整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
最新号
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
  • 冨田 哲也, 岡田 貴充, 松本 嘉寛, 遠藤 誠, 薛 宇孝, 中島 康晴
    2019 年 68 巻 2 号 p. 177-180
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】悪性骨軟部腫瘍の不適切切除例に対する追加手術は高侵襲となり,特に上肢では追加広範切除による機能損失が大きい.当科で追加治療を施行した上肢の不適切切除例について検討した.【対象】2011~2017年に当科紹介された上肢発生骨軟部腫瘍815例のうち不適切切除例と判断された9例を対象とした.【結果】男性7例,女性2例,平均年齢69.3歳であった.全例が浅在性軟部腫瘍であり,病理診断は粘液線維肉腫6例,隆起性皮膚線維肉腫,骨外性Ewing肉腫,CIC遺伝子再構成肉腫各1例であった.初回術前にMRIを施行されたのは3例のみで,生検は全例未施行であった.初回手術時の手技上の問題点として横皮切,被膜損傷や掻爬による腫瘍播種などがあった.当院での追加手術7例のうち4例で再建を要した.【考察】上肢発生軟部腫瘍では,浅在性腫瘍であっても一期的な切除生検は適応を限定して施行することが望ましいと思われた.

  • 明島 直也, 富田 雅人, 宮田 倫明, 野村 賢太郎, 上木 智博, 尾﨑 誠
    2019 年 68 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    症例は62歳女性.右胸壁平滑筋肉腫に対して腫瘍摘出術と放射線治療を受けた.術後に再発を来し当科紹介となった.当科にて化学療法(ADR+IFM)を3クール行ったが,効果がなかったため,トラベクテジンに変更した.1クール目は問題なく終了した.2クール目に薬液が皮下に漏出し投与を中止した.翌日自覚症状なく,皮膚にも異常を認めず退院した.漏出後3日目に,右前胸部の発赤,熱感,疼痛が出現した.症状が増悪したため,漏出後5日目に緊急手術(CVポート抜去,デブリードマン)を行った.皮膚の状態は落ち着いたが術創が治癒しないため漏出後1ヶ月目に広範なデブリードマンを行った.その後全層植皮を行い,トラベクテジンを再開した.トラベクテジンは血管外に漏出した場合は重大な軟部組織障害を起こすことが報告されている.今回,トラベクテジンの血管外漏出により皮膚障害を生じた一例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

  • 岩永 隆太, 三原 惇史, 村松 慶一, 伊原 公一郎
    2019 年 68 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    (はじめに)悪性軟部腫瘍切除後には,皮弁や筋弁を行っても死腔が残存し難治性の漿液腫となる場合がある.術後腫瘍切除部に遅発性に感染をきたし切開排膿を要した3例を検討した.症例1 67歳男性.大腿発生粘液線維肉腫に対し広範切除+術後放射線治療を行った.術後5ヵ月,誘因無く発熱,腫瘍切除部の発赤・腫脹・疼痛を自覚した.4日後に当院受診,同日切開排膿を行い症状は軽快した.症例2 83歳男性,大腿発生脱分化型脂肪肉腫.術後2年,切除部の発赤腫脹発熱があり1週間後受診.同日切開排膿,以後再燃無し.症例3 75歳女性,腋窩発生MPNST.術後2年,切除部の発赤腫脹発熱があり1週間後当院受診.同日切開排膿,以後再燃無し.(考察)死腔が残存し同部位に放射線治療を行うと組織が線維化し,術後数ヵ月~数年経過しても遅発性に感染する例があるため注意を要する.早期発見し,躊躇なく切開排膿行うことが必須である.

  • 松延 知哉, 前川 啓, 福島 俊, 河野 勤, 鬼塚 俊宏, 今村 寿宏, 畑中 均, 加治 浩三, 神宮司 誠也, 岩本 幸英
    2019 年 68 巻 2 号 p. 190-193
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】癌化学療法施行を目的として,当科では悪性骨軟部腫瘍患者に対して橈側皮静脈カットダウン法による埋め込み型中心静脈ポートシステム(CVポート)造設を行っており,その成績を後ろ向きに検討した.【対象と方法】2016/4~2017/12に同法によりCVポートが造設された15例を対象とした.平均年齢46歳であった.手術室使用時間,手術時間,局所麻酔使用量,抜去の有無などを調査した.【結果】手術室占有時間98.5分,手術時間49.5分,局所麻酔使用量10.3 mlであった.1例で血栓形成のためにCVポート抜去を行った.1例で橈側皮静脈欠損により,予定側と反対側に造設した.【考察】橈側皮静脈カットダウン法は動脈誤穿刺や気胸などの合併症がなく,安全に行えると考えられたが,橈側皮静脈欠損などのanomalyも報告されており,造設前にエコーで確認する必要がある.【結語】橈側皮静脈カットダウン法によるCVポート造設は,悪性骨軟部腫瘍患者に対して,整形外科医が安全に行える手技と思われた.

  • 古川 寛, 山下 彰久, 野村 裕, 原田 岳, 渡辺 哲也, 橋川 和弘, 藤井 勇輝, 杉 修造, 鶴居 亮輔, 白澤 建藏
    2019 年 68 巻 2 号 p. 194-197
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    フィブリンモノマー複合体(fibrin monomer complex: FMC)値が静脈血栓塞栓症(venous thrombo-embolism: VTE)の早期スクリーニングに有用との報告が散見される.当院での大腿骨近位部骨折周術期のFMC値,Dダイマー値の推移とVTEの発生状況について調査した.【方法】対象は2017年9月から2018年2月まで当院で手術を行った大腿骨近位部骨折31例(男性12例,女性18例),平均年齢81.8歳である.FMC値(μg/ml)は入院時,術後1・3日目に,Dダイマー値(μg/ml)は入院時・術後1・7日目に測定した.【結果】観察期間内にVTE症例はなかった.FMCの平均値は入院時65.8,術後1日目6.0,Dダイマーの平均値は入院時42.9,術後7日目9.0であった.【考察】今回の調査ではFMC,Dダイマーいずれもこれまでの報告と大きな差はなかった.また観察期間内にVTE症例がなく術後のFMC,Dダイマー値の推移を調査するにとどまった.術前待機時間の短縮が血栓のリスクを減らす上で重要であると考えられるがさらなる調査が必要である.

