日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
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  • 永沼 晃和, 森田 雅弘, 花田 達矢, 林 拓磨, 大原 秀樹, 前田 淳一, 近藤 規央
    セッションID: 27-16
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉18F-FDG-PET 検査について,ファントム実験と 臨床画像の視覚評価を行い,投与量・収集時間の変化が画 質におよぼす影響について検討を行った。
    〈方法〉NEMA NU22001image quality ファントムを使 用し,バックグランド・収集時間を変化させ撮像を行っ た。次に5段階評価の基準画像を作成し臨床画像の評価を 行った。
    〈検討項目〉ファントム実験の画像に対し,体重あたり投 与量・収集時間の変化がコントラスト・均一性におよぼす 影響について検討した。基準画像の視覚評価と,体重あた り投与量・BMI 値との関係について検討した。
    〈結果〉コントラストに関しては,投与量と収集時間との 関係性は認められなかった。均一性に関しては,投与量が 多く,収集時間が長いほど均一な画像が得られる傾向を示 した。視覚評価に関しては,体重あたり投与量が少なく, BMI 値が増加するほど画質が低下する傾向を示した。
    〈考察〉コントラストに関してはカウント比が大きく影響 すると考えられるが,今回の実験法ではカウント比は変化 しないため関係性が認められなかったと思われた。均一性 に関してはカウント数のバラツキが影響すると考えられる が,体重あたり投与量の増加や収集時間の延長はバラツキ の減少につながるため関連性が認められたと思われた。視 覚評価については,体重あたり投与量の減少やBMI 値が 高いことは,全体のカウントが低下するため画質が低下す ると考えられた。
  • 強度変調放射線治療(IMRT)でなくとも高線量照射は可能である
    福原 昇, 松本 好正, 笹本 孝広, 長沼  敏彦, 熊本 隆司, 伊藤 和正, 飯村 高行, 水上 律子
    セッションID: 27-17
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈目的〉当院では放射線治療機器を更新した後,限局性前 立腺癌に対する根治放射線治療として高線量外部照射を実 施してきている。今回は照射技術を中心に当院での治療方 法を報告する。
    〈方法〉
    《使用機器》C アームライナック(三菱電機社 製),自走式4列マルチスライスCT アステオン(東芝 製)。寝台は放射線治療装置とCT とで共有されておりこ れら機器は180度の位置に設置(CT on rail system)され ている。
    《治療計画装置》ピナクルVer.7.3i。《治療手順》 治療装置同室CT にて放射線治療計画用画像を撮像する。 これを使用して治療計画を実施。前立腺部への放射線治療 は360度回転原体照射と左右からの固定2門照射を追加し ている。回転原体照射ではマージンは全方向5mm の均 一に設定している。左右からの追加照射は当初は左右対向 2門照射としていたが現在はC アーム角を頭側へ15度傾 けた位置で90~95度とそれに対称な位置から照射を実施し ている。追加照射の際には照射野の後方は直腸前壁部から 数ミリ残して残りの直腸はすべて遮蔽している。この方法 で作成した線量分布図を確認して必要な場合には再度照射 野を調整している。実際の照射の際には放射線治療装置同 室CT を利用した位置決めを毎回実施している。
    〈結果〉本法にて2005年1月から2009年3月まで194例の 前立腺癌症例に対して76Gy から線量増加を開始し86Gy まで治療を実施してきている。急性期有害事象は軽度の頻 尿のみであり重篤な有害事象の発生はない。
    〈考案〉本放射線治療照射技術はいわゆるIMRT とは異 なる。治療計画および検証は通常の放射線治療と同様であ り実施するうえで職員への負担も少ない。しかし得られる 線量分布は良好でありこれまでに重篤な合併症は認めてい ない。IMRT は放射線照射法のひとつでしかなくIMRT でなくとも前立腺部への高線量照射は可能である。
  • 米沢  恵, 大山  勝彦, 鈴木  昭義, 高田  知恵, 平井  正幸, 大原  潔
    セッションID: 27-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈目的〉土浦協同病院では常勤の放射線科医が診断と治療
    を兼任していたが,昨年4月より放射線腫瘍医が新たに常
    勤となった。そこで放射線腫瘍医が常勤となる前後におけ
    る治療方法や件数などの変化を比較検討した。また本年7
    月に稼働開始した更新リニアックによる治療方法について
    報告する。
    〈対象と方法〉放射線腫瘍医が常勤となる前(平成19年
    度)と後(平成20年度)とで,(1)患者数,(2)治療計画方法,
    (3)照射方法(1門~3門照射を二次元照射,4門照射以上
    を三次元照射とする),(4)照射門数の変化を比較した。
    また更新リニアックによるこれらの照射法についても比較した。
    〈結果とまとめ〉
    (1)患者数:放射線腫瘍医常勤前273名/302件,
    常勤後272名/291件
    (2)CT を用いた治療計画:常勤前8件/302件(2.6%),
    常勤後179件/291件(61.5%)
    (3)三次元照射の適応件数割合:常勤前7件/302件
    (2.3%),常勤後60件/291件(20.6%)
    (4)照射門数:常勤前11,212門,常勤後15,188門(+35.5%)
    昨年度の実績については放射線腫瘍医が赴任して間もな
    いこともあり,治療件数の推移には大きな変化はみられな
    かった。しかし,CT を用いた治療計画が増え,また三次
    元照射をおこなう件数の割合も増加した。そのため照射門
    数が増加し,技師の患者1人当たりに費やす時間も増えた。
    当院では本年2月よりリニアック装置が更新となり,
    この7月より更に高精度な照射法を導入した。そのため高い
    専門知識を有した放射線治療スタッフ(放射線治療専門の
    医師,技師,医学物理士,看護師など)の一層の充実が求められる。
  • 太田 光明, 蜂須賀 靖宏, 池ノ内 紀祐, 豊嶋 英明
    セッションID: 27-19
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉シアル化糖鎖抗原KL―6は,間質性肺炎に特異性 が高く他疾患との鑑別判断に優れ,活動性の間質性肺炎で は非活動性に比べ高値に分布し,間質性肺炎の症状改善や 悪化に伴い有意に測定値が変動するなどの利点がある。細 菌性肺炎との鑑別,関節リウマチに対するメトトレキセー ト使用中の間質性肺炎の鑑別に有用とされ,間質性肺炎の 診断補助に用いられている。今回,我々はKL―6の院内実 施を導入し,それまで5日間程度要していた測定結果を, 当日提供することが,臨床現場にどの程度有効であるか検 討した。
    〈対象と方法〉2008年3月から一般病院で使用可能となっ た,ルミパルスKL―6エーザイを用いて,KL―6測定の院 内実施を2008年7月に導入した。2007年7月から12月まで の6ヶ月間と,2008年7月から12月までの6ヶ月間にKL ―6を測定した患者を比較対象とした。
    〈結果〉KL―6の院内迅速測定は,間質性肺炎の早期診断, 鑑別に対し,より積極的に利用された。2007年は6ヶ月間 に全691件(計485名,男性243名,女性242名)に検査が実 施されたが,2008年は6ヶ月間に全934件(計465名,男性 201名,女性264名)に検査が実施された。科別にみると, 2007年は,呼吸器内科209件,整形外科139件,膠原病内科 189件,循環器内科90件,その他の科64件であり,2008年 は,呼吸器内科316件,整形外科209件,膠原病内科282件, 循環器内科77件,その他の科50件であった。2007に比較 し,2008年は軒並み検査依頼の増加がみられた。患者1人 当たりの測定回数は2007年の1.4回から2008年には2.0回へ と増加していた。とりわけ顕著な増加をみせた呼吸器内科 と整形外科の利用状況について,文献的考察を交え報告す る。
  • 便臭の軽減方法を試みて
    石川 みどり, 赤瀬 奈央, 森澤 純子
    セッションID: 27-20
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当院では年間約1,300件の大腸内視鏡検査(以 下CF)が行われているが,換気のしにくい密閉された環 境下でCF を行っており,便臭が検査室や廊下まで蔓延す ることが多い。スタッフは消臭スプレー,換気,吸引瓶の 洗浄などの消臭対策を試みているが効果を実感出来ていな い状況である。今回臭いの発生場所を特定することで消臭 効果が実感できたので報告する。
    〈方法〉臭い発生場所の特定調査・職員に対する臭気調 査・消臭剤の効果判定調査。
    〈結果・考察〉臭い発生場所の特定調査で吸引器排気口や 卓上吸引器付近が臭いの発生場所であることが分かった。 当院で使用されている吸引瓶は旧式で排気口が設けられて いる為,吸引瓶からの排液臭が常時室内に充満して今まで の消臭対策では効果がなかったのだと考える。 臭いは一度発生すると消臭することは難しい為,臭いが 発生する前に軽減する必要性があると考えた。消臭剤の選 択の際,吸引瓶の中に消臭剤を数滴垂らし吸引物から発生 する臭いを抑える方法を見つけ出した。その結果,消臭剤 未使用時には約3割の人が強い臭いを感じているのに対し て,消臭剤使用した時には強い臭いを感じた人はいない。 また,消臭剤未使用時には無臭と感じる人が少なかったの に対して,消臭剤使用時には約8割以上が無臭と感じてい る。このことから,吸引瓶に消臭剤を滴下する方法で消臭 効果を実感できた。この研究で9割が吸引瓶に消臭剤を入 れる事で消臭効果を実感し,全員が今後も吸引瓶に消臭剤 を入れた方が良いという結果が出た。消臭剤の選択やス コープに付着している便臭に対する臭気対策などの問題点 も残されており,今後も検討していきたい。
  • 鈴木 美穂, 伊藤 真由美, 蜂須賀 靖宏, 青木 則久, 亀井 仁美, 岡田 元
    セッションID: 27-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈目的〉現在一般的に使用されているインスリン測定試薬
    は専用分析機器を必要としTAT も長い。今回汎用自動分
    析装置で測定可能な試薬「サイアスINSULIN」(関東化
    学以下サイアス)を検討したので報告する。
    〈方法〉サイアスはJCA-BM2250(日本電子)にてメー
    カー指定の分析条件を用いた。比較対照法には専用機器・
    試薬を用いるAIA1800・ST E テスト「TOSOH」II
    (IRI)(東ソー:AIA)とルミパルスf・ルミパルスイン
    シュリン―N(富士レビオ:ルミパルス)を用いた。
    サイアスはNaF 血漿でも測定を行った。
    〈結果〉1.精密性:クオリトロールINSULIN(関東化学)を
    用いた同時再現性(n=10)は,低濃度(5.9μU/ml)
    でC.V.%=4.8,高濃度(19.8μU/ml)でC.V.%=3.7と
    良好であった。同試料を用いた日差再現性(7日間n=
    6,初日のみキャリブレーション実施)は低濃度C.V.%
    =3.9,高濃度C.V.%=3.3と良好であった。2.希釈直
    線性:高濃度試料を希釈し測定を行った。約100μU/ml ま
    での直線性を確認できた。3.共存物質の影響:共存試験
    用試料を用い,ビリルビンF:19.1mg/dl,ビリルビン
    C:19.4mg/dl,溶血ヘモグロビン:483mg/dl,乳び:
    1530FTU,アスコルビン酸50mg/dl まで確認を行った。
    溶血ヘモグロビンは自製溶血ヘモグロビン:380mg/dl も作
    成して影響を確認した。溶血ヘモグロビンはキット,自製
    共に混和直後では影響は認められなかった。しかし,混和
    後時間をおくと両試料共に添加濃度に比例した値の低下が
    見られた。その他の物質で影響は認められなかった。4.
    患者検体との反応性:当院検査室に提出された患者検体
    (n=50)を用いた。サイアス(血清)(x)との相関はAIA
    y=0.94x+1.40(r=0.99),ルミパルスy=1.04x+0.64
    (r=0.99),NaF 血漿はy=1.04x-0.67(r=0.99)であ
    り乖離検体は認められなかった。
    〈考察〉「サイアスINSULIN」は今回の基礎的検討にお
    いて良好な成績であった。TAT の短縮,採血量の減少,
    コスト削減が期待でき,日常検査に有用であると思われた。
  • 安田 直子, 中根 一匡, 後藤 武雄, 岩田 泰, 舟橋 恵二, 西尾 一美, 西村 直子, 尾崎 隆男
    セッションID: 27-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈緒言〉近年,百日咳の非典型例やワクチン効果の衰弱に よる成人罹患者の増加が報告され,重症化しやすいワクチ ン未接種乳児への感染が懸念されている。百日咳菌の分離 培養は診断法のゴールドスタンダードであるが,手間がか かり日常診療で実施されている施設は少ない。一方,血清 学的検査は迅速性に問題がある上,ワクチン既接種者では 判定が困難となる。 近年,検出感度や特異性が高く,なおかつ簡便で迅速な LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法と 呼ばれる遺伝子増幅技術が開発された。今回,百日咳の診 断法におけるLAMP 法の有用性を検討したので報告す る。
    〈対象と方法〉2008年4月~2009年3月の1年間に,激し い咳や長引く咳などの咳を主訴に当院小児科を受診した 316例(4例は重複)から鼻腔ぬぐい液316検体を採取し, 百日咳菌のLAMP 法によるDNA 検出と分離培養を行っ た。 LAMP 法はLoopamp リアルタイム濁度測定装置RT― 160C(栄研化学)を用いて行い,国立感染研細菌第二部 で作製されたプライマーを使用した。分離培養はチャコー ル寒天培地を用い,画線培養後37℃湿潤状態で1週間観察 した。培地上に発育した半球状に隆起する真珠様コロニー を釣菌し,グラム陰性桿菌,オキシダーゼ試験陽性,百日 咳_I_相菌免疫血清凝集のすべてに該当したものを百日咳菌 と同定した。
    〈結果と考察〉316例中20例(6.3%)がDNA 陽性であ り,百日咳と確定診断した。20例中15例から百日咳菌が分 離され,分離陽性例は全てDNA も陽性であった。確定診 断された20例中17例において,ペアまたは単血清の百日咳 凝集素価を測定し,「百日咳の血清診断基準案」(蒲池一 成,岡田賢司:小児科50,2009)に従って血清診断でき たのは41.2%(7/17)であった。LAMP 法の感度は分離 培養法より優れており,百日咳の有用な病原診断法と考え られた。
  • 中原 毅, 高野 真史, 小串 美由紀, 倉持 龍彦, 関 貴弘, 寺田 紀子, 福村 浩一, 上野 信一, 松井 則明
    セッションID: 27-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈症例〉46歳,女性,2009年4月16日より倦怠感出現。翌 日より症状悪化・胃部痛あり市販薬内服するも効果なく, 2日後に近隣病院受診し,溶血性貧血,血小板減少症があ り入院となる。その後TTP の疑いにてプレドニゾロン点 滴,新鮮凍結血漿(FFP)4単位輸血するも改善がみられ ず,PE の必要性から4月19日当院入院となる。翌日より PE を開始し11日後(PE10回目)LDH,間接型ビリルビ ンなど著明に低下し,黄疸や血漿廃液の潜血も徐々に改善 した。血小板数も治療開始前の0.2万/μL から6.4万/μL ま で上昇した。しかし,翌日の検査で血小板数が1.2万/μL と再び低下が認められたため,引き続き隔日でPE を施行 した。開始から25日後(PE17回目)に血小板数が23.5万/ μL まで上昇したため治療を終了し,ステロイド投与に よって経過をみた。
    〈考察〉TTP の治療に際しPE を施行していく上で,保 険適応による限りがあるものの,連日施行によって貧血や 神経症状の改善及び血小板の上昇など著明な回復が得られ たと考えられる。
    〈結語〉TTP の症例に対しPE は第一選択であり,治療 回数や副作用など全身状態の観察が重要であった。
  • 佐藤 智美, 中前 健二, 竹中 利尾, 近藤 裕香里, 山本 康数, 神谷 和志, 稲垣 雅志, 古田 邦彦, 筒井 克宏
    セッションID: 27-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当院では,2006年6月に輸液ポンプTE―161S
    を導入し,現在TE―161S,TE―171の2種類の輸液ポン
    プを使用している。
    今回,病棟よりTE―161S の閉塞アラームが頻回である
    と相談を受け,2機種において閉塞圧の変化を測定したの
    で報告する。
    〈方法〉TE―161S を3台(A,B,C),TE―171を2台(D,
    E)使用し,蒸留水にて流量25ml/h,50ml/h,100ml/h の
    ときの閉塞圧の変化を新品の専用輸液セットをセットした
    時,1時間後,2時間後,4時間後,8時間後,24時間後
    と測定した。さらに,TE―161S における閉塞圧設定M と
    H の場合の変化も測定した。
    〈結果,考察〉流量25ml/h では,TE―161S(A)は13時間55
    分で,(B)は17時間48分で,(C)は9時間24分で閉塞アラーム
    が発生した。TE―171(D) は閉塞圧設定M の基準値を4時間
    後の閉塞圧測定値より上回り,(E)では24時間後の閉塞圧測
    定値より上回った。TE―161S にて閉塞圧設定をH に変更
    しても(A)は13時間55分で,(B)は5時間55分で閉塞アラーム
    が発生した。流量50ml/h では,TE―161S(B)は16時間で閉
    塞アラームが発生した。その他,流量50ml/h,100ml/h の
    ときはTE―161S においてセットした時点より徐々に閉塞
    圧が下がる傾向にあり,TE―171においては徐々に閉塞圧
    が上がる傾向にあった。
    機種により閉塞アラーム検出のセンサ部分における構造
    が異なるため経時的な変化に差が生じたと考えられる。
    〈まとめ〉輸液ポンプのアラームが頻回に発生することで
    病棟においてスタッフの少なくなる深夜帯では他の業務に
    支障をきたす可能性がある。今回の結果より24時間ごとに
    チューブをずらす運用を検討しなおす必要があると考えら
    れる。また,機器の構造と閉塞特性に関してはメーカーと
    協力して更なる検討が必要であると考えられる。
  • 畑中 祐介
    セッションID: 27-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈背景〉平成20年4月1日より,医療機関等における医療 機器の立会いに関する基準が実施された。実施される前 は,当院では医療機器業者(以下,業者)が手術の立会い をしていた。そこで,臨床工学技士の業務を当院の方針に より見直し,新たに整形外科手術に取組んだことを報告す る。
    〈目的〉整形外科手術において,臨床工学技士に必要な役 割を手術室の看護師と考え取組む。
    〈方法〉TKA,FHR,THA などのインプラント出しや骨 接合手術などの外科用イメージング操作を行った。 インプラント出しは,各業者に勉強会をしてもらい術式 の流れやトラブル時の対応を身につけた。看護師の協力の もと一定期間,器械出しに入ることで器械の名前や器械出 し業務を身につけた。術前には,インプラントの数やサイ ズの把握をし,業者と看護師の打ち合わせに参加して手術 のポイントを聞くようにした。
    〈結果〉立会い規制実施前は,器械出し,記録,外回りの 3名の看護師が行っていたが,現在では外回りに臨床工学 技士がつき,看護師2名,臨床工学技士1名で行ってい る。 インプラント出しでは,整形外科手術の専門的知識を高 め,術式において医師や看護師と共に施行できるように なった。外科用イメージ操作おいては,初めは医師の思う ように動かすことができず指示をもらって動かしていた が,現在では手術の流れに支障がなく動かせるようになっ た。
    〈結語〉整形外科手術に臨床工学技士が取組むことによ り,手術がスムーズに行えることができた。 インプラントは,業者によって違いが幾つかあり, 日々,新しい物が出てくるので,経験を積んで勉強してい くことが大切である。 
  • 井上 若菜, 鈴木 景子, 石川 裕美, 中村 淑美
    セッションID: P1-A101
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉今までの授乳表は,褥婦から書きづらいとい
    う意見が多数聞かれた。そこで授乳表の時間を縦軸にし,
    枠を1日ごとに,新しいイラストを挿入,時間毎の色分け
    を行い,体重欄を設けるなどより使いやすい改定を試み
    た。この結果について実際に使用した患者に対してアン
    ケート調査を行い評価した。

