整形外科と災害外科
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67 巻, 4 号
選択された号の論文の59件中51~59を表示しています
  • 安原 隆寛, 泊 真二, 伊藤 康正, 瀬尾 健一, 由布 竜矢, 岡 和一朗, 馬場 覚, 島田 英二郎, 大角 崇史, 國分 康彦
    2018 年 67 巻 4 号 p. 829-833
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    我々は,腰椎に発生した硬膜内脱出ヘルニアの2例を経験したので報告する.症例1,70歳男性.L3/4で正中に突出する巨大ヘルニアを認め,手術を行ったが,癒着が強く,硬膜が裂けた.ヘルニアを摘出し,損傷した硬膜を修復した.術後7カ月で,同レベルでヘルニア再発.硬膜内脱出ヘルニアと診断し,摘出した.症例2,59歳男性.仕事中に10 kgのものを抱えたところ,腰痛と右下肢痛が出現し,前医にて保存的加療を行われたが軽快せず,当科を紹介.L3/4で右側優位のヘルニアを認め,硬膜は左側に圧排されていた.椎弓形成術+ヘルニア摘出術を施行.術中,ヘルニアを摘出する段階で,髄液の流出を認めた.あらためて硬膜を観察すると,色調の違う硬い腫瘤を触れた.硬膜内椎間板ヘルニアと診断,硬膜を切開し腫瘤を摘出した.両症例とも,術後経過は現在まで良好である.

  • 梅木 駿, 生田 光, 志田原 哲, 仙波 英之, 北村 貴弘, 増田 圭吾, 堀田 謙介, 原田 哲誠, 小野 玄太郎
    2018 年 67 巻 4 号 p. 834-838
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    腰仙部神経根奇形は術前画像診断が困難な場合もあり,術中医原性神経損傷の危険性もある.今回,腰仙部神経根奇形に伴った椎間板ヘルニアの2例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例1】37歳女性.特に誘因なく右下肢痛と痺れ,腰痛が出現し,体動困難となった.L5,S1固有知覚領域に痺れを認めた.術前MRIで右L5・S1神経根にNeidre-MacNab TypeⅠAの神経根奇形とその分岐直下にヘルニアを認めた.通常の椎弓間進入では安全にヘルニアを摘出するのは困難と判断し,経椎間孔進入でヘルニアを摘出した.【症例2】37歳男性.階段から転落後に腰痛と右足部全体の痺れ,右下垂足が出現した.術前MRIでL5/S1右椎間板ヘルニアを認め,内視鏡下ヘルニア摘出術を施行した.術中,右S1神経根から椎間孔に向かう交通枝を認め,愛護的操作下にヘルニアを摘出した.【結語】腰仙部神経根奇形を伴った椎間板ヘルニアの2例を経験した.腰仙部椎間板ヘルニア手術では,神経根奇形の可能性を念頭に置き,治療にあたる事が重要である.

  • 不動 拓眞, 松原 庸勝, 後藤 雅史, 佐藤 公昭, 山田 圭, 井上 英豪, 横須賀 公章, 岩橋 頌二, 永田 見生, 志波 直人
    2018 年 67 巻 4 号 p. 839-841
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【症例】17歳女性.学校の清掃時間にゴミ捨て場の鉄扉が倒れてきて下敷きになり受傷.頚部痛,頚椎可動域制限を訴え救急搬送.初診時,外見上は斜頚を認めており,単純CTにてC1/2両側椎間関節のロッキングを認め,環軸椎回旋位固定Fileding分類type 1の診断となった.緊急で鎮静下に徒手整復を施行するも整復困難であり,ハロー牽引を1.5 kgより開始.0.5 kg/日で増量し,受傷後7日でCT検査を施行したところロッキングは解除され良好な整復が確認されたためハローベストへ変更.その後ハローベストを2週間,ハードカラーを5週間,計8週間の固定を行った.カラー除去後,斜頚は改善し頚椎可動域制限を認めず,現在学校生活に制限なく復帰している.【考察】環軸椎回旋位固定は学童期に起こりやすく,骨成熟した学童期以降に起こることは稀である.本例は適切な時期に適切な治療を行うことで良好な治療成績が得られたと思われた.

