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野上 誠, 星原 芳雄, 粒良 邦彦, 山本 敬, 田淵 正文, 宮本 昭正, 志賀 淳治
1988 年 85 巻 10 号 p.
2149-2154
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
水浸拘束下およびエタノール投与下のラットに生じる急性胃びらんに対する, 血小板活性化因子 (PAF) 拮抗薬CV-3988の抑制効果を検討した. CV-3988はラットの水浸拘束下のびらんを容量依存性に抑制した. この抑制はインドメタシン5mg/kg投与下でも認められた. また, CV-3988はエタノール潰瘍も抑制したが, この抑制はインドメタシン5mg/kg投与下でも認められた. これらより, CV-3988による上記の抑制効果は, 内因性プロスタグランジンに依存しないPAF拮抗作用による可能性が示唆され, ストレス下における急性胃粘膜病変の形成にPAFが関与している可能性が明らかとなつた.
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野登 隆, 太田 正敏, 田島 知郎, 三富 利夫, 渡辺 克仁, 中村 嘉彦, 山村 雅一
1988 年 85 巻 10 号 p.
2155-2160
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
細胞工学の進歩に基づきrIL-2が量産されLAKを用いた adoptive immunotherapy が普遍化している. しかし本療法の臨床効果は in vitro の成績に反し今一歩といえる. そこでこの治療法の基礎にすべく, 消化器癌患者のLAK誘導能を検討した. 年齢, 病変部位, 病変進行度, 再発症例においてはLAK誘導能に差はなかつたが, 高齢者の再発例ではLAK活性は低かつた. 養子免疫療法を行うにあたり最も困難なことは一度に1×10
9個を越える細胞培養を必要とすることと感染の防止といえる. このためにわれわれは高密度培養システムを開発した. これは半透膜バックを内臓する二重バックで, 細菌汚染もなく, 平均4.4倍の細胞増殖を得た.
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全国集計よりみた trichloroethylene 関与型の臨床像
山口 孝太郎, 嶋倉 勝秀, 上條 登, 滋野 俊, 坂戸 政彦, 松尾 恭介, 宮田 和信, 松沢 賢治, 長谷部 修, 古田 精市
1988 年 85 巻 10 号 p.
2161-2167
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1979年以降の本邦における腸管嚢腫様気腫 (PCI) の報告例の職業歴調査を行い, 大腸型PCI (PCC) 65例中43例 (66.2%) で, trichloroethylene (TCE) 暴露の職業歴が認められた. PCCをTCE暴露の有無, および合併疾患の有無によりTCE associated, idiopathic, secondary の3群に分類し, 臨床的に比較検討した. TCE associated group は他の2群に比較し, 若年 (40歳台) 女性に好発し, 左側結腸型の頻度が高く, 臨床症状では腹部膨満感, 腹痛, 便秘などの頻度が高かつた. TCE暴露平均年数は5.7年, 勤務工場の従業員数はいずれも600名以下であり, 43例中10例 (23.3%) は5組の同一職場内発生例であつた. 一方, 自然寛解, 再発はいずれの群でも認められた.
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千住 雅博
1988 年 85 巻 10 号 p.
2168-2177
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎における即時型アレルギーの関与をみる目的で, 直腸粘膜のIgE陽性細胞, IgG4陽性細胞, 肥満細胞, 好酸球および組織ヒスタミン含量に関して検討した. その結果, 本症の活動期の直腸粘膜においてはIgE陽性細胞, IgG4陽性細胞, 好酸球ならびに組織ヒスタミン含量は, 緩解期および健常者群に比べて有意に増加した. 肥満細胞は, 活動期に有意に減少した. 経過を追うことのできた症例では, 活動期より緩解期になると, IgE陽性細胞, IgG4陽性細胞, 好酸球は減少し, 組織ヒスタミン含量は減少の傾向を示し, 肥満細胞は増加した. 以上の諸変化は, 潰瘍性大腸炎の炎症の再燃や増悪に, 即時型アレルギーが関与していることを強く示唆するものと考えられた.
