日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第60回日本農村医学会学術総会
選択された号の論文の494件中451~494を表示しています
  • ~アンケート調査による当院の現状と課題~
    榊原 香代子
    セッションID: 2J-D-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】 認知症高齢者などの場合、医療や介護のあり方は他者にゆだねられることが多く、中でも胃瘻造設は管理が容易で、患者のQOL向上を助けるとして普及する一方、倫理的側面からの慎重論も聞かれるようになった。そこで当院看護師の意思決定支援の現状を調査し、分析・考察したので報告する。 【研究方法】 当院看護師180名にアンケートを行い、「ジョイスE.トンプソン、ヘンリーO.トンプソンの意思決定のための10ステップモデル」1)をもとに分析、考察する。 【結果・考察】 ステップ3(その状況での倫理的問題を識別する)。アンケートでは、全体の48_%_が「倫理的に問題がないかという視点で検討した」と回答しているが、30~34歳は21_%_、35~39歳は33_%_と低かった。中堅看護師が倫理の重要性を実感し、中心となって倫理的問題を識別し、倫理的・実践的基盤を強めていけるよう働きかけていく必要があると感じた。 ステップ10(意思決定/行為の結果を評価/再検討する) 吉野は「代理決定による胃瘻造設は、介護者には決断したことへの重責管と長期に及ぶ介護生活、また要介護者には自己決定されないままの終末期のあり方という課題を残す」「介護者が、要介護者の代弁者として主体的に処置を決定・選択できるように、的確で公正な情報提供を行い、必要に応じて相談に乗る支援体制を整えていくことも必要」と述べている。倫理的問題と感じる事柄に直面した時、ステップモデルなどを使い、皆が問題を共有し同じ方向性で問題に関わることが重要と感じた。 【まとめ】 今後医療の現場では、さまざまな医療的意思決定の場面に遭遇する機会が増えてくると考えられる。よりよい意思決定支援を目指すうえで、倫理的感受性を磨いていくことが今後の課題であると考える。
  • 大塚 聡郎, 國塚 久法, 高久 英之
    セッションID: 2J-D-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    目的:当院における脳卒中診療のほぼ全ては脳神経外科で行われている。当科での脳卒中患者に対する胃瘻造設の現状について検討した.
    対象・方法:2008年1月から2010年12月までに当科で入院治療された脳卒中症例は608症例であった. そのうち嚥下障害のため胃瘻が造設された患者について, 入院から造設までの期間, 造設時から退院までの日数, 胃瘻造設による合併症, 退院時の嚥下状況および退院先等について検討した.
    結果:胃瘻造設症例は45例で全脳卒中患者の7.4%を占めた. 病型は脳梗塞26例(血栓症15例, 塞栓症7例, 病型不明4例), 脳出血15例, クモ膜下出血4例であった. 平均年齢は77.1歳で, 75歳以上の症例は31例(69%)であった.
    胃瘻造設までの平均期間は59.7日、造設から退院までは平均51.1日だった。退院先は自宅25例(56%)、療養病院11例(24%), 施設9例(20%)であった. 胃瘻造設による合併症は12例(27%)で, 一過性の下痢が過半を占めた(6例, 27%). 肺炎と麻痺性イレウスはそれぞれ1例(2%)ずつ, 胃瘻ボタン自己抜去は3例(7%)で生じていたが, 合併症による死亡は認めなかった. 退院時の栄養管理については, 胃瘻のみ37例(82%), 経口摂取可能(水分のみ胃瘻)4例(9%), 胃瘻中止(中心静脈栄養)2例(4%)であった. 胃瘻症例のADLは重症で, 脳卒中再発やその他内科疾患などの合併症例は31例(69%)であり, また42例(93%)がmRS 5であった.
    結論:合併症を抱えた高齢の重症脳卒中患者に対しては, 胃瘻を念頭においた早期からの栄養管理が必要と考えられた.
  • 中谷 弘美
    セッションID: 2J-D-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    入院期間短縮を目的とした人工膝関節置換術クリニカルパスの見直し〈BR〉 はじめに〈BR〉 2008年7月から人工膝関節置換術(以下TKA)クリニカルパス(以下CP)を使用している。入院期間は術後4週(28日)であり、退院基準をT字杖歩行獲得とし、術後21日目以降退院可としている。今回入院期間のバリアンスについて検討し、CP内容を見直した結果、入院期間を短縮したCPの改定へつながったので報告する。〈BR〉 対象〈BR〉 2008年7月~2011年3月にCPを使用した初回TKA患者62名(男性9名女性53名)、平均年齢76.7才(57才~87才)、を対象とした。〈BR〉 結果〈BR〉 術後平均入院期間は24.1日(14~36)であった。術後28日で退院できた患者は2名(3%)、入院期間が1~8日延長した患者は12名(19%)、1~14日短縮した患者は48名(78%)だった。正のバリアンス症例では、歩行器歩行訓練がCPより平均2日早く開始でき、T字杖歩行開始が平均6日早く開始できていた。負のバリアンス症例は、患者要因が4名と社会的要因が8名であったが、全員退院基準を満たす歩行能力は獲得できていた。負のバリアンス症例を除く術後平均入院期間は22日(14日~28日)であった。〈BR〉 考察〈BR〉 負のバリアンス症例が全て退院基準を満たす歩行能力を獲得できていたこと、正のバリアンスの平均短縮日数が6日であること、退院基準となるT字杖歩行の獲得が平均6日早くできていることから、術後入院期間を術後4週(28日)から術後3週(21日)へ短縮可能と判断した。社会的要因のほとんどは、家族の迎えの都合であったため、入院時に退院基準と退院予定日を説明し、術後2週でリハビリの進行状況と退院日を再確認することで入院期間の延長を防ぐことができると考えた。〈BR〉 結論〈BR〉 術後のリハビリスケジュールを見直し、退院基準と退院日を明確に記載し、改善することで、入院期間を術後3週(21日)、T字杖歩行獲得した場合は術後14日目以降退院可としたCPの改定につながった。
  • 王子 嘉人, 谷川 浩隆, 最上 祐二, 狩野 修治, 柴田 俊一, 大場 悠己
    セッションID: 2J-D-9
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    目的
    胸腰椎圧迫骨折受傷後の罹患椎体隣接椎間板のMRIにおける信号変化およびその局在と受傷機転による差異の検討
    対象と方法
    2,010年の1年間に当科を受診した罹患椎体が連続していない新鮮圧迫骨折137例のうち、MRIで罹患椎体の隣接椎間板の信号変化を認めた85例について、信号の形態とその局在を検討した。症例は男性26例、女性59例。平均76.5歳であった。受傷機転は重度13例、軽度72例であった。
    結果
    罹患椎体はT5からL5までで胸腰椎移行部に集中していた。Adamsの椎間板造影像の分類を参考に、隣接椎間板のMRIでの信号変化の形態を、1型:hair line状、2型:瀰漫性であるが髄核部に変化がない、3型:髄核を含め瀰漫性に変化している、4型:一部分に結節状に変化を認める、5型:まだら点状に変化を認める、の5つに大別した。信号変化はSTIR、T2、T1の順で、いずれも3型が多かった。軽微な外力での受傷は、T1低 T2・ST高信号とT1 T2低 ST高信号がほぼ同数であった。一方重度の外力での受傷では、T1低 T2 ST高信号が多かった。
    考察
    圧迫骨折を罹患した場合、椎間板にも出血が及ぶと考えられる。MRIでの信号変化は、出血による赤血球内のオキシヘモグロビンが赤血球外のヘモジデリンに変化する過程を示していると考えられる。軽微な外力では超急性期出血と急性期出血がほぼ同数であるのに対し、重度の外力では超急性期出血を示す信号変化が多くなったと考えられた。信号変化や局在を検討することで、椎間板の変性や椎体の破綻の程度が予測できる可能性がある。
    まとめ
    胸腰椎圧迫骨折受傷後の、罹患椎体上下椎間板のMRIにおける信号変化および局在を検討した。信号変化はSTIR、T2、T1の順に多く認められ瀰漫性に変化を認める椎間板が多かった。信号変化や局在を検討することで、椎間板の変性や椎体の破綻の程度が予測できる可能性がある。
  • 島袋 剛二, 羅 ことい, 鬼塚 真由美, 栗田 郁, 田丸 陽子, 塚田 貴史, 後藤 亮子, 遠藤 誠一, 坂本 雅恵, 大谷 俊裕
    セッションID: 2J-D-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院婦人科外来における各種ホルモン療法の施行状況 土浦協同病院産婦人科 島袋剛二、羅ことい、鬼塚真由美、栗田郁、田丸陽子、塚田貴史、後藤亮子、遠藤誠一、坂本雅恵 薬剤部  大谷俊裕 婦人科外来では子宮筋腫や子宮内膜症などの器質的疾患や生理不順、不正出血、月経困難症などの症状コントロール、避妊などの目的でホルモン療法がよく行われている。現在上市されているホルモン剤にはGnRHアナログ、黄体ホルモン、EP剤があるが、治療目標、副作用の程度や種類から症例に応じた使い分けが要求される。今回、当科外来でのそれぞれの薬剤の処方対象、治療効果、コンプライアンスなどを調査し、より適切なホルモン剤の使い分けについて考察してみた。 平成22年7月から12月までの半年間に当科外来でGnRHアナログ(各種点鼻・皮下投与)、黄体ホルモン(ジェノゲスト)、EP剤(トリキュラ、ルナベル、ヤーズ)の処方対象者を薬剤部門管理の薬剤処方登録データベースから検索し、140例を今回の解析対象者とした。各薬剤での症例数はGnRHアナログ43例、黄体ホルモン28例、EP剤69例であり、長期投与が可能なEP剤が49%を占め最も多かった。各薬剤での平均年齢±標準偏差はGnRHアナログ43.6±7.2才、黄体ホルモン38.6±7.0才、EP剤33.2±8.7才であり、卵巣機能抑制効果のより軽微なEP剤が若い年齢層で使用される傾向にあった。また強力な卵巣機能抑制効果を有するGnRHアナログは閉経前の年齢層で使用される傾向がみられた。子宮筋腫や子宮内膜症などの器質的疾患の腫瘍体積縮小効果を目的にする場合にはGnRHアナログ、疼痛のみのコントロールには黄体ホルモン、生理不順や不正出血の調整にはEP剤が好まれて処方されている傾向が窺えたが概ね各治療に良好に反応していた。 若年者の生理不順や月経困難症にはEP剤、不正出血をともなわない月経困難症には痛みが強度であっても黄体ホルモン剤で十分にコントロール可能であるが、手術療法からのいわゆる閉経逃げ切りを希望する症例には腫瘍体積縮小効果の期待できるGnRHアナログが適していると考えられた。
  • 酒井  義法, 船越 尚哉 , 家坂  義人, 藤原 秀臣 , 猪瀬 留美子 , 江幡  恵子, 荒川 克己
    セッションID: 2J-D-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    東日本大震災により当院の所在する土浦市も震度6弱の揺れを経験した。直後に発生した停電により長時間のシステム停止を余儀なくされた。その状況を報告する。
    1.震災による被害状況:1)サーバー類の状況:地震の直接的被害は免れた。メインサーバーは専用自家発電装置に接続されており停止せず。部門サーバーのうち非常電源に接続されたものは退避指示に従いシャットダウン。通常電源に接続されたサーバーはUPS(無停電装置)が作動し計画的にシャットダウンした。2)周辺機器の被害状況:デスクトップPC4台、ノートPC5台。PC用モニター4台。プリンター6台。PDA3台。放射線用高精細モニター4台。47型大型モニター1台。ネットワーク機器 4台(アクセスポイント2カ所、ハブ2カ所 )が破損。
    当院には東京電力から二系統で送電されており長時間の停電は回避されると想定されていたが、未曾有の震災により約8時間の停電を経験した。メインサーバーは被害がなく、部門サーバー群も計画的にシャットダウンされ、電源供給再開後速やかに復旧した。しかし、周辺機器は転倒、転落で破損が発生し、また多くの周辺機器は通常電源に接続されており停電中は使用不能であった。破損した機器については予備の機器に直ちに交換した。また自家発電用の燃料の備蓄が枯渇寸前であったが、震災直後の交通網の混乱により供給は困難な状況であった。
    2.地震対策:1)周辺機器設置場所の変更、周辺機器に転倒防止を施す2)サーバー類に関してはUPS、自家発電装置の定期点検を強化し停電に備える。3)予備の機器の確保。 3.今後検討すべき課題:1)サーバー類のバックアップデータ保存方法の再検討。2)各種オーダーを一枚にまとめた非常用伝票の作成。3)非常電源に接続されたPCを各病棟や部署に1台確保し、停電時の情報伝達ツールとして活用する。4)自家発電用の燃料の確保。
  • 奥村 良子, 山崎 早百合, 松尾 容子, 笠井 東子
