整形外科と災害外科
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67 巻 , 1 号
選択された号の論文の53件中1~50を表示しています
  • 赤嶺 卓哉, 萬久 博敏, 角川 隆明, 金高 宏文, 新田 城二, 藤井 康成, 添嶋 裕嗣, 田口 信教
    2018 年 67 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【対象と方法】腰痛疾患症例117名(平均年齢61.9±8.5歳;肩関節疾患合併例44名を含む)に対し,約6.0ヵ月間(週2回)の水中運動療法を行い,以下の知見を得た.【結果】①.腰痛症例においては,水中運動後では運動前に比し,肥満の軽減,心肺機能の向上,体幹・下肢の筋力・柔軟性の増強,症状の改善がそれぞれ統計学的に有意に認められた(以下p<0.05).②.肩関節症例では,上記①.の所見に加え,上肢の筋力・柔軟性の増加が有意に観察され,肩関節症状の改善が認められた.③.全例を通じて,水中運動後では体幹伸展・屈曲力,ファンクショナルリーチ試験(全身バランス能力)の漸増的向上が有意に観察された.④.了解の得られた女性8名(平均年齢57.4±4.5歳)の骨密度測定では,第4腰椎骨密度などの有意な増強が認められた.【まとめ】以上より,腰痛・肩関節疾患に対する水中運動療法の有効性が示唆された.

  • 南川 智彦, 柴田 陽三, 伊﨑 輝昌, 藤沢 基之, 篠田 毅, 熊野 貴史, 三宅 智, 柴田 光史
    2018 年 67 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】壮年の修復不能な広範囲腱板断裂に筋移行術を施行.成績と問題点について報告する.【方法】症例は男性5例,女性1例,平均年齢56.8歳,平均術後観察期間は105.8ヵ月である.全麻下に側臥位で施行.全例広背筋移行を施行し,修復不能な肩甲下筋腱断裂合併の2例に大胸筋移行術を併用した.広背筋は肩甲骨の下角起始部を切離し,骨頭を越えて肩甲下筋腱の上縁に届くように,筋腹深層を十分に剥離した.広背筋の外縁は大結節に,断端は肩甲下筋腱に縫合した.大胸筋移行は切離した腱を鎖骨枝,胸骨枝共に合同腱の上で小結節に縫合した.【結果】術前の挙上角度は73.3度,外旋24.2度,内旋L2で,術後は115.8度,40.0度,L2であった.術前のJOA scoreの疼痛スコアは7.5点,合計点は52.3点,術後はそれぞれ20点,70.9点であった.2例で挙上の改善がみられず,内1例にRSA施行.成績良好例でも,大結節の摩耗は進行した.【結論】本術式は,侵襲は大きいものの,患者背景に留意すれば良好な結果が得られるものと思われた.

  • 当真 孝, 山口 浩, 森山 朝裕, 大湾 一郎, 金谷 文則
    2018 年 67 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    我々は,腱板断裂関節症(Cuff Tear Arthropathy:以下CTA)に対し,小径人工骨頭置換(Small Humeral head replacement:以下s-HHR)と腱板修復術または筋腱移行術を施行しているので,その治療成績を報告する.対象は術後1年以上経過観察可能であった17例17肩.平均年齢は73.9歳,性別は男性5肩,女性12肩.術式はs-HHR+腱板修復術7肩,s-HHR+筋腱移行10肩(肩甲下筋部分移行2肩,大胸筋移行術8肩).調査項目は,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下JOAスコア),平均肩関節可動域(屈曲,外旋,内旋:JOAスコアを用いて点数化),とした.結果はJOAスコアが術前45点から術後79点,術前屈曲55度,外旋26度,内旋1.6点から,術後屈曲123度,外旋26度,内旋3.7点と改善した.CTAに対するs-HHRおよび腱板修復術または筋腱移行は,有用な術式と考えられた.

  • 豊見山 樹, 久保 壱仁, 渡邊 匡能, 佐藤 元紀
    2018 年 67 巻 1 号 p. 16-18
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    症例は生来健康な40歳男性.バスケットボール中に膝蓋腱断裂を受傷した.受傷後3日目に手術施行,アイメディック社製のTelos人工靭帯を使用した.術後は2週間ギプス固定した.2週間後よりKnee Braceを装着し部分荷重を開始し,4週間後より可動域訓練を開始した.可動域訓練開始後1週間で屈曲90°,独歩可能となった.術後5ヶ月目には可動域制限なく就労されている.膝蓋腱の再建術には一次修復に加え,軟鋼線を用いるマクローリン法,自家腱の移植,人工靭帯といった補強を用いた報告が散見されるが,本症例は人工靭帯を用い十分な耐久強度を得られ,再断裂を起こすことなく良好な可動域を得られた症例であったと考えた.

  • 原 光司, 松垣 亨, 吉田 龍弘, 瓜生 拓也, 山名 真士, 山下 明浩, 志波 直人
    2018 年 67 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    今回膝窩嚢腫により総腓骨神経麻痺をきたした症例を経験したので報告する.症例は50歳男性.2週間前より誘因なく左下腿の腫脹が出現し,前日より左足関節の自動背屈が不可能となったため当院を受診した.初診時,左膝窩部に腫脹あり,左腓骨神経領域の知覚鈍麻と前脛骨筋と長母趾伸筋の筋力低下(MMT0/5)を認めた.MRIでは大腿二頭筋と腓腹筋外側頭の間にT1:low,T2:highの約55×70×95mmの多房性の腫瘤を認め,総腓骨神経を圧排していた.嚢腫の穿刺で神経症状の改善がみられなかったため,嚢腫の外科的切除を行ったところ,術後半年の時点で神経障害は改善した.膝窩嚢腫(いわゆるBaker cyst)は通常,腓腹筋内側頭と半膜様筋との間に存在するため,神経障害が出現することは比較的まれであるが,本症例では外側側副靱帯-大腿二頭筋腱滑液包が膨隆し,大腿二頭筋と腓腹筋外側頭という非常に狭い筋間より突出したことで総腓骨神経を内側に圧排し,高度な麻痺が生じたと考えられた.本症例では早期に嚢腫の切除を行ったことによって良好な神経障害の回復を得ることが出来たため,神経症状を呈する膝窩嚢腫は,早期に手術を行うべきであると考えられた.

