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茂木 瑞弘, 北島 政樹, 木内 立男, 川上 速人, 平野 寛
1990 年 87 巻 5 号 p.
1131-1138
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃粘膜の組織や細胞を構成する複合糖質につき実験的に検討した. Wistar 系雄性ラット (n=16) の背部に30%熱傷を負荷しレクチンを用いて粘膜の糖蛋白を含めた複合糖質の局在と分布を観察した. その中で特にPNA (Peanut agglutinin) について経時的に検討した. 熱傷負荷前の光顕像ではほぼ細胞増殖領域に限局していたが熱傷負荷後ではその上層および下層領域へと拡大した. 電顕像では, 熱傷負荷前で壁細胞の分泌細管の微絨毛に反応が認められ, 熱傷後2, 5時間ではその周囲の管状小胞にも反応が認められた. 熱傷ストレス負荷後のレクチン結合反応の変化は壁細胞という分泌細胞のストレスに対する局所反応を想定させた.
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鄭 鳳鉉, 下田 忠和, 池上 雅博, 大柴 三郎
1990 年 87 巻 5 号 p.
1139-1145
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
癌巣内に消化性潰瘍を有する, 早期癌類似進行胃癌128病変(開放性潰瘍73病変, 瘢痕性潰瘍55病変)について, 癌巣内消化性潰瘍の意義を臨床病理学的に検討した. これらの壁深達度は, Borrmann 型進行癌に比し, pm癌が有意に多かつた. 粘膜内癌巣の平均最大径は51.8mmであつた. 癌巣内消化性潰瘍は, Ul-III以上の深い開放性潰瘍が多く, 粘膜下線維症は高度であつた. 粘膜下層以下では, 癌細胞は散在性の下細り浸潤を示し, 消化性潰瘍による粘膜下線維症が, 癌先進部に先行するものが多かつた. 以上より, 早期癌類似進行胃癌は, 悪性サイクルによる深い潰瘍と高度の粘膜下線維症のもとで形成される癌であると考えられた.
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粘膜下層以下における水平方向への拡がりについて
大橋 信治, 塚本 純久, 後藤 秀実, 長谷 智, 丹羽 康正, 水谷 恵至, 鈴木 隆史, 小原 淳, 石原 明良, 中澤 三郎, 芳野 ...
1990 年 87 巻 5 号 p.
1146-1153
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃癌の粘膜下層以下における水平方向への拡がり(LCa)を診断する目的で, 外科的に切除された胃癌64例を対象として, 術後固定標本に水浸下で超音波内視鏡を実施し, 病理組織像と対比した. 粘膜下層以下に浸潤する癌は, 非病変部の粘膜下層に比して, 低エコー領域として描出された. この領域の水平方向への拡がり (LU) は, 線維化領域あるいは癌の拡がりを反映していた. 癌巣内の消化性潰瘍に特徴的なエコー像 (名大2内分類: Type II-1, II-2, UL) を呈する22例では, 粘膜下層内におけるLCa/LUは0.06±0.15(平均値±標準偏差), 固有筋層以下におけるLCa/LUは0であつた. これら以外の像 (同分類: Type II-3, III, A, B) を呈する30例では, LCaはLUにほぼ等しかつた.
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木田 実, 田中 孝, 服部 文雄, 近藤 清治, 原田 亘, 高木 敦司, 伊東 和樹, 松本 春樹, 小島 紘一, 谷山 清己, 鈴木 ...
1990 年 87 巻 5 号 p.
1154-1159
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
当院で過去5年間に得られた大腸腺腫620病変 (Is型509病変, Ip型83病変, 扁平型28病変) と早期癌113病変 (Is型51病変, Ip型39病変, 扁平型23病変) を対象とし, 各型の組織像を比較した. Is型, Ip型ポリープの組織像はその90%以上が腺腫と腺腫内癌で占められていたのに対し, 扁平型隆起ではm癌, sm癌の頻度が計25.5%と有意に高かつた. 扁平型隆起は10mm未満でも癌比率は26.3%と他型に比し有意に高値であり, 10mm以上ではすべて癌であつた. 扁平型早期癌の大腸内分布は他型と比較して進行癌に近似しており, 各部位の癌比率はすべて高く, 他型と異なる傾向を示した. 以上扁平型早期癌は他型早期癌とは異なつた発癌•進展過程の関与が示唆された.