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円柱上皮細胞内動態を中心に
松尾 義人
1988 年 85 巻 10 号 p.
2178-2186
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
活動期クローン病 (CD) の病変部に隣接し光顕的に構造が保たれた大腸粘膜を用い, 分泌型IgA (sIgA) の円柱上皮細胞内輸送について免疫組織化学的に検討した. 光顕的には, secretory component (SC) およびIgAは粘膜上皮全体の basolateral membrane と刷子縁基部に局在を認めた. 免疫電顕的には, 管腔側へのSCとIgAの輸送•分泌を示す像を認めた. SCが基底側細胞膜から粘膜固有層へ遊離した像も認めた. また, ホモジナイズした粘膜のsIgA含有量は, CD群で有意に高値を呈した. 活動期CDの粘膜上皮では, sIgAが管腔側へ輸送•分泌されているにもかかわらず, その産生亢進によりsIgAは腸粘膜より血中へ逆流すると考えられた.
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久邇 之房, 多羅尾 和郎, 清水 昭男, 中村 圭靖, 原田 昌興, 伊藤 義彦, 飯森 和人, 玉井 拙夫
1988 年 85 巻 10 号 p.
2187-2192
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性活動性肝炎と肝硬変の細胞動態を Bromodeoxyuridine (以下BrdU) を用いて肝生検組織で検討した. 方法としては各症例より採取した肝生検組織をRPMI 1640で0.1%に希釈したBrdU溶液中に投与し, 95%O
2, 5%CO
23気圧下で, 37°C, 45分間培養し, リン酸緩衡中性ホルマリンにて24時間固定後にパラフィン切片を作成し, 4N塩酸にて37°C30分処理後に抗BrdUモノクローナル抗体を用い, ABC法による免疫染色で光顕的に観察し, BrdU摂取率を算定した. 結果としては肝硬変12例のBrdU 摂取率は2.49±1.90%で慢性活動性肝炎17例の0.93±0.16%と比べて有意に高かつた. 既に肝癌を有する肝硬変のBrdU摂取率が高値であることを我々は報告しており, これを合わせると肝硬変は慢性活動性肝炎に比し, より肝細胞癌の high risk group となる可能性が示唆された.
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河田 則文, 阪上 吉秀, 申 東植, 木岡 清英, 関 守一, 溝口 靖紘, 小林 絢三, 森澤 成司, 門奈 丈之, 山本 祐夫
1988 年 85 巻 10 号 p.
2193-2196
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ロイコトリエンB
4およびC
4 (LTB
4 LTC
4) は, 炎症とアレルギー反応を惹起する chemical mediator である. ロイコトリエンの肝における代謝を調べる端緒として, ラット肝組織中LTB
4と LTC
4の検出を試みた. Wistar 系雄性ラットを開腹後ラット肝組織を採取して, 高速液体クロマトグラフィーとラジオイムノアッセイで肝組織中のLTB
4とLTC
4を定量した. その結果, 正常ラットの肝組織中に, LTB
4とLTC
4を検出し得た. また,
Propionibacterium acnes (P. acnes) 加熱死菌を静注して肝に
P. acnes-elicited macrophage を浸潤させると静注一週後の肝組織中LTB
4とLTC
4は減少した. しかし,
P. acnes 処置ラットにLPSを静注して急性肝細胞障害を誘導するとLTB
4 LTC
4は有意に増加した. 今回の結果から, ラット肝組織中にはLTB
4とLTC
4が存在することが明らかになるとともに, 肝組織中ロイコトリエンの増加が, 肝細胞障害の誘導に何等かの関与をするものと推則された.
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岡本 浩之, 大柳 治正, 斉藤 洋一
1988 年 85 巻 10 号 p.
