日本農芸化学会誌
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33 巻, 6 号
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  • 米粒貯蔵中の塩素の移行
    久保 彰治, 堤 忠一
    1959 年 33 巻 6 号 p. 421-424
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    米粒貯蔵中の粒内塩素の動向を,米粒各部の化学分析によって観察してつぎのごとき結果を得た.
    (1)新米の状態において米粒の果種皮・糊粉層・胚芽等の外層に多く含まれる塩素は,普通の環境ならば4月から7月にかけて大部内胚乳部に移行する.
    (2)塩素が粒内移動するには,ある量以上の水分を米粒が保有していることが必要である.この水分量の限界は12%と16%の間にある.
    (3)温度は移動速度を早めるが,絶対要件ではない.米粒を冷蔵しても塩素は移行する.
    (4)塩素の移動は,米粒の吸湿放湿のごとき水そのものの移動とは関係ない.塩素の内部への移動は非可逆的である.
  • 米粒中の塩素の組織染色法による観察
    久保 彰治, 藤田 恭子
    1959 年 33 巻 6 号 p. 424-427
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    米粒中の塩素の分布移動を,少量の試料について簡単に観察するため,米粒の組織染色法を考案した.
    米の切片を硝酸銀のアルコール溶液に侵漬後,硝酸性アルコールで洗浄,一定時間紫外線にさらして感光後,ヒドロキノンのアルコール溶液で還元現像した.この方法は標本の保存もよく,米粒内の塩素移動状況を適確に捉えうる.
    染色法によって,米粒内のぬか部の塩素が,胚乳部に大部分移行する現象を確認した.果種皮,糊粉層,胚芽から塩素の移動する状況を,やや詳細に観察した.米粒の塩素の移動の観察には,胚芽部からの塩素の離脱に注目することが,最も簡易なみちと思われる.
  • 成熟中の稲籾の中に存在するアミロースのようど反応を青色から赤色に変える酵素(1)
    倉沢 文夫, 伊賀上 郁夫, 早川 利郎
    1959 年 33 巻 6 号 p. 428-432
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 樹脂の多孔度と脱色効果の関係
    岩科 進
    1959 年 33 巻 6 号 p. 433-437
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Styrene-divinyl benzene共重合型強塩基性第4級アンモニウム塩型アニオン交換樹脂をクロール形として用いる糖精製に於て,使用樹脂母体の形成上,その多孔質性の度合を変化せしめる架橋剤としてのdivinyl benzeneの添加量を2~6%に変化せしめて製した試料樹脂I型多孔質性製品5件を対象とし,脱色,再生並びに色素汚染に対する多孔度の影響を検討した.その結果R-Cl~SO4交換に見られる溶出曲線はD. V. B.添加率の増加に比例して小となるが脱色効率は必ずしも同一傾向を示さず,サイクルの増加に伴う脱色率,再生効率並びに色素汚染率の関係は, D. V. B.添加率3%の場合が最も均衡を得た処理成績を得ることを認めた.尚,この場合D. V. B.添加率3%と4%との間には,本実験条件下に於ては大差を認められなかった.
  • クロール形として用いるR_??_NX型アニオン交換樹脂の長期使用上の特性に就いて
    岩科 進
    1959 年 33 巻 6 号 p. 437-444
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    R〓NX型アニオン交換樹脂I型多孔質性製品のAmberlite IRA-401をクロール形として用いる糖精製法に於て,色素汚染に対する対策として間接的処理に炭酸法,活性炭法及び骨炭法を前処理として採用し,直接的処理としての回生法に(A) NaClO及びHCl併用処理, (B) HCl単用処理を採用して, 400サイクルに到る長期継続実験を行い,その特性の変化について検討した.尚回生処理は10サイクル毎に行い, (A)では交互に実施した.その結果は次の如く要約される.
    (1)清浄効果は(A), (B)両回生処理法の相違によって著しい影響を与えられない.
    (2)イオン交換能力は明らかに酸化剤としてのNaClO回生法を実施した(A)に於て, 200サイクル以後その低下が顕著であり, 400サイクル経過後(B)より10.09%小となった.
    (3)無機物の汚染は(B)の方がより小であり,その成分分布は(B)に於てBが認められる他は概して著しい相違は認められない.
