整形外科と災害外科
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選択された号の論文の77件中1~50を表示しています
  • 富田 雅人, 前田 純一郎, 池永 仁, 糸瀬 賢, 西野 雄一朗
    2025 年74 巻4 号 p. 699-702
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    [はじめに]骨転移症例に対する手術の小経験を報告する.[症例]2023年4月から2024年8月に当科で手術を行った骨転移症例は9例10肢であった.男性5例,女性4例,平均年齢71.9(53-91)歳.原発巣は,肺癌3例,腎癌3例,大腸癌1例,乳癌1例,消化管間質腫瘍(GIST)1例.9例中6例は病的骨折.手術部位は,大腿骨5例6肢,上腕骨4例4肢.手術は腫瘍切除+腫瘍用人工骨頭挿入1例,腫瘍掻爬+セメント人工骨頭挿入1例,髄内釘挿入7例8肢であった.[結果]平均経過観察期間は術後4.8(1-10)ヵ月であった.術後疼痛は全例で軽減し9例中7例は自宅退院した.7例は術後1.5-8ヵ月で永眠(術後平均生存期間4.1ヵ月)された.[考察,まとめ]骨転移による骨折/切迫骨折は耐え難い疼痛を生じADL,QOLを低下する.術後全例で疼痛は軽減した.有痛性の骨転移症例に対し残された時間をより良く過ごして頂くために積極的に手術を行うべきである.

  • 長嶺 隆二
    2025 年74 巻4 号 p. 703-709
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】癌サバイバーに対する整形外科領域での包括的な取り込みを癌ケアと仮称し,癌ケアが必要か否かを検討した.【方法】2024年6月11日から13日にかけて,当院を受診され,同意を得られた患者さん111名に対して無記名にてアンケート調査を行った.【結果】アンケートに回答された患者さんの約20%が癌サバイバーであった.癌サバイバーの半数の方が身体的問題を抱えていた.63%の方が癌の再発に対する不安を抱いていた.84%以上の方が癌ケアのシステムに賛同された.【考察】整形外科的に癌ケアのシステムは必要である.癌ケアでは,高齢の患者さんにもわかりやすい身体機能の総合的な評価と患者さんへの身体年齢などの項目の提示がポイントになり,精神的サポートも重要であると考えられる.

  • 竹下 立一郎, 杉野 裕記, 萩尾 友宣, 石松 哲郎, 深川 遼, 朝長 星哉, 谷口 善政, 吉村 一朗, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 710-712
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    足関節の前方引き出しテスト(ADT)は慢性足関節不安定症の診断において有用な徒手検査法である.今回我々は若手整形外科医に対してATメジャーを用いてADTの教育を行うことの有用性を検討した.公募した被験者4名を対象に,若手整形外科医師を通常教育群(N群)4名とATメジャーを用いた教育群(AT群)4名の2群にわけ教育前後にADT施行時のAT valueを測定した.各測定値を足の外科医の測定値と比較し,その測定値の誤差を教育前後,N群とAT群で比較した.統計解析にはpaired t検定,t検定を用い有意差をp<0.05とした.各群において教育後の測定値の誤差は教育前と比較し有意に縮小した(p<0.01).またAT群の教育後の測定値の誤差はN群と比較して有意に縮小した(p<0.05).若手整形外科医にADTの教育を行うことで手技の向上を認めた.またADTの教育にATメジャーを用いることで使用しない場合と比較し手技は向上した.

  • 大島 慶久, 松下 任彦, 中原 潤之輔, 浦田 泰弘, 片山 修浩, 吉村 優里奈, 安岡 寛理
    2025 年74 巻4 号 p. 713-716
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】踵骨隆起裂離骨折は,術後の再転位や創トラブルにより治療に難渋する骨折であり,内固定材料や骨接合の方法に関し様々な報告がある.今回,当院における踵骨隆起裂離骨折の手術成績を検討したので報告する.【方法】当院にて2010年から2024年に手術を行った踵骨隆起骨折の7例を対象とした.評価項目は,手術待機期間,手術方法,後療法,術後合併症とした.【結果】手術時年齢は53-88(平均73.8)歳で男2例,女5例,Beavis分類はTypeⅠが6例,TypeⅡが1例,手術待機期間は4-16(平均6.4)日であった.手術方法は,直近2例はSuture Anchorを使用したSuture bridge法を施行し,他5例はCCS単独固定やCCSにソフトワイヤー固定を追加した骨接合術を施行した.Suture bridge法の2例は合併症なく骨癒合を認め,CCSを使用した症例中3症例において骨片の転位やスクリュー折損を認めた.【結論】Suture bridge法による骨接合は,骨脆弱性と皮膚障害のリスクを持つ本骨折に対して有効な固定法である.

  • 柿添 瑞貴, 下河邉 久雄, 田原 尚直, 平岡 弘二
    2025 年74 巻4 号 p. 717-718
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】距骨下関節脱臼は全外傷性脱臼の約1%とまれな疾患である.後方突起骨折を伴う距骨下関節脱臼骨折の1例を経験した.【症例】21歳男性.バレーボール中,ジャンプ着地時に内反位で受傷.歩行困難となり翌日に近医受診し精査加療目的に当院紹介.初診時,内反変形および腫脹を認めた.単純X線およびCTにて内側・後方突起骨折を伴う距骨下関節脱臼骨折を認め,同日に脊椎麻酔下で非観血的整復術を行った.整復後のCTで後方突起骨折部の転位が約3.5 mm残存しており,後日骨接合術を行った.後内側アプローチで長母趾屈筋後方より展開するが関節面の視野不十分であり,長母趾屈筋/脛骨神経間の展開で視野良好であった.【まとめ】転位を伴う距骨後方突起骨折を経験した.また骨折部への観察には長母趾屈筋/脛骨神経間での展開が有用であった.

  • 古賀 裕知, 石松 哲郎, 朝長 星哉, 谷口 善政, 深川 遼, 杉野 裕記, 萩尾 友宣, 吉村 一朗, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 719-721
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】脛骨遠位Triplane骨折は骨端線閉鎖時期に起こる稀な骨折であり,スポーツ活動が盛んな年代での発症が多い.しかし,術後のスポーツ復帰やスポーツ強度に関する報告は少ない.目的は,脛骨遠位Triplane骨折術後の患者のスポーツ復帰やスポーツ強度,並びに臨床成績を検討すること.【対象】2016年-2024年に,脛骨遠位骨端線損傷に対して観血的骨接合術を施行した22例22足の内Xp,CTにおいて,脛骨遠位Triplane骨折を認めた10例10足を対象.臨床評価は,術後のJSSFスコア,スポーツ強度をAnkle Activity Score,また術後スポーツ復帰率を検討した.【結果】術後平均の観察期間は,24.9ヵ月(6.7~43.0ヵ月).術後JSSFスコアは,全例100点と治療成績は良好であった.スポーツ復帰率は100%であり,平均Ankle Activity Scoreは術前後とも8.6点で,全例術前と同様のスポーツへ復帰した.【結語】脛骨遠位Triplane骨折に対する手術療法は,良い臨床成績とともに,同等の競技レベルへ復帰が可能であった.

  • 藤﨑 匠, 古江 幸博, 後藤 剛, 川嶌 眞人, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 本山 達男, 佐々木 聡明, 吉田 裕俊, 賀来 晨宏, 川 ...
    2025 年74 巻4 号 p. 722-725
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    小児のWagstaffe-Le Fort骨折に対し観血的骨接合術を要した一例を経験した.症例は9歳男児.学校で遊具から遊具へ飛び移ろうとした際に着地に失敗し右足関節を捻り転倒.右足関節痛と腫脹が出現したため同日当院受診.右足関節の腫脹は強かったが,X線画像では明らかな骨折を指摘できなかった.MRI・CTを行い,外果前方の前下脛腓靭帯付着部骨折を認めた.骨片が大きく転位していたため,中空スクリューを用いて観血的骨接合術を施行した.術後2週から部分荷重歩行を開始し,術後4週間までギプス固定を行った.経過は良好で術後9ヵ月目にスクリューを抜去した.小児のWagstaffe-Le Fort骨折は報告が少なく非常に稀な外傷である.過去の報告例では転位が少ないため保存療法が行われているが,今回我々は手術を施行し良好な成績を得た.若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 座間味 陽, 岡村 龍, 栗原 典近, 小薗 敬洋, 北島 潤弥, 井口 公貴, 肥後 聖
    2025 年74 巻4 号 p. 726-728
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    中足部骨折は全骨折の中で比較的稀な骨折だが,立方骨単独骨折はさらに稀である.【症例】21歳女性.軽自動車運転中の自損事故で受傷した.単純X線,CTにて立方骨単独骨折(AO/OTA84C, nutcracker骨折)と診断し,手術加療の方針とした.立方骨ロッキングプレートと人工骨β-TCPを用いて骨折観血的手術を施行した.術後2週より踵接地歩行,ROM訓練を開始し,術後6週から部分荷重,術後12週で全荷重可とした.術後7か月の画像検査で骨癒合を認めた.ADLは自立しており,疼痛なく経過している.【考察】立方骨骨折に対する手術方法は,創外固定や架橋プレートなど様々な固定法が報告されているが治療法は確立されていない.ロッキングプレートは整復位保持に有用であり,より強固な内固定並びに早期荷重,後療法の短縮に繋がる.【結語】立方骨単独骨折に対して手術加療で良好な臨床短期成績を得た1例を経験した.

  • 在塚 涼音, 中村 憲明, 福田 一樹, 吉田 宇洋, 石塚 光太郎, 正木 久美, 武藤 亮
    2025 年74 巻4 号 p. 729-731
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【緒言】Checkrein変形は下腿外傷後に長母趾屈筋腱,長趾屈筋腱(以下FHL,FDL)の損傷及び癒着で発生する稀な合併症である.脛骨骨幹部開放骨折術後に生じたcheckrein変形に対し直視下腱切離を施行した1例を経験したため報告する.【症例】18歳男性.Gustilo 3B脛骨骨幹部開放骨折の診断で創外固定の後に髄内釘固定と逆行性腓腹動脈皮弁術を施行.術後6ヵ月の診察時に全趾の足関節背屈時の強制屈曲,底屈で軽減する変形を認め,checkrein変形と診断.エコーではFHL,FDLの皮弁直下で癒着による滑走不良を認め腱切離術の方針とした.FHLの切離のみでは全趾の伸展制限が改善せず,癒着したFDLも切離すると伸展制限が消失.術後は母趾軽度屈曲可能,その他足趾は屈曲不可であったが,SAFE-Q・母趾JSSF scaleはともに100点であった.【結論】下腿外傷後のCheckrein変形に対する腱切離術は患者満足度が高く短期的には良好な成績であり,有用な治療法である可能性がある.今後は長期的な成績の検討が必要である.

  • 堀之薗 聡, 辻村 良賢, 岡田 祥明, 田島 貴文, 塚本 学, 山中 芳亮, 善家 雄吉, 酒井 昭典
    2025 年74 巻4 号 p. 732-735
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    アキレス腱断裂の治療法の一つに従来の腱縫合術と比べ低侵襲なPercutaneous Achilles Repair System(PARS)があるが,術後成績や足関節可動域訓練,荷重開始時期に関する報告は少ない.当院で新鮮アキレス腱断裂に対して,PARSを用いたAchilles Mid-substance SpeedBridge™ repair(MSSB)を施行し,術後6ヶ月以上経過観察可能な10例(男性8名,女性2名)の治療成績を検討した.平均観察期間は13.8ヶ月,最終観察時の足関節自動平均可動域は背屈11.0°,底屈41.5°,平均下腿周囲径は33.7 cm(健側比97%),両側つま先立ち,患側つま先立ちはともに全例で可能であった.再断裂はなく,表層感染を1例に認めたが抗菌薬投与と洗浄・デブリドマンで沈静化した.新鮮アキレス腱断裂へのPARSを用いたMSSBは早期社会復帰に向けた有用な治療法の1つとなり得るが,表層感染に注意を要する.

  • 迫田 篤, 杉野 裕記, 萩尾 友宣, 石松 哲郎, 蓑川 創, 深川 遼, 朝長 星哉, 谷口 善政, 吉村 一朗, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 736-738
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    近年アキレス腱断裂には力学的特性の変化が関連している可能性が報告されている.今回我々はshear wave elastography(SWE)を用いて年代別のアキレス腱の力学的特性の違いを検討した.健常者20-29歳,30-39歳,40-49歳の各5名10足(男性9名,女性6名)を対象とした.被検者をベッド上に腹臥位とし,SWEを用いてアキレス腱の踵骨付着部から1 cmの箇所でアキレス腱のshear wave elasticityと厚さを測定した.統計解析はone way ANOVA検定を用いて比較し,有意差をp<0.05とした.20歳代のshear wave elasticityは30歳代,40歳代と比較し有意に高値であった(p<0.05).20歳代の厚さは40歳代と比較し有意に低値であった(p<0.05).年齢とshear wave elasticityは強い負の相関(r=-0.76, p<0.01),年齢と厚さは正の相関(r=0.48, p<0.01),shear wave elasticityと厚さは負の相関(r=-0.41, p=0.02)を示した.この結果は加齢に伴うアキレス腱の力学的特性の変化を明らかにした.加齢がアキレス腱断裂にどのような機序で関連しているか明らかにする一助となる可能性がある.

  • 新庄 恵英, 横山 信彦, 山口 亮介, 藤原 稔史, 中島 康晴
    2025 年74 巻4 号 p. 739-741
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】外反母趾患者では変形の進行に伴い母趾外転筋の筋量が低下することが知られているが,CTを用いて筋量を評価した報告はない.【対象と方法】当院にて2010年1月から2021年4月までに初回外反母趾手術を行った患者のうち術前6か月以内のCTのない例と関節リウマチ例を除いた48例50足を対象とし,CTを用いて母趾外転筋,短趾屈筋の断面積を計測し,HV角との関連性を調査した.【結果と考察】母趾外転筋と短趾屈筋の断面積は正の相関を認め,HV角と母趾外転筋断面積は負の相関を認めた.重回帰分析では年齢,性別,BMI,各筋の断面積においてHV角に最も影響する因子は母趾外転筋の断面積であった.CTを用いた客観的な解析においても過去の報告と一致する所見が得られており,CTによる筋量評価は有用であると考えられた.また,母趾外転筋および短趾屈筋の運動療法により外反母趾の進行が抑制される可能性が示唆された.

