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石井 裕正, 横山 裕一, 堀江 義則
2000 年 97 巻 7 号 p.
877-887
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
わが国のアルコール飲料の消費量は依然として増加傾向を示しており,それにともないアルコール性肝障害も日常臨床上,ウイルス性肝障害に次いで重要な疾患として位置付けられる.本稿ではアルコール性肝障害の発症機序に関する最近の知見を,特にアルコール代謝との関係から論じ,さらにアルコールによる肝細胞死を特にアポトーシスの立場から考察を加える.また最近行われた全国規模の調査から疫学的にみたアルコール性肝障害の実態についても言及したい.
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堀井 明
2000 年 97 巻 7 号 p.
888-894
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
膵癌は悪性腫瘍の中でも最も予後が悪い.癌自体が非常にagressiveで転移・浸潤が早期におこる事,早期発見が難しいこと,手術が難しいこと,化学療法や放射線療法がほとんど効かないことなどがその原因であろう.早期発見・早期切除のみが膵癌患者を救う手だてであるが,切除し得た場合でも6人に1人しか5年生存できないのが膵癌診療の難しさである.早期発見のためには発がんメカニズムを理解することが必要である.膵の発がん過程には数多くの遺伝子異常が関与していると考えられ,このことは,同時に,多数の発がん経路が存在することも示唆している.本稿では,現在までに明らかになってきた膵癌における遺伝子異常を紹介し,遺伝子診療への応用の可能性を考察する.
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工藤 通明, 内田 聡, 平沢 敏昭
2000 年 97 巻 7 号 p.
895-899
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は65歳,女性.人間ドックの精査で上部消化管内視鏡検査施行したところ,胃内に運動性のある虫体を発見し,内視鏡下に三ツ又鉗子で把持し摘出した.回虫症は近年増加しているといわれているが,過去11年間の本邦報告例は55例であった.これに自験例を含め,治療法別に手術的治療,駆虫剤投与,内視鏡的治療に分けて,主訴と診断名,患者の居住地,治療法,摘出虫体の個体数と虫卵検査の結果について考察した.
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泉田 知子, 芹澤 宏, 渡辺 憲明, 熊谷 直樹, 濱田 慶城, 浅沼 史樹, 亀山 香織, 土本 寛二, 石井 裕正
2000 年 97 巻 7 号 p.
900-904
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は75歳女性.肺梗塞で入院中,内視鏡検査にて胃体下部前壁に径5cm大のdelleをともなう表面平滑な粘膜下腫瘍病変が認められたが,自覚症状がなく,経過観察とされた.2年6カ月後心窩部痛,頻回の嘔吐が出現し,胃体部腫瘍の有茎性増大,十二指腸内への嵌頓が確認された.生検で腫瘍細胞は認められなかったが,腹部CT,MRI,血管造影にて悪性腫瘍が疑われ胃部分切除術が施行された.免疫組織化学を含む病理組織学的所見からuncommitted typeのmalignant gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.
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中村 浩之, 小林 文徳, 板倉 勝, 近藤 泰理, 白石 光一, 松崎 松平, 加藤 優子
2000 年 97 巻 7 号 p.
905-909
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は36歳男性.黒色便,貧血を主訴に入院した.内視鏡および低緊張性十二指腸造影でVater乳頭に接して隆起性病変が認められた.超音波内視鏡では粘膜下に境界明瞭な低エコーの腫瘍が認められたが,十二指腸や膵への直接浸潤,リンパ節転移などの悪性所見と膵管胆管拡張は認められなかった.良性粘膜下腫瘍と術前診断し開腹下に腫瘍核出術を施行,病理組織診断はgangliocytic paragangliomaであった.
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山本 章二朗, 宮田 義史, 加藤 順也, 蓮池 悟, 井手口 武史, 南 寛之, 堀 剛, 弘野 修一, 林 克裕, 坪内 博仁
2000 年 97 巻 7 号 p.
910-913
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は27歳の女性で,20歳時に直腸炎型潰瘍性大腸炎として発症し,ステロイド,メサラジン治療を受けていた.1999年腹痛,粘血便が出現し,内視鏡検査で直腸,S状結腸に地図状潰瘍を認め,左側大腸炎型へ進展したと考えられた.自他覚症状はベタメサゾン坐薬では改善せず,メサラジン注腸により改善し,地図状潰瘍は瘢痕化した,メサラジン注腸が有効であった1症例を報告した.
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柴田 直美, 榮浪 克也, 垂石 正樹, 山縣 一夫, 竹内 茂, 外川 征史, 吉田 正史, 松本 昭範, 柴田 好, 武田 章三, 小笠 ...
2000 年 97 巻 7 号 p.