    〈期間及び方法〉平成20年7月から10月に当院にて分娩後
    母児同室を行った褥婦の同意を得られた40名の褥婦にアン
    ケートを配布し調査を行った。

    〈結果〉回収率95%(初産婦29名・経産婦9名)
    結果は“授乳表全体”については書きやすい84%,書
    きにくい0%,どちらでもない16%。“1回の哺乳量の
    記入方法”については見やすい87%,見にくい0%,どち
    らでもない13%。“時間の色分け及び色合いについて”
    は見やすい79%,見にくい3%,どちらでもない18%。
    “体重が書けることについて”はよい92%,悪い3%,ど
    ちらでもない5%。“前日との哺乳量の比較について”
    は比較しやすい84%,比較しにくい5%,どちらでもない
    11%と改定に肯定的評価が大半であった。
    その他の感想として,授乳時間が把握しやすい(21人),
    授乳のリズムに慣れ,退院後も続けたい(21人),絵
    や色があり,楽しい気分で書ける(12人),育児に関心が
    持てた(2人),記入は面倒だったという意見(1人)もあった。

    〈考察〉1日ごとに区切って,時間毎に色をつけた事で,
    授乳時間の意識付けとなり,授乳のリズムに慣れた。また
    イラストの挿入や淡い色使いにしたことで,産後の疲労感
    やストレスを和らげ,楽しい気分で書けるという意見につ
    ながったと考える。この改定で母乳量の変化や児の体重の
    増加がさらに把握できやすくなり,母乳育児を積極的に行
    うきっかけとなるのではないかと期待する。

    〈まとめ〉肯定的な評価が大半であったことから,今回の
    改定が良い評価を持って受け入れられたといえる。
  • 武地 恵美子, 大森 和子, 水野 ひろ子
    セッションID: P1-A102
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉近年やせ願望からやせすぎの妊婦や低出生体
    重児が問題とされているが,この地域の妊婦はまだ体重増
    加が問題となっている。体重管理で入院する妊婦は,体重
    増加が,妊娠,分娩に及ぼす影響について,理解していな
    いことがわかった。現状では検診時に食事指導がされてい
    ない。そのため妊娠中期から食事指導を行うことで,妊婦
    の食事に対する意識の変化がみられないかと考え,食事指
    導を取り入れて意識調査をおこなった。

    〈用語の定義〉・妊娠中期:23週~35週。
    ・食テスト:食生活を振り返るためのテスト

    〈研究方法〉
    (1)対象:26週~28週妊婦39名
    (2)手順:20週の妊婦に第1回アンケート,食シートを配
    る。24週に食シートを回収,栄養士による食事バラン
    スガイドの作成。26週~28週の採血時,パンフレット
    と食事バランスガイドを用いて食事指導を行う。指導
    後に第2回アンケートを実施,1回と2回のアンケートを比較する。
    (4)データ集積・分析方法:指導の前後に意識調査と食テストを行い,
    ウィルコクソン検定で分析。
    (5)倫理的配慮:同意書を作成,検診時に説明し署名にて
    同意を得る。途中でやめても不利益にならない。

    〈結果〉食テストの内容は「食シーン」・「調理」・「食材メ
    ニュー」に関する項目で指導前,後に実施した。点数で集
    計した結果,指導後に点数が上がった妊婦が35名,下がっ
    た妊婦が4名いた。各項目でウィルコクソン検定を行った
    ところ3項目で有意差が認められた。「指導により食生活
    に対する考え方に変化はありましたか」の問には全員が
    「はい」の回答であった。

    〈考察〉同居率の高い地域に住む妊婦は家族の介入により
    体重増加傾向にあった。個別指導で背景を知り,妊婦にあ
    わせた実践的な指導ができ,食生活改善を引き出せた。真
    崎は「食の記録は妊婦の食への意識,関心度を把握するの
    に有効な手段である。」と述べている。食シートを記録す
    ることは自己の反省となる。個々の食生活にあわせた栄養
    士のコメントは,食への関心を高め,食生活に対する意識
    の向上になる。妊婦の食生活を正すことは,家族全体の食
    生活改善にも期待ができる。

    〈結語〉今まで妊婦に個別指導をすることがなかった。
    今回の研究により指導することは有意義であるという結果が
    得られた。
  • ~小児科看護師の立場から今後の課題を探る~
    川越 陽子, 大屋敷 祐子, 木村 幸子, 北嶋 喜代子
    セッションID: P1-A103
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉
    乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome
    以下SIDS)は,原因が未解明の疾患である。当院
    は地域小児救急の中核としてSIDS の症例に関わる機会が
    あり,当地域のSIDS の認知度と小児科看護師として
    SIDS を減らす為にどうすればいいかを探った。

    〈方法〉
    方法:調査研究(質問紙を用いた聞き取り調査)。
    対象:当院小児科を受診する生後1歳未満の乳幼児を持
    つ家族100名。
    アンケート回収率,有効回答率100%。
    調査期間:平成20年8月12日~9月25日。
    調査内容:
    1 対象の背景(児との続柄,子供の数,世帯状況(核
    家族・非核家族),母以外の養育者の有無)
    2 SIDS という用語を知っているか
    3 SIDS という用語を知った媒体(認知媒体)
    4 SIDS 発症のリスク因子(リスク因子)を知っているか
    5 リスク因子に対する対処行動(対処行動)の有無