  • 小川 宗一郎, 松下 優, 津村 麗美, 大屋 慶知, 佐々木 貴之, 有薗 奨, 加峯 亮佑, 馬場 覚, 小宮 紀宏, 塚本 伸章, 林 ...
    2025 年74 巻4 号 p. 742-744
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    (はじめに)膝蓋骨Sleeve骨折は,膝蓋骨の軟骨成分が微小骨片を伴い卵の殻状に裂離する骨折である.今回小児膝蓋骨Sleeve骨折に対しPull-Out法を施行した2例を経験した.(症例1)11歳,男児,縁石で躓き,転倒を防ぐ為左足を付き受傷.膝蓋骨高位と下極Sleeve骨折を認め,Krachow sutureを遠位小骨片と膝蓋腱にかけ,Pull-Out法で骨接合術を施行.(症例2)15歳,男児,階段を飛び降りて着地した際に受傷.膝蓋骨上極Sleeve骨折を認め,Krachow sutureを大腿直筋腱と近位小骨片にかけ,Pull-Out法で骨接合術を施行.(まとめ)膝蓋骨Sleeve骨折の発生機序は,大腿四頭筋の強い収縮が加わることで生じるとされているが,上極と下極では年齢と受傷経過が若干異なるとの報告がある.また,本症例2例共,Pull-Out法による骨接合を行い良好な経過を得たが,膝蓋骨Sleeve骨折への骨接合術には様々な内固定法があり,若干の文献的考察と共に報告する.

  • 當山 全哉, 神谷 武志, 知念 修子, 米田 晋, 仲宗根 素子, 大久保 宏貴, 普天間 朝拓, 西田 康太郎
    2025 年74 巻4 号 p. 745-749
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    小児では成長軟骨板周囲に発生した腫瘍や骨髄炎等による成長障害が問題となる.大腿骨遠位成長軟骨板の病変に対して,骨髄鏡手術を行ったので報告する.症例1は4歳女児.生後3ヵ月時,左膝血管内皮腫に対して化学療法が行われた.腫瘍瘢痕化による大腿骨短縮の診断で当科へ紹介された.画像上,大腿骨遠位骨端線の中央から後方にかかる骨性架橋及び4.7 cmの大腿骨短縮を認めた.鏡視下に骨性架橋切除術を施行し,術後1年で大腿骨長差が3.4 cmへ改善した.健側の骨端成長抑制術を行い,術後6年で疼痛や運動制限なく,脚長差は2 cmであった.症例2は10歳男児.誘因なく右膝痛が出現し,近医を受診した.大腿骨遠位骨髄炎の診断で,当科へ紹介された.画像上,病変は大腿骨骨幹端前方皮質骨と近接し,骨端線を超えて骨端部に達していた.鏡視下骨掻把術を施行し,術後,抗菌薬治療を行った.術後6ヵ月時,運動制限や感染徴候はみられず経過良好であった.

  • 正木 久美, 中村 憲明, 福田 一樹, 吉田 宇洋, 武藤 亮
    2025 年74 巻4 号 p. 750-754
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    脛骨近位骨端線損傷は比較的稀な損傷である.短期間に両側の脛骨近位端損傷を起こした症例を経験したため,発生要因の検討と共に報告する.症例は初回受傷時13歳4ヶ月の男性,バスケットボールで着地時に受傷.Salter-Harris(SH)Ⅱ型の左脛骨近位骨端線損傷の診断で同日観血的骨整復術を施行.3ヶ月後,徐々に運動復帰を許可した数日後の13歳7ヶ月時に同じくバスケットボールで着地時に対側右のSHⅡ型脛骨近位骨端線損傷を受傷.同日徒手整復を施行.脛骨近位骨端線損傷の受傷リスクとしては,脛骨後方傾斜角の大きさ,足関節可動域制限などが述べられている.発症メカニズムは,膝屈曲状態での大腿四頭筋エキセントリック筋収縮によるものが多いと報告されている.こうしたリスクを要するものに対し,四等筋の拮抗筋であるハムストリングスの筋力強化,足関節可動域の改善,着地動作指導などで対側の受傷を予防できた可能性がある.

  • 沖﨑 優一朗, 幸 博和, 横田 和也, 樽角 清志, 小早川 和, 川口 謙一, 中島 康晴
    2025 年74 巻4 号 p. 755-758
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】思春期特発性側弯症(AIS)に対する後方矯正固定術後に固定下端椎に隣接する部位での後弯進行,distal junctional kyphosis(DJK)を生じることがある.我々が渉猟し得る限りではこれまでに腰椎と股関節の位置関係とDJK発生との関連について報告したものはない.【目的】本研究では矢状面における腰椎と股関節の前後位置関係がAIS術後のDJK発生に影響するかを検討した.【方法】当院にて後方矯正固定術を施行したAIS全87例に関して,各種Xpパラメータの計測を行い,DJK発症群と非発症群に分けて解析を行った.本研究では股関節と腰椎の前後位置関係を表すパラメータとしてlumbar apex-femoral angle(LAF angle)を新たに定義し測定した.【結果・考察】術前LAF angleはDJK発生と有意な相関を認め,腰椎に対して股関節が前方に位置することがDJK発生のリスク因子であるという結果であった.具体的なDJK予防策について検討を行うことが今後の課題である.

  • 山本 一輝, 柴田 達也, 森下 雄一郎, 田中 潤, 眞田 京一, 吉村 陽貴, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 759-762
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】下肢の変形性関節症(OA)が腰椎固定術患者の症状や治療成績に及ぼす影響について検討した.【方法】腰部脊柱管狭窄症・椎間孔狭窄で2014~2023年に1-2椎間TLIFを受け,術前と術後1年の症状評価が可能であった43例を検討した.下肢荷重関節OA手術歴あり10例をOA群,OA手術歴なし33例のうちOAを否定できた21例をN群とした.年齢,性別,BMI,基礎疾患,手術時間,出血量,再手術,術前後のVAS・JOABPEQ,椎間板変性を2群間で比較した.【結果】OA群でPfirrmann gradeが高く,JOABPEQの術前腰椎機能スコアが低かった(p<0.05).その他の術前スコアや術後改善スコアは,2群間で有意差を認めなかった.【考察】OA群は椎間板変性が強く,術前の腰椎機能スコアが低い傾向にあるが,術後改善スコアには影響せず,TLIFはOA手術歴の有無に関わらず同等の治療成績が期待できる.

  • 矢野 健太, 前田 和也, 杉本 和樹, 谷脇 琢也, 中村 孝幸, 宮本 健史
    2025 年74 巻4 号 p. 763-764
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【概要】椎体の破壊や骨欠損を伴う化膿性脊椎炎においては,前方固定を含む侵襲性の大きい外科的治療が選択されることが多い.本症例では,L5/S1を中心とした高度な椎体破壊を伴う化膿性脊椎炎に対して後側方固定術を施行し,寛解を得た1例を報告する.症例は80代女性.数か月前より腰痛を自覚し近医を受診.保存的治療を受けたが症状悪化し当院を紹介された.CTでL5/S1の高度な椎体融解を認め,MRIで椎間板膿瘍を認めた.生検で病原体を同定後,抗菌薬治療を開始.L4から腸骨までのスクリュー固定と後側方への自家骨移植を行った.術後,腰痛が軽快し炎症反応も陰性化した.術後1年で後側方の骨癒合を確認し,インプラント関連の合併症は認めなかった.高度な骨破壊を伴う化膿性脊椎炎に対しても,後側方固定術は有用な選択肢の1つと考えられる.

  • 古場 裕人, 入江 努, 田中 哲也, 中原 寛之, 青野 誠, 江口 大介, 齊藤 太一
    2025 年74 巻4 号 p. 765-767
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】Kissing spinesにおいて,固定術後早期に隣接上位の椎間孔狭窄症を来した2例を報告する.【症例1】74歳,男性.右L5神経根性間欠跛行に対してL5-S1 Posterior Lumbar Interbody Fusion(PLIF)を施行した.術後3ヶ月して右L4神経根症を発症し,神経根ブロックにて治癒した.【症例2】73歳,男性.右L5神経根性間欠跛行に対してL4-5後方除圧術+L5-S1 Posterolateral Fusion(PLF)を施行した.術後2日離床時より右L4神経根症を発症し,保存的治療抵抗性のため術後1ヶ月にL4-5 PLIFを施行し疼痛は消失した.【考察】Kissing spines症例においては,手術により棘突起同士のblockageが失われると同部での後屈可動性増大や後方すべりが起こり得る.これにより除圧術では同レベルまたは隣接上位の,固定術では隣接上位の椎間において椎間孔狭窄症を発症する可能性がある.文献的考察を加え報告する.

