蛔蟲ハ本邦ニ於イテ寄生率高ク, 其ノ宿主ニ及ボス影響モ多種多樣ニシテ, 殊ニ郡部ニ於イテ重要疾患ニ屬ス.
余等ハ三重縣安濃郡地方ニ於ケル蛔蟲症患者小兒 (1-10歳) 50例, 成人 (11歳以上) 100例ニ就キ其ノ訴フル症航及ビ驅除成績ニ就キ統計的觀察ヲナシタリ.
I. 蛔蟲症症状ノ統計的觀察(1) 發熱ニ就イテ38℃ 以上ノ發熱ヲ見タルモノ.
小兒ニ於イテ20例40.0%, 成人ニ於イテ10例10.0%ヲ見タリ.
(2) 一般症状小兒ニ於イテ倦怠23例46.0%, 顔面蒼白15例30.0%, 痙攣5例10.0%ニシテ頭痛・反射亢進ヲ少數例ニ見タリ.
成人ニ於イテ倦怠35例35.0%, 頭痛32例32.0%, 眩暈14例14.0%, 顔面蒼白13例13.0%ニシテ, 神経症状・反射亢進・痙攣ヲ少數例ニ見タリ.
(3) 消化器障礙小兒ニ於イテ腹痛21例42.0%, 嘔氣13例26.0%. 嘔吐15例30.0%, 食慾不振10例10.0%ニシテ, 腹部膨滿・食慾亢進・流涎ヲ少數例ニ見タリ.
成人ニ於イテ痛76例76.0%, 嘔氣38例38.0%, 嘔吐37例37.0%, 食慾不振23例23.0%, 腹部膨滿16例16.0%, 雷鳴・流涎・蠕動亢進・食慾亢進ヲ少數例ニ見タリ. 便通ハ小兒ニ於イテ26例52.0%下痢性ニ傾キ, 15例30.0%正常ナリシモ成人ニ於イテ52例52.0%ハ正常ニシテ, 下痢性トナレル者18例18.0%ナリキ.
II. 驅除成績余等ハ(1)「サントニン」・「アンテニン」併用, (2)海人草・「サントニン」併用, (3)海人草・「サントニン」内服「ドラスミン」注射, (4)海人草・「サントニン」・「ネマトール」併用, (5)海人草・「サントニン」・「アスカリドール」併用ノ5方法ヲ選ビ, 大體ニ於イテ第1方法・第2方法ト順次ニ第5ニ至ル方法ニテ驅除セリ.
其ノ結果「サントニン」・「アンテニン」併用ニヨリ小兒ニ於イテ74.0%, 成人ニ於イテ61.0%ノ驅蟲成績ヲ得タリ. 此ノ方法ニテ驅蟲シ難キ時, 更ニ第2方法以下ノ海人草煎・「サントニン」酸「ナトリウム」注射, 或ハ「ネマトール」・「アスカリドール」等ヲ併用スルユトニ依リ驅蟲ノ目的ヲ達シ, 總ベテノ方法ヲ使用シ尚相當時日ヲ要シテ姶メテ蟲卵陰性トナレル3例ヲ経験セリ.

