整形外科と災害外科
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ISSN-L : 0037-1033
74 巻, 3 号
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  • 森山 弘朗, 後藤 昌史, 中村 秀裕, 大園 宏城, 西田 一輝, 平岡 弘二, 大川 孝浩
    2025 年74 巻3 号 p. 393-396
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    近年,腱板断裂に対する関節鏡視下修復術の良好な成績が多く報告されている.一方,一次修復困難な腱板断裂に対するコンセンサスは得られておらず,諸家によって種々の術式が行われている.このような症例に対し我々は当初,鏡視下部分修復術を行ってきたが,その術後5年における再断裂率は約40%であった.つぎに上方関節包再建術へと移行したが,術後1年時の再断裂率は約27%であり,なおも十分に再断裂を防止することはできなかった.そして現在は関節鏡視下筋前進術にいたっている.棘下筋の脂肪浸潤がGoutallier stage 3以下の症例に限定した場合,術後3か月時点での再断裂率12%だった(n=15).サンプル数が少ない点や経過観察期間が短いなどの問題点はあるが,関節鏡視下筋前進術は一次修復不能な大・広範囲腱板断裂に対する有効な治療選択肢となることが示唆された.

  • 中村 剛大, 柴田 光史, 三宅 智, 小林 駿介, 松永 慶, 畑 直文, 蓑川 創, 柴田 陽三, 伊﨑 輝昌, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 397-400
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    高齢者の3, 4 partの上腕骨近位端骨折に対してリバース型人工関節全置換術(RSA)を行い術後1年以上経過観察が可能であった15例15肩(男性3肩,女性12肩)を対象とした.手術時平均年齢は77.9歳,術後経過観察期間は34.0ヶ月であり,骨折型は3 part骨折が4肩,4 part骨折が11肩であった.最終経過観察時におけるUCLAスコアが26点以上の割合を調査し満足度の評価を行った.UCLAスコアを26点以上と26点未満の2群に分け,2群間における肩関節可動域や結節癒合不全の有無について評価した.UCLAスコアが26点以上の割合は73.3%(11/15肩)であった.UCLAスコアが26点未満の群において術後外旋可動域が有意に不良であり,全例結節の癒合不全がみられた.RSAにより概ね良好な術後臨床成績が得られるものの,結節癒合の獲得のためには更なる術式の改善が必要と思われた.

  • 井上 奨大, 三宅 智, 柴田 光史, 小林 駿介, 松永 慶, 畑 直文, 酒井 政彦, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 401-404
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】リバース型人工肩関節置換術(以下RSA)の術後に生じる上腕骨側の放射線学的変化(応力遮蔽や骨融解)は再手術の原因になりうる.過去の研究は,上腕骨ステムをセメント固定したRSA(以下C-RSA)は応力遮蔽や骨融解を生じにくいことを示してきた.しかし,国内ではC-RSAの使用頻度は少なく,国内におけるC-RSAに関する情報は少ない.【方法】当院でC-RSAを受けた34肩(平均76.5歳,平均観察期間27.4カ月,すべてインレイタイプ)が本研究に含まれた.骨折続発症や新鮮骨折症例は除外された.臨床成績と上腕骨側の放射線学的変化は後ろ向きに調査された.【結果】最終観察時の臨床スコアは術前と比べて有意に改善した(JOAスコア:41.1 vs 86.2点,p<.001,UCLAスコア:8.1 vs 29.2点,p<.001).最終観察時のX線検査では,上腕骨側の応力遮蔽や骨融解を生じた症例はなかった.【まとめ】C-RSAの短期臨床成績は良好であり,上腕骨側の応力遮蔽や骨融解は生じなかった.

  • ―Navigation system使用症例の解析―
    鈴木 湧貴, 竹内 直英, 永野 賢, 中川 航, 金江 剛, 亀山 みどり, 渕上 孝一
    2025 年74 巻3 号 p. 405-407
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】リバース型人工肩関節全置換術後のbaseplate pegの刺入位置について検討すること.【対象と方法】RSAを施行した10例.男性5例,女性5例.手術時平均年齢77.1歳であった.全例Navigationを使用した.0.5mm sliceの肩関節単純CTをSYNAPSE VINCENT®を用いて解析した.検討項目は,(1)pegの骨外への逸脱症例の割合,(2)peg中心と関節窩中心との距離(中心より前方を+,後方を-とした),(3)peg中心と関節窩中心との距離の割合,(4)glenosphere下端と関節窩下端の高さの差とした.【結果】(1)10例中2例に逸脱症例を認めた.(2)平均+1.86mm(+0.25~+3.70mm)であった.(3)平均5.8%(+1.0~+10.9%)であった.(4)平均0.93mm(0.3~1.9mm)であった.【考察】全例でpeg中心は関節窩中央より前方から刺入されていた.pegの肩甲骨骨外への逸脱症例は2例認め,どちらも女性であった.Pegは関節窩から前方よりに刺入することで逸脱のリスクを軽減できることが示唆されたが,女性の症例は注意が必要である.

  • 熊谷 拓也, 後藤 昌史, 大園 宏城, 森山 弘朗, 西田 一輝, 大川 孝浩, 平岡 弘二
    2025 年74 巻3 号 p. 408-410
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【症例】81歳男性,左肩腱板断裂性関節症に対し,リバース型人工肩関節置換術を施行した.術中1100mlの出血があり,自己血と回収血を400mlずつ投与したが,さらなるHbの低下を認めたため,術後4日目に400mlの濃厚赤血球を投与した.術前の採血ではAPTTのわずかな延長を認めていた.術後7日目,抜糸後に500mlの血腫が創部より流出した.その後創部中央に1cm大の出血性肉芽が形成され,術後36日目に二次縫合術を施行したが,術後,38日目にドレーン抜去部より340mlの出血を認めた.術後49日目に血液内科に紹介,Ⅷ因子活性およびVWF活性の低下を認めvon Willebrand病と診断された.術後60日目よりトラネキサム酸の投与を開始,肉芽部の出血は減少し,術後73日目に上皮化の完了と創治癒を確認できた.【結語】今回,術後創治癒不全を契機に診断されたvon Willebrand病の一例を経験した.

  • 兼田 慎太郎, 小薗 直哉, 鍋島 央, 酒見 勇太, 田代 英慈, 山田 恵理奈, 中島 康晴
    2025 年74 巻3 号 p. 411-416
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】人工肩関節全置換術(anatomical total shoulder arthroplasty; aTSA)における上腕骨インプラントの最適な設置角度をシミュレーションソフトを用いて調べる.【対象と方法】2021年9月から2024年5月に九州大学病院で施行したaTSAの10例10肩を対象とした.男性3例,女性7例,手術時平均年齢は73.8歳であった.術前CT画像を使用しシミュレーションソフト(ZedShoulder)を用いた.後捻角を0度から40度まで10度刻みで調整した角度,また個々の術前CTで測定された後捻角の可動域を調べ,後捻の至適角度を6群で比較検討した.シミュレーション機種はすべてLIMA社のSMR Shoulder systemで行った.Tukey - Kramer法による多重比較検定を使用し有意水準P<0.05とした.【結果】肩関節屈曲は後捻が増えるにつれて有意に可動域は悪くなり,外旋,内旋においては後捻角が増えるにつれて外旋角は増大,内旋角は悪くなるトレードオフの関係となっていた.【結論】aTSAは後捻20度か個々の後捻角度に応じた上腕骨インプラント設置が望ましい結果となった.

