日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
74 巻, 2 号
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  • 鈴木 雄次郎
    1977 年 74 巻 2 号 p. 105-115
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胃および大腸の粘膜固有層は上皮等に比べ組織構造が観察し難い部分であるが, そこに固定液を注入して組織間隙を拡大すること (loosening fixation) によつて観察の便宜を得た. そして胃および大腸の腺管周囲に密着して腺管周囲細胞, anchorようの細胞等がみられること, 又大腸では更にその外周を囲んで平滑筋細胞より成る一種のsheathがあり, それは粘膜筋板からのびて表層上皮に達していること等が観察された. このsheathはKaye, Pascalゆのcolonic pericryptal fibroblast sheathとは異るものである.
  • 加藤 善久
    1977 年 74 巻 2 号 p. 116-129
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    gastrinの不活化に関与する臓器を検索する目的で, ラットにおける1251標識合成ヒトガストリンの経時的な体内分布, および諸臓器homogenate上清と合成ヒトガストリンとを一定時間孵置したのちの, 胃酸分泌能とimmunoreactivityの低下度を検討した.
    125I標識合成ヒトガストリン44μCi静注後15分の全身オートラジオグラフィーでは, 腎皮質への放射能集積が, 他の諸臓器のそれに比して顕著であつた.
    また1251標識合成ヒトガストリンが0.1μCi静注後に, 腎, 肝小腸などの諸臓器を剔出して放射能を測定したところ, 注入後15分から60分までは腎において有意に高く, この他の臓器では軽度であつた.
    一方諸臓器homogenateを超遠心 (115,000×9) して上清を分離し, これに合成ヒトガストリンを添加混合し37℃にて一定時間孵置したのち, 胃酸分泌能とimmunoreactivityを各々bioassayおよびradioimmunoassayによつて測定した. この結果種々の臓器homogenate上清に, 合成ヒトガストリンに対する不活化能をみとめた. 孵置15分の各上清の不活化率と, 125I標識合成ヒトガストリン静注後15分の臓器分布率とを乗じた値か, 臓器としての不活化力を示すと考えて各臓器で比較した場合, bioassay, radioimmunoassayの両者とも, 他の臓器に比し腎, 肝, 小腸の順に不活化力が強かつた。
  • 早川 哲夫, 野田 愛司, 鈴木 敏行, 青木 勲, 井上 淳子, 堀口 祐爾, 神谷 夏吉, 高山 哲夫, 中村 昌男, 奥村 信義
    1977 年 74 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎49例の50gブドウ糖経口負荷時の血中膵グルカゴン (IRG;30K抗体) およびインスリン (IRI) と膵外分泌能および耐糖能とを対比し, 膵内分泌機能障害の実態を検討した. さらに, 耐糖能が同様な膵性および一次性糖尿病の膵内分泌機能を比較した.慢性膵炎では比較的早期から正常にみられる血糖上昇に伴うIRGの下降が欠如した. IRI反応の遅延は膵炎早期から出現し, 中等症以上では反応の遅延と低下の両者を認めた. 一次性糖尿病に比し, 膵性糖尿病は, IRG, IRIともに低い傾向があつた. 慢性膵炎では早期から膵αおよびβ両細胞の機能障害が出現し, その障害は一次性糖尿病とは異なると推定される.
  • 森下 鉄夫
    1977 年 74 巻 2 号 p. 138-148
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ヒトコレラ腸症にて下痢の機序解明のため, 空腸内視鏡検査, 空腸生検を施行し, 末梢血中c-AMP, c-GMP, セロトニン, ヒスタミン濃度測定を行つた. 内視鏡検査では十二指腸・空腸にビランをはじめとする種々の変化を認め, 組織学的にもヒトコレラ腸症の小腸粘膜に病理学的変化の存在することを明確にした. 血中c-AMPは急性期には回復期に比し有意の高値を示し, adenylate cyclase・c-AMP系が下痢の機序に重要な役割を果すことを明らかにした. また急性期には血液濃縮と共に, 血管透過性充進惹起物質であるセロトニン, ヒスタミンは血液単位容積当りの値に異常高値を示した.
