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織畑 道宏
1990 年 87 巻 3 号 p.
745-754
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
塩酸を用いたラット胃の adaptive cytoprotection (AC) の機序を調べるため, 胃粘膜内 prostaglandin (PG) 量と胃粘膜下血流量の変化を検討した. PGE
2とPGF
2αは mild irritant (MI) 投与後一過性に増加し次の strong irritant (SI) 投与でさらに増加した. Thromboxane B
2 (TXB
2) はSI投与後増加しMI前投与はその増加を抑制した. 6-keto-PGF
1αとPGD
2はSI単独投与でのみ増加した. Indomethacin (IND) 前処置はPGを前値以下に減少させた. 胃粘膜下血流量はMIとSIと投与後一過性に増加しINDはMI投与後の血流増加を遷延させた. 以上の成績から塩酸のACにPGE
2とPGF
2αの一過性増加が関与するが, PG増加は血流量の増加と関連がないと考えられた.
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小室 裕一, 小原 進, 石原 和彦, 岡部 治弥, 堀田 恭子
1990 年 87 巻 3 号 p.
755-761
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
低用量の histamine あるいは tetragastrin をラットに投与し, 粘膜内粘液を増加させた後, 各種濃度の ethanol 投与に対する胃粘膜抵抗性増強の有無を肉眼的潰瘍指数と粘液量の観点から検討した. その結果, 両薬剤とも軽度の傷害 (30, 40%ethanol) に対しては有意に傷害を抑制するとともに粘液糖タンパク質の減少をも抑制した. 一方, tetragastrin はより重度の傷害 (50%ethanol) に対しても有効であつたことから, histamine にはない粘液増量以外の粘膜保護作用を合わせ持つことが示唆された. 以上より, 軽度の酸分泌刺激に伴なう粘膜内粘液増加は粘膜抵抗性の増強を促すことから, 生体にとつて合目的的な防御反応であると推察された.
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中田 博文, 山本 泰朗, 山本 泰猛
1990 年 87 巻 3 号 p.
762-770
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性消化管アニサキス症患者の血中IgE, IgG型アニサキス抗体について, Immunoblotting 法を用いて対応抗原の分析を行つた. (1) IgE型抗体反応は, 虫体ホモジネートの分子量76, 64, 60kDaの3抗原に対し, IgG型抗体反応は, 91, 76, 64, 60kDaの4抗原に対する抗体の出現頻度が高かつた. この抗体反応様式は胃と腸アニサキス症で同様の可能性が推測された. (2) 豚回虫抗原を用いた分析では, アニサキス虫体の76, 64, 60kDa蛋白とは共通抗原性がなく, アニサキス特異抗原である可能性が考えられた. (3) 上記特異抗原中の76, 60kDa蛋白は, E•S蛋白中に含まれていたが, アニサキスヘモグロビンは患者血中, IgE, IgG型抗体反応の対応抗原ではないことが明らかとなつた.
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窪田 良彦
1990 年 87 巻 3 号 p.
771-779
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大腸腺腫および大腸癌患者の糞便中腸内細菌叢を検討した. 大腸腺腫患者では対照群と比較し Bifidobacterium の有意な減少を認めた. また, 腺腫を大きさ及び異型度に分け比較すると, 異型度が高度になる程 Bifidobacterium は減少し, Clostridium-other は増加する傾向を認めたが, 大きさには一定の傾向は認められなかつた. 大腸癌患者では癌の環周度に関係なく, 対照群と比較し Clostridium-other は有意に増加し, Bifidobacterium は減少する傾向を認めた.
以上より, 腫瘍の発生あるいは癌化に Bifidobacterium とClostridium-other の関与が示唆された.
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肝臓内, 脳内, 腎臓内および血清中におけるトリプトファンおよびその代謝産物の変化
溝口 靖紘, 河田 則文, 小林 絢三, 森沢 成司, 山田 潤
1990 年 87 巻 3 号 p.
780-789
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
トリニトロフェニール化モルモット肝高分子蛋白分画をモルモットの四肢に Freund's complete adjuvant (FCA) と共に注射し, 2~3週間後にトリニトロフェニール化した肝細胞を腸間膜静脈に lipopolysaccharide (LPS) と共に投与すると, ほとんどのモルモットに広範な肝細胞壊死を伴う急性肝不全が誘導できた. この急性肝不全モルモットにおける肝臓内, 脳内, 腎臓内および血清中のトリプトファン (TRP) 代謝産物について検討した. その結果, TRPが著しく上昇し, トリプタミン (TRM) 経路, セロトニン (5HT) 経路の代謝促進が認められた. 特に脳においては5HT代謝よりもTRM代謝の増加率の方が大きかつた.