  • 吉野 宗一郎, 井原 和彦, 島田 信治, 竹下 都多夫, 佐藤 陽昨, 中川 憲之, 井上 知久, 薄 陽祐, 吉河 康二
    2018 年 67 巻 4 号 p. 842-844
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    比較的稀と考えられる腓骨変形を伴った脛骨遠位端骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は11歳女児.誘因なく出現した右足関節外側の膨隆を主訴に当科初診.足関節外果近位に直径3 cmの硬い膨隆を触知した.疼痛や足関節可動域制限を認めなかった.X線像では脛骨遠位端から腓骨側へ膨隆しこれを圧排する骨腫瘍と軽度の足関節内反変形を認めた.MRIでは腫瘍表面にT2強調像で高信号の軟骨帽を認め単発性骨軟骨腫と診断した.膨隆増大による足関節内反変形進行が危惧され手術の方針とし,前外側進入で腓骨に侵襲を加えず脛骨腫瘍切除術を行った.病理組織学的所見では厚さ2 mmの硝子軟骨からなる軟骨帽で覆われた造骨性腫瘍が軟骨内骨化を呈する良性骨軟骨腫像であった.後療法は術後1週間ギプスシーネ固定,2週間の免荷の後に荷重を開始した.術後6ヶ月時点では臨床所見で左右差なく日常生活や体育も支障がない.X線像では腓骨のリモデリングを認めている.

  • ―Kyocera J-Taper versus PerFix 910の比較検討―
    竹下 修平, 嶋﨑 貴文, 吉里 広, 江頭 秀一, 髙山 剛
    2018 年 67 巻 4 号 p. 845-849
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭挿入術において,ステム形状の異なるtapered-wedgeタイプのJ-Taper(T群)とfit and fillタイプのPerFix 910(P群)の臨床成績を比較検討すること.【対象と方法】2014年8月から2016年9月に当院で同術を行った25例を対象とした.患者背景を考慮せず,経時順に交互に二機種を使用した.【結果】周術期の調査項目(手術時間,出血量,輸血の有無等)において両群間に有意差を認めなかった.最終的に両群ともに全例でstable fixationが得られた.grade 2以上のStress Shieldingに関して,T群で有意に少なかった.T群で非進行性のステムの沈下を1例に認めた.【考察】固定・荷重様式のデザインが異なるものの,両機種とも概ね良好な中短期の成績が得られた.

  • 岡 和一朗, 池村 聡, 福士 純一, 本村 悟朗, 濱井 敏, 中島 康晴
    2018 年 67 巻 4 号 p. 850-852
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】当科で施行しているTHA術後疼痛対策の検証および術後疼痛に影響を与える因子について検討すること.【対象および方法】当科でTHAを施行した38例を対象とした.患者背景,麻酔方法,閉創後の創周囲カクテル皮下注射(トリアムシノロンアセニド+レボブピバカイン+トラネキサム酸)およびアセトアミノフェン点滴静注使用の有無,術後VAS値に関して単変量および多変量解析を行った.【結果】術後24時間での平均VAS値は29.2 mmであり,カクテル注射使用群(17.9 mm)は非使用群(43.2 mm)に比し有意に小さかった(P<0.01).術後72時間では有意差を認めなかった.疼痛コントロール良好と言われるVAS値20 mm以下とそれ以上の2群で多変量解析を行うと,カクテル注射使用,非使用のみが術後24時間のVAS値に影響を与える有意な因子であった(P<0.05).【考察および結語】本研究結果から術後24時間のVAS値は平均30 mm未満と概ね良好にコントロールされていたが,カクテル注射使用で更なる疼痛軽減が期待できると考えられた.

  • 池辺 智史, 泉 政寛, 秋山 隆行, 馬渡 正明
    2018 年 67 巻 4 号 p. 853-856
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】肩甲骨骨折は比較的まれな骨折である.当院で肩甲骨骨折に対し骨接合術を行った症例について報告する.【対象と方法】2011年1月~2014年12月に観血的手術を行った,肩甲骨骨折6例6肩を対象とした.男性4肩,女性2肩,手術時年齢は平均56.1歳,術後観察期間は平均10.5ヵ月,肩甲骨関節窩骨折1例,肩甲骨頸部骨折1例,関節窩骨折+頸部骨折1例,superior shoulder suspensory complex(SSSC)の破綻を2か所以上に認める骨折3例であった.調査項目は受傷機転,術前待機期間,合併損傷,術中出血,手術時間,固定材料,術後合併症,術後Japan Orthopaedic Association(JOA)スコアとした.【結果】受傷機転は交通外傷4例,転落2例,交通外傷の4例は全てバイク事故によるものであった.術前待機期間は平均11.3日,合併損傷は,頭部外傷2例,胸部外傷2例,他部位骨折を4例に認め,平均術中出血138 g,平均手術時間131分,術後合併症はなく,術後JOAスコアは平均86点であった.【考察】肩甲骨骨折は合併症のコントロールに時間を要することも多いため,迅速な診断が重要である.

  • 有馬 大智, 佐々木 裕美, 嶋田 博文, 永野 聡, 天辰 愛弓, 瀬戸口 啓夫, 後藤 優子, 平木 翼, 谷本 昭英, 小宮 節郎
    2018 年 67 巻 4 号 p. 857-860
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】紡錘形細胞脂肪腫spindle cell lipomaは脂肪腫の特殊型で,中年男性の後頚部,肩,背部に好発する稀な腫瘍である.【症例】70歳男性,背部皮下に弾性軟,約8 cm大の腫瘤を認めた.MRI上T2強調画像にて著明な高信号を主体とし,漸増性の増強効果を呈し内部に微小な脂肪成分を認め,分葉状の形態を呈していた.粘液型脂肪肉腫との鑑別が必要と考え,生検術を施行.肉眼的に粘液性の成分と一部線維性の組織を採取した.病理所見では粘液腫様の間質内に存在する短紡錘形の腫瘍細胞はCD34陽性,ロープ状膠原線維の存在やMDM2陰性から紡錘形細胞脂肪腫と診断し,辺縁切除術を施行した.【まとめ】紡錘形細胞脂肪腫は術前診断が難しく,他の脂肪系腫瘍である粘液型脂肪肉腫や異型脂肪腫様腫瘍との鑑別が重要である.画像所見や病理所見,臨床所見について文献的考察を加え報告する.

  • 米倉 豊, 村中 一喜, 樋口 健吾, 泉 政寛
    2018 年 67 巻 4 号 p. 861-863
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/11/12
    ジャーナル フリー

    【はじめに】上前腸骨棘裂離骨折は,成長期にしばしば認められるスポーツ傷害の一つである.今回,外傷を誘因とし成人に生じた上前腸骨棘裂離骨折の一例を経験したので報告する.【症例】58歳,男性.3 mほどの崖を登っていた際に滑落し受傷した.右鼡径部痛が出現し,歩行困難となり,当院を受診された.骨盤部単純X線検査とCT検査にて,右上前腸骨棘裂離骨折を認めた.受傷後2日目に手術を行い,4.0 mm CCS 2本(ワッシャー併用)で固定を行った.術後は可及的早期に歩行訓練を開始したところ術後1週目の単純X線検査にて,裂離骨片のカットアウトを認めた.再手術を行い,1/3円プレートを用いて再固定を行った.再手術後1週目より部分荷重歩行を開始し,術後3週で自宅退院となった.【まとめ】成人に生じた上前腸骨棘裂離骨折は稀であり,手術固定方法や術後安静度などに注意を要する.

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