  • 江口 大介, 入江 努, 田中 哲也, 中原 寛之, 青野 誠, 古場 裕人, 齊藤 太一
    2025 年74 巻4 号 p. 768-771
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】腰椎化膿性脊椎炎に対しては保存的治療が基本であるが,神経症状を来した症例や抗菌薬治療後局所不安定性に伴う腰痛の遺残症例に対しては手術的治療が必要となる.今回,後者に対して同種骨を用いた後方椎体間固定術を行った症例を報告する.【症例】2019年~2022年に本症に対して同種骨移植+後方固定術を施行した7例.女性2例,男性5例.年齢50~84歳(平均71歳).症状,罹患高位,発症から手術までの日数,骨癒合等について調査した.【結果】全例に腰痛の改善,感染の鎮静化を得た.手術までの平均日数は97日,骨癒合は6例に認めた.【考察】化膿性脊椎炎後の局所不安定性に対しては,そもそも感染後であること,骨破壊の形状がいびつであることなどから通常のケージは使用しづらい.これに対して同種骨チップは骨欠損部を充填するのに適しており,後方手術のみで完結させることが可能なため有用な方法と考えられた.

  • 磯部 優作, 馬場 秀夫, 今井 智恵子, 貞松 毅大, 神﨑 衣里, 樋口 尚浩
    2025 年74 巻4 号 p. 772-775
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】Parkinson病(以下PD)を伴う脊柱変形は再手術率が高い.当院のPD患者の再手術例を報告する.【症例】症例1:69歳女性,Yahr分類1度.変性側弯に対しL3-5前方後方固定,術後1年でYahr分類4度となり後側弯が進行しT5-S2の後方固定を行った.症例2:58歳女性,Yahr分類1度.L4辷りに対してL4-5後方固定,術後8年でL5/S狭窄に対しL5-S後方固定,術後9年でL1-3狭窄に対しL1-3後方固定,その9ヶ月後,頭側で側弯が進行しT4-L3後方固定を行った.症例3:81歳女性,Yahr分類3度.変性後側弯による両下肢痛に対しL2-5前方,T10-S1後方固定,術後1年で転倒,T9/10の脊髄損傷が出現しT4まで固定延長した.症例4:71歳女性,Yahr分類2度.変性後側弯による歩行困難に対しL2-5前方,T10-S2後方固定,術後1年でT10の骨折と後側弯進行を認めT3まで固定延長した.術後7年でロッド折損しT10-S2にロッドを追加した.【結語】PDの進行と椎間障害のために再手術を必要とした.

  • 久場 兼昂, 普天間 朝拓, 齋藤 俊輔, 當山 全哉
    2025 年74 巻4 号 p. 776-781
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    脛骨天蓋骨折(以下,ピロン骨折)は,脛骨遠位端の関節内骨折であり,軟部組織合併症の危険性が高く,治療難度の高い骨折である.当院ではStaged protocolに準じて治療を行っている.当院で観血的治療を行ったピロン骨折9症例10骨折を報告する.10骨折中8骨折は緊急創外固定,2骨折はシーネによる外固定で待機後に内固定で治療を行った.10骨折中7骨折は,骨接合術を行い合併症なく骨癒合を得られたが,他3骨折は合併症による追加手術を要し,最終的に足関節固定術を施行した骨折が2例,骨癒合後に早期抜釘術を必要とした骨折が1例であった.ピロン骨折では,骨折の形態や軟部組織の状態に応じて,治療戦略を綿密に計画していく必要がある.高度粉砕骨折や軟部組織および骨の欠損で内固定による骨癒合が困難である症例においては,早期関節固定術の検討も必要である.

  • 中村 桂子, 朝永 育, 山本 慎太郎, 山口 圭太, 西野 雄一朗, 土居 満, 田口 憲士, 尾﨑 誠
    2025 年74 巻4 号 p. 782-784
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    今回,我々は髄内釘治療後に発生した第3骨片の関節内穿破という稀な症例を経験したため報告する.症例は35歳,男性.バイク転倒による交通外傷で受傷した.Gastilo分類type 3Bの左脛骨遠位骨幹端の開放骨折および左腓骨骨折を認め,受傷2日目に脛骨の髄内釘治療を施行した.受傷3日目に皮膚欠損部位に対する遠位茎腓腹皮弁および分層植皮を用いた再建術が施行され,創部安定まで足関節背屈0度でシーネ固定を行った.術後約4週目のCT検査で脛骨遠位の関節内骨折部から第3骨片の足関節内への穿破を確認した.その後腓骨の骨接合術と同時に直視下で第3骨片を除去した.髄内釘挿入時は術前に髄腔内の第3骨片を確認し,関節内穿破の危険性に注意する必要がある.

  • 生田 純基, 福田 雅俊, 白石 大偉輔, 荒木 崇士, 後生川 輝, 菊川 憲志
    2025 年74 巻4 号 p. 785-787
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    脛骨天蓋骨折に対して脛骨用順行性髄内釘を用いて内果骨片移植を併用した足関節固定術を施行した症例を経験したので報告する.症例は83歳,女性で転倒し受傷,CTで左足関節脱臼骨折(AO分類43-B3,Rüedi分類TypeⅢ)を認め,左足関節脱臼を伴う脛骨天蓋骨折の診断にて同日創外固定を行い,第10病日に脛骨用順行性髄内釘を用いて内果骨片移植を併用した足関節固定術を施行した.術後2週間から部分荷重での歩行訓練を開始,術後3ヶ月で杖歩行可能となり自宅退院,歩行時の疼痛は認めなかった.高度粉砕のある脛骨天蓋骨折に対して,足関節固定術は年齢や早期荷重を検討した上で治療法の選択肢の一つになり得ると思われた.

  • 後藤 剛, 古江 幸博, 川嶌 眞人, 田村 裕昭, 永芳 郁文, 吉田 裕俊, 本山 達男, 佐々木 聡明, 藤崎 匠, 賀来 晨宏, 川 ...
    2025 年74 巻4 号 p. 788-791
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】過去10年間に当院で加療したTriplane骨折8例について報告する.【対象】男児6例,女児2例を対象とした.受傷時年齢,受傷機転,骨折型,初診時転位量,手術までの待機期間,治療方法,合併症について評価した.【結果】受傷時平均年齢は13.6歳(12歳~16歳).受傷機転は全例とも転倒で,サッカー5例,バスケットボール1例,スケートボード1例,運動会の練習中が1例であった.骨折は2 Partが7例,3 Partが1例.腓骨骨折の合併は4例に認めた.治療は,観血的骨接合術5例,経皮的鋼線刺入固定術1例,麻酔下での非観血的整復術を2例行った.インプラントは中空螺子を5例に,Kirschner鋼線を1例に用いた.全例骨癒合を認め変形治癒は生じなかった.合併症は第1趾知覚障害,足趾の筋力低下を2例認めたが経過観察で改善した.【結語】比較的稀なTriplane骨折に対し手術療法,保存療法を行い良好な結果を得た.

