アミノ酸醤油の原料である溶劑で脱脂した大豆粕の高度利用の一つとして稀鹽酸前處理によりビタミンB
1劑の製造を試み次の結果を得た。
(1) 溶劑處理大豆粕は白土吸着アヒトフエノン法によってB
1を定量する事は不可能であるが少くとも100g中90~130γを含有する。
(2) 此の定量不可能の原因は大豆粕からB
1を抽出する際にB
1の酸性白土吸着を阻害する物質が抽出されるからである。
(3) 此の阻害物質はヂヤスターゼ,ビール酵母,ミコトラル,トルラウチリス等によって分解されず又局方タンニンによつて沈澱しない。又黄土,陶土,珪藻土,滑石粉,活性炭によっても吸着されない。
(4) 大豆粕よりのB
1抽出液に普通定量に使用する量の3倍の白土を加へても又B
1抽出液を甚だ稀釋しても尚B
1を完全に吸着することは出來ない。尚B
1抽出液を極めて多量の白土で處理し此の白土を石灰水で處理してB
1を溶出し再び白土吸着を行つたが,此の阻害物質ははあくまでB
1と行動を共にする。
(5) 從って酸性白土吸着によつて高單位のB
1劑を製造することは出來ぬ。
(6) 大豆粕からB
1の抽出條件は明らかでないが約4倍量の水でpH4.8~5.0, 30~40°, 2時間がよいらしい。
(7) 此の抽出液に菌を培養しB
1を集積せしめれば1g, 100γのB
1劑が出來る。菌はミコトルラヤポニカが最良であつた。
(8) 高單位B
1劑製造を目的としてのミコトルラヤポニカの培養條件を研究し,大豆粕100kgを使用する程度の半工業的試驗を實施した。
終りに本研究は東洋化學食品株式會社よりの研究費によつた。又半工業的試驗は同會社大垣工場で行つた。謹んで感謝の意を表する次第である。
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