    セッションID: 2J-D-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院は地域医療のさらなる発展をめざし、同地域に有った2病院が統合し平成20年5月に移転新築した。移転時に両病院に現存するカルテを移設し永久保存とした。
    管理方法は両病院の患者IDの統合を行いTDF方式での保管・管理とした。新病院では電子カルテを導入しての開院であったが旧病院の紙カルテも患者さん、病院にとって大切な財産であることから必要時に迅速なカルテ出庫に向けファイリングの精度向上と確実な管理のため行った取組みを報告する。
    (問題点)1.移転時のTDF作業時の入込みミスや貸出後の返却時の入込みミスなどファイルの入れ間違いによる紛失カルテがある。2.急な大量出庫依頼や貸出期限が過ぎても返却されない、使用していないカルテが放置されているなど職員のカルテ管理に対する認識不足。3.開院当初、スムーズな外来診療に配慮して直近の外来カルテを各科に保管した為、分散していたカルテの合冊作業を開始したが開院後のスタッフの更衣室、医局の拡張に伴い保管場所の変更や保管庫がうす暗く通路も狭いという環境の悪さの問題があった。
    (対策)1.合冊作業時に全ファイルのTDラベルと中のカルテとの照合をダブルチェックした。2.カルテ管理のマニュアルを作成し配布した。その後、周知度のアンケートを実施した。3.カルテ庫の蛍光灯を増設、ファイルを整理して収納する事で通路を確保するなど環境整備を行った。
    (結果)誤ファイルされていたカルテを正しくファイルする事が出来た。マニュアルの配布前と比べカルテ管理に対する理解度は増加した。環境の整備により出庫・収納がしやすくなったなどの結果が得られ迅速なカルテ出庫に向けた精度向上が図れた。今回の取組みは大切な情報源であるカルテを保管・管理する上で単純作業ではあるが正確さと忍耐力が必要な業務であることを知ってもらう機会になった。今後も精度維持に努めていきたい。
  • 丸井 真奈, 神谷 公江, 佐藤 彩, 原 明子, 梅村 健太, 熊澤 喬士, 吉橋 真里奈
    セッションID: 2J-D-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    当院は、平成20年1月の新築移転を機に、電子カルテを導入した。
    旧病院では、院内で発生する帳票についての規定がなく、多様な様式が存在していた。また、どの様式が最新の状態か分からないものが多くみられた。
    このため、移転を機に診療録管理委員会で中央管理を行い、様式の共通化や、常に最新の帳票を提供することを可能にした。
    なお診療録管理委員会では、帳票を電子カルテより出力する書類(以下電子カルテ書類)、コピーして出力する書類(以下コピー書類)、印刷会社へ発注する書類(以下印刷物)の3つに分類し、管理を行っている。
    【目的】
    中央管理を導入してから3年が経過し、全帳票数が2119まで増加した。この状況を受け、現在の使用状況を把握し、見直しを行うことで不要な帳票の有無を確認した。
    【方法】
    各帳票の使用状況を関連部署へ確認する。
    (全科共通の帳票は見直し対象外)
    <対象帳票>
    ・電子カルテ書類(83件)
    ・コピー書類(429件)
    ・印刷物(78件)
    【結果】
    調査の結果、委員会へ申請されていない書類やコピー書類よりも電子カルテ書類での運用が望ましいといった、分類の見直しが必要な帳票を発見したため、関連部署へ再度見直しを依頼した。
    最終的に、電子カルテ書類では更新6件、廃止12件、コピー書類では更新22件、廃止36件、印刷物では廃止8件の見直しを行うことができた。
    【考察・終わりに】
    今回の見直しである程度の効果が得られたが、帳票管理の運用について、職員への周知が徹底されていないことが分かったため、再度各部署へ啓発を行う必要があると考える。
    また、当初の予定よりも電子カルテ容量の消費スピードが速く、容量不足が問題となっているが、電子カルテ書類の見直しにより、2,544KB削減することができ、少しではあるが貢献できたと考える。
    今後も今回見直し対象外とした帳票を含め、ファイルの容量にも着目して再検討を行っていく。
  • 中村 秀一, 杉谷 匡彦, 山岡 康人, 高城 祐也, 長沼 敏彦, 高村 伸二, 松本 好正
    セッションID: 2J-D-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〈緒言〉近年,フィルムレスが進み可搬型媒体を用いた施設間情報連携で全国的に様々な問題点が生じている。厚生労働省は,2010年3月に「保険医療情報分野の標準規格として,認めるべき規格について」を通知した。標準化を図り医療情報連携の環境整備を推進している。当院では,2010年4月からフィルムレス運用に伴い,Compact Disc(以下,CD)を用いる医用画像情報の連携が開始され,他施設から持ち込まれるフィルムおよびCDの画像情報を画像サーバへ取り込むシステムも構築した。本稿では,当院における医療情報連携の画像取り込みについて報告する。
    〈方法〉2010年4月から9月(以下,上半期)と10月から3月(以下,下半期)に区分し,画像サーバへ保存した総容量に対する画像取り込み容量の占有率(以下,占有率),フィルムの画像取り込み件数とCDの画像取り込み件数を比較検討した。
    〈結果〉占有率は,上半期で9.8%,下半期で11.7%となり,時間経過と共に上昇した。また,フィルムとCDの画像取り込み件数は増加傾向にあり,総画像取り込み件数に対するCDの取り込み件数の占める割合は,上半期で46%,下半期で66%であった。上半期に比べ下半期では,CDの取り込み件数の占める割合が上昇し有意差があった。
    〈考察〉CDの取り込み件数の占める割合が上昇した背景には,フィルムレスの普及による画像提供側のCD出力可能な設備と画像受け取り側の画像参照環境の整備が考えられる。今後,フィルムとCDの画像取り込み件数が増加し,占有率も上昇することが予測される。それは,画像サーバ容量が他施設から持ち込まれる画像によって,容量が逼迫されることである。また,画像取り込み業務量の増加も見込まれる。画像取り込み環境においても,未だCD書込形式が標準規格に沿わず,画像取り込みができない場合がある。施設間で円滑な医療情報の共有を図るため,厚生労働省の定める標準規格に合わせた運用が不可欠であり,当院では,今後も画像連携に関して,注視し画像取り込みを行っていく必要がある。
  • 新人チェックリスト未経験項目を検証して
    伊藤 保子, 伊藤 恭子, 川瀬 清子, 佐藤 まゆみ, 小林 美和, 野嵜 孝子, 守山 浩子, 大西 みづき
    セッションID: 2J-D-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに  当院ではプリセプター制度を導入して11年以上経過し、新人離職率は過去7年間0%の実績である。新人看護師チェックリストを基に毎月指導を行っているが今回、教育担当者としてさらなる新人教育充実のために現行のチェックリストや、教育体制を見直す必要があると実感し改訂したのでここに報告する。 方法  1. 従来の新人チェックリストの調査 1) 過去3年間12名が使用した「新人チェックリスト」を基に1年間の未経験項目を調査 2) 未経験項目が1年間の必須経験項目か否かを検討 3) 未経験項目の中で緊急性の高い項目を明確化 4) 未経験項目を配属先によらず少なくするための対策を検討 2. 厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」に添って従来の新人教育プログラムの修正 結果及び考察  1年間たっても未経験の項目を集計した結果、各病棟の特殊性もあり未経験項目にはばらつきはあったが多数の看護師が経験することなく、終了した項目も明らかになった。 1年間未経験項目として多かった項目に対し、未経験項目が1年間の必須経験項目であるか、緊急性の高い項目を明確化し、配属先によらず未経験項目を少なくするための検討を実施した。新人プログラムの修正に関しては、新人教育理念を明確にし、新人教育体制組織図の改訂、新人の看護実践能力の到達目標をガイドラインに添って具体的な達成レベルに設定しなおした。このことより教える側、教えられる側にとって到達目標がさらに明確になった。一つの項目について一度習得したら終了するのではなく実技と試験を繰り返し反復練習を行い、新人が成功体験を積み重ねて行けるように工夫した。このような経緯により「新人チェックリスト」を改訂しローテーション研修を導入した。今後は教育評価により更に充実したプログラムとなるよう改訂をしていくこと及び教育する側の指導力向上のための研修の構造化を図ることが必要である。
  • プリセプターが希望する支援の調査
    大西 みづき, 伊藤 恭子, 小林 美和, 佐藤 まゆみ, 守山 浩子, 山口 加奈, 川瀬 晴子
    セッションID: 2J-D-16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに 当院は新人看護師1人に対し担当の先輩看護師1人を決め1年間教育・指導にあたるプリセプターシップを導入している。プリセプターシップを効果的に機能させるためには、支援の充実が必要であり、先行文献も多く見られたがインタビューによる調査を行ったものは少ない。今回インタビューにより調査する事で、効果的な支援方法を検討する示唆が得られたのでここに報告する。  研究目的   プリセプターが希望する支援を把握する  研究方法  期間:平成23年1月  対象:平成22年度プリセプター  方法:1人30分のインタビューを実施  結果・考察 今回の調査では、新人看護師の教育はプリセプター に一任するのではなく、病院をあげてスタッフ全員で育てて欲しいという支援を期待する内容が多く見られた。プリセプターに間接的に関与する内容として、『病棟スタッフの協力』『新人研修の充実』が挙げられる。プリセプター不在時には代わって指導してくれるなど、周囲が積極的に新人看護師に関わって指導するというようなバックアップ体制が重要と考え、その中で看護技術の指導を目的とした研修会を開き組織的にプリセプターを支援する体制を充実させる事が必要と考えた。次にプリセプターに直接的に関与する内容として、『学習の機会』が挙げられる。プリセプター研修や会議は負担感の軽減や解決策発見の機会となり、行う必要がある。そのようなバックアップ体制を背景に『勤務の調整』を行う事で、希望する支援に繋がっていくと考えた。    結論  プリセプターが希望する支援として、『学習の機会』『病棟スタッフの協力』『新人研修の充実』『勤務の調整』にカテゴリー化できた。本研究の結果を、各部署や委員会へ情報提供し支援の充実に繋げていきたい。
  • 松田 奈美, 今井 智香江, 内藤 圭子, 長濱 優子, 今枝 加与
    セッションID: 2J-D-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    目的:2009年12月に新たに厚生労働省が策定した「新人看護職員研修ガイドライン」(以下ガイドラインとする)を基に、新人看護職員研修を再構成し、取り組んだ結果を評価し、今後の課題を検討する。
    方法:対象者は、2010年4月採用の新人看護職員(新卒の新採用者)52名である。ガイドラインを成功させるためのポイントを参考に、1.集合研修の期間を短縮し集合研修とOJTを繰り返すスパイラル研修を導入2.4月は必ず毎日リフレクションを行う3.部署内の教育体制を明確にする4.定期的に集合研修を開催し同期と集まる機会を作る5.新人看護師交流会・成長発表会の機会を通して成長を確認する、などの変更をもとに実施し、年間プログラム終了時に研修生アンケートを実施し評価した。
    結果・結論:予習・復習が確実に出来た、さまざま場面で活用・確認できたなど、学んだことを実際の場面で確認でき実践的に学べたと36名(72%)が回答した。各部署に新人教育担当者を配置したことで、教育体制が整っており、幾重にもサポートが受けられたと46名(92%)が回答した。研修会は同期との交流ができ、お互いよい励まし合いとなったと44名(88%)が回答した。また、研修が定期的なスパンで開催されお互いのつながりを感じることが出来たと42名(84%)が回答した。新人看護師交流会では、お互いができるようになったことを発表し合った。よい振り返りが出来、リフレッシュできたと内容について満足している人が44名(88%)であった。また、成長発表会では1年間の振り返りが出来、50名が今後に役立つものであったと回答した。1年目の到達目標に達したものは44名(88%)であった。
     今後は、作成したプログラムの活用および修正と、個に合わせた教育プログラムへの適宜変更により多くの新人看護師が到達目標を達成できるようにしていきたい。
  • 高橋 育代, 祖父江 正代, 馬場 真子, 仲田 勝樹, 伊藤 裕基子, 楓 淳, 大城 和人, 林 亜希子, 野口 賀乃子, 長谷川 しと ...
