Neurologia medico-chirurgica
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37 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 新川 修司, Shigeru HARA, Naoyuki OHE, Yoshiaki MIWA, Akio OHKUMA
    1997 年 37 巻 12 号 p. 881-885
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    破裂脳動脈瘤早期手術例においてblood parameterと症候性脳血管攣縮との関連を検討した。(方法)対象はanterior circulationの破裂脳動脈瘤早期手術103例である。Hunt & Kosnik grade1,2及び3を対象とした。blood parameterのうち発症3週間以内の白血球(WBC)数、ヘマトクリット値、血小板(P1)数、血糖値、アルブミン値を経時的に検討した。それらのday0-2、day3-5、day6-8、day9-11、day12-14、day15-17、day18-21、の各期間における値および平均値と症候性脳血管攣縮との関連を検討した。(結果)症候性脳血管攣縮を来した35例をSV群とし、来さなかった68例をnon-SV群とした。day0-8および3週間の平均値を比較すると、WBC数およびP1数はいずれもSV群がnon-SV群よりも有意に高値を示した。その他のparameterでは有意差を認めなかった。明確な有意差を認めたWBC、P1教の連続値について、SV群とnon-SV群とで比較すると、WBC数はday3-14においてSV群で有意に高くP1数はday0-21においてSV群で有意に高値を示した。(結語)blood parameterのうち、白血球数および血小板数の推移は症候性脳血管攣縮の発生に関連しており、その予知に有用と考えられた。
  • 吉本 哲之, Yutaka SAWAMURA, Kiyohiro HOUKIN, Hiroshi ABE
    1997 年 37 巻 12 号 p. 886-890
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    開頭術後に硬膜縫合部より出現する髄液漏れは、髄液漏の形成、髄膜炎や開頭部の感染等の合併症を発生させる危険性を有している。そのため硬膜縫合後の髄液漏出の防止を目的としてフィブリングルーの使用が増加しているが、その効果は明らかではない。今回、通常の前頭側頭開頭による未破裂動脈瘤の治療を受けた183人の患者を基にその効果を検討した。使用患者は138人であり、非使用患者は45人であった。術後、CT上、硬膜外に低吸収域を呈したものは55人認められたが、すべて一過性であった。そのうちフィブリングルーの使用が36人(26%)、非使用が19人(42%)であった。これよりフィブリングルーは髄液漏の頻度を有意に減少させ得ることが示された。
  • 松本 健五, Tomio NAKAGAWA, Eiji TADA, Tomohisa FURUTA, Yoshio HIRAKI, Taka ...
    1997 年 37 巻 12 号 p. 891-900
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    悪性グリオーマに対するbrachytherapyの有用性について検討した。対象は悪性グリオーマ83例で、内訳はastrocytoma gradeIII 42例、glioblastoma 41例であった。放射線治療費として50例は外照射のみ、33例は外照射とbrachytherapyの併用であった。外照射のみの群の生存期間の中央値は、12.2ヶ月、brachytherapy併用群で23.7ヶ月であった。Brachytherapyを併用することにより有意に生存期間の延長を認めた。また、多変量解析では、組織型、部位、Karnofsky performance status及びbrachyteharapy併用の有無が予後に関係していたが、これらのfactorのなかでbrachytherapy併用の有無が最も重要なfactorであった。
  • 米澤 一喜, Norihiko TAMAKI, Takashi KOKUNAI
    1997 年 37 巻 12 号 p. 901-906
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    プロラクチノーマに対して下垂体D2レセプターアゴニストであるbromocriptineとtergurideによる増殖抑制とアポトーシス誘導を証明した。ラットに8週間エストロゲンを皮下注しプロラクチノーマを作製した後、上記薬剤投与群と非投与群に分けた。薬剤投与群にはbromocriptineかtergurideを4週間経口投与した。ラット血清プロラクチン値および下垂体重量は非投与群に対し投与群では有意に低下した。摘出下垂体に対し免疫組織学的にABC法を用いてPCNA染色をまたTUNEL法を用いてアポトーシス誘導細胞の核の染色を行なった。薬剤投与群は非投与群に対してPCNA陽性細胞率の有意な低下が認められ、アポトーシス誘導率は有意に高値であった。
  • 青木 信彦, Tatsuo SAKAI, Akihiro OIKAWA, Touichirou TAKIZAWA
    1997 年 37 巻 12 号 p. 907-910
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    血栓化した巨大椎骨動脈瘤でありながら、数年間はほとんど無症状であった65歳の男性が急速に進行する呼吸障害を呈し、まもなく昏睡となった。経時的な神経放射線学的検査では動脈瘤は血栓化した状態でありながら拡大しつづけ、脳幹の圧迫を増強していた。手術で動脈瘤は器質化していることが判明し、その大半を除去することによって、はじめて自発呼吸が可能となり意識も清明となった。
    この稀な病態の治療方法とそのタイミングおよび成因の解明に貢献する貴重な症例と考えられた。
  • 松本 健五, Takashi IMAOKA, Susumu TOMITA, Takashi OHMOTO
    1997 年 37 巻 12 号 p. 911-915
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    Ventriculoperitoneal Shunt(V-P Shunt)術施行後、腫瘍内、第三脳室内に大量出血し症状の悪化を認めたpineocytomaの1例を報告する。症例は58才、男性。頭痛、歩行障害、記銘力障害、尿失禁を主訴として来院。CT、MRI画像にて、水頭症、松果体部腫瘍を認めた。水頭症による症状に対して、V-P Shunt術を施行した。術後2日目に、急速に意識レベルが低下し、昏迷状態となり、パリノー兆候を認めた。CTにて、腫瘍内、第三脳室内に大量出血を認めたため、開頭による血腫及び腫瘍摘出術施行した。組織はpineocytomaで、術後症状は改善した。V-P Shunt後の出血の報告は少ないが、V-P Shunt後腫瘍摘出術を行う際、念頭においておくべきと考えられた。
  • 松村 博隆, Toshiki YOSHIMINE, Satoshi YAMAMOTO, Motohiko MARUNO, Toru HAYA ...