914-919
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は52歳,女性.1987年(41歳時)から胃潰瘍で近医通院中である.症状は特に無かったが,1998年8月の検診の胸部X線で異常を認めたため当院初診.両側横隔膜下に遊離ガス像を認め,精査目的で入院となった.上部消化管内視鏡では胃角部小彎の潰瘍廏痕とそれにともなう著明な小彎の短縮,胃内容物の停滞を認めた.その他の腹部精密検査では消化管と腹腔内の交通を示唆する所見は認めなかった,婦人科領域にも異常を認めなかった.特発性気腹症と診断し,外来経過観察中である.現在も依然として腹腔内遊離ガスは認められるが,無症状で経過している.本症例の気腹症の原因として,胃の変形・拡張にともなう胃内圧の上昇が考えられた.
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深田 雅之, 杉坂 宏明, 木島 洋征, 三條 明良, 武隈 吉房, 井上 冬彦, 永山 和男, 田中 照二, 羽田 丈紀, 高尾 良彦, ...
2000 年 97 巻 7 号 p.
920-924
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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潰瘍性大腸炎の49歳男性が巨大結腸症を来して入院した.臨床的に発熱や頻脈,脱水等の中毒症状をともなわず,保存的治療にて緩慢な経過を辿ったため手術のタイミングに苦慮した.結局,第41病日に手術に至ったが,術後合併症のため第64病日に永眠された.そこで大腸切除標本を用いて本例における巨大結腸症の病因,病態について検討した.
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稲田 千鶴子, 吉田 博, 角野 通弘, 森田 幸彦, 下川 泰, 佐田 通夫, 桧垣 浩一, 朽網 留美子
2000 年 97 巻 7 号 p.
925-929
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は63歳女性.1972年に慢性甲状腺炎,1977年に慢性関節リウマチ,1979年には慢性肝炎と診断された.1992年に肝機能障害を認め,γ-グロブリンの上昇,抗核抗体陽性、抗ミトコンドリア抗体および肝炎ウイルスマーカーは陰性,肝生検では慢性活動性肝炎の所見がみられ,自己免疫性肝炎と診断され,ステロイドの投与で改善を認めた.1999年1月上旬より発熱が出現し,ミエロペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体(myeloperoxidase antineutrophil cytoplasmic antibody:MPO-ANCA)陽性,腎生検で細胞性の半月体形成を認め,顕徴鏡的結節性多発動脈炎と診断され,ステロイドの増量により改善した.自己免疫性肝炎にSjögren症候群,慢性甲状腺炎,慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患を合併することは知られているが,結節性多発動脈炎の合併例はまれであるため報告する.
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大場 一生, 大曲 勝久, 奥平 定之, 玻座真 博明, 増田 淳一, 木下 秀樹, 崎村 香苗, 田添 聡, 竹島 史直, 磯本 一, 村 ...
2000 年 97 巻 7 号 p.
930-935
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は56歳,女性,大酒家.黄疸にて加療中に,腹部超音波検査(以下US)にて肝S4に径約4cmの均一な高エコー結節を認めた.単純CTでは周囲よりやや高吸収域を示し,造影CTの動脈相では均一に造影される径約4cmと2cmの2個の腫瘤性病変を認め,MRI T1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を示し,肝動脈造影では同結節に一致してごく淡いstainを認めた.USガイド下経皮的肝生検および剖検にてアルコール性肝硬変に合併した粗大肝過形成結節と診断した.アルコール性肝硬変患者に単発あるいは多発性の肝過形成結節が合併することが報告されているが,その多くは径1cm前後であり,本例のように径4cmに達するものは非常にまれである.その機序の1つとして局所的な動脈血優位の血流異常にともなう肝細胞の過形成が考えられ,結節性病変の成因や分類を考える上で貴重な症例と思われた.
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呉 昌彦, 溝上 裕士, 白石 貴久, 大坪 十四哉, 苅谷 嘉之, 白井 賢二, 中村 浩, 竹山 裕樹, 松岡 健, 草間 博
2000 年 97 巻 7 号 p.
936-940
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は47歳女性.黄疸を主訴に来院.血液検査にてalpha-fetoprotein(AFP)が137816ng/mlと高値を呈し,AFPのレクチン結合性分析ではCon A非結合性分画55%,LCA弱結合性分画68%であった.諸検査により胆管細胞癌と診断され,組織型は明細胞癌であり,特殊染色にてAFP産生腫瘍と考えられた.組織型が明細胞癌を示すAFP産生胆管細胞癌は稀で,貴重な症例と考えられた.
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山科 哲朗, 西堀 恭樹, 田中 育太, 住吉 徹哉, 赤澤 修吾, 新津 洋司郎
2000 年 97 巻 7 号 p.
941-943
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
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木村 健, 山川 達郎, 酒井 義浩, 砂川 正勝, 井戸 健一, 大井 至
2000 年 97 巻 7 号 p.
946-952
発行日: 2000/07/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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