    セッションID: 2J-D-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
     A病院では、6分野の認定看護師および専門看護師が所属しており、各々の専門分野を越えて、患者にとってよりよいケア方法を検討することを目的に認定・専門看護師活動委員会を設立している。その活動として、平成20年度から多職種とも協働し、一つの看護ケアについてさまざまな視点から意見を述べるというシンポジウム形式の学習会を開催しているので、その概要を紹介する。 学習会のテーマは、第1回が「膀胱留置カテーテルについて考える」、第2回が「CVカテーテルについて考える」、第3回が「口腔ケアについて考える」であった。それぞれの学習会には、認定・専門看護師以外に医師、薬剤師、メディカルソーシャルワーカー、臨床検査技師、言語療法士、歯科衛生士なども専門的立場から発表し、参加者は医師や事務員も含め全職種で150~180名であった。 第3回の学習会「口腔ケアについて考える」の内容を紹介する。事前に口腔ケア実施状況についてワンデー調査を行い、学習会の導入として、その結果をもとにA病院における口腔ケア上の問題点を報告した。1)唾液や舌などの正常な機能、2)嚥下機能、3)口腔内の細菌、4)誤嚥性肺炎や人工呼吸器関連肺炎、5)術後肺炎、6)寝たきり患者、挿管中患者の口腔ケア方法、7)終末期患者の口臭や乾燥、8)終末期患者の口腔ケアについて口腔外科医師、言語聴覚士、臨床検査技師、感染管理認定看護師、手術看護認定看護師、歯科衛生士、がん看護専門看護師が口演した。シンポジスト口演後、ワンデー調査の結果をもとに、当院での口腔ケアのあり方について参加者とともにディスカッションした。  これらの学習会の効果として、広い視野でのケアの検討できたことに加え、認定・専門看護師や多職種の役割理解の深まり、テーマとなった看護ケアに対する意識の変化などがみられた。今後も一つ一つの看護ケアについて多方面から検討し、質の高い看護ケアを追求する場を提供していきたいと考える。
  • -見学医学生アンケート結果より-
    三島 信彦
    セッションID: 2J-D-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <背景>
     当院は愛知県西部、人口30万人医療圏に位置する基幹型臨床研修病院で、研修医定員は毎年度12名である。年間100名を超える見学・実習医学生が訪れるが、筆記試験を課した平成18年以降、受験者は毎年52名、41名、32名、32名、33名と推移している。
     学生の見学希望科が偏っていないか、人気の診療科志望者に偏って受験しているのではないかと、研修管理委員会で委員から懸念が表明された。受験者が偏っているかどうかを検討するために、医学生が当院をどのように見ているかを調査する必要性が生じた。
    <方法>
     当院研修管理委員会では平成22年度秋に、当院を見学したが受験しなかった67名の医学生に対して郵送によるアンケート調査を行い、当院非受験者の意向を解析した。
     質問項目は、_丸1_第1位指名病院の特徴、_丸2_第1位指名病院名、_丸3_志望科、_丸4_研修したいと思うプログラム、_丸5_海南病院のイメージ、_丸6_海南病院を受験しなかった理由、_丸7_海南病院がより良い臨床研修病院になるために改善すべき点、である。
    <結果>
     アンケート回収は67名中23名、回収率は34%であった。内容解析から以下(括弧内は採択率)が判明した。
     当院見学者には志望科に偏りがなく、雰囲気の良い大規模病院を好んでおり、希望する研修プログラムには一定の傾向は見られない。海南病院のイメージは、スタッフの雰囲気が良く(70%)、先輩上級研修医に惹かれ(65%)、研修病院としては悪くない(91%)が、採用試験が難しい(48%)。当院を受験しなかった理由には、電子カルテではない(61%)、志望科を支援する大学医局が希望大学と合致しない(44%)、採用試験が難しい(30%)が挙げられた。
    <結論>
     回収率の低いアンケート調査には限界があるが、特定の理由で学生が当院受験を忌避しているという事実は確認できず、調査時点では当院にとって懸念するような評判は立っていない。採用試験問題を平易にし、来年度電子カルテを導入すると、受験者が増加することが期待できる。
  • 板倉 美佳, 鈴木 詠子, 大久保 裕次, 畑 康夫, 中根 裕基, 竹内 好正, 吹留 理香, 福田 大輔
    セッションID: 2J-D-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <背景と目的>リハビリテーション室(以下リハビリ室)では医師の常駐がない状態が多い。急性期リハビリテーションは、患者の安静や手術後による体力・活動性低下状態から、それらを改善する目的で行うため、患者の循環動態などに負荷がかかる行為である。以前より、患者急変時の連絡方法・対処方法の体制は整えていたが、実地訓練などは実施していなかった。2008年1月に新病院に移転後、リハビリ室で急変があった際スタッフが迅速に行動できていないと感じられたことを機に、対処方法の見直しの必要性を痛感し、対応強化のため一連の活動を行い効果が認められたため報告する。
    <活動内容>1)人的教育:当院はICLS研修開催可能施設である。当研修は医師・看護師・医療従事者全てが対象の研修である。リハビリ技師全員のICLS研修受講を目指し、2008年から順次受講を進め、2011年度末での受講率は95.2%(技師人数21名、受講修了者20名)である。2)実地訓練:ICLS研修の手法に沿い、リハビリ室での発生が想定される局面設定(スタッフ人数・場所・時間帯・環境など)を作成し、緊急処置・緊急連絡・必要物品の準備などの実地訓練を年1回実施(リハビリ技師の処置範囲はBLS・AEDの実施まで)。患者搬送経路の事前確認。3)体制整備:緊急連絡方法の掲示の工夫。必要物品(救急カート・除細動器・ストレッチャー・酸素ボンベ)の日常点検を実施。必要時、直ちに使用できる状態に常時整備。
    <結果>実地訓練の効果として1)部署の問題点が判明し、解決策を導きだすことができた。2)実際の急変時にも迅速に行動できるようになってきている。
    <考察>ICLS研修を通じて、リハビリスタッフの意識・行動変容に繋がる効果が得られたと考えられる。今後も想定局面設定のバリエーションを増やし、実地訓練を継続してゆきたいと考える。
  • ー地域に信頼される病院を目指してー
    永井 正信, 西尾 政則, 黒木 浩幸, 牛丸 貴美子, 中村 光一, 森川 義詞, 堀 明洋
    セッションID: 2J-D-21
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに> 病院にて働く職種は多種多様である。特に子供たちには、医師、看護師の仕事はよく理解されているがその他の仕事については知られていないのが現状である。今回当院では、地域の住民との直接的な交流を通して病院・仕事への一層の理解を深めていただこうと夏休みの親子科学教室を開催したので報告する。
    <目的> 病院の中のたくさんの仕事と機械を見てみよう!をテーマに
    1) 地域医療に密着する病院として、施設見学を通じて医学に興味を持つ子供への学習の手助け。
    2) 医療技術者の職種、仕事の内容を人体の仕組みを通じて理解してもらう。
    <対象 学習内容> 小学校高学年、中1、2年及び父兄。参加人員は35名。
    薬局:薬剤師がどのように薬を作るのか練り薬、散剤の分包を中心に紹介。
    検査科:心臓の働きを超音波で見よう。がん細胞、血液細胞の観察。
    放射線科:MRIの磁場体験。超音波検査。CT画像。
    リハビリテーション科:車椅子自走や障害者擬似体験。
    臨床工学・医師・看護師:AED体験。心肺蘇生法の体験。
    栄養科:飲料水の砂糖量。味覚体験。
    <アンケート報告> 薬局の薬を混ぜたり、薬包紙の包み方は好評であった。検査科はカエルの心臓と人間の心臓の違いを思い出されていた。放射線科では、MRIの値段に驚かれ、人体画像の鮮明さに感心されていた。リハビリテーション科の車椅子体験は人気であった。臨床工学科・医師・看護師の救命処置体験は親子での触れ合いができた。栄養科の甘い飲み物には、砂糖がいっぱいの説明には、参加者全員が飲みすぎを反省されていた。
    <考察> 地域医療に貢献していくためには、信頼関係は重要な要素となる。特に子供達の真剣な学習態度を見て思うことは、第1に安全な医療を提供することが我々の責務であると再認識した。またこの教室を通じて医療従事者同士の連携と相互理解が深められた。
    ―いつかこの子供達から医療を志し、活躍することを夢見ています!ー
  • ~「接遇カード」を用いた自己評価の効果~
    平塚 美由紀, 小野 真樹, 石井 ヤエ, 佐々木 美鈴, 小林 裕子, 田村 佳代子, 谷村 さゆ子
    セッションID: 2J-D-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>A病院看護部方針は「一人ひとりとの関わりを大切にし、外来受診者が満足できるよう支援する」である。病院利用者満足度調査(以下満足度調査)の結果から看護師個々の接遇態度が危惧された。当院外来看護師の望ましい接遇態度5項目に抽出した名刺サイズの接遇カード(以下カード)を作成し常時着用、定期的な自己評価を行った結果、個々の接遇意識に変化がみられた。 <目的>カードを着用し定期的に自己評価を行うことで、接遇向上につながるかを明らかにする。 <方法>平成22年8月~10月外来看護師20名(外来経験年数年以上:5名 3年未満:1 5名)に名札と共に常に着用、週1回読みあわせと月1回の4段階自己評価を行い、満足度調査の自由記載項目をカード使用前後で比較検討した <結果>読み合わせの参加者は平均7名~15名であった。自己評価の合計点では1ヶ月後60%、2ヵ月後90%に増加した。合計点の分布では11点以上30%。2ヵ月後75%であった。満足度調査では、「笑顔が足りず、やさしい言葉があってもいい」などの意見があった。「前より声掛けが丁寧になり気持ちいい」「職員の対応が良くなったのでこれを続行して」などの意見になった。 <考察>全員での読み合わせが難しい中、2ヵ月後には90%に上がった。「読み合わせに参加できなくても、月1回の評価で何回かカードを見るようになった」がある。このことは、外来という時間的制約がある中でも、5項目に抽出したカード着用は自然に自身の接遇態度の意識づけになったと思われる。更に月一回評価したことで振り返りができ行動変化に繋がったと考える。患者評価からも、カード着用と定期的な評価は接遇意識の向上に効果があったと言える。 <結論>カード着用と定期的な自己評価は、接遇意識の向上に繋がった。
  • 増山 多輝子, 山元 歩, 伊藤 智子, 茂津目 綾子