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竹村 清一, 小原 剛, 岡村 毅与志
1990 年 87 巻 5 号 p.
1160-1167
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大腸癌92例を対象に human epidermal growth factor (h-EGF: ヒト上皮増殖因子) の発現について免疫組織化学的に検討した. 早期癌症例ではEGF陽性率28.6%(6/28), 進行癌症例では76.1%(54/71) と進行癌症例で有意に高率であつた. 肉眼型では2•3•4型など浸潤増殖傾向の強いものが, 0•1型などの限局型に比べ陽性率が有意に高かつた. また, 癌表層部に比較して先進浸潤部における腫瘍細胞のEGF発現率•発現量ともに高い傾向がみられた. 腫瘍径も大きな症例で陽性率が高かつた. 組織型では分化型腺癌のEGF陽性率70.2%(52/74) と低分化型腺癌の16.7% (1/6) よりも有意に高かつた. また, 6カ月以内に死亡した予後不良例ではEGF強陽性発現例が多くみられた. 以上より, 大腸癌におけるEGF発現の様相は腫瘍の進行度•深部浸潤傾向•分化度の程度•予後とかなり密接な関係があり, 癌の悪性度を示すひとつの指標になりうると考えられる.
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長嶺 竹明, 齋藤 修一, 山田 昇司, 金古 美恵子, 植原 政弘, 竹沢 二郎, 小林 節雄, 大泉 純, 飯沼 和三
1990 年 87 巻 5 号 p.
1168-1174
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種肝疾患で血中 biotin, biotinidase 活性を測定し,その臨床的意義について検討した.
血清 biotin(ng/ml)は非代償性肝硬変(1.67±0.55), 肝細胞癌(1.48±0.63), 劇症肝炎(1.20±0.45) では, 対照群 (2.47±1.02), 急性肝炎 (2.83±1.66) および自己免疫性肝炎 (5.45±2.28) に比べ有意の低値を示した.
血清 biotinidase 活性 (nmol/min/mg) は慢性肝炎 (2.61±1.38), 代償性肝硬変 (2.84±1.20), 非代償性肝硬変 (1.38±0.69), 劇症肝炎 (2.10±1.74), 肝細胞癌 (1.87±1.02), 自己免疫性肝炎 (2.76±1.40), PBC (2.49±1.50) となり, 急性肝炎 (4.39±1.09) やアルコール性肝障害 (3.53±1.80) を除くと対照群 (4.48±0.84) に比べ有意の低下をみとめた. また biotinidase 活性は albumin, ChE, PT, T. Chol と各々有意の正の相関を示したことから, 肝障害の重症度の指標として有用であると思われた.
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柿坂 明俊, 葛西 真一, 稲垣 光裕, 鈴木 康之, 山本 哲, 水戸 廸郎
1990 年 87 巻 5 号 p.
1175-1182
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
阻血性急性肝障害に対する cyclic AMPの効果を明らかにするため, Dibutyryl cyclic AMP (DBcAMP) を肝障害犬に投与し, その有用性について検討した. 門脈•体循環バイパスを設け, 肝門部の90分間一括遮断により肝障害モデルを作成. 実験群では遮断3時間前より実験終了時までDBcAMP 0.1mg/kg/minを, 対照群は生理食塩水を点滴静注した. 生存率は対照群16%, 実験群は88%であつた. 実験中の血圧の変動は生存群では安定していた. 血液生化学検査, 肝組織血流量及び肝組織ATP値は, 実験群で良好な結果を示した. 肝組織所見は対照群では壊死像を呈していたが, 実験群は循環障害の像を示していた. 以上より, DBcAMPは阻血性急性肝障害に有効であつた.