    分析方法
    リスク因子の理解と認知媒体との関係をFisher の
    直接確率計算法にて検定。他は回答割合を百分率で分
    析した。

    〈結論〉SIDS の認知度は94%と高かった。認知媒体とし
    て本・新聞,母子手帳,ポスターの順に多く医療者は
    8.5%と少数。家族・その他のみの人はリスク因子の理解
    が低かった。リスク因子はうつぶせ寝,両親の喫煙が広く
    知られ対処行動も多くの人が行っていたが,その他のリス
    ク因子の理解度はあまり高くなく,対処行動もあまり行わ
    れていなかった。リスク因子を理解せずに対処行動を実行
    している人や理解しているが実行していない人もいた。看
    護師は受診や入院をきっかけに育児環境をアセスメントす
    る機会も多く個別に家族に対し積極的に啓発していく必要
    がある。
  • -パパカンガルーケアを導入して-
    磯 律子
    セッションID: P1-A104
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉近年母子の早期スキンシップを図り,愛着形
    成を促進する目的で,母親にカンガルーケアを行っている
    施設が多い。NICU ではパパカンガルーケアを行っている
    施設も多い。しかし産科では出生直後におけるパパカンガ
    ルーケアの研究が少ない。川島は「親へのカンガルーケア
    は,児を早期にわが子として実感でき,父性意識を高める
    ケアのひとつである。」と指摘している。
    そこで今回,パパカンガルーケアを行い,カンガルーケ
    ア実施前後に父親へ対児感情評定尺度(花沢氏の対児感情
    評定尺度)アンケートを実施し,父性意識の変化が立証で
    きるのではないかと考えた。

    〈研究目的〉母親のカンガルーケア後に父親にもカンガ
    ルーケアを行うことで,父親に及ぼす対児感情の変化を明
    らかにする。

    〈研究対象〉平成20年7~9月に当院でアブガールスコア
    8点以上の正期産児の父親,パパカンガルーケアを実施し
    た25例と実施していない25例(以下対象群,非対象群とす
    る)。

    〈研究方法〉
    1)対象群,非対象群25例と対象に,分娩前後に花沢氏の
    対児感情評定尺度とアンケートを実施(7~9月)。
    2)分析方法は表計算ソフトエクセルを用いてT 検定し,
    感想のアンケート集計を実施。

    〈結論〉カンガルーケアをやりたいと希望する父親が76%
    と大半であった。アンケートより,小さな身体で命があ
    り,暖かさを感じた(8名)という感想が一番多く,父親
    になった自覚を感じている。パパカンガルーケアは子ども
    との早期接触であり,沐浴などの直接触れる育児行動への
    自信につながった。
    分娩前後の対児感情評定尺度は,得点差が上昇したこと
    により,父親が子どもを肯定的に受け入れ,愛着形成を促
    す手段となった。
    パパカンガルーケアは育児に意欲的に関わるきっかけと
    なり,夫婦で育児を協力して行うことにより,夫婦の絆が
    深められる。
  • 近藤 春美, 岡元 ひとみ
    セッションID: P1-A105
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    小児に対する薬物療法では,服薬コンプライアンスが回
    復への重要な鍵となる。
    確実に内服してこそ効果が発揮される。
    粉薬(ドライシロップ・顆粒・細粒・粉末)の内服が困
    難な場合,剤型または色や味などが選択の問題となること
    が多い。
    小児科外来では,必要に応じて,また小児の嗜好に対応
    しながら医師が薬を選択している。
    しかし,実際には57%の小児が服薬拒否あるいは服薬困
    難を示し,家族も対処方法がわからず治療の経過を長引か
    せているケースが少なくない。そして,それは服薬コンプ
    ライアンスの低下に繋がることが懸念される。
    そこで,私たちは粉薬が服薬出来ない小児に対し原因を
    追究し,その対策を考案することで小児と家族の服薬に対
    する負担を軽減し,疾病の早期治癒をサポートしたいと考
    え,アンケートによる現状把握と粉薬の混ぜ合わせに対す
    る味の検証をおこなった。
    その結果,粉薬を飲みやすくする方法を家族に情報提供
    することで,89%の家族に小児の服薬コンプライアンスの
    向上に効果が得られた。
  • ?ICU入室患者の家族に対する満足度調査結果を通して?
    野島 美樹恵 , 小野 朋子 , 海老沢 弥生
    セッションID: P1-A106
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉脳神経外科病棟での緊急入院患者の家族を支
    援していく看護師の役割は重要である。そこで看護師が経
    験にとらわれず,家族看護ケアが提供できるよう「家族看
    護ケアマニュアル」を作成する為に,家族を対象に満足度
    調査を実施し現状調査を行なったので報告する。

    〈研究方法〉期間:2008年8月~12月。対象:9月,ICU
    に3日以上入院した患者の家族で同意が得られた11名。
    方法:看護師の家族への対応に関する質問紙調査を実施した。

    〈倫理的配慮〉個人情報の保護に努め,同意が得られた家
    族に実施した。

    〈結果〉調査の結果,満足度が比較的高かった項目は,「最
    善のケア(看護)が患者様になされていると感じられまし
    たか」では,満足であるが73%であり,「初めてICU に入
    る前に環境や面会についての説明はありましたか」では,
    満足であるが82%であった。
    満足度の低かった項目は,「患者様への接し方について
    教えてもらえましたか」では,不満であるが18%,「患者
    様に行われている処置やケアなど看護計画についてわかり
    やすい言葉での説明がありましたか」では,不満であるが
    27%であった。

    〈考察〉脳卒中は突然の発症が多く,意識障害や機能障害
    などによる家族の衝撃には計り知れないほど大きなものが
    ある。たくさんの点滴や医療機器につながれた患者の姿を
    見て家族は患者の状態の不安定さに一喜一憂している状況
    である。満足度調査の結果,危機状態にある患者と家族の
    心理状態を理解した患者への接し方の指導が不足している
    ことが理解できた。また,家族アセスメントを明確にし
    て,家族の必要としている援助ニーズに応えられるよう
    に,看護計画を立案していくことが重要である。今後,以
    上のことを織り交ぜたマニュアルを作成していきたいと考
    える。
  • 排泄パターンチェック表の活用で良眠を図る
    多田羅 美香
    セッションID: P1-A107
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当病棟は患者の半数が寝たきりでオムツを使
    用している。夜間,2時間毎にオムツチェックをするため
    患者から苦情を言われることがある。2時間毎にオムツ
    チェックをしても汚染のない時もある。そこで排泄パター
    ンチェック表を作成し1週間チェックした後,チェック表
    を基にオムツ交換ケア表を作成,使用した。その結果,
    個々の排泄パターンに合わせてオムツ交換を行えるように
    なり夜間のオムツチェックの回数が減少して睡眠時間の確
    保につながったので報告する。

    〈用語の定義〉オムツチェック:排泄の有無に関係なくオ
    ムツを開くこと。オムツ交換:オムツチェック時に排泄が
    あり交換すること。夜間:消灯後の21時から朝7時までと
    する。

    〈目的〉患者の睡眠を妨げている夜間の2時間毎のオムツ
    チェックを,患者の排泄パターンに合わせたオムツ交換に
    する。

    〈対象〉便尿意の無いオムツ使用患者
    〈方法〉
    (1)排泄パターンチェック表とオムツ交換ケア表を作成。
    (2)入院時に夜間の排泄の有無を1週間チェック表にチェック。
    (3)その後チームで話し合い,ケア表にオムツチェック時間を記入。
    〈結果と考察〉取り組み前は夜間のオムツチェックの回数
    は126回のうち実際に交換を行ったのは平均40回(合致率
    31%)であった。排泄パターン調査後はオムツチェックの
    回数44回中,実際の交換回数は41回(合致率93%)になっ
    た。オムツチェックや交換の回数が減少したため,夜間睡
    眠を妨げる事も減少したと考えられる。
    また看護師一人一人が患者の排泄パターンを意識して考
    えるようになり個別性のある看護につながったのではない
    かと考える。

    〈結論〉
    1.患者の排泄パターンに合わせたオムツチェックを行う
    ことは患者の睡眠時間の確保につながる。
  • ?当病棟で使用可能な術後せん妄シートの作成?
    林 英子, 繪幡 悦子, 前山 手稲, 村井 京子, 諸星 浩美, 坪井 声示, 玉内 登志雄, 牧野 典子
    セッションID: P1-A108
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉65歳以上の高齢者は術後せん妄を発症し危険行動
    を起こしやすく,当病棟の調査でも術後せん妄を発症した
    患者が25%みられた。術後せん妄患者に安全で有効な看護
    を展開するために,2006年に作成した術後せん妄シートに
    改良を加え,なおかつせん妄評価尺度の作成し併用する事
    で,せん妄に対する看護の統一が図られたので報告する。

    〈方法〉研究期間:2007年3月~2008年10月。研究方法:
    (1)2006年度版シートを改良し,2008年度版シートを作成す
    る。(2)高齢者への看護ケアモデル記載のせん妄評価尺度
    (ナース版)を参考に,せん妄評価尺度を作成する。(3)
    (1)・(2)を併用して活用後,病棟看護師にアンケート調査
    (質問紙自記式無記名調査)を行う。

    〈結果〉(1)2006年版シート結果,高齢者のせん妄発症リス
    クが高い事から年齢の点数を上げた。(2)せん妄評価尺度は
    術後せん妄に焦点を当てた為,せん妄発症時関経過,せん
    妄症状の変動を削除し2008年度版シートとの併用の為,身
    体的要因も削除した。(3)シート活用後のアンケート調査で
    は,術後せん妄に対する看護に意識の変化があったと答え
    た看護師は22名中21名であった。術後せん妄の経過が理解
    できた。患者の言動・行動に意識的に観察するようになっ
    た。早期に対応できたなどの意見があった。

    〈考察〉シートの改良とせん妄評価尺度の併用により術後
    せん妄に対する看護師の意識も変化した。またこれらの
    シートを活用することで,経験年数に関係なく看護の統一
    が図れ,術後せん妄を術前から予測し予防する事が可能に
    なった。
  • ~ココアの効果~
    高木 ひろ美, 湯本 恵美
    セッションID: P1-A109
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉脳神経疾患における寝たきり患者の多くは,
    意志表示ができず,随意的な排便が困難である。今回,食
    物繊維が含まれるココアを寝たきり患者に対して使用する
    ことで,排便コントロールに効果があるかを検討したので
    ここに報告する。

    〈研究方法〉
    1.対象者:脳神経疾患患者及び,寝たきりで経管栄養を
    施行中の患者,7名。
    2.研究期間:平成20年7月14日~10月29日
    3.方法:純ココア20g(食物繊維含有量4.78g/日)を
    湯50cc で溶いたものを2週間眠前に注入する。ココア
    注入前2週間と注入後2週間のデータを比較する。

    〈結果及び考察〉ココア注入施行後,患者の排便回数の増
    加,排便間隔の短縮,下剤使用頻度の減少,処置(摘便・
    浣腸)回数の減少という結果が出た。これはココアの注入
    によって,腸管の蠕動運動亢進,食物の腸内滞留時間の短
    縮及び,腸管内水分保持,ポリフェノールによる抗酸化作
    用などが働きかけたと考える。ココア注入後,患者の便の
    性状はコロコロ便~硬便が減り,普通便~軟便・泥状便~
    水様便が多くみられる傾向にあった。しかし,寝たきり患
    者の多くは努責する力がなく,まとまった量の便を出すこ
    とが困難な状況であり,便が柔らかくなりすぎることで少
    量ずつの排便となってしまったケースもあった。患者の年
    齢,体重,疾患なども様々であり,また精神状態,環境と
    いった生活そのものによって左右されやすいと思われる。
    今後の課題としては患者の状態に合わせたココアの注入量
    や投与間隔の調整が必要になる。今回の研究で,寝たきり
    者の排便状況を把握することができ,ココアを使った排便
    コントロールにより患者の負担軽減につながったのではな
    いかと考える。