  • 齋藤 武恭, 宮田 隆史, 安達 淳貴, 筒井 智子, 有隅 晋吉, 安原 隆寛, 由布 竜矢, 加藤 剛, 池村 聡
    2025 年74 巻3 号 p. 417-420
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】椎体不安定性が著明な骨粗鬆症性椎体骨折に対して椎体形成術(以下VP)のみ行った場合では再手術のリスクが高いことが知られている.しかし今回耐術能が低い高齢者であったためVP単独を選択したが術後1年の経過は良好であった症例を経験したので報告する.【症例】80歳女性.L1圧迫骨折後2か月経過しても疼痛で歩行困難なため当院に紹介.骨髄異形成症候群による重度貧血で2週間に1度の輸血でHb7を保てている状態.坐位・臥位での椎体可動域が14度と椎体不安定性が著明であったが低侵襲手術であるVP単独を選択.椎体外への漏出を認めにくいとされるリン酸カルシウムセメントを用いた.術後2日目から歩行器歩行を開始でき,術後1年現在杖歩行ができる状態で,セメントの脱転等もなく経過している.【結語】椎体不安定性が著明なためVP単独では予後不良が危惧されたため,術後の外固定および骨粗鬆症治療に重点を置いた.

  • 古谷 武大, 藤原 悠子, 土持 兼之
    2025 年74 巻3 号 p. 421-424
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】当院で入院した薬物治療中の二次性椎体骨折症例の臨床的特徴について検討した.【方法】2023年1月~12月に当院で骨粗鬆症性椎体骨折に対して入院加療を行った41例を対象に,骨折歴(大腿骨近位部骨折,椎体骨折),入退院時の薬物治療の有無と薬剤の内容,血液検査,骨密度,重症骨粗鬆症の割合,栄養(MNA-SF,GLIM)について評価した.【結果】二次性椎体骨折は22例(53.7%)で,そのうち15例(68.2%)が薬物治療中であった.18例(81.8%)が重症骨粗鬆症に該当し初回骨折群の8例(42.1%)と比較し有意に多かった(p=0.011).二次性骨折群の中で治療あり群と治療なし群を比較すると,年齢,BMI,骨密度に差は認めなかったが,治療あり群の骨吸収マーカー(TRACP-5b)は平均300.1mU/dL(p=0.036)と有意に低値であり,血中25(OH)Dは平均10.7ng/mL(p=0.085)と低い傾向であった.【結論】治療中に二次性椎体骨折を生じた症例には重症骨粗鬆症が多く,25(OH)Dが低い傾向があった.このような症例には治療内容の見直しが必要となる可能性がある.

  • 土持 兼之, 古谷 武大, 藤原 悠子
    2025 年74 巻3 号 p. 425-428
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景と目的】65歳以上閉経後骨粗鬆症患者における骨折リスク因子の解析と,骨折の危険性の高い骨粗鬆症(重症骨粗鬆症)患者の割合およびその骨折発生への影響を評価することを目的とした.【方法】2019年および2020年に骨密度検査を受け,2年以上経過観察可能であった65歳以上の閉経後骨粗鬆症患者104例を対象に,4年間の骨折発生の有無で単変量解析を実施し,有意な変数に対し多変量解析を行った.さらに,重症骨粗鬆症の骨折発生への影響を評価するため,Cox比例ハザード回帰分析を行った.統計学的有意水準は5%とした.【結果】平均年齢79.0歳,62.5%が脆弱性骨折の既往があり,95.2%が薬物治療を受けていた.観察期間中に23例(22.1%)が骨折し,骨折既往歴が有意なリスク因子であった.重症骨粗鬆症患者は51.9%を占め,骨折発生率は31.5%であった.重症骨粗鬆症は有意に骨折リスクを高めた.【結論】重症骨粗鬆症患者では薬物治療中でも骨折リスクが高かった.

  • 有隅 晋吉, 池村 聡, 宮田 隆史, 安達 淳貴, 筒井 智子, 倉員 市郎, 齋藤 武恭, 安原 隆寛, 由布 竜矢, 加藤 剛
    2025 年74 巻3 号 p. 429-431
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】大腿骨近位部骨折患者に骨粗鬆症治療が必須であるが,DPC(Diagnosis Procedure Combination)制度では薬効だけでなく薬価を考慮する必要がある.【目的】大腿骨近位部骨折患者に対する各種骨粗鬆症治療薬の診療単価に関してシミュレーションを行う.【対象及び方法】2023年4月から2024年3月までに当科で手術を施行した大腿骨近位部骨折190例に①ビタミンD(Vit D)②Vit D+ビスフォスフォネート(BP)製剤[1回/週],③PTH製剤[2回/週] ④抗RANKL抗体 ⑤抗Scl抗体の各製剤を術後投与した際にかかる費用を計算した.【結果】DPCⅡの入院期間での骨接合術(ORIF群)は術後平均投与期間7.0日間で,①330円 ②709円 ③14,158円 ④24,939円 ⑤51,202円の負担増であり,人工骨頭置換術(HA群)とほぼ同等の結果であった.【考察】骨形成促進薬は高額でDPCでは負担増加の印象が強いが,シミュレーションでは③14,000円程度であり,症例によって急性期病院入院中から強力な注射製剤を開始すべきであると考えられた.

  • 春田 陽平, 水内 秀城, 屋良 卓郎, 石橋 正二郎, 泊 健太, 鶴 翔平, 宮房 玲奈, 松本 洋太, 兼田 慎太郎
    2025 年74 巻3 号 p. 432-435
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】脊髄硬膜外血腫(以下SEH)は脊髄硬膜外腔へ血腫を形成する稀な疾患である.SEHの病態は明らかではなく,再発防止のための具体策は一定した見解がない.【方法】2013年1月から2024年7月の期間に当科で加療を行ったSEH 17例に対して発症要因や臨床的特徴,治療内容に関する後方視的検討を行った.【結果】男/女=10/7例.外傷性/特発性:4/13例.罹患高位(頚椎/胸椎):10/7例.既往:高血圧が最多.抗血栓薬使用歴:3例(虚血性心疾患,脳梗塞,血液透析).特発性の発症誘発因子:胸腔内圧・腹圧が上昇する動作(脊柱前屈位,息こらえ)がほとんどであった.手術適応:進行性麻痺症状,抗血栓薬の継続必要性とし,保存/手術=8/9例であった.術中固定は胸腔内圧・腹圧を減ずる体位としている.術後血腫再発なし.【考察】静脈灌流圧上昇を抑える対策および抗血栓薬の中止/内容変更が有効である.

  • 土肥 悠暉, 篠原 道雄, 峯 孝友, 栗山 龍太郎, 坪根 徹, 伊原 公一郎
    2025 年74 巻3 号 p. 436-439
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】現在当院は,麻酔科医の減少や超過勤務時間の削減に伴い,予定手術枠の縮小を余儀なくされている.それに伴い,緊急手術への対応能力の低下が危惧されたため,現状について調査した.【方法】2023年4月から2024年9月までの整形外科領域の手術件数,脊椎緊急手術もしくは脊椎予定外手術の初期対応から入室までの時間,術前後の麻痺症状を調査した.【結果】予定手術枠縮小前後を比較すると,手術件数では総手術件数はわずかに増加し予定外手術件数と緊急手術件数は減少した.初期対応から入室までの時間は延長したが,麻痺症状の改善率には差はなかった.【考察】予定手術枠縮小後,緊急性の高い脊椎疾患は受け入れ相談の時点で搬送拒否されている可能性が考えられた.待機時間と麻痺症状の改善率には関連性はなかったが,待機時間の延長に伴うリハビリ介入の遅れや長期臥床のリスク回避のためには,可及的早期の手術対応が必要と考える.

