日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第54回日本農村医学会学術総会
選択された号の論文の350件中1~50を表示しています
学会長講演
教育講演
特別講演
記念講演
シンポジウム1
シンポジウム2
パネルディスカッション
モーニングセミナー
一般演題
  • 大浦 栄次, 澁谷 直美, 駒井 杜詩夫, 佐々木 正, 豊田 務
    セッションID: 1C01
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     富山県農村医学研究会では、農薬中毒予防に資するため、昭和63年より農薬中毒臨床例の有無を調査し、「有り」と回答のあった診療科に詳細調査票を送り、中毒の詳細内容の把握に努めている。今回、収集した症例について概要をまとめたので以下に報告する。

    方  法
     1月から12月を前期、後期に分け、葉書で県内の全ての内科、小児科、外科、皮膚科、眼科、ICUを標榜する約710か所の診療科に、パラコートおよびそれ以外の農薬による臨床例の有無を往復葉書にて尋ね、症例「有り」と回答のあった診療科に、詳細報告書を送付し原因、農薬名、転帰、症状、治療経過、検査結果などの情報の収集につとめた。回収率は約3分の2である。

    結果と考察
     昭和63年の調査では、思い出しとして、1980年からのもの記載してもらった。年代別では、1987年以前が21件、88-92年が91件、93-97年が83件、98-2003年46件、計241件であった。特に90年代には中毒件数が多かったが、最近は減少傾向にある。
     農薬中毒の115件、47.7%が自他殺であった(なお、他殺は2件)。次いで農薬散布中59件24.5%、準備中22件9.1%、誤飲19件7.9%の順であった。 性別では、男が47.8%、女が52.2%であり、年齢では男女とも60才代が最も多く、全体の28.9%であった。なお、50才以上は全体の71%と高齢者における中毒が多く発生している。
     原因農薬で最も多いのは、パラコート剤で全体の35.3%、次いで殺虫剤の32.5%、パラコート以外の除草剤12.9%の順である。
     特に、パラコート剤は88件中52件が自殺目的で使用されている。この薬剤は、以前グラモキソンとして販売されていた。この薬剤はパラコート24%を含み自殺者があまりにも多いということで、昭和61年に販売中止となり、その後濃度を5%に下げたプリグロックスLなどとして販売されているが、この薬剤による自殺者も未だに後を絶たない。なお、昭和61年にグラモキソンは販売中止になっているが、本県でのグラモキソンによる中毒は平成8年まで報告がある。おそらく、除草効果がいいと言うことで、販売中止直前に大量買いだめがされたものと考えられ、問題のある薬剤の回収などの処置が徹底される必要があると考えられる。
     なお、パラコート剤においては散布準備中の中毒が多く発生している。これは、希釈の際に液剤比重が重く、飛びはねて目に入ったために起こった炎症がほとんどである。
     殺虫剤の多くは有機リン剤であり、典型的なコリンエステラーゼ活性の低下などを来す症例がほとんどである。また、皮膚疾患なども多くみられる。 最後に中毒症例は少なくなったとはいえ、潜在的、慢性的症例も十分収集しきれていないと思われ、関係機関の協力が不可欠と考えられる。
  • 永美 大志, 西垣 良夫, 矢島 伸樹, 浅沼 信治, 臼田 誠, 広澤 三和子
    セッションID: 1C02
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>
    農薬中毒(障害)において、パラコート剤による中毒は、死亡率、死亡数の高さから重要な位置を占める。演者らは、本学会の農薬中毒臨床例特別研究班として、1998-2003年度の調査を担当し、調査の概要を報告してきた(西垣ら 2002、2005)。ここでは、自殺企図によるパラコート中毒について考察する。
    <方法>
    本学会が行なってきた農薬中毒(障害)臨床例調査の1998-2003年度分の中で、自殺企図でパラコート製剤を服毒した症例71例について、製剤、性、年令階級、服毒量などと転帰との関係について検討した。
    <結果>
    1.製剤別の転帰
    パラコート製剤は、1960年代に販売され始めたが、その中毒による死亡の多さに鑑み、1986年に24%製剤(主な商品名;グラモキソン、以下「高濃度製剤」)の販売が自粛され、5%パラコート+7%ジクワット製剤(主な商品名;プリグロックスL、マイゼット、以下「低濃度製剤」)が販売されるようになった。高濃度製剤の販売自粛から10年以上経過した、1998-2003年の調査でも高濃度製剤を用いた自殺症例はあり、8例全てが死亡した。一方、低濃度製剤による症例は48例あり39例(81%)が死亡した。また、尿定性、血中濃度の測定などからパラコートの服毒であることは明らかであるが製剤名が不明であった15症例も全て死亡した。
    2.性別の転帰
    性別では、症例数で、男31例、女39例であり、死亡数(率)は、男25例(81%)、女36例(92%)であった。
    3.年令階級別の転帰 症例を、20-49才、50-69才、70-89才の3群に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、17/21(81%)、23/27(85%)、22/23(96%)であり、比較的若い群でも死亡率が高かった。4.服毒量と転帰
    高濃度製剤、製剤名不明の症例については、上記のとおり死亡例のみである。低濃度製剤については、20mL以下、50mL以下、50mLを超える量を服毒した群に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、4/9(44%)、2/4(50%)、22/23(96%)であり、数十mLの服毒であっても、半数近くが死亡し、50mLを超える群ではほとんどが死亡した。
    5.尿定性と転帰
    尿定性の判定結果を、陰性、陽性、強陽性に分類したところ、死亡数/症例数(死亡率)はそれぞれ、1/2、12/17、24/27であり、陽性で71%が、強陽性では89%が死亡した。
    6.血清中パラコート濃度
    Proudfood(1979)が提案した、50%生存曲線との比較を行なったところ、おおむね、死亡例は曲線の上に、生存例は曲線の下に位置した。
    <まとめ>
    パラコート中毒の転帰を予測する因子としては、服毒量、服毒からの時間と血清中濃度などが考えられた。
    <謝辞>
    本調査にご協力いただいた、全国の医療施設の方々に、深謝いたします。
    <文献>
    西垣良夫 他(2002).日農医誌 51:95-104
    西垣良夫 他(2005).日農医誌 (投稿中)
    Proudfood AT et al.(1979) Lancet 1979;ii:330-332
  • 中崎 美峰子, 荒谷 哲雄
    セッションID: 1C03
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    [はじめに]
    尿中のジアルキルリン酸は,農薬などの有機リン化合物の代謝産物であり,これら化合物への曝露指標と考えられる.
    農家や農村居住者では年間を通して尿中にジアルキルリン酸が検出され,農薬散布時期には濃度が上昇すること,一般住民でもジアルキルリン酸が尿中に検出されることを,以前報告した.そこで今回,一般住民について1年間の追跡調査を実施し,検出状況を調べた.
    [対象と方法]
    調査協力の依頼に対して同意が得られた,平日フルタイム勤務の非農業者ボランティア6名(男性3名,女性3名)を対象とした.毎週1回午前中に採尿し,53週にわたり延べ314検体を採取,分析した.
    分析項目は,ジメチルリン酸(DMP),ジメチルチオリン酸(DMTP),ジエチルリン酸(DEP),ジエチルチオリン酸(DETP)およびクレアチニンである.あわせて,採尿前2日間の殺虫剤等の使用,園芸作業の有無など農薬との接触に関するアンケート調査を行なった.
    [結果および考察]
    全検体における各代謝物の検出率は,DMP71.0%,DMTP90.4%,DEP15.3%,DETP39.2%であり,ジメチル型に比べてジエチル型の検出率は低かった.ジメチル型代謝物は今回の対象者でも年間を通して検出されたが,ジエチル型は,8月から10月にかけて高頻度に検出され,検出状況に季節差がみられた.
    尿中ジアルキルリン酸濃度について,全対象者の1か月ごとの平均値を図に示した.DEPとDETPを合わせたジエチル型代謝物濃度は,DMPとDMTPを合わせたジメチル型代謝物濃度の10分の1程度のレベルであり,ジメチルリン酸型化合物(農薬ではMEP,DDVP,マラチオンなど)に比べてジエチルリン酸型化合物(農薬ではクロルピリホス,ダイアジノンなど)の曝露は少ないと考えられた.
    代謝物濃度は8月から11月にかけて高値を示し,有意な季節的変動が認められたが(p<0.01),アンケートでは対象者の周囲で実際に殺虫剤等が使用されたのは5月から8月であり,時期が一致しなかった.これらのことから今回の対象者では,尿中のジアルキルリン酸濃度は,食品などからの有機リン化合物摂取をより強く反映している可能性が考えられた.
