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山内 孝
1984 年 81 巻 12 号 p.
2905-2913
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃酸分泌機構における histamine の意義を解明するため, gastrin の histamine 産生細胞への関与, 及びH
2受容体拮抗剤の histamine 産生細胞に及ぼす影響について検討した. tetragastrin (TG) 刺激時のラット胃粘膜 histamine および histidine decarboxylase (HDC) 活性の変動と, これに対するsecretin の抑制効果を検索し, TG刺激時のラット胃粘膜内 histamine の有意低下と共に, 一方HDC活性の有意上昇を認めた. また secretin はTG刺激時のHDC活性増加を抑制した. 次いで cimetidine 投与時の血中 gastrin, 胃粘膜内 histamine, HDC活性の変動を検討し, cimetidine はHDC活性および血中 gastrin の増加作用を有し, この増加作用は胃液pHを介する二次的内因性 gastrin の関与を除去しても抑制しえなかつた. またHDCの特異的阻害剤 α-fluoromethylhistidine により cimetidine の酸分泌抑制効果の増強を認めた. 以上の成績より gastrin の histamine 産生細胞に対する直接効果及びcimetidine のG細胞を介する histamine 産生細胞刺激効果の存在を指摘し, 胃酸分泌機構における histamine の意義を明らかにした.
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岡村 正造, 中澤 三郎, 芳野 純治
1984 年 81 巻 12 号 p.
2914-2924
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
微小癌やIIb型早期癌の粘膜面の微細な異常所見の解明を目的に, 6頭の雑種犬にENNGを投与し, 発生した胃病変の病理形態学的検討を試みた. その結果, 犬胃癌の肉眼型や癌の組織所見などは人胃癌とよく類似していた. 更に, 早期癌を中心に54病巣につき実体顕微鏡観察を試み, I型, IIb型, 浅いIIc型早期癌に対する診断学的意義が明らかになつた. 特に後二者では癌の組織型別に特徴的な粘膜像が得られ, 分化型癌は非癌部と形の異なる不整な胃小窩模様, 未分化型癌は周辺粘膜と類似するも腫大, 緊満化した大小不同のある胃細区様模様を呈し, 各々の癌の浸潤様式ともよく一致していた. この結果は胃癌の拡大診断の向上に寄与すると考えられた.
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特に吸入式との血流量の差について
西脇 英樹, Ichikun KO, 曽和 融生, 梅山 馨
1984 年 81 巻 12 号 p.
2925-2929
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
電解式組織血流計を用いた胃粘膜血流測定について実験的, 臨床的に検討した. 内視鏡下犬胃粘膜血流測定では, 同一穿刺部位で再現性のある血流値が得られる一方, 従来の水素ガス吸入式に比べやや高値を示す値向にあるがよく相関が認められた. 本法による見かけの血流増加分 (見かけの拡散量) は犬屠殺直後では37.1±2.6ml/分/100g, 60分では24.1±1.4ml/分/100gの値を示した. また, ヒトの切除胃での見かけの血流増加分(見かけの拡散量)は摘出直後で29.0±2.7ml/分/100g, 60分後で25.1±1.0ml/分/100gを示し, 本法による見かけの血流増加分 (拡散量) は, ほぼ25ml/分/100g 前後と推測された.
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金子 栄蔵, 熊谷 純一, 花井 洋行, 本田 西男, 馬場 正三, 菅野 剛史
1984 年 81 巻 12 号 p.
2930-2934
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
抗ヒトHb抗体を用いた免疫学的便潜血反応はヒト Hb の検出にきわめて特異的である. 著者らは一次元平板拡散法 (SRID) により以下の結果を得た. グアヤック (G法) で強陽性を示した上部消化管出血例はことごとくSRIDで陰性となつた. 一方大腸出血でG法陽性例は全てSRIDは陽性であつたが, G 法陰性の潰瘍性大腸炎緩解期例では約半数で SRID が陽性であつた. 健康なボランティアによる検討では下部空腸までの出血はSRIDでは陰性となる可能性の高いことが確認出来た. 本法と従来の潜血反応法を組合せることにより, 消化管内出血の部位の推定が可能であろうと考えられた.
