日本農芸化学会誌
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35 巻, 14 号
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  • 大野 明
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1341-1349
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    南瓜よりのグルタミン酸脱炭酸酵素の調製条件を検討し,次の知見を得た.
    (1) 田本南瓜と栗南瓜を比較すると,酵素の総合收率については差がないが,力価については日本南瓜の方が良いものが得られる.
    (2) 酵素の総合収率を高めるためには南瓜の磨砕度をよくする必要がある.
    (3) 酵素抽出液を珪藻土濾過することによって,得られる酵素の力価を高め得る.
    この実験から得られた最適条件,すなわち日本南瓜を原料とし,磨砕度をよくするために2段の湿式磨砕を行った後,珪藻土濾過法による精製を行う方法で,南瓜処理能力300kg/dayの製造プラントにスケールアップし運転,解析を行った結果,実験室で得られた結果と収量及び力価においてほぼ同じ成績を得た.またこの実験で南瓜の成熟度が得られる酵素の力価,収量に影響することを認めた.
    かくして得られた酵素について保存条件を検討し, 0.1mmHg以下の真空下で10°以下の冷暗所に保存すれば, 14か月後でも力価を低下せしめることなく保存し得ることを確認した.
  • リンゴ酸の働き
    岡本 辰夫, 原田 順厚
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1350-1354
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    リンゴ果実貯蔵中の糖及び酸の消費とCO2発生との量的関係を調べた結果,糖はCO2の究極の発生源と考えられるが貯蔵末期でも残糖が極めて多いことから,糖の消費は果実の品質の低下と直接には関係しないと認められる.一方,リンゴ果実の主要な酸であるリンゴ酸については,貯蔵開始時の含量からは発生CO2をすべて説明することはできないが,その貯蔵中の変化をみると専ら遊離酸が消費され,この減酸は果実の食味の低下とよく一致するのみならず,果実のCO2発生作用とも極めて密接な関係にあり,リンゴ酸含有量は貯蔵中のリンゴ果実細胞の活性を反映するものと考えられる.
  • リンゴ酸の代謝
    岡本 辰夫
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1355-1360
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    リンゴ果実の主要な酸であるリンゴ酸の代謝について調べたところ, Krebsサイクル(〓クエン酸〓フマール酸→リンゴ酸)の活発な回転を期待し難く,グリオキシル酸サイクルの働きも認め難いが,オキザロ酢酸→リンゴ酸の反応を司るリンゴ酸脱水素酵素及びリンゴ酸→ピルビン酸反応に関与するリンゴ酸酵素の活性を,リンゴ果肉から調製したacetone powder extractで認め得た.そこでリンゴ果実内においてリンゴ酸は糖からオキザロ酢酸を経てリンゴ酸脱水素酵素の働きにより生成され,これがリンゴ酸酵素によってピルビン酸になって分解していく代謝径路をとる公算の多いことが認められる.しかも果実の熟度の進行に伴って減酸が行なわれるが,この際リンゴ酸脱水素酵素活性が漸減し,逆にリンゴ酸酵素活性が増大していく事実は,減酸がこれら2つの酵素系の活性の推移の綜合的結果であることを示すものである.さらにcontrolled atmosphere貯蔵を試みたリンゴは普通冷蔵リンゴに比べて酸度が高く保持され,そのリンゴ酸脱水素酵素の活性が強く,リンゴ酸酵素の活性の弱いという事実も,前述の減酸の機構の正しさを証するものである.
  • 堀江 雄
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1361-1364
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 堀江 雄
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1365-1368
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 加熱によるぜラチン溶液の粘度低下について
    副島 正美
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1369-1373
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 35~60°の温度に放置することによりゼラチンの加水分解がおこるか否かを検討したが,相当な粘度低下がみられるのにもかかわらず加水分解は証明できなかった.
    (2)加熱による粘度低下過程を追究し,時間, pH,温度およびゼラチン濃度による変化を検討した.この粘度低下はパパイン作用による場合と同じく不可逆的であり,かつゼラチン濃度によって比粘度低下率は影響されなかった.しかし二,三の点でパパイン作用と異なっておりその機構について論じた.とくに特殊な立体構造をとると推定されたゼラチンに対してだけCa++が比粘度低下率を増大せしめる作用があることを明らかにし,加熱による粘度低下の機構はゼラチン分子の形状が変化するためでないかと推定した.
  • パパインの作用によるゼラチン溶液の粘度低下機構
    副島 正美
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1373-1377
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) パパインのゼラチンに対する初期反応において,蛋白態窒素残存率(Np%)と比粘度残存率(ηsp%)との間に次式が成立した.
    loglog(ηsp%)=0.0164(Np%)-1.34…………………(1)
    またはloglog(ηsp%)=3.79log(Np%)-7.27…………………(2)
    (2) ゼラチン溶液の加熱による粘度低下とパパイン作用による粘度低下とは見掛け上互に拮抗した.