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Plasmin-α2PI complex, Ddimer, Thrombin-ATIII complex による解析
水口 明洋, 岩淵 省吾, 森山 直哉, 吉田 由香, 高取 正雄, 鴨川 旭, 須階 二朗
1990 年 87 巻 3 号 p.
790-798
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝癌例に対する経肝動脈的治療の凝固線溶系への影響を, 従来のマーカーに Plasmin-α
2PI complex (PIC), Ddimer, Thrombin-ATIII complex (TAT) の三者を加え検討した. アドリアマイシン (ADM) 動注群 (9例) では, Ddimer (P<0.05) 以外有意な変動は示さなかつたが, 治療前から三者とも高値の2例では治療後明らかな上昇を認めた. ADM と Lipiodol 懸濁液動注群 (29例) では Gelfoam 併用の有無に拘らず, 治療後に従来のマーカーの他, 三者も有意 (P<0.01) に上昇し凝固線溶亢進が明らかとなり, 特に二次線溶亢進は7日後も持続傾向を示した. Gelfoam 併用 (14例) では凝固線溶系への影響が強い傾向で, 経肝動脈的治療に際し, DICの注意と予防が必要と思われる.
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古井 純一郎
1990 年 87 巻 3 号 p.
799-810
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
正常肝及びCCL
4障害肝ラットで肝切除後末梢及び門脈血中総胆汁酸濃度 (Pe. TBA, Po. TBA) を経日的に測定し, その変動の意義について検討した. Pe. TBA, 肝内短絡率及び肝胆汁酸処理能は肝切除量が大なるほど, 障害肝ほど変動が大きかつた. しかし Po. TBA には有意の変動はみられなかつた. Pe. TBA と Po. TBA, 肝胆汁酸処理能及び肝内短絡率との間にはそれぞれ有意の相関がみられた. また肝胆汁酸処理能と肝再生率との間にも有意の相関がみられた. 以上の結果から, (1)肝切除後 Pe. TBAは胆汁酸の肝への取り込み低下および門脈-肝静脈シャントの増加により上昇する. (2)肝切除後における肝胆汁酸処理能の算出は肝切除後の肝再生の指標として有用である.
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多田 稔, 小俣 政男, 大藤 正雄
1990 年 87 巻 3 号 p.
811-815
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝原発悪性腫瘍24例 (肝細胞癌13例, 胆管細胞癌8例, 肝芽細胞腫2例, 肝嚢胞腺癌1例) につき, Ras 遺伝子の point mutation の有無を検索した. Ras 遺伝子にはH-, K-, N-ras の3種類があり, コドン12, 13, 61のいずれかの point mutation により発癌遺伝子に変化すると考えられている. Polymerase chain reaction 法と direct sequencing 法で point mutation の有無を解析した. 胆管細胞癌8例中5例 (60%) に point mutation を検出した. Mutation は4例はK-ras コドン12に, 1例はK-ras コドン61に認めた. 一方, 肝細胞癌, 肝芽細胞腫, 肝嚢胞腺癌には point mutation はなかつた. 胆管細胞癌では発癌過程に Ras 遺伝子の point mutation と密接な関連が推察された.
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柏木 徹, 小塚 隆弘, 木村 和文, 佐藤 信紘, 鎌田 武信, 東 正祥, 松田 裕之, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫
1990 年 87 巻 3 号 p.
816-821
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
123I-iodoamphetamine (IMP) を直腸内に投与する経直腸門脈シンチグラフィを非肝疾患7例, 各種肝疾患95例に行い, portosystemic shunt index を測定するとともに各種肝機能検査と比較した. shunt index は非肝疾患0%, 急性肝炎極期5.3%, 慢性非活動性肝炎5.9%, 慢性活動性肝炎11.4%, 肝硬変代償期56.6%, 非代償期88.1%で, 肝病変の進展に伴い上昇した. 急性肝炎極期9例中5例は shunt index 0%であつた. shunt index が上昇した急性肝炎4例中3例は1~2カ月後 shunt index 0%となつた. 肝機能検査との関連では総ビリルビン, AST, ALT, ALPとは相関せず, ChE, アルブミン, γ-グロブリン, ICG 15分停滞率とは有意の相関を認めた. 従つて, shunt index は肝細胞機能障害によつて上昇せず短絡血流のみを反映すると考えられ, 臨床的に有用と考えられた.
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蔡 日新, 宮下 英士, 小針 雅男, 松野 正紀
1990 年 87 巻 3 号 p.
