1. 治療試験に察しVitamin Cの添加せられる時期は極めて大切である.
2. この治療試験開始に最も良き時期は基本飼料に依る飼育を開始後平均して約22日即ち中等程度の壊血病を示した時である.
3. 試験開始後約30日を經過して重症を示すものに於てはVitamin Cの必要量も多く同時に治療は殆んど不可能となり著者の技術をもつてしては治療出來なかつた.
4. 治療試験に於て皮下注射及び靜脈内注射法を試みたがその結果は良くなつた.然し靜脈注射はその注射法に依つて良き效果を示し得る事を認めた.
5. モルモツトが壊血病を豫防するに要するVitamin Cの量は試驗までに採つてゐたVitamin Cの量と關係あるものゝ如く三代Vitamin Cを豊富に攝つてゐたモルモツトに於てその必要量が極めて大であつた.
6. 即ち青草のみで飼育したものに於てはこれを毎日30g給與しても壊血病を完全に豫防出來なかつた.
7. 毎日青草を20gに制限して三代飼育したものに於ては壊血病を豫防するに必要なVitamin Cの量は少く15gにて豫防出來た.
終りに臨み終始御懇篤なる御指導と御鞭撻とを賜つた恩師近藤博士に對し謹みて感謝の意を表す. (1934年6月)
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