    (3) 加熱またばパパインによって処理したゼラチン溶液の蛋白区分を未処理のそれと比較検討した.固有粘度および構造粘性常数は両処理によって著しく低下した.しかしアルコール分別沈澱,結合水には全く差がなく,等電点,旋光性はパパイン処理の場合だけ僅かに変動し,加熱処理の紫外部吸収スペクトルは未処理と同じであった.以上の結果と前報の実験結果とを総括しパパイン作用による粘度低下機構としてゼラチン分子の形態変化を推定した.
  • グルタミン酸ラセマーゼの精製とその性質
    田中 正生, 加藤 洋, 木下 祝郎
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1378-1381
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) L. fermentiのグルタミン酸ラセマーゼをその凍結乾燥菌体より精製した.超音波処理により得られる無細胞抽出液より,プロタミン処理, 2度の酸性硫安沈澱とアセトン分別沈澱及びDEAE-セルローズ処理によって原抽出液の500~700倍の比酵素活性を有する精製資料を得ることができた.この資料はやや黄色を有し,アルカリ性で紫外線下螢光を有する.
    (2) 精製資料を使用して検討した結果,その酵素反応について反応平衡は50%D-, 50%L-であること,反応は可逆一次反応であること,反応最適pHは7.5,温度は42°であること,並びにD-及びL-グルタミン酸に対するMichaelis恒数は4.7~5.0×10-2Mであることが再確認された.本酵素の基質特異性はグルタミン酸のみに限られ,他のアミノ酸及びグルタミン酸誘導体たとえばピログルタミン酸アセチルグルタミン酸,グルタミン酸-γ-モノエチルエステル,グルタミン等γ-カルボキシル基またはα-アミノ基に置換基を有するものには活性を示さぬことが明らかとなった.
  • グルタミン酸ラセマーゼの配合群について
    田中 正生, 加藤 洋, 木下 祝郎
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1381-1385
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Lactobacillus fermentiのグルタミン酸ラセマーゼが,その反応に対する阻害剤の影響や本菌によるこの酵素の生産と培養条件との関係よりフラビン酵素であると考えられるので,精製酵素資料を用いてその確認を行なった.
    (2) グルタミン酸ラセマーゼによるD-グルタミン酸よりL-グルタミン酸の生成はフラビン化合物によって阻害をうける.リボフラビン,テトラサイクリン,アクリフラビン等によってこの酵素反応は阻害され,リボフラビンによる阻害は比較的多量のFADを添加することにより回復する.この効果はFMNでは認められず,むしろやや阻害が認められる.
    (3) L. fermentiを種々の濃度のりボフラビンを含む合成培地にて培養した場合,菌の生育はりボフラビン濃度の増加とともに良くなるが,さらにこの菌体のグルタミン酸ラセマーゼの活性もリボフラビンに比例的に増加する.
    (4) 以上の結果よりグルタミン酸ラセマーゼがブラビン酵素である可能性が強いと考えられたので,精製酵素資料を用いてその吸収を測定した.その吸収曲線は273mμ, 360mμ, 450mμに極大を示し,既知のフラビン酵素のものに近い曲線を示した.
    (5) 精製資料の熱処理抽出液は, FADによってのみ活性化されるD-アミノ酸酸化酵素のアポ酵素を活性化し,グルタミン酸ラセマーゼ中にはFADの含まれていることが示された.
    (6) 熱処理抽出液の濾紙電気泳動及びペーパークロマトグラフィーによる検討結果はFADに相当する螢光物質のみを認めることができた.
    (7) 以上の結果から,グルタミン酸ラセマーゼの配合群は,フラビン化合物,多分FADであろうと考えられる.
  • ビスコース繊維の機械的性質とアルカリ繊維素の重合度分布
    川瀬 馨, 藤岡 靖雄
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1385-1390
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 酸アルカリ二段蒸解におけるチオ硫酸塩の影響
    川瀬 馨, 藤岡 靖雄
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1390-1394
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • Rhizoctonia solaniのステロイド酸化性
    高橋 健, 長谷川 武治
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1394-1399
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Rhizoctonia solaniのステロイド酸化性を検討し,本菌が17 α:21-dihydroxypregn-4-ene-3:20-dione (Reichstein's Compound S)を酸化して6β:17α:21-trihydroxypregn-4-ene-3:20-dione, 17 α:21-dihydroxypregna-1:4-diene-3=20-dioneおよび構造未詳の化合物No. 4を生産することを明らかにした.主生成物である6β:17α:21-trihydroxypregn-4-ene-3:20-dioneは構造確認のためにそのmonoacetate, diacetate, 6β-hy-droxy-androst-4-ene-3:17-dioneおよびandrost-4-ene-3:6:17-trioneに誘導された,さらに本菌と分類学的にきわめて近縁であるCorticium sasakiiのステロイド酸化性を本菌のそれと比較検討しその相違点を指摘した.