  • 高城 壮太郎, 森下 雄一郎, 吉村 陽貴, 田中 潤, 柴田 達也, 真田 京一, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 440-443
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】脱出遊離型腰椎椎間板ヘルニア(LDH)は,脱出した髄核が頭尾側に変位(migration)することが知られており,migration機序への影響因子に関しては依然不明である.【対象と方法】2013年1月から2024年12月の間に,当院で手術を受けた脱出遊離型LDH 16例を対象とした.近位脱出群(P群:7例)と遠位脱出群(D群:9例)に分類し,それぞれの腰椎解剖学的構造,変性変化,及び臨床的特徴について検討した.【結果】両群間を比較すると,migration機序に有意な解剖学的構造や変性変化の影響は認めなかった.P群でのみ二根障害を呈する症例が4例(57.1%)で認められた(p<0.05).【結論】脱出遊離型腰椎椎間板ヘルニアは遠位脱出が多いが,近位脱出では二根障害のリスクが高く,術前の詳細な神経学的評価と適切な手術アプローチの選択が重要である.

  • ―術前画像評価の重要性―
    吉﨑 真吾, 熊丸 浩仁, 伊東 良広, 播广谷 勝三
    2025 年74 巻3 号 p. 444-450
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性腰仙椎奇形の関与が疑われた難治性椎間板ヘルニア症例に対する手術を経験したため報告する.【症例】15歳女性.1年4ヶ月前から左下肢痛を生じ,MRIで左L5/S椎間板ヘルニアを認め,症状持続するため当科紹介となった.【所見】座位でも間欠的に左下肢後面痛を認め,立位・歩行で増悪した.SLRは20度で陽性であった.単純X線で左L5下関節突起の低形成が疑われ,立位で軽度の左凸側弯を認めた.CTでは,左L5下関節突起の低形成と左S1椎弓根の欠損を認めた.【治療】ヘルニア摘出,ならびに再発・側弯進行の予防を目的にL5/SのTLIFを施行した.左S1は椎弓根スクリューを挿入できないため左S2-仙骨翼スクリューを挿入し,バックアウト予防にフックも併用した.術後,左下肢痛は消失した.【結論】特に若年の腰椎椎間板ヘルニアでは,誘因となりうる解剖学的因子の有無を画像評価することが特に重要である.

  • ―「男女」と「左右」と「ラーニングカーブ」―
    泉 貞有, 井口 明彦, 今村 隆太, 濱田 貴広, 中村 公隆, 有薗 剛
    2025 年74 巻3 号 p. 451-453
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】MED法では「女性」「左側」が容易とされる.ラーニングカーブも含めて検証した.【方法】2009-2022年,MED法(L5/S1)を施行した207例を対象とし,手術時期により前期と後期の2群に分けた.男女,左右,手術時間,術中出血量,ドリル使用による骨掘削の有無を調査した.【結果】ドリル使用頻度は男性で96.8%,女性で87.7%と女性で有意に少なかった(p=0.023).前期と後期の2群間では,手術時間は前期で平均97分,後期で平均78分と後期で有意に短縮(p=0.0002)した.前期のみでは,手術時間は男性で平均103分,女性で平均86分と女性で有意に短縮(p=0.03)していた.【考察】女性の方がヘルニアまでの距離が短く,筋肉量が少なく,骨掘削も容易等と考えられた.【結論】MED法では,ドリル使用頻度は女性で有意に少ない.また,手術時間はラーニングカーブに伴い有意に短縮,その途中では女性の方が有意に短いが,左右間の有意差は認めない.習熟すると男女間も左右間も技術的な難度差は消失する.

  • ―「男女」と「左右」と「ラーニングカーブ」―
    泉 貞有, 吉兼 浩一, 菊池 克彦, 井口 明彦, 今村 隆太, 有薗 剛
    2025 年74 巻3 号 p. 454-456
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】MED法では「女性」「左側」が容易とされる.FED-IL法でも同様なのかをラーニングカーブも含めて検証した.【方法】2009-2018年,FED-IL法(L5/S1)を施行した351例を対象とし,手術時期により前・中・後期の3群に分けた.男女,左右,手術時間,ドリル使用による骨掘削の有無を調査した.【結果】手術時間はドリル使用「あり」で平均43.1分・ドリル使用「なし」で平均28.5分とドリル使用により有意に延長(p<0.00001)した.前・中・後期の3群間では,手術時間はそれぞれ平均43.5分・27.0分・21.6分と習熟に伴い有意に短縮(p<0.001)した.前期のみで,手術時間は男女間および左右間に有意差を認めなかった.【考察】FED-IL法では,骨掘削が不要な場合も多く,ヘルニアにdirectに到達も可能と考えられた.【結論】FED-IL法では,手術時間はドリル使用により有意に延長する.また,手術時間はラーニングカーブに伴い有意に短縮するが,男女間も左右間も技術的な難度差に有意差は最初から存在しない.

  • 西山 俊一, 蓑川 創, 柴田 陽三, 野村 智洋, 坂本 哲哉, 小阪 英智, 伊﨑 輝昌, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 457-460
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    [目的]反復性肩関節脱臼に行われるBristow法は,関節窩接触部が山の裾野のような骨増殖性変化を来たすと報告がある.我々は,CTを用いてBristow法後の移行骨片の詳細な骨形態変化を検討した.[方法]24例24肩を対象とし,術前,最終評価時(FF)の臨床スコアを評価した.術直後(Time 0),FFにおいて3D-CTを用いて移行骨片体積を評価した.また,2D-CTを用いて関節窩近似円を定め,円内骨欠損部面積(DA)と円外移行骨片先端面積(CA)を評価した.[結果]臨床スコアは術前に比べFFで有意に改善した.Time 0とFFで比較し,移行骨片体積は有意に後者で増加した.DAは後者で有意に減少し,CAに有意差はなかった.[考察]Bristow法は移行骨片と関節窩母床との接触部に骨増殖性変化を認め,移行骨片の体積も増加した.そのため,骨性安定性が増大し,脱臼制動効果に寄与すると考えた.

  • 田上 慧, 徳永 琢也, 唐杉 樹, 谷村 峻太郎, 井手尾 勝政, 米満 龍史, 入江 弘基, 宮本 健史
    2025 年74 巻3 号 p. 461-463
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】鏡視下バンカート修復術(ABR)は,様々な術後再発の危険因子が報告され,ハイリスク症例に対する補強処置の有効性が報告されている.当院では関節窩骨欠損率(GBL)率25%以下をABRの適応とし,軌跡外Hill-Sachs病変にRemplissage法(HSR)を追加している.本研究の目的は当院におけるABR術後再脱臼の関連因子を明らかにすることである.【方法】当院でABRを行い再脱臼または1年以上の経過観察可能であった76例を対象とし,患者背景,画像所見(関節窩形態,GBL,Hill-Sachs interval[HSI]),術中所見(併存病変,HSR有無)について評価し,再脱臼群と非再脱臼群で比較した.【結果】再脱臼率は10.5%(8/76肩)であり,再脱臼群でコリジョン・コンタクトスポーツの割合が高く,初回脱臼から手術までの期間とHSIが有意に短かった.その他の項目に有意差はなかった.【考察と結論】本結果からコリジョン・コンタクトスポーツ競技者はABR術後の再脱臼率が高く,軌跡内Hill-Sachs病変であってもHSRなどによる補強の必要性が示唆された.