  • 百瀬 義人, 末永 隆次郎, 畝 博
    セッションID: 1C04
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>収穫後半期における中高年者の身体的疲労部位を明らかにし、改善すべき作業要因を見出すこと。
    <方法>対象:40-69歳までのいちご栽培従事者474名(男性269名、女性205名)。
    調査方法:自記式質問紙調査を2003年3月に実施。調査内容は、年齢、性別、作業内容の実施割合(葉かき、ランナー取り、摘花・摘果、農薬散布、ジベレリン処理、収穫、選別・調整、二番果や三番果の茎の摘除、来年度の苗の管理)、いちご栽培作業による身体的疲労部位(目、首、肩、腕、手指、背中、腰、大腿部、下腿部、足首、足底部、足、足指の14か所)、いちご栽培にかかわる作業時間、家事時間(掃除、洗濯、食事の支度など)および睡眠時間。
    解析方法:年齢構成等の割合に関する有意差検定はMantel-Haentzel χ2検定を用いた。平均値による有意差検定は分散分析法によった。作業要因の身体的疲労部位への関与の大きさを検討するため、身体的疲労部位の有無を従属変数、いちご栽培の各作業内容を独立変数としたロジスティック回帰分析により、オッズ比(OR)とその95%信頼区間(CI)を計算した。
    <結果・考察>いちご栽培にかかわる1日の平均作業時間は、男性12.3時間、女性12.0時間だった。1日の平均家事時間は、女性が男性に比べて長く(男性0.3時間、女性1.9時間、p<0.001)、若い年代ほど長かった(女性のみ:p<0.05)。1日の平均睡眠時間は、女性が男性に比べて短く(男性6.3時間、女性6.1時間、p<0.05)、若い年代ほど短かった(男女とも:p<0.001)。身体的疲労部位の訴えでは腰が最も多く(男性71.0%、女性68.3%)、次いで目(男性48.7%、女性61.5%)と肩(男性46.5%、女性61.0%)が多かった。作業実施率では性差を認め、男性は農薬散布(p<0.001)とジベレリン処理(p<0.05)、女性は選別・調整(p<0.05)の分担が多かった。疲労部位と作業要因との関連をみるため、年齢、家事時間、および睡眠時間で調整後のORとCIを求めた。腰の疲労と最も強い関連を示した作業は、男性ではジベレリン処理(OR2.3; CI:1.0-5.2)、女性では収穫(OR2.2; CI:0.7-7.3)だった。目の疲労との関連が最も強かったのは、選別・調整(男性OR1.6; CI:0.9-3.0、女性OR2.7; CI:1.1-6.5)だった。肩の疲労との関連が最も強かったのは、男性は選別・調整(OR2.3; CI:1.2-4.3)、女性は収穫(OR3.4; CI:1.0-11.7)だった。
    <まとめ>いちごの品種改良や新しい栽培方法などの労働態様の変化、ならびにいちご栽培従事者の高齢化が進行中の現在においても、中高年者の身体的疲労部位は腰・目・肩に多かった。主な身体的疲労部位と強い関連を示す作業要因は男女で異なり、収穫、選別・調整作業以外の改善すべき作業内容が明らかになった。
  • 末永 隆次郎, 百瀬 義人
    セッションID: 1C05
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    [はじめに]全共連の委託研究「農機具による事故災害の実態とその予防策についての研究]において、平成12年度の全国的な調査の結果、農業機械が関係するものは3,750件で全体の約35%を占めており、特に草刈機によるものが686件で最も多くなっていた。草刈機による事故災害を如何に減らすかが大きな課題となっており,農家で使用している草刈機の種類や使用状況等を明らかにし,事故災害予防策を検討した。
    [調査対象及び方法]福岡県の筑後地区で,施設園芸栽培に従事している専業農家を対象に,草刈機の種類や刈刃の状況,使用時の防護具の有無,圃場での草刈機の使い方,ヒヤリ・ハット体験などについてのアンケート調査表を配布し,334名(男258名,女76名)から回答を得た。今回、この中でこの1年間に草刈機の使用経験のある290名(男251名,女39名)について解析した。
    [結果]草刈機による事故経験者は290名中40名(男36名,女4名)で,棒状・肩掛け式の草刈機を使用中が60%を占めていた。年間における草刈機の使用状況は、男では11.7日間,42.2時間,女では4.4日間、16.2時間で,男女とも1日当たり4時間弱の使用であった。草刈機の種類は,棒状・肩掛け式が77.2%,背負い式が18.6%などであった。刈刃としては,回転刃の使用が86.2%を占めていた。回転刃の種類は,チップソー型が全体の66.2%,二枚刃が12.4%,二枚刃とチップソー型が7.6%などであった。因みに,事故災害経験者40名の事故時の使用回転刃の種類は,二枚刃が14名,チップソー型が2名,四枚刃と八枚刃がそれぞれ1名,不明(記入なし)が22名であり,傷害部位は足・足趾が最も多く、次いで顔・目,手・指などであった。事故の原因としては,記載のあった24名の中で,「石が飛んできて」というのが16名と最も多かった。草刈作業時の防護対策の実施状況は、顔面の防護を「いつも」している者は24.8%、[特にしない」者は54.1%,下肢の防護では,[いつも」している者は3.8%であり,「特にしない」者は74.1%であった。
     安全確認のための作業前の草刈場の下見では,「特にしない」が60.3%であり,「時々」ないしは「必ずする」が12.8%に留まっていた。雨後や朝露の残っている時間帯での作業は,「特に気にせずにする」が46.6%,「避けるようにしている」が11.4%であった。次にヒヤリ・ハット体験について,「草刈中,キックバックを起こして」が57.2%あり,そのうち石や空き缶に当たってキックバックを起こしたという者が70%以上であった。「草刈中,石や空き缶,針金などが飛んできて」が61.4%,「草刈中,足を滑らせて」が41.4%,「路肩の草刈中,接近する車に気付かずに」が37.6%などであった。
    [まとめ]今回の調査では,事故経験者は棒状・肩掛け式の草刈機で回転刃として二枚刃を使用している者が圧倒的に多いが,チップソー型でも事故を起こしていた。事故原因としては草刈中に石や空き缶が飛んできて負傷しており,普段の作業時における下肢や顔の防護が不可欠であることを示唆している。事故には至っていないヒヤリ·ハット体験でも“草刈中,石や空き缶,針金などが飛んできて”が最も多く,作業前における草刈場所の下見が必要である。
  • 山内 徹, 平野 秀博, 白井 徹也, 鈴木 宏
    セッションID: 1C06
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    (緒言)<BR> 平成12年秋の新築移転後設置されたCS委員会では患者満足度調査を毎年実施し、地域に選ばれる病院となることを目指してきた。しかしながら、そのアンケート調査の分析は十分に行なわれておらず各項目の満足度が公表されているのみであった。そこで、平成16年に行なわれた調査結果を実際に活用出来るように見直してみることとした。<BR>(方法)<BR> <クロス集計による患者のグループ化><BR> 今回実施したアンケートは、大きく分類すると接遇、施設、時間、診療情報・内容、全体的な満足度に分けられた。回答結果の集計は、Microsoft Accessにて実施し、各回答者にIDを付け整理する事とした。次に全体的な質問のなかの3項目に着目した。(1)「当院を受診してみてどうか?」(2)「次回も当院を利用したいか?」(3)「当院を知人に紹介したいか?」いずれの項目も非常に満足から非常に不満まで回答は分かれているが、中には(1)に非常に満足していても(2)では非常に不満(絶対利用したくない)と回答している患者もいることが判明した為、(1)、(2)、(3)の結果をクロス集計することによって、非常に満足から非常に不満まで回答のブレをなくすこととした。その結果、アンケート回収は 1,498件であったが、各項目に等しく満足、不満足と回答されたもの675件を5つのグループ(A,B,C,D,E)に分け、調査分析の対象とした。<BR>:(イ)満足度向上効果(不満解消効果)の測定、(ロ)現実とのギャップの確認:<BR> まず、AからEの各グループの接遇、施設、時間、診療情報・内容に関する満足度を集計し、項目別の満足度を比較してみることとした。さらに、その結果を最も人数が多いC(普通)グループの満足度と比較することにより理想と現実、非常に不満なEグループとAグループの比較により理想と不満のギャップを測定した。<BR>(結果)<BR> Aグループの満足度は接遇( 93.0%)、診療情報・内容(86.5%)、施設(82.7%)、時間(78.0%)となっており、数字の大きい順に満足度向上効果が高いと考えられた。Eグループでは診療情報・内容(34.4%)、時間(48.0%)、施設(54.5%)、接遇(64.2%)となっており、この場合数字が小さい順に不満解消効果が高いと考えられた。また、理想と現実のギャップは、診療情報・内容(27.2)、時間(25.2)、接遇(23.4)、施設(22.3)であり、理想と不満のギャップは、診療情報・内容(52.1)、時間(30.0)、接遇(28.8)、施設(28.2)という結果であった。そこで、(イ)と(ロ)をクロス集計することによって、理想と現実のギャップが大きく、尚且つ満足度向上効果の高いものといった具合に、取り組むべきものに順位づけをすることが出来た。<BR>(考察)<BR> これまでは個別の項目に対し患者満足度を測定してきたのみであったが、クロス集計することによりブレのない有効な回答に絞り込み、分析することが可能となった。その結果、満足度向上を目指すのか、不満解消を図るのか、実施すべき内容に違いのあることが判明したと同時に、ギャップを測定することにより取り組むべき優先順位も判明した。<BR> これまでCS委員会では職員の接遇に力を入れて活動してきたが、今回の結果により今後の取り組むべき課題の方向性が見えてきたと思われる。