    〈結論〉
    1.寝たきり患者にとってのココアの注入は排便コント
    ロールに役立つ一方法であった。
    2.患者の状態に応じてココア注入量を検討していく。
  • 円谷 由美枝, 藤元 悦男, 滝川 ハルイ, 早津 美奈子
    セッションID: P1-A110
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉精神疾患患者は便秘を合併している事が多
    く,殆どの患者が定期的に下剤を使用している。その原因
    として向精神薬の服用,長期入院による意欲低下や行動制
    限に伴う運動量の低下等が挙げられる。この研究でも,便
    秘により下剤を服用している患者が多い。中にはそれでも
    便秘を訴え相当量の下剤の追加,更には座薬・浣腸の使用
    を余儀なくされている。一般的に便秘改善には,食物繊
    維・水分・脂肪の摂取,十分な運動・排便時間が有効であ
    ると言われている。その中で十分な運動(軽い腹筋やスト
    レッチでも効果がある)に着目し,向精神薬服用患者の便
    秘に対し腹筋運動が有効であることを検証したので報告す
    る。
    〈研究目的〉向精神薬服用患者の便秘に対し腹筋運動が有
    効であるかを検証する。
    〈研究方法〉下剤を含む定期処方に追加下剤を使用してい
    る患者で,研究の主旨を理解し,質問に受け答えができ,
    文書にて研究の同意が得られる腹筋運動が可能な7名を対
    象に,平日の午前,午後に,爪先のぞき腹筋運動を行っ
    た。実施前後,追加下剤の使用状況を集計,日本語版便秘
    尺度表をもとに排便状態を評価し,比較・分析する。
    〈倫理的配慮〉研究の主旨について,又,腹筋運動は治
    療.看護において悪影響することはないこと,いつでも中
    断できることを書面と口頭で説明し同意を得た。
    〈結果・考察〉期間中の実施回数は163回で,対象者7名
    の平均参加率は85.9%であった。5点以上の高得点者を便
    秘傾向があると判断する日本語版便秘尺度表での評価点数
    の結果,実施前平均5.5点から4ヵ月後平均1.57点とな
    り,追加下剤の量は,全ての患者が減量できた。このこと
    から,向精神薬服用患者も腹筋を鍛えることで排便時に必
    要とされる腹圧が掛けられるようになり,また,腸が刺激
    され蠕動運動が増し排便に有利な状態になったと推測され
    る。
    〈まとめ〉向精神薬服用患者の便秘に対し腹筋運動が有効
    であったと言える。
  • 5事例に嚥下アセスメントスコアシートを用いて
    柿崎 美和子, 藤原 礼子, 佐々木 由貴子, 藤井 佐代子, 山中 正子, 阿部 比登美
    セッションID: P1-A111
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当病棟は脳血管疾患の後遺症である嚥下障害
    を持った患者が多く,平成20年4月から7月の間に16名中
    8名が嚥下障害のため経管栄養で退院されている。これま
    では,意識レベルや本人の意欲,うがいの状況などを医師
    や言語療法士と相談した上で経口摂取を開始していた。し
    かし,明確な判断基準がなかったために数回のムセや誤嚥
    で経口摂取を中止し,経管栄養で固定することが多くあっ
    た。

    〈目的〉
    (1)口腔マッサージを行い意識回復を促すとともに嚥下機
    能を高める。
    (2)伊勢崎市民病院が作成した嚥下アセスメントスコア
    シートで嚥下機能を評価し,エビデンスに基づいた経口
    摂取をすすめる。

    〈対象と方法〉
    脳血管障害で嚥下障害を伴うJCS1桁の
    患者5名(14病日以上経過した慢性期の患者)
    (1)モアブラシを使用し,1日3回口腔マッサージを実施
    する。
    (2)嚥下アセスメントスコアシートで,1週間毎と食事開
    始時の嚥下機能を評価する。
    8点以上より食事開始の目安とする。
    〈結果と考察〉口腔マッサージにより4週目にはキザミ食
    を自力摂取でき,不明瞭で少なかった発語も聞き取れるよ
    うになった。
    同様の方法により,全員のスコアの点数が上がり5名中
    4名の経口摂取が可能となった。このことから,スコアで
    嚥下機能を評価しながら経口摂取の見極めをし,嚥下機能
    の程度に即した食事内容の選択が5名全員の誤嚥性肺炎な
    どの合併症を起こさずに経過することができたと考えられ
    る。
    普段何気なく行っている口腔ケアの意識を少し変えるこ
    とで,患者の意識の回復や嚥下機能の向上に繋がる。

    〈結論〉
    (1)口腔マッサージは嚥下機能を高める。
    (2)口腔マッサージは意識回復の働きかけになった。
    (3)嚥下アセスメントスコアシートの活用で,嚥下機能を
    評価したことは経口摂取時期の見極めと食事形態の選択
    に役立った。
  • ~通院継続支援に向けて~
    浅野 順司
    セッションID: P1-A112
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉江南厚生病院では前立腺がんのおよそ80%が内分
    泌療法を行っている。内分泌療法は,使用する薬剤が高額
    なうえ,生涯を通して継続的な通院が必要となる。高齢者
    の金銭的負担・体力低下による通院困難が推察される中,
    通院をやめたいという声が聞かれるため,通院治療に対す
    る意識や継続支援への課題を明確にするためアンケート調
    査を実施した。

    〈方法〉
    1.対象
    前立腺がんと告知を受け,内分泌療法を実施している患
    者151名。
    2.調査方法
    自記式質問用紙(自作)を受診時に配布
    次回受診時に回収箱へ投入し回収
    3.倫理的配慮
    研究目的について説明し,承諾の得られた対象に依頼
    し,回収を持って同意とした。

    〈結果〉アンケート回収率は118名(78%),有効回答率は
    68名(57.6%)であった。
    通院をやめたいと思ったことがある群とない群で比較し
    て,「治療費が高い」「治療費が負担」「通院が困難」「病気
    が治った」「注射が痛い」といった項目には有意差は無
    かったが,「通院が面倒」(p=0.009 ≦0.01),「体調が
    いいから通院は不要」(p=0.01 ≦0.01),「薬を飲みた
    くない」(p=0.009 ≦0.01)の各項目で有意差が認めら
    れた。また,やめたいと思う時期は2~3年目までに集中
    していた。

    〈考察〉内分泌療法による治療効果が良好であれば,開始
    後数ヶ月でPSA 値が下がり自覚症状はほとんどなくな
    る。症状が消失することで,継続治療の必要性を認識でき
    なくなるのではないかと考えられる。糖尿病患者の通院中
    断に対する研究でも,症状が無いことが治療中断理由の上
    位に位置しており,やめたいと思う原因として同様の結果
    が出たといえる。

    〈結論〉自覚症状がなくなった時期の患者の情報を把握
    し,医師と連携して通院や服薬を生活の一部へと定着さ
    せ,治療の継続ができるよう支援していくことが求められ
    る。
  • 柴山 健三
    セッションID: P1-A113
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉本研究では,後向き調査として,慢性腎臓病
    (CKD)を合併した虚血性心疾患患者群をCKD ステー
    ジ分類間でQOL を評価することを目的とした。〔研究方
    法〕1)対象患者は急性心筋梗塞治療および待機的冠動脈
    インターベンション(PCI)後6か月以上経過し,現在外
    来通院中の患者群(n=177)とした。これらの患者群を
    糸球体濾過値(GFR)を基準とした日本腎臓病学会CKD
    ステージ分類によりI(90ml 以上)群38例,II(60~89
    ml)群95例,III(30~59ml)群34例及びIV(15~30ml)・
    V(15ml 未満)群10例の4群に分類した。2)QOL 測定
    は健康関連QOL 測定質問票のSF―36を使用して各対象患
    者の退院時・PCI 前と退院後・PCI 後6か月時に測定し
    た。3)評価・分析方法はSF―36サマリースコアとして
    身体的健康感(PCS)と精神的健康感(MCS)を算出し,
    平均値と標準偏差を求めた。得点が高値なほどQOL がよ
    い状態であることを示している。4群間を分散分析,多重
    比較および各退院時・PCI 前と退院後・PCI 後6か月間
    をT 検定にて統計学的有意差(p<0.05)を求めた。
    〈結果・考察〉I,II,III群のPCS は退院時・PCI 前に
    比べ6か月で増加していた。特にI,II群は退院時・PCI
    前に比べ6か月で有意に増加していた。IV・V群のPCS
    は,退院時・PCI 前に比べ6か月で減少していた。I,
    II群のMCS は,退院時・PCI 前に比べ6か月で有意に増
    加していた。III,IV・V群のMCS は退院時・PCI 前に比
    べ6か月間で減少していたが,有意な差は認められなかっ
    た。以上より,I,II群のPCS・MCS は,退院時・PCI
    前に比べ6か月で有意に増加し,QOL の改善が示唆され
    た。しかしながら,III,IV・V群のPCS・MCS は退院時・
    PCI 前と6か月間で有意な差は認められず,QOL は改善
    していないことが示唆された。I,II群のQOL は,退院
    後およびPCI 後に改善されてゆくことが示唆された。
    一方,CKD ステージIII以上を合併した虚血性心疾患患者の
    QOL は改善されていないと考えられた。したがって,
    CKD ステージI,II以上に進行を予防する看護援助が退
    院時に必要であると考えられた。
  • 横田 由加里, 竹之内 美樹, 高野 かよ子, 成島 泰子, 福山 國太郎
    セッションID: P1-A114
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当院整形外科病棟では入院時より体圧分散寝
    具の使用や体位変換など褥瘡予防に努めている。今回当病
    棟での褥瘡発生者の背景を調査し発生の要因や今後の課題
    について再確認できたので報告する。

    〈対象〉2006年4月~2009年3月に整形外科入院中褥瘡発
    生した患者16名。

    〈方法〉主病名,褥瘡深達度,発生部位,褥瘡発生時の日
    常生活自立度,褥瘡発生時のアルブミン値をカルテより調
    査した。

    〈結果〉褥瘡発生者は16名で発生率は整形外科入院全体の
    1.1%,発生部位は25部位であった。主病名は大腿骨頸部
    骨折9名,脊椎疾患5名,その他2名であり,褥瘡深達度
    はすべて真皮までで,発生部位は踵部10部位,仙骨5部
    位,脊椎部,その他10部位であった。褥瘡発生時の日常生
    活自立度はB4名,C12名であった。褥瘡発生時のアルブ
    ミン値は1.2~2.4g/dl であった。

    〈考察・まとめ〉大腿骨頸部骨折の大半が患肢踵部に発生
    しており,手術前後の架台やシーネ固定,弾性包帯使用中
    の患者に多くみられた。これらのことから病棟での2,3
    時間毎の体位変換は体幹の体位変換のみとなることが多
    く,踵部の除圧が不十分であったことが発生原因と考えら
    れた。今後,架台使用時には体幹の除圧だけではなく患肢
    の十分な観察,除圧を行っていくことが必要である。脊椎
    疾患患者は仙骨,尾骨部への発生が多く,その他の入院患
    者にはほとんどみられなかった。このことから,知覚障
    害,自力体位変換が困難な脊椎疾患患者では同一部位への
    圧迫が回避されず,その他の疾患患者と同様の間隔での体
    位変換では不十分と考えられた。今後脊椎疾患患者におい
    ては仙骨部への圧迫を回避し,除圧の徹底を行っていく必
    要がある。またアルブミン値は低く,低栄養は褥瘡発生リ
    スク要因のひとつであるため,栄養状態の改善も重要と考
    える。
  • 山下 知子, 楠原 絵美子, 近藤 奈保子, 浅田 明美, 平井 俊一, 須崎 規之
    セッションID: P1-A115
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉
     手術部位感染(以下SSI)は院内感染全件数の約14~16%を占めている。特に、消化器外科においては、SSI全件数の約9割を占めるという報告もあり、圧倒的に発生率が高い。当院の消化器手術でも術後感染者が非常に多いと感じたことから、現状を把握することを目的にSSIサーベイランスを開始した。術前・術中・術後のSSI予防対策を見直し、EBMに基づく業務改善を検討・実践したことでSSI発生数が減少した。
     今回、我々は当院におけるサーベイランスの現状と今後の課題について検討し、若干の文献的考察を加えて報告する。

    〈方法〉
    1、対象
     消化器手術(緊急を除く):食道、胃、小腸、胆嚢、肝臓、膵臓、結腸、直腸
    2、SSIサーベイランス期間
     2006.1~2006.12:後ろ向き調査
     2007.1~:SSI予防対策の検討・実施、サーベイランス
    3、サーベイランスの項目
     部位、創分類、ASA(アメリカ麻酔医学会)スコア、手術時間、合併手術の有無、人工肛門の有無、予防的抗菌薬の種類と投与時間、術中手袋交換、ドレーンの種類と位置、縫合糸、術前栄養状態、糖尿病の既往、喫煙の既往、SSIの有無
    4、業務改善内容
     術前:皮膚保清、予防的抗菌薬の投与時間
     術中:皮膚消毒の変更、不潔操作終了時期の統一、術中予防抗菌薬の使用、閉創前創洗浄
     術後:ドレーン管理、予防抗菌薬投与時間

    〈結果〉
    SSI発生状況
     2006年:21/61件(32.7%)
     2007年:20/89件(22.4%)
     2008年:15/91件(16.4%)
    このうち、結腸は35.7%から5.8%、直腸は75%から33.3%と著明な改善が見られた。