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Methyl Tertiary Butyl Ether による胆石溶解に関する実験的検討
山下 直宏
1990 年 87 巻 5 号 p.
1183-1190
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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数種のコレステロール胆石 (コ系石) 溶解剤によるコレステロール1水和物 (ChM) 溶解速度を比較検討した. また胆汁の97%を占める水分がコ系石溶解効果に及ぼす影響を調べ, さらに溶解剤として新しい投与剤形である emulsion を調製しその溶解能を検討した. 臨床的に使用されている溶解剤の中で, methyl tertiary butyl ether (MTBE) は極めて高いChM溶解速度を示した. 非水溶性である溶解剤のコ系石溶解効果は水分により有意に低下したが, 乳化剤添加はこの溶解効果の低下を有意に抑えた. 一方, emulsion によるChM溶解速度は低値であつたが, その溶解効果は水分の影響をうけにくいと推定され胆石溶解剤の投与剤形として有用と考えられた.
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剖検例による検討
木村 理, 黒田 慧, 森岡 恭彦
1990 年 87 巻 5 号 p.
1191-1202
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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高齢者主体の剖検例800例を用い, 膵内分泌腫瘍について臨床病理学的検討を行つた. その結果, 1) 24例25病変に内分泌腫瘍あるいは類似病変が認められた. このうち20例, 20病変は腫瘍と判定され, 5例5病変は過形成と判定された. 2) 腫瘍の頻度は全割群では10% (6/60), 3切片群では1.6% (12/738) であつた. 800例中肉眼的に確認できた内分泌腫瘍は1例 (0.13%) であつた. 3) 腫瘍の大きさは, 3000μm以下が85%を占めた. 過形成性病変の大きさはいずれも1000μm以下であつた. 4) これらはいずれもホルモン過剰症状を示さないものであつた. 5) 免疫組織化学的検索では, 腫瘍すべてにホルモン産生がみられ, 14病変 (70%) に複数のホルモン産生が証明された. 5) 膵管あるいは腺管構造が腫瘍あるいは過形成巣内あるいは辺縁にみられたのはそれぞれ12病変(60%), 1病変 (20%) であつた. 6) 腫瘍3病変 (15%) の周囲には500μm以上のラ島が認められ, さらに腫瘍5病変 (25%), 過形成3病変(60%) の周囲に, mean+2SD以上の径を有するラ島がみられた. 以上より, 膵内分泌腫瘍は高頻度に存在し, しかもその大多数はホルモン産生能を有してもその過剰症状を示さない無症候性腫瘍に留まると考えられた. また, 内分泌腫瘍あるいは過形成のなかには膵管上皮内の, 多分化能を有する幹細胞を発生母地にするものがあること, さらにラ島の増生を促す何らかの因子が介在する可能性があることが示唆された.
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微細粒子 (microsphere) を用いた実験的慢性膵炎モデルでの検討
佐々木 幸則, 小針 雅男, 中村 隆司, 松野 正紀
1990 年 87 巻 5 号 p.
1203-1211
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵管分枝閉塞による慢性膵炎の初期像を検索する目的で, 慢性膵瘻犬5頭を用いて膵管分枝に微細粒子を注入して慢性膵炎モデルを作成し, 膵内外分泌機能と形態像を経時的に観察した. セクレチン刺激下に分取した純粋膵液の液量, 重炭酸イオン排出量, アミラーゼ排出量は経時的に有意に低下し, 粘稠度はヘキソサミン濃度とともに有意に上昇した. また, 組織学的にも慢性膵炎が確認された. 以上より, 膵管分枝閉塞による慢性膵炎モデルでの膵炎進行の機序としては, 膵液量減少に伴う膵液の濃縮とヘキソサミン濃度の上昇による膵液粘稠度の増大が関与するものと考えられた.
