日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
102 巻, 1 号
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総説
  • 下瀬川 徹, 正宗 淳, 粂 潔
    2005 年 102 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/09
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎は非可逆性・進行性の疾患と捉えられ,急性膵炎様の発作を繰り返しながら膵組織は次第に脱落する.終末像は実質の荒廃による内・外分泌不全と膵全体に分布する高度な線維化で特徴づけられる.長期予後の検討から,慢性膵炎患者の死亡率は予測に比べて高く,悪性腫瘍の合併,糖尿病の慢性合併症や感染によるものが多い.慢性膵炎の原因は未だに不明であり,疾病に対する本質的な治療も見いだされていない.したがって,長期予後の改善のためには,発症早期に患者を的確に診断し,病態の進行を阻止する手だてを講じることが重要と考えられる.本項では,慢性膵炎診療の現状と問題点を要約し,今後の展望として,発症に関し生体側に疾患感受性は存在するのか,また,解明されつつある膵線維化の機序と治療の可能性について述べた.
今月のテーマ:自己免疫性肝疾患の診療の進歩
  • 石橋 大海
    2005 年 102 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/09
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変(PBC)は肝臓特異的な自己免疫疾患とされている.PBCにおける自己免疫反応の特徴は,全身にあまねく存在する細胞が有するミトコンドリアの成分に対する抗体が陽性化し,しかも本抗体はPBCに極めて特異性が高いことである.発症の機序として,感染した細菌によって活性化し,自己寛容の破綻が生じたT細胞が,胆管上皮上に発現した分子相同性を有する自己抗原と反応する結果生じる可能性が想定されている.環境因子である薬物や化学物質が肝臓で代謝された結果生じた代謝産物によって修飾を受けた自己抗原が免疫原性を増し,遺伝素因を有するヒトにPBCが発症することが想定される.
  • 恩地 森一, 古川 慎哉
    2005 年 102 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/09
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎(AIH)の原因および発症機構は依然不明である.したがって,特異的な診断方法や治療法はないが,典型例の診断は容易である.わが国のAIHの多くは副腎皮質ホルモンが奏功し,比較的予後が良い.しかし,肝硬変に進展すると予後不良で,特に劇症肝炎はきわめて予後が悪い.AIHによる慢性肝疾患および急性発症のAIHはともに,早期の診断が重要である.非典型例には急性発症例,Overlap症候群,軽症例,小児例,Lupus Hepatitis,de novo AIHなどがある.これらの診断は肝生検所見などを含めて総合的に行う.
症例報告
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