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感度, 大腸癌症例での陽性率
齋藤 博, 土田 成紀, 福士 道夫, 柿崎 良輔, 相沢 中, 棟方 昭博, 吉田 豊
1984 年 81 巻 12 号 p.
2935-2939
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Counter immunoelectrophoresis (CIEP) を応用した免疫学的便潜血試験の感度, 大腸癌症例での陽性率を単純放射免疫拡散法 (SRID) ヘモカルトテスト (HO) による成績と比較した. 溶血液•糞便中ヘモグロビンの検出限界は CIEP, SRID, HO でそれぞれ7, 9, 7μg/ml, 0.5, 1.0, 3.0mg/gといずれもCIEPの感度が最高だつた. 大腸癌26例で CIEP は19例73%, SRID 14例54% (p<0.05), HO12例46% (p<0.02) が陽性で, これらを病期別, 部位別にみてもCIEPでの陽性数が他より多かつた. CIEPはSRID, HOより感度, 特異性がともに高く, 大腸集検において大腸癌発見率向上に有用と考えられた. また日常臨床上HOなど per oxydase 反応に基づく従来法に代わる新たな潜血試験法としての意義が明らかとなつた.
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竹内 健太郎
1984 年 81 巻 12 号 p.
2940-2950
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
アルコールによる膵障害と肝障害の関連を明らかにするためアルコール性慢性膵炎 (CAP) における肝機能検査成績, 肝生検組織像を検討した. CAP 例では, 特発性慢性膵炎に比し高率に肝機能異常を認めたが, 肝組織像の検討では肝硬変は少なく肝線維症が主体であり軽度変化群も少なからず認めた. CAP 例の肝組織像の程度と膵石, 膵管像, 胆管像, 膵外分泌機能との間に明らかな関連はみられず, 飲酒総量との間には関連がみられた.
以上より, アルコールによる膵障害と肝障害の程度は必ずしも平行せず, またCAP例の肝障害はアルコール性の肝障害が基本であり, 慢性膵炎の病態に伴う二次的な影響は少ないものと考えられた.
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第1報
山崎 修, 酒井 克治, 木下 博明, 広橋 一裕, 街 保敏, 井川 澄人, 鈴木 範男, 李 東雨, 長田 栄一, 井上 直, 松岡 修 ...
1984 年 81 巻 12 号 p.
2951-2959
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
本来, 比較的低流量であるヒト冠状静脈洞血流量の測定に開発された Ganz サーミスターカテーテルを門脈血流量の測定に用いるために, 高流量のモデル回路を作製, その妥当性と再現性を検討した. その結果, 測定流量値 (X) と実測流量値 (Y) には熱指示液注入量48ml/minで流量240~1,148ml/minの間で回帰直線式Y=1.15X-22.6, r=0.9949, p<0.001が成立, 両者間に高い相関性と良好な再現性が実証された. そこで臨床例ではこのカテーテルを経皮経肝的に門脈本幹内に挿入, 同一条件で門脈血流量を測定した. 26例, 計55回の測定では, 門脈血流量は315~1,513ml/min(713.5±277.8ml/min, Mean±SD) であり, その再現性 (変動係数3.9±2.9%) は極めて良好であつた. なお肝硬変合併19例の門脈血流量441.0±192.6ml/min/m
2は非肝硬変7例の門脈血流量509.2±187.5ml/min/m
2に比し有意の減少を示さなかつた.
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肝硬変, 肝細胞癌治療における補助療法としての意義
平井 賢治, 川副 良治, 熊谷 雅信, 真島 康雄, 阿部 正秀, 谷川 久一, 久保 保彦
1984 年 81 巻 12 号 p.
2960-2966
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変1例, 肝硬変合併肝細胞癌6例の計7例に脾機能亢進症改善の目的で, transcatheter splenic arterial embolization (TSAE) 療法を行なつた. 脾臓の梗塞率は, 平均62.5%であつた. 末梢血にて, 全例白血球および血小板の増加が認められたが, 特に血小板は長期間増加を維持した. CT, 肝シンチにて, 梗塞巣は経過と共に縮小するのが認められた. 合併症は, 発熱および疼痛は全例に認められた. 一過性の左胸水貯留も2例に認められたが, 重篤なものはみられなかつた. 以上より, TSAE療法は, 脾機能亢進症が著明な肝硬変や肝細胞癌患者に対し, 補助療法として有効な方法と思われた.