  • 川上 武紘, 関 万成, 小笠 博義, 田口 敏彦, 杉 基嗣
    2018 年 67 巻 1 号 p. 22-24
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    今回発症早期より経過を追ったBlount病の1例を経験したので報告する.症例は男児.出生体重は1595gであるも,発育・発達障害はなく経過.1歳半健診にてO脚を指摘され,他院を受診.その後,当院紹介となった.当院初診時(1歳6ヶ月)にO脚変形を認め,顆間距離は2横指でX線上はMetaphysaeal-diaphyseal angle(以下MDA)右5°,左16°であった.左膝Blount病の診断で経過観察とした.1歳10か月時にはMDA右2°,左13°であり,Langenskiold分類StageⅡと診断し,外側wedgeの靴型装具を作成した.3歳時にはMDA右14°,左19°と両膝の内反変形が進行したため,eight plateを用い両側成長軟骨外側抑制術を行った.最終観察時(4歳2ヶ月時)MDA右10°左10°で両側共に改善傾向であり良好な成績を得た

  • 林田 一公, 田渕 幸祐, 木内 正太郎, 伊藤 弘雅, 副島 崇, 堀部 秀二, 志波 直人, 大川 孝浩
    2018 年 67 巻 1 号 p. 25-27
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    比較的まれな疾患である膝前十字靭帯(ACL)の粘液変性の両側罹患例を経験した.症例:女性,31歳時左膝過伸展となり左膝痛が出現.左膝伸展時の疼痛が主症状であり,MRIでACLの膨化,高信号化を認めACL粘液変性の診断となった.鏡視下に変性靭帯を一塊に全切除し,ACL再建術を施行した.術後経過は良好であったが,術後約1年経過時,反対側である右脚を踏み外した際に右膝痛出現した.右膝も伸展時痛が主訴であり,MRIで同様にACL粘液変性の所見を認めた.右膝痛は改善せずACL全切除+再建術を施行した.ACL粘液変性の発生機序は不明な点が多いが今症例では両膝共に軽微な受傷機転を認めた.またその治療法には全切除や変性部の部分切除などが挙げられるが部分切除の場合,正常部と変性部を明確に区別する事は困難であり結果的に不安定性が出現することが懸念され,今症例では全切除+再建を選択した.

  • 松永 英人, 岡元 信和, 中村 英一, 山部 聡一郎, 舛田 哲朗, 白石 大偉輔, 水田 博志
    2018 年 67 巻 1 号 p. 28-30
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【はじめに】ステロイド性膝骨壊死に対する腸骨ブロック移植術の治療成績について報告する.【症例1】38歳男性,主訴は右膝痛,既往歴として間質性肺炎にてステロイドパルス歴があった.4ヶ月前より右膝痛が出現し,MRI上骨壊死を認め,当科を紹介となった.術前JOAスコアは60点で,MRIでは大腿骨内外側顆部に骨壊死像を認めた.大腿骨内側顆に対して腸骨ブロック移植術を施行し,術後3年6ヶ月でのJOAスコアは100点であった.【症例2】34歳男性,主訴は左膝痛,既往歴として結節性多発動脈炎にてステロイド内服歴があった.半年前より左膝痛が増悪し,当科を紹介となった.術前JOAスコアは55点で,MRIでは大腿骨遠位端,脛骨近位端に骨壊死像を認めた.大腿骨外側顆に対して腸骨ブロック移植術を施行し,術後1年でのJOAスコアは85点であった.【考察】腸骨ブロック移植術は若年者の関節面が圧壊した症例に対して,TKAまでのtime sparingとして有効な手術療法であると考えられる.

  • 富永 冬樹, 王寺 享弘, 吉本 栄治, 松田 秀策, 松田 匡弘
    2018 年 67 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】Anatomical designであるZimmer Biomet社のPersonaを用いた人工膝関節全置換術(TKA)における脛骨コンポーネントの回旋設置角度と被覆率を調査した.【対象・方法】2016年2月から11月までにPersona TKAを施行した106膝のうち,術後にCTを撮影した48例50膝を対象とした.レントゲンのインプラント設置角を計測し,CT画像で脛骨粗面(TT)内側縁とPCL付着部を結ぶ線,TT内側1/3とPCL付着部を結ぶ線を基準にした脛骨コンポーネントの回旋角度,コンポーネントの面積を骨切り面の面積で除した被覆率,Overhangの有無を調べた.【結果】設置角は,平均でα 96.4°,β 89.1°,γ 3.0°,δ 86.6°と良好であった.回旋設置角度は,TT内側縁とPCL付着部を結ぶ線に対しては平均7.8°外旋,TT内側1/3とPCL付着部を結ぶ線に対しては平均1.1°内旋であった.被覆率は平均89.4%で,Overhangは7膝(14%)に認めたが1-2mm程度であった.【結語】Personaの特徴である脛骨コンポーネントの非対称性により,適切な回旋設置,高い被覆率を獲得できたと考える.

  • 椎木 栄一, 平田 健司, 鎌田 敬子, 関 寿大
    2018 年 67 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    原因が異なる低緊張型の反張膝(2症例3膝)に対してRHK(NexGenRHK. Zimmer, Warsow, in USA)を使用してのTKAを行った.従来のRHKの臨床成績は厳しい結果であるが,現在のmodernRHKとなってからの比較的良好な中期成績も報告されている3).また,反張膝に対するTKAの成績は決して良好ではなく10)長期成績は不明だが,物理的に反張を抑えるhinge機能を有する人工関節は有効と思われた.今回1例については術後6年でインプラントのhinge部分の破損で再置換術を要した.2症例の経過についてと文献も踏まえ検討を行ったので報告する.

  • 土持 兼信, 白石 浩一, 浜崎 晶彦, 美浦 辰彦, 新井 堅, 原 俊彦
    2018 年 67 巻 1 号 p. 40-42
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    両側同時人工膝関節全置換術(TKA)術後に急性膝窩動脈閉塞症をきたした1例を経験したので報告する.【症例】68歳,女性.既往は高血圧.BMI36と肥満を認めた.両変形性膝関節症に対して両側同時TKAを行った.ターニケットはセメント固定時のみ使用した(左31分,右37分).手術時間は2時間58分.出血は496g.術直後,右足背動脈の拍動が減弱していた.膝窩動脈,後脛骨動脈の拍動は問題なく色調良好.経過観察としたが,術後2時間30分で足背動脈の拍動が触知できなくなった.心臓血管外科にコンサルトし,血管エコーにて膝窩動脈に血栓が疑われた.術後3時間30分で循環器科にて緊急カテーテル施行,血栓除去された.足底に軽度の感覚障害を認めたが,運動障害は認めなかった.【考察】急性下肢動脈閉塞症のgolden timeは6時間といわれており,早期発見し早期に治療をおこなうことが重要である.

  • 喜屋武 諒子, 東 千夏, 平良 啓之, 山中 理菜, 親川 知, 松田 英敏, 石原 昌人, 仲宗根 哲, 神谷 武志, 金谷 文則
    2018 年 67 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    54歳男性.43歳時に関節リウマチ(RA)を発症した.高疾患活動性のため44歳時にインフリキシマブを導入したが経済的理由により1年で中止し,48歳時にはメトトレキサートを16mgまで増量した.51歳時に糖尿病(DM)と診断され加療開始されたがコントロールは不良だった.52歳時には両膝関節痛が増悪し車椅子で受診するようになり,多関節腫脹や疼痛が出現したためトシリズマブを開始した.両膝関節の変形が高度で歩行困難だったため,53歳時に両側人工膝関節置換術(TKA)を施行した.術後1週で立位可能,2週で平行棒内歩行が可能になった.経過中に胆石による胆石疝痛発作を発症し保存加療で軽快した.術後4週で歩行器歩行が可能になったが,再度胆嚢炎を発症したため腹腔鏡下胆嚢摘出術を予定し外科に転科した.その翌日に左被殻出血を発症した.保存加療を行い,現在失語は改善を認め,右麻痺は残存している.RA,DM,TKA,脳出血について考察を加えて報告する.

