代表的15菌株の乾燥菌体並びに4菌株の核蛋白の赤外吸収スペクトルを測定し,検定を行い,次の如き結果を得た.
(1) 15菌株の乾燥菌体の赤外吸収スペクトルに於て,夫々1000, 1230, 1330, 1450, 1540cm
-1の吸収に差異が認められ,この差異によって稲熱病菌の生理化学的差異に基づく群別,又は病原性の強弱を推定する事が可能である.
(2) 4菌株の核蛋白の赤外吸収スペクトルに於て, 997, 1230, 1450, 1540cm
-1の吸収に差異が認められ,この差異によって4菌株の核蛋白を判別する事が可能である.
(3)乾燥菌体及び核蛋白の1540cm
-1の吸収の1660cm
-1の吸収に対する相対強度の大小と生理化学的差異にもとづく群別又は病原性の強弱との間に関連性が認められた.
(4)水稲に対する病原性強烈な稲熱病菌の核蛋白はこれを構成する核酸含量多く,逆に病原性の微弱な菌株の核蛋白はこれを構成する核酸量小なる事を赤外吸収スペクトルによって確めた.
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