日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
122 巻, 1 号
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今月のテーマ(総論):膵管内乳頭粘液性腫瘍 up to date
  • 橋元 慎一, 大塚 隆生, 井戸 章雄
    2025 年 122 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2025/01/10
    公開日: 2025/01/14
    ジャーナル 認証あり

    膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;IPMN)は最も頻度の高い膵囊胞性疾患である.最新の診療ガイドラインではhigh risk stigmataとworrisome featuresの改訂,非切除例や術後の経過観察指針の改訂,病理学的事項の整理など,エビデンスに基づいた精査,手術および経過観察の指針が提示された.特に非切除例のサーベイランスでは検査間隔や画像評価法も改訂され,症例に応じて経過観察を中止するオプションも追加された.ガイドラインに基づくIPMN診療が,膵癌の早期診断に貢献することが期待される.

今月のテーマ(総説):膵管内乳頭粘液性腫瘍 up to date
  • 大野 栄三郎, 廣岡 芳樹
    2025 年 122 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2025/01/10
    公開日: 2025/01/14
    ジャーナル 認証あり

    膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)国際診療ガイドライン2024年版においては,各領域においてシステマティックレビューが実施され,診断治療におけるエビデンスに基づいた方針が示された.従来のガイドラインにおいてEUS診断は術者の技量に依存する点もありオプション的な役割であったが,EUSによる壁在結節診断感度は90%以上であり,造影CTやMRCPと同等以上であると報告され,Kyotoガイドラインにおいては画像診断法の1つとして採用された.手術治療を検討する画像および臨床的因子はhigh risk stigmataおよびworrisome featuresに層別化されて示され,IPMN由来癌(high-grade dysplasia/invasive carcinoma)を診断する指針となる.

  • 中井 陽介, 濱田 毅, 大山 博生
    2025 年 122 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2025/01/10
    公開日: 2025/01/14
    ジャーナル 認証あり

    分枝型IPMN(intraductal papillary mucinous neoplasm)は膵癌の危険因子として注目されてきており,経過観察の対象となることも多く,長期経過観察のエビデンスも増えている.新たに改訂された,エビデンスに基づくIPMN国際診療ガイドラインのポイントを中心に解説する.また,これまでのIPMNの経過観察はIPMN由来癌のリスクを中心に設定されていたが,本邦ではIPMN併存癌もIPMN由来癌と同様に合併することが報告されており,IPMN併存癌の診断の課題と,海外で議論されることが多い経過観察終了の妥当性についても触れる.

  • 宮坂 義浩, 川元 真
    2025 年 122 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2025/01/10
    公開日: 2025/01/14
    ジャーナル 認証あり

    膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;IPMN)の外科手術の目的は,浸潤癌と浸潤癌に進展する可能性の高い高度異型成を切除し,患者の予後の改善を図ることである.今回国際診療ガイドラインの改訂に際して,システマティックレビューが行われ,エビデンスに基づいて手術適応(high-risk stigmata/worrisome features)の決定および術後サーベイランスの推奨が行われた.この稿ではIPMNの手術適応,手術,術後サーベイランスについて国際診療ガイドラインおよびシステマティックレビューの内容を中心に解説する.

  • 古川 徹
    2025 年 122 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2025/01/10
    公開日: 2025/01/14
    ジャーナル 認証あり

    IPMN国際診療ガイドラインの改訂版であるKyoto guidelinesでは,臨床的および病理学的テーマに基づき構成された5つのグループがクリニカルクエスチョンの設定とそれに対するシステマティックレビューを行い,evidence-basedのガイドラインが作成された.本稿では病理学的事項であるIPMNの組織タイプ,intraductal oncocytic papillary neoplasm,high-grade dysplasiaとcarcinoma in situ,pT評価,IPMN由来癌と併存癌の鑑別,分子異常,術中迅速病理診断,囊胞液穿刺細胞診について解説した.

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