  • 徳久 陽一郎, 川畑 英之, 前之園 健太, 前田 昌隆, 富村 奈津子, 長嶺 智徳, 吉野 伸司, 川内 義久, 佐々木 裕美, 小宮 ...
    2018 年 67 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    人工膝関節置換術後の膝蓋骨脱臼に対して,脛骨コンポーネント再置換術と自家半腱様筋腱を用いて内側膝蓋大腿靭帯再建術を施行した1例について報告する.【症例】平成24年に左人工膝関節置換術を施行.3年後より左膝の違和感が出現し,膝蓋骨脱臼を認めた.サポーターを使用し杖歩行可能であったが,易転倒性あり.下腿骨折を機に平成28年に当院受診となった.左膝は屈曲30°程度で膝蓋骨の外側脱臼を認め,脱臼時は疼痛のため歩行困難であった.膝完全伸展位にて整復は可能であった.単純X線にてコンポーネントの緩みはなく,CTにて脛骨コンポーネントの内旋設置を認めた.脛骨コンポーネントの再置換術と自家半腱様筋腱にて内側膝蓋大腿靭帯再建を行なった.術後4ヶ月経過し,膝蓋骨脱臼なく膝屈曲120度まで可能,T字杖を使用し安定した歩行が得られている.

  • 生田 拓也
    2018 年 67 巻 1 号 p. 50-52
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    化膿性膝関節炎症例に対して,診断後初回手術で抗生剤入りセメントモールドスペーサーを挿入し感染が落ちついてから二期的にTKAを施行し良好な結果を得ているので報告した.症例は76歳女性.初診時,左膝の可動域制限が強く関節水腫を認め,穿刺液の培養にてstreptcoccus milis/olarisが検出され,化膿性膝関節炎の診断となった.TKAを念頭に置き,最初から徹底した掻爬および骨切除を行い,抗生剤入りセメントスペーサーを留置した.その後,感染が鎮静化し,初回手術後8週でセメントスペーサー除去およびTKAを施行した.以後は通常のTKA術後同様にリハビリテーションを行い順調に経過した.初回手術から抗生剤入りセメントスペーサーを留置し,二期的にTKAをした報告は少ない.本法は感染鎮静化までの関節拘縮が最小限に抑えられるため症例を選べば有用な方法であると考えられた.

  • 泉 貞有, 上森 知彦, 今村 寿宏, 平塚 徳彦, 加治 浩三, 松延 知哉, 河野 勤, 鬼塚 俊宏, 畑中 均, 神宮司 誠也, 岩本 ...
    2018 年 67 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    マッサージ後に発症した成人環軸椎回旋位固定(成人AARF)の1例を経験したので報告する.症例は37歳女性,喘息・アトピーの既往歴あり.初診時,後頚部痛を認めたが斜頚は存在せず,Xp・MRI精査するも有意な病変は無かった.初診後,整骨院で2日間,後頚部の愛護的マッサージを受けた.翌朝から斜頚を自覚し改善せず.2ヶ月後,斜頚を主訴に再診.Xp・CTにてFielding分類type 1のAARFを認めた.AARF以外は身体所見・臨床検査データ等も正常だった.入院後,頚椎持続介達牽引を施行.斜頚出現3ヶ月後,鎮静下に徒手整復を行った.オルソカラー固定するも1日で再脱臼した為,再整復しHalo vest固定を8週間施行した.現在,整復後2年が経過するもAARFの再発は認めない.成人AARFは非常に稀で,マッサージ後の発症例は報告がない.また,整復までに3ヶ月を要した慢性例であったが保存治療が可能であった.

  • 前田 向陽, 寺田 和正, 井浦 国生, 櫻庭 康司, 宮崎 清, 小原 伸夫, 宮原 寿明
    2018 年 67 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    症例は78歳の女性.2か月前より両下肢のしびれを自覚し,徐々に増悪し歩行しにくくなり,右側優位で膝折れもするようになってきた.身体所見では痙性跛行を認め,右の片脚起立は困難であった.両側鼠径部以下に右優位のしびれを認め,MMTはTA,EHLに4~5-程度の麻痺を認めた.CT,MRIではT10/11レベルで右側の黄色靭帯骨化症と左側での硬膜内髄外腫瘍を認め,それぞれが脊髄を圧迫していた.T10・11椎弓切除術および腫瘍摘出術を施行した.病理結果は髄膜腫であった.術後に痙性跛行と下肢のしびれは改善した.脊椎変性疾患と脊髄腫瘍の合症例の報告は散見されており,病変が複数存在する可能性も念頭において精査する必要があると考える.

  • 米村 光信, 藤本 徹, 谷脇 琢也, 岡田 龍哉, 中村 孝幸, 水田 博志
    2018 年 67 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【はじめに】高度麻痺を示す胸椎後縦靭帯骨化症に後方除圧固定術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】歩行障害を主訴とする女性3例で,平均年齢は51.3歳,平均観察期間は8.3ヵ月であった.全例後方除圧固定術を施行し,固定範囲は平均9椎間,除圧範囲は平均5椎弓であった.JOAスコアは術前平均2.3が術後6.3に改善し,改善率は63.5%で,全例とも独歩あるいは杖歩行可能となった.【考察】胸椎後縦靭帯骨化症に対する後方除圧固定術は脊髄の直接的操作がなく軽度の矯正による間接除圧が可能で,安全な手術として認識されているが,高度麻痺を示す症例に対する報告は限られている.本症例は全例とも良好な経過をたどっており,高度麻痺を認める症例に対しても後方除圧固定術は有用な術式と考えている.【結語】高度麻痺を示す胸椎後縦靱帯骨化症に対し後方除圧固定術を施行し術後経過は良好であった.

  • 小林 駿介, 吉村 一朗, 金澤 和貴, 萩尾 友宣, 山本 卓明
    2018 年 67 巻 1 号 p. 64-66
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【はじめに】Os peroneumは長腓骨筋腱内に存在する過剰骨で,足部外側の疼痛の原因となることがある.今回,我々はOs peroneumと腓骨筋腱結節のインピンジメントにより発症したと思われる症例を経験したので報告する.【症例】64歳男性.以前より足関節の捻挫を繰り返していた.今回,特に誘引なく右足関節外側部痛が出現.前医にて長腓骨筋腱内の過剰骨を指摘され,当科紹介受診.画像検査にてOs peroneumと腓骨筋腱結節とのインピンジメントによる障害と,陳旧性足関節外側靭帯損傷の診断で,過剰骨摘出術と外側靭帯修復術を行い,術後良好な成績を示した.【考察】Os peroneumは骨折や骨壊死により疼痛が出現することが多い.しかし,大きなOs peroneumの場合は腓骨筋腱結節とのインピンジメントが疼痛の原因となることがある.