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野中 敦, 真辺 忠夫, 京極 高久, 田村 耕一郎, 戸部 隆吉
1990 年 87 巻 5 号 p.
1212-1216
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
マウス, セルレイン浮腫性軽症膵炎並びにエチオニン重症膵炎モデルにおいて, 合成フリーラジカル消去剤(CV-3611)の投与により, 膵病態の改善効果からフリーラジカル関与の可能性と急性膵炎の発症進展機序について検討した. 両モデルにおいて, 血中へのアミラーゼの逸脱が有意に抑制され, 又, 軽症膵炎での膵浮腫, 重症膵炎での生存率が有意に改善されたことより, 血中消失時間が長く, 生体膜親和性, 細胞内移行性のよい消去剤の有用性が示された. このことから, 浮腫性膵炎では血管内皮好中球相互作用によるラジカル反応が又出血壊死性膵炎では細胞内ラジカル反応がCV-3611により抑制された可能性が示され, 今後の膵炎治療において, フリーラジカル消去剤は, 有用であろうと考えられた.
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林 繁和, 加納 潤一, 古川 剛, 加賀 克宏, 宮田 章弘, 伊藤 彰浩, 広瀬 善道
1990 年 87 巻 5 号 p.
1217-1222
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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足立 靖, 矢花 剛, 郡 登茂子, 一柳 伸吾, 石田 禎夫, 坂本 裕史, 杉山 敏郎, 近藤 吉宏, 菅 充生, 谷内 昭
1990 年 87 巻 5 号 p.
1223-1227
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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野ツ俣 和夫, 土谷 春仁, 山崎 忠男, 伊藤 慎芳, 桜井 幸弘, 池上 文詔, 多賀須 幸男, 大西 忠博, 山口 和克
1990 年 87 巻 5 号 p.
1228-1231
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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自験例と本邦報告大腸海綿状血管腫51例の文献的考察
斉藤 康晴, 成宮 靖二, 青木 裕彦, 水野 光邦, 樋口 彰彦, 小山 茂樹, 中条 忍, 馬場 忠雄, 細田 四郎
1990 年 87 巻 5 号 p.
1232-1235
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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本邦報告52例の集計
国枝 恒治, 奥平 勝, 野中 恒幸, 谷 和宏, 仲野 俊成, 平松 新, 水野 孝子, 塩崎 安子, 鮫島 美子
1990 年 87 巻 5 号 p.
1236-1242
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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梶浦 謙, 藤木 和彦, 山田 昌弘, 武永 強, 高清水 一善, 田村 裕子, 山本 信彦, 佐々部 正孝, 藤本 秀明, 中村 理恵子, ...
1990 年 87 巻 5 号 p.
1243-1247
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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フリー
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木曽 真一, 柏原 赳, 大木 篤, 藤森 永二郎, 川上 房男, 多胡 基, 奥野 巍一, 小川 隆平, 椿本 光男, 橋本 博美, 中塚 ...
1990 年 87 巻 5 号 p.
1248-1252
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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田畑 知己, 宇佐美 真, 大宮 英寿, 大柳 治正, 斎藤 洋一, 上田 耕蔵, 冨田 一成
1990 年 87 巻 5 号 p.
1253-1257
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
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本邦報告例の集計を含めて
田中 明隆, 尾関 規重, 高橋 佳嗣, 伊藤 重範, 高田 善介, 鈴井 勝也, 品川 長夫, 由良 二郎, 宮治 眞, 塚田 勝比古, ...
1990 年 87 巻 5 号 p.
1258-1262
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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吉田 行哉, 橋本 光代, 早川 和雄, 福地 創太郎, 加藤 勝, 菅野 健太郎
1990 年 87 巻 5 号 p.
1263
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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西野 裕二, 久保 俊彰, 東郷 杏一, 竹内 一浩, 柳川 憲一, 金 義哲, 佐竹 克介, 梅山 馨
1990 年 87 巻 5 号 p.
1264
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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