日本農芸化学会誌
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36 巻, 3 号
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  • 麹菌プロテアーゼのカラムクロマトグラフィー(1)
    松島 欽一, 嶋田 協
    1962 年 36 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Duolite A-2を用いたカラムクロマトグラフィーによって,麹菌プロテアーゼ(タカジアスターゼまたはビオジアスターゼ原末)のリバノール沈澱区分は2成分に分離し得る.
    (2) 両成分はミルクカゼインに対しては中性附近で最もよく働き,かつEDTAで失活するが,至適pH,至適温度,耐酸性,耐熱性,血清による阻害,及びEDTAによる失活からのCo++による回復性,等の性質において,かなり顕著な差異を示す.
    (3) 各々に対して中性プロテアーゼI,及び耐熱性(中性)プロテアーゼなる呼称を与えた.
  • 生長促進因子について(その1) d-Biotin並びに類縁物質の醗酵活性
    奥村 信二, 都河 竜一郎, 角田 俊直, 北井 淳夫
    1962 年 36 巻 3 号 p. 197-203
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (i) Brevibacterium属の高生産能L-グルタミン酸生産細菌Brevi. lactofermentum, Brevi. saccharolyticum, Brevi. flavum, Brevi. immariophilium, Brevi, roseum等はbiotin要求性であるのでそのL-グルタミン酸醗酵ではbiotinが必須のgrowth factorとして要求される.このbiotinとしてd-biotinが常用されているが,我々d-biotinとは化学構造を異にする代替物質を検索した.その結果dl-desthiobiotin, biotin d-sulfoxide, biocytinが強力なbiotin代替活性を有することが判った.すなわちそれぞれの単独を醗酵培地に適量添加するとd-biotinの場合と同様に醗酵が円滑に進行し,しかもL-グルタミン酸も充分著量に蓄積生産し対糖40~50%の収率も容易にあげうることができた.
    (ii) 前報で分離したBrevibacterium属10菌種175株それぞれのL-グルタミン酸醗酵に対する上記biotin類物質の影響を調べた結果biotin要求性株の大多数ではdl-desthiobiotin, biotin d-sulfoxide, biocytinは全くd-biotinと同じ効果を示し,それぞれの醗酵成績も4種物質の間には相違がなかった.
    (iii) Biotin要求性Brevibacterium属L-グルタミン酸生産細菌はdesthiobiotinを充分良くbiotinの代替として利用しうるところからみて,極めて強いbiotin合成能を該細菌は有していることが指摘できる.
  • 生長促進因子について(その2) Pelargonic acid群物質の醗酵活性
    奥村 信二, 都河 竜一郎, 角田 俊直, 元崎 信一
    1962 年 36 巻 3 号 p. 204-211
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Brevibacterium lactofermentum No. 2256, Brevibacterium flavum No. 2247のL-グルタミン酸醗酵で7, 8-diaminopelargonic acid, 7-keto-8-aminopelargonic acid, 7-amino-8-ketopelargonic acid, 7, 8-di-ketopelargonic acid, 7-amino-8-hydroxypelargonic acid, oleic acid, biotin diaminocarboxylic acidは強力なbiotin代替活性を有し,それぞれをgrowth factorとするL-グルタミン酸醗酵はbiotin類, desthiobiotinの醗酵と同様に円滑に進行し,それぞれの適量添加でL-グルタミン酸対糖40~50%が容易に得られることを明らかにした.
    (2) 7-Keto-8-aminopelargonic acid, 7-amino-8-ketopelargonic acid, 7, 8-diketopelargonic acid, 7-amino-8-hydroxy pelargonicの4種pelargonic acid群物質は有機化学界にも記載のない新biotin活性物質であるのでこれらの発見は意義深い.
    (3) 各種biotin代替物質の代替機構につき考察した結果いずれもbiotin precursor作用と思われる.従ってbiotin要求性Brevibacterium属L-グルタミン酸生産細菌は強力なbiotin生合成能を有することが推定できた.またF. J. Ryanのbiotin生合成系路を骨幹として該細菌の生合成系路を想定した.
