整形外科と災害外科
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67 巻 , 3 号
選択された号の論文の56件中1~50を表示しています
  • 井上 三四郎, 吉田 裕俊, 幸 博和
    2018 年 67 巻 3 号 p. 433-436
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    抄録【症例】(症例1)87歳女性.大根を干した後から左側胸部痛と背部痛が出現した.近医で肋骨骨折や機能性ディスペプシアと診断された.疼痛継続し当院紹介となった.主訴は左側胸部痛であり,背部痛は殆ど訴えなかった.第9胸椎椎体骨折と診断した.(症例2)10歳男児.1ヵ月前より特に誘因なく右側胸部痛が出現,内科疾患も疑われ当院紹介となった.骨腫瘍による病的骨折と診断した.(症例3)51歳男性.1年前から軽い背部痛あり.1ヵ月前より右側胸部痛としびれが出現し,当院受診した.主訴は右側胸部痛であり,背部痛の訴えは殆どなかった.胸椎後縦靭帯骨化症および黄色靭帯骨化症と診断した.【考察】通常胸椎病変は背部痛を引き起こすが,時に側胸部痛をきたす.その場合肋骨2方向がオーダーされることが多いが,胸椎病変と診断することは困難である.別に胸椎側面像を追加すると良い.

  • 田中 寿人, 笠原 貴紀, 秋山 菜奈絵
    2018 年 67 巻 3 号 p. 437-440
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】腰痛症患者のMRI脂肪抑制画像(以下STIR)において,腰部椎体後方支柱部が高輝度に描出される事があるが,この病態を考察した.【対象と方法】当院においてH28年4月から9月の間に腰下肢痛を訴え,MRIを撮像した84例.男性50例,女性34例,平均年齢65.1才を対象とした.方法は棘間靱帯,棘上靱帯をSTIRの矢状断にて,高輝度変化の程度を0から3までの4段階にポイント化して評価した.【結果】棘上靭帯の著明な高輝度変化は40代から急速に出現,棘上靭帯と棘間靭帯の高輝度ポイントは加齢と共に増加していた.【考察】棘上靭帯でのSTIR高輝度変化は不安定腰椎ではない若年腰部疾患症例には認めず,加齢変性に伴う脊椎のアライメント異常から発生している可能性があった.

  • 片岡 秀雄, 富永 俊克, 川上 泰広, 城戸 研二
    2018 年 67 巻 3 号 p. 441-444
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    低侵襲な手術を行う目的で脊椎内視鏡手術(MED)を当院に2009年に導入した.腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎内視鏡下の除圧手術を施行した60歳代症例と80歳代症例を比較した.術後1年で調査が可能であった60歳代54症例(平均65歳,60~69歳,男性33例,女性21例),80歳代16症例(平均82歳,80~86歳,男性11例,女性5例)を対象とした.JOAスコア(腰痛症)は60歳代で術前15.5±0.6から術後1年で23.3±0.5,80歳代で術前11.9±1.5から術後1年で18.5±1.4となり両群とも有意に改善していた.JOAスコア改善率は60歳代が55.6±3.4%,80歳代が38.2±6.3%であり80歳代で有意に低かったが,80歳以上の高齢者でも60%以上の改善率が得られた症例が25%存在した.脊椎内視鏡手術の低侵襲性も一助となった可能性があり,80歳以上の高齢者においても腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎内視鏡手術は有用と考えられる.

  • 藤井 幸治
    2018 年 67 巻 3 号 p. 445-448
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    cortical bone trajectory(CBT)の欠点は,使用するスクリューが細く短いため,pedicle screw(PS)に比べてスクリューの緩みが多いことと椎体前方支持が少なくケージの負荷が増加することである.CBT軌道に類似し椎体前方までスクリューを刺入するRoy-Camille(RC)法は頭側椎間関節を損傷するため普及しなかったが,この欠点を改良したCBT-RC法を考案し臨床応用した.側面透視とnavigationを使用することで最頭側スクリューは椎間関節を損傷せず刺入することが可能であった.CBT-RCとPSの比較を施行し,固定性に関しては術後1年でのスクリューの緩みが各々9.6%,11%,椎体間非癒合は11.1%,22.2%であり,有意差はなかった.侵襲性は白血球数,CK値,CRP値で比較し,術後1日目のCK値がCBT-RCで有意に低値であった(p=0.005).CBT-RCはPSより低侵襲であり,固定性はPSと同等であった.

  • 山﨑 和大, 関 寿大, 小笠 博義, 椎木 栄一, 徳重 厚典, 関 万成, 今釜 崇, 鎌田 敬子, 田口 敏彦
    2018 年 67 巻 3 号 p. 449-451
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】左膝外側半月板切除後の変形性膝関節症に対して,半腱様筋腱による半月板再建術および大腿骨遠位骨切り術を行った1例を経験したので報告する.【症例】51歳男性.2年前より誘因なく左膝痛を認め紹介受診.既往に18歳時に外側円盤状半月に対する外側半月板切除術を施行されていた.単純X線ではKellgren-Lawrense分類Grade3の変形性膝関節症を認め,FTAが健側180°,患側176°でmLDFAが健側90°,患側86°と健側と比較して大腿骨の外反変形を認めた.大腿骨外顆の軟骨損傷に対しmicro fractureを施行した.外側半月板は辺縁のみ残存しており,自家半腱様筋腱による半月板再建を行った.大腿骨遠位をclosed wedge 5°を目標に骨切りを行った.術後3週より部分荷重を開始し,術後6週で全荷重とした.術後6ヶ月での可動域は屈曲140°,伸展0°と健側と同等であった.【まとめ】外側半月板切除後の変形性膝関節症に対して,自家腱による半月板再建と大腿骨遠位骨切り術の併用は治療法の選択肢となり得る.

  • 秀島 義章, 花田 弘文, 藤原 明, 山口 史彦, 稲光 秀明, 熊野 貴文, 久保 勝裕, 竹山 文徳, 原 道也, 山本 卓明
    2018 年 67 巻 3 号 p. 452-456
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】外側型変形性膝関節症(以下OA)に対する手術治療は内側型OA膝と比較すると難渋する場合が多い.今回,膝前十字靭帯(以下ACL)再建術後の外側型OA膝に大腿骨遠位骨切り術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】56歳女性,25年前バレーボールで左膝受傷し,左膝ACL損傷,外側半月板(以下LM)損傷の診断でACL再建術,LM部分切除術を施行された.5年前から左膝痛が出現,次第に日常生活に支障をきたし当院受診.ローゼンバーグ撮影で外側関節裂隙消失,立位下肢全長X線にて%MAが65%,MRIで外側コンパートメントは外側半月板の消失と硬化所見を認めた.保存治療を行ったが軽快せず,手術治療を行った.手術は大腿骨内側遠位をclosed wedgeで骨切りし,大腿骨はbiplaneの骨切りを追加し,Synthes®社のDFO用LCPで固定した.【考察】外側半月板切除後は重篤な外反変形と軟骨損傷を伴うことがある.大腿骨遠位でのclosed wedgeにbiplaneの骨切りを行い短期であるが良好な結果を得ることができた.

  • 生田 拓也, 工藤 悠貴, 阿部 徹太郎
    2018 年 67 巻 3 号 p. 457-460
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【要旨】膝蓋腱皮下断裂に前十字靭帯断裂を合併した症例2例を経験したので報告した.症例1は29歳男性で,バイク事故にて受傷した.症例2は44歳男性で,脚立から転落し受傷した.いずれも当初は膝蓋腱断裂の診断であったが,MRIにて前十字靭帯断裂の合併を認識した.手術にて膝蓋腱および前十字靭帯を修復した.術後は3週間シリンダーキャスト固定の後,前十字靭帯装具固定の上,可動域訓練を開始した.2例とも伸展筋力の低下および前方不安定性はなくADLに支障はない.本症例はまれな外傷であるが,診断に関してはMRI撮影が必須であり慎重な読影が必要である.治療に関しては膝蓋腱断裂に対しては修復術が基本であると思われる.一方,前十字靭帯断裂手術に対する治療法としては,再建術の報告例が多いが我々は修復術を行った.修復術の際,膝蓋腱が断裂しているため十分な術野が得られ,前十字靭帯の縫合は比較的容易に可能であった.

  • 新見 龍士, 古市 格, 村田 雅和, 小河 賢司, 太田 真悟, 前原 史朋, 伊藤 康志
    2018 年 67 巻 3 号 p. 461-464
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    我々は動脈再建を要した膝複合靭帯損傷の1例を経験した.16歳男性,主訴は左膝痛,友人に左膝の上に乗られて受傷.近医受診20時間後に,左下肢痛増悪し当院紹介.左膝は疼痛にて自動運動不能,下腿は緊満感を認めコンパートメント内圧は全区画高値で単純X線では骨傷はなかった.左下腿コンパートメント症候群の診断として当日緊急で減張切開を行った.同日,造影CT・血管造影にて左後脛骨動脈近位部損傷を認めたが,下肢血流が温存されていたため血管外科と相談の上で保存的に観察した.後日MRIではACL,PCL,MCL,LCL損傷を認めた.その後下肢血流は徐々に悪化したため,第5病日に左膝動脈バイパス再建とイリザロフ創外固定を行った.創外固定抜去後,膝不安定性が強く,第106病日に複合靭帯損傷に対してPCL,ACL同時再建施行した.歩行状態は安定し日常生活に支障のない状況にまで回復した.膝関節脱臼や複合靭帯損傷の場合,動脈損傷に注意が必要で積極的にドップラー検査,動脈造影を行うことが必要と思われた.

  • 中山 恵介, 小澤 慶一
    2018 年 67 巻 3 号 p. 465-468
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    TKA術後にfabellaが腓骨神経麻痺の原因と考えられる1例を経験したので報告する.症例は79歳男性,右変形性膝関節症のためTKA施行した.術後4時間後から右足関節背屈不良と右下腿外側から足背にかけて知覚障害が出現した.術前X線とMRIで右大腿骨外顆後面にfabellaを確認しており,同部位にTinel徴候を認めた.fabella症候群を疑う病歴もあり,fabellaによる腓骨神経麻痺を考慮してTKA翌日にfabella摘出術施行した.術野では明らかな腓骨神経損傷を認めなかったが腓骨神経直下にあるfabellaが神経を後方へ圧迫していたため摘出した.術後1か月で麻痺症状は完治した.fabellaによる腓骨神経麻痺は以前から報告されており,TKA術後の症例も含まれていた.正常膝と変形性膝関節(OA膝)でのfabella出現率は有意差があり,OAのstage進行により出現率とサイズが上がるという報告もある.OA進行したTKA適応症例ではfabellaによる腓骨神経麻痺が生じる可能性がある.

  • 浦上 勝, 中島 三郎, 宮﨑 信, 沼田 亨祐, 棚平 健, 寺本 周平, 吉野 孝博
    2018 年 67 巻 3 号 p. 469-471
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    TKA後の膝蓋骨骨折は頻度の少ない合併症であるが,しばしば治療に難渋する.今回,我々はTKA後に膝蓋骨骨折を認め,Leeds-Keio人工靭帯を使用し,治療を行った1例を経験したので報告する.症例は75歳の女性で,TKA術後2.5ヶ月目に自宅で転倒し,左膝痛が出現したため,当科外来を受診した.単純X線で膝蓋骨の横骨折を認め,tension band wiringにより骨接合術を行った.骨接合術後6週目に,特に誘因なく左膝痛が出現し,単純X線で骨折部の再転位を認めた.末梢骨片を切除後,Leeds-Keio人工靭帯を使用し靭帯形成術を行った.術後9週現在,可動域は-10/120°でextension lagは認めず,疼痛無く杖歩行が可能となった.

  • 片山 修浩, 宮崎 眞一, 二山 勝也, 池田 天史, 大山 哲寛, 土田 徹, 川添 泰弘, 甲斐 裕基
    2018 年 67 巻 3 号 p. 472-474
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【症例】人工膝関節置換術は比較的安全な手術ではあるが,まれに血管系の合併症を生じることがある.TKA術後に膝窩動脈瘤を生じた1例を経験したので報告する.症例は69歳男性.10年以上前から変形性膝関節症に対して保存的に加療していたが,右膝痛による歩行障害が持続するため,TKAを施行した.術後2週目頃から右膝窩部に限局する疼痛の訴えがあったが保存的に経過をみていた.疼痛改善ないため,術後5週目にCT,MRI検査を施行したところ膝窩動脈瘤を認め,超音波にて膝窩動脈瘤への血流を確認し,同日緊急手術を施行した.後方アプローチにて瘤内の血栓除去,仮性動脈瘤を切除し端々吻合を行った.術後経過は良好で右膝関節痛は改善した.

  • 堀之内 駿, 海江田 光祥, 高橋 建吾, 松山 金寛, 田邊 史, 東郷 泰久, 小倉 雅, 佐々木 裕美, 小宮 節郎
    2018 年 67 巻 3 号 p. 475-478
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂の頻度はガイドラインでは0.8~4.9%と報告されており,受傷後数週間以内に生じることが多いとされ,見逃されてはならない合併症の一つである.今回われわれは2012年4月~2016年12月までに橈骨遠位端骨折に対して保存的加療を施行した115例(60歳以上の男性23例,女性92例,平均83.7歳)のうち,長母指伸筋腱断裂をきたした4例を検討した.全例女性で,平均年齢は69.5歳であった.3例は転位の少ない骨折で,骨折受傷から断裂までの期間は平均23.5日であり.従来の報告と同様の結果であった.断裂の発生要因としては,背側皮質のsharp edge等による機械的要因が考えられた.長母指伸筋腱断裂は比較的まれな合併症ではあるが,早期社会復帰,ADLに影響を及ぼす合併症であると考えられ,橈骨遠位端骨折を発症した場合は,合併症についての十分なインフォームドコンセントが必要である.