  • 吉田 公代, 黒田 かよ子, 成島 泰子
    セッションID: 1C07
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>
    医療の質の向上は医療サービスを受ける側、いわゆる顧客の満足(以下CSとする)に結びつかなければならない。
    当院において2000年1月、顧客が医療に求めている透明性、公開性への対応として小冊子を作成、配布。当院で実施されている医療サービスを項目別に説明し、公開する事により、医療を受ける側と提供する側との情報共有となっている。特にクレームに関係する項目については意見や苦情の共有に結びつき、それらを生かす事によって病院のCS向上につながっているので報告する。
    <方法>
    1.情報提供と共有のための小冊子を作成、配布。
    ・2000年1月「当院で行なわれている情報開示、インフォームドコンセント」を作成、当院で行なわれている医療、18項目について掲載。
    ・2001年改訂版を発行、20項目を掲載。
    ・2003年改訂版「この病院をよりよく知っていただくために」を発行、29項目について掲載。
    2.冊子中の「全ての投書の回答つき公開」・「病棟患者さんトレース制度」の対応。
    ・回答つき投書の公開は病院利用者及び地域の人々との対話のために公開。内容を「施設・機能」、「接遇」、「待ち時間」、「情報提供」、「入院給食」の5項目に分類し、対応。
    ・「病棟患者さんトレース制度」はより良い病棟への改善のために退院間近な患者さんに入院中、気づいたことを聴衆。
    <結果及び考察>
    情報公開と情報共有を目的に小冊子を作成、配布した事は医療を受ける側が、病院の方針や提供されている医療サービスについて、その項目や内容を詳しく理解する事ができ、患者さんの自己決定権の援助、医療に対する不安の軽減や安心感につながったと思われる。また小冊子によって病院への意見、苦情、感謝の気持ちを伝える方法を知った事で今迄、極端な不満か大感謝、大感激した時だけだった投書がちょっとした疑問や不満も投書に加わり「患者さんの声」に寄せられる投書の量が増加、また、「病棟患者さんトレース制度」の意見も多く聞かれる様になったがこれは医療サービスの質が低下したわけではなく顧客の期待レベルが向上した事と、積極的に医療の問題に取り組む姿勢の表われと考えられる。
    「病棟患者さんトレース制度」による患者さんの意見は「病院の向上のために」と前置きしてのクレーム発言が今後のサービス向上に生かされる有益な情報であり病棟にとっては、患者さんの生の声として師長を通してダイレクトに伝わり、ふり返りや改善のための貴重な意見となり、患者さんにとっても病棟への意見が言える有意義な時間となる。この時、医療者側への感謝の気持ちも伝えられる。顧客と問題点を共有する事によって、業務面、意識面において病院全体のCS向上につながり、しいては医療者側の満足向上にも結びついた。
    <結論>
    ・小冊子による情報共有はCS向上につながった。
    ・クレームはCS向上のための糧ととらえ、今後の改善に生かす事が重要である。
  • 萩野谷 充江, 佐々木 麻恵, 根岸 裕子
    セッションID: 1C08
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     外来における医療の質の改善目的で、患者の意見を聞くと「待ち時間の長さ」が問題の1つに挙げられている。現在、当外来は予約制の導入がされていなく、新患・再来患者は同一医師の診察を受ける。初診の患者は問診表に基づいて諸検査が実施される。初診・再診混合診察により、検査・処置等が入り待ち時間は、患者個々により大きく差が出てしまう。今回、初診患者の時間を把握することにより、複雑性と待ち時間のながくなる原因を明確にしたいと考え、調査研究した結果を報告する。
    研究目的 泌尿器科初診の待ち時間の実態調査及び待ち時間の原因を明らかにする。
    研究方法
        1.調査期間 平成16年7月1日-8月31日まで
    2.調査対象 上記期間中泌尿器科初診患者
    3.調査方法 受付開始から診察終了時間までを受診時間とする。
    4.分析方法 1)時間別・曜日別・に分類検討
            2)最も待ち時間を要した患者に対し要因を調べる。
    結  果
     待ち時間平均 7月62.72分 標準偏差48.87
    8月62.68分 標準偏差46.00
     受付時間別  一番短い時間帯7月・8月 10時01分-10時30分
    7月 50.93分 8月 53.15分
    一番長い時間帯
    7月 10時31分-11時 81.26分
    8月 9時31分-10時  78.75分
    曜日別 一番短い曜日7月木曜日58.20分 8月土曜日45.00分
    一番長い曜日7月金曜日96.00分 8月水曜日83.117分
     考  察
       時間別・曜日別に検討した結果、7月・8月に共通したことは、時間別の10時01分から10時30分の時間帯に受付した患者の待ち時間が少なく二層性を示している。前半の山(9時30分-10時)の部分は再来患者の検査介助にて看護師の一人は不在となる。後半の山(10時31分-11時)の部分は診察開始が9時30分となり、再来患者の処置・検査と初診患者の検査が重なり、処置検査室が一つであることが原因であった。
       改善策として予約検査を組む場合、予約時間をずらす、一日の予約人数を決める。尿流量測定においては、移動距離があることから、当外来にてお茶などのサービスを行う工夫をする。また、医師と話し合いながら検査や処置の時間を決める必要もある。
       厚生労働省の統計によると「待ち時間が30-60分未満で35.2%、60-90分未満で49.4%の人が不満を抱いている」となっていることから今後の対策が必要である。
    結  論
       医療者側が考えていたより実際の待ち時間は短く62.7分であった。厚生労働省の統計によると当院の待ち時間は長いと言えた。受付時間帯により待ち時間の変動が見られた。時間帯を平均にする対策をとり、患者に「待った」と感じさせない環境作りが必要である。
  • 伊藤 洋二, 山本 直人, 伊藤 秀治, 小島 伸平, 岩井 愛子
    セッションID: 1C09
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    今日、急性期病院においても癒しの環境作りに取り組み、患者満足度を向上させることが求められるようになった。当院では平成16年3月、患者および家族が医療情報を自由に検索できる「体と健康プラザ・患者図書室」を開設し、一般図書、医学図書の貸出しやインターネット(以下ネットに略)による情報提供サービスを開始した。
    ここでは患者及び家族に対し、入院療養生活において図書およびネットにより医療情報を提供し、患者とともに治療を考え、同時に入院環境に癒しを提供するため、一般図書、絵本、写真集、さらに最近CDブックを加え、貸出を行なっている。開設一年を経て、その利用状況等を分析し報告する。
    【方法】
    院内に図書室を新設し、ネット端末2席、読書席4席、蔵書約2,500冊(平成17年4月現在約4,000冊)の設備を設け、常駐係員1名を置き平日10時-17時を開室時間として行なった。
    【結果】
    利用状況:月平均約300名、一日平均15名の利用があった。
    また時間帯別の利用者数は、午前中2時間で1日の40%を占め、午前中の利用度が高かった。
    癒しの環境面での利用:図書については、職員より話題の図書が相次いで寄贈され、読書好きな患者、家族に好評だった。
    ネットでは様々な趣味嗜好により情報の閲覧が可能であり、また病院でネットが使えるということの新鮮さも相俟って好評だった。ただし、ゲームやメール、チャット等での利用は遠慮いただいた。またその他のネットの使用法として、小学生向けの学習サイトを、長期入院中の児童の自習に利用する使用法も有効だった。
    医療面での利用:図書については医学事典や専門書を多数揃え、初めに基礎的情報を得るのに使用した。特に年輩の方は初めはネットのディスプレイ上の文字より、書籍の紙上の文字を志向する傾向があった。また病名等を憶え違えていると、ネットで検索しても該当しないことがあるので正確な名称を確認するためにも情報検索の最初は医学事典が有用だった。ネットについて、検索内容においては、原因、症状、治療法、予後の注意事項、同病の患者が自ら作成したHPでの体験記、日常生活での工夫事項、便利な機器その他多種多様な情報が閲覧でき、画面印刷も可能であり利用者に好評であった。
    【結語】
     医療情報の提供は、患者の積極的、能動的な療養姿勢を支える要素の一つと考えられる。ネットの情報は日々更新されるものであり、今後よりよい情報を収集、提供する必要がある。
    療養環境の中でも癒しの要素は重要と考えられ、今後、医療情報の提供のみならず、「病気になったおかげで自分の世界が広まった」とプラス思考ができるような、新しい発見をしていただける「体と健康プラザ・患者図書室」を目指したいと考える。
  • 島田 敏之, 和田 忠男, 新井原 泰隆, 石川 雅也, 浅井 太一郎, 小野 尚輝, 三谷 登史恵, 大胡田 修, 大川 伸一, 楠崎 浩 ...
    セッションID: 1C10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    1. はじめに
     今までの本総会で放射線室で独自に構築してきたネットワークシステムについて、随時、報告を行なってきた。前回は、以前発表したCT・MRI・RIの予約など扱う総合予約簿及び一般撮影などの受付簿内で扱う8桁の患者ID(情報のリレーションによる属性取得ができる)をバーコード化してフィルム袋のラベルや撮影履歴の用紙に利用できるようにした。そのバーコードを読み取ることによって、フィルム庫の管理するフィルムにおいては貸出しや返却時にレントゲンフィルム用のデータベース(フィルム庫台帳)内のレコードに簡単にアクセスできるようにした。今回は、そのバーコード化を患者情報だけではなく、試験的にフィルムの受取りに関わる職員のID番号にも用いた。フィルム庫とは別にCT・MRI・RIや一般撮影の受付には、撮影および読影の終わったフィルムが置いてあり、そのフィルムの持ち出し時の受取り用サインにバーコードを活用できるようにした。
    2. 方法
     フィルムは、通常フィルム庫からの貸出しとなっているが、病棟や至急の検査などに対してはフィルム庫を通さずに、CT・MRI・RIや一般撮影の受付から直接行っている。持ち出す時には、その受付にあるパソコンの受取簿に職員IDを手入力するかカードリーダを通してサインするようにしている。受取簿は院内LANと接続し職員用データーベースを構築しているので、ID番号を入力するだけでそこから名前を取り出せるようにしている。今まで受取りをする際には、まず、検査の種類、検査日を選び、それから目的の患者のレコードを探して職員IDを入力していた。この一連の動作を人数分行わなければならなかった。また、一般撮影とCT、MRIなどの受取簿は操作方法が違うため受取りをするときには、混乱する場合もあった。今回、バーコードを使用するにあたって、一般撮影とCT、MRIなどの受取簿の統一性をもたせ、職員IDの読み取りを一回で済むようにした。手順としては、まず職員のID番号をバーコード化したものを読み取り、それからフィルムのバーコードを読み取ることによって目的の患者レコードを表示させサインが同時にできるようにした。
    3. 結果
     バーコードを職員IDに使用し、受付簿の統一性をもたせることによって、フィルムの受取り作業の混乱をなくすことができ、以前と比べて入力の簡略化ができるようになった。これらのことで受取り作業がさらに効率的になり、時間の短縮を図ることが出来た。又、一般撮影やCT、MRIなどの受付でのフィルムの貸し出し記録は職員個人のサインであるので、最終的にフィルム庫台帳に記録されるまでのフィルムの追跡がより詳しくできるようになり紛失等の際、探す時間の短縮に繋がった。
    4. 考察
     職員IDのバーコード使用はまだ試験的であり、バーコードをシールに印刷してそれを個人の磁気カードやネームプレートに貼り付けている。希望する職員が増えれば、個人の磁気カード自体にバーコードの表示を行ないたいと考えている。前回も述べたが、バーコードの使用を放射線室単独でのフィルム貸出しや返却時に使用するだけではなく、院内全体で規格化し用いることによってカルテや薬剤の管理などにも幅広く活用することが可能だと考えられる。また、カルテやフィルムの袋などには患者の氏名、生年月日、住所などが記載されており、個人情報保護の点から問題が無い訳ではない。この対策として患者ID(8桁の数字)とバーコードのみの表示にすれば十分対応可能であると考えられる。
  • 益満 ゆかり, 河合 尤子, 河合 初代, 二橋 佳子, 中川 忍, 土井 亜美, 鈴木 慎吾
    セッションID: 1C11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに〈BR〉 日曜日や夜間などは時間外とはいえ、私たち事務当直者は総務・医事・施設面において広く対応することが求めらる。特に医療費の計算は複雑なルールが多く、医事課職員でも算定に迷ったり、間違えてしまうことがある。今回、事務職員対象に時間外業務へのアンケートをとった結果、特に計算、緊急呼び出しなどに関して不安を持っている人が多いことがわかったため、分かりやすい時間外マニュアルの作成に取り組んだ。〈BR〉方法〈BR〉 計算分野での入力ミスの件数・点数(1か月)を調べたところ、処置、続いて手術時の薬剤算定ミスが目立ち、一か月間に85件、24,030点の算定ミスがあった。金額にすると240,300円にもなった。〈BR〉 事務当直室には各種マニュアルが準備されてはいるが、量も多く、分散しているためどこに何が記載してあるのか把握しにくい状態であった。特に計算に関しては、分かりやすいマニュアルを作ろうとすればするほどその量は膨大となり、検索も難しくなるため、平成12年の新築移転以来抜本的な見直しはされておらず、点数改正のときに追加・修正する程度であった。〈BR〉要因解析をし、総合判定で点数の高いものを最重要課題として取り組み、対策を立てた。まず、算定ミスの再発防止と個人の入力レベルをアップさせるため、時間外診療分の入力内容を毎朝点検し、間違い箇所と正しい入力画面をコピーしたうえで日当直者にマンツーマンの指導を行なった。また、わからなかったこと、困ったことを忘れないうちに記入してもらうよう、専用の用紙を設置・回収し、マニュアルへ反映させた。マニュアルはMicrosoft Wordで作成し、グループウェアを利用することによって、いつでもどこでも確認ができ、随時追加・更新ができるようにした。索引の作成はもちろん、目次、見出しマップ、意見をもとに作成したトラブルシューティングから、項目をクリックすれば該当箇所にジャンプできるようにするなど利便性を考慮し、随所に図・イラストを挿入するなど親しみやすいものを目指した。〈BR〉結果〈BR〉 最初にとったアンケートと同じ内容をマニュアル公開後に全員に再度実施したところ、計算、緊急呼び出し、会計の項目で不安がかなり減少し、件数に関しては84件から52件と38%の減少、点数比較では24,030点から18,189点(25%減少)へ、金額にして58,410円減少させることができた。〈BR〉考察・まとめ〈BR〉 検索しやすいマニュアルがあることによって得られる安心感から入力への不安と入力ミスが減った。また入力ミスを当直者に直接指導することで、計算に対しての意識付けができたのか、当直明け(またはその後)に分からなかったことを聞きに来る光景が増えたことを実感している。しかし、計画段階では項目を絞ったにもかかわらず、どこまでをマニュアルに掲載すべきかの基準を作らなかったため、現場からの要望が強く、多方面に渡るマニュアルにせざるを得ず業務量が増えてしまったことが反省点として挙げられる。〈BR〉 まだ完成版とはいえないため、今後もマニュアルのバージョンアップを図るとともに、入力ミスの再発防止のため、チェックと指導を継続していきたい。また入力方法を教授するだけでなく不明なことや困ったことなど、気兼ねなく相談できる職場環境を目指し、さらにわかりやすい時間外マニュアルづくりを目指していきたい。
  • 都竹 隆治, 中嶋 正樹
    セッションID: 1C12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
    近年、厚生労働省の医療行政の変革には目覚しいものがあり、医療を取り巻く環境が急速に変わる中で病院は生き残りを賭けた体質改善が求められる。その中の一つにEBMに裏づけされた医療の質確保のための標準化が挙げられ、この課題を患者さん中心に臨床的な実践方法で効率よく機能できるツールに、ISO9001がある。これは、グローバルスタンダードに準拠した国際標準化機構で、医療では患者さんが望む質の高い医療を提供できる業務を行なうための基準となる。そこで、当病院が一丸となりISO9001を習得するまでの経過、現状、並びに今後の課題を放射線部門について報告する。
    方法
    下記に示す手順で表及び文章を作成した
    1.放射線科業務のプロセス(伝票発生から検査終了、写真保管まで)
    製品(写真)が完成するまでには各部門が関与しており、おのおのの過程におけるスタッフの責任の所在を明確にし、その場面で起こりうる重大なミスを掲げ、一連業務の流れを表で示し、各部署に配布した。
    2.業務手順書
    受付ルール、患者接遇マニュアル、各検査マニュアル、放射線機器管理マニュアル、放射線科事故マニュアル、放射線科物品管理マニュアル、救急薬品管理マニュアルに大別し各マニュアルを作成した。共通なもの以外は、各検査室別に作成し、点検表などは各検査室に常備した。また、検査の担当が変更しても操作手順にあらかじめ目を通すことができるよう他のマニュアルはファイル化しスタッフルームに常備した。
    結果及び考察
    放射線科業務を検査ごと、並びに放射線科の概要を文章化することができた。各スタッフがマニュアル作成に携わることで共通理解ができ、周知徹底できたことで、患者さんへの対応、検査方法に個人差がなくなった。手順書は各部署で保管しているが、プロセスは、全部署に配布するため、他部署でも、放射線科の業務の流れが一目で理解できるようになった。同時に他部署の業務をも把握でき、業務が円滑にできるようになった。また、内部監査により、定期的にマニュアル、ルールの見直しを行ない、より完成度の高いものに仕上がりつつある。しかし、われわれの部門は多種多様の装置があり、避けられないことの一つに装置の故障があるが、毎日、点検マニュアルに基づいて装置ごとに始業点検を行なっているため、突発的な故障を除いて、早期に異常を発見でき対処できるようになった。今後の課題として精度管理、性能維持に関するマニュアルの作成の検討が必要とされる。
  • 山本 昌幸, 横山 敏之, 武山 直治
    セッションID: 1C13
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    個人情報保護法(法律)はあらゆる事業者が個人情報を扱う場合に守るべきことがらを定めており、医療機関にも様々な義務が課せられることになった。当院では昨年の12月より、法律への対応作業に取りかかった。作業はスムースにすすめられ、無事平成17年4月1日の法律の施行に間に合わせることができた。今回の作業を進めるにあたって、当院でこれまで取り組んできた ISO 9001(ISO)の仕組みが非常に有用であったので、その経過とともに報告する。
       経過:法律への対応は、昨年12月の学習会からスタートした。今年の1月には個人情報保護推進委員会が組織され、具体的な対応が進められた。委員会は初めに「個人情報保護・管理プロセス」を作成した。これは個人情報の保護と管理に関わる全ての業務を、個人情報の流れに沿って一覧表に整理したものであり、法律が求めている義務事項を全て網羅したものである。表の縦軸には、掲示や個人情報の発生・利用・管理・職員の教育・監査・危機管理など合計14の“大項目”が設定され、“大項目”はさらに合計29の“項目”に細分化された。表の横軸にはそれぞれの業務内容の概略とその業務内容を記載する文書名などが列記された。このプロセスの作成によって、修正や新たに文書化の必要な業務が明確になった。この後、修正や文書化の作業をおこない法律への対応作業が完了した。作成された文書は病院長の承認を得た後、法律が施行される4月1日に運用が開始された。
       考察:当院は平成16年3月に ISO を認証取得し、その後も有効に運用されている。今年の3月には最初のサーベランスを受審し登録が継続された。 ISO の認証取得によって、既に院内の業務内容は全て文書化され、文書や記録の管理手順も明確に規定されている。したがって、「個人情報保護・管理プロセス」が作成された段階で、法律への対応に必要な業務内容の全体像が明確化されただけでなく、かなりの業務は既に文書化されていることが把握され、作業が効率化された。また、業務の文書化と運用のながれも ISO で明確に規定されており、これに沿ってすすめることで作業はさらに効率化された。
       結語: ISO の認証取得によって得られた利点としては、全ての業務が文書化され文書や記録が管理されることで業務内容が明確にされたこと、また修正や改善の手順と流れが明確にされたことがあげられる。 ISO は、当院が今後も業務の継続的改善をすすめていくために必要な仕組みであり、今回のように様々な変化に対応するうえでも非常に有用であることを実感した。
  • 原 明子, 神谷 順一, 宇野 修二, 伊藤 みち子
    セッションID: 1C14
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当院は現在、平成19年度の移転に向け、準備を進めている最中である。こうした中、ソフト面の強化、特に千名を超える職員(正職員以外含む)の改善意識の醸成を目指し、平成15年度には病院機能評価を受審、平成16年度からはグループ活動の実施と、毎年、病院をあげての改善活動に取り組んでいる。以下、その取り組みと考察について述べる。
    〈経過〉当院ではTQM活動を、「病院全体で、質管理の考え方や手法を用い、継続的に改善・質向上を行なうこと」と捉え、グループ活動(小集団活動)をその実践方法の1つと考え導入した。グループ活動により、職員が現状に対する問題意識を持ち、個人と組織の問題解決能力を向上し、継続的な体質改善を目指している。
    活動は、部署ごとに6・7名のメンバーで、身近な問題について、問題解決手法に沿って、客観的データに基づき改善を行なう。活動はエントリー制で、年度ごとに参加グループを募集し、1チーム1年に1テーマに取り組むという方法で行なった。
    グループ活動の推進には、コンサルタントを導入するとともに、各職種19名の職員で構成された業務改善委員会(委員長:副院長)が中心となり進めた。
    平成16年度はTQM活動・グループ活動の導入年度であったため、基本学習が必要であるとし、職員(パート・派遣等含む)にTQM活動・グループ活動の講演会を開催した。これには92.3%の参加があり、平成17年度以降は新入職員研修にて講義を行なうのみにした。
    基礎知識を身に付けた後、各部署よりグループ活動のリーダー候補者を募り、グループ活動の要である問題解決手法の実習を実施し101名が受講。養成されたリーダーを中心に活動を開始し、35グループがエントリーを行った。活動期間中2回、中間チェックとして活動の進捗状況に関するヒアリングを実施。年度末には活動を終了し、発表会を開催した。
    なお、発表会は休日1日がかりの開催であったが、357名の参加があり、笑い声や拍手の耐えない、和やかなムードで行なわれた。
    〈結果と考察〉発表会参加者に対して行なったアンケート(306名回収率85.7%)の結果、グループ活動で業務改善はどれくらいできたかという質問で「改善できた」という回答が84.2%、部署内や他部署とのチームワークは向上したかという質問で「向上した」という回答が63.8%、今後もグループ活動は必要かという質問で「必要」という回答が 75.3%であった。自由記載では、職場の人間関係が良くなった、特に医師・看護師の関係が良くなったとの意見が多数であった。また、活動に参画することで現状を見つめ直すことができ改善意識が高まったなどの意見も多く、問題に対する意識の変化がみられた。その反面、メンバーのみ活動していた、時間外の活動が多く負担が増えた、医師の協力が得られなかった、という意見も多く、こうした問題については平成17年度以降の活動で改善を図るよう検討を行なっている。
    以上のアンケート結果から、活動により職員の問題意識の向上、問題解決の素地となるチームワークの向上が図られたといえる。今後は継続的な体質改善につながるよう、グループ活動をより取り組みやすい方法に修正しながら継続していく。その他にも、ISOの取得やその他の手法の導入も視野に入れ、病院をあげての改善活動を継続していく。
  • 高橋 欣子, 板井 きみ, 菊地 誠
    セッションID: 1D01
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
    在宅介護支援センターを金沢市では「金沢お年寄り介護相談センター」と親しみある名称で呼んでいる。当院が市からの委託を受けて設置され丸5年になる。要援護高齢者及び要援護となる恐れのある高齢者とその家族を支援する機関である。定期的な家族介護教室や介護予防教室を地域で開催する中で、高齢者自身が取り組んだり支えあう力を引き出し、生き生きと地域で暮らせるような支援を目指す転換期となってきたと考える。今後多様化してくるニーズに対応できる相談センターを目指すために、今後の課題も含めて検討した。
    【研究期間】
    平成11年4月から平成16年3月
    地域状況(平成16年4月現在)
     大徳地区人口は22,826人 その内高齢者は3,059名で、高齢化率は13.4%(金沢市平均17.9%)で、市内でも54地区中45番目に高齢化率の低い地域である。
    【研究方法】
    5年間の当相談センターの活動についての実態を調査し、検討した
    【結果・考察】
    介護に関する事、サービス利用、医療、介護予防、経済的問題、生活に関する事等多岐にわたるが、最近は親子関係の問題などが多い。こういったなかで高齢者虐待などの問題もみられる。問題解決困難事例については、フォーマルとインフォーマル機関との協力体制や、地域ケア会議の開催等で、解決への努力を行なった。一事例ごとがセンターの今後の活動に役立つ機会となった。初めは地域でセンター活動の展開が、受け入れられるまでの苦労が多かったが、町会長や民生委員の定例会への定期的出席と、日常的な情報交換等を行なっていく中で、地区の各種団体にも周知され、相談センターの役割を理解してもらえるようになった。各種教室については、H12年からH13年度は、一方的な開催になりがちで求められる教室に至らなかった。しかし、継続的な運動、体力測定など個別的なこと、製作活動などテーマの工夫で、地域の中でも介護予防に着目され、高齢者自身も、自分自身の健康や介護予防に関する関心も高くなってきている。
    このように、地域に受け入れられるようになったのは、私達がより地域に関心を持ち、個々のニーズに応えていくことで、徐々に小さな輪が広まって、地域に理解が得られるようになったのだと考える。困難事例が発生し、地域を巻き込んだり、解決に至った経緯を知られることによって相談センターの活動が見えてきたのではないだろうか。
     金沢市は高齢者虐待防止のモデル事業を実施し力を入れており、相談センターへの期待も高まっている。高齢者虐待は、なかなか気づきにくい事であり、地域での無関心関係をなくし問題の早期発見ができるように、また、痴呆症状への早期発見、介護者への支援に努めることが重要である。
    おわりに
    地域との関わりや多岐にわたる相談に対応できるように、相談センター職員は、自己研鑽と資質向上に努める必要がある。また、ニーズがどんどん変わっていく中で、魅力ある相談センター事業が展開できるように高齢者や地域とのよりよい信頼関係を維持していき、相談センターが地域の身近な相談機関としての役割を保つことは重要である。
  • 荻原 弓弦, 宮澤 初恵, 山浦 さゆり
    セッションID: 1D02
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    当院の居宅介護支援事業は介護保険施行の平成12年4月よりスタートし、当初6名による兼任であったが、平成15年10月より専任化された(3名)。また、佐久病院関連では9つの居宅介護支援事業所(以下佐久病院関連ケアマネ連絡会とする)を地域にて展開している。今回居宅介護支援利用者773名に対し、入院、入所者を除いた658名を対象にアンケートを実施し、428名(65%)からの回答が得られたので集計結果を分析し報告する。
    【目的】
    自らのサービスの質の評価を行ない、より良い居宅介護支援サービスの提供をするため、利用者側からの満足度、サービスに対する評価、介護保険制度についての理解度を調査する。
    【方法】
    平成16年11月に、長野県から配布された利用者アンケート調査票をもとに、修正したアンケート(21項目の質問(1)事業所の内容と介護保険制度の説明(2)職員の対応とサービス利用の満足度(3)サービスに対する良いところ、不満や改善、自由な意見・希望)を訪問時に依頼し、無記名方式で郵送等にて回収を行った。集計結果は平成17年3月に利用者、事業者に報告を行なった。
    【結果】
    利用者背景としては男女比(男性45%女性55%)年齢(65歳未満16%,前期高齢者20%,後期高齢者64%)介護度(要支援5%,介護度1は34%,介護度2は21%,介護度3は15%,介護度4は12%,介護度5は13%)世帯構成(独り暮らし11%,高齢世帯29%,ニ世代20%,独身の子供とのニ世代15%,三世代以上25%)である。また、多くの利用者より意見を頂いた。居宅介護支援事業所への意見のみならず、サービス事業者、行政への意見も見られた。