  • 伊藤 洋輝, 安部 幸雄, 片岡 秀雄, 藤澤 武慶, 髙橋 洋平, 淺野 圭, 鎌田 敬子
    2025 年74 巻4 号 p. 792-795
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】血管石灰化は様々な臓器障害を引き起こすが,大腿骨近位部骨折と血管石灰化の関連を検討した報告は少ない.【目的】大腿動脈の石灰化を伴う大腿骨近位部骨折患者の特徴を調べた.【方法】2022年1月~12月に当院で大腿骨近位部骨折の診断で入院加療した患者199例を対象とし,単純X線による大腿動脈の石灰化を評価し,石灰化なし群155例,石灰化あり群44例について比較検討した.【結果】石灰化あり群で年齢,糖尿病,慢性腎臓病,心血管疾患,抗血栓薬内服で有意差を認め,採血ではBUN,eGFR,HbA1cで,心エコーでは重度弁膜症で有意差を認めた.在院死亡に有意差は認めなかったが,石灰化あり群で最終フォロー時居宅は施設・病院の割合が多かった.【結論】血管石灰化がある場合,救急初療など情報が少ない中で糖尿病,腎,心疾患等を念頭において術前検査を組み立てるべきである.最終的な居宅は施設・病院となり自立した生活が困難となる可能性が高い.

  • 長谷川 倫子, 平良 啓之, 宮城 左京, 大城 義竹, 砂川 秀之, 新垣 宜貞, 西田 康太郎
    2025 年74 巻4 号 p. 796-799
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】大腿骨転子部骨折の髄内釘手術では整復位を保持しながら大転子の開口を行うのが困難である.当院では正確に大転子を開口し容易に整復を行うため,純正オウルと逆方向に先端をカットした特注逆切りオウルを使用しており,治療成績を検討した.【対象及び方法】2023年5月から2024年4月までに当院で大腿骨転子部骨折に対して手術した80例中,Stryker社ガンマ3ネイル®を使用し,術後3か月以上フォロー可能であった38例(男性13例,女性25例,平均年齢82.7歳)を対象とし,手術時間,出血量,術直後TAD,術直後整復位,整復位矯正損失率,テレスコープ量・率,カットアウトの有無について検討した.【結果】平均観察期間は6か月,手術時間は1時間12分,出血量は128 mL,術直後TADは15.4 mm,整復位矯正損失率は7.9%,テレスコープ量は4.4 mm,テレスコープ率は7.9%,カットアウト症例はなかった.【結論】特注逆切りオウルを用いた治療成績は諸家の報告と比べ概ね良好であった.

  • 石川 喜仁, 安樂 喜久, 立石 慶和, 安藤 卓, 上川 将史, 大野 貴史, 佐藤 慶治, 髙田 紘平, 大塚 貴
    2025 年74 巻4 号 p. 800-802
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    大腿骨転子下骨折は近位骨片に付着する筋群による転位力が強く,変形癒合や偽関節となる症例も少なくない.今回われわれは,大腿骨転子下骨折内固定術後の成績ならびに偽関節偽関節の成因について検討した.対象は2012年から2023年に大腿骨転子下骨折に対して骨接合術を行った75例(男性22例,女性53例),手術時平均年齢78.6歳である.術後6ヶ月以上フォロー可能であった40例について骨癒合率,再手術率,ADLを調査した.骨癒合率は80.0%,再手術率は12.5%であった.偽関節症例では,内反や屈曲転位やギャップの残存など不十分な整復となった骨折部位での架橋形成が認められず,インプラント破綻に至っていた.内固定術において解剖学的整復位の獲得が重要であることを再認識した.

  • 柳邉 崇志, 金澤 和貴, 秋穂 俊輔, 上田 章弘, 重常 公彦, 泉 秀樹
    2025 年74 巻4 号 p. 803-805
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】本邦では2022年4月の診療報酬改定で「緊急整復固定加算」「緊急挿入加算」が新設された.当院は同年5月からこれに取り組んでいる.本研究は当院における早期手術の阻害因子と,手術待機時間が周術期合併症に与える影響を明らかにすることを目的とした.【方法】2022年5月から2024年3月までに当院で手術加療を行った319例(男性63例 女性256例 平均年齢84.5±9.0歳)を対象とした.評価項目は患者背景,早期手術達成の成否と阻害因子,術前待機時間,術前・術後の合併症とした.【結果】受傷から48時間以内に144例(45.1%)が早期手術可能であった.阻害因子としては休薬の必要性が最多であった.手術待機時間は52.3±41.5時間で,早期手術の成否は術前・術後の合併症の発生に有意な影響を与えた(p<0.05).【考察】個々の患者の周術期マネジメントを適切に行い,可及的速やかな手術を行うことで,患者の予後に寄与できることが示唆された.

  • 吉光 一浩, 山木 宏道, 田島 裕之, 志波 直人, 平岡 弘二
    2025 年74 巻4 号 p. 806-809
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】当院は福岡県朝倉医療圏にある病床数224床の二次救急病院で,高齢化率が34.0%と全国平均の28.6%や福岡県の27.9%より高い地域にある.【目的】大腿骨近位部骨折受傷後48時間以内の手術施行の実態を調査した.【方法】2023年4月から2024年3月の期間に,大腿骨近位部骨折で入院手術を施行した55例を対象とした.整形外科の定例手術日は火・木曜である.受傷,入院,手術の日時,手術前合併症を診療録から調べた.【結果】平均年齢は87.0(68~101)歳だった.大腿骨頚部骨折が24例,転子部・頚部基部骨折が31例だった.受傷から当院入院まで平均1.1日,受傷から手術まで平均5.2日だった.受傷後48時間以内の手術施行は12例(21.8%)だった.【考察】手術までの時間短縮には,平日に毎日手術を行えるよう工夫と努力と病院全体の協力が必要と考える.

  • 津村 麗美, 塚本 伸章, 大屋 慶知, 徳永 真一, 小川 宗一郎, 有薗 奨, 加峯 亮佑, 馬場 覚, 松下 優, 小宮 紀宏, 林田 ...
    2025 年74 巻4 号 p. 810-812
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】大腿骨頚部骨折は高齢者に多発する骨折であるが,稀に若年者でも高エネルギーの結果生じうる5).今回我々は若年者の大腿骨頚部骨折を経験したため報告する.【症例1】19歳男性.バイク事故で受傷,骨幹部骨片の後方への転位を伴う右大腿骨頚部骨折の診断となった.緊急手術を行い,大腿骨頚部骨折は前方と外側から直視下に整復しプレートと海綿骨スクリューにて内固定を行った.【症例2】24歳男性.トラック事故で受傷.右大腿骨頚部と骨幹部骨折の診断となった.緊急手術を行い,大腿骨頚部骨折は髄内釘のリコンスクリューとCCSで固定したが,大腿骨頚部の内反転位が残存した.後日再手術で逆行性髄内釘に入れ替え,大腿骨頚部骨折は直視下に整復しプレート固定を行った.2例とも術後3ヶ月以上の免荷期間の後,骨癒合を得て歩行可能となった.【結論】2例とも大腿骨頚部骨折の治癒不良が危惧されたが,直視下の整復が奏効し骨癒合を得た.

  • 原口 亮平, 坂本 哲哉, 野村 智洋, 蓑川 創, 小阪 英智, 柴田 陽三, 伊﨑 輝昌, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 813-814
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    当院において大腿骨頸部骨折に対する骨接合術の術後成績不良例を調査すること.対象は2014年2月~2024年1月に当院にて骨接合を施行した中で,術後3ヶ月以上観察可能であった76例である.男性17例,女性59例,手術時平均年齢75.9歳,経過観察期間30.4ヶ月,良好群64名と不良群12名での2群間で比較検討した.検討項目は受傷から手術までの日数,Garden分類,術前術後のGDI・PTA,Pauwels角とした.良好群は不良群と比較し,Pauwels角が優位に小さいことがわかった.その他の調査項目においては有意差を認めなかった.本研究では,Garden分類・Pauwels角の増悪・固定具の種類が予後不良因子として挙げられた.Pauwelsの増加により圧迫力が減少し剪断力が増加するため,骨頭壊死が起こりやすいと報告されており,先行研究と同様の結果であった.大腿骨頸部骨折術後合併症のリスク因子としてGarden分類,Pauwels角,固定具に有意差を認めた.

