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斉藤 明彦, 渡辺 能行, 浅香 正博, 宮崎 保, 川井 啓市
1990 年 87 巻 9 号 p.
1805-1808
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
北海道における消化性潰瘍の記述疫学的分布について, 北海道内の5つの病院の消化性潰瘍患者の内視鏡検査資料を分析した. 胃潰瘍/十二指腸潰瘍比は, 北海道全体では3.24であり, 胃潰瘍が高率であつた. 病院の所在地別の胃潰瘍/十二指腸潰瘍比は, 札幌市2.26, 札幌市以外5.86と統計学的に有意(P<0.001)な差が認められ, 胃潰瘍の比率が高いという北海道の特徴は札幌市以外の病院に負うところが大きかつた. このような差は, ライフ•スタイルなどの環境要因の違いと関連した地域差によるのか, 解析対象の標本数が小さく層化無作為抽出による対象でないことによる偏りの影響を含めた解析方法のためなのか, 今後更に検討を要すると考える.
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岩井 彰, 伊藤 誠, 横山 善文, 安江 直二, 今井 新平, 城 卓志, 松佐古 敬, 遠藤 一夫, 川合 孝, 松葉 周三, 加藤 直 ...
1990 年 87 巻 9 号 p.
1809-1814
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
フリーラジカルによつて惹起される胃粘膜の虚血•再灌流傷害は superoxide dismutase (SOD) の外来性投与によつて抑制されることが証明されている. しかし, 虚血胃粘膜における内因性SODの動態は不明で, 本研究ではラットに脱血虚血のみを与えた群と虚血後脱血血液を再輸血した群で胃粘膜内SOD活性を測定した. 両群の胃体部, 前庭部粘膜内SOD活性はいずれも対照群に比して有意に増加した. しかし, この増加は xanthine oxidase 阻害剤の allopurinol の前投与で抑制された. 以上より, 胃粘膜内SOD活性はフリーラジカル産生にともない増加すると考えられた. また, フリーラジカルは虚血期にも産生されうると推測された.
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伊藤 重二, 郡 大裕, 加藤 卓次, 鈴木 邦夫, 藤木 典生
1990 年 87 巻 9 号 p.
1815-1821
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Campylobacter pylori (以下C. pylori) の持つ urease 活性に注目し, urea-urease-NH
3系と萎縮性胃炎との関連性について検討した. 基礎検討では, C. pylori の urease 活性は至適pH 5前後であつた. この条件で, 38例の胃生検組織の urease 活性を測定し, C. pylori の有無と比較検討した. その結果, C. pylori 検出率は, sensitivity 86.7%, specificity 87.0%であつた. また, C. pylori 陽性生検組織の urease 活性は, 平均3.69mIU/mg protein, NH
3産生能は平均0.0218μmole/minで, 胃粘膜障害を起こす濃度に十分達すると考えられた. さらに, 腺の破壊再生が活発な粘膜で urease 活性が高く, urea-urease-NH
3系と胃粘膜の萎縮形成過程との間に関連性が示唆された.
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蘆田 知史, 綾部 時芳, 村上 雅則, 垂石 正樹, 岡野 重幸, 竹村 清一, 小原 剛, 北守 茂, 柴田 好, 岡村 毅與志, 並木 ...
1990 年 87 巻 9 号 p.
1822-1828
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Two color flow cytometry により, UCにおける末梢血および大腸粘膜内リンパ球 subsets の解析を行つた. その結果, CD3, CD4, CD8, CD20, CD56, およびHLA-DR (+) 細胞の割合は, 末梢血あるいは大腸粘膜内のいずれにおいても疾患特異的と考えられる変化は認められなかつた. しかし, これらの割合は, 粘膜局所における炎症の程度に応じた差が認められた. 著者らの症例では, 内視鏡的あるいは組織病理学的に炎症の強い粘膜内において, HLA-DR (+) の割合が大きかつた. また, 炎症所見の存在する粘膜内においては, 相対的にCD4の増加が認められた. 一方, 大腸粘膜内に存在するB cell のDR抗原発現量は, 末梢血B cell に比較し増加していることが考えられた. これらの結果は, UCにおける炎症の場においてB cell の関与が大きいことを示唆している.
