脈絡叢への孤立性転移を来した腎細胞癌脳転移の一例を報告し、併せて文献的考察を行った。
症例は68才の男性で、7年前に腎細胞癌明細胞型に対して左腎摘出術を受けた。頭痛の精査のため施行したCTで偶然、右側脳室に腫瘍性病変を認めた。手術により全摘出し、組織学的に腎細胞癌の脳転移であることが判明した。脈絡叢への孤立性転移は我々の報告を含めて15例が報告されているにすぎないが、その中の5例が腎細胞癌に由来する。その5例中4例が腎摘出後32ヶ月以上経過しての転移であり、比較的予後良好であった。腎細胞癌のslowly-progressive typeにはこのような転移をとる例があり、経過中注意を要すると思われた。
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