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沖田 極, 黒川 典枝
1999 年 96 巻 3 号 p.
251-258
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌症例の著しい増加はこの疾患の診断学を大い進歩させてきた.そして,内科領域ではTAE,PEI,そして外科領域では肝亜区域切除といった世界に誇りうる新しい治療法が開発され,予後の著しい改善が計られるようになった.本稿では,特に小肝細胞癌に焦点をあて最近の診断法の進歩やそれに基づいて予後がどのように改善されてきたかを分かり易く概説すること目的とした.
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崔 仁煥, 有山 襄
1999 年 96 巻 3 号 p.
259-265
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
MRCPは非侵襲的に膵胆管像を描出できる画期的な画像診断法であり,診断的ERCPにかわる新たな検査法として有用性を発揮している.MRCPは,閉塞部より上流の膵胆管像や炎症にともなう滲出液の拡がりなど,ERCPでは得られない多くの情報を提供する.そのため,胆膵疾患に対するより深い理解と,詳細な病態の把握にもとづく診断および治療計画を可能にし,ERCPによる合併症の減少にも貢献する.また,外来で簡便かつ安全に施行できるため,胆膵疾患の早期診断や経過観察にも有用性が高い.MRI断層像と組み合わせることにより,さらに精密な診断も可能となる.今後,空間分解能の向上とともにますます発展,普及するものと考えられる.
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織内 竜生, 樋渡 信夫, 桂島 良子, 野口 光徳, 木内 喜孝, 豊田 隆謙
1999 年 96 巻 3 号 p.
266-272
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
炎症性腸疾患と妊娠・出産との相互関係について検討した.対象は47例,70回の潰瘍性大腸炎(UC)合併妊娠例と12例,18回のクローン病(CD)合併妊娠例で,以下の結論を得た.(1)妊娠のUCへの影響は少ない.(2)UCでは1年以上の緩解継続後の妊娠が,妊娠中の再燃率や再燃時の活動度が低く望ましい.(3)UCの活動期妊娠例や妊娠中発症例は増悪する例が多い.(4)重症化例を除き,UCの妊娠経過への影響は少ない.(5)妊娠がCDの再燃因子となる可能性は低い.(6)妊娠期間中,緩解を継続したCDの妊娠経過への影響は少ない.(7)salazosulfapyridine,corticosteroidsの胎児や妊娠への影響は少ない.
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安部 潔
1999 年 96 巻 3 号 p.
273-279
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
Non-ulcer dyspepsia(NUD)例35例(
H.p.陽性24例,
H.p.陰性11例)と
Helicobacter pylori(
H.p.)陽性Non-NUD例10例で流動食および固形食排出能への
H.p.の影響を
13C-尿素呼気法の結果から検討した.
13C-尿素呼気法から得られたδ
13C-AUCから間接的にウレアーゼ活性の強さを高,中,低群の3群に分類したところ,流動食排出は3群間に差はなく,固形食排出で高δ
13C-AUC群は低δ
13C-AUC群より有意に低下していた(9.9±3.9 vs 5.5±2.3,p<0.05).高δ
13C-AUC群の除菌で固形食排出は改善し(5.7±3.9 vs 10.2±4.5,p<0.05),自覚症状も同様の結果であった.以上より,
H.p.陽性NUD,特に,高δ
13C-AUC群で,除菌療法がその症状および胃運動機能の改善に有効であると考えられる.
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田近 正洋, 加藤 則廣, 松下 知路, 内藤 智雄, 永木 正仁, 加藤 昌彦, 大西 弘生, 千賀 省始, 鬼束 惇義, 下川 邦泰, ...
1999 年 96 巻 3 号 p.
280-285
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
患者は67歳,男性.主訴は食欲不振,胸痛.平成7年11月下旬より胸部の鈍痛が出現.翌年には食欲不振が出現したため近医にて上部消化管内視鏡検査を施行,中部食道に易出血性の隆起性病変を認めたため,当科へ紹介入院となる.術前検査で深達度がsmのO-I型食道表在癌と口側へ広がるO-IIb癌と診断,また胃窮窿部には中心に潰瘍を有する巨大な粘膜下腫瘍を合併していた.いずれの病理組織も中分化扁平上皮癌であったため,食道表在癌の胃壁内転移と診断,胃病変からの出血の危険性が高いため治療として胃体上部ならび中部食道亜全摘出を選択した.食道の主病変は28×15mm大のO-I癌,また胃病変は115×95×18mm大の粘膜下腫瘍で,肝臓,横隔膜へ直接浸潤し,sm3,n2(+),M1,Pl1,Stage IVであった.組織診断では食道と胃病変にかけて粘膜下層に癌細胞が散在していたが連続性は確認できなかった.食道表在癌の胃への壁内転移の報告は本例を含め10例に過ぎない.