  • 5-ケトマンノン酸, 2-ケトグルコン酸の生成
    寺田 治, 鈴木 静子, 木下 祝郎
    1962 年 36 巻 3 号 p. 212-216
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Gluconobacter cerinusがフラクトーズ培地中で生成する還元性ポリアルコール酸について検討し,これが2-ケトグルコン酸,5-ケトマンノン酸(フラクチュロン酸)および構造未決定の還元酸の3者よりなることを証明した.このうち5-ケトマンノン酸のフラクトーズからの生成は本報をもって嚆矢とする.
  • 異性化を伴なう酸化
    寺田 治, 鈴木 静子, 木下 祝郎
    1962 年 36 巻 3 号 p. 217-221
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    G. cerinusのフラクトーズ醗酵液中に認められる5-ケトマンノン酸, 2-ケトグルコン酸の生成機構について検討し,生菌体についてフラクトーズからマンノーズへのepimerizationよびマンノース,マンノン酸からの5-ケトマンノン酸, 2-ケトグルコン酸の生成を確認した.この結果はフラクトーズが一旦マンノーズに転換した後酸化をうけて上記2酸を生成することを示す.
  • 逆相ペーパークロマトグラフィーによるBHC, DDT, シクロジェン化合物の分離
    宍戸 孝
    1962 年 36 巻 3 号 p. 222-225
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    有機塩素糸殺虫剤について,逆相ペーパークロマトグラフィーによる各種溶媒系の分離効果を検討した.固定相溶媒は流動パラフィンが相互分離性の点で大豆油よりすぐれていた. γ-BHCとγ-BHCの分離にはエチルセロソルブ溶媒が最も適しており, DDT異性体はジメチルホルムアミド溶媒により,またシクロジエン系化合物はn-プロピルアルコール,或いはエチルセロソルブによる多重展開により分離された.γ-, α-BHC,p, p'-,o, p'-DDT,アルドリン,エンドリン,ディルドリン,ヘプタクロールの相互分離はイソプロピルアルコール(或いはn-プロピルアルコールかエチルセロソルブ)溶媒とジメチルホルムアミド溶媒による二次元展開により,またエチルセロソルブ-ジメチルホルムァミド,或いはメチルアルコール-エチルセロソルブ-ジメチルホルムァミドのそれぞれ異った溶媒で,多重展開を行なうことによって完全に分離された.
  • Ophiobolus heterostrophus, Helminthosporium leersii, H. panici-miliacei, H. zizaniaeによるオフィオボリンの生産
    石橋 慶次郎
    1962 年 36 巻 3 号 p. 226-228
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Helminthosporium類縁菌類のOphiobolus heterostrophus(玉蜀黍斑点病菌), H. leersii(アシカキ葉枯病菌),
    H. panici-miliacei(黍葉枯病菌), H. zizaniae(マコモ斑点病菌)を, 2%蔗糖と0.5%ペプトンとを添加した馬鈴薯煮汁培地に培養すると培養濾液中に抗黴性抗生物質を生産する.有効成分をベンゼンで抽出し,エーテル溶液から結晶化し,融点,旋光度,元素分析,紫外部吸収スペクトル,赤外部吸収スペクトルを検討の結果,これがO. Miyabeanus (稲胡麻葉枯病菌), H. turcicum (玉蜀黍煤紋病菌)の生産する抗生物質オフィオボリンと同一物質であることを認めた.
  • H. zizaniaeによるオフィオボリンおよびチザニン生産のための培養条件について
    石橋 慶次郎
    1962 年 36 巻 3 号 p. 229-232
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Helminthosporium zizaniae Nishikado SH-4株のチザニンおよびオフィオボリン生産条件について検討し,次の結果がえられた.
    (1) 各種天然培地に培養して生産される抗生産物質を同定した結果,水溶性窒素濃度が比較的少ないと考えられる馬鈴薯煮汁培地,キナコ培地,イネワラ煮汁培地ではチザニンが生産され,これらの培地にペプトンやグルタミン酸ソーダを添加した培地や,ペプトン,酵母エキス,コーンスティープリカー,麦芽糖化液等の水溶性窒素濃度の比較的多いと考えられる各種培地ではオフィオボリンが生産された.
    (2) ペプトン培地では窒素濃度0.014%以上でオフィオボリンが生産され,窒素濃度0.007%ではチザニンが生産された.
    (3) 硝酸カリ,硫酸アンモニウム等の無機窒素を窒素源とした合成培地では,窒素濃度に関係なくチザニンが生産され,各種アミノ酸を窒素源とすると窒素濃度0.035%以上でオフィオボリンが生産された.
    (4) グルタミン酸ソーダを窒素源とした合成培地では窒素濃度0.008%以上でオフィオボリンが生産され,0.007%以下でチザニンが生産された.
    (5) Helminthosporium zizaniae SH-4株以外のオフィオボリン生産菌5株について,無機窒素源培地および馬鈴薯煮汁培地で培養した結果チザニンが生産されず,オフィオボリンが生産された.
  • 生菌および無細胞酵素液の酸素吸収に対する阻害作用
    村田 道雄, 坂部 フミ
    1962 年 36 巻 3 号 p. 233-237
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Thiram, bis (dimethylthiocarbamoyl) monosulfide, dimethylammonium dimethyldithiocarbamate, sodium dimethyldithiocarbamate, methyl dimethyldithiocarbamate,およびtetramethylthioureaの生菌(Bacillus subtilis)の呼吸に対する阻害作用を試験し,その結果,阻害度は上よりそれぞれ78.0% (2×10-5M), 71.9% (4×10-5M), 63.2% (4×10-5M), 25.2% (2×10-3M)および9.6% (4×10-3M)であった.これは分生胞子発芽抑制試験および阻止円法試験の成績と同傾向であった.
    (2) 1)と同様の化合物について,菌体より調製した無細胞酵素液(Rizopus nigricansより調製)の酸素吸収に対する阻害作用を試験した.その阻害度は上より65.8% (1×10-5M), 68.5% (2×10-5M), 63.0% (2×10-5M), 70.6% (2×10-5M), 8.1% (1×10-3M)および2.7% (2×10-3M)であった.この成績は生菌の呼吸阻害実験とよく対応し,したがって細胞膜透過性の問題は,これら化含物の抗菌作用発現に対して影響がないと推定される.
    (3) 先報(1,2,9)の結果を考慮に入れて1)および2)の成績を考察すると, thiramおよびその関連化合物の抗菌作用発動の根元は,これらが水中で電離して生ずるdimethyldithiocarbamate ionであると結論される.しかして,菌体内にこのイオンが侵入し,代謝系酵素の活性を阻害することが抗菌作用発動の機構であると結論される.
    終りに臨み,本研究に対し機会を与えられた国立衛生試験所刈米所長ならびに実験に御協力いただいた倉田真菌研究窒長に厚くお礼申し上げる.
    なお本報告は昭和36年7月8日,日本農芸化学会関西支部例会(第181回)において講演した.
  • グルタミン酸ラセマーゼを利用したDL-グルタミン酸の光学活性化
    田中 正生, 加藤 洋, 木下 祝郎
    1962 年 36 巻 3 号 p. 237-239
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    L-グルタミン酸デヒドラーゼによるL-グルタミン酸の脱水反応と,グルタミン酸ラセマーゼによるラセミ化反応を組合せ同時に反応せしめることによって,ラセミグルタミン酸をL-ピログルタミン酸を経てL-グルタミン酸に変換せしめる方法について検討した.
    L-グルタミン酸デヒドラーゼとしてはPseudomonus cruciviaeの,またグルタミン酸ラセマーゼとしては, Lactobacillus fermentiの凍結乾燥菌体を使用して実験を行い,以下のような結果が得られた.
