日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
118 巻, 7 号
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今月のテーマ(総論):炎症性腸疾患(IBD)の診療ガイドライン(GL)を読み解く
今月のテーマ(総説):炎症性腸疾患(IBD)の診療ガイドライン(GL)を読み解く
  • 新﨑 信一郎, 飯島 英樹, 竹原 徹郎
    2021 年 118 巻 7 号 p. 598-606
    発行日: 2021/07/10
    公開日: 2021/07/12
    ジャーナル フリー

    2020年11月に改訂された「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020」では,診断基準や診断に至る進め方,病勢評価法について,エビデンスに基づいた最新の知見が盛り込まれた.各種消化管内視鏡検査については,IBDの診断確定や経過観察においてその重要性が確立した.また腹部超音波検査やCT/MRI検査などの低侵襲検査の有用性が示され,特殊撮影法についても言及がなされた.加えて,近年開発の進む各種バイオマーカーを活用して,患者の短期的な症状改善だけでなく,客観的な評価指標を根拠にしてより長期の治療目標を定める,Treat-to-Target(T2T)の概念が提唱された.

  • 松浦 稔, 齋藤 大祐, 久松 理一
    2021 年 118 巻 7 号 p. 607-617
    発行日: 2021/07/10
    公開日: 2021/07/12
    ジャーナル フリー

    IBD診療における内視鏡には正確な診断や病勢把握に加え,治療効果の判定,サーベイランス,バルーン拡張術など,診断から治療に至るまでさまざまな役割がある.近年,IBD患者の長期的な予後の改善が注目され,粘膜治癒の達成や腸管障害の発生・蓄積を防ぐことがIBDの治療目標となっている.今回の改訂ガイドラインでは,目指すべき粘膜治癒とその評価法,サーベイランス内視鏡における生検方法,CDの狭窄病変に対する内視鏡治療など,IBDの内視鏡に関する新たなエビデンスが多数反映されている.しかし,IBD患者の長期予後の改善に果たすべき内視鏡の役割はいまだ多く残されており,今後のさらなるエビデンスの構築が期待される.

  • 長沼 誠, 深田 憲将, 福井 寿朗
    2021 年 118 巻 7 号 p. 618-627
    発行日: 2021/07/10
    公開日: 2021/07/12
    ジャーナル フリー

    2020年にIBD診療ガイドラインが発刊され,新規治療法を中心に多くのClinical QuestionやFuture Research Questionが掲げられている.抗TNFα抗体製剤は中和抗体産生の観点から免疫調節薬の併用が望ましいが,他の生物学的製剤については免疫調節薬併用の有用性を示した報告はない.抗TNFα抗体製剤の休薬は可能であるが,休薬後の再燃もあり慎重に対応すべきである.また新規治療薬の抗TNFα抗体製剤既使用例に対する有用性は確認されているものの,いずれも抗TNFα抗体製剤未使用例より有効性が劣ることや効果発現時期は製剤により異なるため,解釈には注意が必要である.

  • 内野 基, 池内 浩基
    2021 年 118 巻 7 号 p. 628-633
    発行日: 2021/07/10
    公開日: 2021/07/12
    ジャーナル フリー

    炎症性腸疾患の外科に関連する,FRQ3-15:回腸囊炎に抗TNFα抗体製剤は有用か?,CQ3-11:UC関連大腸癌のサーベイランスの対象は?,CQ3-12:UCのサーベイランスにおいて,生検をどのように行うか?,FRQ3-13:IBD関連大腸腫瘍に対して内視鏡的治療は推奨されるか?,CQ3-20:CDの内視鏡的狭窄拡張術は外科手術回避につながるか?,FRQ3-7:CDの肛門病変にウステキヌマブは有用か?,FRQ3-14:CDのサーベイランスはどのように行うか?,などについて解説する.UCでのサーベイランスやCDに対する内視鏡的拡張については推奨に言及できたが,その他はエビデンスが十分ではなく今後の検討課題である.

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