    (4)サイクルの増加に伴う樹脂母体の物理的強度の低下度合は明らかに(A)が劣り,電子顕微鏡像による対脂粒子表面構造の観察に於て(A)による場合は母体の損傷が明確に指摘出来ると共に, (B)に於てはこれと樹象的に殆んど損傷は認められなかった.亦,物理的強度の低下は400サイクル経過後に於て(A), (B)夫々対照品の52.0%,61.9%迄低下した.
    (5)樹脂母体の化学的損耗の要因とされる色素汚染物質の動態と,回生処理との関係を赤外分光スペクトルによって考究し,汚染樹脂では1040cm-1に特異吸収を認め,又1110, 1370及び1600cm-1附近にも夫々顕著な吸収を認めたが, 1040cm-1の吸収を除きこれらの吸収は回生処理の実施により復帰することを確認した.
    (6)これらの吸収の生因については目下研究中であるが, 1040cm-1はアルコール又はエーテル結合, 1110cm-1はアルコール,脂肪族アルデヒド,脂肪族ケトン又はエーテル結合を有する何れかの物質,並びに1600及び1370cm-1の吸収はカルボン酸基によるものと推定した.
    (7)以上の成績から糖精製に於けるイオン交換樹脂の長期使用に際しては,能力低下の原因となる色素汚染に対処する間接的な対策としての前処理法の実施と,直接的な対策としての回生法の適切な運用によって,導入するイオン交換法の経済的評価を支配する樹脂の耐用限界,即ち命数(life)を有利に確保し得ることを示唆したものである.
    終りに臨み,電子顕微鏡写真の撮影に関し終始御便宜を賜りました日立製作所多賀工場伊藤忠治氏始め精器研究試験室の関係者各位,並びに日製産業KK今井一夫氏に厚く感謝の意を表します.
    尚長期間に亘る通液実験に協力された当所浅見利治,鈴木純子,中島芳枝の三君に厚く御礼申上げます.
  • ペーパークロマトグラフィーによる各種澱粉のアミロースの定量について
    滝 基次
    1959 年 33 巻 6 号 p. 445-448
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    35% HClO4溶液を展開剤とするペーパークロマトグラフィーによる普通澱粉のアミロースの定量法を設定した.澱粉の1mg/ml溶液の0.mlを濾紙ストリップにつけて風乾後, 35% HClO4溶液で展開し,アミロース区分を展開前線部に,アミロペクチン区分を原帯に分離した.次いでアミロペクチン区分をストリップより切り除き,残余のストリップから35% HClO4溶液でアミロース区分を流下捕集し沃素で呈色せしめて吸光度を測定した.別にアミロースについて同様クロマトグラフィーを行って,回収アミロースの沃素呈色度の標準曲線を求めて,これを基準として澱粉のアミロース含量を算出した.この方法で10種の澱粉のアミロースの定量を行って,従来行われている沃素呈色度による比色法,沃素電圧滴定法で得た定量値と比較した.一般にこの方法で求めた値は他の2方法で求めた値より高かった.更にSchoch法に準じてn-ブタノールを使用して澱粉より分別したアミロペクチン中に沃素で青色に呈色する区分の混在を認めて,この区分の分離を行ってアミロースと推定して定量した.
  • 澱粉のペーパークロマトグラフィーの新方法について
    滝 基次
    1959 年 33 巻 6 号 p. 448-452
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    40% HClO4溶液を展開剤とする澱粉のペーパークロマトグラフィーを沃素蒸気中で行って,アミロペクチン区分を流出させてアミロース区分をストリップ上に残し,これを流下捕集し純度及び回収率を検討した結果,この流下捕集したアミロース区分は純度よく,且つ回収も定量的であることを認めた.よってこの方法にもとづく澱粉のアミロース定量法を設定した.次いでこの方法によってn-ブタノールを分別剤として澱粉から分別したアミロペクチン中に混在するアミロースと推定される区分の分離を試み,この区分は重合度の低いアミロースと推定した.更にこの方法によって求めた澱粉のアミロースの定量値と澱粉の沃素呈色度の比色による定量法によって求めたアミロースの定量値との比較検討をした.