  • 松﨑 宏生, 梶山 史郎, 青木 龍克, 尾﨑 誠
    2025 年74 巻3 号 p. 464-468
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【症例】16歳男性,高校ラグビー選手.反復性肩関節脱臼に対し,鏡視下バンカートブリストー法を施行した.移行した烏口突起骨片の固定には,Arthrex社製3.75mm中空スクリュー36mmを使用した.術後Xp,CTで挿入したスクリューの長さが短かった.術後1か月のX線にてバックアウトを認めたため,スクリュー入れ替えを行った.【再手術方法】鏡視下および触診でスクリュー頭部を確認した.バックアウトしたスクリューに1.2mm K-wireを挿入し,Synthes社製4.0mm中空スクリュー40mmに入れ替えた.【術後経過】再手術後4か月で試合復帰を許可した.経過中烏口突起の遷延癒合を認めたが,術後1年のCTにて部分的な骨癒合と良好なリモデリングが確認され,ラグビーにも完全復帰していた.【考察】鏡視下にバックアウトしたスクリューの入れ替えが可能であった.初回手術時のスクリュー長決定のための工夫が重要である.

  • 青木 陽祐, 三宅 智, 柴田 光史, 小林 駿介, 松永 慶, 畑 直文, 酒井 政彦, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 469-472
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】肩鏡視下腱板修復術(ARCR)後のスポーツ復帰率(RTS)の報告はいくつかあるが,MRIによる再断裂有無の評価とともにRTSを調査している研究はほぼない.【方法】2020年1月から2021年12月までの間,当院および福岡リハビリテーション病院で,肩腱板完全断裂に対してARCRを受けた,レクリエーションレベルのスポーツ愛好家34名34肩(平均年齢;65.3歳(42-85),利き手側73.5%,最小フォロー期間2年,断裂サイズ;小/中/大=3/19/12)が本研究に含まれた.術後再断裂の画像評価は術後1年で行われた.RTSの評価は術後2年で行われた.【結果】スポーツ復帰率は88.2%だった.術前と同じレベルへの復帰率は82.4%だった.再断裂率は2.9%だった.【結論】レクリエーションレベルのスポーツ愛好家に対するARCRは,再断裂を生じなければ,スポーツ種目に関わらず高いスポーツ復帰率を達成できる可能性が示唆された.

  • 野口 真妃, 太田 浩二, 平野 大輔, 山本 雅俊, 鮎川 周平, 白﨑 圭伍, 渡邊 哲也, 飯田 圭一郎
    2025 年74 巻3 号 p. 473-475
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    65歳以上の一次修復不能な腱板断裂変形性肩関節症に対してリバース型人工肩関節置換術が広く普及している.今回65歳未満で重労働継続希望の一次性変形性関節症に腱板断裂を合併した患者にARCRを行なったので報告する.【症例】63歳男性,塗装業,10年以上前から肩痛があり変形性肩関節症の診断で他院にて注射治療していた.2年前から筋力低下,痛みの増強あり.インピンジメントサイン陽性,立位自動屈曲110度,外転70度,下垂外旋40度,内旋L5.単純レントゲンで両肩関節裂隙消失し一次性変形性肩関節症を疑う所見,MRIで肩甲下筋腱,棘上筋腱,棘下筋腱断裂,棘上筋のGoutallier分類はstage4であった.手術は骨頭上方の変形部分を削り骨頭を小径化しEx-medialization法に準じsuture bridge法で修復した.術後腱板再断裂なく2年経過しJOAは術前51から78点,shoulder36は平均1.48から3.43に改善した.若年者の重労働従事患者に対する短期的な除痛,time savingを目的とした鏡視下腱板修復は選択肢の一つとして考慮しうる.

  • 後藤 靖史, 濱田 大志, 善家 雄吉, 篠原 大地, 小杉 健二, 岡田 祥明, 山中 芳亮, 酒井 昭典
    2025 年74 巻3 号 p. 476-479
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    本症例は,未治療の糖尿病を有する患者の上腕骨近位端骨折後に発生した血腫感染の一例である.CT画像でガス像が認められたため,ガス壊疽疑いで当院に紹介された.ガス壊疽との鑑別を行うにあたって,臨床経過,滲出液の性状,画像所見を入念に検討することでガス壊疽の可能性を否定し,適切な抗菌薬投与および内固定術を施行した.糖尿病患者においては,非Clostridium性ガス産生性感染症の可能性を念頭におきつつ鑑別診断を進めていくことが重要である.

  • 田村 勇樹, 柴田 光史, 三宅 智, 小林 駿介, 松永 慶, 畑 直文, 酒井 政彦, 蓑川 創, 柴田 陽三, 伊﨑 輝昌, 山本 卓 ...
    2025 年74 巻3 号 p. 480-483
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    肩傍関節唇嚢腫に対して,経腱板ポータルを用いた鏡視下除圧・関節唇修復術を行い術後6か月以上経過観察が可能であった9例9肩(男性6肩,女性3肩)を対象とした.手術時平均年齢は42.6歳,術後経過観察期間は15.7か月であった.肩峰前後径の前方1/3の部分より経腱板ポータルを作成し同ポータルから嚢腫の掻爬後,アンカーを挿入し関節唇修復を行った.術前,最終経過観察時の臨床成績の比較を行った.術前と比較して最終経過観察時におけるJOA疼痛,機能スコア,JOAスコア合計点の有意な改善を認めた.棘窩切痕に突出したアンカーはなく,関節窩面に対して後方から前方へ刺入されているアンカーは90.0%(18/20本)であった.嚢腫の再発は1肩に認めた.経腱板ポータルを用いることで関節窩縁の適切な位置へアンカーを設置することができ,医原性の肩甲上神経麻痺を避け術後良好な肩関節機能が獲得出来る可能性がある.

  • 喜瀬 真行, 上原 大志, 金城 忠克, 福嶺 紀明
    2025 年74 巻3 号 p. 484-489
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    26歳の女性で,高校生の頃から誘因なく間欠的な左肩痛があり近医治療歴を有していた.2年前より疼痛が再燃し,保存療法に抵抗性のため精査加療目的に当院紹介となった.左肩に可動時痛を認めるも可動域制限はなかった.単純X線とCTでは骨頭関節面に骨透亮像と嚢胞様の変化を認め,MRIでは関節内と上腕二頭筋長頭腱に沿って著明な滑膜増生がみられた.血液検査では炎症反応は陰性でリウマチ反応もみられなかった.診断と治療を目的に手術を行った.関節内は鏡視下に,関節外は直視下に滑膜切除を行った.術中所見では褐色の滑膜増生がみられ,採取した病理検体で色素性絨毛結節性滑膜炎の診断が得られた.術後1年で疼痛はほぼ消失し,MRIで滑膜炎の再発は認めなかった.色素性絨毛結節性滑膜炎は肩関節に発生することは稀で,さらに若年者の報告は非常に少ないため術前診断が困難であった.再発に関しては今後も注意深い経過観察が必要である.