  • 小林 史陽, 瀬尾 哉, 木下 浩一, 松永 大樹, 土肥 憲一郎, 秀島 義章, 吉村 郁弘, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 815-817
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】大腿骨頸部骨折に対する短外旋筋共同腱温存(CPP)人工骨頭置換術(BHA)において,内・外閉鎖筋の筋断面積を評価することである.【対象および方法】2020年5月から2023年5月までに当院でCPPアプローチによるBHAを施行した11例11股(男:3股,女:8股)を対象とした.手術時年齢は平均76歳,経過観察期間は平均13ヵ月であった.同時期に通常の後側方(PL)アプローチでBHAを施行した10股をコントロール群(内閉鎖筋は修復)とし,術前後の単純CTにより計測した内・外閉鎖筋の筋断面積について調査した.【結果】内閉鎖筋の断面積はCPP群で術前944±191 mm²,術後887±162 mm²,PL群で術前883±161 mm²,術後743±226 mm²であり,PL群において術後は減少傾向にあったが,両群とも術前後の有意差は認めなかった.また両群とも脱臼例は認めなかった.【考察】CPPでは共同腱が温存できていたが,脱臼予防に対する有用性は示せなかった.

  • 宮田 隆史, 池村 聡, 安達 惇貴, 筒井 智子, 有隅 晋吉, 齋藤 武恭, 安原 隆寛, 由布 竜矢, 加藤 剛
    2025 年74 巻4 号 p. 818-820
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景】大腿骨人工骨頭置換術(BHA)における重大な合併症として脱臼が挙げられる.当院では2022年3月以前は梨状筋を温存した後方アプローチ(従来法)を用いてBHAを行っていたが,脱臼率減少を目的とし2022年4月より共同腱温存(CPP)アプローチを用いたBHAを導入している.本研究の目的は従来法とCPPアプローチを用いたBHAの成績を比較検討することである.【方法】対象は2020年8月-2022年3月までに当院で従来法を用いてBHAを行った139例(従来法群),2022年4月-2023年12月までにCPPアプローチを用いてBHAを行った175例(CPP群)とし比較検討を行った.評価項目として年齢,性別,BMI,使用機器,認知症の有無,手術時間,出血量,離床までの日数,周術期骨折の有無,術後脱臼の有無,その他合併症を調査した.【結果】術後脱臼は従来法群で4例(2.9%),CPP群で0例(0%)であった(p<0.05).【結語】CPPアプローチはBHA術後脱臼を予防する有用な手術法である.

  • 赤堀 圭一, 山家 健作, 藤原 聖史, 石田 孝次, 尾崎 まり, 永島 英樹
    2025 年74 巻4 号 p. 821-826
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】大腿骨転移性骨腫瘍の病的骨折の髄内釘術後に遅発性感染を生じ,二期的な髄内釘抜去とデブリドマン後の手術で鎮静化できた2例を報告する.【症例1】78歳男性.肺腺癌の左大腿骨骨幹部骨転移切迫骨折に対して髄内釘を行い,放射線治療も行った.術後3年4か月で感染を生じ,二期的に髄内釘の再挿入を行い,再感染徴候なく経過中である.【症例2】67歳女性.乳癌の右大腿骨転子下骨転移切迫骨折に対して髄内釘を行い,放射線治療も行った.術後1年8か月で感染を生じ,二期的に髄内釘の再挿入術を行い,再感染徴候なく経過中である.【考察】外傷による骨折治療後の遅発性感染例の報告は多く認めるが,骨転移に対する術後遅発性感染の報告は少ない.化学療法や放射線治療の影響で,一般的に骨転移の術後感染リスクは高く,また骨癒合が期待できない.がん治療の進歩で骨転移があっても長期予後が改善しており,遅発性感染に注意が必要である.

  • 鮫島 勇汰, 大田 智美, 田島 卓也, 山口 奈美, 長澤 誠, 森田 雄大, 横江 琢示, 土屋 慧祐, 帖佐 悦男, 亀井 直輔
    2025 年74 巻4 号 p. 827-830
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】転移性結核膿瘍の報告は散見されるが,原発病変のない結核膿瘍は稀である.悪性腫瘍と鑑別を要した原発性結核膿瘍の1例を経験したので報告する.【症例】73歳男性.誘因なく背部腫瘤を自覚し,MRIで背部皮下に8×7 cm大で中心部T2 high,T1 low,辺縁部T2 high,lowが混在し,一部胸腔内に浸潤した腫瘤を認めた.PETCTでも腫瘤に高度集積あり,悪性軟部腫瘍を疑った.切開生検術の際,多量の排膿あり,培養でM. tuberculosisが同定され,結核膿瘍の診断となった.INH,RFP,EB,PZAの内服を12か月継続し,現在再発は認めていない.【考察】原発巣のない結核膿瘍は非常に稀であり,炎症で見られる疼痛・発赤・熱感に乏しいことが多く,画像上も悪性腫瘍を疑ったため,排膿を確認するまで結核膿瘍を疑えなかった症例である.結核膿瘍の診断について,文献的考察を加え報告する.

  • 野中 祥太朗, 上原 大志, 金城 忠克, 福嶺 紀明
    2025 年74 巻4 号 p. 831-834
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    当院で早期手術加療を選択した化膿性胸鎖関節炎の4例を報告する.平均年齢86.3歳,発症から当科初診までは平均8.5日,手術までは平均10.3日であった.全例,発熱と胸鎖関節に発赤・腫脹を認め,血液検査で炎症反応の上昇がみられた.全例MRIで胸鎖関節に関節液貯留と周囲軟部組織の輝度変化を認め,2例は縦隔内に炎症の波及がみられた.関節穿刺は4例中3例がdry tapであったが,化膿性胸鎖関節炎を疑い早期手術を選択した.手術は洗浄デブリドマンを施行し,術中検体からは緑膿菌,黄色ブドウ球菌,耐性表皮ブドウ球菌,MRSAがそれぞれ検出された.術後は感受性のある抗生剤投与と持続ドレナージにより,全例感染の鎮静化が得られた.化膿性胸鎖関節炎は易感染性宿主に多く発症し,胸腔や縦隔内に膿瘍が波及すると治療に難渋する.今回,早期診断と治療目的に手術を選択したことで,全例確定診断と起炎菌の同定が得られ,重症化せず臨床経過は良好であった.

  • 池間 知里, 金城 政樹, 大槻 健太, 喜屋武 諒子, 親川 知, 石原 昌人, 赤嶺 良幸, 西田 康太郎
    2025 年74 巻4 号 p. 835-837
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    壊死性筋膜炎は死亡率が高い重症感染症で,迅速な診断と6時間以内のデブリドマンを施行することにより生存率は改善すると報告されている3).当院で救急科と整形外科が連携して治療を行った9例(男性8例,女性1例)を報告する.初診時の血液検査,臨床所見,CT検査までを救急科で対応し,壊死性筋膜炎が疑われた際に整形外科医でエコー下に試験切開し,A群溶連菌迅速検査を救急室で行い診断した.起因菌はStreptococcus pyogenes 3例,基礎疾患は糖尿病4例,肝硬変3例であり,肥満症5例であった.Modified LRINEC(Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis)scoreは,平均11.5点であった.9例に試験切開が行われ,finger testは7例,dishwater pusは6例で陽性であった.迅速抗原検査キットによるA群溶連菌陽性は2例であった.初診から外科的治療開始までの時間は平均4時間34分であり,予後は死亡2例,救命7例(下肢救済5例,切断2例)であった.早急な治療方針決定のために救急科との協力体制は重要であった.