    〈考察〉
     当院では、3年前からサーベイランスを開始した。当初の発生率は全国平均と比べ高値であったため、対策の見直しの必要性を強く感じた。  その現状をふまえCDCガイドラインをもとに、感染対策の改善を重ねた。そして、その内容を各関連部署へ定期的にフィードバックしたことにより、スタッフの意識向上へとつながった。その結果、SSI発生の著明な改善が見られたと思われる。
     今後の課題としては、現在、看護師主導でサーベイランスを行っているが、医師との連携をさらに深める事で、新たな改善策が見出せるのではないかと考える。また、個々のデーターの詳細な分析までには至らず、有効に活用出来ていないのが現状である。今後、知り得た情報を活かしより効果的なフィードバックを行って、発生率の低下へと繋がる感染予防対策を実施していきたいと考えている。
  • 蔵品 裕子
    セッションID: P1-A116
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉A 病院では,ウォーマーマットによる術中体
    温管理を基本としている。今年度,褥瘡予防の目的でウレ
    タンマットを使用し始めたが,7cm の厚みがあり熱の伝
    導率が悪く体温管理が困難であった。実際,麻酔覚醒遅延
    や術後シバリングを起こすケースがみられたので,ウレタ
    ンマットの褥瘡予防効果を低下させずに,術中体温管理が
    できる方法を研究した。

    〈研究目的〉
    ウレタンマットの上にウォーマーマットを敷
    いても,褥瘡予防効果を低下させずに体温管理ができるか
    を検証する。
    〈研究方法〉
    期間:平成20年6月~11月
    対象:開腹手術を受けた患者46名
    方法:ウレタンマット→ウォーマーマット→覆布→防水
    シーツの順に重ねる(ウォーマーマットの水温は38℃に設
    定)・手術室室温24℃±2℃
    ・体温測定部位は中枢温(直腸温・食道温)とし,麻酔導
    入時,手術終了時に確認する。(体温低下は温度差-
    0.3℃以上の場合とする)
    ・対象患者の背部・仙骨・臀部・踵部の発赤の有無を,手
    術開始前,終了後に確認する。

    〈結果〉体温低下がみられなかった症例は46名中42名で,
    全体の91.4%に保温の効果があった。褥瘡に関して,発赤
    がみられなかったのは46名中38名で,全体の83%に褥瘡予
    防の効果がみられた。

    〈考察〉体温低下を生じた患者の4名中3名に関しては,
    大量出血に伴う血液製剤の投与など,体温低下が起きやす
    い因子が重なり体温管理が困難な場合だったと考えられ
    る。この場合は,他の保温方法を併用し,術中の体温変動
    に合わせて,体温管理をする必要がある。褥瘡に関して発
    赤が8名仙骨部に発生したが,全て圧迫の解除を行えば改
    善できる程度であり,ウレタンマットの褥瘡予防効果は低
    下しなかったと考える。
    〈結論〉ウレタンマットの上にウォーマーマットを敷く方
    法は,ウレタンマットの褥瘡予防効果を低下させず,体温
    管理に効果があった。
  • 羞恥心の軽減と保温性を試みて
    小林 操
    セッションID: P1-A117
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    今の患者用手術衣(以後,術衣とする)は,袖がない着
    物式で,着脱が容易であり,胸元が大きく開いているため
    ナース側からも患者の皮膚の観察がしやすい。しかしその
    為に歩行入室時,患者より「寒い」という声が多く聞か
    れ,病棟看護師からも術衣のみでの入室に反対の意見も
    あった。
    今回,歩行入室に適した術衣,特に羞恥心の軽減と保温
    効果のある術衣の改良を試みたいと考え,アンケートを
    行って,改善点を抽出し,新しい術衣を試作した。その結
    果,現在の術衣の着用後のアンケート結果は,「寒い」と
    答えた患者は2名,試作品の着用後の結果は5名であっ
    た。この結果だけを見ると悪くなっているように見える。
    しかし,現在の術衣のアンケートを取った時期が8月~9
    月の暑い時期で,試作品の時期は10月と季節の変化で寒い
    時期に取った為,結果を比較することはできなかった。
    また,羞恥心については,スタッフのアンケート結果か
    ら現在の術衣のみの着用では「恥ずかしい」という意見が
    圧倒的に多かった。女性の患者からも,もっと「恥ずかし
    い」という意見が多いと予想していたが,2名に留まり,
    試作品では0名と,あまり結果に差がなかった。これは,
    術衣の上から病衣を着てきたためと思われる。術衣を着せ
    る側のスタッフとしては,露出が多く肌の保温に欠けた術
    衣であると考えていることがわかる。しかし,試作品で0
    名になったことは,改良したことに意味があったといえる。
    全体的にアンケート結果をみると,改良前と改良後のど
    ちらにも言えることとして「何も感じなかった」という意
    見が多かった。これは手術を受ける患者にとって術衣より
    これから受ける手術のことで頭がいっぱいで,不安であ
    り,着るものにまで気がまわらないということだと思う。
    このことは,「その他」の質問に書かれていた意見の1つ
    にもあり,手術を受ける患者全体の気持ちであるといえ
    る。笹崎は「手術室看護師としての役割を患者に伝えるこ
    と,さらに感情を表出できる状況を整えることが重要であ
    る」と,述べている。私達手術室看護師も,手術を受ける
    すべての患者が少しでも安心して,気持ちよく手術に臨め
    るよう環境を整える必要があると感じた。その1つの手段
    として改良した術衣の実用化が出来たのはよかったと思う。
  • - 聞き取り調査による援助方法の検討 -
    大山 優香, 鈴木 千加子, 古井戸 悦子, 河合 久美
    セッションID: P1-A118
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉白内障手術患者は高齢者が多く,説明をおこ
    なっても手術前・中・後と緊張・不安の声を多く聞くこと
    があるが,実際には患者の不安の内容を把握したことはな
    く,患者の心理・不安を明確にして看護の具体的な援助方
    法を見つける必要性を感じた。今回白内障手術患者の「不
    安」の関連因子を研究し,看護援助方法を検討し成果が得
    られたので報告する。
    〈研究方法〉
    1.患者からの不安要因の抽出調査…白内障手術実施の患者20名
    2.改善パンフレットの作成
    3.改善パンフレットによる効果の調査…白内障手術実施の患者20名
    〈結果および考察〉
    1.従来のクリパスを使用し聞き取り調査した結果「説明
    内容が頭に入らず,印象が薄く手術イメージができてい
    ない」という意見から絵や写真を取り入れ見やすく経過
    も分かるパンフレットを作成する必要性を痛感した。
    2.改善パンフレットには,看護師の説明では不安は軽減
    できていないと考え,具体的に視覚に訴えてイメージで
    きるよう,術中の処置手順経過や,手術後の状態を写真
    に写し記載することでイメージしていただくよう作成した。
    3.改善パンフレットを使用し聞き取り調査した結果「ど
    んなことをするのか不安だったけど本をみて流れがわ
    かって不安はなかった」といった術中の処置手順経過
    や,手術後の状態を写真に写し記載したことで不安は軽
    減している。「写真があって手術室の不安が無かった」
    等の意見から未知の環境へ行き手術を受けることへの不
    安はかなり軽減されている。
    〈結語〉白内障手術目的で入院された患者の不安要素を知
    るなかで,手術室をイメージできる,入院から術後経過を
    分かりやすく説明するパンフレットを使用することが不安
    を軽減することに有効であった。患者個々の特徴をとらえ
    不安要素を理解し,それに合った看護ケアを各看護師が同
    レベルでおこなえることと,作成したパンフレットの改定
    見直しが今後の課題である。
  • パンフレット作成に向けて
    箕輪 友香 , 友部 菊美 , 馳 修子 , 坂本 喜美子
    セッションID: P1-A119
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉耳鼻咽喉科疾患の中では気道を確保するた
    め,緊急に気管切開術を施行することがある。その際患者
    に口頭で指導を行っていたが,指導にばらつきがあったた
    め,統一した指導ができるようにアンケート調査を行った
    ので報告する。
    〈研究方法〉研究期間:2008年7月から2008年10月。研究
    対象:看護師20名にアンケート調査。調査内容:看護師が
    指導に困った点や患者から質問された内容を記入。倫理的
    配慮:研究の目的と主旨を説明し同意が得られた場合実
    施。研究以外には使用しないこと,秘密を保持することを
    説明。
    〈結果〉調査の結果,(1)痰では「吸引方法や必要性」「自
    己喀痰の必要性」,(2)食事は「気管切開術後の飲水・食事
    内容・摂取方法」,(3)清潔は「シャワー浴や洗髪・口腔ケ
    ア方法」,(4)コミュニケーションでは「患者の訴えが理解
    できず,返答するまで時間がかかる」,(5)その他は「気管
    切開部の管理の仕方」「排泄方法」,またパンフレットに入
    れてほしい内容は「日常生活の自立に役立つ内容にして欲
    しい」「文字盤の添付」であった。
    〈考察〉今回,患者への指導内容の状況を把握することが
    できた。

    気管切開術後の患者は気管孔造設により以前とは違った
    生活を余儀なくされる機能性の変化がある。機能性の変化
    とは汁物がすすれない,熱いものがそのまま食べられな
    い,排便時に力が入りにくい,気管孔の管理などが挙げら
    れる。これらはアンケート調査でも同様の結果が得られ,
    その結果をふまえた事で患者指導に効果的なパンフレット
    を作成することができると考える。更に患者の理解を深
    め,日常生活に対しての受け入れ状況の促進や,看護師の
    経験年数に差がなく統一した指導に繋がっていくと考える。
    〈まとめ〉
    (1)気管切開術後患者に対する看護師の指導内容の現状が把
    握できた。
    (2)パンフレットの内容は,機能性の変化をふまえた項目が
    必要である。
  • パンフレットを改善して
    高山 健志, 和久井 恵子, 鈴木 明美, 大橋 悦子, 佐藤 美雪, 齋藤 道子
    セッションID: P1-A120
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉整形外科病棟ではパンフレットを使用して手
    術前オリエンテーションを行っているが,患者が受身であ
    り内容を十分理解されていないことが多い。そこで,現在
    行われている手術前オリエンテーションとパンフレットを
    見直し,検討したのでここに報告する。
    〈研究目的〉手術前オリエンテーションのパンフレットの
    改善を行い,使用し,患者が手術の概要を理解できたかを
    明らかにする。
    〈研究方法〉従来のパンフレットを使用した群50名と改善
    したパンフレットを使用した群50名の手術の流れについて
    の理解度を手術後3日目にアンケート調査し比較検討す
    る。
    1.研究期間
    平成20年5月~10月
    2.研究対象
    全身・腰椎麻酔下で手術を受ける患者85名
    3.倫理的配慮
    研究への参加は自由意志であり,同意しない場合でも対
    象者に不利益や負担が生じないこと,対象者が特定できな
    いように配慮することを書面で説明し,同意を得る。
    〈結果〉改善前の「文字が小さい」「見にくい」「何時に何
    をするのか分からない」などのアンケート結果をもとに,
    文字を大きくし,禁飲食の日時や処置時間を赤文字で記
    載,必要物品をカラーのイラストや写真で記載した。その
    結果,術前の禁飲食時間,必要物品,手術当日の流れなど
    理解度の上昇がみられ,安心して手術に臨めたと意見が聞
    かれた。
    〈考察〉患者からのアンケートの結果を基にパンフレット
    の改善をし,視覚に訴えたことや患者とスタッフが共通理
    解できたことが,理解度の上昇に繋がったと考える。パン
    フレットの内容は,患者のニーズを取り入れたものが必要
    である。今後は,パンフレットだけに頼らず,コミュニ
    ケーション技術も加え,個々の患者の理解度に合わせた説
    明が重要と考える。患者がより安心して手術に臨める術前
    オリエンテーションを検討していきたい。
  • 項目の追加による再評価
    山中 美穂, 大窪 美緒, 鈴木 理奈, 瀧本 幸司, 増田 美幸, 高谷 智子
    セッションID: P1-A121
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    内科病棟では心臓カテーテル検査(以下心カテとする)
    を受ける患者はすべて予約入院で,平均週8~9人おり,
    ほとんどの人が2泊3日で退院している。心カテの前日の
    午後に入院して翌日に検査を受けるため,入院時に患者用
    クリニカルパス(以下パスとする)を使用し,オリエン
    テーションを行っている。パスを使用しての心カテ前オリ
    エンテーションは,入院してからの治療概要や予定がわか
    るため,患者には好評であり患者満足度の向上にもつなが
    るといわれている。しかしパスの説明だけでは,心カテの
    流れが分からないという意見があった。
    そこで,入院時から心カテ前・中・後の経過が理解で
    き,イメージしやすいように,心カテの介助につく看護師
    が前日から関わり,心カテ中の順序を心カテ室の写真や止
    血用バンドの実物を使用しながら説明することを加えた。
    心カテ中の流れの説明用紙を使用したことにより,口頭
    で説明を聞いた後に見返すことができ,繰り返し見ること
    ができるため,理解が深まることにつながる。また患者か
    ら具体的な疑問が聞かれ,説明用紙を追加したことでイ
    メージしやすくなった。写真を見たり,止血用バンドの実
    物を使用することは,言葉だけでなく写真など視覚的なも
    のがあることでインパクトを与えることができ,理解を深
    める。また心カテ室に入ることのできない家族にとって
    も,どのようなところで心カテを行うのかイメージでき
    る。心カテ介助につく看護師が前日から患者と関わること
    は,心カテ室という場所に初めて入る患者にとって,医師
    以外に顔を知っている看護師がいることで,病室と変わら
    ぬ安心感を持つことができた。
    心カテ前オリエンテーションに追加した項目が有効で
    あったので報告する。
  • 患者に適した退院指導とは
    澤井 泰江, 近藤 ひとみ, 平林 祥子
    セッションID: P1-A122
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉急性心筋梗塞(AMI)患者の退院指導において,
    患者が何を知りたいのか,どのような時期にそれらを望ん
    でいるのかを明らかにする。