  • 古江 幸博, 後藤 剛, 川嶌 眞人, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 本山 達男, 佐々木 聡明, 吉田 裕俊, 濱田 浩輝, 藤﨑 匠, 川 ...
    2025 年74 巻3 号 p. 490-493
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    症例は25歳男性.2017年3月,バレーボール中に体育館の床で左肘を強打し近医受診したが,挫傷の診断で疼痛軽快し終了した.その後,腕立て伏せが続かない等筋力低下を自覚しており,近医受診し2023年1月当院紹介受診となった.肘頭近位に陥凹を触れ,筋力はMMT4,肘関節可動域は正常であった.X線画像では上腕遠位に骨片(flake sign)を認めた.陳旧性上腕三頭筋腱断裂の診断にて,半腱様筋腱を用いて腱移植術を行った.術後4週間固定の後,関節可動域訓練を開始し,術後12週から腕立て伏せ等筋力トレーニングを許可した.術後1年,愁訴はなく,可動域は伸展-5度から屈曲135度,筋力はMMT5と良好な結果を得た.本例も含め,報告された陳旧性上腕三頭筋腱断裂は成績良好な例が多いが,陳旧性となっては何かしらの腱移植が必要となる.新鮮時に見逃さないよう診断し,手術加療を行うことが大切である.

  • 田中 一成, 千住 隆博, 園田 眞司, 久岡 拓生, 伊東 孝浩, 上田 幸輝, 内村 大輝, 水城 安尋
    2025 年74 巻3 号 p. 494-496
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当科における成人の上腕骨遠位端骨折に対する治療成績を後ろ向きに調査し報告する.【対象】2014~2024年に手術を行い,6か月以上経過観察可能であった27例(AO分類type Bは除外).【結果】手術時平均年齢75歳.AO分類はtype Aが21例,type Cが6例.手術は全例肘関節後方から展開し,固定方法はdouble plateが22例,後外側plateと内側CCSが5例.平均手術時間は182分,出血量は98ml.軟部組織の状態を確認しながら早期に可動域訓練を開始し,最終観察時の平均可動域は,伸展-10°,屈曲129°であった.併発症は,尺骨神経障害8例,創部感染3例,橈骨神経障害1例,創部壊死1例,異所性骨化1例,CCSのバックアウト1例,偽関節1例であった.【考察】可動域は過去の報告と同等だったが,併発症は15例(56%)と多く,特に尺骨神経の術中処置が重要であると考える.

  • 林 広夢, 廣田 高志, 三宅 智, 橋野 悠也, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 497-500
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院で治療を行った小児上腕骨顆上骨折の神経血管障害について調査し,肘関節前方展開を中心とした観血的治療の必要性について検討した.【方法】2014年12月~2024年4月までに当院で手術を行った小児上腕骨顆上骨折のうち神経血管障害を合併した13例を対象とした.男児6例,女児7例,手術時平均年齢は8.1歳(2~14歳)であった.これらの症例について手術所見,X線学的評価,術後機能障害の有無および合併症について検討した.【結果】神経障害を合併した症例(5例)は術後全例で回復した.血管障害を合併した症例(12例)については大部分で前方展開が行われており,重篤な後遺症が残存した症例はなかった.X線所見では全例で骨癒合を認め,術後合併症として尺骨神経障害を1例で認めたが神経剥離を追加し改善した.【考察】Volkmann拘縮や医原性の障害を避けるためには,血管障害が疑われる場合は前方展開を行った方が無難であると考えられた.

  • 酒井 佑, 坂本 智則, 阿部 知佳, 立山 正道, 園田 広典, 田北 親寛
    2025 年74 巻3 号 p. 501-503
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【症例】73歳女性.転倒し,左上腕骨通顆骨折(AO:13C1)を認め,全身麻酔下に腹臥位でparatricipital approachによる内側,外側プレート固定を行った.術後より正中神経麻痺を呈し,術中圧迫による影響と考え経過観察していたが徐々に症状は増悪した.単純X線像で術前には認めなかった小骨片の前方転位,左手内筋麻痺,神経伝導速度検査で小骨片より近位部で正中神経の振幅の消失を認めた.以上より,術中に転位した小骨片が正中神経を圧迫していると考え,伝達麻酔下に骨片除去及び正中神経剥離術を行った.術中所見として,上腕二頭筋を貫いた小骨片による正中神経の圧迫と,その周囲の瘢痕化を認めた.術後3週で正中神経領域の感覚障害は改善した.【考察・結語】本症例は駆血帯や術中体位の圧迫により,正中神経麻痺が起きたと考えたため原因究明が遅れた.術後の神経障害を認めた場合は,術中圧迫以外の可能性も考慮し,経過を見る必要があると考える.

  • 中尾 公勇, 本田 祐造, 滝田 裕之
    2025 年74 巻3 号 p. 504-507
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    肘頭骨折に対する内固定法はTension band wiring(以下TBW)法やanatomical locking plate固定が選択される.しかし,近位骨片が薄い例や,粉砕が強い場合には十分な固定性が得られず術後に再転位する例や,内固定が難しい例がある.今回我々は,骨接合困難であった肘頭骨折再転位例に対して長掌筋腱を用いて上腕三頭筋腱の再建を行った1例を経験したので報告する.症例は65歳女性,階段から転落し受傷した.右肘頭骨折Mayo分類typeⅡBの診断となりTBWを用いた内固定術を施行した.術後,骨折部が破綻,解剖学的整復は困難と判断し長掌筋腱を用いて上腕三頭筋腱再建を行った.再術後3か月で,肘関節可動域は良好,肘関節伸展筋力はMMT5,JOAスコア100点と経過良好であった.接合困難な肘頭骨折に対して長掌筋腱を用いた上腕三頭筋腱再建術は有用と考えられた.

  • 小島 伸介, 村岡 辰彦, 上野 宜功, 溝口 隆成, 東城 祐介, 田中 雄基, 山下 学, 松尾 卓見
    2025 年74 巻3 号 p. 508-512
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    Anterior Olecranon Fracture Dislocationでは,稀に近位橈尺関節の破綻が見られ,森谷今谷分類(M-I分類)ではtype A-Ⅱに分類される.当院で手術加療を行ったM-I分類type A-Ⅱの症例を4例報告する.平均年齢は60歳で,3例が利き手の骨折,2例はGustilo分類Type3Aの開放骨折であった.PRUJ損傷形態は全例でO’Driscoll分類Type 3(Basal)の鈎状突起骨折を認め,3例で回外筋稜骨折,1例で輪状靭帯脱臼が確認された.手術は全例でUniversal Posterior Approachを使用し,内側mini plateをreduction plateとして用いて鉤状突起骨片を骨幹部に仮固定後,回外筋稜骨片の固定と輪状靭帯の整復を行い,後方にolecranon plateを設置した.平均追跡期間は11.5か月で,術後創部合併症,脱臼・亜脱臼所見は認めなかった.最終評価時の平均可動域は肘関節屈曲101.3°,伸展-22.5°,前腕回内87.5°,回外82.5°であり,Mayo Elbow Performance ScoreはGood 3例,Fair 1例であった.Type A-Ⅱでは骨性支持喪失によるPRUJ損傷を生じるため,その再建が不可欠である.mini plateによる骨幹端再建と鈎状突起骨片への後方からのScrew固定が有用であると考える.

  • 川口 真平, 榎田 信平, 榎田 誠, 永島 英樹
    2025 年74 巻3 号 p. 513-514
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】当院にて行ったセメントレス人工股関節全置換術(THA)症例のなかで,テーパーウェッジ型セメントレスステムの手術成績を調査したので報告する.【対象と方法】2019年から2021年にTHAを行った66例のうち,テーパーウェッジ型ステムを使用した36例を対象とした.手術時の平均年齢は69.2歳,経過観察期間は全例3年以上であった.X線学的評価として,大腿骨髄腔形状,術後最終観察時のステムアライメント,stress shielding,cortical hypertrophy,緩みの有無を調査し,臨床評価として,術前後の日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOAスコア),合併症,再置換の有無を調査した.【結果】3°以上の外反アライメントは7例に認めた.1例にステム挿入時の術中骨折を生じた.緩みを生じた症例はなく,術後3~5年で再置換に至った症例は認めない.【結論】テーパーウェッジ型ステムの短期成績は良好であった.引き続き中長期成績を調査していく.