    セッションID: 2J-D-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〈序論〉患者急変は予測ができず、日々不安を感じている中で、私たち看護師は、挿管時看護を始め心肺蘇生法の技術習得が必要である。そこで、実際の挿管場面の立ち会いを経験することで、挿管時看護への不安に変化がみられるのか明らかにし、今後の学習方法を検討したので報告する。
    〈研究方法〉看護師経験年数5年目以下の看護師56名を対象に、挿管用具の準備から固定までの看護行為を見学、または実際の介助を経験。その前後に質問紙を用い、対象者の背景・現在までの挿管時看護の立ち会い経験について調査。また、新版STAI検査を用い不安度の調査をした。
    〈結果〉挿管時看護立ち会い経験の有無は、経験あり43%・経験なし57%だった。新版STAI結果は、立ち会い前後で特性・状態不安値ともに中~高不安であり、平均差は減少したが有意差はみられなかった。挿管時看護立ち会い経験の有無と新版STAIとの関連は、統計学的にみると、特性・状態不安値ともに中等度から弱い相関関係がみられた。看護師経験年数と新版STAIとの関連は、どの経験年数においても統計学的な有意差は確認できなかったが、大変弱い相関関係がみられた。
    〈考察〉 挿管時看護は実体験の機会が少なく、不安に繋がっていると考えられる。本調査では、統計学的に不安値を減少させるには至らず、平均値の減少のみであった。それらのことから、継続学習は、不安値の減少幅を増大させることができるといえる。また、経験不足になりがちな技術項目は、立ち会いを経験していくことで実践を意識した学習を積むことができると思われる。不安度の結果は、経験年数での差はなく中~高不安状態にいる集団であるといえる。そのため、経験不足になりがちな技術項目に関する今後の卒後教育としては、看護師経験を積んだスタッフも含めて考えていく必要があると思われる。
  • 勉強会アンケートを実施して
    廣瀬 郁恵, 木上 春美 , 寺田 照子
    セッションID: 2J-D-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
    現任教育プログラムに沿った集合研修に加え、病棟においても年20回程度の勉強会を行っている。しかし計画通りに勉強会が実施出来ていない現状があり、病棟での勉強会を見直し、スタッフのモチベーション向上と、より良いスタッフ教育につなげたいと考えた。
    【研究目的】
    病棟勉強会の現状と、勉強会に対するスタッフの意識を明らかにし、勉強会の年間計画立案に役立てる。
    【方法】
    対象:病棟看護師17名 回収率100% 
    方法:質問紙調査法(選択式・自由記述式) 前年度の勉強会実施状況調査 
    データ分析方法:単純集計
    【倫理的配慮】
    対象者へ、研究目的・方法、アンケートは無記名であること、結果は研究以外には使用しないことを説明し同意を得た。
    【結果・考察】
    年間予定の勉強会が21回のうち、実施したのが14回で、トピックスとして予定外で実施した勉強会が13回あった。勉強会への参加は平均10名であった。アンケート結果では、病棟勉強会の回数が多いと答えたスタッフが6名35.3%、ちょうど良いが10名58.8%であった。これは、夜勤明けや休日でも参加しなければならない状況や、現任教育研修出席もありスタッフの負担が大きいと考えた。臨時の勉強会も多く、勉強会の内容も見直す必要があった。勉強会の回数は年何回が良いかの質問に、14名68.7%が12~24回と回答。今後、希望する内容は、医師から疾患や術中の流れ、ME機器についてなどであった。専門性を深めたい意識の表れと、自己学習だけでは不安があり、第三者からの知識を求めていると推察した。これらの結果から、今年度は医師やMEからの講義を中心に、予定回数を17回とし、予定外の勉強会を入れても負担がないよう計画した。今年度の計画の妥当性を評価し、より良いスタッフ教育を実践していく必要がある。
  • 小柳 浩子
    セッションID: 2J-D-25
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>リンクナースは、臨床現場(以下現場)において、感染対策の実践モデルとなるとともに現場の現状を把握し問題提起を行うなどの感染対策を推進するうえで重要な役割がある。その役割を担うためには、感染対策の基礎知識の習得が不可欠であり、リンクナースへの教育は院内感染対策上重要である。当院では、リンクナースの感染対策の知識の習得は、自己学習など本人の努力に任せている。そのため、感染対策の知識に個人差がみられた。そこで、「感染対策の実践モデルとなる」、「現場の現状を把握し問題提起できる」を目指し、リンクナース育成教育(以下勉強会)を開始した。その試みを報告する。
    <方法>1.月1回開催する看護部感染対策委員会の時間を活用し、15分間の勉強会を実施 2.講義内容は、感染対策の基礎知識が習得できるよう10回に系統だて構成 3.毎回の資料に前月の復習問題をつけ、講義前に解答する 4.10回の勉強会終了後、小テスト、アンケートを実施
    <結果>勉強会は、委員会の時間を活用したことで、ほぼ全員参加。アンケートでは、全員が「リンクナースとして勉強会は役にたった」、「今後も勉強会を続けた方が良い」と回答。また、半数が、「勉強会の内容を部署のスタッフへ時々伝達していた」と回答しているが、「他のスタッフへの伝達が難しい」という意見もあった。事前に資料を配布していたが、予習や復習問題の取り組み率が低いことも明らかになった。
    <結論>1.系統だてた教育により、感染対策の基礎知識が得られた。2.基礎知識を習得することで、リンクナースとしての責任感や役割を認識するきっかけになった。3.得た知識を実践に活かせるように継続的な教育と活動のサポートが必要である。以上のことが再確認できた。今後も、知識の向上を目指し勉強会を継続していきたいと考えている。
  • 廣瀬 みち子, 近藤 司, 湯原 里美
    セッションID: 2J-E-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     中央材料室(以下中材)は、病院感染防止の根管を支えている。当院では、平成16年から感染症委員会がマンパワー不足を抱える中材の業務改善対策を行ってきた。今回、マンパワー不足を抱えながらも安全・感染対策を重視した業務改善を目的に取り組んできたので報告する。
    期間と経過
     期間:平成16年4月~平成23年3月
     職員:看護師2名 看護助手7名(短時間パート職員含む) 専門派遣業者2名
     経過:(1)物品単包化導入(カンシ立て・ガーゼカストの廃止)
        (2)一次消毒廃止
        (3)経管栄養ボトル洗浄の中央化
        (4)滅菌保証確認後の払い出し
        (5)洗濯の外注(おしぼり)
        (6)回収と配送の実施
        (7)一次洗浄廃止
        (8)汚染処理室の導入(時間制での受け入れ)
        (9)器材のディスポ化(ルンバ―ルセット廃止)
        (10)職員業務の固定化
        (11)専門の派遣業者の採用
    結果
     医材配備を業者委託にしたことや器材管理の中央化により、病棟では、看護職員がケアに入れるようになり、中材では、医材作成時間が減少し業務改善が図れた。汚染処理室の導入にあたっては、マンパワーが少ない中での実施が厳しい現場にあったが、時間制での受け入れを取り入れ、職員の業務を固定化することによりスムーズな運営を行うことが出来た。
     感染症委員会と連携していたため、導入は、スムーズであった。
     一次消毒を廃止した結果、病院全体でフタラール製剤の使用を2年間で240本/年から84本/年に減少した。
     取り組みの期間は、滅菌物のリコール発生はない。
    考察
     感染症委員会と連携したことにより、有用な情報が俊敏に伝わり短期間に業務改善が図れたと考える。また、部署での医療器材の一時洗浄・消毒を廃止したことにより、コストの削減や、安全な滅菌物の提供に繋がったとも考える。
     その他、マンパワーの少ない中で、専門派遣業者の採用は、業務負担軽減に繋がるが、災害時の対応などの問題を孕んでいる可能性はある。
  • 佐藤 早百合, 伊藤 恭子, 腰高 秋子, 小林 美和, 佐藤 まゆみ, 浅野 ゆかり, 守山 浩子, 太田 佳奈
    セッションID: 2J-E-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに  I病院でのインシデント・アクシデントレポート報告件数は、平成21年度は年間417件あり、そのうち転倒・転落による報告事例は155件(37.2%)と最上位項目報告された。平成21年11月より転倒・転落によるアクシデントの発生件数と重症事例を減らす目的でアセスメントスコアーシートの改訂と、入院時・入院1週間後に転倒リスク評価をすべての入院患者に実施することとした。また、危険度別予防対策を改定し、転倒リスクの高い患者の病室の入り口に危険度別シグナルを表示、毎月全病棟の医療安全ラウンドを実施した。以上の取組みにより、重症事例発生件数が減少傾向となる結果を得られたのでここに報告する。 方 法 平成20年12月から平成22年11月までに報告された転倒・転落によるインシデント・アクシデント件数を、危険度別予防対策の改定前、改定後の報告件数と重症事例報告件数を調査した。 結 果 転倒・転落危険度別予防対策の改定前1年間の転倒・転落によるインシデント・アクシデント報告件数は154件から108件に減少し、重症事例のレベル_III_は5件から3件に減少した。 考 察 転倒・転落アセスメントスコアーシートを改訂し、入院時と、1週間後に転倒リスク評価をすべての入院患者に実施することで、看護師のリスクに対する意識が向上したと考える。また、危険度別予防対策を実施可能な対策に見直すことでケアの標準化をはかることができた。また、マニュアルの改訂については、薬剤師や理学療法士の立場からの意見を聞くことができ、その結果多角的に対策を講じることができ、重症事例発生件数が減少傾向となった。しかし今回はレポートの単純集計であり、統計処理はしていないため結果の信頼性には限界がある。今後の継続的な取組みや調査により検証していきたい。
  • 看護師・付き添い者のアンケート調査から
    岡本 千雅子, 後藤 由美, 林 佳代美, 畠岡 美恵子