    この反応の最適pHは7.5,最適温度は37°で,酵素および基質濃度はl0mg/mlのP. cruciviaeの菌体と60mg/mlのL. fermentiの菌体を使用した場合, 15μM/mlのラセミグルタミン酸で約3~4時間で反応が終了する.酵素の濃度比は乾燥菌体としてP. cruciviae 1:L. fermenti 6が最適であった.
    この反応によればラセミグルタミン酸を3~4時間の反応によって,その90~95%をL-ピログルタミン酸を経て, L-グルタミン酸にかえることができる.この場合の光学活性化率はほぼ100%であるが粗酵素資料中の他の酵素によると思われる全グルタミン酸の減少が10~5%認められた.
    以上グルタミン酸ラセマーゼとL-グルタミン酸デヒドラーゼの共同反応によるラセミグルタミン酸の光学活性化は非常に良好な方法であることを確認した.
  • マラソン製剤およびEPN製剤の紫外線による変化について
    岡田 清治, 野村 要, 山本 利武
    1962 年 36 巻 3 号 p. 240-244
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 使用濃度に散布したマラソン製剤に紫外線を照射してその変化を調べた結果,粉剤では有効成分の含量の相違によって変化の様相が若干ことなるが,半減期は約3時間である.乳剤において1000倍と3000倍乳化液とでは半減期が約1.8, 1.2時間となり,前者は8時間照射で約19%を残存するが,後者は6時間でほとんど消失する.原体は1000倍乳の変化とほぼ同じ様相を示した.紛剤と乳剤を日光に照射するときは紫外線にくらべてその変化は非常に緩慢である.
    (2) EPN製剤の変化を見ると,粉剤ではセリサイトをキャリヤーとするものがもっとも安定で, 8時間照射で残存率約50%を示し,タルクがこれに次ぐ.乳剤の1000, 2000, 3000倍乳化液ではいずれも照射はじめにやや速く, 2時間以降はゆるやかになる. 1000倍液で8時間照射後約32%の残存率を示し, 3000倍液ではほとんど消失した.水和剤の2000倍水和懸濁液は半減期が約4時間となるが, 500倍, 1000倍では8時間でも残存率50%以上を示す.
    (3) EPN製剤について紫外線照射面cm2あたりのEPN量を約8γにした場合の変化を見ると,水和剤>粉剤>乳剤>純品の順となり,同じ初濃度に対しても製剤の形態によって含量の変化状況がことなる.
  • EPNの紫外線照射による分解生成物について
    岡田 清治, 内田 哲雄
    1962 年 36 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) EPN純品に紫外線を照射して生成する分解物を検索する目的で, EPNの照射物質をニトロメタンを飽和したシリカゲルを充填剤とし, n-ヘキサンークロロホルム混液を溶媒として,カラムクロマトグラフィーを行
    第3表 EPNの紫外線照射による分解生成物
    ない, 4つのフラクションに分離することができた.
    (2) EPNの照射物質および各フラクションを流動パラフィンで処理したろ紙を使用し,ジメチルホルムアミドーメタノール-水の混液を溶媒として逆相ぺーパークロマトグラフィーを行ない,照射物質中にEPN, p-ニトロフェノール,チオホスフェイトを確認し,外にP=S結合を持たない化合物および樹脂状物質の存在することを知った.
    (3) 各フラクションの赤外線吸収スペクトルを調べた結果, P=S結合を持たない化合物はP=O結合を持つO-ethyl-O-p-nitrophenyl-benzene-phosphonateであると推定された.
    (4) EPNの紫外線照射によって未反応のEPNの外に, p-ニトロフェノール, P=O体,樹脂状物質,チオホスフェイト等が生成しているものと考えられる. P=O体の生成は紫外線照射5時間で認められ, EPN 40mgを10時間照射したとき約1.6%の生成を見た.