  • 上原 哲, 松永 大樹, 秀島 義章, 土肥 憲一郎, 瀬尾 哉, 木下 浩一, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 515-517
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    一期的両側全人工股関節置換術(total hip arthroplasty;以下,THA)は,出血量や手術時間,深部静脈血栓症(DVT)などの周術期合併症が懸念される.本研究では,2022年9月から2024年4月までに後方アプローチを用いて実施した20例40股の一期的両側THAについて調査を行った.対象の平均年齢は65.5歳(男性5例,女性15例).手術はすべてセメントレスインプラントを使用し,術中出血量の平均は446.5ml,総出血量は831.5mlであった.出血量と年齢,BMI,手術時間との間に強い相関は認められなかった.周術期合併症として,追加輸血を要した症例が2例,新規DVT発生が1例,脱臼が1股に認められた.本研究の結果,自己血輸血の準備により同種血輸血を回避できる可能性が示唆された.今後は片側手術との比較や長期的な臨床成績の評価が必要である.

  • 安達 淳貴, 池村 聡, 塩本 喬平, 宮田 隆史, 筒井 智子, 有隅 晋吉, 斎藤 武恭, 安原 隆寛, 由布 竜矢, 加藤 剛
    2025 年74 巻3 号 p. 518-520
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】我々は第147回本学会においてTHA術直前カルバゾクロム(アドナ)+トラネキサム酸(トランサミン)の静脈内投与に加え閉創時関節内投与を併用した群は単独群に比べ有意に術後ヘモグロビン(Hb)値の低下量が少ないことを報告した.今回傾向スコアマッチングで患者背景を統一して比較検討を行った.【対象】性別,年齢,BMI,体表面積,自己血貯血量,術中出血量,術後リクシアナの使用割合を傾向スコアマッチングで統一し,抽出された単独群(42例)と併用群(42例)の術前と術翌日・術後4日のHb値変化量を比較検討した.【結果】単独群のHb値低下量は術翌日が平均1.0g/dL,術後4日が1.8g/dLで,併用群は術翌日が0.6g/dL,術後4日が1.2g/dLという結果で,いずれも併用群のHb値低下量は少なく,術後4日では有意差を認めた(P=0.0067).【結語】患者背景等を統一した本研究でも関節内投与併用は術後Hb値低下を抑えており,有効な術後出血抑制方法であると考えられた.

  • 榊 昂典, 中村 嘉宏, 坂本 武郎, 舩元 太郎, 山口 洋一朗, 今里 浩之, 藤田 貢司, 帖佐 直紀, 田島 卓也, 帖佐 悦男, ...
    2025 年74 巻3 号 p. 521-524
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】人工股関節置換術(以下THA)に関して,近年,金属摩耗や金属腐食に起因した生体反応であるAdverse reaction to metal debris(以下ARMD)でインプラント周囲の偽腫瘍形成,周囲軟部組織損傷による外転筋機能不全に伴う脱臼など再手術を要する報告が散見される.偽腫瘍切除後の軟部組織再建術は難渋することが多い.【目的】ARMD症例の偽腫瘍切除に伴う軟部組織欠損に対する軟部組織再建を行なった2症例に関して手術術式を中心に検討した.【対象】ARMDで偽腫瘍形成を呈した2症例に対して,軟部組織欠損部位に応じて異なる手法を用いて軟部組織再建術を行った.【結果】術後3年経過において脱臼や偽腫瘍再発を認めず,概ね良好な経過を辿っている.【考察】偽腫瘍を伴うARMDでの軟部組織欠損に対して,欠損部および欠損範囲に応じた適切な再建の手段を用いることで脱臼のない良好な術後経過を得られるため,再建の手段として欠損部位に応じた方法を持ち得ることが重要と考える.

  • 白石 和輝, 千葉 恒, 本川 哲比古, 寺本 圭賢, 尾﨑 誠
    2025 年74 巻3 号 p. 525-527
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    骨盤や寛骨臼骨折後の症例や,臼蓋の骨欠損が大きい難治症例に対する寛骨臼再建を伴う人工股関節全置換術において,我々は3Dプリンターを用いて実物大の骨盤モデルを作製し,術前計画立案や術中支援ツールとして活用している.本論文では,骨盤モデルの使用が有用であった2例を症例提示し,骨盤モデルが術前計画の負担軽減や術中操作の精度向上,手術の円滑な進行などに寄与したと考える.現在の3Dプリンター技術の進化により,作成されるモデルの精度が大幅に向上した事によって,より多くの難症例への対応が期待される.

  • 松本 悠太朗, 木下 浩一, 瀬尾 哉, 松永 大樹, 土肥 憲一郎, 秀島 義章, 吉村 郁弘, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 528-531
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】Curved periacetabular osteotomy(CPO)術後1年における骨切り部遷延癒合の形態学的特徴を明らかにする.【対象と方法】2017年7月から2021年6月までに当科でCPOを受けた患者を対象とした.術後1年時のCTで遷延癒合部の骨増殖/萎縮,その他結果に示すX線学的項目を計測した.【結果】55関節/51患者,全例女性,平均年齢37.0歳であり,遷延癒合は恥骨14関節(25.5%)で増殖性13/14関節,萎縮性1/14関節,坐骨2関節でいずれも増殖性であった.癒合例+増殖性遷延癒合群/萎縮性遷延癒合例の平均年齢36.9/38.2歳,術前後の差の平均値はCE角12.5º/27.9º,ARO-20.5º/-27.7º,恥骨骨切り部最小裂隙幅1.4mm/3.5mmであった.【まとめ】CPO後1年における骨切り部の遷延癒合の形態はほぼ増殖性であった.

  • 田代 航平, 細山 嗣晃, 渋田 祐太朗, 加来 信広
    2025 年74 巻3 号 p. 532-536
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    17歳,男性.左股関節痛を誘因なく自覚した.38.0度の発熱,疼痛回避性跛行があり,血液検査ではWBC 16,060/μL,CRP 6.18mg/dLで化膿性股関節炎が疑われ受診した.股関節単純X線像で,骨浸食像や関節裂隙の狭小化はなく,MRIの拡散強調画像で化膿性股関節炎を疑う拡散制限はなかった.股関節穿刺で関節液は黄色混濁,細胞数87,600/μL,糖19mg/dLであったが,塗抹染色標本で菌を認めなかった.化膿性股関節炎は否定できず,CEZ 3g/日を7日間点滴投与,その後CCL 750mg/日を3日間内服した.発症10日で症状,血液検査は改善し自宅退院となった.関節液の培養検査では菌の検出はなかった.発症2ヶ月後には疼痛は消失し,各検査でも異常所見はなかった.本症例は関節症状に先行する明らかな感染兆候はなかったが,前医受診時に発熱があり,何らかの先行感染があった可能性は残った.緒検査で化膿性関節炎や関節リウマチも否定的であり,反応性関節炎の可能性が高いと考えられた.