2197-2206
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
thioacetamide (TAA) 誘発肝硬変ラットに endotoxin (ET) shock を惹起させ, その早期における循環動態, 血中 eicosanoids, 肝 energy 代謝の面から病態の解明と16, 16-dimethyl prostaglandin E
2 (DiME
2) の shock 予防効果を検討した. TAAラットにおいて, DiME
2 4μg/kgの前投与は, 正常ラットに比し強く低下しているが, ET投与による血圧, 肝血流量の一層の低下傾向を抑えるとともに, 血中 TxB
2, 6-keto-PGF
1α濃度を一定に維持させた. さらに肝ATP量や energy charge の低下を防止した. これらのことから, DiME
2の前投与は, 重症肝障害時のET shock に対し, 予防効果を示すと考えられる.
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細胞性免疫と液性免疫に分けての検討
高木 均, 山田 昇司, 小沢 賢子, 植原 政弘, 小島 亨, 阿部 毅彦, 斎藤 修一, 高山 尚, 片貝 重之, 小林 節雄
1988 年 85 巻 10 号 p.
2207-2216
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性肝癌19例に対するTAEの細胞性免疫と液性免疫に及ぼす影響について検討した. 1) TAE後好中球主体の白血球増加がおこり, リンパ球も軽度上昇した. 2) HCCにおけるリンパ球サブセットではT4の低下とT8の上昇が見られ, TAEによりそれらが是正される例が多く, B1, T11はTAE後, 上昇する例が多かつた. 3) NK活性, Blastogenesis はTAE後低下傾向にあつたがいずれも正常域で変動した. 4) 免疫グロブリンはTAE前は有意に高値を示し, TAE後低下した. 5) 補体 (C3c) はTAE前は低下しており, TAE後の変動は少なかつた. 6) 免疫複合体はTAE前は有意に高値を示しTAE後は有意に低下した. 以上の1)~6)の変化はTAE後二日目に始まり一カ月で前値に復した.
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瀬古 修二, 福田 善弘, 中野 博, 井村 裕夫
1988 年 85 巻 10 号 p.
2217-2224
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞壊死に続発する線維化に対するクッパー細胞 (KCs) の役割を検討するため, 正常および四塩化炭素急性障害ラット肝につきKCsの線維芽細胞増殖因子 (FG因子) 産生能を検討した. その結果, 正常肝由来KCsはLPS刺激によりFG因子を産生することが確認された. 一方急性障害肝由来KCsからは正常肝KCsに比し有意に高いFG因子の産生が検出され, KCsが in vivo ですでに活性化された状態にあると推測された. また障害後の経時的検討では, FG因子の上昇は肝内 collagen 量の増加と平行することが観察された. 以上の成績より肝細胞壊死に続発する線維化にはKCsによる調節が存在するものと考えられた.
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インターフェロン療法との関連も含めて
日野 啓輔
1988 年 85 巻 10 号 p.
2225-2231
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
B型慢性肝炎の病態における肝細胞内のHBc抗原の意義を検討するため, HBs抗原陽性慢性肝炎69例の肝生検標本について免疫組織学的にHBc抗原を検索し, 血中HBVマーカー (HBe抗原, DNA-P, HBV-DNA, preS2抗原) ならびに組織学的活動性と比較検討した. HBc抗原量は血中HBVマーカー値と相関関係を示し, HBc抗原の量的分布は細胞質優位を示す症例の方が組織学的活動性が強かつた. また, IFN投与後1年以上の経過観察が可能であつたHBe抗原陽性慢性肝炎27例について, 肝内HBc抗原の量, およびその量的分布様式からIFN療法に対する効果を検討したところ, HBc抗原が細胞質優位の量的分布を示す症例に有効例が多かつた.
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鈴木 通博, 鈴木 博, 加藤 行雄, 岡部 和彦, 打越 敏之, 岡崎 伸生
1988 年 85 巻 10 号 p.