  • 福間 裕子, 菊川 憲志, 小田 勇一郎, 森田 誠, 橋本 憲蔵, 田村 諭史, 河上 純輝, 高田 興志, 佐保 修二
    2018 年 67 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    スポーツ(水泳)を行う車椅子生活者に対し腱板修復術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.脳性小児麻痺により,5年前より車椅子生活であった.数年前に左肩痛が出現,徐々に挙上困難となり当科を紹介受診した.臨床的には肩自動可動域制限を軽度認め,MRIにて腱板断裂(小断裂)を認めた.鏡視所見では腱板小断裂および著明な菲薄化を認め,直視下で腱板修復術を施行した.JOA scoreは術前61点,術後1年8ヶ月で93.5点に改善した.術後MRIでは再断裂は認めず,腱の修復状態は良好であった.現在でも競技を続行し良好な成績を残している.【考察】車椅子生活者では肩は荷重関節であり,腱板修復後の再断裂が危惧される.術前後の十分な説明と長期の経過観察が必要と思われる.

  • 阿南 敦子, 北村 歳男, 坂本 智則, 生田 拓也
    2018 年 67 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    肩甲骨烏口突起骨折に鎖骨近位端骨折のみを合併した症例は我々の渉猟しえる限り過去に報告はなかった.稀な骨折の組み合わせにつき,治療経験を報告する.【症例】55歳女性.バイク走行中に右側に転倒.受傷時の肢位などについては覚えておらず不詳.右肩,胸鎖関節部に疼痛を認め上肢挙上困難であった.画像所見では右肩甲骨烏口突起骨折Ogawa分類Type1,鎖骨近位端骨折Robinson分類Type1A2を認め,受傷後6日に烏口突起の内固定を行った.鎖骨近位端は保存治療とした.受傷後2週よりリハビリを開始し,烏口突起骨折は経過良好で骨癒合も進んだが,鎖骨近位端骨折は受傷後2ヶ月のCTで骨萎縮,離開を認め超音波療法を開始した.受傷後4ヶ月では徐々に癒合傾向を認め,6ヶ月で骨癒合を認めた.本症例の受傷機序や治療につき考察する.

  • 山名 真士, 松垣 亨, 吉田 龍弘, 瓜生 拓也, 原 光司, 山下 明浩, 白濵 正博, 志波 直人
    2018 年 67 巻 1 号 p. 74-76
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    要旨:外傷性胸骨柄体結合脱臼に対して,観血的整復固定術を行った1例を経験した.29歳,男性.高速道路を大型バイクで走行中に,前方走行車と衝突し受傷した.当院搬入時,前胸部に変形を認め,CT検査で胸骨柄体結合前方脱臼,第4-7胸椎圧迫骨折を認めた.受傷後10日に観血的脱臼整復術を施行し,内固定には橈骨遠位端用ロッキングプレートを使用した.術後1年,胸骨柄体結合の整復位は良好で,症状の訴えはない.胸骨柄体結合脱臼には前方脱臼と後方脱臼が存在するが,前方脱臼の方がその整復位の保持のために強固な固定が必要と考えられる.本症例でも,脱臼の整復後も容易に再脱臼する傾向にあったが,ロッキングプレートを使用することで良好な整復位を保持することができた.ロッキングプレートは胸骨柄体結合の前方脱臼の内固定材料として有用であると考えられた.

  • 中西 浩一朗, 唐杉 樹, 徳永 琢也, 井手 淳二, 水田 博志
    2018 年 67 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    比較的稀な肩甲骨関節窩に生じた骨内ガングリオンの1例を経験したので報告する.症例は30歳男性,主訴は左肩痛.初診より1ヶ月前から特に誘因なく左肩痛が出現したため近医を受診し,X線,MRIで肩甲骨関節窩に異常陰影を指摘され当科外来を受診した.職業は自衛官であった.初診時,左肩関節に軽度の運動時痛を認め,JOAスコアは67点であった.単純X線で関節窩後下方に骨透瞭像を認め,同部位にCTにて直径11mmの嚢胞性病変を,MRIにてT1低信号,T2高信号の嚢胞性病変を認めた.その後疼痛は軽快したため経過観察としていたが,5ヶ月後に疼痛が再燃したため,CT,MRIを再度撮影したところ,嚢胞性病変の骨内から骨外への進展を認め,本症例は骨内ガングリオンの内因説を支持する症例と考えられた.活動性の高い若年男性であり,病的骨折の危険性を考え,掻爬および人工骨充填術を施行した.術後1年でJOA score 100点と良好な経過であった.

  • 白石 絵里子, 吉田 健治, 國武 真史, 上野 明菜, 井上 貴司, 中村 英智, 志波 直人
    2018 年 67 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】極めて稀な母指中手骨骨端離開の1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.【症例】7歳男児,公園で兄と遊んでいて,前腕回内位で右母指背側を地面についた状態で兄に右母指を踏まれ受傷した.右母指痛,著明な腫脹が出現し当院を受診した.単純X線所見にてO’Brien分類typeCに掌側転位を伴う母指中手骨骨端離開と診断し,徒手整復後外固定での保存的加療を行った.外固定にて転位なく経過し,受傷32日後で外固定を除去した.受傷後6か月で骨端離開部の自家矯正を認め,可動域制限はなかった.【考察】小児の母指中手骨基部骨折のうちO’Brien分類typeCは極めて稀である.また,徒手整復後も再転位を生じて手術的加療が必要な例が多いとされるが,本症例では保存的治療が可能であった.今後も成長障害を来さないか経過観察を要する.【結論】極めて稀な小児母指中手骨骨端離開の1例を経験した.徒手整復が可能な例でも不安定とされる骨折型では注意深い経過観察が必要である.

  • 高橋 建吾, 眞田 雅人, 俵積田 裕紀, 松山 金寛, 前田 昌隆, 東郷 泰久, 小倉 雅, 佐々木 裕美, 小宮 節郎
    2018 年 67 巻 1 号 p. 86-89
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    骨性mallet fingerに対する石黒法は日常診療において広く行われており簡便で優れた治療法である.我々は当科にて施行された骨性mallet fingerの手術症例に対する検討を行い概ね良好な成績が得られていることが分かった.また石黒法を行った陳旧性骨性mallet fingerのうち,術後ピンが脱転する症例を経験した.この症例に対してpull-out wireを用いた再手術を施行した.pull-out wire法は内固定材による骨片への侵襲がなく早期可動域訓練も可能であり陳旧例や石黒法失敗例に対して有効な手術であると考えられた.

  • 松山 金寛, 堀之内 駿, 海江田 光祥, 高橋 建吾, 田邊 史, 東郷 泰久, 小倉 雅, 佐々木 裕美, 小宮 節郎
    2018 年 67 巻 1 号 p. 90-93
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    近年,橈骨遠位端骨折における掌側ロッキングプレートを用いた術後合併症としての長母指伸筋腱断裂が散見され,その原因として,スクリューの背側突出,背側天蓋骨片や背側皮質のsharp edge等による腱の摩耗が報告されている.我々は,2010年4月から2017年3月までに橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレートを用いて手術を行った238例中長母指伸筋腱断裂を発症した4例に対し,検討した.平均年齢は64.8歳で,男性1例,女性3例であった.骨折型は背側転位型1例,掌側転位型3例であった.全例スクリューの背側突出は認めず,背側天蓋骨片を1例,背側皮質のsharp edgeを3例に認めた.橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂は,転位の少ない保存的加療における合併症の一つとしてもよく知られているが,手術を要するような骨折型でも頻度は低いがEPL腱断裂は発症する.術前の画像評価,手術手技に注意を払うだけでなく,慎重な経過観察や術前の十分なインフォームドコンセントが必要である.