  • 水銀付加法による合成ならびに天然グリセリドのペーパークロマトグラフィ
    井上 吉之, 野田 万次郎
    1959 年 33 巻 6 号 p. 452-456
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)不飽和グリセリドをその酢酸第2水銀付加物として逆相ペーパークロマトグラフィで相互分離する方法を考案した.
    (2)合成不飽和グリセリドならびに天然油脂の成分グリセリドの相互分離にこの方法を適用し,同法の特性を明かにしてその有用性を認めた.
  • Aspergillus oryzae のconidia,Streptomyces griseus のspore及びClostridium acetobutylicumの構造について
    板垣 史郎, 古川 稔, 木下 祝郎
    1959 年 33 巻 6 号 p. 457-461
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • リシンの分離法の検討
    船津 勝, 船津 軍喜
    1959 年 33 巻 6 号 p. 461-464
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Ricinus communis L.とRicinus sanguineus L.の2種類の箆麻子種実から結晶リシンとリシンTbとの分離を試みたが,結晶は後者から容易に得られた.この事から箆麻子の種類によりリシンの含量が異なる事を推察した.
    (2)結晶とTbとにつきプロテアーゼ作用と血球凝集作用とを比較した結果,両作用共Tbの方が結晶より強く,毒性とプロテアーゼ作用とは必ずしも並行していない事を確めた.
    (3)更に結晶リシンのプロテアーゼ作用は不純物である可能性を残しており,プロテアーゼ即リシンの考え方を再検討する必要がある事を認めた.
  • 連続濾紙電気泳動によるリシンとプロテアーゼとの分離
    船津 軍喜
    1959 年 33 巻 6 号 p. 465-467
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    リシンTb及び結晶リシンをpH 8.6の硼酸塩緩衝剤(μ=0.066)を用いた連続濾紙電気泳動にかけた結果,毒蛋白リシンは陰極に,プロテアーゼは陽極に泳動した.従ってリシンとプロテアーゼは別の蛋白質であり,プロテアーゼ作用が毒性の原因ではないと推論した.又この濾紙電気泳動では血球凝集作用はリシンの部分に存在し,分離されなかった.
  • Schizosaccharomyces の Iife cycleに関するCarl C. Lindegrenの記載について
    住江 金之, 三浦 二郎
    1959 年 33 巻 6 号 p. 468-469
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 辛味成分の定量(その1)
    小菅 貞良, 稲垣 幸男
    1959 年 33 巻 6 号 p. 470-474
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    蕃椒辛味成分の燐モリブデン酸-燐タングステン酸による青色液の吸光度測定に基礎を置く蕃椒果実中の辛味成分の定量法について述べた.又本法により2種の辛味成分合計量(即ちカプサイシン量)が得られ,それは辛味に比例することを明かにした.尚バニリンとの比色定量法についても述べた.
  • アセトン・ブタノール菌蛋白分解酵素活性に及ぼす2, 3の物質の影響
    土井 新次, 金子 安之, 内野 不二
    1959 年 33 巻 6 号 p. 474-477
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    アセトン・ブタノール菌,東大314の産生する蛋白分解酵素の活性に及ぼす2, 3の物質の影響について試験した結果,
    (1) -SH化合物及びCN-により影響を受けない.
    (2) PCMB, IAc等の-SH試薬によっても影響されない.
    (3)各種金属イオンについて試験した結果, Hg++, Cd++, Fe+++によって阻害され, Co++により若干の賦活が認められた.
    (4) EDTA, NTA,α・α'-dipyridyl等のキレート試薬により失活するが, Co++の添加で完全に回復する.以上の事実より本酵素はthiol enzymeではなく,その活性に或る種の金属(Co++等)が必要であるようである.
  • MyrosulfataseとThioglucosidase分別の試み及び両酵素の活性度の測定法
    長島 善次, 内山 正昭
    1959 年 33 巻 6 号 p. 478-483
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • Myrosinaseの精製並にその二, 三の性質
    長道 善次, 内山 正昭
    1959 年 33 巻 6 号 p. 484-487
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 吉野 梅夫
    1959 年 33 巻 6 号 p. 487-492
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    チーズ製造においてカゼインを凝固させるに充分な程度のレンネットによりβ-ラクトグロブリンの変化を実験した結果次の成績を得た.