  • 特に肝および小腸性ALPの動態について
    西村 秀男, 名和田 順介, 福本 陽平, 早川 幹夫, 小田原 満, 野田 健一, 菅 大三, 竹本 忠良
    1977 年 74 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Male rats were given a single oral dose of ANIT (100 mg/kg body weight), 5 rats weresacrificed at 24 hours intervals respectively until 144 hours, several examination were carriedout using liver and serum.
    Strong bile canalicular ALP activity was seen with degeneration of bile ducts andperiductal inflammation later than 24 hours after administration of ANIT, contrasting withnormal rats which showed weak ALP activity. ANIT also elicited cessation of bile flowwith marked elevation of serum bilirubin and serum ALP activity. Peaks of serum and liverextract ALP activities were seen at 48 hours after the beginning of the experiment. ALPzymograms of the serum and liver extract showed marked elevation of hepatic ALP anddecrease in intestinal ALP when serum ALP was high, but in convalescent stage, when bileexcretion returned to normal, increase in intestinal ALP was observed.
    These results indicated that bile influences upon the activities of hepatic and intestinal ALP.
  • 意識下のイヌにおける研究
    伊藤 漸, 竹内 真人, 相沢 勇, 高柳 隆一, 中村 卓次
    1977 年 74 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    motilinの生理作用を解明する目的で意識下のイヌの胃運動をstrain gage force transducerで測定しながら検討した. その結果, イヌの胃運動は食物摂取を境にしてinterdigestiveとdigestiveの2つのpatternにはつきりと2分されることがわかつた. そこで, この両期に合成motilinを0.1-2.7μg/kg/hrの割合で静脈内に持続投与した. 胃運動がdigestiveの時期ではmotilinには何等その作用がなかつたがinterdigestiveの時期ではその時期特有の収縮運動を惹起することがわかつた. motilinは元来duodenal alkalinizationにょる胃嚢運動充進にもとづき発見された十二指腸由来の消化管peptideであり, これがinterdigestiveにのみ作用してinterdigestive contractionsを惹起せしめるということは発見の動機となつた機構とも合致している. それ故motilinはinterdigestive stateにのみ作用するいわば空腹ホルモンと考えられる.
  • 渡部 洋三, 沢田 芳昭, 加藤 弘一, 塩野 潔, 宮上 寛之, 近藤 慶一郎, 城所 仂
    1977 年 74 巻 2 号 p. 164-173
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍 (十二指腸潰瘍24例, 胃・十二指腸潰瘍5例および胃潰瘍6例) と十二指腸潰瘍に対して行つたSV+P8例に対して, インシュリン刺激試験を行い血中ガストリンを測定した. 消化性潰瘍に対するインシュリン静注後の血中ガストリンは30分目より増加し始め, その反応の程度をI. G. Rでみてみると十二指腸潰瘍が胃潰瘍より統計学的有意差で高値を示した. インシュリン静注後の血中ガストリン値と血糖値とは逆相関関係にある. SV+P後の空腹時血中ガストリンは術後増加し, 6ヵ月目では術前の2倍の値となる. SV+P後の症例にインシュリン刺激試験を行うと, 血中ガストリン値は術前の症例と同様に30分目頃より増加し始め, その反応度 (I. G. R.) は6ヵ月目で術前の3.5倍の値を示した.