  • 保利 俊雄, 高宮 啓彰, 園田 玲子, 保利 喜英, 恒吉 正澄, 孝橋 賢一
    2018 年 67 巻 1 号 p. 94-96
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    75歳,男性.4か月前から両手のしびれと,3か月前から両前腕部に腫瘤を自覚した.両側前腕に腫瘤を触知し,両手の母,示,中,環指に知覚鈍麻を認めた神経伝導速度を測定し手根管症候群と診断した.MRIにて両側前腕にT1強調像で低信号の腫瘍像を認めた.腫瘍により正中神経が圧迫されたと診断し手術を行った.術中所見にて腫瘍は屈側全体を占拠し屈筋群を包み込むように手掌まで及んでおり,これらを全摘した.病理組織検査でdetritic synovitisと診断された.術後,両手の知覚障害は完全に消失した.

  • 小倉 友介, 坂井 健介, 秋吉 寿, 上野 智規, 松浦 充洋, 志波 直人
    2018 年 67 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【はじめに】我々は幼児期に受傷した不安定性を伴う陳旧性PIP関節橈側側副靭帯付着部裂離骨折に対し,骨端線の閉鎖を待って待期的に靭帯再建を行った症例を経験したので報告する.【症例】13歳,女性,4歳時に転倒して受傷.右利き.当初,近医にて左中指PIP関節橈側に小骨片を確認しており,そのまま約5週間の外固定がなされていたが,高度な不安定性が残存するため受傷後3ヶ月目に紹介受診となった.中指PIP関節の陳旧性橈側側副靭帯付着部裂離骨折と診断したが,陳旧例で,骨硬化を伴う小骨片であることから骨接合は困難が予想された.外科的加療による骨端線への影響も考慮し,待期的に手術を行う方針とした.結果的に,骨端線閉鎖を待って受傷後9年目に手術を行った.手術は遺残した小骨片を切除,長掌筋を用いinterference screw併用による靭帯移植を行い,遺残靭帯はaugumentationとした.術後1.4年の最終観察時,可動域制限なく,不安定性は消失した.【考察】骨端線閉鎖後に靭帯移植を行い,その短期成績は良好であった.しかし,外観上PIPの経度膨隆を認めており,2次性関節症の進行は危惧されるものであり,引き続きの経過観察が必要である.

  • 藤井 賢三, 安部 幸雄, 藤澤 武慶, 末冨 裕, 田邨 一訓, 津江 和成
    2018 年 67 巻 1 号 p. 101-103
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】今回我々は比較的稀な舟状骨偽関節により長母指屈筋腱皮下断裂を生じた2例を経験したので報告する.【対象と方法】症例1:70歳男性.約1年前頃より誘因なく右前腕掌側の痛みを自覚し,その後右母指IP関節屈曲困難となり,前医より紹介となった.単純X線にて舟状骨偽関節およびDISI変形を認め,長掌筋腱による再建を施行したが,術後5か月頃より再度右母指IP関節自動屈曲困難となり,再手術を施行した.症例2:69歳女性.約45年前に左舟状骨骨折の治療歴があり,約3年前に重量物を抱えた際に左手に弾発音がして左母指IP関節の屈曲困難が生じ,当院紹介となった.舟状骨偽関節によりFPL断裂を生じたものと考え,舟状骨遠位骨片摘出およびPLによる再建を行った.【考察】舟状骨遠位骨片の処置において,DISI変形進行の可能性がある症例においては骨棘切除(症例によっては骨片摘出)などによる再建後の屈筋腱滑走床の状態をしっかりと考慮すべきであると考えられた.

  • 山本 俊策, 二之宮 謙一, 合志 光平, 牟田口 滋, 足達 永, 緒方 亜紀
    2018 年 67 巻 1 号 p. 104-105
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    鏡視下手根管開放術(2ポータル法)の術後成績を検討するため,2012年から2015年に手根管症候群と診断し鏡視下手根管開放術を行った70例70手を対象とした.平均年齢は67.4歳(40~83歳)男性30例 女性40例,術後経過観察期間は17カ月(12~49カ月)であった.術前,術後の運動神経終末潜時,手根管症候群質問票 日本手の外科学会版 症状の重症度スコア,機能的状態のスケールを測定し,測定値の推移を比較した.症状の重症度スコアは術前平均3.1から術後平均1.2に,機能的状態のスケールは術前平均2.5から術後平均1.1に,終末潜時は術前平均8.1msecから術後平均4.9msecになり,測定値はいずれも有意に改善したが,症状の改善が認められなかった症例が1例あり再手術を行った.

  • 安部 幸雄, 藤井 賢三, 藤澤 武慶, 末冨 裕, 田邨 一訓
    2018 年 67 巻 1 号 p. 106-109
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】手関節鏡視下整復術は橈骨遠位端骨折や舟状骨骨折・偽関節に応用されている.今回月状骨,三角骨粉砕骨折に対し鏡視下整復術を行った一例を報告する.【症例】26歳,女性.オーストラリアにて転倒し受傷.当地にて回外位ギプス固定を行われ,受傷後21日に当科受診.月状骨,三角骨はともに粉砕していた.【手術】受傷後27日目に手術を施行した.手根中央関節より月状,三角骨関節面を整復し,月状骨はAcutrack screw,三角骨はKirschner鋼線にて固定したのち,可動式創外固定を装着した.【結果】術後5週より創外固定下に自動運動を開始し,7週で創外固定を抜去,術後12週(背屈40度,掌屈0度)の抜釘時に鏡視下授動術を行った.術後2年にて背屈62度,掌屈60度,握力は健側比68%であったが,疼痛はなくADL上支障はなかった.【考察】手根骨骨折に対する鏡視下手術の報告は舟状骨以外にはまだ少ない.今回,受傷後4週で鏡視下整復は可能であった.

  • 安部 幸雄, 藤井 賢三, 藤澤 武慶, 末冨 裕, 田邨 一訓
    2018 年 67 巻 1 号 p. 110-112
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】豆状三角骨(PT)関節症の自験例における臨床的特徴と手術成績について検討した.【対象・方法】症例は8例9手,男性6例,女性2例,右7手,左2手,年齢は20歳~75歳,平均48歳であった.発症原因は打撲6手,不明3手,2例でギオン管症候群の診断で,1例でTFCC断裂の診断で手術を受けていた.全例にPT関節の圧痛を認め,単純X線では狭小化5手,関節症変化3手,MRIにて水腫を3手,骨内intensityの変化を2手に認めた.握力は健側比52%~100%,平均82%であった.全例に豆状骨の摘出を行った.経過観察期間は2か月~58か月,平均13.6か月であった.【結果】疼痛は術後1~2か月で消失した.握力は96~123%,平均106%まで回復していた.機能損失はみられなかった.【考察】今回の画像,手術所見から考慮するとPT関節症の重症度も様々である.治療は単純摘出にて速やかに疼痛は消失し,機能損失もみられなかった.

