本報告ニ於テハ前囘ニ引續キ二十日鼠移植癌「エキス」ニヨル人癌ノ治療症例 (第13-20例) ヲ記載セリ.今囘ハ胃癌4例, 子宮癌・S字状結腸癌・大腸癌・食道癌各1例ニ就イテナリ.其ノ中6例 (胃癌3例, 子宮癌1例, S字結腸癌1例, 大腸癌1例) ハ臨牀上治癒ト認ムベキ状態トナリ, 體重増加・赤血球並ビニ血色素増加チ見, 無酸症ニ於ケル遊離鹽酸ノ出現.レ線像ノ改善等ヲ來シ, 注射開始後8箇月餘, 癈止後5箇月ニ及ベルモ何等再發ノ徴ヲ見ザルモノアリ.食道癌ノ1例及ビ胃癌ノ1例ハ諸症状著シク良好トナリ, 一時ハ快癒ヲ期待サレシモ突然狹窄症状襲來シテ饑餓状態ニ陷リ遂ニ死ノ轉歸ヲ取レルガ, 無處置ニ止ムルヨリハ數箇月ノ生命延長ヲ來セリト信ゼラル.

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古來中國ハ寄生蟲ノ樂園ナリト稱セラレ, 各地ニ於ケル調査アレドモ, 未ダ開封地方ニ於ケル報告ヲ見ズ.余ハ開封地方ニ於ケル寄生蟲ノ分怖ヲ調査セント企圖シ, 先ヅ華人學童ノ糞便檢査ヲ施行セリ.期間ハ昭和16年3月初旬ヨリ6月下旬ニ互ル約4箇月間, 被檢者ハ開封市立第1並ビニ第5小學校兒童957名 (男675名, 女282名) 及ビ扶輪學校兒童130名ナリ.檢査方法ハ糞便ノ少量ニ生理食鹽水ヲ注加, 割箸ヲ以テ攪拌ノ後濾過遠心沈澱ヲトリ, 生鮮標本及ビドナルドソン氏沃度「エナジン」標本2枚, 更ニハイデンハイン氏「ヘマトキシリン」染色標本2枚ヲ製作シ精密ナル檢鏡ヲ行ヘリ.
檢査成績ハ市立小學校兒童ニテハ蠕蟲卵保有者ハ918名 (95.9%) ニシテ, 之ヲ檢出率高キモノヨリ列擧セバ, 蛔蟲867名 (90.6%), 鞭蟲353名 (36.8%), 十二指腸蟲97名 (10.1%), 東洋毛樣線蟲77名 (8.0%), 無鈎絛蟲67名 (7.0%), 蟯蟲52名 (5.4%), 有鈎絛蟲47名 (4.9%) ノ順ナリ.原蟲嚢子保有者ハ617名 (64.4%) ニシテ之ヲ檢出率高キモノヨリ列舉セバ, 大腸「アメーバ」348名 (36.4%), 「エンドリマックス・ナナ」304名 (31.7%), 赤痢「アメーバ」217名 (22.6%), 沃度「アメーバ」153名 (15.9%), 「ヂアルヂア・インテスチナーリス」10名 (1.0%) ナリ.
開封扶輪學校兒童ニ就イテモ略々同樣ノ結果ヲ得タリ.但シ絛蟲ハ稍々少キガ如ク思惟サル.是ハ主トシテ階級ノ相違ニヨル食餌並ビニ生活樣式ノ差異ニ依ルモノナラン.
次ニ混合感染状態ニ就イテ觀察セルニ, 蠕蟲類ニ於テハ, 蛔蟲ト鞭蟲ノ二重感染最モ多ク, 原蟲類ニ於テハ大腸「アメーバ」ト「エンドリマックス・ナナ」ノ二重感染多シ.
寄生蠕蟲ト原蟲ニ於テハ, 蛔蟲ト「エンドリヤックス・ナナ」ノ二重感染最モ高率ナリ.
年齢的差異ハ殆ド認メラレズ.既二幼年者ヨリ高率ニ檢出サル.
性別ニヨル差異ハ男稍々高率ナルガ如キモ, 有意義ナル差ヲ認メズ.
階級的差異ニ就イテ觀察セバ, 蛔蟲並ビニ病原性「アメーバ」嚢子ハ下層階級ニ多ク, 絛蟲及ビ非病原性「アメーバ」嚢子ハ上層階級ニ高率ナルガ如ク思惟サル.
以上ノ調査所見ヨリ考察ヲメグラスニ, 開封地方ハ相當高度ノ寄生蟲淫浸地ナリト稱スルコトチ得.