  • 二辛味成分の定量と含量
    小菅 貞良, 稲垣 幸男
    1962 年 36 巻 3 号 p. 251-254
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    とうがらし果実のカプサイシン及びジハイドロカプサイシンの両辛味成分をペーパークロマトグラフィーにより分別し,抽出後定量してほぼ満足すべき結果を得た.
    本分別定量法によりカプサイシノイド結晶及び各種とうがらし果実について, 2辛味成分を定量して両辛味成分の含量比すなわちハイドロカプサイシン含量/カプサイシン含量を求めた.その結果本含量比はカプサイシノイド結晶中において単離した時期を異にしてもほぼ一定であり,また収穫年度,開花期,熟度,肥料及び施肥量にかかわりなくほぼ一定であって,おおむね0.40~0.55であった.
  • 青酸4量体の誘導化合物について
    小野田 潔
    1962 年 36 巻 3 号 p. 255-259
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    青酸4分子重合体のアルデヒド及び酸との縮合体を作り,紫外吸取を測定し, (HCN)4の構造がジアミノマレオジニトリルであることを再び確認した.
    (1) グリオキザールと縮合してピラジン環を作ることから, (HCN)4のアミノ基はcisの位置にあることを推定した.
    (2) モノアルデヒド類としてベンジアルデヒド, p-ジメチルアミノベンズアルデヒド,フルフラールと縮合体を作った.ベンズアルデヒド及び縮合体の紫外吸収を比較し,縮合体が強い紫外吸収を現わすことを知った.
    (3) 無水酢酸,塩化水素は(HCN)4と反応してそのアミノ基と結合する.紫外吸収が僅かに減少することから,ジアミノマレオジニトリルが一部異性化してアミノイミノサクシノニトリルに転化したものと推察した.
  • (第5報)腐造清酒の矯正
    山田 正一, 米山 平, 菰田 快, 沢口 仁律
    1962 年 36 巻 3 号 p. 259-261
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • アミノ酸の微生物定量に及ぼすペプチドの影響
    桐村 二郎
    1962 年 36 巻 3 号 p. 261-265
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) グリシンを含む合成ジペプチドはLeuc. mesenteroides及びLeuc. citrovorumに対し,その構成アミノ酸としての活性を有しており,とくに低濃度及び培養時間の短い場合に顕著であった. Gly-DL-Valは例外で活性を有していなかった.
    (2) フィブロインの部分加水分解物では,とくにグリシン及びセリンの測定値が低濃度及び加水分解時間の短い場合に高くなっておリペプチドの影響であることを確認した.アラニン,リジン等は安定した測定値を示し,フェニルアラニン,グルタミン酸は高濃度において高い測定値を与えた.
    (3) L-Pro-L-Valのジケトピペラジンはその構成アミノ酸としての活性を有していなかった.
  • 家蚕の繭層蛋白質及び絹物質のアミノ酸組成
    桐村 二郎, 鈴木 直雄
    1962 年 36 巻 3 号 p. 265-268
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) フィブロイン及びセリシンの加水分解条件の検討を行い, 18種類の各構成アミノ酸についてそれぞれ適当な条件を選定した.
    (2) フィブロインは18種類のアミノ酸から構成されており,そのうちグリシン,アラニン,セリン,チロシンが主要構成アミノ酸であり,メチオニン,シスチンも少量ながら含まれていることが確かめられた.
    (3) セリシンのアミノ酸組成の特徴はフィブロインのそれと著しい対照をなし,オキシアミノ酸が大量を占め酸性および塩基性アミノ酸も比較的多く含まれ, 18種類の構成アミノ酸の含量が明らかになった.
    (4) 繭糸,絹物質,セリシン繭のアミノ酸組成は含有されるフィブロインとセリシンの量に対応した組成を有しており,蚕の吐糸による繊維化の過程においてアミノ酸の種類及び含有量は変化をうけていないことが確かめられた.
  • D-アミノ酸酸化酵素によるD-アミノ酸の定量について
    林 弘一, 石田 守良, 日野 哲雄, 小原 正美
    1962 年 36 巻 3 号 p. 269-276
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 豚の腎臓のD-アミノ酸酸化酵素をアセトン標品として使用しD-アミノ酸の定量の可能性を検討した.