  • 中村 厚彦, 尾上 英俊, 岩本 良太, 柴田 達也
    2019 年 68 巻 2 号 p. 198-201
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    過去15年間に経験した小児下腿開放骨折の治療成績について検討した.症例は24例24肢(男児22例,女児2例),受傷時平均年齢7.1歳(5~10歳),受傷機転は交通事故23例,転落1例であった.AO分類は42-A2:13例,42-A3:5例,42B-2:6例であり,Gustilo分類はTypeⅠ:9例,TypeⅡ:12例,TypeⅢa:3例であった.合併損傷は頭部外傷1例,足部のrun over injuryを4例に認めた.全例で受傷当日に洗浄・デブリードマン及び骨接合を行った(Kirschner鋼線固定:11例,創外固定:9例,screw固定:3例,腓骨plate固定:1例).術後平均経過観察期間は41か月であった.全例で骨癒合し平均骨癒合期間は78.1日(51~102日)であった.脛骨の角状変形は内外反で最大4°,前後屈で最大8°であり,最終経過観察時に最大2.0 cmの脚長差を認めたが臨床的に問題となる症例はなかった.

  • 小林 孝巨, 塚本 伸章, 前 隆男, 加藤 剛, 小宮 紀宏, 屋良 卓郎
    2019 年 68 巻 2 号 p. 202-205
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    目的:小児上腕骨顆上骨折に対する経皮的鋼線刺入術(pinning)においてKirschner-wire(K-wire)の手元を皮下に埋没する方法と皮膚上に露出する方法の利点と欠点を検討した.対象と方法:当院において2008-2016年に本骨折に対してpinningを実施した66例を対象とした.受傷時年齢は平均6.0歳(1-13歳)であった.K-wireを埋没する群(埋没群)と露出する群(露出群)とで手術所見(手術時間,整復状態),治療予後(骨癒合,肘関節可動域),合併症,通院・入院・手術回数を後ろ向きに比較した.結果:埋没群32例,露出群34例であった.手術所見と治療予後は両群で有意差はなかった.一方,K-wire刺入部感染は露出群に10例,K-wire突出痛は埋没群に7例発生した.埋没群では全例2回入院と抜釘手術を要したが,外固定期間が短く,通院回数も少なかった.結論:埋没法は追加入院と再手術が必要だがK-wire刺入部感染が少ない点で有用である.

  • 尾上 英俊, 中村 厚彦
    2019 年 68 巻 2 号 p. 206-211
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    受傷当日に緊急手術として観血的骨接合術を行った伸展型小児上腕骨顆上骨折を検討した.対象は2003~2016年に当院で手術を行った10例(開放骨折3例,血管損傷を疑った6例,開放骨折+血管損傷を疑った1例)である.骨折型は全例Gartland分類typeⅢで,手術時年齢は平均7歳(2~13歳)であった.全例感染を起こすことなく骨癒合しcarrying angleは平均170°(165~180°)であった.受傷機転は比較的高エネルギー外傷で,開放骨折例では骨折が粉砕されていた.血管損傷を疑った症例では,血管に対する牽引や圧迫を解除し骨折を整復することで血流は良好に再開した.徒手整復を試みた3例では骨折部に介在物があり血行障害の原因となっていたことより,2014年以降は手術瘢痕が目立ち難い肘関節皮線に沿った前方横切開で骨折部を展開し神経血管束を確認してから観血的骨接合術を行う方針とした.

  • 後藤 健志, 竹嶋 康弘
    2019 年 68 巻 2 号 p. 212-215
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    骨粗鬆症性椎体骨折の保存療法に関し,無床診療所で初診時に自宅通院保存療法を選択した症例を検討したので,その適応と限界を報告する.2015年3月~2017年8月に治療を開始し,骨癒合を確認または6ヵ月以上追跡調査できた57例59椎体を対象とした.安定型や軽度の不安定型骨折などで,通院を希望した際に適応とした.鎮痛薬は投与しなかった.外固定装具は,体幹ギプス23椎体,軟性コルセット36椎体で,体幹ギプスは本学会で前回報告した簡易器具を使用して仰臥位で巻いた.13例は,1~14日以内に入院または入所へ変更となったが,56椎体(94.9%)は,8週~1年(平均14.2週)で骨癒合した.骨折型により通院保存療法でも良好な結果が得られるが,体幹ギプス治療を選択する際は,寝起き時の高度の疼痛,独居,前医での加療歴のある症例などは初期から入院治療を薦めた方が良いと思われる.

  • 坂井 達弥, 田中 博史, 杉野 晴章, 田島 智徳, 角田 憲治, 石井 英樹, 浅見 昭彦
    2019 年 68 巻 2 号 p. 216-218
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    母趾屈筋腱腱鞘より生じた腱鞘巨細胞腫を経験したので報告する.15歳男性.3年前より右母趾に腫瘤を自覚した.増大傾向あり軟部腫瘍指摘され加療目的に紹介となった.1,2趾間部に3 cm大の腫瘤あり,母趾は背屈位で底屈制限され外反位であった.圧痛や神経症状はなかった.XpではHV角27度で骨浸潤はなかった.MRIで母趾屈筋腱腱鞘を起始とし背側まで全周性に生じるT1で均一高信号,T2でモザイク状に高信号の30×30×50 mmの腫瘤を認め,腱鞘巨細胞腫が疑われた.一括切除を計画し底側からのアプローチにより神経血管束を温存した腫瘍展開を行った.術後に皮膚・神経障害なく,母趾の可動域は改善した.腱鞘巨細胞腫は組織肥大を特徴とし,隣接する骨を侵食・破壊する場合がある.約7%が足部・足趾に生じるとされ,ADL制限を認める際は手術を要す.審美面と機能温存に注意し,一括切除が可能なアプローチを実施する必要がある.