  • 林田 一公, 胤末 亮, 井戸川 友樹, 井上 雅文, 志波 直人, 相方 靖史
    2018 年 67 巻 3 号 p. 479-481
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    人工膝関節全置換術(TKA)の術後疼痛管理は術後リハビリテーション,患者満足度等に影響する.当院は2017年2月から関節周囲多剤カクテル注射を導入し,硬膜外持続注入麻酔法と比較検討を行った.対象は2017年2月から7月までにTKA施行し多剤カクテル注射が行われたカクテル群29例と,2017年2月以前に硬膜外持続注入麻酔下にTKA施行されたEpi群29例とした.調査項目は,疼痛強度NRS,関節可動域(屈曲,伸展),主食摂取量,出血量,副作用の有無,病棟内歩行器自立までの期間,入院期間とした.術後1,2日目の疼痛NRSはカクテル群の方が優位に低く,術後1日目の食事摂取量はカクテル群の方が有意に多かった.術後2日目の関節可動域(屈曲)はカクテル群の方が有意に屈曲角度は大きかった.多剤カクテル注射は硬膜外持続注入麻酔と比較して,手技が簡便な上,安定した術後疼痛コントロールが得られる有用な方法と考えられた.

  • 松下 任彦, 橋本 伸朗, 福元 哲也, 前田 智, 中馬 東彦, 平井 奉博, 松原 秀太, 吉村 直人
    2018 年 67 巻 3 号 p. 482-485
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    ひざまづきは起居動作(和式の生活)には必須である.しかし,TKA後に痛みはとれたが膝がつけないといった訴えを聞くことがあり,その原因は皮膚切開に関連していると思われる.そこで同動作に対しての膝蓋前外側弓状縦皮切の有効性を検討した.同皮切を用いたTKAを施行し,3カ月以上経過した108膝を対象にひざまづき動作テストを行った.105膝(97.2%)で同動作が可能であったが,不可能であった3膝ではいずれも結果的に脛骨粗面が皮切の外側に位置していた.皮切および知覚障害が荷重の中心にこないことをひざまづき動作が可能になる理由とした報告があり,本調査においてもそれを示唆する結果であった.同皮切はひざまづき動作に対して有効であると考えられ,皮切の位置と神経障害の低減が要因であると思われた.また,その他にも皮膚血行や瘢痕組織に関しての利点があると考えられた.

  • 村山 雅俊, 髙橋 知幹, 髙井 浩和
    2018 年 67 巻 3 号 p. 486-489
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    【症例】59歳,男性.既往は左大腿骨頭壊死症.誘因なく左膝痛が出現し,近医で加療も症状改善なく当院受診.左膝関節単純X線正面像で明らかな異常所見は認めず,側面像で大腿骨外側顆後方に関節面の軽度陥凹を認めた.MRIで,左大腿骨外側顆関節面に骨壊死像,脛骨近位骨幹端部から骨幹部にかけて広範囲に及ぶ骨壊死(骨梗塞)像を認めた.ステム付き脛骨コンポーネントを使用し,セメント固定で人工膝関節全置換術(TKA)を行った.術後6年経過し,膝痛はなく,インプラントの弛みも認めていない.【考察】広範囲骨梗塞を伴う膝骨壊死に対し,ステム付き脛骨コンポーネントでセメントTKAを行い良好な成績が得られた.骨梗塞は,症状がない場合も多く,初期には単純X線のみでは判明せず,MRIで偶発的に発見されることも多い.TKA術前の患者で,他部位に骨壊死や骨梗塞を認める場合には,MRIで術前評価することが望ましい.

  • 石松 憲明, 岡元 信和, 中村 英一, 山部 聡一郎, 舛田 哲朗, 白石 大偉輔, 水田 博志
    2018 年 67 巻 3 号 p. 490-493
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】家族性アミロイドポリニューロパチー(以後FAP)による脛骨高原Charcot骨折に対しTKAを施行した1例を報告する.【症例】症例は44歳男性,既往にFAPがある.3ヶ月前より左膝の疼痛・腫脹を認め,10日前より症状が増悪したために近医を受診し,脛骨高原骨折を認め当科紹介となった.初診時,左膝関節に腫脹・膝蓋跳動・外側の圧痛を認め,FAPによる両側膝以遠の知覚異常を認めた.X線では脛骨外側顆に骨破壊像を認めた.FAPによる左脛骨高原Charcot骨折と診断しTKAを行った.術後6ヶ月の現在,良好な経過を得ている.【考察】脛骨高原Charcot骨折に対する観血的治療に関し渉猟しえた限りではTKAでの良好な経過を示した4報告があり,本症例もこれに準じて治療を行った.【結語】FAPによる脛骨高原Charcot骨折に対し人工膝関節置換術を施行し良好な短期成績を得た1例を経験した.

  • 宮﨑 弘太郎, 野村 智洋, 秋吉 祐一郎, 南川 智彦, 真田 京一, 山﨑 裕太郎, 橋野 悠也, 柴田 陽三
    2018 年 67 巻 3 号 p. 494-497
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】高位脛骨骨切り術における骨切り面と膝窩動脈との距離・位置関係について検討を行った.【対象と方法】当院で2016年4月~2017年7月までに施行した膝MRI検査のうち3Dデーターが保存されMPR画像の再構成が可能であった症例を用いて検討を行った.内側開大式楔状高位脛骨骨切り術時の骨切りを想定し,内側関節面から3.5cm遠位の脛骨内側縁から腓骨頭へ向かう骨切り面のMRI画像の再構成を行い,脛骨後縁と膝窩動脈との最短距離および脛骨内側縁からの位置関係の評価を行った.【結果・考察】高位脛骨骨切り術における膝窩動脈損傷は非常に稀な合併症ではあるが,損傷時の治療は緊急手術を要する重篤な合併症の一つである.高位脛骨骨切り術における骨切り面と膝窩動脈との距離・位置関係に関して検討を行ったので若干の文献的考察を加え報告する.

  • 石原 康平, 諸岡 孝明, 木村 岳弘, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2018 年 67 巻 3 号 p. 498-501
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】内側開大型高位脛骨骨切り術(MOW-HTO)に対するトラネキサム酸(TXA)術後経静脈投与が出血抑制効果を有するか検討すること.【対象と方法】対象は2014年1月以降当院でMOW-HTOを施行した62膝.術中は駆血帯を使用し,ドレーンは留置していない.投与なし,1g投与,2g投与の3群について,患者背景,術後1週のヘモグロビン(Hb)変化量,周術期推定出血量,術後の下腿周径の変化を後ろ向きに調査した.【結果】患者背景に差はない.1g群と投与なし群のHb変化量に有意差はなかったが,2g群は投与なし群と比べHb低下が有意に少なかった.周術期推定出血量に3群間の有意差はなかったが,それぞれ181g,177g,126gと傾向は見られた.術後の下腿周径の変化量はHb同様1g群と投与なし群に有意差はなかったが,2g群は投与なし群と比べ腫脹が有意に少なかった.【結語】投与法,投与量については検討の余地があるが,MOW-HTOに対するTXA投与は有用と考えられる.

  • 髙橋 祐介, 島内 卓, 岩田 真一郎, 酒井 隆士郎, 綾 宣恵, 野口 康男, 江口 正雄
    2018 年 67 巻 3 号 p. 502-504
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    クロピドグレル(プラビックス)内服中の胸椎椎体骨折に硬膜外血腫を合併した1例を経験したので報告する.[症例]76歳女性.既往はレビー小体型認知症,高血圧であった.脳梗塞予防にクロピドグレルを内服していた.自宅で転倒受傷,同日救急病院受診.翌々日当院紹介,MRIでT12椎体骨折および同レベルでの硬膜外血腫を認めた.受診時両下肢不全麻痺を認め,入院後クロピドグレルを中止した.休薬1週間後に脊椎後方固定術(T9-L3)施行,血腫除去を行った.術後インフルエンザに罹患,術後3週より歩行開始し現在独歩可能である.[考察]一般的に抗凝固薬,抗血小板薬内服は硬膜外血腫のリスク因子である.クロピドグレルは2006年より発売された抗血小板薬だが,出血リスクについての報告は少ない.抗凝固薬,抗血小板薬内服中の椎体骨折患者では硬膜外血腫の合併に注意が必要と考える.

  • 内田 泰輔, 井上 三四郎, 大崎 佑一郎, 中川 航, 髙橋 宗志, 原田 知, 村岡 辰彦, 岩崎 元気, 小田 竜, 菊池 直士, 阿 ...
    2018 年 67 巻 3 号 p. 505-508
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    脊髄硬膜外血腫は片麻痺や対麻痺等多彩な神経症状を呈し,しばしば診断に苦慮する.2014年4月から2017年4月までに当院を受診した12例(男性4例,女性8例,平均年齢64.2歳)を対象とし,既往歴,抗凝固薬内服の有無,疼痛の有無,来院時血圧,血腫の高位,手術の有無,発症時と治療後の麻痺を検討した.高血圧の既往は7例,抗凝固薬内服は3例であった.来院時全例に後頚部から背部痛を認めた.来院時血圧上昇(収縮期血圧140mmHg以上)は11例に認めた.手術は3例に行った.発症時麻痺なしが4例,片麻痺が4例,対麻痺が1例,四肢麻痺が3例であった.最終観察時は全例Frankel Eへと回復していた.単純CTで全例血腫を疑う高信号域が判別可能であった.脊髄硬膜外血腫の診断において,疼痛の有無と構音障害の有無が診断のポイントとなり得る.

  • 甲斐 裕基, 川添 泰弘, 宮﨑 眞一, 大山 哲寛, 土田 徹, 二山 勝也, 片山 修浩, 池田 天史
    2018 年 67 巻 3 号 p. 509-512
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】特発性脊髄硬膜外血腫の7例に対する手術成績について報告する.【対象】男性4例,女性3例.手術時平均年齢69歳(54~86歳).血腫部位は頸椎3例,頸~胸椎3例,胸椎1例であった.3例に抗凝固薬,抗血小板薬の内服歴があり,3例に未治療の高血圧があった.1例を除き,MRIにて診断確定後,当日緊急に手術を行った.【結果】手術前は7例ともFrankel A~Cであったが6例は速やかにFrankel D以上に回復した.1例はFrankel Aの対麻痺に対して発症約8時間後に手術を行ったが,術後3年でFrankel Cまでしか回復しなかった.手術に伴う合併症はなかった.【考察】麻痺が軽症である場合,あるいは回復傾向にある場合は保存治療でも成績良好との報告があり,当院も基本的にその方針で治療を行っている.麻痺が重症の場合,なるべく緊急に手術を行い,回復は比較的良好であったが,1例に麻痺が残存した.

  • 井上 哲二, 阿部 靖之, 田上 学, 水溜 正也, 福田 和昭, 畠 邦晃, 有馬 嵩博
    2018 年 67 巻 3 号 p. 513-515
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    透析患者脊椎手術例の周術期合併症に関して評価するために,透析患者脊椎手術121例を圓尾分類Stage3(Destructive spondyloarthropathy:DSA3群)47例とStage2以下(対照群)74例に分けて比較検討した.DSA3群と対照群で患者特性に差は無かったが,インストルメント使用率は34%対12.2%(P<0.01),手術時間は140.8分(44―265分)対104.8分(39―315分)(P<0.05),術中出血量は134.0ml(5―655ml)対73.3ml(3―595ml)(P<0.05),周術期輸血率は31.9%対16.2%(P<0.05)で有意差を認めた.硬膜外血腫再手術率は8.5%対0.0%(P<0.02)であり,全体の周術期合併症率がDSA3群25.5%に対して対照群10.3%(P<0.01)で有意差を認めた.周術期の輸血および合併症の危険度は,DSAの病態に対する手術侵襲の大きさに依存すると考えられた.

  • 前田 和也, 田畑 聖吾, 越智 龍弥, 安岡 寛理, 中原 潤之輔, 平山 雄大, 酒本 高志, 中野 哲雄
    2018 年 67 巻 3 号 p. 516-518
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    【はじめに】夜間の下肢こむら返りは睡眠障害を生じる.腰部脊柱管狭窄症は70.8%に下肢こむら返りがみられ術後も47.6%に下肢こむら返りが遺残しADL低下が残存するとされている.ラメルテオン内服は夜間の下肢こむら返りの回数が減少するとの報告がある.【目的】脊椎術後に遺残した下肢こむら返りに対しラメルテオンの有効性を検討した.【対象と方法】2016年6月から2017年7月に脊椎術後に下肢こむら返りが残存し,ラメルテオンを処方した17例を対象とした.男性7例女性10例で平均年齢は71.7歳(46歳~87歳)であった.これらの症例に対し,ラメルテオンの効果を検討した.【結果】17例中12例で下肢こむら返りの回数の減少,睡眠障害の改善を認めた.3例は日中の眠気の出現により内服を中止した.【結論】脊椎術後に遺残した下肢こむら返りに対し,ラメルテオンはこむら返りの回数を減少させ睡眠障害を改善させることが示唆された.

  • 柳澤 義和, 野村 裕, 谷口 良太, 副島 悠, 荒武 祐至, 福徳 款章, 高野 祐護, 田中 孝幸, 土井 俊郎, 有馬 準一
    2018 年 67 巻 3 号 p. 519-522
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    我々は円筒レトラクターと顕微鏡による頸椎後方椎間孔拡大術を術中モニタリング併用下に行っている.今回,本術式における術後麻痺と術中モニタリング所見について検討した.対象は2012年から2016年6月にかけて手術した9例であり,平均年齢は60.2歳であった.術後麻痺の有無とその経過,術中モニタリング所見について調査した.平均follow-up期間は17.0か月.結果.術後麻痺を1例に認めたが最終経過観察時点には改善していた.また術中モニタリング異常を5例に認め,free-run EMG異常波形あり+MEP振幅異常なし:4例,free-run EMG異常波形なし+MEP振幅低下:1例であった.考察.当科のモニタリングアラームポイントはfree-run EMG異常波形出現時と,MEP振幅がコントロール波形の50%減少時としている.今回,術後麻痺は最終的に改善したことから,モニタリングで不可逆的な神経損傷を来す前に神経損傷を予防できた可能性が示唆された.

  • 島田 英二郎, 泊 真二, 伊藤 康正, 由布 竜矢, 安原 隆寛, 岡 和一朗, 國分 康彦
    2018 年 67 巻 3 号 p. 523-526
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    要旨:症例は76歳男性.起床時には無症状であったが,その10分後頃から特に誘因なく後頚部から右肩の痛み,右半身片麻痺が出現した.当院に救急搬送となり,脳梗塞の診断で血栓溶解療法開始となった.しかし,MRIにて頸椎に硬膜外血腫が認められたため,血栓溶解療法を直ちに中止とし,緊急血腫除去術の準備を行いながら床上安静で注意深く経過を観察した.安静のみで徐々に症状は改善し,12病日にFrankel分類Eの状態で自宅退院となった.発症より3か月後現在,再発なく経過している.脊髄特発性硬膜外血腫は比較的稀ではあるが,脳梗塞と誤診すると不幸な転帰を辿ることとなる疾患であるため,その診断には十分な注意を要する.

  • 吉武 孝次郎, 永野 賢, 上原 慎平, 福島 庸介, 河野 眞司, 崎村 陸
    2018 年 67 巻 3 号 p. 527-530
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    膝十字靭帯のムコイド変性は比較的に稀である.今回,尿酸結晶沈着にムコイド変性を併発した1例を経験したので報告する.症例は38歳男性.痛風発作の既往あり.数年前より右膝窩部に違和感があり,1週間ほど前より誘因なく屈曲制限が出現した.診察上,関節水腫は軽度,膝屈曲時に膝窩部に疼痛を認めた.MRIで後十字靭帯(PCL)は著明に腫大し,内部はT2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.鏡視にてPCLは靭帯全周性に結晶が沈着し,脆く,膨化していた.機能不全に陥った部分を切除すると,内部に黄色のムコイド変性が露出し,これを可及的に切除した.PCL後方には結晶沈着とガングリオンが観察され,可及的に切除した.病理診断にて,結晶は尿酸結晶,切除検体はムコイド変性だった.術後6カ月で症状なく,関節不安定もなく経過良好である.

  • 上田 幸輝, 水城 安尋, 山名 真士, 松尾 拓, 伊東 孝浩, 烏山 和之, 内村 大輝, 萩原 博嗣
    2018 年 67 巻 3 号 p. 531-533
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    膝の外側側副靭帯周囲に石灰化を生じた1例を報告する.70歳女性.初診6日前より誘因なく徐々に左膝痛があり,初診4日前には激痛となった.初診時左膝の腫脹は軽度で大腿骨外顆付近に圧痛を認めた.単純X線では左大腿骨外顆の外側に3cm大の石灰化を認め,境界明瞭で腫瘍性疾患が疑われた.初診4日後の左膝単純MRIでは外側側副靭帯の外側(関節外)に石灰化を認め周囲の浮腫が著明であった.しかしMRI撮影日には疼痛が軽快し,3ヵ月後に単純X線で石灰化は消失.その後再発を認めていない.境界明瞭な石灰化であり,当初は腫瘍性疾患を疑ったが,一過性に消失したことや関節外に発生したことより石灰性腱炎が最も考えられた.本症例では病理組織検査が施行できていないため確定診断には至らないが,膝関節周辺に急性発症した石灰化を認めた際に,疼痛が速やかに消失する場合には石灰性腱炎も鑑別に挙げるべきと思われた.

  • 高須 博士, 竹内 直英, 岡田 貴充, 小薗 直哉, 中西 芳応, 千住 隆博, 中島 康晴
    2018 年 67 巻 3 号 p. 534-536
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    症例:51才男性.約1分の痙攣の後に左肩関節痛と挙上制限を自覚した.数日後も疼痛が改善しないため,単純X線撮影を施行したところ左肩関節後方脱臼骨折を認めた.CTでは上腕骨頭の前方に陥没骨折(関節面全体の51%),小結節・大結節に骨折を認めた(AO分類:11-C 3.2).受傷15日目に人工骨頭置換術を施行した.術後1週目より他動可動域訓練を開始した.疼痛は消失し,経過良好である.考察:肩関節後方脱臼骨折は,肩関節脱臼骨折の2%以下と稀な外傷の一つである.また,痙攣後の肩関節後方脱臼骨折は不規則で繰り返す筋肉の収縮により生じると報告されている.治療法は徒手整復・肩甲下筋腱移行術,人工骨頭置換術などがあり,陥没骨片の関節面に占める割合が治療方針を決める一つの目安になる.本症例では上腕骨頭関節面の50%以上に陥没骨折を認めたため,人工骨頭置換術を選択した.

  • 後藤 裕之, 唐杉 樹, 徳永 琢也, 井手 淳二, 水田 博志
    2018 年 67 巻 3 号 p. 537-541
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    全周性肩関節唇損傷を認めた反復性肩関節前方脱臼の1例を経験したので報告する.症例は42歳の男性,右肩亜脱臼を10年間繰り返しており手術を勧められ当科を紹介となった.anterior apprehensionテストは陽性,JOAスコアは67点,Roweスコアは45点であった.X線検査では,Hill-Sachs病変を認め,CTでは関節窩前方に骨欠損を認めた.MRIでは上方・前方・後方関節唇損傷を示唆する所見を認めた.右反復性肩関節前方脱臼と診断し,鏡視下関節唇形成術を施行した.術中関節鏡にて全周性の関節唇損傷を認め,suture anchorを用いて全周性に関節唇を縫合し,remplissageを施行した.術後1年でapprehensionテストは陰性,またJOAスコアは100点,ROWEスコアは100点に改善し,再脱臼を認めておらず,良好な術後成績が得られている.

  • 相良 学, 梶山 史郎, 松尾 洋昭, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 542-545
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    比較的稀な肩関節後方脱臼に対し,Suture bridging法にて骨接合術を行った一例を報告する.66歳男性,バイク走行中に転倒し受傷.近医に搬送され,Xp,CTにて左肩関節後方脱臼骨折を認めた.同院にて整復後,当院に紹介受診.小結節及び大結節骨片は結節間溝を含め一塊となり前方転位しており,肩関節後方亜脱臼が残存していた.受傷8日後,直視下にSuture bridging法にて骨接合術を行った.術後,肩外転装具を6週間装着し可動域訓練を行った.最終観察時,肩関節可動域は屈曲135°,外転135°,下垂位外旋30°,内旋L2であり,肩関節不安感は認めなかった.JOA scoreは92点と良好な結果を得た.肩関節後方脱臼骨折は比較的まれな外傷であり,骨折型も様々である.本症例は大小結節部が連続したまま転位を来たし,後方亜脱臼が残存していた.結節部の整復固定にSuture bridging法が有用であった.

  • 当真 孝, 山口 浩, 森山 朝裕, 大湾 一郎, 金谷 文則
    2018 年 67 巻 3 号 p. 546-551
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    中高齢者の広範囲腱板断裂を合併した反復性脱臼の治療には難渋する.今回,我々の術後成績を報告する.対象は広範囲腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対して関節唇・腱板修復術を施行した8例8肩である.内訳は男性5肩,女性3肩,平均年齢は66歳,平均経過観察期間は25カ月であった.術前後の肩関節可動域(以下,ROM)(屈曲・外旋・内旋),日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(以下,SISスコア),再脱臼・再断裂を調査した.ROMは術前(屈曲78°・外旋24°・内旋1点)が術後(130°・56°・4点),SISスコアは術前23点が術後73点に改善した.再脱臼はなく,亜脱臼を1例,関節症性変化を1例,腱板再断裂を1例に認めた.広範囲腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する関節唇・腱板修復術は有用な術式と考えられた.

