gastrinの不活化に関与する臓器を検索する目的で, ラットにおける1251標識合成ヒトガストリンの経時的な体内分布, および諸臓器homogenate上清と合成ヒトガストリンとを一定時間孵置したのちの, 胃酸分泌能とimmunoreactivityの低下度を検討した.
125I標識合成ヒトガストリン44μCi静注後15分の全身オートラジオグラフィーでは, 腎皮質への放射能集積が, 他の諸臓器のそれに比して顕著であつた.
また
1251標識合成ヒトガストリンが0.1μCi静注後に, 腎, 肝小腸などの諸臓器を剔出して放射能を測定したところ, 注入後15分から60分までは腎において有意に高く, この他の臓器では軽度であつた.
一方諸臓器homogenateを超遠心 (115,000×9) して上清を分離し, これに合成ヒトガストリンを添加混合し37℃にて一定時間孵置したのち, 胃酸分泌能とimmunoreactivityを各々bioassayおよびradioimmunoassayによつて測定した. この結果種々の臓器homogenate上清に, 合成ヒトガストリンに対する不活化能をみとめた. 孵置15分の各上清の不活化率と,
125I標識合成ヒトガストリン静注後15分の臓器分布率とを乗じた値か, 臓器としての不活化力を示すと考えて各臓器で比較した場合, bioassay, radioimmunoassayの両者とも, 他の臓器に比し腎, 肝, 小腸の順に不活化力が強かつた。
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