  • 白石 和輝, 前田 純一郎, 朝永 育, 朝長 匡
    2019 年 68 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    足部化膿性骨髄炎に対してMasquelet法で治療し,感染が鎮静化した1例を報告する.症例は,糖尿病治療中の60歳男性.虫刺傷が原因で足部蜂窩織炎を発症し,皮膚科で加療するも難治性であった.炎症が深部にまで波及したため当科紹介となり,単純レントゲン像とMRI画像から,足部化膿性骨髄炎と診断した.抗菌薬点滴加療を行うも難治性のため,Masquelet法に準じて,デブリードマン,舟状骨および立方骨の部分掻破,セメント充填を行い,4週間後にセメント除去と骨移植術を二期的に施行した.現在,感染の再燃なく骨癒合を得られ,感染は鎮静化したと考えている.四肢外傷後の感染性偽関節や開放骨折後の骨欠損に対してMasquelet法を用いた報告は認めるが,その多くは長管骨での治療報告である.足部化膿性骨髄炎に対する治療法として,長管骨同様に本法を用いた治療は有用であると考えられた.

  • 工藤 悠貴, 生田 拓也
    2019 年 68 巻 2 号 p. 223-225
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    今回,我々は足関節亜脱臼状態が徒手整復不能であった距骨脱臼骨折の1例を経験した.症例は37歳男性,階段を降りていた際に残り2段で踏み外し,内返しで右足関節を捻挫した.右足部の変形,腫脹を認め当院受診した.単純X線で距骨の亜脱臼と距骨下関節の内方脱臼を認めた.無麻酔下での徒手整復を試みたが,徒手整復不可能であり,CT撮影した.CTでは距骨頸部で骨折を認め,小骨片が距踵間に陥屯していた.小骨片が整復阻害因子となっていると考え,全身麻酔下に整復操作を施行した.全身麻酔下では整復施行できたが,不安定性強く靭帯縫合術を同日,施行した.足関節脱臼骨折の徒手整復不能例の報告は散見されるが,距踵関節の亜脱臼に伴うものは稀である.今回,我々は徒手整復不能な足関節脱臼を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 木村 岳弘, 薄 陽祐, 新城 安原, 石原 康平, 諸岡 孝明, 増田 祥男, 諸岡 正明
    2019 年 68 巻 2 号 p. 226-228
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    アキレス腱付着部再断裂に対して大腿筋膜を移植した症例を経験したので報告する.【症例】60歳男性.段差でつまずいて転倒し当院紹介.アキレス腱付着部剥離骨折と診断し,Krackow法とsuture anchorで修復した.術後6ヵ月頃から痛みが出現し,MRIで修復腱に不連続部を認めたが,症状が軽度であり経過観察としていた.しかし痛みが増悪し,術後10ヵ月のMRIで不連続部が拡大したため再手術を行った.手術は腱断端の質が悪く引き出しが困難であったため,大転子直上で大腿筋膜を採取して移植腱を作成した.腱の断端と移植腱を縫合後,踵骨フットプリントにsuture bridge法で固定した.術後6週から装具装着下に歩行訓練を開始し,術後4ヵ月のMRIで再断裂は認めず,術後6ヵ月時点で臨床症状は改善している.【考察】アキレス腱の補填材料として多くの報告が散見されるが,骨付着部へ広く面で圧着できる上に採取が簡便な大腿筋膜を採用した.

  • 斧出 大紀, 吉村 一朗, 金澤 和貴, 萩尾 友宣, 山本 卓明
    2019 年 68 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】腓骨筋腱脱臼は外傷性腱脱臼の中では最も多いとされているが,足関節捻挫として見逃されることがある.今回我々は足部外傷後に生じた恒久性腓骨筋腱脱臼の1例を経験したので報告する.【症例】63歳男性.3年前仕事中に足部が荷物の下敷きになり受傷.某医受診しリスフラン関節脱臼骨折の診断にて骨接合術を施行された.その後も足関節周囲の疼痛が持続するため当院紹介受診.足部は内反し徒手整復不可能な腓骨筋腱脱臼を認めた.単純X線には外果外側に裂離骨折を認め,MRIにおいて脱臼した長短腓骨筋腱と周囲に仮性嚢を認めた.恒久性腓骨筋腱脱臼と診断し腓骨筋腱制動術,腓骨筋腱縫合術を施行した.後療法は術後6週間シーネ固定,免荷,その後サポーターに変更し可動域訓練,荷重開始した.術後は経過良好で再脱臼を認めていない.

  • 矢野 竜大, 吉村 一朗, 萩尾 友宣, 金澤 和貴, 山本 卓明
    2019 年 68 巻 2 号 p. 233-237
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    足関節外側靱帯損傷に対する靭帯修復術において関節弛緩性,再手術例などは予後不良因子とされている.近年,それらの症例に対しSuture Tapeを用いた補強術の報告が散見されるようになってきた.今回足関節外側靱帯再建術々後再断裂に対してSuture Tapeを用いた補強術を行った1例を経験したので報告する.【症例】50歳女性.右反復性肩関節脱臼にて手術歴あり.10年前に左足関節外側靱帯損傷に対して靱帯再建術を施行.初回術後4年に左足関節を再度捻挫し,靱帯修復術施行.再手術後4年に再度左足関節捻挫し,足関節の不安定性と疼痛の増強を認めたためBroström法とSuture Tapeを用いた補強術を施行した.現在術後18ヶ月経過し足関節の不安定性の訴え無く,術前JSSF score 66点が87点に改善した.

  • 古閑 丈裕, 藤本 徹, 谷脇 琢也, 岡田 龍哉, 中村 孝幸, 中村 英一
    2019 年 68 巻 2 号 p. 238-241
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    症例は27歳男性.9か月前より特に誘引なく両下肢痛が出現した.近医受診し保存的加療が行われたが改善なく,MRIにて馬尾腫瘍を認め精査加療目的に当科外来を受診した.腰椎可動域に制限はなく神経学的にも異常を認めなかったが,仙椎部に皮膚洞を認めていた.X線で異常所見は認めずMRI像では第3腰椎レベルで馬尾を圧迫する硬膜内腫瘤を認めており,T1強調画像で淡い高信号,T2強調画像で内部不均一な高信号,ガドリニウム造影でまだらに軽度造影効果を呈しており,腫瘍摘出術を行った.硬膜を切開すると皮膜内に白色の充実成分を有する腫瘍を認め,内部に毛髪様の組織を多数認めた.病理所見では多量の角化物と重層扁平上皮を認め,表皮成分が多く含まれることが示唆された.手術所見で毛髪を認めたことから,最終的にdermoid cystと診断した.dermoid cystは全脊髄腫瘍中0.5~2%と稀であるがruptureにより脂肪滴が漏出し閉塞性水頭症や無菌性髄膜炎をきたした報告や,悪性転化をきたした報告があり観血的治療の適応と考えられる.術後下肢痛は改善し術後3か月のMRIで腫瘍の残存は認めず経過良好である.