    【考察】
    (1)ケアマネジャーの言葉遣いや態度などの対応については概ね良好で安心して暮らせるようになったという回答が多く寄せられた。ケアマネジャーが身近な存在になり、利用者意識の変化や介護保険制度に対する理解度・活用が定着してきている。(2)事業所についての説明(ケアマネジャーの交替、契約を止める場合、苦情相談)について理解されている方が少なかった。介護保険利用開始時は契約制度に対する不慣れ、介護に対する不安、新しいことを理解するのに困難な状況にあることを考慮し、繰り返し説明することが必要である。(3)ケアプランへの利用者の参加について不十分な結果がみられ、今後も計画作成時における十分な説明と同意による利用者の参画がよりできやすい工夫が必要である。
    【おわりに】
    利用者アンケートを通し居宅介護支援に対する満足と共に、様々な意見、苦情があることを把握できた。こうした意見を受け止め高齢者が要介護状態になっても、安心して住み慣れた家で生活できるよう支援していく。そのための質の向上に努力したい。
  • 諸橋 理恵子
    セッションID: 1D03
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     栃尾市は人口24,268人・高齢化率=約29.6%と全国平均を大幅に上回る高齢化・過疎化の進んだ地域である。(H16/9末現在)当病院では平成12年当初から居宅療養管理指導として歯科医師・歯科衛生士の訪問に積極的に取り組んできた。この度、介護予防の観点から口腔ケアを組み入れたケアプランを実践し、QOLの向上・改善がみられた事例を経験したので報告する。
    ケアプランの実際
    事例1.90歳 男性 要介護3 Rさん 慢性心不全    表1
    事例2.68歳 男性 要介護4 Sさん 脳梗塞(左半身麻痺)表2
    事例3.74歳 女性 要介護4 Kさん 筋萎縮性側索硬化症 表3
    結果
    (1)口腔ケアを習慣化することにより人間関係を修復する一助になる。
    (2)口腔ケアは利用者の意欲向上に効果がある。
    (3)口腔ケアは利用者との信頼関係を築く手段となる。
    考察
    介護保険が施行されて利用者は介護サービスを自らの意思で選択・利用する権利を得ることが出来た。しかしその一方で、サービスの種類も内容も制度の仕組みなど周知されていない事も多い。口腔ケアについても同様でどうやったらサービスを受けられるのか知らない利用者は多い。ケアマネージャーは常に新しい情報や知識を集め利用者に提示することで自己決定の手助けをしているのだと考える。
    光銭裕二先生の『かかりつけ歯科医』に求められる事の中に「他職種との連携がとれること」とある。ケアマネージャーとしても口腔ケアに関するスペシャリストと常によい関係作りをする努力が必要である。
    今回の経験で上記のような結果を得て口腔ケアはQOLの向上・改善に非常に重要な要素であると確信した。今後もこの経験を生かしケアプランに反映していきたいと思う。
       
  • 宮下 光子, 酒井 真理子, 飯塚 浩美, 町田 玲子, 中村 光江, 横井 由美子, 戸村 成男
    セッションID: 1D04
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    1(はじめに)
    介護の社会化を掲げて始められた介護保険だが、在宅介護の現場においては、今なお家族介護者の果たす役割は大きく家族介護者の献身的な役割意識に支えられているのも現実である。
    「ずっと住み慣れた家で暮らしたい」という要介護者の望みをかなえるためには、ケアプランによる在宅サービスの調整と同時に介護者のQOLを高める支援が必要と考える。
    そこで、本研究は、在宅介護者の介護負担感に関連するQOL要因を分析し、介護者および、要介護者が安心して在宅生活が継続できることを目的とする。
    2(方法)
    1)調査対象者:当居宅支援事業所利用者のうち調査該当者112名の中から承認が得られた69名。(調査該当者には倫理的配慮をもって趣旨・内容を説明した。)
    2)調査期間:2004年6月1日-2004年10月30日
    3)方法:質問紙に基づく聞き取り調査。
    4)質問内容:介護者、要介護者の基本属性
    WHO/QOL!)26、GDS!)15
    介護負担感の質問票
    3(結果)
    介護者の状況は、主に高齢の女性が身近な親族の援助をうけながら、外に仕事を持たずに介護に専念している状況であった。要介護者の状況は、後期高齢者80%を占めていた。主たる病名は脳血管疾患と、骨・関節疾患で認知症を併発している利用者が15%であった。介護度は、要介護3以上が70%を占めていた。
    質問票から、QOLの平均値は3.33であった。介護負担感は身体的QOLと負の相関(r=0.526、P<0.0001)が見られたが、心理的QOLと社会的QOLとは相関が見られなかった。介護負担感とうつは正の相関(r=0.537、P<0.0001)が見られた。うつ得点は平均4.16点であったが、6点以上のうつ傾向を示す介護者が27.5%であった。
    4(考察)
    以上の結果から、1)介護者の介護負担感は、身体的QOL要因によって大きく左右されることがわかった。介護に関する身体的QOL要因とは、腰痛、膝の痛み、睡眠不足等が挙げられる。これらの対策としては適度な介護休日と身体的に負担がかからない介護方法の指導、介護用品の活用等が考えられる。2)介護負担感が心理・社会的QOL要因に反映されなかったのは、介護者の殆どが高齢の女性であり、また、居住地域が農村部を含む地方都市ということから、介護に関する役割意識と地域性に由来するものと考える。
    5(まとめ)
    在宅介護者家族のQOLを高めるためには、1)介護者の身体的QOL要因に焦点をあてたアプローチが重要である。
    2)心理・社会的QOL要因については、社会構造の変化にともない役割意識や地域性が変化すると思われる、社会構造の変化に対応した対策が今後の課題である。
  • 小野 かおる, 石井 和子, 児玉 朱美, 菅原 あけみ, 佐藤 愛子
    セッションID: 1D05
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
    介護保険制度が実施されて4年半が経過。現在は医療、介護、年金等社会保障制度が大きな変革期にある。当院訪問看護においては、医療ニーズが高い癌末期の在宅療養者の利用が増加してきている。今回私たちは在宅での看取りを体験して在宅でターミナル期を過ごす家族に対し実践した看護プロセスをまとめ3項目について分析、訪問看護師の役割を再認識できたので報告する。
    研究方法
    期間:平成16年8月24日-平成16年9月2日
    対象:末期癌患者で在宅療養を希望した1事例
    研究方法:事例研究
    看護プロセスを1.患者の安楽面 2.家族の負担 3.医療者との信頼関係の継続の3項目について分析する。
    倫理的配慮:患者、家族に研究の主旨を説明し承諾を得た。
    事例紹介
    患者:T氏、84歳、男性  職業:無職  疾患名:胃癌、甲状腺機能低下症、脳梗塞
    結果
    患者の安楽面に関する問題について
    本人は「手術して悪いところは、とってあるのに体の調子が悪い」と話し、病状について、不安を抱いていた。嘔吐が頻回であったが、寝たきりの状態で寝返りも困難であった。そこでエアーマットをレンタルしヘッドアップや注射を施行した。清潔援助として家族と相談し全身清拭・足浴等を一緒に行ない、褥瘡処置を継続した。
    家族の負担に関する問題について
    主介護者の嫁は、介護経験がなく、訪問時嫁と話をする機会を設け、不安なことについては一つづつ対処方法を指導した。またケアマネジャーと介護に関する情報交換をし、24時間連絡体制について説明。家族ができない部分はヘルパーへの依頼を勧めた。亡くなる前夜「痰がだせなくなり、息のつき方も少しおかしい様だ。」と電話が入り、このまま在宅療養を続けるか、再入院するか確認したところ、「一晩がんばってみます。」という返答だったので在宅死ということもあり得ることを伝え、もう一度家族で話合うよう指導した。翌朝訪問後息を引き取り、長男夫婦は、自宅で看取れて本当によかったと話された。
    医療者との信頼関係の継続に関する問題について
    いつでも連絡がとれ、訪問できることを説明した。死亡時、訪問看護師が訪問し、医師への連絡調整をして死亡確認し死後の処置まで同行した。病院との連携により、急変時も患者の情報を主治医に報告し、対応できた。
    考察
    在宅での看取りは病院と異なり、その人らしくその家らしい生活の場の空間で時間が流れ看護が展開される。今症例では、1.患者は住みなれた家で家族に支えられながらケアを受けられた。2.家族からは家で看取れて本当によかったと言う言葉が聞かれた。3.介護者、看護師、医師の信頼関係が強く、連携が上手く取れターミナルケアを行うことができたなどである。これはいつでもどんなときでも医師及び訪問看護師の介入や電話対応で、専門的な知識、技術を受けることで精神的な支えとなりそれが在宅での看取りを選択することにつながったと考える。
    このことから癌末期などの医療依存度の高い患者に対しては病院のシステムの構築と病院と訪問看護ステーションの連携が重要であり訪問看護師は、患者と家族の生活をサポートする役割を担っており、今後さらに往診などの地域医療や福祉サービスとの連携をとり訪問看護ステーションの向上につなげていきたい。
    まとめ
    訪問看護は、在宅での看取りを希望する家族、患者に対して行なう看護支援と相談窓口として活用され効果的であった。
    参考文献
    1)宮田和明.近藤克則.樋口京子:在宅高齢者の終末期ケア.全国訪問看護ステーション調査に学ぶ,2004.
    2)宮崎和加子他:看取りの看護,2003.
    3)吉富洋子:在宅での看取りをマニュアルを通して振り返る,2003
    4)鈴木和子.渡辺裕子:事例に学ぶ家族看護学.家族看護過程の展開,2001
    5)鈴木和子.渡辺裕子:家族看護学.理論と実践,2000.