  • 小塚 貞雄, 滝 正, 坪根 幹夫, 政本 啓, 長沢 貞夫, 久保田 冽, 横山 泰久
    1977 年 74 巻 2 号 p. 174-181
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    典型的潰瘍性大腸炎22名, 直腸S状結腸炎9名および直腸炎68名からなる広義の潰瘍性大腸炎患者99名に行なつた直腸生検263回の945組織標本について組織学的検索を行なつた. 半数以上の標本に腺管の大型化があつたが, これらの中には単なる再生現象である嚢胞状拡張の他に腺管の大型化と同時に腺管上皮の丈が延長して, ある種の大腸polypの腺管と極めて類似するものがあり, これを過形成腺管と名づけた. 過形成腺管の出現は炎症の強さや病型とは必ずしも直接関係せず, 下痢・粘血便等の初発症状からおよそ6ヵ月後に出現率が増加し, 高齢者に多い傾向があつた. 過形成腺管と潰瘍性大腸炎の癌化との関係について考察を行なつた.
  • 福島 恒男, 臼田 和正, 石黒 直樹, 松田 好雄, 竹村 浩, 土屋 周二
    1977 年 74 巻 2 号 p. 182-189
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    炎症性消化管疾患に腎結石を合併する頻度が高い事が知られ, それが蔭酸代謝異常に依る事が報告されている. われわれは潰瘍性大腸炎40例の尿中蓚酸濃度を経時的に測定した. 入院した3症例では最高470mg/day, 378mg/day, 176mg/dayと排泄量が亢進し, 治療経過と共に減少した. 外来通院症例39例では, 正常尿中蓚酸濃度の上限である2.8mg/dl以上の症例は45%に達した.
    全大腸炎型の1例で19.0mg/dlと高値を示した症例は血尿が発現し, 結石の合併が疑われた.
    尿中蓚酸排泄量は臨床経過をよく反映し, 大腸の病巣粘膜のpermeabilityの指標になり得ると考えられた.
  • 健康人における検討
    大槻 眞, 尤 芳才, 山崎 富生, 前田 光雄, 岡野 邦泰, 坂本 長逸, 馬場 茂明
    1977 年 74 巻 2 号 p. 190-196
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    健康人で絶食, 食餌摂取ならびにglucose負荷時における血清アミラーゼ活性の変動について検討した. 高蛋白食摂取により血清アミラーゼ活性は上昇した. 一方高炭水化物食摂取, glucose負荷では血糖値の変化に逆相関して血清アミラーゼ活性は低下した. この場合のアミラーゼ活性低下はAmylase-1 (膵型) の活性低下にあり, glucoseが膵アミラーゼ放出を抑制し, それが血清アミラーゼにも反映されることを明らかにした. しかし絶食群では血糖値も, 血清, 尿中アミラーゼ活性も共に低下した. この場合もアミラーゼ活性低下は膵型アイソザイムにみられたが, ここではglucose以外の膵外分泌抑制機序が考えられる. このように血清アミラーゼは血糖値, 消化管ホルモン, 神経等を介して調節されており, 消化管系において消化作用を行うだけではなく, 体内において何らかの生理的意義をもつて分泌されているといえる.
  • 野田 健一, 沖田 極, 重田 幸二郎, 小田原 満, 飯田 洋三, 竹本 忠良, 山時 脩, 石上 浩一, 松原 宏
    1977 年 74 巻 2 号 p. 197-205
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胃癌組織におけるα-Fetoprotein (AFP) の産生機構を明らかにする目的で, 肝転移が認められなかつたAFP産生胃癌2例について考察した. 症例はBorrmann I型低分化腺癌をふくむ多発胃癌例とBorrmann III型中分化型管状腺癌例である。血清AFP値はそれぞれ2, 380, 54,000ng/mlであつた. 胃癌組織には血中よりも高濃度のAFPが存在し, 蛍光抗体法により, 管状構造を示す腺癌細胞の細胞質にAFPが局在することが証明された. また, 胃癌組織に胎盤AlkalinephosphataseであるRegan isoenzymeが検出された. さらに, AFP産生胃癌において胃液内にもAFPが分泌される可能性があることを指摘した.
  • 1977 年 74 巻 2 号 p. 206-213
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 2 号 p. 214-239
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 2 号 p. 240-259
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 2 号 p. 260-274
    発行日: 1977/02/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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