例は17股で,14股に再置換術が行われていた.全ての再置換術をend pointとした生存率は99.1%,ゆるみによる再置換術をend pointとした生存率は99.8%であった.当科における最大10年のimplantの生存率は99.1%と諸家の報告同様良好な成績であった.再置換術の原因は脱臼が8股と最多であり脱臼対策により生存率の改善が見込まれる.
  • 塚本 祐也, 神保 幸太郎, 松浦 充洋, 田邉 潤平, 中村 洋輔, 江崎 佑平, 石橋 千直, 重留 広輔, 坂井 健介, 田中 憲治, ...
    2017 年 66 巻 2 号 p. 379-382
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    重症虚血肢(CLI)患者の下肢切断高位を評価するために皮膚灌流圧(SPP)測定を行った.対象はSPP測定群が14例(15肢),未測定群が11例(11肢)であった.SPP値40 mmHg以上の部位を切断高位とし,必要に応じて術前に血管内治療(EVT)を追加した.最終切断高位は測定群が大腿9肢,下腿6肢,未測定群が大腿7肢,下腿4肢だった.切断高位における術前SPP値は平均51.5 mmHg,EVTを行った症例は測定群で8肢(53.3%),未測定群で0肢であった.術後創部評価は測定群が良好11肢(73%),一部不良4肢(26%),不良0肢,未測定群が良好3肢(27%),一部不良2肢(18%),不良6肢(55%)と測定群の成績が良好であった.術後入院日数は測定群が平均35.2日,未測定群が平均103.4日と測定群が有意に短かった.SPPを切断高位の評価として用いることで治療成績が大きく改善した.
  • 塚本 祐也, 神保 幸太郎, 吉田 健治, 田邉 潤平, 松原 庸勝, 江崎 佑平, 佐々木 威治, 重留 広輔, 吉田 史郎, 坂井 健介 ...
    2017 年 66 巻 2 号 p. 383-386
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    大腿骨近位部骨折患者に対する術前DVTの発生について調査した.対象は83例(男性16例,女性67例,平均年齢82.8歳),骨折型は頚部38例,転子部41例,転子下4例,術式は骨接合術53例,人工骨頭置換術30例であった.下肢超音波検査は入院日より平均6.3日で施行,術前待機日数は平均9.3日であった.DVTは83例中28例(34%)に発生,近位型5例,遠位型19例,近位+遠位型4例であった.新鮮1例,器質化10例,不明17例であった.DVT発生の危険因子について検討したが,年齢,性別,基礎疾患,骨折型,術前ADL,受傷前抗血栓薬,超音波検査日,D-dimer,全ての項目で有意差はなかった.DVT発生率は34%と高く,近位型が11%存在するため,周術期には注意を要する.大腿骨近位部骨折のDVTスクリーニングにはD-dimerは有用では無く,超音波検査を行うことが望ましい.
  • 比嘉 浩太郎, 池間 康成, 小浜 博太, 島袋 孝尚, 米田 晋, 立花 真理, 金谷 文則
    2017 年 66 巻 2 号 p. 387-390
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    当院では前十字靭帯(以下ACL)損傷に対して解剖学的二重束再建を行っており,大腿骨孔はtranstibial法で作成している.H22年4月からH25年3月までに施行した解剖学的二重束ACL再建術を施行した16例中,術中に起きた合併症3例について報告する.症例1.大腿骨骨孔作成時にガイドピンの先端が大腿骨内で折損した.ガイドピンをハンマーで叩いて刺入したため髄内釘になってしまい,大腿骨内で折損した.症例2.術後のX線像にて大腿骨の前内側骨孔外に金属粉と思われる陰影を認めた.ガイドピンが弯曲したままドリルした事が原因と考えられた.症例3.脛骨の後外側骨孔を作成時,骨孔作成ガイドを倒しすぎたため顆間隆起を損傷した.【まとめ】解剖学的二重束ACL再建術において術中合併症を生じた3例を報告した.transtibial法で大腿骨孔を作成する場合は,ガイドピンが適切に挿入されていることと脛骨骨孔作成時は関節面の軟骨損傷を防ぐため骨孔刺入角度に注意する必要がある.
  • 矢野 真太郎, 花田 弘文, 藤原 明, 深水 優, 久保 勝裕, 山口 史彦, 熊野 貴文, 原 道也
    2017 年 66 巻 2 号 p. 391-394
    発行日: 2017/03/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】内側半月板後角付着部横断裂を伴った変形性膝関節症に対してOpen Wedge High Tibial Osteotomy(以下OWHTO)を行った症例の検討を行った.【対象】51例(男性8膝女性43膝)である.【方法】OWHTO施行時の平均年齢は62.9歳(45-77歳)であった.断裂に対して部分切除を行ったものが29例,処置を行わなかったものが22例,全例で縫合は行わなかった.平均13.2ヵ月後に抜釘を行い,同時に関節鏡で内側半月板後角付着部の評価を行った.【結果】51例中,肉眼的に線維組織による修復を認めたものが29例,変性組織を認めたものが14例,断裂を認めたものが8例であった.臨床所見はおおむね改善を認めた.【考察】内側半月板後角付着部断裂を伴った変形性膝関節症に対してOWHTOを施行することで,断裂が修復されている症例があった.また,修復されていなくてもJOA scoreなどの臨床成績にはほとんど優位差を認めなかった.
feedback
Top