(1) Bac. natto, Bac. mesentericus fuscus及びBac. lactis aerogenesを含葡萄糖ペプトン液に培養してdiacetyl, acetoin及びbutyleneglycolを生成せしめた.而して之からdiacetyl, acetoin及びbutyleneglycolを夫々Ni oximeとして分離し夫等を分析する事に依つて完全に證明する事が出來た.(但しdiacetylは收量僅少であつたから分析に依つて證明する事が出來なかつた.)尚butyleneglycolはその儘分離して證明したが殊に比粘度及び比旋光度に就て新知見を記載した.
(2) 一般にacetoinを定量する場合試料に鹽化鐵を添加して蒸溜しacetoinをdiacetylとなし,更にdimethylglyoximeに變じて最後にNi oximeを生成せしめて秤量し其の重量に或るfactorを乘じて得た數字をacetoinとして表はしてゐるが,之は勿論acetoinとdiacetylとを合併した量を示すものである.從ってdiacetylを多量に含む試料に就いて定量する場合は鹽化鐵を添加した場合と,添加せざる場合とに就いて2囘の蒸溜を行ひその差を以てacetoinの眞量とせなければならぬ.即ちacetoinとdiacetylとを別々に定量する必要があるが著者の實驗結果に依ればdiacetyl生成量の大なる細菌に就いて行つた場合にも試料の採取料があまり大ならざる場合にはdiacetylを全く檢出し得ないから單に1囘の鹽化鐵添加蒸溜に依つて得た數字を以てacetoinの眞量としても實際的には誤のない事を知つな.
(3) 臭素に依るglycolの酸化にて注意すべき事項を記載した.
終りに臨み終始御指導御鞭撻を賜はつた恩師湯川教授及山崎助教授に謹みて謝意を表す.
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