  • 富永 冬樹, 松田 匡弘
    2018 年 67 巻 1 号 p. 113-116
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】前腕コンパートメント症候群は下腿に比べ稀であるが,早期診断・早期治療が機能障害を残さないために非常に重要である.今回,早期診断が困難であった前腕コンパートメント症候群の1例を経験したので報告する.【症例】31歳男性.車と電柱に右前腕を挟まれ受傷し,受傷後1時間で当院受診.画像上明らかな骨傷なく,手指自動屈曲は困難だが,把握時痛や他動伸展時痛はなく,橈骨動脈触知も良好であり経過観察とした.受傷後40時間で右前腕~手部の腫脹・疼痛増悪し,コンパートメント内圧は前腕掌側で90mmHgと高値で,緊急で減張切開と手根管開放術を施行した.浅指屈筋,深指屈筋と長母指屈筋の一部の断裂を認めた.術後半年で,手指や手関節の可動域制限なく,仕事に復帰している.【考察】前腕筋の皮下断裂のため筋肉が弛緩し,比較的早期に出現するはずの他動伸展時痛を認めず,診断が困難であったと考えられた.

  • 村田 大, 石河 利之, 小島 哲夫, 小川 光, 仲西 知憲
    2018 年 67 巻 1 号 p. 117-120
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    母指CM関節症に対するSuspension Arthroplastyで,SwiveLockを用いた長掌筋腱を移植する方法を考案したのでこれを提示する.手術:大菱形骨を摘出し,Thompson法に準じ第1,第2中手骨の骨孔に加え,第1中手骨近位骨幹部背側に骨孔を作成.長掌筋腱を採取し,それにFiber tapeを重ねgraftとし,第2中手骨基部関節面の骨孔にSwiveLockで固定する.graftを第1中手骨基部関節面の骨孔に通し,骨幹部の骨孔にSwiveLockで固定する.症例:75歳男性.Eaton分類stage4の左母指CM関節症に対し,上記手術を施行.術後5ヶ月時点で疼痛(VAS術前70点→術後0点),ピンチ力(術前1kg→術後5kg),掌側外転(術前34度→術後60度),橈側外転(術前18度→術後60度),Quick DASH(術前43点→術後7点)の全てで改善した.

  • 古庄 寛子, 畑中 均, 高﨑 実, 松延 知哉, 泉 貞有, 河野 勤, 鬼塚 俊宏, 今村 寿宏, 平塚 徳彦, 加治 浩三, 神宮司 ...
    2018 年 67 巻 1 号 p. 121-123
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    Thompson変法による関節形成術を施行時に,abductor pollicis longus(以下APL)腱固定時張力の計測を行ったので報告する.【対象と方法】3例3指,全例女性で,平均年齢は60歳であった.Eaton分類は全例stageⅢで,評価期間は12ヵ月とした.手術はTJ screw®を用いたThompson変法に準じて行った.第2中手骨骨孔に誘導したAPL腱にバネばかりをつけて,APL腱固定時の張力を計測した.張力および臨床評価を調査し,母指列短縮の指標としてTrapezio-metacarpal ratio(以下TMR)を計測した.【結果】3例とも張力1kgでは軸圧に対して不安定で,1.25kgでは軸圧に対して安定し,内転制限もみられなかった.1.5kgでは他動内転が制限された.よって,1.25kgで固定した.最終評価時における臨床評価は過去の報告と同等の結果を得た.TMRの経時的推移および最終評価時TMRも過去の報告と同様であった.

  • 田畑 知法, 加来 信広, 田籠 泰明, 津村 弘
    2018 年 67 巻 1 号 p. 124-126
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】術後発熱は手術部位感染(SSI)や他の感染を示唆する身体所見の一つである.数種類の非ステロイド性抗炎症薬(以下NSAIDs)が人工股関節全置換術(THA)の術後発熱に与える影響を調査した.【方法】2010年以降に当科でTHAを行い,術後1日目からNSAIDs内服開始し,1週間以上内服した95症例98関節,ロキソプロフェン群39関節,ロルノキシカム群30関節,セレコキシブ群29関節を対象とした.両側同日手術例,骨切り併用症例,SSI症例や明らかな他の感染症例は除外した.術後体温を1-7日目まで調査し,最高体温の推移を比較した.【結果】3群間で年齢,手術時間,術中出血量,術後CRP値や白血球数に有意差はなかった.術後1,2日目において有意にロキソプロフェン群で体温が低かった.【考察】術後に解熱作用が強いNSAIDsを使用した場合には,SSIなどの感染症が顕在化しない可能性もあるため注意が必要である.

  • 春田 陽平, 原 俊彦, 浜崎 晶彦, 美浦 辰彦, 佐藤 太志, 牛島 貴宏, 土持 兼信, 川原 慎也, 柴原 啓吾, 新井 堅
    2018 年 67 巻 1 号 p. 127-129
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    当院では2002年より人工股関節全置換術・人工骨頭置換術において側臥位前側方アプローチを導入し術後脱臼は減少した.しかし,前側方アプローチでは脚長を揃えるための解剖学的指標が少なく脚長補正に懸念が残った.今回,前側方アプローチによる人工骨頭置換術(BHA)術後の脚長差について検討した.【目的】前側方アプローチでのBHA後の脚長差を調査すること.【対象と方法】2013年1月から2016年12月までの初回セメントレスBHA症例 181例 181股(女性 132例,男性 49例)を対象とした.京セラ2Dテンプレートを用いて術後X線正面像において大腿骨内外転を一致させ大転子頂部の高位差を計測した.【結果】健側との比較で脚長差は平均1.54mm,最大15.76mmであった.【考察】高齢者を対象とすることが多いBHAにおいて脚長を一致させることは,その後の転倒防止の観点からも重要と考えられる.

  • 田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵
    2018 年 67 巻 1 号 p. 130-133
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】セメント使用人工骨頭術後の荷重の有無による大腿骨形態の変化を調査した.【対象と方法】H21年~H26年に人工骨頭手術を行った41例中,6か月以上経過を追えた30例.男性1例,女性29例,平均年齢83.5歳,平均観察期間24.7か月である.機種はstryker社のエクセターステムを使用.これらを機能的自立度評価法(以下FIM)にてFIM 4以上の荷重群とFIM 1の非荷重群にわけ,大腿骨横経,大腿骨皮質幅,ステムの沈み込みのそれぞれの変化量を計測した.【結果】荷重群にて大腿骨横経は+0.9mm,大腿骨皮質幅は+0.1mm,シンキングは+1.4mmであった.非荷重群では大腿骨横経は+0.4mm,大腿骨皮質幅は-1.0mm,シンキングは+0.3mmであった.【考察】荷重群ではステムのシンキングやセメントを通して骨皮質に圧縮応力が分散して伝わり,骨皮質が良好に保たれていた.非荷重群では経過と共にセメントと皮質の間隙を生じたり,骨皮質の菲薄化を認めた.

