脳血管内治療
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原著
  • 前川 正義
    2023 年 8 巻 3 号 p. 89-95
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/22
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】外頚動脈総頚動脈留置は,血栓を内頚動脈に迷入させない脳塞栓症の水際対策となり得るかを実験的に検討した.【方法】シリコン血管モデルを使用し,ステントを外頚動脈から総頚動脈にかけて留置した.スライムを用いて擬似血栓を作製した.総頚動脈のベクトルを基準線として,それぞれのベクトルが基準線となす角度が,外頚動脈=内頚動脈,外頚動脈>内頚動脈,外頚動脈<内頚動脈の3タイプの血管走行を作製した.実験1は血栓の挙動を検討することを目的とし,擬似血栓を総頚動脈に入れ,生理食塩水を流した.実験2はステント格子が内頚動脈の血流動態に与える影響を検討することを目的とし,ステント留置時と非留置時のそれぞれについて,生理食塩水を総頚動脈から流して,外頚および内頚動脈に流出した生理食塩水の重量を計測した.【結果】実験1:いずれの血管走行のタイプにおいても,どのサイズの擬似血栓も内頚動脈へ迷入することはなかった.実験2:血管走行のタイプにかかわらず,また,ステント留置の有無にかかわらず,流出した生理食塩水は内頚動脈のほうが外頚動脈よりも多かった.【結論】外頚動脈総頚動脈ステント留置は,内頚動脈系への血流障害を来すことなく,血栓の内頚動脈迷入を阻止することができた.

症例報告
  • 大本 裕次郎, 庄島 正明, 宇野 健志, 大山 裕太, 樋口 芙未, 木倉 亮太, 川口 愛, 平野 雄大, 平田 操, 後藤 芳明, 辛 ...
    2023 年 8 巻 3 号 p. 96-101
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/19
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頚部悪性腫瘍に合併した脳静脈洞血栓症(cerebral venous sinus thrombosis: CVST)に対して,血管内治療が有効であった1例を報告する.【症例】64歳男性,右頚部腫瘤を主訴に受診.原発不明癌の頚部リンパ節転移と診断後,視力低下と複視,さらに眼底に乳頭浮腫を認めた.頭部造影MRIで,右S状静脈洞の閉塞と後頚部への静脈流出路の消失を認めた.腰椎穿刺で頭蓋内圧上昇を認めたため,早急な静脈洞の再開通を目指し,血管内治療を行った.術後,神経症状は改善,頚部腫瘍に対して放射線化学療法が開始された.【結論】頚部悪性腫瘍に合併したCVSTに対して血管内治療による早急な再開通を行い,重篤な合併症なく,良好な転帰を得ることができた.

  • 岡本 紀善, 糸川 博, 藤本 道生, 森谷 匡雄, 柘植 雄一郎, 笹沼 仁一
    2023 年 8 巻 3 号 p. 102-109
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】放射線治療後に生じた中大脳動脈のblister-like aneurysm(BLA)に対し,複数枚のステントを用いたオーバーラッピング法で治療した症例を報告する.【症例】48歳,女性.神経膠腫術後の残存腫瘍に対し,サイバーナイフを施行した.照射2年後にくも膜下出血で発症し,左M1にBLAを認めた.急性期治療は困難であったが,第10病日に囊状部分が拡大し,塞栓術を行った.第22病日に再破裂を来し,ステントを併用し再拡大部に追加塞栓を行った.さらに短期間で動脈瘤が増大したが,コイルの追加とステントを三重に重ねることで治癒が得られた.【結論】BLAに対し,オーバーラッピング法は治療の選択肢になり得る.

  • 根岸 弘, 山室 俊, 熊川 貴大, 四條 克倫, 吉野 篤緒
    2023 年 8 巻 3 号 p. 110-117
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】The stent anchor with mobile aspiration techniqueにより治療した,急性期脳静脈洞血栓症の1例を報告する.【症例】患者は52歳男性で,頭痛,全身倦怠感を主訴に来院した.頭部CTより右頭頂葉の脳出血および右側頭葉の出血性梗塞を伴う脳静脈洞血栓症と診断した.ヘパリンの投与を開始したが意識障害が進行し,the stent anchor with mobile aspiration techniqueを用いた機械的血栓回収術を施行した.多量の血栓を吸引し,血行再建が達成され,良好な経過が得られた.【結論】広範囲な脳静脈洞血栓症に対するthe stent anchor with mobile aspiration techniqueは,有用な治療方法のひとつであると考えられた.

  • 清本 政, 佐藤 栄志, 末松 慎也, 中内 淳
    2023 年 8 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/16
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】Contrecoup injuryにより内頚動脈海綿静脈洞瘻に類似した眼症状を呈した稀な中硬膜動静脈瘻を経験したので,その特徴について報告する.【症例】47歳女性.自転車走行中の転倒で左側頭部を打撲し,CTで右側頭葉挫傷とくも膜下出血を認めた.翌日に右眼瞼下垂が出現し,DSAで右中硬膜動脈から流入し,中硬膜静脈,海綿静脈洞を経て上眼静脈へ流出する中硬膜動静脈瘻を中頭蓋底に認めた.症状が軽く経過観察を行い,follow up DSAで動静脈瘻は自然閉塞したが,仮性動脈瘤を認めたため塞栓術を施行した.【結語】Contrecoup injuryによる中硬膜動静脈瘻は,解剖学的特徴により中頭蓋窩に好発した.軽い症状では見過ごされる可能性があるため,DSAを含めた検査が必要で,仮性動脈瘤を合併する症例は血管内治療のよい適応である.

テクニカルノート
  • 中村 元, 安藤 晃佑, 上田 浩太郎, 田坂 研太, 新美 淳, 根本 文夫, 森脇 拓也, 畑山 和己, 内藤 博道
    2023 年 8 巻 3 号 p. 125-132
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/22
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】マイクロバルーンカテーテルであるPinnacle Blue 20とballoon guiding catheter(BGC)を用いた一時的なflow reversal法によるcarotid artery stenting(CAS)の1例を報告する.【症例】症候性左内頚動脈高度狭窄症の81歳男性.高度狭窄かつ不安定プラークであり,一時的なflow reversal法でのCASを計画した.左総頚動脈に留置した9Fr BGCからPinnacle Blue 20を左外頚動脈に誘導し,BGCで総頚動脈閉塞を行いflow reversalとした.続いてdistal filter protection (DFP)deviceを展開し,前拡張までflow reversalで,以降は総頚動脈のBGCによるproximal protectionとDFPを併用してCASを施行した.術後,新規の脳梗塞の出現は認めず経過した.【結論】CASにおいてPinnacle Blue 20とBGCを用いた一時的なflow reversal法は,有用な選択肢の一つとなり得る.

追悼文
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