    (2) D-アミノ酸酸化酵素のD-アラニンに対するMichaelis恒数は至適pH 8.3において4.20×10-3molであった.
    (3) 供試アミノ酸のうち活性を有するアミノ酸はその反応率,反応速度,至適pH等の特性から4群に分けることができた.第1群は定量的に反応し20分から30分で反応が終り,かつ至適pHの範囲が広いアラニンを含む9種類である.第2群は反応が定量的であるが,反応速度が第1群に比し遅く約1時間を要し,至適pHの範囲が比較的狭いもので,アルギニンを含む8種類である.第3群は反応が定量的でなく,反応速度も極めて遅くリジンを含む7種類,及び第4群は酸素吸収量が理論値以上のものであってセリン及びヒスチジンである.
    (4) β-ハイドロキシグルタミン酸(スレオ型及びアロ型),ハイドロキシリジン,グリシン,メチルメチオニンスルポニウム, β-アラニンについては活性が見られなかった.
    (5) 酵素反応が定量的でないセリン,ヒスチジンについては生成するケト酸の不安定性を推察し,スレオニンではアロ型スレオニンに比べ,物理的立体配置が酵素反応に適しないものと推定した.
    (6) D-アミノ酸の測定に当って,塩化ナトリウム, L-アミノ酸の存在は阻害とはならない.
    (7) L-アミノ酸に混在するD-アミノ酸の検出力は, L-イソロイシン中D-アロイソロイシンでは0.1%, L-グルタミン酸中D-グルタミン酸では0.2%程度であって, L-アミノ酸の光学的純度検定としてこの方法が最もよいと推論した.
  • 5'-フォスフォジエステラーゼを有する菌株の検索方法について
    杉本 洋, 岩浅 孝, 石山 二郎, 横塚 保
    1962 年 36 巻 3 号 p. 277-281
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    5'-フォスフォジエステラーゼないし5'-リボヌクレアーゼを有する糸状菌及び放線菌の選択方法として,主としてその酵母RNAに作用して生成するヌクレオタイドの異性体を同定するのにペーパークロマトグラフィーを用い,比較的,簡便かつ確実と思われる方法に関して検討を行ない,一方式を提示した.
    著者等はこの方法を用いて土壌中より該当する糸状菌,放線菌14菌株を得た.
  • 堀江 雄
    1962 年 36 巻 3 号 p. 282-284
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 小野田 潔
    1962 年 36 巻 3 号 p. 285-287
    発行日: 1962年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    青酸4量体はマレイン酸のニトリルのα, βの位置にアミノ基が置換したものと考えられ, >C=C<及び≥C-N<結合をもっている.植物生長調整剤の中で,マレイン酸ヒドラジッド及びβインドール酢酸は,その分子内に上記2つの結合を有し構造上類縁化合物と考えられる.
    著者は(HCN)4の0.5~0.0005%水溶液に種子を16時間浸漬し,発芽生理に対する影響をしらべた結果, (HCN)4は使用濃度により2, 3の植物種子の発芽及び生長を抑制,または促進する作用をもつことを新しく見出した.
    (1) 水稲,陸稲,大麦につきそれぞれ発芽率,子葉の伸長,幼根長を測定し, (HCN)4は0.001%の濃度において促進作用を示し,それより濃度が高まるに伴って抑制作用を示した.
    (2) 0.5%溶液の発芽に対する抑制作用の強さは概略次の順位のようである.
    赤色(HCN)4≥MH≥無色(HCN)4β-インドール酢酸発根に対する抑制作用についても上記の順序が考えられるが, 90時間目において対照区に比較して(HCN)4区の種子は各粒の発根数が劣っていることから抑制の続いていることが知られた.
    (3) (HCN)4の芽の生長に及ぼす促進作用は300時間以降は明瞭であって, 0.001%において平均草たけが最大を示した.
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