日本農芸化学会誌
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40 巻, 1 号
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  • 鈴木 裕, 川原崎 裕司, 村山 登
    1966 年 40 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    水稲の登熟期における環境条件が米とその澱粉の性状に及ぼす影響を明らかにしようとして,越路早生をポットに早期栽培と晩期栽培法によって栽培し,穂揃期に17°, 21°, 25°, 30°の恒温ガラス室に入れ,遮光条件を組み合せて1カ月間登熟させた.その結果処理温度の低下に伴って,白米のアルカリによる崩壊度と澱粉のヨード呈色度が増え,澱粉のアルカリ抵抗性は減少し, 17°区の澱粉のX線回折図形はC図形を示した.また遮光処理は澱粉のX線回折図形のA図形からC図形への変化を促進する方向に働くことを明らかにした.
  • 茶葉サポニンの単離とその性質
    橋爪 昭人, 酒戸 弥二郎
    1966 年 40 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 茶葉から無色無灰のサポニンの結晶を単離し,このサポニンが茶種子のサポニンに比して苦味はかなり弱いが,強いえぐ味を有し,咽喉粘膜を刺激して荒らすことを確かめ,サポニンの食量と茶の品質との間には密接な関係があることを推定した.
    (2) 茶葉と茶種子のサポニンの元素分析値, IR-スペクトルは近似しているが, UV-スペクトル,分解点,旋光度,味,呈色反応,薄層クロマトグラフィーにおける挙動の相違などから,茶葉と茶種子のサポニンは異なる物質であることを明らかにした.
    (3) 茶のサポニンの検出法として,シリカゲル薄層クロマトグラフィーを用い,再現性のあるまとまったスポットを得ることができた.
  • 生体内の置換アニリン類の微量定量について
    中村 利家, 上田 隆之, 田中 久一
    1966 年 40 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Monofluoroacetanilidesの酵素的加水分解を研究する目的で,その生成物としてのアニリン類の微量定量法を検討した.
    (1) 核置換アニリン類(p-I, p-NO2, p-NO2-o-Cl, p-CH3,およびp-COOR)に対しては,ジアゾ化カップリング比色法を適用した.それぞれのλmaxにおける吸光度で定量したが,呈色とその安定性に対するpHの影響が大きかった.それぞれに対し適当なpHおよび測定時間の範囲を設定し,安定な定量条件を決定した.
    (2) p-Aminobenzoates (free acid, ethyl, n-butyl,およびisobutyl ester)に対しジアゾ化カップリング比色法を適用した場合,それぞれの分子吸光係数が非常によく一致する(K in mM=Av 51.6)ことを見出し測定を簡便化した.
    (3) N-Alkylaniline (alkyl: methylおよびethyl)の場合は前法は適用できないので紫外部吸収(λmax: 238mμ)を利用する方法を試みた,ただし本法では基質として共存してくるN-alkylfluoroacetanilidesの紫外部吸収の影響が無視できず, 2成分系の定量になる.しかし両者は基質-生成物の関係にあり,両者のモル数の和は常に一定であることから,簡単な考察により加水分解反応系に対する検量線を決定した.混合溶液における定量結果は,回収率ほぼ100%(σ=4)であり,十分満足しうるものであった.
  • Monofluoroacetanilidesの生体内加水分解 (II)
    中村 利家
    1966 年 40 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    先報につづき2, 3温血動物の肝臓におけるmonofluoroacetanilidesの酵素的加水分解およびラットにおける本酵素の体内分布を検討し次の諸点を明らかにした.
    (1) Monofluoroacetanilides加水分解酵素はマウスのほか,ニワトリ,ウシおよびラットの肝にもそれぞれ多量の存在を認めた.本酵素は温血動物の肝臓には普遍的に分布しているものと思われる.
    (2) これら動物の肝ホモジネートにより, monofluoroacetanilidesのみならず,その他のmonohaloacetanilidesもまたよく加水分解されることがわかった.しかしacetanilidesには非常に弱くしか反応しなかった.
    (3) マウス肝ホモジネートによる酵素的加水分解はMn2+, Co2+, Mg2+およびFe2+の添加により活性が増大した.
    (4) ラットの各組織を用いての実験で,本酵素は特に肝臓に多く存在し,腎臓がこれに次ぎ,膵臓にもわずかに活性が認められるが,その他には存在しないことがたしかめられた.
  • 井口 喬, 早川 司朗, 武田 勲
    1966 年 40 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 天然からスクリーニングした炭化水素資化性菌のうち, L-グルタミン酸生成能の高いSB-4082株について菌学的性質を検討し, Bergey's Manual of Determinative Bacteriologyの第7版と比較対照した結果,新菌種と認め, Corynebacterium petrophidum nov. sp.と命名した.
    (2) 炭化水素資化性のアミノ酸生成株20数株について,炭化水素からのL-グルタミン酸生成能を検討したところ,大半の株が0.1~0.5mg/ml以下の低い生成能であった.