  • 飯田 倫太郎, 橋野 悠也, 廣田 高志, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 838-840
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    橈骨遠位端骨折の骨折型分類には様々なものがあるが,臨床的に最も頻用されているのがAO分類である.今回,当院における橈骨遠位端骨折におけるAO分類での評価の信頼性を検討した.橈骨遠位端骨折と診断され,手術に至った76症例(男性24名,女性42名,平均年齢64歳)を対象とした.単純X線画像のAO分類,CT画像における関節内骨折の有無をそれぞれ整形外科1年目の医師,手外科専門医の2人により分類を行った.検者内信頼性と検者間信頼性はκ係数を用いて評価した.検者内信頼性は前者は単純X線でκ係数0.69,CT画像でκ係数0.88,後者は単純X線でκ係数0.88,CT画像でκ係数0.88であった.検者間信頼性は単純X線でκ係数:0.60,CT画像でκ係数:0.83であった.橈骨遠位端骨折の関節内骨折の有無は検者内,検者間信頼性ともにCT検査で高く,骨折型の分類はCT検査まで行い判断することが望ましいと考えられた.

  • 石川 洋平, 橋野 悠也, 廣田 高志, 山本 卓明
    2025 年74 巻4 号 p. 841-843
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】AO分類C型橈骨遠位端骨折に対して手術を行った症例の術後矯正損失について検討した.【方法】掌側ロッキングプレートによる手術を行い,術後6ヶ月以上経過観察可能であった20例21手を対象とした.単軸型(M群)が14手,多軸型(P群)が7手であった.画像所見で術直後と最終観察時のvolar tilt(VT),radial inclination(RI),ulnar variance(UV)を測定し,矯正損失量を計測した.また,術直後の遠位橈尺関節からプレートまでの距離,橈骨遠位関節面掌側縁からプレートまでの距離を測定した.【結果】各項目において2群間に有意差はなかった.矯正損失あり群となし群で比較を行うと,矯正損失なし群は有意にプレートを遠位尺側に設置していた.【考察】プレートの種類に関係なく,適切な位置に設置することで術後矯正損失を少なくする可能性がある.

  • 牛島 貴宏, 小川 光, 曽根崎 至超, 金堀 将也, 小島 哲夫
    2025 年74 巻4 号 p. 844-847
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    手指の比較的大きい皮膚欠損創に対してSuperficial palmar branch of the radial artery flapで再建を行った症例を報告する.【症例1】52歳,女性.工場のローラーに右示指を挟み受傷.示指基節部~末節部掌側の皮膚・軟部組織欠損を認め,受傷後7日に手術を施行.正中神経掌側皮枝も皮弁に含めて再建した.術後1週から可動域訓練を開始し,術後6ヶ月で軽度の可動域制限は残るものの,知覚は改善し良好な指尖が再建された.【症例2】30歳,男性.バイクレースで転倒し左小指を受傷.左小指基節部~中節部橈側の皮膚・軟部組織欠損および基節骨・中節骨に骨欠損を認め,受傷後11日に皮弁手術を施行.骨欠損に対して受傷後1ヶ月で腸骨から自家骨移植を行った.術後6ヶ月では皮弁のボリュームはやや大きかった.本皮弁は橈骨動脈から分岐した浅手掌動脈弓を含めて比較的自由にデザインできる.固有指部の大きな皮膚欠損の再建法として有用であり,知覚皮弁としても利用できる.

  • 山口 勝城, 中島 武馬, 坪根 遼平, 片岡 佑太, 村中 一喜, 水田 和孝, 橋本 哲, 園畑 素樹
    2025 年74 巻4 号 p. 848-851
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】中手骨頚部骨折に対し逆行性髄内ヘッドレススクリュー固定法(IFS法)と鋼線髄内固定法(Foucher法)の治療成績を比較検討すること.【対象と方法】2019年3月から2024年7月までの間に,中手骨頚部骨折に対しIFS法またはFoucher法による手術を行った14例16指を対象とし,年齢,性,受傷指,骨折型,手術時間,最終評価時MP関節可動域,骨癒合期間,術後合併症について比較を行った.【結果】IFS法群が8例9指,Foucher法群が6例7指であった.手術時間はIFS法群がFoucher法群に比し有意に短かった(23分 vs 50分:p<0.05).年齢,性,受傷指,骨折型,術後最終評価時MP関節可動域,骨癒合期間については両群間に有意差を認めなかった.術後合併症は,IFS法群で骨頭の再転位に伴う再手術を1例,Foucher法群で全例にピン刺入部刺激症状を認めた.【考察】IFS法はFoucher法と比し,手術時間や術後合併症の面で良好な成績が得られ,中手骨頚部骨折に対して有用な手術法であると考えられた.

  • 神﨑 貴仁, 橋口 元一, 津田 宗一郎, 田口 勝規
    2025 年74 巻4 号 p. 852-855
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    急性血行性骨髄炎は稀であり,治療にも難渋する.今回小児に生じたMRSA骨髄炎を経験したので報告する.症例は11歳男児,右足関節痛のため近医を受診.炎症所見上昇のため精査目的にて当科紹介となった.同日のX線,MRIで異常なく,鎮痛薬で経過観察とした.翌日39度の発熱と足関節痛の増悪があり,再度MRI検査を行った.脛骨遠位骨髄内の浮腫性病変と周囲の液体貯留を認めた.急性骨髄炎と診断し,緊急で脛骨遠位の骨開窓と洗浄掻爬を行った.貯留していた赤褐色の混濁膿は,培養検査でMRSA陽性となりVCMによる加療を開始した.17日後の2回目手術にて,洗浄掻爬と髄腔内に抗菌薬含有セメントビーズを挿入し,4週間留置した.VCMの点滴を6週間行った後,内服へ移行し入院74日目に退院となった.現在術後9ヶ月で疼痛なく,MRIでも再燃の所見はなかった.早期診断加療によりMRSA骨髄炎を鎮静化することが可能であった.

  • 田中 涼太, 中村 嘉宏, 坂本 武郎, 舩元 太郎, 大田 智美, 山口 洋一朗, 今里 浩之, 藤田 貢司, 帖佐 直紀, 帖佐 悦男, ...
    2025 年74 巻4 号 p. 856-859
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】脛骨遠位部の骨折は一般に治療に難渋する部位であるが,さらに感染を伴った場合には腐骨切除が必要となり,骨軟部組織の再建がより困難となる.骨接合術後に感染を来した脛骨遠位部骨折に対して,Trabecular Metal™(Zimmer社)および自家骨移植を用いた再建術を施行し,良好な経過を辿った3症例を経験した.【症例】脛骨遠位部骨折2例,pilon骨折1例.軟部組織のデブリドマンおよび腐骨の切除を行った後に,Trabecular Metalおよび自家骨移植を用いた再建,逆行性髄内釘による足関節固定を施行した.皮膚軟部組織については広背筋遊離皮弁を施行した.【考察】脛骨遠位部骨折後の感染に対しては,感染巣のデブリドマンを行ったうえで,従来の骨移植に加えてTrabecular Metalによる骨欠損の補填,逆行性髄内釘による強固な固定性の獲得,良好な軟部組織の被覆が重要である.