  • Pellicularia filamentosa groupのステロイド酸化性
    高橋 健, 長谷川 武治
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1399-1404
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Pellicularia filamentosa forma specialis microsclerotiaはReichstein's Compound Sを酸化して40%の収率で17α:19:21-trihydroxypregn-4-ene-3:20-dioneを生産する,なお副生成物として少量のhydrocortisoneも見出された.
    (2) P. filamentosa f. s. timsiiはReichstein's Compound Sを酸化してllα:17α:21-trihydroxypregn-4-ene-3:20-dione, 6β:17α:21-trihydroxypregn-4-ene-3:20-dioneおよび化合物No. 4を生成する.
    (3) P. filamentosaグループの4生態型のステロイド酸化性を検討し,その結果とExnerによる分類との関連性について考察した.
  • 清酒醸造用水の酒造期間中における成分の変動
    嘉納 成三
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1404-1407
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    清酒醸造用水の酒造期間中の成分の変動を検討し次の結果を得た.宮水においてはCa及びCO2の減少があり,反面Na, Cl,一部にはMgの増加がある他の成分は余り増減がない.これらの増加は海水の影響こよるものといえる.伏見の水については主として硬度成分の減少があり,また他地方の水については成分の減少傾向にあるものが二,三見られる.
  • 清酒の無機成分
    嘉納 成三
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1408-1411
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    清酒醸造用水に対応させて清酒の分析を行い,これらの無機成分について検討した.
    一般に清酒の無機成分は醸造用水より由来の割合は少なく,殊にPは殆んど全部が米由来のものである.
    Ca及びMgについて水と清酒との間に相関があった.また清酒の無機成分相互間には二,三のものについて相関があった.しかしながらその意義は不明である.
  • いもち菌胞子の発芽機構(その2) いもち菌胞子中のピコリン酸について
    小笠原 長宏, 玉利 勤治郎, 菅 正倫
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1412-1416
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    いもち菌の胞子は約0.1%のピコリン酸を含有しており,その胞子が発芽する際には胞子内のピコリン酸を全部水滴中に放出することを明らかにした.このことはいもち菌胞子がその発芽に際して水滴を必要とする一つの要因であると推察した.
    終りに臨み種々御助言を賜った新潟大学農学部平田幸治教授,東京大学農学部農芸化学天羽幹夫氏(現在アサヒビール東京研究所),千葉大学腐敗研究所柳田友道教授に厚く感謝の意を表します.また実験に終始熱心に協力された青木玄喜,依伯美外の諸兄にも深く謝意を表します.
  • いもち菌胞子の発芽機構(その3) いもち菌胞子内の発芽基質について
    小笠原 長宏, 玉利 勤治郎, 菅 正倫, 富樫 邦彦
    1961 年 35 巻 14 号 p. 1416-1424
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    いもち菌胞子は胞子内貯ぞう物質を基質として水滴中で発芽するが,その胞子内の発芽基質として乳酸,リンゴ酸,マロン酸及びフマール酸の有機酸類,グルコース,遊離アミノ酸としてアラニン,チロシン,イソロイシン,バリン及びヒスチジンの既知アミノ酸と不明のニンヒドリン呈色物質をそれぞれ濾紙クロマトグラフィーにより確認しいずれも発芽率の悪い胞子の発芽を発芽正常胞子のレベルにまで回復させる作用を持っており,特に乳酸は他のいずれの含有物質よりもその作用が顕著であると共に胞子はその乾物重の1.34%の多量の乳酸を含むので,乳酸はいもち菌胞子の発芽特にその初期段階において中心的な役割をしているものと考察した.
    終りに臨み御助言を戴いた新潟大学農学部植物病理学教室平田幸治教授に深く感謝すると共に,貴重な乳酸を賜わった東京大学応用微生物研究所北原覚雄教授に深甚の謝意を表します.またこの研究に熱心に協力された表木玄喜,佐伯美外,坂爪純一の諸兄に感謝します.
  • 1961 年 35 巻 14 号 p. e2a
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 35 巻 14 号 p. e2b
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 35 巻 14 号 p. e2c
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 35 巻 14 号 p. e2d
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 35 巻 14 号 p. e2e
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1961 年 35 巻 14 号 p. e2f
    発行日: 1961年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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