    (3) SB-4082株を用い,培地中の有機,無機窒素源の影響について検討したところ, C.S.L. 0.01g/dl,無機窒素として尿素の添加がL-グルタミン酸の生成に良好で,このC.S.L量は,菌の最大増殖量以下の量である.
    (4) SB-4082株を用い, L-グルタミン酸生成に有効な薬剤の選択を行ったところ,ペニシリン(G)の添加が特に有効であった.
    (5) ペニシリン(G)の添加量,添加時期および培地組成とL-グルタミン酸生成について調べたところ,添加量は25~100単位/mlが好ましく,添加時期の影響は比較的少なく,培地中の有機窒素に富んだ条件が, L-グルタミン酸生成に良好な結果を及ぼすことが判明した.
    (6) n-飽和炭化水素の炭素数とL-グルタミン酸生成の関係について調べた.菌の生育はnC10~nC17,に検出され,特にnC14~nC17に良好であった.これに対し, L-グルタミン酸の生成量は大体生育に対応して増加し,なかんずく, nC15, nC16, nC17に著量の生成が見出された.
    (7) 各種基質からのL-グル芽ミン酸生成を検討したところ,不飽和炭化水素のC16i-1から検出され,他の酸,アルコールなどから検出されなかった.
    (8) 炭化水素からのL-グルタミン酸生成に対するペニシリン効果について,他のスクリーニング株について調べたところ,グラム染色陽性,陰性の細菌ならびにNocardiaに認められ,中でもSB-4112株はnC163.9g/dlから3日培養で13.0mg/mlのL-グルタミン酸を生成蓄積することが検出された.
    (9) ペニシリン(G)以外の細胞壁合成阻害剤として認められている抗生物質などの中にもL-グルタミン酸生成に効果的なものが選出された.
    (10) ペニシリン(G)の類似物質により,ペニシリン(G)と同様,炭化水素からのL-グルタミン酸生成に著効を示した.
  • 各種アルカリ試薬による異性化率の検討
    貝沼 圭二, 田所 克子, 鈴木 繁男
    1966 年 40 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 前報で述べたグルコースに対して,アルカリを1%添加する条件により,水酸化カリウム,水酸化ナトリウムなどのアルカリ試薬および亜硫酸ナトリウム,テトラホウ酸ナトリウムなどの塩類,陰イオン交換樹脂,緩衝溶液中におけるグルコースの異性化の検討を行なった.
    (2) 各種触媒中でのグルコースの異性化率は,水酸化ナトリウム単独の場合と同様に,反応開始時の系のpH値によって決定される.
    (3) 亜硫酸ナトリウムを水酸化ナトリウムと併用すると,液の養色度は著しく低くなることを確認した.
    (4) 0.2M炭酸緩衝液を用いて,反応液のpH低下を防いで反応を行なわせたところ,グルコースと緩衝溶液中の塩のモル比が1:1のときには, pH保持がよく行なわれたが, PKFの低下は激しく全還元糖の残存率は急激に減少する.このようにpH保持だけでPKFを上昇させることはできなかった.
    (5) アニオン交換樹脂〔Amberlite IRA-411 (OH型)〕を用いて, 56°で反応を行ない23%のPKFを得た.この場合には,液の着色物質は樹脂に吸着され,除去すべきイオンの存在しないことが長所と考えられる.
    (6) アルカリ異性化反応後の糖の破壊については,水酸化ナトリウム,水酸化カルシウムの場合が,用いた各種塩類およびアルカリのうちで最も大きく,グルコースの有機酸および着色物質への変化量は, 3.5~4.0%であった.
    (7) 水酸化ナトリウムに比してPKFを著しく上昇させる触媒を見出すことができなかった.
  • 各種加熱脱脂大豆の酵素処理とアミノ酸
    平 春枝, 平 宏和, 桜井 芳人
    1966 年 40 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 脱脂大豆への加熱処理が酵素分解においてアミノ酸の遊離におよぼす影響を,麹菌プロテアーゼおよび放線菌プロテアーゼを用いて検討した.
    (2) 麹菌プ戸テアーゼ分解においては試料の加熱により全アミノ酸総量に対する遊離アミノ酸総量の総遊離度に著しい増加は認められず50%程度の総遊離度を示すが,加熱条件としては1.4kg/cm2(126°) 0.5時間加熱試料の総遊離度がもっとも高く,グルタミン酸,リジン,アルギニン,チロシン,プロリンおよびメチオニンが増加し,アラニン,アスパラギン酸,ヒスチジンおよびシスチンなどは減少を示した.一方,放線菌プロテアーゼ分解においては試料の加熱により総遊離度は著しく増加し, 0.35kg/cm2 (108°) 1, 2時間, 0.7kg/cm2 (115°) 0.5, 1時間, 1.4kg/cm2 (126°) 0.5時問などの,加熱試料における総遊離度は高く40~43%を示した.また,プロリンを除くすべてのアミノ酸に増加が認められたが,グルタミン酸,アルギニン,フェニルアラニン,メチオニンおよびシスチンが著しい増加を示した.なお,プロリンは無加熱と同程度の遊離度を示した.
