【目的】The stent anchor with mobile aspiration techniqueにより治療した,急性期脳静脈洞血栓症の1例を報告する.【症例】患者は52歳男性で,頭痛,全身倦怠感を主訴に来院した.頭部CTより右頭頂葉の脳出血および右側頭葉の出血性梗塞を伴う脳静脈洞血栓症と診断した.ヘパリンの投与を開始したが意識障害が進行し,the stent anchor with mobile aspiration techniqueを用いた機械的血栓回収術を施行した.多量の血栓を吸引し,血行再建が達成され,良好な経過が得られた.【結論】広範囲な脳静脈洞血栓症に対するthe stent anchor with mobile aspiration techniqueは,有用な治療方法のひとつであると考えられた.
【目的】Contrecoup injuryにより内頚動脈海綿静脈洞瘻に類似した眼症状を呈した稀な中硬膜動静脈瘻を経験したので,その特徴について報告する.【症例】47歳女性.自転車走行中の転倒で左側頭部を打撲し,CTで右側頭葉挫傷とくも膜下出血を認めた.翌日に右眼瞼下垂が出現し,DSAで右中硬膜動脈から流入し,中硬膜静脈,海綿静脈洞を経て上眼静脈へ流出する中硬膜動静脈瘻を中頭蓋底に認めた.症状が軽く経過観察を行い,follow up DSAで動静脈瘻は自然閉塞したが,仮性動脈瘤を認めたため塞栓術を施行した.【結語】Contrecoup injuryによる中硬膜動静脈瘻は,解剖学的特徴により中頭蓋窩に好発した.軽い症状では見過ごされる可能性があるため,DSAを含めた検査が必要で,仮性動脈瘤を合併する症例は血管内治療のよい適応である.