  • 山田 圭, 佐藤 公昭, 橋田 竜騎, 松瀬 博夫, 井上 英豪, 横須賀 公章, 吉田 龍弘, 松原 庸勝, 岩橋 頌二, 永田 見生, ...
    2019 年 68 巻 2 号 p. 242-246
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    腰椎手術患者の栄養状態および筋量とQOLの関係を検討した.当科で腰椎手術を施行した腰椎変性疾患54例を対象として術前の血清アルブミン値,Prognostic Nutritional Index(PNI),MRI上の腸腰筋面積,日常生活自立度,握力,ロコモ25,JOABPEQを調査した.ロコモ25でロコモ度を診断するとロコモ度1が4例,ロコモ度2が50例認めた.PNIが40未満の栄養不良例はなかった.各パラメーターの相関を見ると,アルブミン値,PNIは握力と正の相関,ロコモ25と負の相関を示した.補正腸腰筋面積はアルブミン値,JOABPEQ,ロコモ25と相関を示さなかった.日常生活自立度に関するプロファイル分析で決定木解析を行うと第1分岐因子はPNIであった.腰椎疾患による運動器不安定症と栄養が関連していたことにより,術前状態を改善するために栄養介入する余地があり得る.

  • 瀬戸山 優, 今澤 良精, 佐々木 伸一, 麻生 龍磨, 橋口 智光, 伊東 良広, 河村 誠一
    2019 年 68 巻 2 号 p. 247-250
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    今回,食道癌術後に馬尾転移認めた症例を経験したので報告する.症例は46歳男性.45歳時に食道癌に対し術前化学療法,摘出術行われている.手術から約1年後に右下肢しびれあり当科受診.MRIでL2/3, 5/6レベルに硬膜内腫瘤を認めた.当初神経原性腫瘍の可能性が高いと考え経過観察していたが,2ヶ月後歩行困難となった.造影MRIで再検したところ指摘された腫瘤は造影効果に乏しく増大を認めた.頚胸腹部造影CTでは明らかな局所再発や他臓器転移認めず,腫瘍マーカーの増大も認めなかった.画像所見からは神経線維腫との鑑別が困難であったが髄液細胞診陰性で進行する麻痺があり,確定診断目的も兼ねて腫瘍摘出術試みたが全摘は不可能であった.術後病理診断では食道原発扁平上皮癌の診断であった.ほとんどの馬尾腫瘍は神経原性腫瘍であり転移例の報告は少ない.転移性馬尾腫瘍はまれであり特徴的な画像所見を示さないため,神経原性腫瘍との鑑別や治療方針は臨床所見を合わせて慎重に検討すべきと考えられる.

  • 南曲 謙伍, 河村 一郎, 山元 拓哉, 冨永 博之, 谷口 昇
    2019 年 68 巻 2 号 p. 251-254
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    早期発症側弯症に対する成長温存手術は,growth spurt前の脊柱変形に対する手術として,近年選択されている.今回低身長を合併した先天性前側弯症に対し,Shilla法に準じた成長温存手術を行った症例を報告する.10歳 女児 117 cm(-3 SD)24 kg(-2 SD)初潮未.低身長に対し,成長ホルモン投与中.9歳時の学校検診で脊柱変形を指摘され当科受診.初診時に分節異常による脊柱変形(Cobb角:49度)による先天性前側弯と診断.Growing rodでは前弯のコントロールが困難と考えられ,当初Final fusionを検討したが,低身長もあるため,Shilla法に準じた成長温存手術を選択した.Shilla法に準じた成長温存手術はgrowing rodに比べ,多数回手術が回避できる利点に加え,頂椎カーブを扱うため,矢状面バランスも獲得しやすい利点もある.長期成績やメタローシスなどの問題点もあるが,成長温存手術を検討する際の選択肢となり得る.

  • 篠原 道雄
    2019 年 68 巻 2 号 p. 255-257
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    内視鏡下椎間板摘出術(MED)は腰椎椎間板ヘルニアに対する手術方法としてFoley, Smithら4)により1996年に始まりその低侵襲性の利点から2000年代より現在に至るまで本邦にて手術症例数が増加している.手術は小切開,チュブラーレトラクター内で行う操作でありラーニングカーブがあることが知られており,問題点として硬膜外血腫や硬膜損傷などの合併症が起こることが報告されている.一方,腰椎椎間板ヘルニアに対する大血管損傷は従来法では0.039~0.14%との報告があり3)頻度は低いが,一旦生じれば血管修復術などが必要となる致命的な合併症である.MEDでの報告も少ないが,今回MED術後に発生した内腸骨動脈仮性動脈瘤の1例を経験したのでその詳細について報告する.

  • 比嘉 勝一郎, 島袋 孝尚, 金城 英雄, 金谷 文則, 屋良 哲也, 勢理客 久, 仲宗根 朝洋, 宮里 剛成, 野原 博和, 山川 慶
    2019 年 68 巻 2 号 p. 258-262
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    脊椎術後に発生する髄液漏には様々な経過があり,それぞれの状態に応じた治療がなされるが,時として治療に難渋する.今回,脊椎術後に発生した髄液漏の3例を経験したので報告する.【症例1】49歳女性.頚椎神経鞘腫再発に対し手術を施行,術後5週目創部に14 cm大の髄液漏による偽性髄膜瘤を生じた.頭痛はなく頚椎カラーの装用で経過観察行った.著変なく経過したが,腫瘤は術後9ヵ月目に数日で急速に縮小した.【症例2】63歳女性.頚椎後縦靭帯骨化症に対し椎弓形成術を施行,椎弓を持ち上げる際に髄液の漏出があった.術後ドレーン内に髄液を認め髄液漏と診断,腰椎スパイナルドレナージを行い改善した.【症例3】86歳男性.頚椎症性脊髄症の術後感染でデブリドマンを行った際に硬膜を損傷し,術後創部より髄液の漏出が持続した.数回手術を行うも改善しなかったが,ファーラー位を継続したところ徐々に髄液漏は減少し,遊離脂肪移植術を行い改善した.