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グロス氏反應ハ高田氏反應トヨク平行シ且一層鋭敏デアルトハグロス, 渡邊氏等ノ説ク所ニシテ余等ノ得タルグロス氏反應値ト高田氏反應トノ關係ヲ觀察スルニグロス氏反應値ノ小ナル程高田氏反應陽性率大ナルヲ知ル.而シテグロス氏反應値ノ1.50以上ヲ陰性, 1.50-1.01ヲ準陽性, 1.00-0.50ヲ陽性, 0.49以下ヲ強陽性トシテ觀察スルニ, 肝臟機能障礙高度ナルモノ並ビニ體組織破壞作用旺盛ナルモノニテハ陽性率大ニシテ, 健康者ハ全部陰性, 肝硬變症・バンチ氏病・膽石症・「サルバルサン」黄疸ニ於テ陽性, 「カタル」性黄疸ニ於テ準陽性・陽性ヲ示シ・結核患者ニ於テハ病型並ビニ病勢ニ從ヒテ陽性ヨリ陰性種々ニシテ陽性者ニ滲出性肺結核多キヲ認メタ.
赤沈速度ト本反應トノ關係ニ就イテハ先ヅ結核患者ニ於テハグロス氏反應値準陽性, 陽性者ニテハ赤沈速度促進シ, 又赤沈速度促進者ニハグロス氏反應値陽性ノ傾向多キヲ示シ, 本反應ハ赤沈速度ト共ニ病勢判定ノ指針タリ得ト思考セラル.肝臟疾患ニ於テハ之ニ反シテグロス氏反應ト赤沈速度トノ間ニ關係ガ認メラレナイ.
滲出液ハ漏出液ニ比シテ本反應値高ク, 從ツテ體腔液ノ炎性又ハ非炎性ノ鑑別ヲ本反應ニヨツテ爲シ得ル樣デアル.
本反應ニ使用スルハイエム氏液ハ常備ノ試藥ニシテ, 其ノ操作至極簡便ナルヲ以テ本反應ハ診斷及ビ豫後判定上臨牀家ノ應用スル價値アモノト信ズル.

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余等ハ簡單ナル血清凝固阻止反應ヲ2, 3ノ疾患ニ追試シテ次ノ結果ヲ得タリ.
1.健康者21例ニテハ弱陽性1例, 限界域4例, 陰性16例ナリ.
2.肺結核患者79例ニテハ強陽性5例, 中等度陽性3例, 弱陽性19例, 限界域15例, 陰性37例, 肋膜・腹膜炎患者9例ニテハ弱陽性・強陽性各1例, 陰性7例, 腸「チフス」患者9例ニテハ強陽性1例, 弱陽性3例, 中等度陽性1例, 限界域3例, 陰性1例, 癌例30例ニテハ強陽性4例, 中等度陽性8例, 弱陽性4例, 限界域6例, 陰性8例ナリ.

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余等ハ血清煮沸試驗ニ依ルキュルテン氏癌腫診斷法ヲ岡田内科入院及ビ外來患者ニ就イテ追試セリ.
種々ナル癌腫105例, 其ノ他ノ各種疾患及ビ健康者202例ニ於ケル成績ハ癌腫ニ於テハ105例中86例ハ陽性反應ヲ示シ, ソノ陽性率ハ81.9%ナルモ, 食道癌及び乳癌ニ於テハ50.0%ナリキ.
胃及ビ十二指腸潰瘍並ビニ胃下垂症ニ於ケル本反應陽性率ハ夫々12.8%及ビ8.3%ヲ示シタルモ, 本陽性例中ニハ初期潰瘍癌例含マル、モ測り難シ.
結核性疾患ニ於テハ22.4%ノ賜性率ヲ示シ, 特ニ肺結核滲出型ニ於テハ38.4%ノ高率ヲ示セリ.
健康者及ビ上記以外ノ各種疾患 (第2表) ニ於テハ85例中陽性皮應ヲ呈セルハ僅カニ3例 (3.5%) ナり.
キュルテン氏反應ト血清蛋白量トノ關係ハ第2凝固型 (陽性反應) ヲ呈セルモノハ大多數 (86.2%), 血清蛋白量ハ正常値以下ニシテ, 第1凝固型 (陰性反應) ヲ示セルモノハ大多數 (72, 7%) 正常値ナリ.
即チ水反應ハ癌腫ニ特異性ヲ有スルモノニアヲザルモ癌腫ニ於テハ81.9%ノ陽性率ヲ示シ, 肺結核滲出型 (肺炎ニ就イテハ實施セズ) ヲ除ケバ他ノ疾患ニ於テハ比較的陽性率低ク, 癌腫診斷ニハ利用シ得ベキー補助法ナリト信ズ.
尚血清蛋白量モ此ノ際一應併セ考慮スルヲ要ス.

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余ハ最近誤リテ胃癌トシテ永ク治療ヲ受ケタル十二指腸空腸彎曲憩室患者ノ興味アル例ヲ經驗セリ.
今此處ニ之ヲ報告スルニ當リ一般十二指腸憩室ノ出現頻度・罹患年齢・性別・臨牀症状・好發部位等ニ就イテ廣ク文獻的統計ヲ遂ゲ, 次ニレ線所見・鑑別診断・治療法ニ就イテハ諸家ノ説ヲ參酌シテ余ノ卑見ヲ述べ, 在來ノ本疾患ニ對スル臨牀知見ヲ補遺セリ.

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蟲垂炎に血尿な伴ふ例は極めて罕なるものにして, 歐洲に於ては可な男多數の報告あるも, 日本に於ては數例に過ぎす. 余の最近經驗したる1例は44歳の日人男子仁とて慢性蟲垂炎に罹患と, 手術後3日目より血尿を肉眼的に證明し, 約1週間持續しれるものなり其の間何等全身症状に異常なく. 特別の治療を施さざるも自然治癒し, 鏡檢するも赤血球存見ざるに至れり, 血尿を來す原因に就いては未だ定説なく, 單なる想像に過ぎす. 本例に於ても安當なる原因を發見するくとをす.然れどもこの血尿は短期間にして, 蟲垂切除後の創面治癒にも隔礙を來すことなく, 而も特殊なる處置を要ぜずこて治癒し, 豫後佳良なるものなり.

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