  • 橋口 元一, 津田 宗一郎, 神﨑 貴仁, 田口 勝規
    2025 年74 巻3 号 p. 537-540
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    骨盤輪骨折の総死亡率は30%程度とされ,重篤な病態である.当院は地域の多くの骨盤輪骨折患者を受け入れているが,疫学についての検討はされていなかった.本研究は搬送された骨盤輪骨折の受傷機転から合併症との関連性を調査し検討することを目的とした.2020年4月から2024年3月までに加療を行った骨盤輪骨折を対象とし,性別,年齢,骨折型,受傷機転,合併損傷,治療経過を調査した.症例は89例(男45女44),年齢は16~98歳であった.受傷機転は交通外傷,転落が多く,合併損傷は多部位の骨折が多かった.また,交通外傷では頭部外傷,転落では胸部外傷が多い傾向であった.骨盤創外固定は10例,TAEは12例に施行され,ほとんどが高エネルギー外傷だった.経過中の死亡例は4例で,骨盤輪骨折に直接起因するものはなかった.受傷機転より骨盤輪骨折と合併症の関係について文献的考察を加えて報告する.

  • 福本 大樹, 宮﨑 弘太郎, 林 豪毅, 工藤 悠貴, 喜多村 泰輔, 仲村 佳彦, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 541-544
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】骨盤骨折に対する経皮的スクリューによる手術成績を検討する.【対象と方法】骨接合術を施行し,3か月以上追跡しえた11名(脆弱性骨盤骨折2名,外傷性骨盤骨折9名)を対象とした.検討項目は術後3か月時点での平均Majeed pelvic score,Body Mass Index(BMI),合併症の有無,離床までの日数,術後CTによる骨盤の転位,Majeed pelvic scoreの結果からexcellent/good群(E群),fair/poor群(F群)に分け各検討項目について2群比較を行った.【結果】E群とF群の2群比較ではMajeed Pelvic scoreの痛み,立位の項目で有意差を認めた.また,立位の項目の中で特に歩行距離の項目で有意差を認めた.その他の項目では有意差を認めなかった.Loosening症例はF群であった.E群,F群で痛み,立位,歩行距離で有意差を認めた.【結語】骨盤骨折に対する経皮的スクリューによる固定法は術後3か月において,長距離歩行を除く日常生活動作には大きな支障は無く,有効な固定法であると考えられる.

  • 片岡 佑太, 村中 一喜, 山口 勝城, 坪根 遼平, 水田 和孝, 中島 武馬, 橋本 哲, 園畑 素樹
    2025 年74 巻3 号 p. 545-549
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】大腿四頭筋腱皮下断裂に対して一次修復術を行った2例を経験したので報告する.【症例】症例1:62歳男性.転倒し膝屈曲位で膝を強打し受傷.症例2:52歳男性.走っていて急に立ち止まり受傷.症例1,2共に膝蓋骨近位部の圧痛と皮下の陥凹,膝関節の自動伸展制限を認めた.単純X線像にて膝蓋骨近位部の裂離骨折を認め,MRI検査にて膝蓋骨近位部での大腿四頭筋腱の途絶を認めた.大腿四頭筋腱断裂と診断し手術を行った.膝蓋骨上極より遠位に縦方向の骨孔を3カ所作成.スーチャーボタンテープを用いてpull outし縫合した.後療法は術翌日から部分荷重を開始し,術後3週より全荷重とした.可動域訓練は術翌日から90°まで許可し,術後6週から制限なく行った.現在2例ともにADL制限なく社会復帰している.【結語】大腿四頭筋腱皮下断裂に対するpull out法による一次修復術は早期後療法を可能とし,良好な成績を獲得することができたと考える.

  • 吉元 秋穂, 脇丸 祐, 瀬戸山 傑, 谷口 昇
    2025 年74 巻3 号 p. 550-552
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院は種子島唯一の救急指定病院で,種子島の救急疾患のほぼ全てを担っているが,全ての症例に対応可能ではなく,対応不能な症例については基本的にヘリコプターで三次救急機関に搬送している.しかし,その運用は円滑とは言い難く,不幸な転帰となった症例も存在する.ヘリ搬送が円滑にできなかった2症例を供覧し,離島の現状を報告する.【症例1】63歳女性.急性動脈閉塞症に対し血行再建目的で搬送予定であったが,搬送に時間を要し壊死が進行したため大腿切断となった.【症例2】48歳男性.左大腿に広範な膿瘍を認め,緊急デブリードマン施行した.筋体の壊死を認め本土の救急病院に搬送する方針としたが,ヘリ搬送に8時間近く要した.【まとめ】離島での医療において,本土の病院や自衛隊,消防隊など,他の組織との連携が円滑な患者搬送の要であり,より迅速な対応ができるよう各機関が連携を図ることが重要である.

  • 松村 倫太郎, 篠原 大地, 善家 雄吉, 小杉 健二, 濱田 大志, 岡田 祥明, 酒井 昭典
    2025 年74 巻3 号 p. 553-555
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】低エネルギー外傷による大腿動脈損傷に対してGolden hourを過ぎて血行再建し救肢した1例を経験したので報告する.【症例】78歳,女性.自宅で転倒し受傷,6時間後に前医へ救急搬送され右大腿骨骨幹部骨折と診断した.足背動脈を触知できず,造影CT像にて骨折部で大腿動脈の血流途絶を認め,速やかに当院へ搬送された.受傷後12時間で血行再建を終え,ICUに入室した.受傷3日目に大腿骨逆行性髄内釘による骨接合を施行した.同日より再灌流障害による急性腎障害を認めたため透析を開始した.17日後に透析から離脱した.術後2週より患肢への全荷重を許可し,術後6ヶ月の現在,短期成績は良好である.【考察】虚血後再灌流障害は必発と考え切断も考慮される症例である.しかしながら軽微な外傷でも血流評価を怠らず,迅速に高次機関に搬送されたこと,また適切な術後管理により,救肢および全身合併症からの回復が可能であったと考える.

  • 松本 洋太, 石橋 正二郎, 水内 秀城, 屋良 卓郎, 春田 陽平, 泊 健太, 鶴 翔平, 宮房 玲奈
    2025 年74 巻3 号 p. 556-560
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【症例】24歳男性(ADL全介助).両親の介助により更衣中に左大腿部痛が出現.当院救急搬送後,左大腿骨骨幹部骨折の診断で牽引台にて順行性髄内釘を用いた骨接合術を施行した.最小径の8mmネイルを用いても骨形状と合わず無理に挿入した結果,転子下及び骨幹部に術中骨折を生じた.固定性不良のため術後15日目にプレートによる追加固定術を施行した.術後は可動域及び端坐位訓練を行い左大腿部痛の軽減を得た.追加手術後16日目に介助下で電動車いす移乗し自走可能となった.【考察】本症例は大腿骨高度外弯かつ狭い髄腔径と特殊な形状を有し,加えて股関節外転拘縮と尖足のため股関節内転や下肢牽引が困難であった.牽引台を用いた髄内釘手術は適切でなく,綿密な術前計画は元より,術中の途中撤退も含めた柔軟な対応が必要と考えられた.

  • 松尾 大地, 小河 賢司, 弦本 直治, 山口 雄一, 中山 宗郎, 村田 雅和, 古市 格
    2025 年74 巻3 号 p. 561-564
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    高齢化社会にともない,脆弱性骨折やインプラント周囲骨折の発生率は増加傾向にあり,大腿骨遠位部骨折後に同側の大腿骨近位部骨折をきたす症例を経験することが増えてきた.このような骨折の場合,インプラントの存在により,器材の選択を含めた固定方法に難渋することも多い.今回,大腿骨遠位部骨折術後に同側の大腿骨転子部骨折を生じた症例を3例経験したので報告する.全例大腿骨遠位部骨折に対してNCB®プレートでの骨接合術が施行されており,同側に生じた大腿骨転子部骨折に対して“nail-plate docking technique”を用いた髄内釘での骨接合術を選択した.現在最短6ヶ月の経過ではあるが,過度なtelescopeも無く,経過良好である.“nail-plate docking technique”は,手術侵襲を抑えつつ,骨折部の固定性が担保できる可能性があり,有用な選択肢となり得ると考えられた.