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村木 俊雄
1984 年 81 巻 12 号 p.
2967-2977
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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生体の恒常性を保ちつつ非侵襲的に施行できる胆道シンチグラフィーは, 胆嚢•胆道系の画像診断の中でも胆道系の病態生理を反映するものである. 本法を用い, 健常成人例, 胆嚢•胆道疾患症例, 慢性肝疾患症例, 悪性腫瘍症例に対して, 胆嚢収縮能, 胆汁流量などの動態解析を行なつた結果, 胆嚢•胆道疾患はもとより慢性肝疾患症例や消化器系悪性腫瘍症例にも胆嚢•胆道機能の低下を伴うものを認めた. 胆道シンチグラムの解析により, 胆嚢と Oddi 氏括約筋を含めて胆道系を総合的に理解することが可能となり, 本法は胆嚢および Oddi 氏括約筋機能異常 (vesicosphincter dysfunction) をも診断し得る.
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唐木 一守, 松原 義雄
1984 年 81 巻 12 号 p.
2978-2985
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
保菌者92例の手術を行つた. 90例は胆石を有し, 2例はその疑があつた. 5例に胆嚢癌の合併を認めた. 手術により排菌が停止した症例は4月間, 術後抗生物質療法を追加したものは1年間菌検索を行い, 74例のうち70例 (94.6%) を治癒とした. 胆嚢結石66例の治癒率は98.5%であつたが, 胆管結石8例のそれは62.5%で, 胆嚢結石の治癒率が良好であつた(p<0.005). 不成功4例は総胆管拡張を認め, うち1例は肝内遺残結石を認めた. 胆石の存在が保菌状態の主病因と思われるので, 手術は胆石の完全除去を計るべきである. 胆嚢摘出を原則とし, 胆管に胆石または拡張を有する症例には総胆管切開を行う. 小結石遺残の疑があれば乳頭形成を行う.
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膵外分泌不全モデルラットにおける検討
宮坂 京子
1984 年 81 巻 12 号 p.
2986-2991
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットの場合, 分泌された膵液の約10%を腸内に戻し, 残る90%を廃棄してしまつても膵外分泌は, 平常とかわらない. その場合, 腸内膵酵素活性の点からみると, 膵外分泌機能不全の状態に類似する. そこで, この機能不全類似モデルラットと, 正常ラット (分泌された膵液全量を腸に戻した場合)とにおいて, elemental diet に対する反応性を比較した. その結果, 膵外分泌機能不全類似群は, 正常群に比し, 液量, タン白排出量の増加が有意に高かつた. しかし, パンクレアチンを腸内に注入すると, 液量, タン白排出量とも上昇の度合が減少し, 正常群とほぼ等しくなつた. 慢性膵炎等において, 食事摂取によつて増悪するような疼痛の軽減や, 膵の安静を計る上で, 膵酵素剤の投与が, 有効になる可能性が想像された.
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勝又 一夫, 勝又 義直, 中川 武夫, 佐久間 貞行
1984 年 81 巻 12 号 p.
2992-2995
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵臓の computed tomography 像を詳細に観察すると外縁, 内容について, それぞれ以下の3型に分類できることがわかつた. I型: smooth なもの, II型: 小顆粒を呈するもの, III型: 大顆粒を呈するもの. そして同一の膵臓でみると, 多くは外縁, 内容の型が一致していた. このうち内容のIII型では高い density を示す部位が低い density にとり囲まれている像を示した. この低い density を示す部位のCT値(-80前後)は脂肪組織のそれと一致するのでこの型の膵臓は脂肪に富んでいると推定される. 肝硬変, 胆石, 膵炎, 悪性腫瘍, 糖尿病のない406名の膵臓のCT像を上述の分類と体型, 年齢との関連で検討すると, やせ型では外縁, 内容ともIII型が少なく, 肥満者では逆に著明に多いことが明らかになつた. また肥満者では39歳以下で外縁のIII型が最も多く, 40歳以上になると逆に減少した. このように膵臓CT像の分類が体型, 年齢と関連する事実を明らかにし, その意議について述べた.