  • 疋田 善平
    セッションID: 1D06
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    〔はじめに〕私は予防医療を旗印に僻地医療のあるべき姿を求め続けて34年間、ProgressivePeopleCare(PPC医療)に励むとき、本人・家族は勿論のこと、医療チームや地域住民もが満足して大往生された症例を経験して“満足死”を提唱する。以来、毎年毎年、満足死を主テーマで報告してきたが、今回は“死”の話をタブーとする文化を持つ我が国で、死の準備教育など思いもよらぬこと、出来れば、もっともっと“死”に関心を持っていただき、特に若者にも“死”について考えてもらいたく、満足死とハネムーンをテーマに症例を通して之等の関係を考える。
    〔症例〕
    (その1)100歳♀老衰で満足死された。魚屋を家業とし、殺生をして生活させてもらっていると皆に感謝しつつ、日頃から南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と極楽浄土を夢見て楽しく希望に充ち満ちて、周囲からも良かった良かったと旅立たれた。
    (その2)94歳♀親神様の元に行けると満足死された。息子が転倒、腰痛で入院時、妻は体力低下、老姑の世話は無理と3人が入院する。息子の退院時、母を病院に残すと痴呆が急増悪、病室を徘徊するので退院させられるが、家に帰るや田植えを手伝う程に。だが潰瘍性大腸炎を併発、ターミナルは鐘に太鼓の大騒ぎにも親神様の元に行けると大満足。
    (その3)63歳♀肝ガン、独居ターミナルも入院を拒否。汚物にまみれながら、母の墓のもとで死にたいと母の墓の見えるところで満足死する。子どもの頃から母と離れての生活で、母との絆が薄かったので非尊厳であっても自分の願う在宅死を選んだ。
    (その4)84歳♂漁業、老衰、自宅で満足死する。家族に囲まれてのターミナルに綺麗な船が迎えに来たと笑いを浮かべて満足そう。子ども等は「父さん乗っちゃいかん、乗っちゃいかん!!」と言うのに、ニッコリと笑顔で。
    〔むすび〕何れの症例も未知の処に行くのに、自らが望む、浄土であったり、親神様の元であったり、母の元であったりと、希望する処へ楽しく、歓んで、皆々様に感謝しながら旅立たれたのは、丁度ハネムーンに飛び立つ心とよく似ていませんか?満足死は自分が望み、皆様に感謝しながら、周囲の皆様に納得されながら旅立たれるのですから、等々考えると同じ死でも“満足死”することは、マイナスイメージでなくプラスのイメージでハネムーンのイメージと相通ずるものがありますから、もっともっと満足死が若者の日常会話になれば有難い。
  • 濱野 香苗
    セッションID: 1D07
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉対象者が介護保険制度を有効活用するためには、退院指導等に関わる機会の多い病院の看護職者の情報提供者としての役割が重要と思われる。そこで、長崎県の病院に勤務する看護職者の介護保険に関する知識を明らかにするために調査を行ない、長崎県内9介護保険圏域の比較を行なった。
    〈方法〉長崎県内の病院に勤務する看護職者で、調査協力に同意の得られた5311名を対象にした。平成15年8月、構成的質問紙を用いた郵送法による調査を実施した。分析方法はχ2検定を用い、有意水準を5%とした。
    〈結果〉性別は男性7.0%、女性92.9%であった。年齢は18-74歳で、平均年齢38.4歳であった。職種の内訳は看護師75.4%、准看護師23.1%、助産師1.3%、保健師0.2%であった。就業場所は5診療科以上の病院64.5%、3-4診療科の病院16.4%、1-2診療科の病院15.7%で、就業年数で多いのは5-9年18.6%、10-14年15.7%であった。教育機関は81.1%が専門学校卒業であった。
     介護保険の知識度は、内容を少し知っている70.3%、言葉は知っているが内容は知らない22.2%、内容を良く知っている6.6%、聞いたことがない0.1%であり、圏域間に有意差がみられた。介護保険の申請手続き方法を知っていたのは74.3%で、申請場所は68.0%が市町村窓口と答え、県庁窓口が3.9%みられた。申請手続き者は家族74.8%、本人62.3%、介護支援専門員29.7%、わからない14.0%であった。第2号被保険者も介護保険のサービスを受けることができるのを知っていたのは68.3%で、介護保険を受ける条件を正解したのは73.3_%_であった。利用料の1割負担を知っていたのは54.8%であった。申請手続き方法、第2号被保険者のサービスの受給資格、利用料の1割負担の各知識で圏域間に有意差がみられた。在宅サービスについての知識は多い方から、訪問看護83.3%、デイサービス79.7%で、居宅療養管理指導が一番少なく32.7%であった。介護保険に関する情報源は、勤務先62.0%、広報31.2%、テレビ29.3%が主であった。
    〈考察〉介護保険に関する知識度を佐賀県の看護職者と比較すると全体的に知識がやや少ないことが明らかになった。わずかではあるが介護保険について聞いたことがないと答えたり、申請場所を間違ったり、申請手続き者がわからない看護職者の存在は、退院指導等で介護保険についての具体的な情報提供を期待されている看護職者としては問題視すべきであると考える。患者や家族に正確な情報提供ができるように、種々の機会に介護保険に関する知識を増やすように努力する必要性が示唆された。
    〈結論〉1.介護保険の知識度は、内容を少し知っている70.3%、言葉は知っているが内容は知らない22.2%、内容を良く知っている6.6%、聞いたことがない0.1%であった。2.介護保険の申請手続き方法は74.3%、第2号被保険者のサービスの受給資格は68.3%、サービス利用料の1割負担は54.8%が知っていた。
  • 宮尾 真紀, 宮坂 恒子, 小林 美秀, 松井 孝枝, 児玉 映里, 矢澤 正信, 井上 憲昭
    セッションID: 1D08
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>
     筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)などの神経難病の患者たちは療養場所として可能な限り在宅を望まれるが、症状の悪化に伴い重度の医療・介護を要するようになると、病院での入院療養となることが多い。一方、介護老人保健施設(以下、老健)は介護保険下に在宅療養支援を目的とする施設であり、関連の福祉サービスを利用することにより重介護の難病患者の在宅生活も支えることが可能である。我々は前立腺癌を併発した進行期ALS患者の老健での関わりから在宅復帰までの過程を通じ、神経難病ケアに対する支援ネットワークの重要性と今後の課題について報告する。
    <症例>
     対象 N・Y氏73歳男性。臨床診断はALS、前立腺癌。家族構成は長男、長男の嫁、孫三人。主介護者は嫁。H4年ALSと診断。H14年当院紹介時には会話困難で意思伝達はパソコン等を使用し、移動は車椅子使用。球麻痺による嚥下障害もあり時間をかけて何とか経口摂取可能で、両上肢躯幹筋に高度の筋力低下があった。H15年10月泌尿器科受診。進行期の前立腺癌と診断。
    <介護保険下での関わり>
     H16年6月から11月まで主介護者の出産のため当施設入所利用。入所時筋力低下著しく全て日常生活動作は見守りから一部介助を要した。しかし本人はスタッフの介護に頼らずあくまでも自信の残存機能を活かし生活したいと切望、そうすることで身体面、精神面の安定を図っていた。特にトイレへの移乗は30分もかけて行なっていた。しかしこの状態では、主介護者が出産直後から在宅介護を行なった場合、介護破綻を来たすと予測。その回避のため、施設内外のスタッフによるカンファレンスを繰り返した。主治医から胃ろうや気管切開について提案があったが本人の拒否が強く実現せず。
     11月癌の進行に伴い膀胱留置カテーテルを使用。これにより介護量が軽減。在宅復帰のきっかけともなり訪問看護を導入するとともに週2回の通所デイサービスも利用。老健への短期入所予定も組み込み在宅復帰を実現した。在宅では、訪問看護師やケアマネージャーが中心となり本人、家族の不安に対し相談に応じた。12月下旬、ALSの進行により嚥下が不能となりH17年1月本人希望で胃ろう造設目的の入院となったが、前立腺癌の全身転移もあり3日後に永眠。
    <考察>
     N・Y氏は在宅生活への強い希望を持ち、医療のみに頼るのではなく介護中心の療養環境を続けてきていた。そのため、老健を基点として本人の意向にそう生活介護が提供でき、医療・福祉が連携し合い地域のサービス支援により在宅療養を最期まで実現できたと思われる。しかし一般的には神経難病や癌患者は病状の進行により医療依存度が増した場合、現状では老健入所中に病状緩和や癌の治療が積極的に行ないにくい。一方、介護保険制度改正に伴い老健も難病疾患や末期癌患者の受け入れが増加すると予測される。そのような症例に対しても患者と家族への精神的支援を行なうとともに、地域福祉サービスネットワークと医療との有機的な連携を組みながら、在宅で過ごしたいという患者の思いを実現することが必要と考える。日々変化する状況に対し適切な時期に必要な支援体制を調整し、制度や人的資源を取り入れることによって病院、施設、在宅を問わず途切れのない生活支援をすることが地域の病院、施設として重要な業務だと実感した。
  • 渋谷 不二子, 藤原 悦子, 横井 ちあき, 嵐田 聡子
    セッションID: 1D09
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    研究目的
    視覚的表現(文字・配色への配慮・写真の活用など)を用いることで見やすい在宅指導パンフレットとなることを明らかにする。
    研究方法
    1.研究デザイン:調査研究
    2.研究対象:4階第1看護室スタッフ及び在宅指導パンフレットにより指導を受けた介護者
    3.研究期間:平成16年2月から9月
    4.研究場所:4階第1病棟
    5.方法
    1)在宅指導パンフレットを作成する。
    (1)全10項目を項目別に作成する。
    (2)A4用紙を使用し、文字を大きく、字体は楷書体を用いる。
    (3)写真を添付する。写真は被写体のサイズと配色に気をつけ、写真の脇に注釈を入れる。
    (4)改定されたパンフレットは従来通り、項目ごとにページ別にして、在宅指導パンフレットに基づいて、個別に必要な項目をピックアップし、一冊に閉じて完成させる。
    (5)左隅にパンチ穴を開け、紐を通し、ベットサイドに吊り下げて在宅でも活用されるような配慮・工夫を施す。
    2)介護者へ在宅指導パンフレットを使用する。
    3)パンフレットに関するアンケートを作成(使用前後同じ内容で用いる)し、無記名で4-1スタッフへ実施する。
    4)指導を受けた介護者に対し、面接法にて在宅指導パンレットに関する聞き取り調査を行なう。