2232-2238
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
コラーゲン合成系の血中マーカーである prolyl hydroxylase (PH)は, 肝線維化診断の指標のひとつと考えられているが, 肝癌でも著しい上昇を認める. 肝細胞癌および肝転移を含めた各種消化器癌の血清PHを測定し, 病態との関連ならびに上昇機序を検討した. 1) 血清PHは肝細胞癌では腫瘍の発育, 進展に伴ない上昇し, 有効な治療により低下した. 2) 各種消化器癌では, 肝転移後はじめて上昇し, 転移巣の進展に伴い漸増した. 3) 組織PHの免疫組織化学的検討より, 肝細胞癌の血清PHの上昇は腫瘍辺縁癌細胞および周囲肝細胞のPHの増加に由来し, 各種消化器癌では原発巣および肝転移巣の癌細胞よりも転移巣周囲の肝細胞に由来するものと思われた.
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応儀 長子, 堀江 裕, 前田 直人, 平山 千里
1988 年 85 巻 10 号 p.
2239-2242
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌33例, 肝硬変23例の血清CA125を測定し, AFP, CA19-9, CEAと対比し肝細胞癌における血清CA125の診断的意義を検討した. 血清CA125の平均(±SEM)は, 肝細胞癌, 肝硬変でそれぞれ406±97U/ml, 80±24U/ml, 陽性率はそれぞれ75%, 43%であり両群間に有意差があつた. CA125は腹水を有する例, stage の進行した肝細胞癌で特に高い値, 陽性率を示した. 肝細胞癌のCA125陽性率はAFPについで高くCA19-9, CEAと有意差があつたが, 腹水のない肝細胞癌ではAFPと比べ有意に低くCA19-9と差がなかつた. 以上より, 肝細胞癌において血清CA125は, 肝細胞癌の診断, 進行度の推定に有用と考えられた.
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河村 泰仁, 吉田 一晴, 中沼 安二, 野々村 昭孝, 太田 五六
1988 年 85 巻 10 号 p.
2243-2249
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
家兎の胆嚢粘膜上皮細胞を6週間, collagen gel 内で培養し, その細胞性状を検索した. 単細胞化した上皮細胞は培養時間とともに増殖, 集団化し, その中央に嚢胞を形成した. また, 培養開始時より数個以上の集団状の上皮細胞でもその内部に嚢胞を形成した. これらの嚢胞は次第に大きくなり, 腔内には粘液が充満していた. さらに, 培養上皮細胞の胞体内にも小嚢胞がみられ, 粘液を容れていた. 超微形態的には, 嚢胞を形成する培養上皮細胞の嚢胞内腔面には多数の微絨毛が, 上皮細胞相互間には desmosome, tight junction, 嵌合が, 細胞質内には少数で小型の mitochondria, 多数の intermediate filament, 発達した Golgi 装置, 粘液顆粒が認められた. 蛍光抗体染色では, 培養上皮に cytokeratin が陽性であつた.
以上, 本培養法は胆嚢粘膜上皮細胞の in vitro での研究に有用と思われた.
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木村 宗士, 浅香 正博, 斉藤 雅雄, 林下 尚之, 佐久間 千尋, 大原 行雄, 狩野 吉康, 武田 宏司, 目黒 高志, 吉田 純一, ...
1988 年 85 巻 10 号 p.
2250-2254
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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尾関 豊, 鬼束 惇義, 松本 興治, 林 勝知, 日野 晃紹, 松波 英寿, 下川 邦泰, 西尾 碩人, 広瀬 一
1988 年 85 巻 10 号 p.
2255-2260
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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菊池 弘美, 林 直諒, 中嶋 太一郎, 久保 井宏, 徳重 克年, 久保 精志, 屋代 庫人, 進藤 仁, 高橋 洋一, 矢島 真文, 染 ...
1988 年 85 巻 10 号 p.
2261-2264
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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柴田 淳治, 村田 博司, 藤山 重俊, 吉田 健, 佐藤 辰男
1988 年 85 巻 10 号 p.
2265-2269
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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透過性コラーゲン膜を用いた試み
市田 隆文, 宮際 幹, 佐々木 博
1988 年 85 巻 10 号 p.
2270
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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催石性に関連して
田妻 進, 佐々木 晴敏, 水野 重樹, 佐川 広, 橋場 寿美恵, 堀内 至, 梶山 梧朗
1988 年 85 巻 10 号 p.
2271
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー