日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
112 巻, 3 号
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総説
  • 鬼島 宏, 羽賀 敏博, 高綱 将史, 太田 理恵, 袴田 健一, 福田 眞作
    2015 年 112 巻 3 号 p. 437-443
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/03/05
    ジャーナル フリー
    WHO分類2010では,胆嚢の前癌病変として,腺腫,胆道上皮内腫瘍(BilIN),胆嚢内乳頭状腫瘍(ICPN),および粘液嚢胞性腫瘍が記載されている.胆嚢の前癌病変とは,正常組織よりも高い頻度で胆嚢癌が発生する病変・組織のことであり,胆嚢癌の多くが特定の前癌病変より発生していることを意味するものではない.一方,胆嚢癌のハイリスクな病態は,胆嚢粘膜の持続的な炎症により細胞変異が惹起されて,発癌に至る.ハイリスク病態としては,膵・胆管合流異常,胆石症,胆嚢ポリープ,胆嚢腺筋腫症などが挙げられる.また,発癌母地としては,異形成,化生上皮,過形成性上皮が重要視されている.
今月のテーマ:胆嚢隆起性病変の診断と取扱い
  • 有坂 好史, 竹中 完, 塩見 英之, 東 健
    2015 年 112 巻 3 号 p. 444-455
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/03/05
    ジャーナル フリー
    胆嚢ポリープとは,胆嚢内腔に隆起する20 mm程度までの病変の総称で,上皮性か非上皮性か,良性か悪性かは問わない.多くは治療不要なコレステロールポリープであるが,癌・腺腫も含まれ鑑別が必要である.診断には腹部超音波検査,超音波内視鏡検査が有用であるが,画像のみの診断確定は困難である.過去の文献から,10 mm以上,広基性,充実性低エコーを呈するものは癌・腺腫の可能性が高く胆嚢摘出術が推奨される.また,増大傾向を認めるものも癌・腺腫の可能性があり経過観察も重要である.特に初めて発見された胆嚢ポリープは10 mm以下でも初回は慎重に3~6カ月後の経過観察とし,数年間変化がなければ1~2年毎とすることが望ましい.
  • 木田 光広, 長谷川 力也, 松本 高明, 三島 孝仁, 金子 亨, 徳永 周子, 山内 浩史, 奥脇 興介, 宮澤 志朗, 岩井 知久, ...
    2015 年 112 巻 3 号 p. 456-463
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/03/05
    ジャーナル フリー
    胆嚢腺筋症は,1960年にJutrasによりRASの増殖とそれにともなう胆嚢壁の肥厚を引きおこす病態として報告され,武藤らにより胆嚢壁1 cm以内にRASが5個以上存在し,壁が3 mm以上に肥厚したものと定義された.病変の広がりにより胆嚢全体に瀰漫性に存在するびまん型(G型)diffuse type,胆嚢頸部や体部あるいは両方にまたがり輪状に存在し,胆嚢を2つに分節する分節型(S型)segmental type,胆嚢底部に限局的に存在する底部型(F型)fundal typeの3つに分類される.画像診断では胆嚢癌との鑑別が重要で,胆嚢腺筋症は胆嚢壁の肥厚と,拡張したRASが診断の決め手であり,簡便な腹部超音波検査でスクリーニングされ,診断能の高い検査は超音波内視鏡(EUS)とMRIである.胆嚢腺筋症は,40~60歳代の男性に多く診断される.胆嚢癌との関係は疑われているがコンセンサスは得られていない現状では,定期的な経過観察が必要と思われる.
  • 山内 靖, 山下 裕一, 乗富 智明, 大石 純, 石井 文規, 中島 亮, 濱田 義浩
    2015 年 112 巻 3 号 p. 464-473
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/03/05
    ジャーナル フリー
    予後が悪い胆嚢癌の中にあって早期胆嚢癌は切除による治癒が十分期待できる.しかし,診断技術が進歩した今日においてもその診断は容易ではなく,術中あるいは術後に癌と診断されるケースも多い.早期胆嚢癌は一般的には胆嚢摘出のみで十分治癒が得られるとされるが,まれに再発するケースがあり,標準術式の確立にはさらなる症例の蓄積と検討が必要である.一方で腹腔鏡下胆嚢摘出術の普及とともに早期胆嚢癌に対する治療の選択肢も広がったが,新たに腹腔鏡手術特有の問題点も浮き彫りになってきた.
座談会
原著
  • 齋藤 大祐, 林田 真理, 三浦 みき, 徳永 健吾, 高橋 信一
    2015 年 112 巻 3 号 p. 494-499
    発行日: 2015/03/05
    公開日: 2015/03/05
    ジャーナル フリー
    当院で経験した腸管嚢胞様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;PCI)を検討した.対象は2007年4月から2014年3月までの7年間に当院で診断したPCI 68例.多くは保存的治療で治癒したが,門脈ガス血症(hepatic portal venous gas;HPVG)をともなう症例においては腸管壊死の合併が多く,8例の死亡例も認められた.PCIの診断および治療方針の決定に際して,検査所見,理学所見などに加えHPVGの合併の有無も重要な因子となりうる可能性が示唆された.
症例報告
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