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健康人及ビ合併症ナキ脚氣患者ニ就キ, 「ヒスタミン」(以下全部「ヒ」ト略記ス) 負荷試驗法ニヨリ「ヒ」注射前及ビ注射後160分迄ノ動靜脈性肺胞瓦斯張力ヲ測定シ, 其ノ變化ニヨリコレヲ次ギノ4型ニ區別セリ.
第1型 動靜脈性肺胞炭酸張力ハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 動靜脈性肺胞酸素張力ハ注射後20分以内ニ最高トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
第2型 動靜脈性肺胞炭酸張力及ビ靜脈性肺胞酸素張カハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 動脈性肺胞酸素張力ハ注射後20分以内ニ最高トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
第3型 動脈性肺胞炭酸張カハ注射後20分以内ニ最高トナリ, 靜脈性肺胞炭酸張力及ビ動靜脈性肺胞酸素張力ハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
第4型 動靜脈性肺胞瓦斯張力ハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
第2型 動靜脈性肺胞炭酸張力及ビ靜脈性肺胞酸素張カハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 動脈性肺胞酸素張力ハ注射後20分以内ニ最高トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
第3型 動脈性肺胞炭酸張カハ注射後20分以内ニ最高トナリ, 靜脈性肺胞炭酸張力及ビ動靜脈性肺胞酸素張力ハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
第4型 動靜脈性肺胞瓦斯張力ハ注射後20分以内ニ最低トナリ, 次イデ漸次注射前ノ値ニ復ス.
健康人ハ第1型ニ屬シ, 注射後10-20分ニテ最高又ハ最低トナリタル肺胞瓦斯張力ハ, 注射後40分以内ニ殆ド總ベテ注射前ノ値ニ復ス.
脚氣患者中第1型ニ屬スルモノハ總ベテ輕症ニシテ, 注射後最高又ハ最低トナリタル肺胞瓦斯張カノ注射60分後, 尚注射前ノ値ニ復セザルモノハ, 「ヒ」注射前ノ肺胞瓦斯張力ノ正常範圍外ニアルモノニ多ク, 且斯カルモノハ多少ノ循環器系統障礙ヲ認ム. 第2型ニ屬スルモノハ總ベテ中等症ナリ. 而シテ「ヒ」注射後最高又ハ最低トナリタル肺胞瓦斯張力ノ「ヒ」注射60分後尚「ヒ」注射前ノ値ニ復セザノレモノハ, 「ヒ」注射前ノ肺胞瓦斯張カノ正常範圍外ニアルモノニ多ク, 斯カルモノハ自他覺的症状比較的著明ナリ. 第3型ニ屬スルモノハ總ベテ重症ナリ. 第4型ニ屬スノレモノハ比較的長キ經過ヲトリシモノカ, 或ハ輕快ニ向ヒヅヽアルモノナリ.

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Histamin竝ビニSpinacin注射家兎血液ガ腸管運動ニ對シテ亢進性ニ作用シ, 其ノ神経毒トノ關係ヨリ該作用ガHistamin作用ナルコトチ實證セリ.而シテ被注射家兎血液ノHistamin作用ハ, 皮下注射法ニヨル時ハ, 兩藥劑共注射後10分ヨリ發現シ始メ20分ニテ最高調ニ達セリ.Histamin作用消失時間ハHistamin注射時ニハ30分, Spinacin注射時ニハ45分チ要セリ.
靜脈内注射法ニヨル時ハ, 兩藥劑共ニ注射後直チニHistamin作用チ發現シ, 且直チニ最強力テ示シ, 夫レヨリ急減シテHistamin注射時ニハ既ニ3分後ニハ僅微トナリ, Spinacin注射時ニハ5分間ニテ微弱トナルテ實證セリ.更ニ此ノ兩藥劑ガ其ノ注射方法ノ異ナノレニツレテ, 血液ノHistamin作用ノ消長ニ大ナル懸隔ヲ來セル事實ヨリ推論シテ, Histamin竝ビニSpinacinガ腺分泌ヲ催進スベキー因子テ血液内ニ存在スノレHistamin竝ビニSpinacinノ消長如何ニ在リト推論ス.

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肺結核患者空腹時血糖値ニ就イテハ低血糖説・高血糖説或ハ正常血糖説等成績未ダ一致チ見ズ.又食餌性或ハ糖負荷試験ニヨル血糖曲線ニ就イテモ, 諸家ノ意見未ダ全ク一致テ見ザル所ナルテ以テ余ハ之レガ検索テ試ミ下ノ如キ結果チ得タリ.(1). 肺結核患者空腹蒔血糖値ハ正常限界内ニアルモ重症トナルニ從ヒ多少高キガ如シ.(2). 葡萄糖少量投與ソ場合最高値ニ達スル時間竝ビニ室腹時血糖値ニ戻ル時間ガ重症トナルニ從ヒ多少遲延スル.(3). 葡萄糖大量投輿ノ場合ハ室腹時血糖値ヘノ恢復ガ遲延シ, 血糖曲線モー層複雜ナルモノ多シ.(4). 肺結核患者食餌性過血糖曲線ハ重症トナルニ從ヒ頗ノレ多岐二亙ル變化テ來ス.(5). 注射試験ニテハ健康者ニ於ケノレト類似ノ過血糖曲線テ示スモ, 其ノ上昇度高ク且降下ノ遲延スル傾向チ有ス.

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