    セッションID: 2J-E-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉 当科では入院オリエンテーション時の説明や患児の年齢・発達状態に合わせて2種類のサークルベッドを使用することでベッドからの転落防止に取り組んできたが、ベッドからの転落事故が年間4~5例発生している現状がある。そこで、看護師・付き添い者の転落防止に対する意識や行動の違いを把握し、小児の転落防止についての現状分析を行ったのでここに報告する。 〈対象および研究方法〉小児科病棟で働く看護師10名、6ヶ月~4歳児までの付き添い者40名へ独自に作成したアンケートを行い、看護師の入院オリエンテーション時の方法や転落防止行動、付き添い者の入院オリエンテーション理解度や転落防止行動について把握を行った。 〈倫理的配慮〉本研究の趣旨、プライバシーの保護、参加の自由、調査結果を厳重に管理することを文書にて説明し同意を得た。〈結果および考察〉入院時の転落防止の説明は看護師全員が行なっていたが、説明内容・方法に違いがあった。当病棟のオリエンテーション内容は統一化されていないため、説明不足となり転落の危険性が増すと考えられる。また、入院回数、患児の年齢、業務状況によって説明を省く場合があった。看護師の思い込みや時間がないという業務上の判断が働いていると思われる。付き添い者の中には、転落防止の説明がなかった・覚えていないと回答していた。入院時は疾患や環境の変化による不安から付き添い者が動揺していることが多く、入院の全ての説明を理解することは難しい。転落防止についてベッド柵に注意を促すシールを貼るなど視覚的情報を提示することは効果的であった。小児のベッドからの転落は、付き添い者が患児から離れた一瞬の隙、柵がしっかりと使用されていない時、患児が予測できない行動をした時に起きている。付き添い者にどんな状況で転落が起きているかわかりやすく説明できれば転落防止行動につながると考える。患児が起きているときの方が転落の危険性が高いにも関わらず、ベッド柵の使用が不十分になる理由としては、付き添い者の判断、付き添い者の行動が制限される、ベッドそのものの不具合が挙げられる。
  • ナースステーションで管理している薬剤の与薬に対する調査
    岩原 美枝, 近藤 安由美, 及川 明里, 佐藤 貴美, 高橋 桃子
    セッションID: 2J-E-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉私達が定義するナースステーション管理薬の与薬とは、自己管理が出来ない患者に対し確実に内服出来るよう看護師が管理し、内服するまでを見届ける一連の過程をいう。しかし、内服に関する看護師要因のセーフティレポート(以下セーフティ)が時折報告される。そこで、A病院看護師のうち、与薬業務に携わったことがある病棟看護師を対象に、与薬を見届ける事が出来ない要因について調査を行った。〈BR〉〈研究方法〉対象者:A病院看護師128名、期間:H23.2~H23.5、調査方法:【業務による中断】、【看護師の思い込み】、【患者への遠慮】、【患者の強い希望】、【与薬の意味・必要性のとらえ方】を5つにカテゴリー化し、4段階尺度で構成した独自の質問にて調査を行った。分析方法:過去に与薬に関する何らかのセーフティを経験したことがある看護師群(以下セーフティ経験群)と経験のない看護師群の2群に分け、カテゴリー別と各質問項目別にSPSS15.0を用いてt検定を行った。有意水準は5%未満とした。〈BR〉 〈結果〉セーフティ経験群においてカテゴリー別でみた結果は【看護師の思い込み】 (p<0.01)【業務による中断】(p<0.05)で有意に高かった。また、【看護師の思い込み】の下位項目では、1.記録に内服できるとあった(p<0.01)2.患者が飲めると言った(p<0.01)3.今まで出来ていた(p<0.05)が有意に高かった。〈BR〉〈考察〉セーフティ経験群の与薬を見届けることが出来ない要因は【看護師の思い込み】、【業務による中断】であった。中でも【看護師の思い込み】には、記録から得た情報や患者の言動などがあり、それらが看護師の与薬に関する一連の行動に影響を与えている可能性がある。〈BR〉〈結語〉セーフティ経験群の与薬を見届けることが出来ない要因は、【看護師の思い込み】、が有意に高く、今後も継続調査が必要である。
  • 上舎 祐陽, 金子 郁子, 山本 加代子, 黒澤 好美, 斉藤 由紀子, 細谷 菜穂美
    セッションID: 2J-E-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     平成22年11月、企業における5S活動の取り組みについて学び、生産性の効率化に役立っていることがわかった。そこで、A病棟で5S活動を導入することにより業務の効率化に繋がるのではないかと考えた。今回、スタッフの5Sに関する意識と病棟の実態を調査した結果、問題点と今後の課題が明らかになったので報告する。

    研究方法
    ★_丸1_A病棟看護師・看護助手、計39名を対象とする。
    ★_丸2_5Sに関する意識調査(アンケート)及びナースステーション内の見取り図を作成し、問題があると感じた場所2箇所に職種・経験年数別に色分けしたシールを貼ってもらう。

    倫理的配慮
       実施するアンケートは匿名式とし、個人を特定するような項目にしない。また、得られた回答は研究目的以外には一切使用しないこととする。

    結果
     アンケートの回収率は90%であった。5Sという言葉を60%のスタッフが「知らなかった」と回答した。シールを貼った理由は、「取りづらい」60%、「物が雑然としている」74%、「汚い」51%という結果であった。物品の収納時に決められた場所へ戻しているかの問いには、全員が「はい」と回答した。

    考察
     シールを貼った理由として「物が雑然としている」「取りづらい」「汚い」が多かった。スタッフは元の位置に戻してはいるが、その戻し方に問題があると考えられた。そのため、物品の細分化した定置化をする必要があり、見た目がきれい、取り出しやすいなど「見える化」に繋がると考えられる。また「汚い」「掃除が行き届いていない」などの答えも多かったが、定時の清掃以外には、積極的に行う姿は見られていない。今後はスタッフに5S活動の取り組みを意識付ける必要があり、各々の役割を決めることで、責任性・自主性を高めていくことが重要である。
  • 岡本 由美, 伊藤 二葉, 鳥本 理恵, 小川 嘉久, 金森 伸夫
    セッションID: 2J-E-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】現在、輸液セットは、その柔軟性、透明性、経済性から、ポリ塩化ビニル(PVC)製品が繁用されている。しかしこのPVC製輸液セットは、薬剤の吸着、可塑剤DEHPの溶出など、薬剤との相互作用が問題となっている。当院薬剤部では、相互作用のある薬剤の一覧を作成し各部署に配布していたが活用されておらず、看護師から輸液セットの選択についての問い合わせが度々あった。そこで、輸液セットについてどれだけ理解しているかのアンケート調査を看護師に実施し、この結果を参考に、注意が必要な当院採用薬剤一覧と対応できる輸液セットの製品名一覧を作成したので報告する。 <BR> 【方法】全看護師184人を対象に輸液ルートに関するアンケート調査を実施した。<BR> 【結果】薬剤によって輸液セットを変更する理由を知っている人は87%だったが、その理由を薬剤と輸液セットの相互作用と答えた人は74%にとどまった。さらに、相互作用に関連するPVCやDEHPについて理解している人は28%であった。そこで、現場で適正な輸液セットを選択できるようにするために、薬剤と輸液セットの相互作用パンフレット、当院採用輸液セット一覧表、医療器材に影響を与える当院採用薬剤一覧表を作成した。また、コスト面も意識して、より安価な製品を選択できるようにするために、価格と製品写真を掲載した薬剤別使用可能輸液セット一覧表を作成した。<BR> 【考察】作成した資料を各部署に配布することにより、看護師、薬剤師の薬剤と輸液セットに関する知識の向上、統一化がはかれた。また、医療器材に影響を与える薬剤に対して適正な輸液セットを使用することで、患者により安全な治療を提供することができた。今後も対象となる薬剤は増えていくと予想されるため、更なる情報収集を行っていきたいと考える。
  • 増田 佳子, 岡田 京子, 山下 雅代, 鈴木 正和, 濱田 國義, 安藤 哲朗
    セッションID: 2J-E-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     安城更生病院では、2008年より電子カルテ端末から入力するレポート報告システム(富士通セーフプロデューサー)にインシデント報告方法を変更した。これに伴い2007年度3245件であった報告件数は、2008年度3944件・2009年度4219件・2010年度4941件と増加した。しかしながら報告件数は職種や部門により差が大きく、事務部門からは、2008年度15件・2009年度18件・2010年度は12月の時点で4件と他部門に比べ少なかった。これは、インシデント報告に対する認識の低さが原因と考え、事務部門を対象に報告意識の改善を目的にした研修を行った。その結果、意識の改善と報告件数の増加が見られたので報告する。
    【取り組み】
     2011年1月に以下の内容の事務研修会を開催しアンケートを実施した。
     1)なぜ報告が必要なのか
      2)他職種の報告内容と件数
      3)報告によるメリット(改善例)
    【結果】
    アンケート結果
      研修前:レポート入力をした経験がある 21%
        レポート入力画面を立ち上げた事が無い 72%
    研修後:過去の経験で、報告に値する事例が思い当たる 83%
        今後レポートを入力してみようと思う 96%
    レポート報告件数
     1月7件、2月6件、3月9件、2010年度の合計33件
    【考察】
     研修では、出来るだけ身近な事例を紹介し、事務の立場で予想される事例を挙げる事で、日常業務に浸透するような意識改革をめざした。その結果、研修翌日からレポートの提出や、質問等の声を掛けられるなどの変化が見られた。また事務部門は他部門と比較して、インシデント報告が少なかったが研修後に報告数が増加している事から事務部門の意識が改善したと考えられた。
    【今後の展望】
     今までになかった報告を受けるようになり、現場リスクマネージャー(所属長)は手探りで対応を始めている。今後は、報告に対する細やかな対応や事例の分析、現場リスクマネージャーの対応を援助し、現場への有効的なフィードバックを図る事で報告の習慣化と安全意識の向上を行っていきたいと考える。
  • 看護課長(師長)の意識改革を試みて
    鈴木 久美子, 神谷 正湖, 福島 美穂子, 畠山 まき子, 加藤 和久
    セッションID: 2J-E-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院にとって看護職員の確保は長年にわたって課題であったが、平成22年度は地域周産期母子医療センターから総合周産期母子医療センターへ機能を拡大するため看護職員の確保定着は最重要課題となった。<BR> 日本看護協会でも数年前から「看護の労働条件・労働環境の改善」を重点課題として事業に取組み様々な提案を打ち出している。しかしながら臨床で看護管理に当たる看護課長(師長)にとって、看護協会からの提案は「絵にかいた餅」になっており、旧来からの「どの看護職もこうやって働いてきた。仕方がない」という思いから逃れられずにいた。<BR> そこで、看護部運営会議の中で各看護課長が話し合い、平成22年度看護部のアクションプランとして、看護師の離職防止の点からも労働環境の改善を提案し試みた。<BR> 1年間の取組実績、アクションプランを実施した看護課長・看護係長(主任)とアクションプランを受けたスタッフへの意識調査を行った。<BR> 労働環境改善に関連した看護管理室から各看護課長への意識的な働きかけと各看護課長が実践できる仕組みを提案することによって、看護課長の意識改革、労働環境改善に繋がる結果を得られたので報告する。