    〈対象・方法〉平成20年4月~平成20年8月に初発AMI
    で集中治療室から当病棟に転棟し,本研究の主旨に同意を
    得られた患者14名。データ収集方法は,AMI になり,ど
    のようなことを知りたいのか,「食事」「内服」「嗜好品」
    「仕事」「生活」について心配なことを面接で質問する。
    退院指導の時期は妥当であったか,いつぐらいにどのよう
    な事を知りたかったのか質問する。記録した内容を繰り返
    し読み,類似する要約内容をまとめてサブカテゴリー,カ
    テゴリーへと抽象化した。

    〈結果・考察〉分析の結果,AMI になって知りたい内容
    を《病気》《治療》《生活》の3つのカテゴリーに分類する
    ことができた。患者がAMI になって知りたい内容は《病
    気》について最も多かった。食事・内服・嗜好品・仕事・
    今後の生活について心配な内容は患者それぞれ違った内容
    が挙げられた。退院指導の時期・内容については《早期に
    退院指導を望む》《退院前の指導がよい》《分かりやすく指
    導してほしい》《繰り返し指導をしてほしい》の4つのカ
    テゴリーに分類することができ,特に《早期に退院指導を
    望む》患者が多くを占めていた。よって,退院間際の指導
    より,離床時から開始する退院指導の方が,患者自身が入
    院中より退院後の生活への対策を立てやすいと言える。

    〈まとめ〉今後,この研究から得た患者が求めている指導
    内容や時期を,退院指導パンフレットや心臓リハビリテー
    ションに取り入れ退院指導に生かしていきたい。
  • ~口腔ケアチーム“マウッシュ”の活動を通して~
    佐藤 美穂, 石塚 桂子, 吉田 美香
    セッションID: P1-A123
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉口腔ケアは,日常的なケアであるにも拘らず
    看護師個人の判断に任され迷いながら行なっているのが現
    状である。そこで,2008年8月,口腔外科医による研修会
    を実施後,口腔ケアに関する悩みを話し合い問題解決する
    ことを目的とし“マウッシュ”チームを結成し活動を開始
    した。その活動内容と今後の課題を報告する。
    〈活動内容〉
    (1)チーム内での勉強会,(2)事例の話し合い,(3)マニュアル作成,
    (4)病棟ラウンド
    〈結果〉研修会でのアンケート結果より,実施方法(時
    間・回数・使用物品など)は,部署により予想以上の違い
    があった。そこで,マニュアルを作成し基本的な方法や使
    用物品などを統一し,含嗽水に関しては濃度が決めやすい
    ジアミトール希釈水とした。その結果,舌苔があった症例
    では,効果が認められた。又,マニュアルを作成したこと
    で(1)基本的な指針ができ,(2)口腔ケアに対する関心が深まった。
    〈考察〉口腔内の状態は,看護の質を現す一つであると言
    われている。又,近年では,口腔内のトラブルが全身的な
    問題を引き起こす事が明らかになってきている。今年の4
    月から口腔外科医と歯科衛生士・ST・看護師で全病棟を
    ラウンドした印象は,どこの病棟も口腔ケアが十分行なわ
    れており,口腔内のトラブルが少なかった事である。この
    事は,マウッシュの活動による口腔ケアに対する関心が深
    まったことも影響しているのではないかと考える。
    〈終わりに〉今後はマニュアルの評価を行うと共に,化学
    療法を行なう患者さんなどに対して,外来看護師と連携
    し,在宅口腔ケアの重要性を啓蒙して行きたいと考えている。
  • 米山 敏美, 山崎 雅之, 岩本 麻実子, 池西 瑠美, 王 莉, 濱野 強, 乃木 章子, 塩飽 邦憲
    セッションID: P1-B201
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉民族を比較すると肥満と糖尿病の有病率に解離を
    認める。また,日本人などアジア人では,肥満が軽度な割
    に糖尿病有病率が高い。肥満は,インスリン抵抗性の結果
    ではなく原因であり,インスリン抵抗性は4分の1ずつを
    肥満と低身体活動,残りを遺伝などが説明するとの報告も
    ある(Reaven GM., Am J Clin Nutr 2006)。このため,
    肥満と耐糖能異常についての日本人の特性を検討するため
    に断面研究を行った。

    〈対象と方法〉島根県東部農村地域において,2006~2008
    年に労働者および住民を対象に健康調査を実施し,20~64
    歳で研究同意が得られ,絶食4時間以上を満たした受診者
    709人(男性381人,女性328人)についてメタボリックシ
    ンドロームや糖尿病に関する解析を行った。

    〈結果と考察〉インスリン抵抗性の指標である空腹時イン
    スリンとHOMA-IR は,肥満と強い正相関が認められた。
    また,インスリン分泌能の指標であるHOMA-β とも強い
    正相関が認められ,肥満によるインスリン抵抗性により,
    膵臓β 細胞からのインスリン分泌も代償可能な範囲で亢
    進していることが示唆された。
    また,肥満と空腹時血糖,estimated average glucose
    (eAG)またはHbA1c との相関は,肥満とインスリン
    抵抗性との関連より弱かった。このことは,肥満だけが耐
    糖能異常の原因ではないことを示唆している。
  • 滝 聡雄
    セッションID: P1-B202
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当院の糖尿病教室は,糖尿病の病態,合併症
    及び治療についての講義とバイキングという治療食体験を
    幅広い対象向けに月に2回行っている。参加者にアンケー
    トを実施しているが,糖尿病教室をより効果的な内容にす
    るため現状のアンケート内容を見直し変更した。
    〈方法〉糖尿病教室・バイキング7回の参加者102名でア
    ンケートに協力した方85名を対象とする。現状のアンケー
    ト内容は,問1糖尿病教室をどこで知ったか,問2当院の
    糖尿病教室に参加したことがあるか,問3今後,糖尿病教
    室で学びたいことである。
    〈結果〉アンケートの集計結果は,問1では主治医やス
    タッフに声をかけられた65%,毎回参加14%,院内掲示ポ
    スター13%,院内放送7%となった。問2では,参加した
    ことがある65%,やっていることを知らない19%,知って
    いるが参加したことがない12%となった。問3に関して
    は,『食事療法』,『糖尿病の合併症』,『治療に役立つ日常
    生活の知識』,『運動療法』に多数回答が集まった。
    〈考察〉アンケート結果から,掲示などの広報活動よりも
    直接参加を促す声かけが必要であることが再確認できた。
    また,年間を通し糖尿病教室に参加するリピーターを増や
    すことで,参加者が学びたい糖尿病に関する知識はかなり
    得られると思われる。そのため定期的な糖尿病教室への参
    加や新しく糖尿病に対する知識が得られたことを確認でき
    るアンケート内容に変更した。また,参加者の糖尿病に対
    する知識レベルと,講義内容のレベルが参加者のニーズに
    合っているか確認する問いに変更した。孤独な治療は長期
    維持することが困難であるため,患者自身が「自分はよく
    やっている」と思えるよう糖尿病教室の参加をねぎらい,
    治療の意欲を保てるよう働きかけが大切である。
  • 大林 浩幸, 山瀬 裕彦
    セッションID: P1-B203
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈背景と目的〉HMG-CoA 還元酵素阻害薬ピタバスタチ
    ンは,短期間で強力な血清脂質低下作用を示すが,3年間
    を超える長期的な検討報告は未だ少なく,今回,ピタバス
    タチン36ヶ月間継続投与による臨床効果を検討した。
    〈方法〉動脈硬化性疾患診療ガイドライン基準の高コレス
    テロール血症新規患者35名(平均年齢61.3±12.9歳,男女
    比21名/14名,高リスク群:中リスク群17名/18名)に対
    象に,ピタバスタチン2mg/日を単独投与し,36ヶ月間の
    血清脂質値,肝機能値等の推移を検討した。
    〈結果〉高・中リスク群いずれも,投与前のLDL-C 値
    162.3+/-45.8(mg/dL),166.7+/-20.7(mg/dL)<が,
    6ヵ月後に各々116.9+/-34.9(mg/dL),119.3+/-
    38.3(mg/dL)と,有意に低下した(いずれもp<0.001)。
    その有意な低下作用は,36ヶ月間の投与期間中安定継続し
    た(いずれもp<0.001)。投与6ヶ月目に,高・中リスク
    群の各々64.7%,72.2%がLDL-C 治療目標値に達し,そ
    の後もその達成率は維持された。投与36ヶ月間で,LDLC/
    HDL-C 比は,高・中リスク群で各々33.2%,31.3%の
    減少を示し,non-HDL 値も各々29.8%,30.1%と減少し
    た。36ヶ月間の投与期間中,新規の有害事象や異常な検査
    値の変動は無かった。
    〈結論〉ピタバスタチンは,36ヶ月間の長期間単独投与に
    おいても,継続的な脂質低下作用を維持し,動脈硬化進行
    と冠動脈イベント発生が抑制できる可能性があり,臨床的
    に有用である。(Ohbayashi H. Jpn Pharmacol Ther.
    37:43―253,2009.)
  • 矢口  絵美, 大谷  俊裕, 市川  智之, 樗木  多佳子, 井坂  敦子, 堀越  建一, 常盤  英文, 清水  馨, 今井  泰平
    セッションID: P1-B204
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉当院におけるインスリン自己注射の手技指導は糖
    尿病教育入院では看護師が行い,教育入院以外の入院およ
    び外来(以下,非教育入院)では薬剤交付時に薬剤師が
    行っている。今回,インスリン導入後の患者を対象に,直
    接面談アンケートを行い,手技および知識の確認を行い,
    当院での指導の問題点を検討した。
    〈対象および方法〉2006年7月から2008年6月までの過去
    2年間に,当院でインスリン導入となった患者168名のう
    ち同意の得られた患者118名(男62名/女56名)を対象と
    し,個別面談による聞き取り調査を行い,比較検討した。
    〈結果〉対象患者は教育入院69名/非教育入院49名,平均
    年齢は66.3/61.8歳,平均罹患歴は14.8/15.1年,平均
    HbA1c は7.18/7.41%。使用しているインスリン名を口
    述できた40.5/32.2%,注射単位,注射時期を口述できた
    95.6/90.0%,外食時にインスリンを携帯している55.1/
    59.2%,低血糖時の対応を具体的に言えた95.7/97.8%,
    ブドウ糖を携帯している56.5/55.1%,シックデイの対応
    を具体的に言えた14.5/20.4%であった。
    〈考察〉教育入院群と非教育入院群では,習得されている
    知識に大きな差は見られなかった。主治医の判断で理解力
    があり,仕事などの都合で入院ができない患者を非教育入
    院群に振り分けているためと考えられた。注射単位と注射
    時期は両群とも90%以上の患者が口述できたのに対し,名
    称は50%以上が口述できなかった。災害時などの緊急時に
    は名称・特徴も重要となるため,手技指導時にインスリン
    の名称も患者に確認するなどの改善を行っていくこととし
    た。外食時にインスリンを携帯している割合が両群とも低
    く,徹底した指導が必要である。低血糖の対応について常
    時ブドウ糖を携帯していたのは両群とも60%未満であっ
    た。シックデイの対応についても80%以上が理解不足で
    あったので,低血糖時・シックデイ対応について患者配布
    パンフレットの内容を充実させた。
    今後も定期的に使用状況を確認し,指導内容の見直しを
    行っていく。
  • 柴田 真紀子, 志水 貴之, 見田 真紀, 青木 孝, 諸戸 昭代, 古市 千奈里, 樋口 昌哉
    セッションID: P1-B205
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉糖尿病患者の四肢の動脈硬化の進展は血糖コ
    ントロール状況と相関し,糖尿病の予後決定因子として深
    く関与しているといわれている。そこで,糖尿病の合併症
    の一つである糖尿病性腎症の早期マーカーとして使用され
    ている尿中Alb と同様に,動脈の硬さを示すPWV が早期
    発見マーカーとして有用であるかどうか検討した。
    〈方法・対象〉2007年4月から2008年3月までに当施設で
    ABI・PWV(コーリン社製)検査を施行した2型糖尿病
    患者のうち,ほぼ同時期に尿中Alb(随時尿もしくは蓄
    尿)を測定している247名(男性:144名,女性:103名),
    平均年齢61歳を対象とした。なお,閉塞性動脈硬化症(以
    下ASO)またはABI(足首上腕比)<0.9の患者は除外し
    た。そこで,対象者を糖尿病性腎症の病期で分類し,PWV
    との比較検討を行った。なお腎症病期の分類は,随時尿に
    おける尿中Alb・Cr 補正値(mg.g/Cre)もしくは蓄尿に
    おける尿中Alb(mg/day)が30未満を腎症前期,30以上
    300未満を早期腎症,300以上を顕性腎症以上とした。
    〈結果・考察〉随時尿の尿中Alb については腎症前期,
    早期腎症,顕性腎症以上の3群の間に有意差(p 値:
    0.0016)が認められた。しかし,蓄尿の尿中Alb につい
    ては3群の間に有意差(p 値:0.3118)は認められなかっ
    た。このことから,尿中Alb の測定値と動脈硬化症の度
    合いを示すPWV が密接に関連していることが考えられ
    る。
    〈結論〉PWV は尿中Alb と類似する変化がみられ,
    ABI・PWV 検査はASO の有無や全身の動脈硬化の度合
    いを簡単に知ることができるだけでなく,腎機能にも反映
    する可能性があり,糖尿病性腎症の早期発見に有用な検査
    であると考えられる。
  • 宮本 あすか
    セッションID: P1-B206
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉現在,日本では,糖尿病が強く疑われる人・
    糖尿病が否定できない人は約1,620万人おり,成人の6人
    に1人の割合である。当院でも糖尿病でインスリン自己注
    射導入となる患者が増えており,そのため患者へのインス
    リン注射指導をする場面もよくみられる。その中で近年で
    は技術や知識を一方的に教えるのではなく,心理面へのア
    プローチが看護介入に有効であるとされてきている。今
    回,注射への恐怖心がありインスリン自己注射指導が進ま
    ない患者がいたが,スタッフのさまざまな関わりで自己注
    射を習得して退院していった。その患者の1例を振り返
    り,インスリン自己注射指導の効果的な介入内容を明らか
    にしたいと考えた。
    〈研究方法〉
    1.期間:平成20年6月5日~平成20年7月9日
    2.事例紹介:60代女性糖尿病II型
    3.方法:自己注射チェックリスト,患者面接,病棟ス
    タッフからのアンケートをもとに振り返り,看護介入結
    果を拒否期・導入期・自立期に分類し,分析・評価する
    4.倫理的配慮
    患者へ研究の目的と方法を説明し,その際には個人情
    報の保護に努め,情報は研究目的以外で使用しないこ
    と,面接時使用したテープは研究終了後破棄することを
    説明し承認を得た。
    〈結果〉手技に関しては針に関する項目について,自己注
    射開始7日目以降は「ほぼできる」となっている。看護介
    入に関しては,拒否期には患者の発言を傾聴することや,
    「一緒にがんばっていこう」などの患者に寄り添うような
    介入方法がみられる。導入期には誉める,励ましながら声
    をかけるなどの介入。自立期には患者と共に振り返り,で
    きていることに対して声をかけた。
    〈考察・まとめ〉拒否期から自立期までは患者の心理面に
    合わせた看護介入であったことがわかる。手技の指導から
    入るのではなく,共感・受容の姿勢で介入をすることで患
    者主体のインスリン導入ができたのではないかと考えられ
    る。患者主体で行っていったため,導入期に自己注射がで
    きるようになってくると患者自身の自信にもつながり,自
    信がついたことでさらに自己注射を継続して行えるように
    なったのだと考える。
    今後,この研究で明らかになったことを常に心がけて看
    護介入を行っていきたい。
  • 田中 孝, 沼田 陽介, 槇野 祐介, 金澤 光泰, 菅原 康博, 菊地 浩之, 小川 大輔, 高島 賢治, 高野 康二, 佐藤 長典
    セッションID: P1-B207
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉血液透析器の高性能化により透析液の清浄化が求
    められている。
    そこで当院の透析液清浄化への取り組みを報告する。
    〈方法〉逆浸透水処理装置(RO)と透析液供給装置や透
    析装置関連の改善点についてまとめた。
    〈結果〉1994年から使用していた透析液の配管を2008年に
    コスモフレックス製に入れ替え,同じくRO と透析液供給
    装置も新機種(ウルトラフィルタ付き)に更新した。ま
    た,エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)の設置は2007
    年3月時点でRO だけだったが,ETRF 付きの透析装置
    への更新や既存の装置に対するETRF の取り付けを進
    め,2008年6月には全台(40台)の透析装置に取り付けが
    終了した。
    エンドトキシン活性値の測定は,腎センターに設置して
    あるトキシノメーター(和光社製)で2008年10月からは毎
    月定期的に測定している。検体の採取は専用採取口を用い
    ている。装置を更新する前と後のエンドトキシン活性値は
    RO の透析用水が7.5から1.655EU/L,透析液供給装置内
    が4.6~5.2EU/L から検出感度以下へ低下した。ダイアラ
    イザー直前の値はETRF 取り付け前と後では5~17EU/L
    から検出感度以下に低下した。生菌数の測定はまだ定期的
    に実施されていない。
    〈考察〉透析用水のさらなる清浄化にむけた検討と,生菌
    数の定期的な測定が必要である。
    〈結語〉装置の改良や透析液清浄レベルのチェックなど,
    総合的な対策を継続していきたい。
  • 上田 晋也
    セッションID: P1-B208
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉亜鉛は生体内で約300種における金属酵素の
    中で極めて重要な役割を担っており,欠乏症状としては一
    般的に味覚障害,貧血,免疫低下などがあげられる。今
    回,斜網地区で当院の健診受信者と透析患者について亜鉛
    の比較検討を行ったので報告する。
    〈対象〉当院健診センターを受診した男性86名,女性57
    名,計143名と透析患者男性47名,女性18名,計65名につ
    いて検討を行なった。
    〈結果〉健診受診者の亜鉛値の平均は84.2μg/dl で透析患
    者の平均は60.0μg/dl であった。ともに年齢・性別による
    差は認められなかった。また,HbA1c 値との比較では,
    HbA1c 値の増加に伴ない,健診受診者・透析患者ともに
    亜鉛値は増加傾向を示した。
    〈考察〉今回の検討結果より,透析群は健診群に比べ亜鉛
    値が低値傾向で,潜在的な亜鉛欠乏状態にあると考えられ
    る。又,糖尿病での亜鉛値については諸説あるが今回の検
    討では増加傾向であった。今後,他の疾患との関係にも追
    加検討が必要と考えられた。
  • 戸田 孝之, 佐藤 文絵, 藤井 徹郎, 松井 則明
    セッションID: P1-B209
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈背景〉透析患者の血清リン(P)のコントロールは生命
    予後改善をも目標にしたCKD-MBD(慢性腎臓病に伴う
    骨ミネラル代謝異常)対策にとって重要である。現在,P
    吸着剤として炭酸カルシウム(Ca)や塩酸セベラマーが
    主に用いられているが高カルシウム血症や消化器系の副作
    用がある。炭酸ランタンは新しいP 吸着剤として2009年
    上市された。
    〈目的〉炭酸ランタンの短期効果(2006年の当院における
    国内第III相試験)について検討する。
    〈方法〉観察期10名を対象として開始し2名は観察期脱落
    した。残りの8名が4名ずつ炭酸ランタン群と炭酸Ca 群
    に割り付けられ,前者では750mg,後者では1,500mg か
    ら投与開始し2週ごとに用量調節。
    〈結果〉炭酸ランタン群の開始時P 値は8.30±1.01mg/dl,
    8週後のP 値は5.43±1.39mg/dl,炭酸Ca 群の開始時P
    値は8.38±2.74mg/dl,8週後のP 値は4.67±2.68mg/dl
    と両群ともに有効。8週後の補正カルシウム値は炭酸ラン
    タン群9.17±0.21mg/dl,炭酸Ca 群では9.77±0.97mg/dl
    と炭酸Ca 群で高値の傾向。0週でi-PTH1,280pg/dL で
    あった炭酸ランタン群1名が投与期の中止基準(i-PTH
    1,000pg/dL 以上)により3週で投与中止し,目のかゆみ
    の訴えがあったが治験薬とは関係なしと判断。炭酸Ca 群
    の1名で悪心,嘔吐により1週で投与中止。
    〈考案〉炭酸ランタンは良好なP の低下を示し当院の炭
    酸ランタン投与群の胃腸障害発現率は国内第_III_相試験の炭
    酸ランタン投与群(n=126)の24.3%と比較し低い傾向
    で認容性は良好であった。P 吸着剤の進歩とシナカルセト
    が使用できるようになり,今後ガイドライン目標値達成率
    向上が期待できる。
  • フットチェックシートを活用しての報告
    植木 朝子, 近田 さおり, 古田 政美, 田近 美穂子