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加藤 活大, 西村 大作, 佐野 博, 片田 直幸, 杉本 吉行, 野場 広子, 芳野 充比古, 佐守 友康, 三谷 幸生, 武市 政之
1990 年 87 巻 9 号 p.
1829-1836
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
アルコール性肝障害271例の長期予後を検討した. 生命予後は肝硬変が最も悪かつた (10年生存率: 23.8%). とくに多飲酒を続けた肝硬変は消化管出血死が多いことを反映して, 予後不良であつた. 肝細胞癌発生は肝硬変にほぼ限られ, その5年発生率は16.3%であり, 禁酒群の方が高い発生率を示した. 多飲酒継続の非硬変66例には反復肝生検を行い, 平均4年弱の経過で肝硬変移行率は30.3%であつた. 以上より, 多飲酒継続はアルコール性肝障害を進展させ, 生命予後の悪化をもたらすといえる. 肝硬変のみの検討でも禁酒は生命予後を全体的に改善したが, 肝細胞癌発生の危険性も高めるので, 肝硬変に移行する前に禁酒に導くことが大切である.
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大元 謙治, 山本 晋一郎, 井手口 清治, 山本 亮輔, 高取 敬子, 大海 庸世, 日野 一成, 平野 寛
1990 年 87 巻 9 号 p.
1837-1845
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患52例について Thrombin-antithrombin III complex (TAT) と Plasmin-α
2plasmin inhibitor complex(PIC)を測定した. 慢性肝疾患のうち肝細胞癌のみで, TATの有意な上昇を認めた. 肝細胞癌では腫瘍径が大きく, 門脈腫瘍塞栓の高度な例ほどTATとPICは高値であつた. 肝動脈塞栓術 (TAE) 前後では, TAE 1日後にTATとPICは共に有意な上昇を示し, 以後経時的に低下し, 4週後には前値に復する傾向を認めた. 高度肝障害例と播種性血管内凝固症候群 (DIC) 例との間で, プロトロンビン時間, FDP, FM test とTATおよびPICに有意差を認めた. 厚生省DIC研究班の診断基準ではDIC 5例中3例しかDICと判定されなかつたが, TATはDIC全例で30ng/ml以上の異常高値を示した.
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柴田 実, 上野 幸久, 吉田 直哉, 山室 渡, 久保 修一, 島田 長樹, 岡田 正, 佐藤 源一郎, 羽鳥 知樹, 小野塚 靖, 寺内 ...
1990 年 87 巻 9 号 p.
1846-1850
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性胆汁性肝硬変 (PBC) の男性10例と女性23例を比較し, 性差の影響を検討した. 年齢および血液検査成績には男女差はなく, 自己免疫異常に関連した症状 (Sicca症候群, Raynaud 症候群, 関節痛) は女性に高率で, 男性には1例もなかつた. 無症候性PBCの比率および Scheuer II期以下の肝組織は男性に多かつた. 臨床経過は男性は64カ月間の平均観察期間で死亡したり症候性に移行したものはなく, 組織学的に悪化したものもなかつたが, 女性は47カ月の平均観察期間で3例が死亡し組織学的にも臨床的にも進行したものが多かつた. 以上より, 男性PBCは血液検査成績は女性と類似したが, 臨床的には無自覚で進行性に乏しい予後良好例が多いと考えられた.
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藤瀬 清隆, 永森 静志, 蓮村 哲, 本間 定, 藤多 和信, 筋野 甫, 松浦 知和, 清水 恵一郎, 新谷 稔, 大野 典也, 亀田 ...
1990 年 87 巻 9 号 p.
1851-1855
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
著者らがこれまでにヒト肝細胞癌材料より樹立しえた7株の継代培養細胞株の中, HBs抗原陽性肝細胞癌由来のJHH-7株について, サザンブロットハイブリダイゼーション法を用い, 細胞中のHBVゲノムの組込みについて解析を行つた. Hind III処理にてJHH-7株細胞DNAでは, 6.0と2.5kbの位置にバンドがみられ, 2カ所においてHBVゲノムの組込みが認められた. また, 組込まれているHBVゲノムは, 制限酵素処理にて作成した断片HBV-DNAを用いた検索により, XからCにかけての領域の不完全な組込みであることが示された.