822-829
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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慢性膵瘻犬を用いて, 20%および40%エタノールの胃, 空腸内投与を行い, 膵外分泌と十二指腸内腔pHに及ぼす影響について検討した. エタノールの消化管内投与により, 十二指腸内腔pHは有意に低下し, 膵液分泌量と膵HCO
-3分泌量は増加した. 膵液量, 膵HCO
-3及び蛋白質分泌量の Integrated 値からみると, 空腸内投与群は胃内投与群よりも強い反応を引き起こした. 一方, エタノールの消化管内投与による血漿CCK濃度の上昇はみられなかつた. 以上より, エタノールの消化管内投与による十二指腸内腔pHの変化と膵外分泌刺激反応は主として胃酸分泌を介するものと考えられた.
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石塚 義之, 馬場 忠雄, 細田 四郎
1990 年 87 巻 3 号 p.
830-839
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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Pancreatico-biliary diversion (PBD) ラットを用い, 肥大増殖した膵における膵酵素量の経日的推移とその遊離腺房によるアミラーゼ放出の変化について検討した. 膵は, 過形成主体の肥大増殖を示し, 膵酵素ではトリプシノーゲンが著増したが, アミラーゼ•リパーゼは相対的に抑制された. 血中CCKは, PBDで上昇したが経日的に低下した. 血中セクレチンは変化しなかつた. また, 血中CCKは空腹時では上昇しておらず, 塩酸やクリニミール®負荷後に著明な上昇をみた. 一方, 遊離膵腺房のCCK8に対するアミラーゼ放出量はPBD群で低下していた. また, CCK8に対するアミラーゼ放出の感受性は, PBD4日目で約1/3低下するが, 7日目以後回復し, これは血中CCKレベルとよく相関していた.
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藤本 泰久, 佐竹 克介, 梅山 馨, Jenny J.L. HO, Young S. KIM
1990 年 87 巻 3 号 p.
840-847
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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ヒト膵癌細胞株SW1990より mucin を精製し, この mucin に対する monoclonal 抗体を作成し検討を行つた. 1回の細胞融合で得られた34種類の抗体の内ホルマリン固定したSW1990細胞に反応するものは12種類で, epitope は糖鎖, CsCl分画中一番反応性の高いものは第6分画であつた. 一方, SW1990 細胞に反応しない残り22種類の殆どはCsCl第5分画に最も反応性が高く, epitope が蛋白部分に強く関連したもの5種類が見られた. 後者は, 免疫組織染色において, より膵癌に反応し, 正常膵組織に反応しない傾向であつた. 特に monoclonal 抗体のNd2はその傾向が最も強く, 非分泌性であり, また担癌マウスへ in vivo に投与すると腫瘍指向性が高く, 臨床応用の可能性が示唆された.
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加藤 義郎, 村井 俊介, 高橋 利明, 鋤柄 勝弘, 米島 正博, 和田 祐爾, 中島 太一郎, 喜多島 聡, 鈴木 敏夫, 大原 裕康, ...
1990 年 87 巻 3 号 p.
848-851
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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徳元 攻, 徳重 順治, 佐伯 啓三, 宇留島 一郎, 新山 徹美, 藤林 圭一, 美園 俊明, 西俣 嘉人, 政信 太郎
1990 年 87 巻 3 号 p.
852-856
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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竹村 清一, 小原 剛, 男澤 伸一, 田中 俊英, 斉藤 裕輔, 浦 等, 奥山 修兒, 岡野 重幸, 北守 茂, 柴田 好, 岡村 毅與 ...
1990 年 87 巻 3 号 p.
857-860
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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田辺 浩, 森 真理子, 斉藤 雅也, 河合 秀子, 林 真功, 入山 克, 大橋 三與治, 山階 学, 大西 弘生, 森脇 久隆, 武藤 ...
1990 年 87 巻 3 号 p.
861-864
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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吉田 登, 森 理比古, 石野 徹, 村田 育夫, 牧山 和也, 原 耕平
1990 年 87 巻 3 号 p.
865-871
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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柚木 宏和, 税所 宏光, 露口 利夫, 大藤 正雄
1990 年 87 巻 3 号 p.
872-877
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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百々 修司, 横山 道江, 山北 宣由, 三浦 清, 伊藤 英夫, 林 勝知, 田中 卓二
1990 年 87 巻 3 号 p.
878-883
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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永田 浩一, 沢井 繁明, 岸田 健, 渡部 洋三, 末広 逸夫
1990 年 87 巻 3 号 p.
884-889
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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光山 慶一, 佐田 通夫, 池田 英雄, 鶴田 修, 入江 章, 有馬 信之, 松隈 則人, 窪山 信一, 居石 哲治, 村山 俊二, 佐々 ...
1990 年 87 巻 3 号 p.
890
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー