整形外科と災害外科
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67 巻, 3 号
選択された号の論文の56件中51~56を表示しています
  • 山口 圭太, 富田 雅人, 宮田 倫明, 野村 賢太郎, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 620-623
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】軟骨肉腫の治療は外科的切除術が原則であり,化学療法や放射線療法の効果は期待できない.肋骨に発生した軟骨肉腫は広範囲切除を行う際,胸壁再建が必要となる.今回我々は,肋骨に発生した軟骨肉腫の3症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】症例は,24歳,男性,34歳,男性,77歳,女性である.発生部位は,右第9肋骨,右第8肋骨,左第8肋骨であった.手術は全例,広範囲切除術+デュアルメッシュ®による胸郭形成+広背筋皮弁を行った.腫瘍切除は整形外科,デュアルメッシュ®による胸郭形成は胸部外科,広背筋皮弁は形成外科が担当した.術後再発や転移はなく,最終経過観察時腫瘍学転帰は全例CDFであった.【考察】肋骨に発生する軟骨肉腫は切除後,胸郭再建,皮弁形成が必要であり3診療科が連携することで良好な治療成績を得ることができた.

  • 野村 賢太郎, 富田 雅人, 宮田 倫明, 尾﨑 誠
    2018 年 67 巻 3 号 p. 624-627
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】当科において2011年から2016年までに,診断,治療を行った脱分化型脂肪肉腫8例の治療成績を検討した.症例は男性6例,女性2例,平均年齢は63.1歳,平均経過観察期間は3年0ヵ月であった.【結果】発生部位は大腿部5例,後腹膜1例,精索1例,側腹部1例であった.手術は8例中7例で行っており,広範切除が5例,辺縁切除が2例であった.後腹膜発生の1例は手術困難で化学療法を行っていた.辺縁切除を行った2例は画像上,高分化型脂肪肉腫が疑われた一例と生検で平滑筋腫の診断だった一例であった.局所再発は辺縁切除を行った1例で認めていた.遠隔転移は2例で認めた.腫瘍学的転帰はCDFが5例,AWDが2例,NEDが1例であった.【考察】脱分化型脂肪肉腫の疾患概念と診断基準は近年変化してきており,今後脱分化型脂肪肉腫の診断が増加することが予想される.

  • 岡元 彰平, 佐々田 晋, 久壽米木 亮, 髙橋 雄一, 西田 憲記
    2018 年 67 巻 3 号 p. 628-631
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    症例1は65歳男性.半年前より左頚部から上肢痛が出現.症例2は52歳女性.4ヶ月前より左肩甲骨部から上肢痛が出現.どちらも近医を受診し,頚椎症と診断され,対症療法が行われるも,症状の改善に乏しく当院を受診.頚椎MRIにて,C7/T1,T1/2高位で椎弓左側やその周囲に浸潤する輝度変化がみられた.その後,呼吸器外科に紹介し,Pancoast腫瘍と診断された.頚椎単純X線の正面像では,どちらも左肺尖部に明らかな異常陰影を認めていた.Pancoast腫瘍は,頚椎症や肩疾患と誤診されやすく,初診時の見逃しが多く報告されている.またその多くは整形外科医からの報告である.見逃しや診断の遅れが,その後の余命にも関わるため,早期診断が極めて重要となる.頚椎症様の症状を呈し,画像所見や身体所見に乏しい際に,単純X線やスカウト像で肺尖部の評価を行うことが,見逃しの予防につながると考えた.

  • 萩原 秀祐, 信藤 真理, 田中 潤, 山本 卓明
    2018 年 67 巻 3 号 p. 632-635
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【症例】53歳男性【主訴】左側胸部から背部痛【現病歴】3年前より肋骨に沿っての左側胸部から背部痛を認めていた.多数の病院を受診するも原因は明らかでなく,内服を含めた対症療法を行われていた.夜間に入眠困難となる程の疼痛を認め当科外来を受診された.【既往歴】特記事項なし【臨床経過】MRI上,Th8/9左椎間孔内から外側にかけて結節状病変を認め神経鞘腫が疑われた.呼吸器外科との合同手術の方針となり,当科にて左Th8/9部分椎弓切除,Th8神経根結紮切除を行い,その後に呼吸器外科にて胸腔鏡を用い後縦隔内の腫瘍を切除した.30×15mmの腫瘍は一塊に摘出することができ,皮膜に覆われ割面は炭様組織で充満,組織診断はMelanotic schwannomaであった.術後Th8領域の神経痛は改善傾向であり自宅退院となった.【考察】非常に稀であるMelanotic schwannomaを経験したため文献的考察も含め報告する.

  • 比嘉 勝一郎, 金城 英雄, 前原 博樹, 島袋 孝尚, 中島 慶太, 當銘 保則, 金谷 文則
    2018 年 67 巻 3 号 p. 636-640
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    Langerhans cell histiocytosis(以下LCH)は,Langerhans細胞の増殖を特徴とする原因不明の疾患で,骨腫瘍全体の1%以下と稀である.今回,われわれは脊椎に発生したLCHの3例を経験したので報告する.【症例1】13歳男児.1ヵ月半前から胸背部痛があり受診した.Xp上T2椎体は圧潰し,PET-CTでT2・T9・S1椎体にFDGの集積がみられた.T2椎体の生検を行い単臓器多病変型のLCHと診断した.化学療法を行い,初診後4年の現在,再発はない.【症例2】8歳女児.1ヵ月前から両季肋部痛があり受診した.Xp上T9椎体は圧潰し,PET-CTで同部位にFDGの集積がみられた.生検を行い単臓器単病変型のLCHと診断した.BP製剤の内服を行い,初診後1年4ヵ月の現在,再発はない.【症例3】27歳男性.2ヵ月前から頚部痛と右上肢のしびれがあり受診した.MRI上C7椎弓右側に信号変化があり,PET-CTで同部位にFDGの集積がみられた.生検を行い単臓器単病変型のLCHと診断,初診後7ヵ月の現在,経過観察中である.

  • 中島 慶太, 金城 英雄, 比嘉 勝一郎, 島袋 孝尚, 金谷 文則
    2018 年 67 巻 3 号 p. 641-644
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    症例:22歳女性.4ヵ月前より右下肢痛が出現し,近医整形外科を経て婦人科を受診した.骨盤内に腫瘍を認めたため当科に紹介された.初診時右大腿部外側に軽度の疼痛があり,アキレス腱反射は消失していたが,明らかな筋力低下はなく腹部膨満感などはなかった.MRIで骨盤内に直径約10cmの右S1神経孔に連続する腫瘍を指摘された.透視下に右S1神経孔より針生検を行い神経鞘腫と診断した.手術前日に栄養動脈の塞栓術を施行した.手術はまず腹臥位で後方よりアプローチし右仙骨椎弓を切除し,神経根尾側の腫瘍と神経根,仙骨前面との癒着を剥離した.その後砕石位で前方より経腹膜的にアプローチした.仙骨前面との癒着のため一塊で摘出できず,被膜内で核出し容量を減少した後に被膜ごと切除した.出血量は680mlで輸血は行わなかった.病理は神経鞘腫で悪性所見はなかった.術後明らかな神経脱落症状を認めず,術後2週で独歩にて退院,術後3ヵ月で再発はない.

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