-
藤澤 貴史, 坂口 一彦, 大西 裕, 竹田 章彦, 前田 光雄
2005 年 102 巻 9 号 p.
1146-1152
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
われわれは膵十二指腸動脈瘤破裂の2例を経験した.主訴は腹部痛でCTにて後腹膜血腫(1例は造影CTで膵十二指腸動脈瘤)と診断され,血管造影で膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた.塞栓術を試みたが,1例は不成功に終わり,1例は後上膵十二指腸動脈に動脈瘤を認め,塞栓術にて止血し得た.腹痛患者で腹部CTで膵周囲に高吸収域を認めた場合は,膵十二指腸動脈瘤破裂を疑って,速やかに血管造影を施行し,確定診断がつけば,TAEにて治療をすべきと考えられた.本邦報告例71例の文献的考察を含めて報告する.
抄録全体を表示
-
藤野 靖久, 井上 義博, 小野寺 誠, 八重樫 泰法, 佐藤 信博, 遠藤 重厚, 大森 浩明, 鈴木 一幸
2005 年 102 巻 9 号 p.
1153-1160
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
救急搬送された肝膿瘍13例の臨床的検討を行った.5例で入院時に意識障害またはショックを認めた.6例で糖尿病を合併していた.SIRSは12例,DICは9例に認めた.血漿エンドトキシン値はドレナージ直後に低下した.起因病原体は全例で同定され7例がKlebsiellaであった.経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)は単発例の他,主病巣となる大きな膿瘍のある多発例に行った.外科的手術は破裂例,PTAD無効例,PTAD後腹膜炎合併例の計3例に行った.酸性水による洗浄例でドレナージ期間が短縮された.入院時に重篤な症状を呈し,すでにSIRSやDICを合併している症例が多かった.PTADの洗浄液として酸性水は有用と思われた.
抄録全体を表示
-
長谷部 千登美, 後藤 賢一郎, 富永 吉春, 平井 克幸, 馬場 勝義, 吉田 威, 関谷 千尋
2005 年 102 巻 9 号 p.
1161-1169
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
ウイルス性慢性肝疾患の進展度診断において,組織学的診断と腹腔鏡診断の間で生じる乖離の成因と臨床的意義について検討した.B型では26%,C型では18%の症例で診断の乖離が認められ,どちらも腹腔鏡診断の方がより進行度が高いと判定される例が多かった.診断の乖離する例では,腹腔鏡的に赤色紋理や斑紋をともなう例が多く,強い壊死炎症反応にともなう変化が乖離の生じる要因になっていると考えられた.組織学的に同一のステージと診断された症例のなかで,腹腔鏡的診断はより進行度が高いとされた例では,ステージ診断が一致した例に比べ累積発癌率が有意に高かった.このことより,診断の乖離が生じた例においては,腹腔鏡的診断を優先して予後をとらえるべきであろうと考えられた.
抄録全体を表示
-
西村 克人, 竹内 茂, 菊地 陽子, 渡邊 真司, 山田 政孝, 山城 勝重
2005 年 102 巻 9 号 p.
1170-1175
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
患者は83歳,女性,貧血精査にて当科に入院した.上部消化管造影検査,上部消化管内視鏡検査にて穹窿部前壁に表面不整な隆起性病変を認め生検にて印環細胞癌であり胃全摘術を施行した.切除標本所見では穹窿部前壁に径35×12 mmの隆起性病変を認め,病理組織所見は大部分が印環細胞からなる癌で固有筋層まで浸潤していた.今回われわれは充実性増殖により隆起を呈し髄様癌であった胃印環細胞癌を経験したので報告する.
抄録全体を表示
-
山根 建樹, 中村 眞, 内山 幹, 石井 隆幸, 櫻井 俊之, 松永 和大, 古谷 徹, 小井戸 薫雄, 大村 光浩, 加藤 智弘, 藤瀬 ...
2005 年 102 巻 9 号 p.
1176-1182
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
症例は54歳,男性.嘔気,嘔吐,体重減少のため入院となった.上部消化管検査にて胃遠位幽門部の狭窄がみられ,生検でアミロイドーシスが認められ,諸検査から多発性骨髄腫および続発性全身性アミロイドーシスと診断された.心,呼吸不全のため死亡し,病理解剖が施行された.消化管壁への広汎なアミロイド沈着とそのための壁の肥厚がみられ,胃遠位幽門部から十二指腸球後部にかけては特に肥厚が著明で内腔が狭小化していた.