    1997 年 37 巻 12 号 p. 916-919
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    脈絡叢への孤立性転移を来した腎細胞癌脳転移の一例を報告し、併せて文献的考察を行った。
    症例は68才の男性で、7年前に腎細胞癌明細胞型に対して左腎摘出術を受けた。頭痛の精査のため施行したCTで偶然、右側脳室に腫瘍性病変を認めた。手術により全摘出し、組織学的に腎細胞癌の脳転移であることが判明した。脈絡叢への孤立性転移は我々の報告を含めて15例が報告されているにすぎないが、その中の5例が腎細胞癌に由来する。その5例中4例が腎摘出後32ヶ月以上経過しての転移であり、比較的予後良好であった。腎細胞癌のslowly-progressive typeにはこのような転移をとる例があり、経過中注意を要すると思われた。
  • 左合 正周, Hideki MURAKAMI, Yuichi HIROSE, Keita MAYANAGI
    1997 年 37 巻 12 号 p. 920-923
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    198Auによる内照射、bleomycin嚢胞内投与治療後19年間明らかな脳虚血症状を呈することなく経過し、再発時検査にて脳主幹動脈の閉塞性血管病変が診断された頭蓋咽頭腫の一例を経験した。症例は34歳女性で、15歳時に左前中頭蓋底腫瘍にて発症し前記の初回治療を受け、第3脳室内嚢胞性腫瘍として再発した。脳血管撮影にて左内頚動脈閉塞、後大脳動脈狭窄、および初回手術時開頭部に一致するtransdural anastomosisを認めた。transdural anastomosisにより血流が保たれていたため、血行再建等の治療は行わず、第3脳室内嚢胞腫瘍に対する脳室鏡下手術を施行した。脳腫瘍に対する放射線、化学療法後の合併する閉塞性血管炎に対する注意が必要である。
  • 中洲 敏, Takahiro ISOZUMI, Atsushi YAMAMOTO, Kiyoharu OKADA, Tomoyuki TAK ...
    1997 年 37 巻 12 号 p. 924-928
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    ラスムッセン脳炎の1少年例のMRI所見について報告する。12歳時に全身性痙攣で発症した当初1年間はMRIでは異常が認められなかった。その後、部分発作が頻発するようになった時には左前頭葉上前頭回皮質にT2強調画像で高信号域が出現し、短期間に白質内に異常が進展した。開頭生検による病理組織は慢性脳炎像を呈した。ガンマグロブリン大量投与を行なったところ、発作回数は減少すると伴にMRI上の異常も消失した。その後も月1回グロプリン大量投与を続けたが、T2強調画像での高信号域は隣接部位に発現、消退を繰り返しながら脳は軽度の萎縮を示すようになっていった。この変化は必ずしも発作回数と並行しなかった。
  • 甲斐 豊, Jun-ichi KURATSU, Kenji SUGINOHARA, Toru MARUBAYASHI, Yukitaka U ...
    1997 年 37 巻 12 号 p. 929-933
    発行日: 1997年
    公開日: 2006/04/10
    ジャーナル フリー
    後頭蓋窩の腫瘍摘出後に小脳性mutismをきたした稀な成人2症例を報告する。症例は、71歳男性の血管芽腫と74歳女性の転移性脳腫瘍例で、それぞれ小脳虫部上半部に存在した病変を、occipital transtentorial approachにて摘出した。術後2日目にmutismが出現し、3-4週間持続、その後小脳性構語障害が2-4か月間残存し軽快した。小脳性mutismは、dentatothalamocortical pathwayの障害で発生するが、小脳虫部の腫瘍が小児に好発することや、小児の後頭蓋窩腫瘍手術後の心因性変化が生じやすいことから、小脳性mutismの大部分は小児であり、成人例は稀である。
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