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小田 浩之, 古阪 悦子, 笹川 豊, 西井 京子, 粟津 隆一, 神坂 和明, 前沢 秀憲
1984 年 81 巻 12 号 p.
2996-3002
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
macroamylasemia における高分子 amylase の証明法として, 高速液体クロマトグラフィーを利用したゲル濾過法を従来の Sephadex-G 200を用いる方法と対比し, その有用性について検討した. 10例の macroamylase は両法ですべて同定され, 血中総 amylase 活性に占める高分子部分の分画比率は二法でほぼ一致した. pH3.4の酸性条件の溶出では, 免疫グロブリン結合例全例で macroamylase の解離が認められた. 高速ゲル濾過法は微量の検体で短時間に高分子 amylase の定量的診断が可能であり, 本症の診断, 経過観察および macroamylase の性状分析に有用と考えられる.
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とくに Bradykinin depletor を用いて
千葉 和雄
1984 年 81 巻 12 号 p.
3003-3012
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
endotoxin の生体障害作用の発現機構における kinin 系の役割を明らかにするために, ラットを用い, endotoxin の致死的障害作用及び肝糖新生における代謝中間体の消長と形態学的変化に及ぼすbradykinin depletor, cellulose sulphate の影響について検討した. cellulose sulphate の前処置で, bradykinin が deplete され endotoxin による初期の低血圧ショックは抑制され, さらに endotoxin の致死的障害作用に対する影響をみると, endotoxin 単独投与で, 6時間ですでに100%死亡したのに対し, cellulose sulphate を前処置したものでは12時間で40%, 24時間でも60%の死亡率に留まつていた. また本 shock 時には糖新生障害が言われているが, これについても糖中間体である肝 lactate, pyruvate, PEP, FDP, F6P, G6P及びATP, 血中 glucose の測定を行い, cellulose sulphate が endotoxin による肝糖代謝障害を改善するとともに, 肝組織形態学的にも endotoxin の障害を抑制することを確認した.
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島 伸吾, 杉浦 芳章, 米川 甫, 吉住 豊, 尾形 利郎
1984 年 81 巻 12 号 p.
3013-3018
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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駒井 一雄, 和田 一穂, 大川 正臣, 佐々木 大輔, 吉田 豊, 塩野 時雄, 柳谷 重利, 田中 隆夫
1984 年 81 巻 12 号 p.
3019-3022
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小野 剛, 小松 眞史, 猪股 茂樹, 井上 正則, 戸堀 文雄, 八木沢 仁, 向島 偕, 荒川 弘道, 井上 修一, 正原 研
1984 年 81 巻 12 号 p.
3023-3027
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
1984 年 81 巻 12 号 p.
3028-3032
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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澄井 俊彦, 木村 寿成, 船越 顕博, 篠崎 博嗣, 宮嵜 和則, 若杉 英之, 本村 正治, 井林 博
1984 年 81 巻 12 号 p.
3033-3038
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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渡辺 明治, 芳原 準男, 小林 道男, 中務 治重, 長島 秀夫
1984 年 81 巻 12 号 p.
3039
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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久門 泉, 恩地 森一, 道堯 浩二郎, 田中 昭, 太田 康幸
1984 年 81 巻 12 号 p.
3040
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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土本 寛二, 石井 裕正, 永田 茂之, 重田 洋介, 高木 敏, 荒井 正夫, 戸田 京子, 奥野 府夫, 松村 茂, 熊谷 直樹, 森実 ...
1984 年 81 巻 12 号 p.
3041
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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炭田 正俊, 土屋 幸浩, 大藤 正雄, 矢沢 孝文, 粕谷 直樹, 小渋 陽一, 江原 正明, 奥田 邦雄, 間宮 敏雄, 有水 昇
1984 年 81 巻 12 号 p.
3042
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー