日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
102 巻, 9 号
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総説
  • 吉澤 浩司, 田中 純子
    2005 年 102 巻 9 号 p. 1123-1131
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/06
    ジャーナル フリー
    老人保健法に基づく基本診査受診者を対象とした「肝炎ウイルス検診」は,2002年4月開始以来ほぼ順調に推移し,軌道に乗りつつあるといえる. すなわち,検診開始後2年の間に,B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア),C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア),それぞれ4.7万人,5.5万人が見出されており,2005年4月からは早くも5年計画の4年目を迎えようとしている. 今後,「肝炎ウイルス検診」をより実効あるものとするためには,各種企業の組合健康保険加入者への検診受診の普及,啓発を図ることが必要であり,また,検診により見出された肝炎ウイルスキャリアの健康管理,治療を組織的に行うためのネットワークを,それぞれの地域の実情に合わせた形で作り上げることが求められているといえる.
今月のテーマ:炎症性腸疾患―病態に基づく新しい治療法の展望
原著
  • 藤澤 貴史, 坂口 一彦, 大西 裕, 竹田 章彦, 前田 光雄
    2005 年 102 巻 9 号 p. 1146-1152
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/06
    ジャーナル フリー
    われわれは膵十二指腸動脈瘤破裂の2例を経験した.主訴は腹部痛でCTにて後腹膜血腫(1例は造影CTで膵十二指腸動脈瘤)と診断され,血管造影で膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた.塞栓術を試みたが,1例は不成功に終わり,1例は後上膵十二指腸動脈に動脈瘤を認め,塞栓術にて止血し得た.腹痛患者で腹部CTで膵周囲に高吸収域を認めた場合は,膵十二指腸動脈瘤破裂を疑って,速やかに血管造影を施行し,確定診断がつけば,TAEにて治療をすべきと考えられた.本邦報告例71例の文献的考察を含めて報告する.
  • 藤野 靖久, 井上 義博, 小野寺 誠, 八重樫 泰法, 佐藤 信博, 遠藤 重厚, 大森 浩明, 鈴木 一幸
    2005 年 102 巻 9 号 p. 1153-1160
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/06
    ジャーナル フリー
    救急搬送された肝膿瘍13例の臨床的検討を行った.5例で入院時に意識障害またはショックを認めた.6例で糖尿病を合併していた.SIRSは12例,DICは9例に認めた.血漿エンドトキシン値はドレナージ直後に低下した.起因病原体は全例で同定され7例がKlebsiellaであった.経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)は単発例の他,主病巣となる大きな膿瘍のある多発例に行った.外科的手術は破裂例,PTAD無効例,PTAD後腹膜炎合併例の計3例に行った.酸性水による洗浄例でドレナージ期間が短縮された.入院時に重篤な症状を呈し,すでにSIRSやDICを合併している症例が多かった.PTADの洗浄液として酸性水は有用と思われた.
  • 長谷部 千登美, 後藤 賢一郎, 富永 吉春, 平井 克幸, 馬場 勝義, 吉田 威, 関谷 千尋
    2005 年 102 巻 9 号 p. 1161-1169
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/06
    ジャーナル フリー
    ウイルス性慢性肝疾患の進展度診断において,組織学的診断と腹腔鏡診断の間で生じる乖離の成因と臨床的意義について検討した.B型では26%,C型では18%の症例で診断の乖離が認められ,どちらも腹腔鏡診断の方がより進行度が高いと判定される例が多かった.診断の乖離する例では,腹腔鏡的に赤色紋理や斑紋をともなう例が多く,強い壊死炎症反応にともなう変化が乖離の生じる要因になっていると考えられた.組織学的に同一のステージと診断された症例のなかで,腹腔鏡的診断はより進行度が高いとされた例では,ステージ診断が一致した例に比べ累積発癌率が有意に高かった.このことより,診断の乖離が生じた例においては,腹腔鏡的診断を優先して予後をとらえるべきであろうと考えられた.
症例報告
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