    (3) 0.7kg/cm2 (115°)および1.4kg/cm2 (126°) 4時間加熱試料は両酵素分解とも総遊離度の低下を示すが,特に1.4kg/cm2加熱試料は,麹菌プロテアーゼ分解においてアスパラギン酸,リジン,ヒスチジン,チロシンおよびシスチンなどのアミノ酸において遊離度の減少を示し,一方,放線菌プロテアーゼ分解においてはグリシン,グルタミン酸,リジン,トリプトファン,メチオニンおよびシスチンなどのアミノ酸の遊離度に著しい減少を示した.
    (4) 各加熱試料のアミノ酸遊離度は,麹菌プロテアーゼ分解においてはチロシン,プロリン,トリプトブァンおよびメチオニンなどが高く,放線菌プロテアーゼ分解ではグルタミン酸,チロシン,トリプトファン,メチオニンおよびスレオニンが高い.一方,シスチンおよびアスパラギン酸は,両酵素分解とも低い遊離度を示した.
    (5) これら両酵素分解の遊離アミノ酸百分率は,それぞれ異なったパターンを示し,麹菌プロテアーゼ分解試料の遊離アミノ酸パターンは,豆みそ製造初期の遊離アミノ酸パターンに類似することを認めた.
  • 赤池 重男
    1966 年 40 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    タバコの組織汁液について酸化還元電位(En)を測定した.水耕栽培タバコ(品種,ブライトイエロー)の電位は陽性で,葉は+100~+380mV,また根の場合は+500mV前後の値を示した.組織汁液のpHとEnとの関係は,葉の着位,あるいは根によって多少相違するが,両考間にはいずれも直線的関係力が存在し, pHの上昇に伴いEnは規則正しく降下する.葉の着位とEnとの関係は,一般に,上位葉が下位葉に比べて高く,葉令と密接な関連があった.心止植物における葉のEnは,日数経過にしたがい,しだいに高まり,心止後上位葉は15日目,下位葉は10日目で最大値に達し,以後は,それぞれ低下した.このパターンは,無心止植物の場合,単に減少の一途をたどることと対比して,特異的な現象であり,これによって心止処理が葉の組織汁液における酸化還元電位に対し,著しい影響を与えることが判明するに至った.
  • 吉野 梅夫, 中谷 延二, 所 洋, 山内 邦男
    1966 年 40 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    レンネットをDEAE-セルロースカラムに吸着させ, 0.1M燐酸緩衝液(pH 5.7)に0.1, 0.2および0.3M NaClを加えて調製した溶出液および0.1N HClで順次溶出させてレンニンを分離精製し,あわせてレンネット中に混在するペプシンをも分離し,その活性割合を測定した.
    (1) 0.1M燐酸緩衝液(pH 5.7)に添加するNaClの濃度を0.1Mから0.2Mに増加した溶出液で得られるFraction 3に凝乳力カが存在し, pH 6.62,イオン強度0.2の燐酸緩衝液を用いた電気泳動,沈降分析からみて均一性の高いレンニンが得られた.
    (2) 0.1N HClで溶出されるFraction 5には酸性における分解力のpH依存性,およびペプシンのクロマトグラフィーとの比較からペプシンが存在すると考えられる.このペプシン区分の凝乳力, pH 5.6における分解力は,分割前のレンネット活性の1~2%である.また,この程度のペプシンの存在は,レンネットのカゼイン分解による非カゼイン態および非蛋白態Nの増加には影響しないことが確められた.
  • 大屋 正尚, 瀬戸 紘一, 佐藤 功
    1966 年 40 巻 1 号 p. 58-60
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    γ-Benzyl-N-carboxy-L-glutamate anhydride and γ-methyl-N-carboxy-D-glutamate anhydride were synthesized by the use of a new recrystallization technique. The polymerization of these monomers was carried aut in o-dichlorobenzene, nitrobenzene and tetrahydrofuran using water, triethylamine and sodium hydroxide as initiator.
    In the polymerization of γ-methyl-N-carboxy-D-glutamate anhydride, the molecular weight of the polymer formed did not become higher in proportion to the extent of polymerization forty per cent or more. The polymerization of γ-benzyl-N-carboxy-L-glutamate anhydride in o-dichlorobenzene which is nonsolvent for the polymer led to lower molecular weight of polymer on agitating than the polymerization on the steady state, but the polymerization in nitrobenzene which is a solvent for it led to lower molecular weight of the polymer on agitating than the polymerization on the steady state.
  • 久山 真平
    1966 年 40 巻 1 号 p. R1-R6
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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