日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
38 巻, 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • ポリオキシエチレン脂肪酸エステル系界面活性剤の存在必要時間の検討
    渋川 満, 小松 謙一, 大沢 岳義, 山本 外男
    1964 年 38 巻 7 号 p. 323-327
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    甜菜廃糖蜜を糖源とするL-GA生産菌Microbacterium ammoniaphilumによるL-GAの菌体外著量蓄積にはPOEFEの添加が必要であるが,その存在がL-GA著量蓄積のために必要とされる時間について検討した結果,
    (1) POEFE(ノニオンS-6)はフラスコ段階において,添加濃度の如何によらず培地調製時添加が有効であり,培養3.5時間,すなわち培地上清中ビオチン残存量が1γ/l程度までの添加は, L-GA蓄積性への寄与に変りは認められなかったが,培養5時間以降は急速にL-GA蓄積への寄与性が低下し,特に9時間,すなわち菌体へのビオチン吸収終了後は極めて小さい.この現象はPOEFEの濃度を水溶性を保ちながら十分大きくしても変らない.これらのことは,フラスコ段階におけるL-GAの菌体外蓄積が培養7時間頃から始ることを考慮すれば, POEFEが単純な物理化学的な細胞膜透過性改善剤ではないと推定できる.
    (2) 培地調製時に添加したPOEFEは,培養約4時間,すなわち培地上清中のビオチン残存量が約1γ/lまでは培地中に存在することが必要であるが,約7時間,すなわちビオチンの菌体への吸収が終了する時間以降は存在する必要は認められなかった.
    (3) POEFEの添加時間及び存在必要時間を,従来L-GAの菌体外蓄積剤と認められているペニシリン及びCTABの最適添加時間と比較検討した結果,両者間の相異が明かとなり,両者のL-GA菌体外蓄積の機構は別個のものであることが推定される.
    (4) ノニオンS-6添加量とO.D.の関係を検討し,さらにL-GA著量蓄積条件下で生菌数を測定し, L-GAを蓄積せしめる濃度においては,菌生育,増殖に対し阻害的であることは認められなかった.
  • SH基および-SS-基測定によるグルテン照射変性機構の検討
    道口 正雄
    1964 年 38 巻 7 号 p. 328-333
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    γ線照射によるグルテン中の総-SHおよび-SS-基の変化,グルテンの0.02N酢酸抽出液を遠沈分別し,各フラクション中の蛋白量および特種官能基の変化を測定し,それらの結果よリグルテンのγ線照射変性機構を考察した.
    (1) グルテン中の総-SS-基は300×104rep以下の線量では変化は認められなかったが, 600×104rep以上では明らかに減少した. -SH基は600×104rep以下では対照とほぼ等しく,照射による変化は認め難かったが,1000×104repでは増加した.
    (2) グルテンの0.02N酢酸抽出濾液中の蛋白質量は照射量の増加につれて増加するにもかかわらず,濾液中の-SS-および-SH基は全試料共ほぼ等しい値を示した.
    (3) 300×104rep以上の線量では,グルテンの0.02N酢酸に対して不溶性な蛋白は照射によって種々の大きさの蛋白分子に細断されることが,酢酸抽出濾液,残渣-上澄懸濁液および超遠心の結果から明確に認められた.
    それは酢酸不溶性蛋白の-SS-の一部が照射によって解裂したことによって生起したものであると推定されるが,確証することはできなかった.
    グルテンの照射変性に関するこれまでの結果および本報の結果を総合して考察すれば, 100×104rep以下の線量ではグルテン蛋白の2次および3次構造に関与する水素結合の変化にもとづく高次構造の変化にとどまるが,300×104rep以上では,それに加え-SS-結合の破壊が起り,さらに激しい立体構造の秩序の変化が生ずるに至ると結論される.
  • 菌株の同定
    鈴木 英雄, 小沢 良子, 田辺 脩
    1964 年 38 巻 7 号 p. 334-336
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    土壌から分離したα-ガラクトシダーゼを生産し,シュクロースを転化しない放線菌3株をつぎのように同定した.
    (1) No.26をStreptomyces olivaceus groupに属する菌株と同定した.
    (2) No.49を一新種と同定し,Streptomyces roseospinus nov. sp.と命名した.
    (3) No.132をStreptomyces fradiae groupに属する菌株と同定した.
  • 反芻胃の消化に関する研究(第24報)
    神立 誠, 森 文平
    1964 年 38 巻 7 号 p. 337-341
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 卵白グロブリン区分の蛋白質の変化について
    佐藤 泰, 中村 良
    1964 年 38 巻 7 号 p. 342-346
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 新鮮卵濃厚卵白及び貯蔵卵水様卵白ともに硫安半飽和で沈殿する蛋白区分にはアルブミンが共存する.よって,硫安0.43飽和で沈殿する蛋白区分をグロブリン区分とみなすと,その全量は貯蔵中に変化しない.