  • 押領司 将人, 大久保 宏貴, 川越 得弘, 金城 政樹, 普天間 朝上, 金谷 文則
    2018 年 67 巻 1 号 p. 134-137
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    50歳男性,ゴルフ場整備員.芝刈り機のエンジン部に約1時間,右前腕を挟まれて受傷した.右前腕熱圧挫傷・コンパートメント症候群の診断で,他院にてデブリドマン・筋膜切開術を施行された.受傷11日で,前腕近位の皮膚が壊死し尺骨が露出したため治療目的に当院を紹介された.2回のデブリドマン後,受傷1か月で露出した尺骨を腕橈骨筋弁で被覆し,植皮術を施行したが,感染が持続し筋弁は壊死した.受傷後2か月,尺骨の病的骨折を来したため露出した尺骨(7cm)を切除し創外固定器を装着した.感染が沈静化した受傷後5か月で遊離血管柄付き腓骨皮弁移植術を施行した.皮弁は完全生着し,骨癒合が得られた.術後1年10か月,肘関節伸展-15°屈曲135°,前腕回外55°回内60°,手関節伸展40°屈曲60°,full grip可能で原職に復帰し趣味のゴルフやバスケットボールを楽しんでいる.

  • 荒木 貴士, 古市 格, 志田 崇之, 小河 賢司, 前原 史朋, 新見 龍士, 水田 和孝
    2018 年 67 巻 1 号 p. 138-142
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    我々は前回,整形外科と災害外科 第66巻 第2号にて,上腕骨近位端骨折後の偽関節に対するMODE Proximal Humeral Plate®(以下PHP)の有用性を報告した.PHPは,近位に9~10本のscrewが挿入でき,腋窩神経より遠位側から骨頭頚部内側へのinfero-medial screw挿入が特徴で,強固な初期固定性が得られる.今回,上腕骨近位端骨折の初回使用例も含めて報告する.【対象・方法】2015年4月~2016年12月,術後6ヶ月以上経過観察できた14例(初回手術12例,偽関節に対する手術2例),男性4例,女性8例,平均年齢71歳を対象とし,単純X線評価(骨癒合の有無,矯正損失),骨頭壊死も含む術後合併症,最終診察時の日本整形外科学会肩関関節疾患治療成績判定基準(JOA score)と肩関節ROMについて調査した.【結果】13例に骨癒合を認め矯正損失は認めなかった.1例に骨頭壊死を認めた.JOA scoreは平均88点であった.PHPは矯正損失がなく強固な固定が可能な上腕骨近位端骨折に有用なインプラントである.

  • 岩永 壮平, 平川 洋平, 南谷 和仁, 志波 直人
    2018 年 67 巻 1 号 p. 143-146
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    (はじめに)腕橈関節・腕尺関節・近位橈尺関節が同時に脱臼する肘関節分散脱臼は稀であるが,今回我々は本脱臼を生じた1例を経験したので報告する.(症例)7歳女児,路上で転倒し左肘関節痛を訴え当院受診.単純X線正面像において橈骨近位部が外方に転位し,腕橈関節脱臼および近位橈尺関節の脱臼を認め,また側面像では橈骨近位部及び尺骨は後方に脱臼(腕尺関節脱臼)していた.肘関節横分散脱臼と診断し透視下に徒手整復を施行.整復後に肘関節90°屈曲位,前腕回内・外中間位で外固定を3週行い,自動運動を許可した.整復後8カ月の現在,疼痛や可動域制限はなく,また再脱臼・不安定性を認めず経過良好である.(考察)肘関節分散脱臼は,前後分散脱臼・横分散脱臼・集合脱臼に分類され,渉猟しえた限りでは横分散脱臼の報告が多く,ほとんどは容易に徒手整復され保存的加療により良好な結果が得られている.小児の肘関節脱臼は分散脱臼である可能性があり注意を要する.

  • 仲西 知憲, 小島 哲夫, 小川 光, 石河 利之, 村田 大
    2018 年 67 巻 1 号 p. 147-150
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    比較的稀な10代の肘部管症候群3例について報告した.2013年4月から2017年1月まで肘部管症候群の診断で尺骨神経前方移行術を施行した72例のうち,10代の症例で術後6か月以上のフォローが可能だった3例を対象とした.平均18.7(18-19)才,全例男性で投球時の内上顆の痛み,尺骨神経症状などを有した.筋萎縮はなく赤堀の分類第1期であった.臨床所見,神経伝導速度検査,手術所見,Mayo Elbow Performance Score(以下,MEPS),JOA-JES scoreを評価した.全例,内上顆周辺の圧痛,Tinel徴候のみで神経伝導速度に特記すべき所見は認めなかった.手術では内上顆付近の軽度の神経絞扼を認めた.全例機能スコアの改善を認めた.野球の投球に関連する肘部管症候群においてスポーツのパフォーマンス改善のために,尺骨神経前方移行術を施行することが重要であると考えられた.

  • 太田 浩二, 岡田 貴充, 中西 芳応, 花田 麻須大, 竹内 直英, 小薗 直哉, 千住 隆博, 中島 康晴
    2018 年 67 巻 1 号 p. 151-154
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    プロ野球入団時における選手の肘関節レントゲンによる異常所見を検討した.2011年から2015年の5年間にドラフト入団した選手53名(平均年齢20.0±2.6)に対して肘関節レントゲン3方向(正面,側面,tangential view)を施行した患者を対象とし,健側と比較し異なる所見を異常所見とした.内側異常は41名73.2%,外側異常は37名69.8%,後方異常は9名17.0%であった.これまで投球障害は内側が最も多いとの報告が多いが,プロ野球入団時におけるレントゲン異常所見は内側と外側が同程度の頻度であった.

  • 中村 郁也, 梶山 史郎, 松尾 洋昭, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 1 号 p. 155-157
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】外側広範型の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下小頭OCD)に対する自家骨軟骨柱移植術の治療成績を検討すること.【対象と方法】小頭OCDに対して膝からの自家骨軟骨柱移植術を行い,術後1年以上経過観察可能であった7例を対象とした.全例男性で,手術時平均年齢は13.0(12~14)歳であった.手術は鏡視下病巣掻把の後,同側大腿骨外側顆より骨軟骨柱を採取し,直視下に病巣部に移植した.【結果】全例もとの競技に復帰し,肘ROMは屈曲が術前平均124°から術後132°へ,伸展が術前-22.1°から術後-6.4°に改善した.JOA肘スコアは術前平均56.9点から97.3点へ,Timmerman and Andrewsスコアは総合点で130点から180点へ改善した.【考察】外側広範型の小頭OCDに対する骨軟骨柱移植術は,外側壁を含む病変部の再建に有用な治療法の一つである.