    セッションID: P1-B210
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉血液透析を受ける患者は,神経障害・循環障
    害などから足病変を起こし重症化しやすい。そのため,足
    の観察項目や方法を標準化するために,フットチェック
    シートを作成し,同意を得た51名(DM21名,非DM30
    名)の患者に観察を行った。
    〈結果及び考察〉足の自覚症状(フォンテイン分類)は,
    _I_度は糖尿病患者の方が多く,_II_度や_III_度の痛みは,糖尿
    病患者が少ない結果であった。糖尿病患者は神経障害によ
    り「痛み」のサインが損なわれ易く,循環障害が加わり症
    状が乏しいと考えられる。非DM 患者でも歩行時や安静
    時の疼痛がある。血液透析患者はカルシウムやリンの代謝
    異常で末梢領域の動脈硬化を起こしやすいため,異常を早
    期発見するためにフットチェックを定期的に行うことが求
    められる。
    足の皮膚色を6段階に分け観察した結果,正常範囲内41
    名,循環障害10名,明らかな動脈閉塞状態の患者はいな
    かった。定期的に観察していくことが大切である。
    動脈触知は足背が全員触れ,後脛骨が9名触れなかっ
    た。足を観察する上で一つの指標となる。
    足の浮腫は,13名にみられた。全身状態も観察しながら
    アセスメントをしていく必要がある。
    ABPI は,0.9未満6名,0.9~1.2が40名1.3以上4名で
    あった。症状が出てからの検査では臨床的に重要な所見を
    見逃している可能性があるため,定期的に測定していくこ
    とが大切である。
    足の病変は,たこ13名,魚の目4名,白癬5名,乾燥26
    名,皮膚潰瘍1名。爪の状態は,巻き爪15名,白癬爪14名,
    深爪1名であり,一人で複数の症状を持っていた。足病変
    は足の生活習慣病ともいわれているため,日常の情報収集
    をしっかりと行い適切な指導が必要である。足白癬は壊疽
    の前駆病変の一つであるが,当透析室では足白癬,爪白癬
    共に低い結果であった。白癬や乾燥は皮膚科の医師による
    診断ではないため,皮膚科との連携も必要と考える。
    足を洗っている回数は,1週間に4回が一番多く23名で
    あった。しかし,毎日洗っている患者でも足病変があり足
    を洗うことに対する指導が必要である。
    〈今後の課題〉今後,足の状態に応じたフットケアのマ
    ニュアルの検討を行い,適切な患者指導が出来るようにす
    る事が課題である。
  • 橋本 厚子, 斎藤 悠子, 坪井 美和子, 富岡 洋子, 遠藤 悦子
    セッションID: P1-B211
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉当院透析センターでは,下肢及び足趾切断3
    例の症例を経験した事でフットケアの必要性を認識し,4
    年前に足病変チェック用紙を作成しフットケアを開始した
    が,チェック用紙の不備,フットケアに対する看護師の意
    識の差などにより継続できなかった。今回フットケアチー
    ムを立ち上げ,勉強会の開催,足病変に対するケアの標準
    化,チェック用紙の見直しを行った事でフットケアの実
    践,継続につながったので報告する。
    〈方法〉
    1.研究期間:平成20年5月1日~9月30日
    2.内容:1)フットケアチームの編成,2)足病変
    チェック用紙の見直しと作成,3)フットケアの実践
    〈結果及び考察〉フットケアチームを編成し,勉強会の開
    催やフェイススケールを取り入れたチェック用紙の見直し
    を行った。毎月2週間のフットケア週間を設け,患者を数
    名ずつ振り分け,スタッフに負担が少なく業務にも支障を
    きたさないよう工夫した。ケアの標準化を図りスタッフ全
    員同じ視点で観察できた事がケアの実践,継続につながっ
    た。今回フットケアを実践し,患者は足病変に気付いてい
    ても看護師に言う程ではないと自己判断し,神経障害があ
    る事すら気付いていない症例もあり,看護師の関わりが重
    要であると感じた。今後ますます透析患者の高齢化や糖尿
    病性腎症患者の増加に伴い,フットケアは透析看護の一つ
    として不可欠であり,看護師の果たす役割は大きいと言え
    る。今回,問題点として要治療,観察の基準が無いことが
    表出された。今後,褥創のブレーデンスケールのような足
    のアセスメントスケールを作成することが課題と言える。
    〈結論〉
    1.フットケアチームを編成し,ケアの標準化を図り,定
    期的なチェックを行った事で看護師間でフットケアの必
    要性が認識され関心も高まった。
    2.足病変チェック用紙を使い易く改善した事は,フット
    ケアの実践,継続につながった。
  • -足浴時間の違いによる炭酸泉浴の効果について-
    後藤 淳子, 大野 祐子, 石田 伸也
    セッションID: P1-B212
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉人工炭酸泉浴(以下,炭酸泉浴)は末梢循環障害な
    どに対して炭酸ガスの経皮滲入による毛細血管拡張,皮膚
    血流増加などの治療効果があがる報告があり,足浴につい
    ては,炭酸泉研究会の基準案では,入浴時間を15分から20
    分と推奨している。「15分は長い,10分にならないか」と
    の意見があり,先行研究で「10分でも効果がある」と報告が
    あり炭酸泉浴時間を短縮することで,患者に不利益が生じ
    ないように健常者を対象に10分と15分の炭酸泉浴前後に皮
    膚温度の測定を行い効果的な足浴時間について考察した。
    〈方法〉対象者:A 病院の腎センタースタッフ17名。
    (1)場所はA 病院の処置室で室温25±2℃に設定。(2)37℃の湯
    温15に1,000ppm の遊離炭酸濃度の炭酸泉を作製。(3)実
    験は,14時30分から15時00分までに開始。(4)炭酸泉浴の10
    分前からベッドに安静臥床。(5)炭酸泉浴は端座位で10分ま
    たは15分実施。(6)皮膚温度の測定は臥床になり,WARMAR
    MAT HWM―3(HAMA 製)を用いて左足背にプロー
    ブを装着して優肌絆
    プラスチックテープ(NITTO MEDICAL
    製)で固定。炭酸泉浴後はプローブを装着したまま
    皮膚温度が下がらないように腹部から足先までタオルケッ
    トを掛ける。(7)は炭酸泉浴前,炭酸泉直後,10分後から10
    分毎に60分後まで計8回実施。(8)測定が終了するまで臥床
    し,測定時は体動,会話をしない。(9)炭酸泉浴10分,15分
    共に25例ずつ測定。
    〈結果〉
    図1.皮膚温度の平均値
    10分と15分の炭酸泉浴は,P=0.08と効果に有意差は認
    められなかった。
    〈考察〉10分と15分の炭酸泉浴前と60分後の皮膚温度とを
    比較して上昇した群の平均値はP=0.038と有意差があ
    り,健常者においては先行研究にて前述した10分の炭酸泉
    浴でも効果がある。あるいは,15分の炭酸泉浴よりも10分
    の炭酸泉浴に効果があったと考える。
    〈結論〉透析患者の炭酸泉浴についても皮膚温度の測定を
    取り入れ,患者と共に効果を実感して足病変の予防に努め
    たい。
  • 岡野 学, 菊地 美奈, 河田 幸道
    セッションID: P1-B213
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉副腎骨髄脂肪腫は副腎に原発する脂肪組織と骨髄
    様組織からなる内分泌非活性の良性腫瘍である。今回,糖
    尿病の治療経過中に偶然に発見した1例を報告する。
    〈症例〉60歳,男性。
    (主訴)後腹膜腫瘤精査
    (家族歴)特になし
    (既往歴)糖尿病
    (現病歴)平成18年より糖尿病にて当院内科に通院中で
    あったがCT 検査にて右後腹膜腔に腫瘤が認められ,平成
    20年7月24日当科へ紹介された。
    (現症)身長163cm,体重60kg,体温36.8℃,血圧124/
    68。胸腹部には異常を認めなかった。
    (検査所見)尿検査では糖(+),血液生化学検査では
    FBS155mg/dl のほか異常を認めず,血液内分泌検査も正
    常範囲であった。
    (画像所見)超音波検査では右腎上方に境界明瞭,内部不
    均一でhyper echoic な直径8cm ほどの腫瘤を認めた。CT
    で腫瘤は境界明瞭なlow density に描出され,造影は,ほ
    とんどされなかった。MRI ではT1で周囲とは境界明瞭
    で内部不均一なlow intensity な腫瘤であり,T2では
    high intensity の部分が主体であるがlow の部分も混在し
    ていた。
    (経過)以上より内部不均一で脂肪成分に富む良性腫瘍と
    考えたが,腫瘍径が8cm と大きく悪性腫瘍を完全に否定
    できず,自然破裂の危険も予想され,平成20年11月4日右
    副腎摘出術を施行した。摘出標本は7×6×3cm の大き
    さで60g の重さであった。病理組織検査では成熟型の脂肪
    組織の中に髄外造血部分があり,骨髄脂肪腫と診断され
    た。
    〈結語〉60歳男性の糖尿病患者に偶発腫瘍として発見され
    た副腎骨髄脂肪腫の1例を報告した。
  • 三宅 範明, 宮本 忠幸
    セッションID: P1-B214
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈緒言〉今回,我々は画像診断実施により結果的に水腎症
    軽減を得ることができた尿管憩室の1例を経験したので報
    告する。
    〈症例提示〉
    症例:55歳,女性
    主訴:左水腎症
    現病歴:2008年1月30日当院整形外科で腰痛,右下肢の
    しびれ感の精査目的にて腰椎MRI を実施。その際,左水
    腎症の疑いを指摘される。1月30日に当科紹介となり受
    診。
    2月15日,KUBDIP を実施し右重複腎盂尿管,左水腎
    症を認めた。また造影剤投与後30分腹臥位像,排尿後立位
    像で12×8mm の楕円形陰影を上部尿管近傍に同定。尿
    管憩室を疑い2月22日逆行性腎盂尿管造影を実施。ガイド
    ワイヤーは抵抗なく挿入し得た。6Fr 尿管カテーテルを
    挿入し造影開始。第3腰椎レベルで楕円形陰影が出現。陰
    影は尿管に接しており尿管憩室と判断した。尿管憩室炎を
    生じ尿管に炎症が波及し尿管狭窄,水腎症を惹起したもの
    であり水腎症の治療は緊急を要しないと判断し整形外科的
    疾患(腰部脊柱管狭窄症)の治療を先行してもらった。
    3月12日当院整形外科にて椎弓切除術を実施。
    4月25日腎部エコーにて水腎症改善を確認。
    5月1日KUBDIP にて左水腎症の軽減を確認。
    10月8日腎部エコーにて水腎症の悪化を認めず。
    〈考察〉分類:1947年にCulp らは尿管憩室を尿管壁全層
    が突出する先天性の真性尿管憩室と,筋層を破った粘膜の
    突出のみよりなる後天性の偽性尿管憩室とに分類した。成
    因:感染,尿管内圧の上昇,尿管壁の脆弱性などの関与が
    推察されている。診断:逆行性腎盂尿管造影が必須とされ
    ている。治療:合併する尿路感染や尿管結石,尿管狭窄に
    よる症状を呈する場合には憩室切除術や尿管端々吻合術が
    行われることが多い。
    〈結語〉本例は幸運にも逆行造影操作自体が尿管狭窄部に
    対する拡張効果があったため水腎症の改善をみた。しかし
    再狭窄の可能性もあり厳密な経過観察が必要と考えてい
    る。
  • 金水 英俊, 石原 順就, 高原 正信, 五十嵐 辰男, 一戸 彰
    セッションID: P1-B215
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    2004年4月から2008年12月までの4年9ヶ月間に当院に
    おいて手術を施行した75歳以上の291例について術前術中
    因子と術後合併症の有無,経過,転帰について検討した。
    術前になんらかの既往や検査異常値を持つ症例は75%にの
    ぼった。術後合併症はとしては一過性精神症状,尿閉,感
    染が多く,全症例の24%で腰椎麻酔,短時間で手術を施行
    した症例に術後の合併症が少ないという結果が得られた。
    また,術前に認知症と診断された症例,全身麻酔症例,手
    術時間の長い症例に明らかに高頻度に術後精神症状が認め
    られた。高齢者の手術においては術前の合併症がない場合
    や軽度であっても重篤な合併症が出現する場合があり,術
    中術後管理を厳重に行う必要があると考えられた。
  • 廣瀬 泰彦, 西尾  英紀, 守時 良演, 加藤  利基, 秋田  英俊, 岡村  武彦
    セッションID: P1-B216
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈目的〉塩酸タムスロシン(以下タムスロシン)は,日本,
    韓国などアジアでは0.2mg 投与が標準的であるが,欧米
    では,0.4mg 投与が一般的である。しかし,日本におい
    ても保険上0.4mg までの増量投与が認められている。今
    回,われわれは,前立腺肥大症に伴う排尿障害に対するタ
    ムスロシン0.2mg から0.4mg 増量投与による効果につい
    て臨床的に検討を行った。
    〈対象および方法〉前立腺肥大症の治療でタムスロシン
    0.2mg 投与中に,IPSS が8以上で,十分なインフォーム
    ドコンセントを行い,増量することに同意した患者19例を
    対象とした。患者は28歳~82歳(平均70.9±12.1歳),前
    立腺体積10ml~55ml(平均27.3±13.1ml),タムスロシ
    ン0.2mg 前治療期間は,1ヶ月~112ヶ月(平均19.8±
    29.3ヶ月)であった。タムスロシン0.2mg 内服中(増量
    前)と,0.4mg に増量後4週~8週目にIPSS・QOL ス
    コア,尿流量測定,残尿量を測定し,増量前後での変化を
    評価した。
    〈結果〉増量前と後の平均値の推移は,IPSS 15.3±5.6
    から13.0±8.3(p=0.0397),QOL スコアは3.8±1.2か
    ら3.4±1.2(p=0.0517),Qmax は10.2±6.7ml/min か
    ら11.9±7.0ml/min(p=0.1555),残尿量は35.7±27.0
    ml から19.6±18.0ml(p=0.0157)であった。増量前と後
    の変化量では,IPSS は2.3±4.4改善した(p=0.0397)。
    残尿量は,16.2±24.1ml 減少した(p=0.01574)。タム
    スロシン増量により,IPSS と残尿量は有意に改善がみら
    れた。増量を試みた19例のうち,1例に乳房痛,1例にふ
    らつきがみられた。
    〈考察および結語〉今回の検討は少数例ではあるものの,
    タムスロシンを0.4mg に増量することで排尿障害が有意
    に改善した。以上よりタムスロシンの増量は他剤を考慮す
    る前に試みる治療選択肢となりうることが示唆された。
  • 宮澤 智徳, 小出 則彦, 藤田 亘浩, 本間 憲治
    セッションID: P1-B217
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/19
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    〈緒言〉腹部放線菌症は回盲部および横行結腸に好発する
    とされるが,今回われわれは非常にまれな小腸放線菌症の
    1例を経験したので報告する。
    〈症例提示〉症例は72歳の男性。腹部腫瘤を主訴に当科を
    受診した。約50年前に虫垂切除の既往がある。右下腹部に
    手拳大の硬い可動性に乏しい腫瘤を触知した。血液検査上
    軽度の白血球とCRP の増加があった。腹部超音波は右腹
    直筋との境界が不明瞭で内部構造が不均一なエコー像で
    あった。腹部CT では右腹直筋直下に辺縁増強効果を示す
    低濃度腫瘤で腸管との連続性は特定できなかった。以上か
    ら原因不明の腹腔内腫瘤で放線菌症,GIST などを考え手
    術を施行した。腫瘤は右腹直筋に強固に癒着しさらに大
    網,回腸を巻き込むように存在していた。右腹直筋および
    回腸を合併切除して腫瘤を摘出した。病理組織検査では腫
    瘤は膿瘍,肉芽からなる炎症性腫瘤で小腸の粘膜面は正常
    だが一部小腸粘膜筋板まで炎症所見を認め,さらに膿瘍内
    に放線菌塊があり小腸放線菌症と診断した。
    〈考察〉放線菌感染症は,グラム陽性嫌気性桿菌である
    Actinomyces islaerii による慢性炎症性肉芽腫性疾患であ
    る。Actinomyces 属に有効なペニシリンの開発以降報告
    例は減少し現在はまれな疾患である。腹部放線菌症の発生
    機序は何らかの消化管粘膜障害により常在菌である放線菌
    が組織内に進入し病原性を発揮するとされ,粘膜障害の原
    因として虫垂炎,憩室炎,腹部手術,子宮内避妊具,魚骨
    穿通などがある。腹部放線菌症は回盲部,横行結腸に好発
    する。一方で回盲部を除く小腸放線菌症の本邦報告例は自
    験例以外にはなく非常にまれな病態であると考えられた。
    自験例は虫垂切除の既往があるが50年以上前であり原因と
    考えにくく,また小腸の炎症性疾患の既往がなく組織学的
    にも粘膜障害がないため原因不明の発生例と考えられた。
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