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遠藤 幹也, 佐久間 和弘, 真島 雄一, 菅家 一成, 大塚 幸夫, 冨田 豊, 鈴木 保永, 島田 忠人, 平石 秀幸, 菅谷 仁, 佐 ...
1999 年 96 巻 3 号 p.
286-290
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は22歳・男性.胃体から前庭部前壁を中心に発赤し粘液の付着をともなう絨毛状に増殖した隆起性病変の集簇を認め,内視鏡的粘膜切除にて癌を合併した胃型腺腫と診断した.病変は広範であり胃全摘術を施行した.胃型腺腫は胃腺腫の中ではまれであるが,発育経過や癌化など未解決の問題も残されており,診断・治療は慎重に行わなければならない.本症例は胃型腺腫の経過・治療を考える上で興味ある症例と考えられた.
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法水 淳, 片山 和宏, 萩原 秀紀, 肱岡 泰三, 笠原 彰紀, 佐々木 裕, 林 紀夫, 房本 英之, 鎌田 武信
1999 年 96 巻 3 号 p.
291-294
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は51歳,大酒家の男性.24年前に胃切除およびBillroth I法による再建術受けた.8月19日昼食後より腹痛出現,嘔吐も頻回となり当院受診.腹部CT検査にてニボー像および小腸の著明な拡張像認め,イレウスと診断,保存的治療にて経過観察するも,腹痛増強したため,緊急手術となった.手術は小腸切開,食物塊摘出術が施行された.今回我々は比較的まれな疾患である食餌性イレウスの1例を経験したので文献的考察をまじえて報告する.
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澤 隆文, 大原 寛之, 久保 啓吾, 坂口 洋司, 久保 謹平, 磯本 一, 竹島 史直, 大曲 勝久, 水田 陽平, 村瀬 邦彦, 河野 ...
1999 年 96 巻 3 号 p.
295-299
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は67歳男性で右季肋部痛を主訴に来院.好酸球増多と腹部エコーで肝に辺縁不整で内部エコー不均一な腫瘤を認めたため精査入院.腹部CT,MRI,血管造影検査で肝内胆管癌が疑われ手術を施行.術中穿刺細胞診で悪性所見はなく,多数の好酸球浸潤とCharcot-Leyden結晶がみられた.寄生虫学的検査で犬回虫による内臓幼虫移行症と診断し,治療によって腫瘤や好酸球増多は消失した.画像診断上非典型例でまれと考え報告した.
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粉川 敦史, 山村 晴男, 前田 純江, 古河 哲哉, 山本 和夫, 池内 孝夫
1999 年 96 巻 3 号 p.
300-304
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は77歳男性,腰背部を中心に紅斑,丘疹が出現し,当院皮膚科にて腫瘍随伴性皮膚病変の一つとされる多形慢性痒疹と診断された.内臓悪性疾患の合併の検索目的で当科転科後,精査により,無黄疸の中部胆管癌が発見され,放射線治療が施行された.放射線治療後に皮膚病変は軽快し,現在まで黄疸は認めず,経過は良好である.多形慢性痒疹に悪性腫瘍を合併することは広く知られているが,実際の報告例は少なく,貴重な症例と考え報告する.
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野田 佳子, 清水 一郎, 筒井 朱美, 多田津 昌也, 六車 直樹, 堀江 貴浩, 岡久 稔也, 柴田 啓志, 岡村 誠介, 西條 哲也, ...
1999 年 96 巻 3 号 p.
305-309
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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良性反復性肝内胆汁うっ滞(BRIC)は,反復する黄疸発作にもかかわらず,永続的な肝病変を残すことのない予後良好な胆汁うっ滞症である.3割前後に胆石を合併し,膵炎の併発も報告されているが,胆石非合併例における慢性膵炎合併の報告は認めない.今回,総ビリルビンの上昇に続いて血中アミラーゼが上昇した胆石をともなわない慢性膵炎合併のBRICの1例を経験したので報告する.
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尾関 豊, 立山 健一郎, 飯塚 篤
1999 年 96 巻 3 号 p.
310-313
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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膵および所属リンパ節に膵癌では過去に報告のないサルコイド反応と思われる類上皮肉芽腫を認めたので報告する.症例は70歳の女性.血清アミラーゼ高値のためERCPを行ったところ,主膵管の閉塞を認め,手術を施行した.切除標本の検索で膵頭部に1.1cm大の腫瘤を認め,組織学的に低分化型管状腺癌であった.主膵管は閉塞し,随伴膵炎のある上流側膵および所属リンパ節に多数のサルコイド様類上皮肉芽腫を認めた.
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保田 尚邦, 大橋 祐介, 榎並 延太, 平山 伸, 鈴木 知明, 荒井 泰道, 草野 満夫
1999 年 96 巻 3 号 p.
314-316
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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鳥居 明, 柳澤 正敏, 草野 元康
1999 年 96 巻 3 号 p.
318-319
発行日: 1999/03/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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