  • 真田 京一, 尾上 英俊
    2018 年 67 巻 1 号 p. 158-160
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    中指末節骨カンジダ骨髄炎の症例を経験したので報告する.63歳男性.職業はマグロ解体業で長期間ゴム手袋を使用し仕事をしていた.徐々に中指の爪の変形,水疱形成を認め近医整形外科から当科紹介受診.単純X線で骨透瞭像を認めた.フルコナゾール100mg/日投与し手術を行った.術後3ヵ月で仕事復帰した.指節骨カンジダ骨髄炎はまれである.皮膚真菌症からの直接感染が原因である場合が多い.診断確定はカンジダ族の培養同定による.治療としては手術,抗菌薬併用で良好な成績が報告されており,手術併用は有用だと考える.

  • 坂本 圭, 福元 哲也, 平井 奉博, 橋本 伸朗, 前田 智, 中馬 東彦, 松下 任彦, 酒本 高志
    2018 年 67 巻 1 号 p. 161-164
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    壊死性筋膜炎は進行すると死亡に至る重篤な感染症であり,死亡率は32.2%と高く,早期の治療が必要である4).壊死性筋膜炎の診断で緊急に切断術を施行した3症例を経験したので報告する.

  • 井上 三四郎, 岡本 重敏, 松原 弘和, 福島 庸介, 中家 一寿
    2018 年 67 巻 1 号 p. 165-167
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    目的:当科での壊死性軟部組織感染症の治療経験を検討すること.対象:過去4年間に当科で経験した壊死性軟部組織感染症6例.年齢・性別・既往歴・部位・LRINEC score・起炎菌・転帰を調査した.結果:平均73(66~89)歳であり,男性4人女性2人だった.5名が糖尿病であり,2名が癌治療中であった.部位は,下腿・足2例,大腿,大腿・膝,足,前腕・肘が各々1例であった.LRINEC scoreは平均8(3~12)点であり,6例中5例が6点以上であった.起炎菌はStreptococcus pyogenes,Staphylococcus aureusなどであった.3例が患肢温存可能で,3例は切断術(大腿切断1例,下腿切断2例)を受けた.在院死亡はなかった.考察:壊死性軟部組織感染症に対する治療の根幹は早期デブリドマンであり,そのためには早期診断が欠かせない.経験ある医師の診断が最も信頼がおけるが,判断に迷う症例にはLRINEC scoreも参考になる.

  • 稲光 秀明, 金澤 和貴, 坂本 哲哉, 山本 卓明
    2018 年 67 巻 1 号 p. 168-171
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【症例】39歳男性.海岸沿線を車で走行中,交通事故を起こし,6m下の海岸砂浜に墜落し受傷.当院救命センターに搬送された.右大腿骨転子下骨折に加え,両側踵骨骨折,右尺骨肘頭骨折を認めた.受傷6日目に骨接合術施行.術後14日にリハビリ目的に転院.その後発熱を認め,血液培養でMRSA検出,再度当院整形外科に入院となった.抜釘と洗浄・病巣掻爬と抗生剤含有セメントロッドを髄腔内に挿入した.感染が沈静化後,ZimmerBiomet社Non-Contact Bridging for the Distal Femur(NCB-DF)左用を上下逆に使用,腸骨移植を行い偽関節手術施行.術後に感染の再発を認めたが,抗生剤の使用,数回の洗浄デブリドマンを行い,感染の沈静化を得た.受傷4年経過し経過良好である.【考察とまとめ】NCB-DFは30度多軸方向にスクリューの挿入が可能であるため,骨頭方向に多くのスクリュー挿入が可能であり,大腿骨近位部骨折後感染性偽関節に有用なインプラントである.

  • 力丸 悠, 山田 聖之, 吉村 鉄朗
    2018 年 67 巻 1 号 p. 172-174
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    Streptococcus suis(ブタ連鎖球菌以下S.suis)は豚に髄膜炎,敗血症などを引き起こし,ヒトにも感染する人畜共通感染症の1つである.本感染症は髄膜炎や難聴などの合併症を来しDIC,敗血症を来した場合には死亡率は80%にも昇る.症例54歳女性.食肉加工業に従事し豚肉加工の際に手指の切創が度々あった.発熱・左股関節痛を主訴に受診.入院後7時間で右膝痛が出現.膝関節穿刺でGram陽性菌を検出しCEZ投与開始.炎症反応高値と意識障害,難聴,右膝関節著明腫脹を認めた為,化膿性膝関節炎の診断で鏡視下処置,灌流装置留置.第6病日膝関節培養検査でS.suis検出,臨床症状より化膿性髄膜炎の診断でMEPM,CTRX投与開始.第35病日,局所所見と血液検査の改善を認め,抗菌薬を内服に変更.第62病日,両側難聴は残存したが独歩で退院.結語S.suisによる化膿性膝関節炎を経験した.急速進行,多彩な症状を呈する為に,病歴聴取も含めた迅速な診断処置が肝要である.

  • 太田 昌成, 城戸 秀彦, 加茂 健太, 城戸 聡, 清原 壮登
    2018 年 67 巻 1 号 p. 175-180
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【はじめに】近年人工関節置換術後の感染が問題視されているが複数関節の同時感染は稀である.今回右股,右膝人工膝関節の2関節に同時感染を来した1例を報告する.【症例】61歳男性,4年前に他院にて右TKAを施行された.当科にて右急速破壊型股関節症に対しTHA施行後,術後約半年で右股関節・右膝関節に疼痛・腫脹が出現,右膝前面より排膿を認めた.右股・膝関節の関節液及び血液培養よりMSSAが検出され2期的再置換術施行した.経過中に炎症反応が弱陽性で遷延し全身の感染源を検索したところ,口腔内に状態不良な残歯根が多数存在した.当院歯科口腔外科にて8本の抜歯術を施行され,その後沈静化が得られた.【考察】過去の複数関節同時感染症例の報告では感染経路として遅発性の血行性感染が多い.本症例は残歯根から口腔内のMSSAが血行性に右股・膝関節へ感染したものと思われ,術前後の口腔内環境評価の重要性を示唆する症例であった.

  • 小川 慎也, 山家 健作, 谷島 伸二, 三原 徳満, 武田 知加子, 南崎 剛, 永島 英樹
    2018 年 67 巻 1 号 p. 181-184
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    43歳男性.前医で左大腿平滑筋肉腫に対して広範切除術および化学療法が実施された.以後,再発,転移はなく術後5年で終診となっていた.術後10年,明らかな誘因なく腰背部痛が出現した.前医で精査されたところ,第3腰椎椎体腫瘍を指摘され当院へ紹介となった.CTガイド下生検で平滑筋肉腫の転移と診断した.PET-CTなどの全身検索ではその他に病巣を認めなかった.左大腿平滑筋肉腫の単発転移と診断し,第3腰椎椎体全摘術を実施した.手術検体での病理診断は平滑筋肉腫であった.軟部肉腫の再発,転移は5年以内で認められるものが多数であるが,本症例のような経過をたどる症例もあるため,長期経過後も再発,転移の可能性を考える必要がある.

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