  • 本村 旬, 上野 宜功, 村岡 辰彦, 松尾 卓見, 山下 学, 田中 雄基, 武村 秀孝, 小島 伸介, 東城 祐介, 溝口 隆成, 濱田 ...
    2025 年74 巻3 号 p. 565-568
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    10代の大腿骨転子下・骨幹部骨折の治療では,骨端線閉鎖前や髄腔が狭い症例ではInterlocking nailの使用が困難な場合がある.このような症例にはEnder釘などの代替手段が検討される.2022年1月から2024年12月に当院でEnder釘を用いた内固定を施行した大腿骨骨折の治療成績を報告する.対象は5例5肢,平均年齢13.8歳,女性3例,平均体重45.4kgで,骨折型は大腿骨転子下骨折2例,大腿骨骨幹部骨折2例,転子下および骨幹部骨折1例であった.3例は骨端線閉鎖前であった.Ender釘は全例で大腿骨遠位部の内外側から1本ずつ近位に向けて挿入し,近位固定が不十分と考えられた転子下骨折の2例には創外固定を併用した.全例整復損失なく骨癒合し,骨癒合までの平均期間は108.7日であった.バックアウトを認める症例はなく,最終評価時のFlynn評価はExcellent4例,Good1例であった.以上の結果から,10代の大腿骨転子下・骨幹部骨折に対するEnder釘による内固定術は良好な治療成績を示した.

  • 畑原 大地, 山口 貴之, 奥平 毅, 小西 宏昭, 北原 博之, 宮原 健次
    2025 年74 巻3 号 p. 569-572
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    MTX-LPDに対し手術を行った症例を経験したので報告する.症例は,61歳女性.背部痛,腫瘤触知で紹介受診.5年8ヶ月前から関節リウマチに対しMTX 8mg開始されていた.初診時は歩行可能であったが,数日の経過で痙性のため歩行困難となった.MRIでTh3~5の傍脊柱筋群から硬膜外に連続する腫瘍を認めたが,CTでは明らかな骨破壊像は見られなかった.血液検査ではLDH,可溶性IL-2Rが高値を認めたため,血液腫瘍を疑った.胸髄症症状が重篤で進行性であったため除圧固定術を行った.筋層内腫瘍と硬膜外腫瘍を病理検査に提出し,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の診断を得たため,化学療法目的に転院した.MTX休薬による自然消退が期待できる場合もあるが,症状によっては手術を検討する必要があり,悪性度によってはリンパ腫としての治療も必要となりうる疾患である.

  • ――JOACMEQ・VASを用いた評価――
    緒方 裕文, 田中 潤, 真田 京一, 森下 雄一郎, 柴田 達也, 吉村 陽貴, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 573-575
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【緒言】頚部圧迫性脊髄症に対する術式は前方手術と後方手術に大別されるが,日本整形外科学会頚部脊髄症評価質問票(JOACMEQ)およびVisual Analog Scale(VAS)を用いた治療成績比較の報告は限られている.【目的】JOACMEQとVASを用いて頚部圧迫性脊髄症に対する前方手術および後方手術の術後成績を比較検討すること.【方法】2015年1月から2021年12月までに当院で手術を施行し,2年以上追跡可能であった患者を前方手術群と後方手術群に分類し,術前後のJOACMEQ,VAS,C2-7角を調査した.統計学的検討にはMann-Whitney U検定を用い,p<0.05を統計学的有意差ありとした.【結果・考察】前方除圧固定術群23例,後方除圧術群37例を対象とした.JOACMEQでは両群間に有意差を認めなかったが,VASにおける上下肢の疼痛・しびれでは前方除圧固定術群で有意な改善を示した.前方除圧固定術群と後方除圧術群間では術後のC2-7角に有意差を認めた.このC2-7後湾進行がVAS値に影響したと考えた.

  • 塩月 翔太郎, 工藤 悠貴, 宮崎 弘太郎, 林 豪毅, 喜多村 泰輔, 仲村 佳彦, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 576-579
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    今回,我々は頸椎脱臼骨折に椎骨動脈損傷を合併した1例を経験したので報告する.症例は52歳男性.自宅にて階段から転落し四肢の痺れ,運動障害を認め脊髄損傷疑いで当院搬送.画像検査にて第5頸椎の脱臼骨折,及び右椎骨動脈の閉塞所見を認め血管塞栓術を施行した後に脱臼整復・後方固定術を行った.頸椎損傷は動脈損傷のリスクを常に孕んでおり骨折・脱臼評価のみならず循環評価も併せて実施することが重要である.動脈損傷の所見があれば整復操作より血管治療を先行させることが必要である.

  • 神保 幸太郎, 西見 一彦, 天野 裕太, 脇田 将嗣, 草場 宣宏, 田中 稔一郎, 高田 寛史, 岡崎 真悟, 田中 康嗣, 井手 洋平 ...
    2025 年74 巻3 号 p. 580-582
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    症例は83歳,男性.主訴は頚部痛,四肢脱力.基礎疾患に心房細動,心不全.自宅でトイレに行った後に前向きに転倒,四肢脱力(MMT上肢3,下肢4)のため救急搬入となった.画像検査でC5棘突起骨折およびC5/6椎間の開大を認め,C5脱臼骨折Allen分類DE2および脊髄不全損傷FrankelC2と診断した.術前精査及び循環器内科評価を行い受傷5日後に手術を行った.術中(48分,出血50g)に心停止をきたした.直ちに手術を中断し腹臥位から仰臥位に体位変換,アトロピンを投与して心肺蘇生が得られた.全身状態が安定,冠動脈造影で異常所見が無かったことより3日後に再度手術(後方固定術,126分,100g)を行った.心不全に対して輸液負荷を制限して脱水をきたしており,その状態で腹臥位による心拍出量の低下(前負荷の減少)・全身麻酔による血管拡張・術中に輸液負荷を制限して脱水が進行した結果,循環虚脱による心停止に至ったと推察した.

  • 伊森 暁史, 柴田 達也, 森下 雄一郎, 田中 潤, 眞田 京一, 吉村 陽貴, 山本 卓明
    2025 年74 巻3 号 p. 583-588
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】椎体終板貫通スクリュー(DEPS)を用いた症例のスクリューの軌道について検討した.【方法】2014~2023年にDEPSによる脊椎固定術を受け,術後CTで大動脈の走行とスクリューの軌道が評価可能であった11例を対象とした.大動脈が椎体左側に近接する高位を調査し,そこで用いた左側DEPSのうち,大動脈とスクリュー先端の距離が5mm以上をSS,5mm未満をDSと定義した.スクリュー径と長さ,内向き角度,上向き角度,椎体高・前後径を2群間で比較し,p<0.05を有意差ありとした.【結果】大動脈が椎体左側に近接する高位はTh7-L1内にあり,11例全て胸腰椎移行部であった.SS:8本,DS:7本とDSの頻度は47%であり,スクリュー径と長さ,角度は2群間で有意差を認めなかった.【考察】DEPSを用いた際,胸腰椎移行部の左側においては大動脈損傷に留意する必要がある.今回の検討ではスクリューの軌道がDSの要因とならなかった.

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