    (1)レンネットホエーまたはそれより得たアルブミン区分の電気泳動図においてβ-ラクトグロブリン峰はpH 7.5以下で不均一性が観察されるが, pH 8.1以上ではそれが認められない.またpH 4.8でも認められない.
    (2)この不均一性の原因である随伴成分はβ-ラクトグロブリンの結晶化過程でα-ラクトアルブミンと共に除去される.従ってレンネットホエーからもβ-ラクトグロブリンの結晶が得られる.
    (3)この随伴成分はレンネット作用によりカゼインより生じた蛋白性分解物であることが電気泳動図及び燐の含量から推定される. 80°, 30分間以上の加熱牛乳においてはこの随伴成分は塩析により除去される.
    (4) β-ラクトグロブリンに対するレンネット作用は粘度,スルフヒドリル基,紫外部吸収,溶解度,フォルモール滴定値,電気泳動図及び結晶化能について実験の結果,変化を及ぼさないことが推定される.
  • Lactobacillus plantarumNo. 11におけるHexose monophosphate shunt糸の存在について
    北原 覚雄, 福井 作蔵
    1959 年 33 巻 6 号 p. 493-497
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ホモ醗酵菌であるLactobacillus plantarum No. 21の代謝系,ことにhexose monophosphate shunt系に関連のある脱水素群についてヘテロ醗酵菌であるLeuconostoc mesenteroides B 07のそれらと, gluconate grown. cellsを用いて比較検討した.結果L. plantarumは次の諸酵素を保有することを明らかにし得た.
    1) TPN-linkのglucose-6-phosphate dehydrogenase, 2) TPN-linkの6-phospho-gluconate-dehydrogenase, 3) TPN-Linkのalcohol dehydrogenase, 4)DPN-linkのlactic dehydrogenase.
    これらはLeuc. mesenteroidesのものと極めて近似で殆ど差がないと考えられた.
    L. plantarumのgluconate grown cellsはグルコン酸を易々と代謝して乳酸,酢酸の他に酒精とCO2を生成しうることから,この菌によるヘテロ醗酵の営みうる可能性を予想した.そこでgluconate grown cellsの葡萄糖酸化酵素系の強化した条件,即ちFAD, FMN又はvitamin K5の添加した条件で葡萄糖の醗酵をさせたがヘテロ醗酵は全く起らなかった.
  • Coracemiaseの本体
    北原 覚雄, 大林 晃
    1959 年 33 巻 6 号 p. 497-499
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) L. plantarumより抽出した無細胞racemiase液を透析してapo-, co-両酵素に分ち,その透析外液からco-racemiaseを精製し,それがDPNであり, TPNはその作用を有たぬことを認めた.
    (2) L. plantarumの凍結乾燥菌体lgよりDPNが90%の純度で約5mg得られ,此の菌は多量のDPNを含む.
    (3) RacemiaseのEnzyme-coenzymeの解離恒数は他のDPN-linkの酵素に比べ遙かに大きく1.2× 10-4Mである.
  • 麹菌の示す抗火落性とその検定方法について
    城 照雄, 中村 精二
    1959 年 33 巻 6 号 p. 500-504
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)第1報(1)に於て抗火落性物質の検定法を1%polypeptone添加希釈清酒培地として設立したが,麹菌を対称とした時再現性に於て難点があった.そこで田村の基礎培地を一部改変してmevalonic acidを添加した合成培地を新たに設定し,これにより麹菌の抗火落性を検定し極めて明確な結果が得られるようになった.
    (2)火落菌生育の条件としてmevalonic acid及びpolypeptone相当物質が必要であり,更にそれ以外にも清酒中にはこれらの物質及び未知のかなり強力な火落菌生育因子が存在することを確認した.
    (3)清酒中のmevalonìc acid及びその他の促進因子は清酒によりかなり量的な差違があり,これらの各々は相乗的に促進作用を示すものと考えられる.
    (4)各麹菌について本報で設定した検定用合成培地によるスクリーニングを行い, H-1, H-34両菌に対してMayer改変培地振盪法で18株,米粉振盪法で31株,製麹法で5株の抗火落性を示す麹菌を得た.
  • 北島 正栄
    1959 年 33 巻 6 号 p. A27-A33
    発行日: 1959年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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