胆嚢炎の成因については多くの説があるがいまだに定説はない. これを解明するため, 胆石の種類による胆嚢壁の変化について検討した. コレステリン系胆石例胆嚢では, 胆嚢壁は肥厚し, 全層にわたり線維化の傾向が著るしかつたが, これに反し, ビリルビン石灰石例胆嚢では炎症性変化に乏しく, 線維化を示す症例は少なかつた. 純色素石例胆嚢では特徴的な所見は認められなかつたが, コレステリン系胆石例に似た所見が得られた. 胆汁中細菌の検出率はビリルビン石灰石例で100%を示したが, 他は30%以下であつた.
このようにコレステリン系胆石例胆嚢で炎症性変化が強いのは, 胆石の機械的刺激や, 胆道感染によるものではなく, 胆汁酸のような化学物質によるものと推察された.
抄録全体を表示