  • 業務の標準化と勤務(時間)体制への試み
    飯田 智子, 河内 公代
    セッションID: 2J-E-9
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉
    業務内容の見直しを行い業務の標準化をすすめ時間外勤務の減少をはかる。

    〈研究対象〉
     A病棟の看護師29名:既存のタイムスタディ表を利用し、1日の業務を記録し内容を分析し、業務の標準化を検討し時間外勤務の減少を図る。

    〈結果〉
    1.タイムスタディ
     時間内のタイムスタディは日常生活の援助は3125分(平均107.7分)診療場面の援助8355分(平均288.1分)患者記録2445分(平均84.3分) 業務管理525分(平均18.1分)である。受け持ちNsとしてかかわった時間100分(平均3.4分)。
    Nsでなくてもよい業務115分(平均4分)である。時間外の内容は病棟の特性から_丸1_緊急入院時の処置、記録、ベッド移動_丸2_Drの指示だしが時間外に集中_丸3_記録が後回しになるである。
    2.業務の標準化
     Nsでなくてもよい業務を他職種へ依頼し、病棟業務を標準化すると共に、業務が午前に集中しないように時間ごとの振り分けを行った。さらに、受け持ち看護師のベッドサイドケアの確保に努めた。記録は看護診断別看護計画を活用しやすく記録時間の短縮を図った。技術はマニュアルの見直しと内容を具体的にしたことで活用しやすくなり、申し送り時間の短縮になった。
    3.勤務体制
     勤務体制は勤務時間を早・遅出勤務を1時間ごとにスライドした。これまで時間外勤務であったのが勤務内に収まり時間外の減少に繋がった。
  • 米積 信宏
    セッションID: 2J-E-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <緒言>平成20年4月の診療報酬改定にて医師事務作業補助者に対する加算点数が新設され、当院でも検討、周知の後翌年2月より運用を開始した。これまで文書作成補助、予約管理を業務の中心として担い成果を上げてきたが、今後さらなる医師の負担軽減を実現していくため業務内容の拡大を視野に再度検討した。
    <方法>現在負担となっている業務の把握、医師事務作業補助者に対し何を期待し何を代行して欲しいか理解するため、各科医師へアンケート調査を行った。多数の回答の中から、医師事務作業補助者の業務範囲内で実行可能なものとしてNational Clinical Database(以下NCD)事業に着目した。NCDとは専門医の適正配置や治療成績の向上などを目的に複数の学会が連携して立ち上げた手術症例データベースであるが、入力項目が多岐にわたっており1症例につき200近くに及ぶものもある。また、対象となる外科、小児外科、胸部外科の手術件数は年間1,834件(平成22年度)に及び、医師の業務負担が増大することが予測された。
     そこで、より効率的な運用方法を医師、医療情報室、医事課にて検討を重ね、医師事務作業補助者によるデータ入力の方針とした。難点として事務では判断不能な項目への対応が挙げられたため、電子カルテ上にNCD用のテンプレートを新たに作成し、医師が専門的知識を要する必要最小限の項目を入力し、それを参考に医師事務作業補助者がNCDへWeb入力することで解決した。
    <結果と考察>今回の業務代行により、医師の事務的作業時間を大幅に削減させることが出来た。医師の数が限られる中、医師と事務による業務の役割分担にて得られるメリットは大きいと思われる。今後も医師のニーズを正確に捉え、多面的な業務の可能性を模索することにより、医師事務作業補助者としての業務を確立させ、医療の質ならびに患者サービスの向上に繋げていきたいと考える。
  • 井口 雄希, 傳刀 啓至, 佐藤 郁恵, 石原 博子, 玉内 登志雄, 松井 孝之
    セッションID: 2J-E-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <緒言> 2009年2月に器機更新したMRIは1.5テスラと前器機よりも短時間で高分解能な撮影が可能であり、導入後、稼働も伸びてはいたが計画していた稼働率には及ばなかった。 計画の稼働率を目標に2009年度期中より医事課を中心に実施した取り組みについて報告する。 <方法>  稼働の現状を把握する為にMRIオーダを経路別のツリーに分解し、_丸1_経路別オーダ件数、_丸2_診療科医師別オーダ件数の2つの統計を中心に分析を行い、オーダ増の余地を検証すると共に各診療科の医師にヒアリングを実施した。その結果、稼働率とは裏腹に医師は予約枠に空きがない印象を持っていることが判明した。そこで、_丸3_時間帯別稼働状況をタイル化したグラフを作成して検証した結果、稼働が落ち込む3つの時間帯があることが分った。 これらの検証結果を院内の全職種を対象にプレゼンテーションを実施し、アクションプランとして午前枠を占有する検査のみの紹介受診と脳ドックを午後にシフトすることで、午前中の予約枠を医師により多く解放し、MRIオーダ増を図ることを挙げ、計画の稼働率となった場合の収益インパクトを提示して院内喚起を行った。 <結果>  2010年度は入院・外来患者数が延べ2,012人減少する中、稼働率は約1.5%増加してMRI件数は117件増加し、収益は約161万円の増収となった。年度末より導入した遠隔画像診断による簡易脳ドックの推進により、2011年度は更なる稼動率向上を見込む。 <考察>  アクションプランにより午前中のオーダを入れやすくしたことや簡易脳ドックによって午後の稼働を上げ、また、プレゼンテーションにて現状の時間帯別オーダ状況や収益インパクトを院内に提示したことにより、各部門が稼動率の向上に向けて機能したことが今回の成果に繋がったと考える。今後も件数増が見込める簡易脳ドックの推進を中心に更なる稼働率の向上に向けた取り組みが望まれる。
  • 山田 耕多, 井上 貴幸, 北川 貴代美, 尾関 容子, 亀山 知穂
    セッションID: 2J-E-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>未収金発生の原因として、休日退院者に請求書を渡せないことが考えられた。そこで、休日退院者の未収額及び医事課入院担当者の請求方法について調査し改善しようと考えた。
    <方法>まず、平成22年8月の休日退院者の未収状況について調査し、各入院担当者に請求方法に関するアンケートを実施した。未収状況は入金額、入金件数ともに90%を超えており非常に良い結果であったが、入院担当者の請求の運用は病棟によって異なっていた。
    <手段>予想に反した結果であったので、平成22年6月~7月退院分についても調査したが結果は同様であった。請求の運用が病棟によって異なることについては、病院として統一した運用が必要と判断し、休日退院時の連絡用紙、連絡方法、連絡後の請求書の運用の3点について規定した休日退院者請求の運用マニュアルを作成し、一ヶ月間試行した。
    <結果>試行時の未収状況も入金額、入金件数が高い数値を維持しており、同様の結果が出た。休日退院時の連絡用紙については、実際に連絡用紙を渡していただく病棟スタッフに対しアンケートを行い、運用方法と内容について問題ないと回答を得られ、作成したマニュアルを今後も使用していくことに決定した。
    <効果>今回マニュアル作成したことで、病棟スタッフ等関係部署にも休日退院者の運用について周知することができた。さらに、アンケート結果より、救急外来で亡くなられた患者さんの家族に渡す用紙を作成して欲しいと要望が出るなど業務改善への意識が芽生えてきた。
    <所感>今後は、入院担当者がマニュアルどおり運用しているか意識調査をしていき、問題点が見つかれば改善していきたい。そして、医事課職員として病院経営の一部を担っていければと考えている。
  • 幕内 忠夫, 宇野 則男
    セッションID: 2J-E-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院における東日本大震災の被害と対策 平成23年3月11日に起きた東北、関東地方を含む「東日本大震災」は、甚大な被害のあった東北三県とは比較にはならないが、茨城県内でも多数の被害が発生し、地域によっては現在も被災が継続している状況である。当院もまた少なからず影響を受けた。今回は震災当日の当院の被害と避難状況、ライフラインの確保への経緯、そして震災後の事後対策について報告する。 震災当日は平日であったので午後とはいえ、入院患者のみならず外来診察者も多数院内に滞在していた。発生当時は停電もあり多少パニック気味であったが揺れが収まりしだい、災害対策本部が立ち上がり指令系統により職員各自は冷静に対応していたと思える。本館を含む建物が老朽化しているため患者方は院外へ避難誘導、身体不自由者は人力による車いすあるいはベッド毎の運搬。エレベーターは使用出来ないので階段を使用した。自家発電装置への人力での燃料運搬。停電が長く続くと燃料不足が懸念されたが、土浦消防署を通して、ようやく配達してもらうことが出来た。また非常食の炊事用のプロパンガスの確保も同時に進行した。当日午後10時を過ぎた頃に漸く電気が復旧した。何度か大きな余震が続いたため、非常時に備えて職員の多くは院内に待機宿泊の形となった。その後、被害箇所の確認、通行禁止区域の表示、不足が予想された飲料水、非常食の他施設からの援助による確保等が行なわれ、徐々に修繕作業も進行し現在に至っているが、未だ手つかずの状態の箇所も少なくない。 今回の過去に類を見ないほどの震災を経験して、普段からの準備と人のつながりがいかに大切か痛感させられた。今後の対策として、充分な飲料水、非常食の確保、燃料の備蓄、災害時のみではない近隣の施設や業者との連携の強化を進めることが肝要である。                  
  • ~「食べたい」という思いを聴いて~
    土田 蕗子
    セッションID: 2J-E-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    (はじめに)寝たきり状態が長期にわたり、話すことも口から物を食べることも困難となったA氏だったが、「食べたい」という欲求は強く、PEGに対しても「やりたくない」との思いを家族・医療者に示されていた。しかし摂食機能評価では、経口摂取は困難と評価され、PEGでの栄養管理を治療の選択肢として伝えられた。A氏が望む経口摂取と医師から進められたPEGとに迷いながらも、家族はA氏の望みを叶えたいと願い、経口摂取での治療を決断した。今回その思いを実現するために、「口から食べる」ための支援を行ってきたので、ここに報告する。