    6.分析方法
    パンフレットへの評価を基に、改善点及び今後の課題を見出す。
    結果
    1.写真付き在宅指導パンフレットを介護者5名に使用した結果、「写真の注釈が分かりやすい」「手順や写真が分かりやすい」「退院後も繰り返し見たい」という感想が聞かれた。
    2.写真付き在宅指導パンフレットのスタッフへのアンケート調査結果、全体的に70.9%が「良い」、残る少数が「大体良い」という評価を得る事ができた。最も改善できた項目は複数回答で多い順から「写真」95.4%、「配色」63.6%、「文字」31.8%、「文章」22.7%であった。
    結論
    1.視覚的表現を用いることにより、高齢主介護者にとって見やすい在宅指導パンフレットになる。
    2.写真付きの在宅指導パンフレットは、介護者の知識・技術の習得を円滑にする。
  • 佐々木 恵子, 佐藤 稲子, 三浦 貞子
    セッションID: 1D10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     高齢社会と核家族化が進む中、入院し治療を終えても寝たきり状態になると、自宅への退院が困難なケースが多い。療養病棟では退院先の受け入れ準備が整うまで、残存機能の維持・拡大の為の看護を提供してきた。 開設からの2年間を振り返り、療養病棟としての機能と看護の成果について現状と課題を報告する。
    【方法】
    当病棟入院患者で退院、転棟した、開設1年目の患者191名と2年目の患者110名について、転帰先・施設へ退院した患者の家族背景・療養病棟入院期間を比較検討する。
    【結果】
     1年目に退院、転棟した患者191名の内訳は自宅28%、施設34%、一般病棟への転棟29%であった。2年目、110名の内訳は自宅34%、施設18%、転棟40%であった。 施設入所した患者の家族背景を見ると、1年目は家族同居40%、1人暮らし33%、2年目は家族同居60%、1人暮らし25%であり、家族と同居している患者の施設入所が増えている。療養病棟入院期間は1年目、1か月未満34%、2か月未満26%、3か月未満13%であり、73%が3か月未満で退院していた。2年目は、1か月未満40%、2か月未満31%、3か月未満8%であり、79%が3か月未満に退院していた。
    【考察】
     転帰先について、施設入所者が2年目は1年目に比べ減少し自宅退院が増えている。施設入所者が減少したのは、開設当初は、新たに開設される施設もあり入所できていたが、どの施設にも空きがなくなり、入所困難な現状の現れと考える。施設入所が困難な状況から、介護力のある家族に対して,スタッフ1人1人が家族の相談に乗り在宅に向けて指導ができるようにした。
     施設に入所した患者の家族背景は、1年目に比べ2年目には家族と同居している人が増えている。これは同居している家族が居ても、施設入所を希望し転入してくる家族が増えていることを示している。介護保険が導入され浸透するに従い、施設入所への抵抗感が薄れたことが施設入所希望の増加に結びついているとも思われる。
    入院期間は2年目には8割近くが3か月未満で退院している。これは転入後に主治医から出される療養病棟診療計画書の入院期間、療養方針を基に看護、リハビリ、ケースワーカーが関わり計画を立て家族へ説明したことにより、在宅や施設入所に向けて家族が行動している結果と考える。 転棟患者が増加しているのは、一般病棟の医師が療養病棟機能を理解し活用し、一般状態が悪化し治療が必要な時は速やかに当該病棟へ転棟し、治療を受けるシステムが定着した為と思われる。
    【まとめ】
     2年間の転帰先の動向から、自宅退院の要件としてはADLの自立が大きく関与しており、その患者の持てる機能をアセスメントし生かすことが,看護の役割として重要と考える。
    【今後の課題】
    1.安全な看護を提供しADLの向上に努める2.家族の介護状況を踏まえ、関連機関と連携を図り退院先の検討を勧めていく必要がある。3.スタッフ1人1人が保険医療制度の知識を得、家族指導をすすめる。
  • 宇井 光, 柴田 ゆかり, 鈴木 美和, 澤田 美保子, 鈴木 梨恵, 大山 康子
    セッションID: 1D11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     当院は高齢で身体的介護を必要とする者が多い。介護者の中には常に付き添っている家族もいれば、全く面会に来ない家族もいる。家族の介護に対する思いを把握し介護負担の軽減と看護のあり方を考えるためにアンケート調査を実施した。
    対象及び方法
     平成16年11月1日時点で当院に入院している170名の患者の家族を対象に、介護に関する実態調査アンケートを実施した。
    結果
     対象者170名のうち、128名の回答を取得した。現在病院で付き添っている者は34%、付き添っていない者は65%だった。付き添っている者では、24時間と回答した者が一番多かった。「付き添い者」としては配偶者、娘、嫁、息子の順で、「付き添う理由」は、患者が付き添いを希望するが一番多く、自分(家族)で世話したい・一人にするのが心配が同数だった。付き添っていない者の中から、「付き添えない理由」としては、病状が安定しており付き添いを必要としないが一番多く、続いて看護師に任せている、仕事や家事が忙しいの順だった。また交通手段がない・家が遠い為と回答した者は少数だった。「介護に対する関心度」の質問に対しては、非常にあると回答した者が44%、「介護負担」についてはあまり負担に思わないと回答した者が一番多く、非常に負担に思うは少ない結果だった。「主介護者の続柄」は配偶者、嫁、娘の順であり、病院で付き添っている者と比較し、嫁と娘の順位が逆転している結果となった。
    考察
     アンケート調査から、付き添い者としては配偶者が一番多く、夫婦にとって互いに最も気がかりで心配な存在であることが考えられる。また嫁よりも娘の付き添いが多く、気兼ねなく看てもらいたいという思いがうかがえる。付き添い理由から、家族がいることで安心感が持てることや、患者の入院生活や治療に対する不安が大きいことが考えられる。また付き添っていない家族は様々な理由があり、多様な生活背景や価値観を持っているため、それぞれに応じた関わりを考えていく必要がある。介護の関心度については、非常に高く、家族も患者が心配、病状を知りたいなどの気持ちがあり、付き添いの後に安心して帰宅する家族もいるため、的確に病状や状況の説明を行ない、少しでも不安を軽減して安心感を与えることが重要であると考える。介護負担については、全体的に負担に感じていない者が多く、付き添っている場合でもあまり負担に感じていないという結果が得られた。家族にとって患者が大切な存在であり、負担というよりも支えていきたいという意見も多く、家族の絆を感じた。
    まとめ
     入院することは患者だけでなく、家族にも及ぶ影響が大きいことが明らかになった。そのため、看護師は患者の情報だけでなく、家族構成やキーパーソンの把握・家族の生活状況・介護状況などの情報が大切であり、こうした背景を理解したうえで、患者と相互に関わる家族の生活状況や心理過程、援助の必要性を慎重にアセスメントし、適切な支援をしていく必要があると思われる。
  • 太田 崇, 三島 研吾, 鳥居 美希, 山本 梓, 市川 貴章, 石川 奈帆子, 樋口 純子, 桑原 毅, 林 琴美, 当山 清紀
    セッションID: 1D12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/22
    会議録・要旨集 フリー
     ユニット化や個別レクリエーションが脚光を浴びているが、当施設では入所中の利用者の合同レクリエーションについても試みた。その準備やトラブルに対する取り組みを紹介する。
    【目的】
     殆どの利用者がかつて訪れたことのある観光地に出かけ、普段と違った場所で大勢の仲間と食事や温泉を楽しみ、忘年会ムードを味わってもらう。
    【対象と方法】
     入所者90名中79名。同行職員58名。会場は施設から車で1時間程の海岸にあるTホテルで、バスはリフト付バス3台と、観光バス2台を準備し車椅子44台と休憩用折りたたみベッド等も搬送する。
    <企画マニュアル>〈下見〉1か月前に行事委員が下見を行ない、バス移動の経路や散歩道の路面の状況、設備の配置、食事の種類や味付け等を確認する。〈スタッフの役割〉排泄介助、バイタルサインチェック等の状態評価、利用者誘導、バス乗り降りの誘導などについて役割を設定しその変更修正は必ず行事委員に連絡して行なう。〈班分け〉要介護度のバランスを考慮し、食事後の入浴・カラオケ・散歩等の予定により、利用者4-5名とスタッフ2-3名からなる班分けを行なう。〈食事時の対応〉配膳は全員に同時に行い、刻みやミキサーの処理はその都度行なう。〈入浴の対応〉手摺り利用で階段昇降可能な15名の温泉入浴は班担当者が介助する。〈体調不良時の対応〉控え室を用意するとともに、近隣の病院に緊急時の受け入れを事前に依頼する。<不参加利用者への対応>日勤スタッフ4名と遅番3人が施設に残る利用者に対応し、当日の入退所は受け付けない。
    【結果】
     移乗困難な利用者は車椅子固定可能席を使用(21台分)し、乗車、下車は40-50分を要したが。移動時間は予定より短く、到着後に班単位の行動で近辺を散策する余裕ができた。介護のバランスを考慮した利用者とスタッフの組み合わせで配膳・食事介助を行ない、刻み食やミキサー食の処理は主に栄養科スタッフが対応、指示した。人手が足りなくなったテーブルは近くのスタッフが応援する必要があった。控え室は体調不良を訴えた2名に対し吸痰や医師による診察に使用した。また、おむつ交換時にも使用した。入浴の介助はスタッフ:利用者=1:1.5であり展望風呂を共に楽しむには充分であった。集合のばらつきで帰りの乗車順番が前後したのはリーダーと実行委員の打ち合わせで調整することが必要であった。施設に残った利用者に対する担当スタッフによるケアでは事故は起こっていない。
    <アンケート>
    短期記憶が良好な利用者47名から以下の回答を得た。
    1.日帰り旅行は楽しかったですか?はい/40名、いいえ/5名
    2.楽しかった内容
    バスでの移動3名、宴会料理31名、カラオケ20名、散歩22名、温泉6名
    3.楽しくなかった内容。
    バスでの移動5名、宴会料理1名、カラオケ2名
    【考察】
     今回の施設外レクリエーション企画に対する利用者の反応はおおむね良く、「昔の社員旅行みたいで良かった」などの感想も得られた。大集団で行なうレクリエーションであっても、場面ごとに役割や班分けを細かく設定しておくことで十分に対応することが可能である。混乱なく実施するには行事委員が流れの中で状況を把握して指揮、修正すること必要である。当施設では少人数での遠足等も実施しており、今後大集団と小集団の満足度の比較検討も行なっていきたい。
feedback
Top