  • 竹下 都多夫, 久保 徳彦, 佐藤 陽昨, 中川 憲之, 杉 修造, 森本 辰紀, 有田 卓史, 福永 恭大, 川野 舜
    2025 年74 巻4 号 p. 860-866
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    症例)92歳男性,左股変性・跛行あるもADL自立していた.入浴後に右下肢の腫脹・疼痛が出現,翌日歩行困難となり当科入院.蜂窩織炎・化膿性膝関節炎を疑いCTRX投与を開始した.翌日に関節液よりグラム陽性球菌の検出あり,MEPM+CLDMに変更し小切開にて右膝関節の排膿洗浄処置を施行.3日目に膝関節広範切開にて掻爬・洗浄を行い,持続吸引ドレナージ+AMK間欠的関節内投与を2週間施行した.術翌日に血液・関節液よりG群溶連菌:streptococcus dysgalactiae ssp equisimilisが検出され,抗菌薬をPCG+CLDMに変更し免疫グロブリン投与を行った.以後改善傾向みられるも術後2週2日時に意識障害・呼吸停止あり総合診療科へ転科,人工呼吸器管理にて意識回復し2日後人工呼吸を離脱した.この際に全身CT評価を行ったところ腸腰筋膿瘍がみられ,MRIにて化膿性脊椎炎を認めたが抗菌薬投与継続にて対応した.以後炎症・疼痛改善得られ離床可能となり転院となった.

  • 千住 隆博, 園田 眞司, 久岡 拓生, 田中 一成, 伊東 孝浩, 上田 幸輝, 内村 大輝, 水城 安尋
    2025 年74 巻4 号 p. 867-869
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【目的】上腕骨近位端骨折術後の肩関節可動域拡大を目的とし,まず当院の成績を調査した.【対象】2020年4月~2024年2月に上腕骨近位端骨折に対し手術加療を行い,6ヶ月以上フォローした39例.【方法】最終調査時平均可動域を算出後,屈曲可動域90°以下(A群:7例),91-120°(B群:16例),121-150°未満(C群:7例),150°以上(D群:9例)の4群で比較検討した.【調査項目】年齢,3 or 4 part骨折・併存骨折の症例数,腱板断裂,認知症の有無,術前待機期間,手術時間,術後固定期間.【結果】可動域は屈曲123.6°±25.8,外旋45.3°±32.3であった.4群の平均年齢は79/72/70/69歳,3 or 4 part骨折は4/8/4/2例,併存骨折は3/4/2/0例,腱板断裂は3例ともA群で認知症はA群2例,B群1例であった.待機期間,手術時間に有意差はなく,固定期間が長いほど可動域が低下する傾向にあった.【考察】術後の可動域低下は年齢,3, 4 part骨折,上腕骨以外の骨折,腱板断裂,認知症の合併・固定期間が関与する可能性が示唆された.

  • 髙田 紘平, 安樂 喜久, 立石 慶和, 安藤 卓, 上川 将史, 大野 貴史, 佐藤 慶治, 石川 喜仁, 大塚 貴
    2025 年74 巻4 号 p. 870-872
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】我々は第142回本学会において上腕骨近位端骨折における髄内釘刺入位置と術後内反転位の関係について調査し,正面像と側面像での骨頭頂部からネイル軸までの距離[それぞれAP Distance(APD)とML Distance(MLD)],および軟骨下骨からネイル先端までの距離[Humeral Head Height(HHH)]を計測し,内反5°未満群で合計値(Total Distance Trip:TDT)が有意に小さいことを示した.本研究ではAPD,MLD,HHHがそれぞれ内反転位に関与するか評価する.【対象・方法】2021年5月から2024年2月までに手術を行い術後6ヶ月以上経過観察し得た38例(39肩)を対象にAPD,MLD,HHHを計測し術後内反転位5°以上群と5°未満群に分けて各計測値との関係性を評価した.【結果】38肩(97.4%)で骨癒合を認め7肩に5°以上の内反転位を認めた.APD,MLD,HHHそれぞれの計測値の平均は術後内反転位5°未満群で有意に小さかった.【結語】ヘッドアンカリング,骨頭正中からの髄内釘刺入のいずれも内反転位予防に関与する.

  • 松尾 肇, 土持 兼信, 蛯原 宗大, 木村 太一, 柴原 啓吾, 大森 裕己, 桑原 正成, 畑中 敬之, 河野 裕介, 土屋 邦喜
    2025 年74 巻4 号 p. 873-875
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    上腕骨骨幹部骨折に対する前方minimally invasive plate osteosynthesis(MIPO)法によるプレート固定は,髄内釘のように腱板に対する操作が加わらず,肩関節機能が温存できるため良好な成績が報告されている.当科にて上腕骨骨幹部骨折に対してMIPO法にて治療を行った6例を後ろ向きに調査した.対象は男性6例.平均年齢は39歳.骨折型はAO分類の12Aが5例,12Bが1例,固定材料はSynthes社のLCPプレートが4例,Philos longプレートが2例であった.全例で骨癒合が得られ,肩関節の可動域制限や疼痛を認めなかった.上腕骨骨幹部骨折に対するMIPO法による骨接合は肩関節の機能障害を起こしづらく,比較的若年の受傷者が多い同骨折に対する治療として有用な方法であると考える.

  • 土居 満, 田口 憲士, 西野 雄一朗, 朝永 育, 山口 圭太, 山本 慎太郎, 尾﨑 誠
    2025 年74 巻4 号 p. 876-878
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】肋骨骨折は日常診療でしばしば遭遇する骨折であるが,重症外傷例を除くと保存療法が主でその経過について問題とされることはない.しかし近年海外では肋骨骨折後の偽関節に対し手術を行った報告が増加しており,本邦でも治療が必要であった症例があったことが推測される.今回我々は転位のない肋骨骨折が偽関節となり観血的治療を行った1例を経験したので報告する.【症例と経過】70歳代男性,転倒した際に側胸部を打撲し近医にて転位のない肋骨骨折を指摘され保存治療を受けた.半年たっても痛みが継続しているため加療目的に当院紹介となった.画像上右9-11肋骨の偽関節を認め,全身麻酔下に自家骨移植併用の偽関節手術を行った.術後痛みは軽減し,術後半年で骨癒合も得られた.【考察】本邦での外傷後の肋骨偽関節に対する観血的治療は渉猟しうる範囲では報告がなく,その適応や手術方法についても不確かな部分が多い為,文献的考察も加え報告する.

  • 園田 眞司, 千住 隆博, 久岡 拓生, 田中 一成, 伊東 孝浩, 上田 幸輝, 内村 大輝, 水城 安尋
    2025 年74 巻4 号 p. 879-880
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/11/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】鎖骨骨折や肩鎖関節脱臼は肩甲骨や胸郭骨折が合併することが知られており,今回その頻度及び受傷起点を調査し報告する.【対象】2017~2024年に加療した鎖骨骨折256例,肩鎖関節脱臼38例.【方法】鎖骨骨折・肩鎖関節脱臼例のうち,肩甲骨骨折あるいは肋骨骨折を合併した症例の症例数,患者背景,骨折部位,及び受傷起点を調査した.【結果】鎖骨骨折256例中56例,肩鎖関節脱臼38例中10例に肩甲帯部骨折が合併した.平均年齢:60歳,男女比:男性53例/女性13例,骨折部位:肋骨骨折51例,肩甲骨骨折28例(重複骨折あり)であった.【考察】鎖骨骨折・肩鎖関節脱臼のうち22.4%の症例で肩甲帯骨折が合併した.また転倒での受傷でも合併損傷が認められた.鎖骨と肩甲帯の関連性は強く,鎖骨骨折・肩鎖関節脱臼は,肩甲帯骨折が合併することを常に念頭におき,治療にあたる必要がある.

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