    (事例紹介)80歳代、女性、肺炎にて入院。初回摂食機能評価までの日数、口腔内は乾燥・痰の付着が目立ち、後屈位で常に口が開口している状態。口腔ケア・吸引には抵抗が強く、「ひっかく・つねる」という行動がみられた。
    (研究方法)1.口腔内環境および嚥下機能を向上させる。2.STによる摂食・嚥下機能評価の実施。3.統一した経口摂取方法の実施。
    (倫理的配慮)患者・家族に説明し同意を得る。院内の倫理検討会を通して許可を得た。
    (実施・結果)口腔ケア・アイスマッサージの継続、ケア時には目的を繰り返し説明することや、A氏の受け入れを確認して行うこと、肩をもむなどの癒しを取り入れた。徐々に口腔ケア・吸引時の低抗は減っていった。経口摂取はA氏に合った方法を見つけ出すことが鍵となった。結果、口腔内の汚染や乾燥は改善でき、少量ではあったがむせなくお茶ゼリーが摂取できた。発語も見られるようになり自分の思いを表出することができ、「おいしい」という言葉を聞くことができた。
    (結論)経口摂取が困難と評価されても、患者に「食べたい」思いがある以上、その思いを今後の治療の方向に取り入れながら、検討していく必要がある。また、患者にあった経口摂取方法は重要な支援であり、それを見つけ出すことが看護師の役割でもある。
  • 菅野 弘子, 瀧田 克己, 菅澤 裕子, 大森 みどり
    セッションID: 2J-E-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    ―経口摂取不可能と評価された患者の看護支援を通して―                        県北医療センター高萩協同病院                        ○菅野 弘子 瀧田 克己 菅澤 裕子 大森 みどり はじめに 突然の脳血管疾患後遺症により経口摂取不可能と評価され、経管栄養による栄養摂取となり、48歳という若さもあり精神的落ち込みの強い患者がいた。 今回、藤島らによる経口摂取訓練・笑いを取り入れた訓練・体位の工夫・精神的サポートを繰り返すことにより回復への意欲を引き出し、食べられた喜びを共感できた事例を報告する。 患者紹介  O氏 48歳 女性 脳梗塞 期 間:平成21年9月21~11月7日 研究方法 (1)通常のリハビリテーション以外に自室でのリハビリテーションを段階的に行なう。 (2)歯科口腔外科による嚥下造影(VF)検査を行い、嚥下機能を評価する。 (3)YG性格検査を行い、性格の志向を評価する。 (4)水分補給やメニュー・食事の体位など具体的な退院指導を行なう。 結 果  2回目のVF検査で体位の工夫により嚥下可能にて嚥下困難食開始。3回目のVF検査にて体位は同様、全粥きざみ食へ進めた。 YG性格検査の結果、物静かでやや神経質な面があると判定、頑張りすぎる傾向があった。 退院指導と同時に水分補給・栄養状態の管理・高カロリーゼリー食の説明、毎日の食事を写真に残した。 考 察 後遺症に対する不安もあり、入院生活は精神面で暗くなりがちである。そこで『笑う・笑顔をつくる』といった精神的な働きかけも積極的に行なった。 その結果は順調に嚥下機能回復が進んだが、これは藤島らが『内視鏡で口の奥を覗いてみると、人が笑っているときはのど全体の筋肉が笑っている。その時全体の筋肉も激しく活動している。笑いは大変良い嚥下訓練…』と述べている。笑いが身体的・精神的に良好に作用することを裏付けたと考える。 まとめ 『食べる』ことは全身状態が良くなることで初めて楽しく食べられる。口腔ケアは勿論、体位や姿勢だけでなく、精神面でのサポートも大切なこと、食べられた喜びを患者様と共感できた関わりは大切であると認識した
  • 千田 恵子, 小池 裕美, 工藤 則子, 金野 まつ子, 佐藤 敏光
    セッションID: 2J-E-16
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】要介護高齢者の日常生活における楽しみの第1位は介護の軽度、重度に関わらず食事であるとの報告がある。これまで摂食嚥下訓練(以下摂食訓練)に関する知識不足から簡単な口腔ケアや食事介助を行っている現状であった。そこで、病棟スタッフの摂食訓練に対する不安を調査しスタッフ教育することで、摂食訓練が患者に不安を与えることなく効果的に実施でき、また、病院経営にも良い影響を与えるのではないかと考え取り組んだので報告する。 【目的】摂食訓練に対する不安を調査し、スタッフ教育することで摂食訓練が確立できる。 【対象】平成22年7月から平成23年4月まで、病棟看護師28名。摂食訓練対象者89名中、回答できる患者31名とその患者に面会に来た家族12名。 【方法】1.病棟看護師に摂食訓練に関するアンケート調査を実施。2.アンケート結果をもとに摂食訓練の手順等を作成、勉強会を開催し理解状況を前後で比較。3.患者・家族へ意識調査を実施。【結果】看護師のアンケートでは、摂食訓練について、流れを知っている11%。不安がある79%。スタッフ全員が勉強会と摂食訓練を実施後のアンケートでは、流れを知っている93%。不安がある32%。患者のアンケートでは、爽快感を感じる94%。摂食訓練を継続したい90%。食べる意欲や自信が持てた75%であった。家族では、口腔内の汚れや口臭が減った92%。摂食訓練を継続したい83%。また退院後も継続して行うために摂食訓練の方法を知りたいと答える家族が75%であった。 【結論】1.摂食訓練をスタッフ全員が経験することで摂食訓練に関する知識の向上や円滑化につながった。2.摂食訓練の継続は患者の口腔内の清潔保持と、食べる意欲・自信の向上につながった。3.家族が退院後も継続して行える摂食訓練の方法を検討する必要がある。
  • 糖尿病患者支援フローチャートの導入による効果
    土田 真祐子, 岩田 由美子, 池田 京子, 長瀬 裕平
    セッションID: 2J-E-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
     外来看護師の役割は、外来で継続して治療を行っている患者の診察や治療の介助、患者のセルフケア能力やQOLの向上のための効果的な援助を行うことだといわれている。しかし限られた時間のなかで十分な関わりができないことが多い。そこで、外来受診という短時間の関わりの中で、患者の抱える問題を捉え、患者支援を行うためのフローチャートの作成を試みた。 その中で、糖尿病患者フローチャートの作成により糖尿病患者支援体制が整い、糖尿病指導、生活相談、フットケアなど継続支援が行えるようになったので報告する。方法として、外来で生じる様々な症例に対応した糖尿病患者支援フローチャートを作成し、支援が必要と思われる患者の情報を連絡票に記入後、糖尿病療養指導士に連絡し、各患者にあった支援を行うこととした。その結果、連絡票の使用により、内科通院中の患者で血糖コントロール不良であったが、支援が行われていなかった患者を多くピックアップできた。それ以外では地域保健課からの検診後の情報提供数が増加し、救急外来、各診療科からの情報提供がみられた。新患者についてはフローチャート、連絡票を活用して、情報提供されることにより、糖尿病初期の患者の支援が実施できる体制となった。また、フットケアや生活相談を施行した患者数が増加し、検診後の糖尿病予備軍への初期の支援もできるようになった。今回フローチャートの導入により、短時間の関わりの中でも支援が必要な患者の情報提供を多く得ることができた。フローチャート作成前にはみられなかった診療科からの連絡もあり、これは看護師が患者に対し支援の必要性を瞬時に判断し問題意識を持って関わることができている結果であると考えられる。
  • 西巻 多恵子, 鈴木 千恵子, 矢吹 和子, 近藤 純子, 金沢 明美
    セッションID: 2J-E-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    外来で行われる自己血採血の不安を探る                   塙厚生病院 整形外科外来 西巻 多恵子・鈴木 千恵子 矢吹 和子・近藤 純子・金沢 明美 Key Word:自己血採血、不安 はじめに ここ数年、当外来では人工関節置換術(以後置換術)の患者が増加して来ている。置換術は自己血採血(以後貯血)が必要とされ、現在は外来で貯血が行われている。  以前は月に1回程度だったが置換術の増加に伴い貯血の件数も増加して来ている。 パス導入前・後のアンケートで貯血の流れ、生活面・経済面への不安は解消された。しかしパスでは解消されない『針を刺される事への身体的・精神的苦痛』が明らかになったため報告する。 1、 目的 貯血をする患者の抱える不安を明らかにする 2、 方法 研究期間:20XX年7月~9月 研究対象:貯血経験のある患者 研究方法:パス導入前・後で患者に聞き取り調査 データ収集・分析:KJ法 3、 結果  聞き取り調査を貯血経験者13名に対して行った。 パス導入前と導入後の結果を_丸1_貯血に対する不安_丸2_生活面に対する不安_丸3_経済面に対する不安_丸4_その他の4項目に分類した。 まとめ  貯血を受ける患者が抱いていた不安はパスの導入により解消するものがほとんどだった。スタッフ間の意識の統一、ケアの標準化などの成果が見られた。  患者と看護師が情報交換をすることで、今どんな不安を持っているのか表出し安全な貯血ができ手術に向けて支援できるようこれからも努めていきたい。
  • 担当事務の役割
    森下 博子, 田實 直也, 加藤 有一, 大谷 優子, 米津 智子
    セッションID: 2J-E-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    〈はじめに〉三河地域初の総合周産期母子医療センター「以下センター」設立に伴い、県内唯一の新生児ドクターカーの導入が決定された。新生児搬送は、即人命に関わるため、迅速性と正確性が要求される。また、搬送システムを円滑に運用するためには、ネットワークの構築が不可欠であった。今回は医師、看護師等と共に行った取り組みを紹介する。
    〈方法〉1)県内の分娩施設を抽出し、今までの実績を元に対応医療圏を決定した。
    2)医師と共に分娩施設を訪問し、地図上だけで無く、当院~分娩施設までの道路状況の確認・分娩施設の周辺環境の写真撮影・院内動線、蘇生環境を徹底的に調査し、医療機関ファイルを作成した。
    3)電話応対後5分以内に出動できるように、全スタッフの動線を踏まえた運用図及び連絡用紙を作成した。
    4)運用の周知徹底の為、運転手・関係医療機関への説明会を実施した。
    5)作成した運用の問題点の確認、又迅速かつ正確に対応できるよう出動訓練を実施した。
    6)病院から分娩施設までの位置関係をスタッフが共有できるようにセンター内に、搬送区域の地図を可視化した。