  • 河上 純輝, 菊川 憲志, 小田 勇一郞, 森田 誠, 橋本 憲蔵, 田村 諭史, 福間 裕子, 高田 興志
    2018 年 67 巻 3 号 p. 552-555
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    肩石灰性腱炎と診断されシメチジンを投与した症例について,臨床症状および単純X線の改善率を検討した.当科において肩石灰性腱炎と診断され,シメチジンを投与された33例35肩(男性6肩,女性29肩)を対象とした.病期分類としてDePalma分類を用いた.シメチジン内服後の疼痛を消失・軽快・不変に分け評価した.石灰化については,単純X線正面像で評価した.DePalma分類における急性期が25肩,亜急性期が6肩,慢性期が4肩であった.30肩(85%)で症状の改善(消失+軽快)を認め,24肩(69%)の症例で単純X線写真での石灰化改善を認めた.肩石灰性腱炎に対し,シメチジンの投与は有効な治療法の一つであると思われた.

  • 黒木 文裕, 伊崎 輝昌, 三宅 智, 柴田 光史, 田中 秀明, 矢野 竜太, 山本 卓明
    2018 年 67 巻 3 号 p. 556-558
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】穿刺後再発を生じ鏡視下手術を施行した肩甲上神経麻痺を伴う肩傍関節唇嚢腫の1例を報告する.【症例】32歳女性,1年前に左肩を打撲した後より左肩痛が生じ,次第に増悪した.左肩関節可動域は屈曲160度,外旋30度,外旋筋力はMMT4であった.MRIで肩関節関節唇後方に損傷がみられた.損傷関節唇に接した多房性嚢腫が肩甲切痕付近まで拡大していた.穿刺を行ったが,嚢腫が再発し外旋筋力低下が遺残したため,関節鏡視下に嚢腫穿破による除圧術と関節唇修復を施行した.術後4ヵ月のMRIで嚢腫は消失し外旋筋力はMMT5に改善した.【考察】肩甲上神経麻痺を伴う傍関節唇嚢腫では,穿刺のみで再発が生じると一過性の除圧効果しか得られない.関節唇損傷が嚢腫形成の原因と考えられるため,神経症状を伴う場合は,関節鏡視下手術が望ましいと考えられた.

  • 山本 俊策, 二之宮 謙一, 合志 光平, 牟田口 滋, 佐々木 大, 坂本 悠磨, 横山 信彦
    2018 年 67 巻 3 号 p. 559-560
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】一次修復不能な広範囲腱板断裂で偽性麻痺肩に対する鏡視下上方関節包再建術(以下ASCR)を行ったので,その治療成績を報告する.【対象と方法】2015年2月から2016年5月までにASCRを行った12肩(男性7肩,女性5肩)平均年齢72.5歳(67~80歳)を対象とした.術後平均観察期間は18.2ヶ月(13~28ヶ月)であった.可動域,MRI所見,JOAスコアを術前後で比較検討した.【結果】屈曲は術前平均52.5度が術後平均120.0度に,外転は術前平均51.2度が術後平均119.1度に改善した(p<0.05).外旋は術前平均27.5度が術後平均30.0度と有意な改善は得られなかった.JOAスコアは術前47.5点から術後70.7点と有意に改善した(p<0.05).術後屈曲90度以上の改善が得られなかったのは2例であり,いずれも立位での浜田分類グレード3であった.【結論】ASCRは良好な機能回復を認め,患者の満足度も高かった.良好な術後成績獲得のため適応を慎重に検討する必要があると思われた.

  • 杉山 卓郎, 後藤 昌史, 光井 康博, 本多 弘一, 志波 直人
    2018 年 67 巻 3 号 p. 561-563
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    60歳,女性.腱板断裂に対して,吸収性アンカーを用いた鏡視下腱板修復術(スーチャーブリッジ法)を施行した.術後3カ月頃より右肩痛と挙上困難が出現し,血液検査で炎症反応の上昇とMRIで肩峰下滑液包の液体貯留を認め,術後6カ月のMRIではさらに液体貯留と再断裂所見が確認されたため再手術を施行した.関節鏡所見では肩峰下滑液包内の著明な滑膜増殖,再断裂および内側の吸収性アンカー刺入部に骨軟骨破壊を認めた.滑膜切除を行い,内側の吸収性アンカーを摘出し外側アンカーはそのままとした.病理組織学的検査では滑膜に異物巨細胞を含む組織球の集簇と肉芽変化を認めたが,関節液・滑膜の細菌培養は陰性であった.アンカーの分解時期と発症時期が一致したことから異物反応性関節炎と考えられた.

  • 橋野 悠也, 柴田 陽三, 秋吉 祐一郎, 野村 智洋, 南川 智彦, 山﨑 裕太郎, 真田 京一, 宮﨑 弘太郎, 伊﨑 輝昌, 三宅 智 ...
    2018 年 67 巻 3 号 p. 564-568
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】TSA後7年でlooseningを生じ,RSAによる再置換を要した1例を報告する.【症例】59歳男性.初診の3年前より右肩痛が出現.右変形性肩関節症の診断で保存治療するも,徐々に増悪し当科紹介,TSA施行.術後7年でLazarus分類grade 5の関節窩コンポーネント周囲のlooseningを認めたため再置換術を施行した.術中所見にて腱板断裂を認め,RSAを施行した.関節窩骨欠損に対し腸骨移植を行いリバース型人工肩関節による再置換術を施行した.JOA scoreは術前38.5点から再置換術後6ヵ月で79点へ改善した.【結果】TSA後の関節窩コンポーネントlooseningは重要な問題である.再置換術として関節窩に腸骨移植後,二期的に再度TSAとしての関節窩コンポーネントを置換する方法と今回のRSAによる再置換術がある.今回,RSAへの再置換術を行い,短期であるが良好な成績を得た.

  • 立山 誠, 安樂 喜久, 堤 康次郎, 立石 慶和, 安藤 卓, 上川 将史, 武藤 和彦, 中西 浩一朗, 米村 光信
    2018 年 67 巻 3 号 p. 569-571
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    症例は70代女性.歩行中につまずいて転倒し受傷され当科紹介.初診時,左橈骨動脈および尺骨動脈は触知可能で,手指屈曲および手関節掌屈可能であったが,手関節背屈およびMP関節伸展不能であった.単純X線検査にて上腕骨骨幹部骨折(AO分類12-B1.2)を認めた.同日,神経損傷の有無を確認し骨接合術を施行した.らせん状骨片の先端に橈骨神経が挟まれ,同部に断裂は認めなかったものの褐色を呈していた.骨片先端の尖った部分を5mm程度切除して絞扼を解除し,神経剥離を行った.骨癒合は得られ,術後1年で肩関節,肘関節に関しては疼痛なく運動可能であったが,手関節背屈はMMT4,MP関節伸展および母指外転はMMT3レベルと麻痺症状が残存した.利き手でなく高齢でもあり,追加治療は希望されなかった.上腕骨骨幹部骨折に関連した橈骨神経麻痺では,遠位部に至るらせん骨折の場合,断裂や骨折部での挟み込みの可能性を念頭に置く必要がある.

  • 明島 直也, 宮本 俊之, 福島 達也, 田口 憲士, 土居 満, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 572-574
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    稀な上腕骨疲労骨折を経験したので報告する.健康な13歳男性.バレーボール部.利き腕は右利きで,ポジションはレフトポジションでエースアタッカー.14歳時に右橈骨遠位端離開の後に,手関節可動域制限を認めるも,バレーボールの練習を開始.15歳時に右手関節に疼痛が出現し,右橈骨骨端の早期閉鎖を認めた.同時期に右上腕骨近位1/3に疼痛の訴えがあったため,X線を施行.同部位に仮骨形成を認められたため,MRIを行い,皮質骨の異常信号を認めた.以上より上腕骨近位骨幹部の疲労骨折と診断した.本症例は手関節可動域制限下でのバレーボール運動により代償的に上腕骨に負担が生じ,上腕骨の疲労骨折に至ったと考えられた.関節可動域制限下での反復するスパイク運動のような投球類似動作は上肢で他部位の疲労骨折を起こす可能性があることを念頭におく必要がある.

  • 中西 浩一朗, 安樂 喜久, 堤 康次郎, 安藤 卓, 立石 慶和, 上川 将史, 武藤 和彦, 米村 光信
    2018 年 67 巻 3 号 p. 575-578
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    本研究では大結節部に4本のスクリューが挿入可能な上腕骨近位部骨折用髄内釘(Polarus 3)を用いて骨接合術を行ったのでその成績を報告する.対象は平成28年7月から平成29年6月までに当院で手術を行った11例(男性3例,女性8例)で,手術時平均年齢は73.3歳,骨折型はNeer分類 2パート 5例,3パート 5例,4パート 1例であった.最終観察時のJOAスコア,単純X線およびCT検査にて骨癒合・スクリューの転位および挿入状況・内反転位を評価した.最終追跡時の平均JOAスコアは81.2点であった.5°以上の内反転位を認めた1例では,高齢で大結節の粉砕を伴っており,整復位やヘッドアンカリングが良好であったにもかかわらず転位した.スクリューバックアウトを1例に認めたが,再手術を要した症例はなく全例で骨癒合が認められた.近位スクリューは全例4本とも大結節に挿入されていた.骨片の大きさや骨質,粉砕の有無を考慮する必要があるが,本インプラントは大結節骨片を有する骨折型にも有用である.

  • 今里 浩之, 栗原 典近, 竹脇 雄太, 岡村 龍, 公文 崇詞, 関本 朝久
    2018 年 67 巻 3 号 p. 579-581
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    【はじめに】上腕骨遠位骨端線離開は正診率の低さと内反肘後遺症が臨床的問題になりやすい.今回,関節造影に加え,ストレステストを行い,確定診断となった上腕骨遠位骨端線離開の1例を経験したため報告する.【症例】7歳男児,ドッジボール中に転倒受傷.近医より右肘関節脱臼骨折で紹介となった.単純X線で末梢骨片が後内側へ転位しており,上腕骨遠位骨端線離開が疑われた.関節造影下にて関節内骨折の所見はなく,ストレステストで上腕骨軸に対し尺骨軸が内側に転位し,右上腕骨遠位骨端線離開と診断できた.手術はcross pinningを行い,明らかな回旋転位や内反変形は生じていない.【考察】小児の上腕骨顆部の関節面は骨端軟骨であり,X線学的に読影情報が少なく特に上腕骨遠位骨端線離開は診断に難渋する事は少なくない.関節造影は手技的にも容易で,ストレステストを加えると診断は確実なものとなり,非常に有用な検査である.

  • 坂本 圭, 緒方 宏臣, 山下 武士, 川谷 洋右, 竹村 健一, 今村 悠哉, 松永 英人, 米村 憲輔
    2018 年 67 巻 3 号 p. 582-585
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
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    尺骨急性塑性変形に伴う橈骨頭脱臼の一例を経験したので報告する.【症例】4歳,女児.【主訴】右肘痛,右肘腫脹.【現病歴】座っている母親の背中から転落し,受傷.近医整形外科を受診し,尺骨の急性塑性変形の診断で同日当科紹介受診.単純X線で橈骨頭前方脱臼と,尺骨の塑性変形を認めた.【治療】全身麻酔下に徒手整復術を行った.橈骨頭は回外位で前方から押さえることにより整復され,尺骨の塑性変形も可及的に矯正し,橈骨頭の安定性を確認した後ギブス固定を行った.【経過】術後疼痛なく経過し,術後5週でギブス除去.肘の可動域制限は認めなかった.【考察】小児Monteggia骨折のうち尺骨塑性変形に伴う橈骨頭脱臼は比較的稀であるが見落とされれば重篤な障害を招くことがあり,正確な診断と早期の治療が重要である.

  • 米村 光信, 安樂 喜久, 堤 康次郎, 安藤 卓, 立石 慶和, 上川 将史, 武藤 和彦, 中西 浩一朗
    2018 年 67 巻 3 号 p. 586-589
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    橈骨頭の観血的脱臼整復を必要とした小児Monteggia骨折の一例を経験したので報告する.症例は8歳,男児.丸太の上から転落した際に左手をつき受傷.近医より左Monteggia骨折の診断で当科紹介となった.レントゲンにて尺骨近位骨幹端骨折・橈骨頭の前外側脱臼を認めBado分類typeⅢと診断した.同日透視下脱臼整復・尺骨に対する経皮pinningを行ったが,わずかに橈骨頭の外側偏位が残存し,可動域制限,回内外時のクリックを認めたため,関節内を直視下に確認する方針に変更した.術中所見として,輪状靱帯が橈骨頭と上腕骨小頭との間に陥入しており,整復を行うことで可動域制限・クリックとも消失した.術後1年の時点で経過良好である.小児Monteggia骨折では腕橈関節への輪状靱帯の陥入が比較的高頻度に生じていることが報告されている.尺骨の整復後も橈骨頭の偏位,可動域制限の残存を認める症例においては直視下に腕橈関節の確認を行うべきである.

  • 鈴木 正弘, 大茂 壽久, 舛本 直哉, 蒲地 康人, 長島 加代子, 古子 剛, 濱田 賢治, 大友 一, 清水 建詞, 田原 尚直
    2018 年 67 巻 3 号 p. 590-592
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】徒手整復不能で観血的整復を要した遠位橈尺関節掌側脱臼の1例を経験したので報告する.【症例】25歳男性.主訴は左手関節痛,回内外制限.ラグビーの試合中に相手選手と接触し,左尺骨頭背側に直達外力を受け受傷し,翌日に来院した.左手関節の腫脹,尺骨頭隆起の消失,著名な前腕回旋制限を認めた.単純X線正面像で橈尺骨の重なりを認め,側面像で尺骨頭の掌側偏位を認めた.CT像にて遠位橈尺関節の掌側脱臼を確認した.直ちに徒手整復を試みるも整復困難であり,同日,観血的脱臼整復を行った.尺骨切痕掌側の張り出しにより骨性に整復が障害されていた.観血的整復後に遠位橈尺関節の不安定性を認め鏡視下TFCC縫合を行った.術後は4週間の外固定を行い,その後可動域訓練を開始した.術後6ヶ月で回内外制限なく,経過良好である.【考察】遠位橈尺関節掌側脱臼は稀な疾患であり,尺骨切痕掌側の張り出しを認める場合は徒手整復困難な場合がある.

  • 田中 秀明, 田中 祥継, 副島 修, 山本 卓明
    2018 年 67 巻 3 号 p. 593-596
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    母指CM関節症に対し,平成28年5月から長掌筋腱を用いた関節形成術(Ligament Reconstruction Suspension Arthroplasty:LRSA8))を行ってきたので,その短期治療成績を若干の考察を加え報告する.症例は,2016年以降,LRSAを施行した8例8関節,Eaton分類1)stageⅢ:4関節,stageⅣ:4関節.VAS,Quick DASH score(JSSH版)2),橈側外転は統計学的に有意差を認めた.掌側外転,握力,ピンチ力も有意差はないものの改善を認めた.LRSA法はCM関節を構成する靭帯を温存した関節形成術であり,母指CM関節症Eaton分類StageⅢ以降の症例に対し有用な方法と考える.

  • 中村 厚彦, 尾上 英俊
    2018 年 67 巻 3 号 p. 597-600
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    手舟状骨脱臼の1例を経験したので報告する.症例は24歳男性.作業中に重量物を持ち上げるアームに左手関節を両側から挟まれて受傷した.単純X線像で左手舟状骨は橈側に脱臼し,矢状面では近位側が背側に転位していた.また月状骨の背屈変形を認めた.初療時に静脈麻酔下に徒手整復を行い舟状骨脱臼は整復されたが,舟状月状骨解離を認めた.受傷後2日で手術を行った.直視下に整復位を確認し経皮的鋼線固定を行い,舟状月状骨靱帯を縫合した.術後は約5週間のthumb spica cast固定を行った.術後3か月で疼痛及び可動域制限は認めず短期経過は良好であった.舟状骨単独脱臼の受傷機転としては手関節の背屈・尺屈強制により舟状骨が橈側・掌側に脱臼するものが多いとされているが,本症例のように橈側・背側に転位するものは稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 上木 智博, 辻本 律, 松林 昌平, 杉山 正泰, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 601-605
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    〈緒言〉手舟状骨疲労骨折は非常に稀な骨折である.当科で経験したバドミントン選手における手舟状骨疲労骨折2例を報告する.〈症例1〉17歳男性.バドミントン選手.誘因なく右手関節痛が出現.1ヵ月後に近医受診.MRI検査で手舟状骨疲労骨折と診断され,4ヵ月間保存加療を行われたが,疼痛が残存したため紹介受診.骨折観血的手術を施行,術後3ヵ月で骨癒合を得た.〈症例2〉14歳男性.バドミントン選手.競技中に誘因なく右手関節痛が出現.即日近医受診.MRI・CT検査で手舟状骨疲労骨折と診断され紹介受診.骨折観血的手術を施行,術後2ヵ月で骨癒合を得た.〈結語〉バドミントンによる繰り返す手関節背屈動作が手舟状骨疲労骨折の原因と考えられた.転倒歴のないバドミントン選手の手関節痛では手舟状骨疲労骨折も念頭に検査,治療を行う必要がある.手舟状骨疲労骨折において,早期の競技復帰をめざすためには,初期から観血的治療を行うべきである.

  • 國武 真史, 吉田 健治, 中村 英智, 井上 貴司, 白石 絵里子, 神保 幸太郎, 志波 直人
    2018 年 67 巻 3 号 p. 606-609
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    母指中手骨骨端離開で徒手整復不能があり観血的治療を行った1例を報告した.症例は9歳男児.サッカーボールが右母指にぶつかり受傷.同日当科を受診し,母指基部の腫脹,運動時痛を認め,X線で母指中手骨骨端線離開Salter-Harris type Ⅱ, O'Brien分類typeCと診断した.徒手整復を試みたが整復不能であった.5日後,全身麻酔下に再度徒手整復を試みたが不能であったため観血的治療を行った.骨折部は内方凸の変形をしており,骨膜により整復が障害され,いわゆる骨膜管脱臼の病態を呈していた.骨膜を切開し整復は可能となりK鋼線でcross pinningを行った.術後1年で変形治癒なく経過し,術後8年で明らかな成長障害はなかった.母指中手骨骨端離開の整復不能の原因が軟部組織や骨膜の介在によるものとの報告はあるが詳細に言及したものはない.母指中手骨骨端離開の整復不能例の中には,骨膜管脱臼の病態を呈しているものが含まれていると推測された.

  • 佐藤 十紀子, 宮本 俊之, 福島 達也, 田口 憲士, 土居 満, 辻本 律, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 610-612
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    Darrach法は主に関節リウマチ(RA)の遠位橈尺関節障害に対して用いられる手術法である.粉砕が強い尺骨遠位端骨折2例に対してDarrach法を選択し,良好な成績を得たので報告する.症例1:50歳男性.はしごから転落し受傷.右橈尺骨遠位端骨折に対し橈骨プレート固定およびDarrach法施行した.術後1年合併症なく経過している.症例2:75歳女性.調理中にガスボンベが爆発し受傷.左橈骨骨幹部骨折および尺骨遠位端骨折に対し橈骨プレート固定,Darrach法施行.術後4か月で回内外制限なく経過している.Darrah法を選択した2例において,回内外制限なく経過した.Darrach法はRAのサルベージ手術としてのみならず,尺骨遠位端骨折において粉砕し整復困難な場合にも有用な治療法となり得る.

  • 柴田 達也, 尾上 英俊, 中村 厚彦, 戸田 慎, 杉野 裕記, 野村 耕平
    2018 年 67 巻 3 号 p. 613-615
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    テリパラチド(以下TPD)が有効であった脆弱性骨折の2症例を報告する.【症例1】71歳女性,14年前にTHAを受け,自宅で転倒し股関節痛が出現した.外来を受診し単純X線写真で異常所見なく経過観察としたが,疼痛が持続し初診後3ヶ月の単純X線写真でカップ周囲の臼蓋底に骨折と透亮像を認めた.TPDの投与を開始,投与2ヶ月で疼痛は軽減し,投与3ヶ月で骨癒合を認めた.【症例2】63歳女性,上腕骨近位端骨折に対し髄内釘による骨接合術を行った.術後2ヶ月,肩の自動外旋運動中に上腕部に疼痛が出現した.単純X線写真で髄内釘の遠位横止めスクリュー部での斜骨折を認めた.functional braceを装着しTPDの投与を開始,投与14週で骨癒合を認めた.【結語】脆弱性骨折に対する治療は骨脆弱性の改善に加えて骨癒合促進が必要であり,TPDの使用はその一助になっていた.

  • 富田 雅人, 宮田 倫明, 野村 賢太郎, 山口 圭太, 相良 学, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 616-619
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    [はじめに]軟部肉腫の化学療法はアドリアマイシンを中心に行なわれる事が多いが,外来での施行が困難であった.2016年2月より我国でも進行軟部肉腫に対してエリブリンが使用出来る様になり,外来化学療法が可能となった.[症例]当科に於いて現在までにエリブリンによる外来化学療法を3症例に行なった.症例は,初診時25歳女性,胞巣状軟部肉腫肺転移,肝転移の症例,51歳男性,後腹膜脱分化脂肪肉腫肺転移の症例と59歳女性,血管肉腫術後胸壁再発の症例であった.初回は入院して投与を行なったが,重篤な副作用は無く第2サイクルから外来にて治療を行なった.骨髄抑制を各コースのDay15にみとめる事があり,G-CSF投与を行なった.手の痺れを訴える事が多いが重篤な副作用は無く外来にて治療継続可能である.[まとめ]エリブリンは,重篤な副作用が少なく外来化学療法の継続が可能であり,軟部肉腫に対する2ndラインまたは3rdラインの治療剤として有用と考えた.

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