(1) ライソソームの特性の一端を明らかにするために,兎腎からライソソームを分別し,その調製過程におけるカテプシンの挙動を比較検討した.
(2) ホモジネートのカテプシン総量の17%が,ライソソーム分画に移行し,その場合のカテプシン純度は12.9倍に及んだ.ライソソーム分画内に移行したカテプシンの80%は,ライソソーム顆粒内に存在するカテプシンであった.
(3) ライソソーム顆粒内に存在するカテプシンの主要部分は, 3.9付近に至適pHをもつカテプシンであった.それ以外にも認められた8.1付近に至適pHをもつカテプシンについては,ライソソームに由来するものであるかどうか,今後の検討にまたねばならない.
(4) 0°で24時間保蔵すれば,ライソソーム膜はある程度膨潤して, 5%付近のカテプシンが膜外に遊離した.この場合,弱い失活も認められた.
(5) ライソソーム分画を-10°で保蔵すれば,保蔵の進むにつれてカテプシン活性が次第に低下し, 10日後では15%のカテプシンが失活した.この場合,カテプシン純度の低いライソソーム分画では,さらにその失活が増大した.
(6) 15,000×gで10分間程度の遠心分離では,ライソソーム分画内に遊離しているカテプシンは沈降しなかった.また,その程度の分離操作では,安定化してあるライソソーム膜は破壊されなかった.
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