【目的】放射線防護の最適化を図るための指標として,2015 年に日本の診断参考レベルDRLs2015 が発表され,2020 年に DRLs2020 に改訂された.脳血管内治療の被ばく線量を把握するため,多施設線量調査・解析を行い,透視線量設定に関連する因子および疾患別の患者被ばく線量の調査を行った.【方法】回答のあった 91 施設,126 装置,1,019 例を対象症例とした.内訳は,脳動脈瘤コイル塞栓術,頚動脈ステント留置術,脳動静脈奇形・硬膜動静脈瘻・内頚動脈海綿静脈洞瘻の塞栓術とした.【結果】脳血管内治療で用いる透視線量率の平均値は,DRLs2020 の基準透視線量率および心臓領域の基準透視線量率よりも低い傾向であった.【結論】DRLs2020 では,基準透視線量率の他に,Ka,r など臨床値としての DRL も公表された.今後は実臨床値での被ばく最適化が望まれているが,患者被ばく線量の最適化を行う上での一つの手段として,透視線量低減方法である 1pulse あたりの線量を低く設定したモードを使用することは効果的であると示唆された.
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