  • 藤井 紀光, 玉寄 美和, 永山 盛隆
    2019 年 68 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    腸骨翼骨折に対する外科的治療例を経験したので報告する.症例1は54歳,男性.慢性透析患者,転倒し左腸骨翼骨折を受傷.保存加療を行うも3カ月間疼痛が持続,陳旧性となりCCSによる骨接合を施行した.症例2は68歳,男性.交通外傷により左腸骨翼骨折を受傷.CCSによる骨接合するも受傷2週より転位を認め,CCSの入れ替えを行った.症例3は77歳,男性.2階より落下,左腸骨翼骨折を受傷.CCSによる骨接合するも術後9日より骨折部離開を認め,術後14日後に再度骨接合術を施行,CCSに加えプレートを追加した.結果は,3症例とも良好な骨癒合が得られた.腸骨翼骨折は通常保存的加療の対象となる.しかし,透析患者のように骨癒合の困難な症例や早期のリハビリを開始したい場合に,観血的治療も選択の1つとなる.CCSのみで固定性が得られる場合もあるが,3症例を通してプレート固定を併用する方が,より確実な固定法と考える.

  • 田浦 智之, 田口 勝規, 杉山 健太郎, 上木 智博
    2019 年 68 巻 2 号 p. 268-273
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    当院において骨盤骨折に対して,経カテーテル的動脈塞栓術(以下,TAE)を行った症例について,有用性の検討を行った.2012年1月~2017年12月の間で,当院救命救急センターへ搬入された骨盤骨折110例に対して,TAEを行った14例を対象とした.性別は男性4例,女性10例,受傷時平均年齢は67.6歳,骨折型はType A 4例,Type B 8例,Type C 2例(AO分類)であった.CT上で臀部の皮下血腫を認めた例や非選択的にTAEを行った例もあったが,皮膚・陰部・殿筋潰瘍/壊死等の明らかな局所合併症は認めなかった.出血性ショックを伴う骨盤骨折に対する止血・救命において,TAEは有効な治療法であった.治療早期で異常を認めなくても症例によっては,ショックに陥る例も認めるため,循環動態を注意深く観察し,不安定化を認める場合,早期にTAEによる止血を行うことが救命に重要であると考える.

  • 植木 貴之, 市村 竜治, 山口 亮, 西村 勇輝
    2019 年 68 巻 2 号 p. 274-276
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【はじめに】深部静脈血栓症(以下DVT)は致死的な肺血栓塞栓症(以下PTE)を引き起こす可能性がある術後合併症である.今回下肢外傷術後のDVTについて検討した.【対象および方法】2016年6月から2018年2月までに下肢外傷術後7日目に下肢血管超音波検査を施行した57例(男性29名,女性28名),平均年齢45.8歳(13-91歳)を対象とした.DVTを認めた場合は抗凝固療法を行った.DVT発症率と手術時間の関係,治療後のDVT消失率,消失までの期間などについて検討した.【結果】DVT発症率は31.6%(18/57例)で,全例遠位型,無症候性であった.DVT発症と手術時間に有意差はなかった.治療後のDVT消失率は89%(16/18例)で,消失までの期間は平均21.6日であった.【考察】PTEの原因のほとんどが下肢DVTであり,PTE発症予防が重要となる.今回下肢外傷術後に18例がDVTを発症し,31.6%と高い発症率であった.抗凝固療法を行うことによりほとんどの症例でDVTは消失し,PTEの発症予防に効果的であると考えられた.

  • 吉光 一浩, 岩永 壮平, 樋口 富士男, 志波 直人
    2019 年 68 巻 2 号 p. 277-280
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】当院のTHAにおける静脈血栓塞栓症(VTE)予防策の有用性や問題点を検討すること.【対象】2016年6月から2017年6月に当院で行った初回THA 69例を対象とした.【方法】Dダイマーを測定し術前スクリーニング時は1.0μg/ml以上,術後1週目は10.0μg/ml以上で下肢エコーを施行した.深部静脈血栓症(DVT)予防として,術中は患側に弾力包帯による圧迫,健側に弾性ストッキングを着用した.術後は3週間,両下肢に弾性ストッキングを着用した.術翌日よりエドキサバン15 mgを14日間内服した.手術は全例側臥位による側方アプローチで施行した.【結果】術前にDVTを2例認め,1例は術後消失していた.術後新規にDVTを認めたのは1例であった.症候性VTEの発生,術後の異常出血はなかった.【まとめ】現在行っているVTE予防策は医療コストの面でも発生抑制の面でも有用であると考えた.

  • 末永 英慈, 住吉 康之, 髙田 真一
    2019 年 68 巻 2 号 p. 281-283
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    下肢超音波検査中に深部静脈血栓の遊離を生じた1例を経験したので報告する.77歳女性.左大腿骨頚部骨折に対し,受傷後3日目に人工骨頭置換術を施行.術前の下肢超音波検査にて両下腿のヒラメ静脈内血栓を認め,術後1週に再検査したところ,両ヒラメ静脈および左膝窩静脈から腓骨静脈にかけて,多数の血栓を認めた.血栓のサイズを計測する際に,血栓が消失.胸部症状なく,バイタルサインに変化を認めなかったが,胸部造影CTを行ったところ,右肺動脈下葉枝に低吸収域が認められ,肺血栓塞栓が確認された.心電図,胸部X線,心臓超音波検査は術前と変化なかったため,安静解除,リハビリテーション再開,経口FXa阻害薬開始となった.その後は胸部症状出現なく,全身状態に変化を認めず,術後2か月で下肢血栓は退縮した.深部静脈血栓は,超音波検査中に遊離することで肺血栓塞栓をきたす可能性があることに留意すべきと思われた.

  • 瀬戸 哲也, 鎌田 敬子, 川上 泰広, 越智 康博, 國司 善彦, 木戸 健司
    2019 年 68 巻 2 号 p. 284-286
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    橈骨遠位端骨折の発生率は高齢化社会に伴い増加傾向にあり,多くは脆弱性骨折であるため受傷後は他の骨脆弱性骨折が発生するリスクが高まるとされている.そこで当院における橈骨遠位端骨折に対する骨粗鬆症治療状況を調査した.対象は2015年4月から2018年4月までに当院で手術を施行した50歳以上の橈骨遠位端骨折43例とし,骨粗鬆症の薬物療法実施状況を調査した.平均年齢68.8歳で,全例受傷機転は転倒であった.骨折型は単純型(B1・B2・C1)が20例,粉砕型(A2・A3・C2・C3)が23例で半数以上が粉砕型であった.既存脆弱性骨折を4例で認めたが,受傷前から骨粗鬆症治療が導入されていた症例はなかった.受傷後13例で骨密度検査が施行され,5例で骨粗鬆症治療が導入されていた.骨粗鬆症検査,治療導入とも十分ではなく,今後骨粗鬆症治療・骨折連鎖予防への意識を高め,積極的な治療介入を進めるべきと考える.

  • 鈴木 正弘, 大茂 壽久, 江副 賢生, 蒲地 康人, 長島 加代子, 古子 剛, 濱田 賢治, 大友 一, 清水 建詞, 田原 尚直
    2019 年 68 巻 2 号 p. 287-290
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】Tumoral calcinosis(以下TC)は,関節周囲の軟部組織に腫瘤状の石灰沈着をきたす疾患である.手,鎖骨,股関節近傍に生じたTCに対し,ビスホスホネート製剤を使用し著効した一例を経験したので報告する.【症例】68歳女性.4-5年前より,右手母指指腹部に小さな腫瘤を自覚した.半年前より示指,中指,左母~中指にも出現し,徐々に増大した.各種検査施行されたが膠原病は否定的であった.左手の腫瘤は自壊しそうであったため,当科紹介となり,外科的切除術を施行した.チョーク様乳白色の内容物を認め,病理組織検査にて,TCの診断に至った.術後,右鎖骨周囲,左股関節周囲に腫瘤性病変が新たに見つかった.骨粗鬆症も並存しており,ビスホスホネート製剤を開始した.現在,ビスホスホネート製剤開始後半年経過しているが,腫瘤は縮小し,再発を認めていない.【結論】症候性のTumoral calcinosisに対し,外科的摘出術およびビスホスホネート製剤を使用し著効した.

  • 吉里 広, 江頭 秀一, 高山 剛
    2019 年 68 巻 2 号 p. 291-293
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    ミノドロン酸投与によって橈骨二重エネルギーX線吸収法(橈骨DXA)で骨密度が上昇するか検討を行った.平成25年1月~平成27年12月に当院にてミノドロン酸50 mgが投与された43例(男性2例,女性41例,平均年齢81±7.6歳)を対象とし,投与開始から1年後,2年後に骨密度,骨代謝マーカーを測定した.また骨密度変化について当院で投与が行われたデノスマブ群(93例)と比較検討を行った.投与開始後1年,2年の骨密度変化率は+1.1%,1.4%であり,投与開始2年後の骨密度は投与開始時と比較して有意に上昇していた.骨代謝マーカーについてはALPが投与1年時,P1NPが投与2年時,TRACP-5bが投与1年時,2年時でそれぞれ投与開始時と比較して有意に低下していた.デノスマブ投与群(93例)との比較検討ではデノスマブ群の投与開始後1年,2年の骨密度変化率は+0.8%,1.6%であり,ミノドロン酸群との間で骨密度変化率は有意差は認められなかった.ミノドロン酸は橈骨DXAで治療効果判定が可能である事が示唆された.

  • 山中 美沙, 藤村 謙次郎, 寺田 和正, 小原 伸夫, 宮崎 清, 嘉村 聡志, 小松 孝, 筒井 智子, 兵藤 裕貴, 宮原 寿明
    2019 年 68 巻 2 号 p. 294-297
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    目的:整形外科手術は手術手袋のピンホール発生率が他の科よりも高率であるとする報告4)8)10)がある.今回,当院整形外科手術での術者と助手における手術手袋のピンホール発生状況について調査したので報告する.方法:2017年11月から2018年3月までの当院での人工股関節全置換術(THA),人工膝関節全置換術(TKA),腰椎・胸椎椎弓切除術(除圧),腰椎・胸椎椎体後方固定術(固定)における術者と第一助手(助手)の手術手袋を調査した.結果:手袋の片方でも穴あきがあれば「ピンホールあり」とした場合,術者ではTKA(100%),固定(62%),THA(35%),除圧(20%)の結果であった.部位は,術者,助手ともに非利き手の母指,示指で多かった.考察:今回の調査においては,人工物を挿入するTKA・THA・固定でピンホール発生率が高かった.手術部位感染や医療者側の感染対策において,二重手袋及び手術中の定期的な外側手袋の交換は必須の事項と考えられる.

  • 西村 博行, 浦上 泰成
    2019 年 68 巻 2 号 p. 298-300
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    当院で回復期リハビリテーションを行った高齢骨折患者683名のADL変化,受傷前に比較し退院時ADLが改善した患者の割合,退院時ADL改善と運動器疾患合併症の関係について検討した.退院時に受傷前ADLを維持改善した患者の割合は76.8%であった.受傷前ADL軽介助群から重介助群の134名のうち,変形性膝関節症等の膝関節疾患,大腿骨近位部骨折,脊椎圧迫骨折などの患者のADLに影響を及ぼす可能性のある運動器疾患合併症を伴う患者(87名)の退院時ADL改善は50.6%であった.一方,このような運動器疾患合併症のない患者(47名)の改善は23.4%であった.運動器疾患合併症として,膝関節疾患,大腿骨近位部骨折および脊椎圧迫骨折を比較すると,退院時ADL改善は,膝関節疾患に多く,脊椎圧迫骨折に少なく,大腿骨近位部骨折は中間であった.

