整形外科と災害外科
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67 巻, 1 号
選択された号の論文の53件中51~53を表示しています
  • 片江 祐二, 島田 佳宏, 松本 康二郎, 近藤 秀臣, 森 俊陽, 西田 茂喜, 山下 信行, 山元 英崇
    2018 年 67 巻 1 号 p. 185-188
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【症例】77歳,女性.主訴:なし.現病歴:約2ヵ月前当院呼吸器外科で肺腫瘍を疑われた.PET-CTで左大腿骨に集積を認め,骨転移を疑われ当科紹介受診となった.肺腫瘍は生検で炎症性病変であり,大腿骨CTでは異常を認めなかったため,大腿部の骨生検は行わなかった.初診5ヵ月後のMRIで大腿骨の病変の増大を認め,腰椎MRIでは年齢の割には脂肪髄が少なかった.内科受診し,血液検査でM蛋白,尿中Bence Jones(以下BJ)蛋白は検出されなかったが,κ/λFLC比の異常を認め,γ-グロブリンは低値だった.胸骨生検を行い,病理診断と臨床像を合わせて非分泌型多発性骨髄腫と診断された.現在,血液内科で薬物治療中である.【考察】非分泌型多発性骨髄腫は多発性骨髄腫の数%の稀な疾患である.血清M蛋白や尿中BJ蛋白は検出されず,診断確定までに時間を要することが多い.原発不明の多発性骨病変があり,MRIで年齢の割に脂肪髄の減少をみたときは骨髄腫を考え,非分泌型も念頭に置くべきである.

  • 片江 祐二, 島田 佳宏, 松本 康二郎, 近藤 秀臣, 森 俊陽, 西田 茂喜, 安田 学, 花桐 武志
    2018 年 67 巻 1 号 p. 189-190
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【目的】当科を初診した転移性骨腫瘍症例の特徴と必要な検査について検討した.【対象と方法】2012年からの5年間に新小倉病院で転移性骨腫瘍と診断され,カルテベースで後方視的に調査しえた132例のうち,悪性腫瘍の既往がなく整形外科受診時に転移性骨腫瘍が明らかになった9例(全例男性,60-88歳[中央値76歳])を対象にした.検討項目は,①初診時の主訴,②罹患骨,③腫瘍原発巣,④原発腫瘍検索方法,⑤原発腫瘍同定率である.【結果】①初診時の主訴は腰痛・背部痛が7例,②罹患骨は脊椎が8例で最も多かった.③腫瘍原発巣は前立腺癌4例,肺癌3例であった.④⑤原発腫瘍検索は,体幹部CT検査が9例で,その同定率は77.8%であった.【考察】整形外科を初診する70歳以上の男性では転移性骨腫瘍の可能性を念頭におく必要があり,原発腫瘍の検索には体幹部CT検査(造影含む)が簡便かつ非侵襲的で考慮すべき検査と考えた.

  • 佐々木 裕美, 永野 聡, 藤元 祐介, 鶴 亜里沙, 瀬戸口 啓夫, 小宮 節郎
    2018 年 67 巻 1 号 p. 191-194
    発行日: 2018/03/25
    公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    【背景】デノスマブは2014年に骨巨細胞腫に対する効能が承認され,切除不能な仙骨,脊椎例などで良好な成績が報告されている.一方,投与期間や手術時期など治療プロトコールは未確定である.【症例】66歳女性,S1~4左側の骨腫瘍で生検にて骨巨細胞腫の診断にてデノスマブ投与を開始した.骨吸収マーカーであるTRACP-5bは投与1週後から正常化した.MRIではサイズの変化は認めずSDを維持し,12回投与(10カ月)後,治療効果判定と正常骨の評価目的で生検術を施行した.病理学的には多核巨細胞腫はほぼ消失し,紡錘形細胞の増殖能も著明に低下していた.腸骨の骨形態計測では骨吸収,骨形成とも低下が見られた.【考察】骨巨細胞腫に対するデノスマブ治療では画像上縮小が得られなくても病理学的には治療効果が明らかであった.一方正常骨代謝への影響も見られ,継続期間についての検討が必要であると思われた.

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