    (2) グロブリン区分の蛋白質をオボムシン(B),オイグロブリン様蛋白質(Ge)及びプソイドグロブリン様蛋白質(Gp)に分別し,その化学組成の分析を行なうと, 3種の蛋白質ともにその窒素含量は貯蔵中に変化しない.しかし,新鮮卵濃厚卵白オボムシン(B)のヘキソース及びヘキソサミンは貯蔵中に減少する.
    (3) グロブリン区分の蛋白質の電気泳動図において,新鮮卵濃厚卵白はほぼ単一成分として存在するが,貯蔵卵水様卵白は新鮮卵濃厚卵白とほぼ等しい易動度をもつ成分の他にリゾザイムの存在が認められる.また,グロブリン区分よりオボムシン(A)を除いた蛋白質区分には,リゾザイム以外に易動度を僅かに異にする2種の蛋白質が存在し,そのうち易動度の小さい成分は,貯蔵中に減少する.
    (4) 以上の実験結果より,さきに行った貯蔵卵卵白の電気泳動図に認められた変化につき考察を行った.
  • タマリンド種子多糖類のゼリー形成能について
    和田 一男, 田村 敦, 小路 治
    1964 年 38 巻 7 号 p. 347-350
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    タマリンド種子多糖類(TSP)のゼリー形成能について検討し,つぎの知見を得た.
    (1) TSPゼリーは非常に力に富み,強靱であり,ペクチン,寒天ぜりーとは異質のゼリーである.
    (2) TSPゼリーはacid in glass法よりacid in boil法で調製した方がより強い弾性をもったゼリーが得られる.
    (2) 蔗糖存在下のTSPゼリー形成条件はpH 2.7,蔗糖50~55%で最強のゼリーを形成する.ぶどう糖,水あめ,粉飴,D-ソルビトール等の存在で蔗糖とほぼ同一のゼリーを形成する.
    (4) TSPの粘度とゼリー強度はほぼ比例する.
    (5) TSPのグレード決定のためのTSPゼリー強度測定条件について考察した.
  • トリシン配糖体「グルコトリシン」および「トリシニン」の分離並びに決定
    鍬塚 昭三, 大島 康義
    1964 年 38 巻 7 号 p. 351-355
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 稲葉乾燥重6kgのメタノール抽出液から2種類のフラボン配糖体90mg及び30mgを分離した.
    (2) 前者はトリシン-7-β-グルコシドであることを確かめグルコトリシンと命名した.
    (3) 後者はトリシン-7-ラムノグルコシドであることを確かめトリシニンと命名した.
    (4)トリシンの各種メチルエーテルを得て,その溶液及びAl (NO3)3並びにNa2CO3によって呈色した溶液の紫外線吸収を測定し,分離した配糖体の糖結合位置の決定の一手段に用いた.
    グルコトリシンは第1報(3)の2次元クロマトグラム(第1報,第1図)のスポットNo.3のフラボンに相当する.また,トリシニンは同じくスポットNo.14の位置に相当する.またこれらの他に2種類のトリシン配塘体の存在(第1報,第1図No.4及びNo.5)が認められた.
  • 奈良 省三, 前田 巖, 辻野 隆房
    1964 年 38 巻 7 号 p. 356-360
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ジャガイモデンプンに対するglyceryl monostearateの作用は,添加量が5%以下の場合には多いほどデンプン粒の膨潤度の低下とデンプンノリの粘度の低下とがみられたが,デンプンに対し5%程度でほぼ最大である.
    (2) このデンプン粒の膨潤に対する作用はジャガイモデンプンでは65°が最大であったが,コムギデンプンでは90°,トウモロコシデンプンでは75°であって,デンプンの種類によって最大の膨潤抑制を起す温度が異なる.
    このように最大の膨潤抑制を起す温度はデンプンの種類によって異なるが, 90°の高温においても抑制作用があることは確かである.このことは粘度図でもみられた.
    (3) モノグリセライドの一群においてはジャガイモデンプンの粘度発現の抑制はその溝成脂肪酸の炭素数でC12>C14>C16>C18であって,膨澗度の抑制もほぼ同じである.
    (4) Sucrose monostearate, Span 60, Tween 60のジャガイモデンプンの粘度発現の抑制と膨潤の抑制作用はともに少なく, glyceryl monostearateが最も大きい作用を示した.
    なおピロ燐酸ソーダ, carboxymethyl celluloseはこれらのいずれよりも著しい粘度抑制作用を示した.
  • 1964 年 38 巻 7 号 p. e1
    発行日: 1964年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top