抄録全体を表示
-
大島 敏裕, 高垣 信一, 古市 好宏, 西 正孝, 川上 浩平, 額賀 健治, 萩原 恭史, 堀 高史朗, 安田 有利, 平良 悟, 河合 ...
2005 年 102 巻 9 号 p.
1183-1187
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
症例は27歳,男性.平成14年3月28日,発熱を主訴に当院を受診.採血上HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性,およびCD4細胞数の低値を認め,精査目的で入院.入院時便潜血検査陽性のため,下部消化管内視鏡検査を施行し,直腸にカポジ肉腫を認めた.内視鏡的には粘膜下腫瘍様の隆起として認められ,CD4細胞数の改善と共に消失した.
抄録全体を表示
-
一二三 倫郎, 福田 精二, 山根 隆明, 横溝 博, 北田 英貴, 川口 哲, 竹熊 与志, 樋口 大介, 吉永 秀哉, 浦田 孝広, 吉 ...
2005 年 102 巻 9 号 p.
1188-1193
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
73歳,男性.検診で膵尾部嚢胞性腫瘍を指摘され,経過観察中に腫瘍径が増大し切除された.画像上は被膜を有する球形の多房性嚢胞性腫瘍であった.主膵管拡張は認めなかった.摘出標本では,厚い被膜に被われた多房性嚢胞性腫瘍であった.上皮は粘液産生上皮で被われ,間質には特徴的な卵巣様間質が存在した.間質細胞の核は免疫染色でestrogen receptor(ER),progesteron receptor(PgR)に陽性であった.例外的であるが男性例膵粘液性嚢胞腺腫と診断した.
抄録全体を表示
-
奥 隆臣, 和賀 永里子, 和田 優子, 長町 康弘, 鈴木 康弘, 北岡 慶介, 勝木 伸一, 由崎 直人, 近藤 仁, 前田 征洋
2005 年 102 巻 9 号 p.
1194-1200
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
症例1は49歳女性.主訴は嘔吐.間膜軸性胃軸捻転をともなうupside down stomachと診断し腹腔鏡下手術を施行した.症例2は62歳女性.主訴は上腹部痛.混合軸性胃軸捻転をともなうupside down stomachと診断し内視鏡的に整復した.upside down stomachは本邦ではこれまで26例の報告しかなくまれな疾患であり,文献的考察を加えて報告する.
抄録全体を表示
-
細沼 賢一, 佐藤 賢, 高木 均, 真下 利幸, 猿谷 哲也, 高橋 仁公, 堀内 克彦, 本間 学, 森 昌朋
2005 年 102 巻 9 号 p.
1201-1206
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
症例は45歳時に右脈絡膜悪性黒色腫で眼球摘出の既往のある60歳男性.肝腫瘤精査目的で入院となり,腫瘍生検の結果などから眼球摘出後15年経過して肝転移したものと考えられた.対症療法のみで経過観察していたが,肝転移発見から約8カ月で肝不全のために死亡した.悪性黒色腫では術後長期にわたり経過観察する必要があるとともに,肝腫瘤を認めた際には本症の特徴を念頭に入れ診断する必要があると考えられた.
抄録全体を表示
-
松森 篤史, 米田 諭, 小林 洋三, 竹田 幸祐, 安藤 稔, 山根 佳子, 西村 公男, 小嶌 秀之, 福井 博
2005 年 102 巻 9 号 p.
1207-1211
発行日: 2005年
公開日: 2005/09/06
ジャーナル
フリー
症例は30歳男性.黄疸と肝機能障害にて入院.入院7日目にプロトロンビン活性は30%と低下し急性肝炎重症型と診断した.直ちに血漿交換とグルカゴン-インスリン療法を施行し救命し得た.ウイルスマーカーはすべて陰性で,薬物服用歴とリンパ球幼弱化試験陽性であることよりホスホマイシンが原因と診断した.ホスホマイシンが原因となった急性肝炎重症型は本症例が最初の報告例である.
抄録全体を表示