  • 細川 浩, 城下 卓也, 釆田 志麻, 馬場 祐之, 佐久間 克彦
    2019 年 68 巻 2 号 p. 301-304
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    がんの診断ツールおよび治療薬の進歩により,がん患者はこれまでより長期の生存が得られる様になった.その結果,がん患者が骨転移を有した状態で生活するような時代になり,日常がん診療とケアにおいて骨転移患者と向き合う頻度が高くなってきた.骨転移診療では骨関連事象予防と治療は大変重要であり,患者と家族の骨転移への理解と意思決定への支援が必要である.当院では,がんのリハビリテーション処方医である整形外科医を中心とした,骨転移のがんリハ多職種連携システムを構築して,各専門分野で骨転移診療やケアに専念できるようになったため報告する.今後,整形外科医の骨転移に対する取り組みはますます重要性が高まり,「整形外科医は骨転移診療に取り組むべき時代になった」という意識変換を全整形外科医がもたなければならないと思料される.

  • 田中 寿人, 秋山 菜奈絵, 笠原 貴紀, 浅見 豊子
    2019 年 68 巻 2 号 p. 305-309
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】晩期高齢者における運動器不安定性に対するリハビリテーション治療として,BEARを用いた短期集中リハビリテーション治療の効果ついて検討することである.【対象と方法】対象は2017年2月~12月に運動器不安定症と診断された14例である.方法は,対象をBEARプログラムのBEAR群7例(平均年齢86歳)と通常バランスプログラムのコントロール群7例(平均年齢86歳)の2群に分け,各々2週間の集中リハビリテーション治療を行い比較検討した.評価には,快適歩行速度(m/分),Timed Up & Go Test(TUG)(秒),2ステップテスト(身長換算値),ロコモ25(point),ファンクショナルリーチテスト(FRT)(cm)を用い,治療開始前・後に計測した.【結果】BEAR群がコントロール群に比較し,快適歩行速度,TUG,2ステップ値,ロコモ25,FRTのいずれにおいても改善度が高かった.

  • 井上 三四郎
    2019 年 68 巻 2 号 p. 310-313
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    (目的)急性期病院整形外科における在院死亡に影響を与える因子を検討すること.(対象と方法)在院死亡群を過去4年間に当科入院後に在院死亡した患者22例,対照群を2016年4月1日に整形外科病棟に入院していた48例として,年齢・性別・低エネルギー外傷による骨折・循環器疾患・脳血管系障害・呼吸器疾患・糖尿病・血液疾患・透析・膠原病・肝硬変・治療中の固形癌・複数併存症合併について,統計学的に比較検討を行った.(結果)単変量解析では,年齢・性別・低エネルギー外傷による骨折・循環器疾患・脳血管系障害・呼吸器系疾患・血液疾患・膠原病・複数併存症合併に有意差があった.多変量解析では,年齢・性別・複数併存症合併に有意差があった.(考察)Orthogeriatricsの時代を迎えた現在,リスクの高い患者の全身管理は入院時より内科医に委ねるのが理想的である.整形外科医が運動器治療にのみ集中できる環境を整備することが,喫緊の課題である.

  • 片江 祐二
    2019 年 68 巻 2 号 p. 314-315
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】NSAIDsで鎮痛効果不十分な慢性疼痛患者にデュロキセチン初期投与量で中止になった副作用の内訳とその割合を調査した.【対象と方法】当院でデュロキセチンを新規投与した86例(男性14例,年齢42-93歳[中央値77歳])を対象とした.調査項目は1)疾患の内訳,2)デュロキセチンの維持用量とその有効率,3)全期間で投与中止になった副作用の内訳と副作用による中止率,4)デュロキセチン初期投与量で中止になった割合である.【結果】1)腰椎疾患が51%,変形性膝関節症が27%であった.2)維持用量は20 mg/日が最も多く,有効率は55.8%であった.3)全期間で投与中止になった副作用は,悪心,傾眠・ふらつきが最も多く,副作用による中止率は22.1%であった.4)副作用で中止になった中で,初期投与量での中止率は78.9%であった.【考察】デュロキセチン初期投与量での中止率が高かった.投与初期における副作用マネージメントが重要ある.

  • 筒井 聡, 城戸 秀彦, 加茂 健太, 城戸 聡, 清水 大樹, 田代 英慈
    2019 年 68 巻 2 号 p. 316-319
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【目的】人工関節置換術(TKA, UKA)術後に,健康維持の為にスポーツ活動を望む患者は多い.しかし術後のスポーツ参加について医療者側の説明や方針は一定ではない.当科におけるTKA,UKA術後のスポーツ活動について調査を行った.【対象,方法】2013.9月より2017.3月まで当科で施行したTKA, UKA症例に対しアンケート調査可能であった128症例を対象とした(平均年齢77.0歳,男性30例,女性98例).術前後のスポーツ活動の有無,種目,復帰レベル,満足度,活動理由,ROM,JOA score,J-KOM scoreを調査した.【結果】術後スポーツ活動を行っていた症例は全症例中80例(62.5%)であり,術前からのスポーツ復帰率は83.5%であった.種目はウォーキングが最も多く69例(全種目中86.6%)であり,全てlow impact sportsであった.スポーツ活動に伴うコンポーネントの弛みや破損は認めなかった.【考察】TKA,UKA術後のスポーツ復帰には医療者の適切な指導と,術後の慎重なフォローが重要と思われる.

  • 家入 雄太, 平野 文崇, 川﨑 展, 藤谷 晃亮, 佐羽内 研, 池井 大輔, 亀川 修一, 大西 英生, 酒井 昭典
    2019 年 68 巻 2 号 p. 320-322
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    高位脛骨骨切り術後における静脈血栓塞栓症(以下VTE)の発生について,血栓予防薬なし群とあり群の群間比較を行い,予防薬の有無でVTE発生率に差があるか,VTEの有無でD-dimer値に差があるか,有用なカットオフ値が設けられるか検討を行った.VTE発生率は予防薬なし群で48%,予防薬あり群で15%であった.予防薬なし群において,平均D-dimer値はVTEなし群で4.9,VTEあり群で7.9と有意差を認めた.ROC曲線を用いて下肢超音波検査を用いたVTEスクリーニングを行うべきD-dimerのカットオフ値を検討したところ,6.3μg/mLをカットオフ値とすると感度57%,特異度90%であった.

  • 柴原 啓吾, 松下 昌史, 川口 謙一, 林田 光正, 岡田 誠司, 幸 博和, 中島 康晴
    2019 年 68 巻 2 号 p. 323-326
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    目的)頚椎椎弓形成術術後の合併症の1つとして後弯変形がある.我々は頚椎椎弓形成術後の後弯変形による術後成績への影響を検討した.方法)2010年から2016年に当院で施行した椎弓形成術90例(頚椎症性脊髄症73例,後縦靭帯骨化症17例)を対象とした.男性71例,女性19例,平均年齢66.5歳(36歳~85歳)であった.レントゲン評価として手術前後のC2-7角,CGH-SVAを測定した.臨床成績として術前,術後12ヵ月時点でのJOA score, JOA score改善率を評価した.C2-7角を0°以上を前弯,0°未満を後弯と定義し,全患者を手術前後のアライメントで術前前弯・術後前弯群,術前前弯・術後後弯群,術前後弯・術後後弯弯群の3群間に分けた.この3群間でのアライメント変化と術後臨床成績への影響を検討した.結果・考察)C2-7角に関して,術前前弯群の19.5%に後弯化が認められた.また,術後1ヵ月時点での後弯変化が最も大きく,以降の変化の進行はあまりなかった.CGH-SVAに関して,術前前弯群でCGH-SVAが大きい症例は術後後弯化する傾向があった.臨床成績に関して,術後後弯群は術後前弯群と比較しJOA改善率が劣る結果であったが,術後JOA scoreには有意差を認めなかった.このことから,術後の後弯変形は必ずしも術後の臨床成績に影響を与える要因とは言えなかった.

  • 島﨑 孝裕, 神保 幸太郎, 菊地 慶士郎, 西田 一輝, 森戸 伸治, 南 公人, 原口 敏昭, 川﨑 優二, 中村 秀裕, 大渕 俊朗, ...
    2019 年 68 巻 2 号 p. 327-330
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【症例1】55歳,男性,自動車運転中に痙攣を起こし電柱に衝突し受傷した.胸骨骨折,右第1-2および左第1,5-7肋骨骨折を認めた.flail chestが持続し人工呼吸器離脱が困難だったため,受傷21日目に胸腔鏡補助下に骨接合術を施行した.呼吸状態は改善し術後4日に人工呼吸器から離脱した.【症例2】67歳,女性,自動車運転中に意識障害を起こし民家に衝突し受傷.胸骨骨折,右第7-9および左第5-8肋骨骨折を認めた.flail chestによる奇異呼吸が著明で皮下気腫の増悪を認めたため観血的治療の方針とし,受傷3日目に胸腔鏡補助下に骨接合術を施行した.呼吸状態は速やかに改善し,術翌日に人工呼吸器から離脱した.【結語】胸腔鏡補助下に行うことで,安全かつ確実なロッキングプレートのbicortical fixationが可能だった.

  • 牛島 貴宏, 新井 堅, 浜崎 晶彦, 美浦 辰彦, 土持 兼信, 園田 和彦, 金堀 将也, 原 俊彦
    2019 年 68 巻 2 号 p. 331-334
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    橈骨遠位端骨折に対してHYBRIX®プレートを使用した症例で,術後のX線学的評価を行った.症例は41例で,AO分類はA2:11例,A3:13例,B3:4例,C1:9例,C2:4例だった.初診時から術直後,最終観察時でのX線学的パラメーターの推移は,radial inclination:15.2°→23.9°→23.8°,volar tilt:-14.2°→14.1°→14.9°,ulnar variance:3.3 mm→0.7 mm→1.0 mmだった.側面像でのプレートの突出度を表すSoong分類はGrade 0:23例,Grade 1:18例だった.橈骨遠位端の最掌側縁からプレート遠位端までの距離はGrade 0で3.4 mm,Grade 1で2.3 mm,volar tiltはGrade 0で13.0°,Grade 1で14.8°だった.HYBRIX®では橈骨遠位端から突出した症例が散見されたため設置位置に注意する必要がある.

  • 蒲地 康人, 清水 建詞, 大友 一, 長島 加代子, 濱田 賢治, 大茂 壽久, 舛本 直哉, 田原 尚直
    2019 年 68 巻 2 号 p. 335-339
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    症例は27歳男性.1年前から誘因なく腰痛を自覚し,近医を受診.MRIで胸椎レベルに腫瘤性病変を指摘され,当科を紹介となった.MRIでTh11/12レベルの脊髄背側にT1強調像にて脊髄と等信号,T2強調像にて高信号,造影効果に乏しい硬膜内腫瘍を認めた.腫瘍切除により症状は改善を認めた.病理診断はendodermal cystであった.比較的稀な腫瘍であり,画像所見でも特異的な所見に乏しく術前診断は困難であった.硬膜内嚢胞性病変の鑑別疾患として,本疾患についても念頭に診察する必要があると考えられた.

  • 中山 博尭, 奥野 宏昭, 藤森 聡, 吉矢 晋一
    2019 年 68 巻 2 号 p. 340-342
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/05/16
    ジャーナル フリー

    【タイトル】抗生剤治療が無効であった骨感染症と思われる疾患にステロイドが著効した2例【はじめに】今回骨感染症に対して抗生剤加療行うも無効であった症例で,発熱持続,多関節痛と関節腫脹が続発したためステロイド内服開始し,ステロイド内服が著効した2例を経験したので報告する.【症例1】80歳男性,発熱あり,腰痛,右股関節痛出現し,MRI上化膿性股関節炎を疑われ,抗生剤加療するも改善せず,多関節痛と腫脹も出現し,ステロイド開始すると症状改善した.【症例2】86歳男性,発熱右肩痛あり,MRI上化膿性肩関節炎を疑われ,抗生剤加療するも改善せず,右肩関節を中心とした多関節痛と腫脹も出現し,ステロイド開始すると症状改善した.【考察】発熱,関節痛の症状から想起する疾患として感染性疾患が一番に挙がられ,抗生剤加療を積極的にすすめるが,効果がない場合は自己免疫疾患の可能性に留意する必要性がある.【結語】当院で経験した抗生剤治療が無効であった骨感染症と思われる疾患にステロイドが著効した2例を報告した.

feedback
Top