    〈結果〉新生児ドクターカーは平成22年8月より23年3月末までの8カ月間に115件(迎え102件)の出動があった。訪問施設25件の内、19施設からの依頼があり、平成22年12月には、新たに助産院が1件ネットワークに加入した。
    〈考察〉当院の救急車による児搬送の平均は、年約83件(過去3年)であり、出動件数は予想以上であった。これは事前の周知と入念な下準備が基盤となり、更に稼働後の適切な応対が功を奏し、迅速性、正確性が分娩施設からの信頼を得たものと推考する。また、初の試みであるネットワーク構築に向けて、スタッフ間の話し合いに事務職員が参加する事が各職種の調整役になったと思われる。今後は、更に地域医療機関と当院との双方の意見を集約し改善点を提案する事が事務としての役割であると考える。
  • 島田 勝規, 大瀧 雅文, 保前 英希, 金元 信子, 酒井 利佳, 只石 かほり, 長岡 里奈, 鈴木 理恵子
    セッションID: 2J-E-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    北海道十勝地域における脳卒中地域連携パスは、2008年より運用を開始し4年目を迎えた。急性期病院として計画管理病院は3病院、回復期リハビリテーション病院として4病院が登録されている。当院は急性期病院(計画管理病院)として、中心的な役割を果たしている。2011年3月までの有効なデータを基に運用状況を分析していくことが今回の目的である。
    この脳卒中地域連携パスは、帯広市医師会、十勝医師会を主体に十勝地域連携パスネット協議会が設立され開始に至っている。各医療機関から2名、地域の保健所の保健師、介護支援専門員連絡協議会のケアマネージャー等が集まって、定期的(2ヶ月に1回)に「急性期・回復期リハビリ分科会」を開催し、診療情報の共有および評価を行っている。このパスは札幌型脳卒中地域連携パスを用いており、日常生活動作の評価にはFIMを用いている。転院時には患者情報のパスデータを入れたCDを病院間でやりとりしている。
    当院脳神経外科および神経内科において、このパスにより転院した脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)患者は2008年度は60名、2009年度は106名、2010年度は118名であった。
     経年的には、患者年齢構成、在院日数、FIM点数に大きな変化はないが、回復期リハビリテーション病院を退院するまでの総在院日数は減少傾向にある。ネガティブバリアンスは、転院先の空きベッド待ちが多かった。最終的な帰結先は自宅が多い。
  • ~十勝脳卒中地域連携パス対象者の転帰から見る現状~
    長岡 里奈, 鈴木 理恵子, 大瀧 雅文, 保前 英希, 金元 信子, 酒井 利佳, 只石 かほり, 島田 勝規
    セッションID: 2J-E-21
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院における地域医療連携室での転院調整は、1)療養型病院への転院 2)紹介元への転院 3)地域連携クリニカルパスを利用した転院に分けられる。今回は3)の地域連携クリニカルパスを利用した転院調整に焦点を当て、地域医療連携室の役割について考察する。
    十勝圏では、2008年度より『十勝脳卒中地域連携パス(以下脳卒中パス)』の運用を開始した。脳卒中パスは現在、急性期病院3病院と回復期病院4病院間で運用されている。当院(計画管理病院)では、2010年度末までの3年間に計284名が回復期病院へ転院している。
    脳卒中パスの運用における地域医療連携室の役割として、1)転院・退院調整看護師による医療・看護アセスメント 2)医療ソーシャルワーカー(以下MSW)による患者・家族との面談 3)パスデータを用いた転院調整業務が挙げられる。看護師とMSWが協働し転院調整窓口となることにより、患者や患者家族が抱える諸問題の早期発見・早期解決、院内外関係職種との連携強化につながっている。
    1)転院・退院調整看護師による医療・看護アセスメントとは、患者基礎情報の集約(病態理解および病態予測)、転院先・退院先に向けた医療連携(入院中の医療処置や看護を回復期病院もしくは維持期へ繋げていくための調整)等が挙げられる。2)MSWが行う患者・家族との面談では、各種制度等の情報提供および利用支援(介護保険・傷病手当金・身体障害者手帳申請等)、医療費未払い防止(高額療養費・生活保護申請支援)等についての説明を行っている。3)脳卒中パスデータを用いた転院調整業務としては、院内各職種のデータ集約・データを用いた回復期病院への打診・転院日程調整業務等が挙げられる。
  • ~長期入院患者調査から見えたもの~
    根岸 支岐子
    セッションID: 2J-E-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
            病床管理が関わる退院調整の第1歩          ~長期入院患者調査から見えたもの~        JA神奈川県厚生連相模原協同病院 看護部 根岸支岐子 【背景】当院は許可病床437床、月の大半が2次応需を担う多機能な地域医療支援病院である。さらに、平均在院日数12.3日、病床稼働率103.2%という回転率の中、1カ月以上の入院患者は在院患者数の約20%以上を占めており、退院調整が遅延している状況がある。【目的】1カ月以上の長期入院患者の現状を明らかにし、退院支援のあり方について検討する。【方法】1)期間:平成20月4月~23年3月2)方法:_丸1_月2回調査日を決め、在院患者で1カ月以上の入院患者のリスト作成、長期になっている理由・SW介入の有無等を各責任者に確認する。_丸2_調査結果を分析・考察し委員会・会議等で報告する。_丸3_アセスメントシートを使用し必要時SWへ連絡し検討する。3)倫理的配慮:調査結果は関係者のみ共有し、個人の特定ができないように配慮した。【結果】在院患者に対する長期入院患者比率は、年間平均で平成20年度20.2%、21年度18.7%、22年度21.3%であった。22年度内訳は1年以上1.5%、3カ月以上3.5%、2カ月以上4%、1カ月以上が12.3%であった。次に、長期入院の多い診療科は、脳外科、呼吸器内科、整形外科、消化器外科の順で3年間同じ推移である。また長期の理由は_丸1_急性期の継続治療が必要_丸2_転院困難_丸3_家族問題であった。【考察】最近の医療の動向の中で当院も、老老介護等の理由で在宅療養に移行できず、3カ月転院待ちの状況がある。今回調査をSW・診療部・看護部へ報告することで、一過性に減少する傾向があった。しかし、意識づけだけでは根本的改善はなく具体的取り組みが必要と考える。今回、入院時アセスメントシートを病棟から患者総合支援センター窓口に変更したことで回収率3.5倍となり幾分SW介入も早くなり、退院支援に繋がっていると考える。今後はさらに運用を考えていく必要がある。 【結論】今回の調査は退院支援の手掛かりとなり、SW・病棟との連携に繋がった。
  • 尾辻 哲, 宇賀神 美恵子, 福井 光男, 河内 朋恵, 松本 章子, 山内 かづ代, 高原 正信, 衛藤 進吉, 一戸 彰, 十川 康弘
    セッションID: 2J-E-23
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
    当院における退院支援への取り組みと亜急性期病床の現状 上都賀総合病院、メディカルサポートセンター、医療ソーシャルワーカー  尾辻 哲、宇賀神 美恵子、福井 光男、河内 朋恵、松本 章子 山内 かづ代、高原 正信、衛藤 進吉、一戸 彰、十川 康弘 【はじめに】当院(一般床300床)では、2004年6月より亜急性期病床35床を開設し、診療報酬の改定・病棟の再編に伴い亜急性期病床数を増床し、現在3つの病棟において総数53床にて運用している。当病床の目的は、1寝たきりの予防、2日常生活動作能力の向上、3在宅復帰または職場復帰、4退院時に、患者・家族が安心して在宅療養できる体制作りを支援する、である。 当院の退院支援において、亜急性期病床がどのような役割を担っているか、および今後の亜急性期病床活用の方向性を考えるために現状を検討したので報告する。 【対象および方法】急性期の治療は終えたが、体力の低下やADLの改善が不十分で、リハビリと退院準備が必要な患者に対して、退院先について後方視的に検討した。 【結果】平成22年度の亜急性期病床ののべ患者数は、整形外科293名、内科81名、脳外科21名、外科3名、形成外科1名。ベッド利用の割合は整形外科73.4%、脳外科5.3%、内科20.3%。亜急性期病床の平均在院日数は、亜急性期病床全体で33.0日、各科毎の内訳は、整形外科33.0日、脳外科30.9日。在宅復帰率は、亜急性期病床全体で82.7%、各科毎の内訳は、整形外科91.9%、脳外科50.0%、内科58.7%。退院先については、_丸1_自宅退院75.3%、_丸2_施設への入所7.6%、_丸3_転院・転床17.3%、であった。 【結論】当院の亜急性病床の利用患者は、整形外科患者が多くそのうちの9割以上が在宅へ退院していた。脳血管障害患者の在宅復帰率の向上・リハビリの場の検討が今後必要と考えられる。
  • 自宅退院となる場合と施設入所となる場合を比較して
    東谷 吏, 日座 みどり
    セッションID: 2J-E-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/13
    会議録・要旨集 フリー
     高齢化が進み、医療施設において入院高齢患者の社会復帰や自宅療養への移行、早期退院調整の実施が課題となっている。医療処置の継続、介護方法等の指導や社会資源の利用調整が必要となるケースが多く、入院早期から退院に向けた支援が求められる。当院でも退院支援部門ができ地域連携室における退院支援がシステム化されたため、入院時より地域連携室への退院調整依頼を実施している。
     高齢化の進む現代、老々介護という現実、介護力の不足や介護力を発揮できない家族がいる。そのため、介護力の有無、程度を把握していくことはとても重要になる。また、家族の協力が得られない状況にある場合、どの様なサポートがあれば必要な家族の協力が得られる様になるのか、または在宅介護が困難かを判断検討し、調整しなければならない。入院時より退院を視野に患者家族への積極的な働きかけ、援助介入を行うことは患者家族の思いを直接確認し、早期に退院を見据えた看護を実践する事に繋がる。自宅退院が困難となるケースの場合は、当院の地域の特性、現状として近隣の施設数や受け入れ人数には限りがあり、急性期治療後の後方病院も少ない状況のため、退院先の選定が難航する場合が多い。本人や家族の思いに沿った退院先を決定し、円滑な転院や施設入所を調整するためには、地域との連携強化が今後さらに重要になると考える。
     本研究では、患者の状態と家族の背景にポイントを絞り、退院に影響を及ぼす要因を分析した上で、自宅退院となった患者と施設入所や転院となった患者、各20名のデータを収集し、退院調整に影響する要因を分析、課題を検討した。
feedback
Top