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多田 康二, 赤松 興一, 今野 敏伸, 太田 康幸
1990 年 87 巻 9 号 p.
1856-1863
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
劇症肝炎の9例について, 黄疸増悪期の血清および胆汁のビリルビン分画を Blanckaert らの方法に従い測定するとともに, 急性肝炎10例, 閉塞性黄疸6例についても同様の検討を行い比較を行つた.
劇症肝炎患者では血清 Bilirubin monoconjugate (BMC) 濃度の著しい上昇が観察されるとともに, 血清中のC-12BMC/C-8BMC比は劇症肝炎の2.10±0.21に対して, 急性肝炎では1.05±0.34, 閉塞性黄疸では0.81±0.08と劇症肝炎で有意に高値であつた. 急性肝炎で血清ビリルビン高値に加え, プロトロンビン時間が40%以下で, 劇症肝炎への移行が心配されるような重症な症例でも, C-12BMC/C-8BMC比は劇症肝炎ほど高値にはならず, 劇症肝炎と急性肝炎の鑑別診断が発病早期に可能と考えられた. 血清C-12BMC/C-8BMC比はヘパプラスチンテストと有意な負の相関を示し, 肝細胞障害の強さの指標となり得ると考えられる.
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肝静脈血の選択的活性炭吸着の併用
具 英成, 斉藤 正樹, 藤原 澄夫, 岩崎 武, 西山 裕康, 富永 正寛, 前川 陽子, 笠原 宏, 大柳 治正, 佐古 正雄, 斉藤 ...
1990 年 87 巻 9 号 p.
1864-1872
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Adriamycin (ADR) の大量動注時に, 肝静脈血を分離し選択的に活性炭吸着 (DHP) する方法を用い進行肝細胞癌3例を治療した. 5分間の持続動注 (100~150mg/m
2) と並行して約20分間のDHPを施行し, その間のADR濃度を吸着筒の前後及び末梢血で測定した. また体外循環及びADRによる副作用と抗腫瘍効果を検討した. 3例の末梢最高濃度は2μg/ml以下に留まり, 吸着率は各々, 31.1, 72.3及び51.2%であつた. 治療後2日目をピークにGOT, GPTの上昇及び血球成分の減少を来したが一過性であつた. 治療前に汎血球減少症を認めた肝硬変例でWBCが750まで低下したが3例とも重篤な副作用を認めず良好な腫瘍直接効果が得られ, 本法の有用性が示された.
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金子 宏, 中田 耕一, 原田 昌俊, 祖父江 元, 満間 照典, 森瀬 公友
1990 年 87 巻 9 号 p.
1873-1877
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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都築 義和, 芹澤 宏, 三浦 総一郎, 黒瀬 巌, 末松 誠, 日比 紀文, 石井 裕正, 田代 征夫, 小平 進, 土屋 雅春
1990 年 87 巻 9 号 p.
1878-1882
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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本邦報告例27例の検討
岩田 章裕, 勝見 康平, 中沢 貴宏, 小崎 哲資, 竹島 彰彦, 坂 義満, 岸本 明比古, 加藤 實, 伊藤 誠, 武内 俊彦
1990 年 87 巻 9 号 p.
1883-1887
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小栗 光, 卜部 健, 米島 学, 稲垣 豊, 金子 周一, 鵜浦 雅志, 小林 健一, 寺田 忠史, 中沼 安二
1990 年 87 巻 9 号 p.
1888-1892
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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貝瀬 満, 橋本 国男, 田村 英俊, 田中 重之, 鈴木 昭文, 小林 義隆, 西村 誠, 並木 真生
1990 年 87 巻 9 号 p.
1893-1896
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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水野 千佳, 尤 芳才, 上田 容生, 長尾 宗彦, 窪田 伸三, 立岩 誠, 入江 一彦, 前田 盛
1990 年 87 巻 9 号 p.
1897-1901
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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後藤 裕夫, 今枝 孟義, 山脇 義晴, 関 松蔵, 曽根 康博, 土井 偉誉, 杉山 保幸, 佐治 重豊, 下川 邦泰, 池田 庸子, 内 ...
1990 年 87 巻 9 号 p.
1902-1906
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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渡 淳, 小林 正文, 野村 武夫
1990 年 87 巻 9 号 p.
1907
発行日: 1990年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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