日本農芸化学会誌
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40 巻, 9 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • L-リンゴ酸生成に対する界面活性剤の作用
    渡辺 史郎, 大沢 岳義
    1966 年 40 巻 9 号 p. 319-324
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 見掛け上フマラーゼ活性の弱いBrevibacterium ammoniagenesを使用し,菌体のフマラーゼ活性にたいするC.P.C.の影響を検討した.その結果, C.P.C.処理菌体またはC.P.C.存在下の反応系で,強いフマラーゼ活性を示すことが明らかとなった.
    (2) 生菌体によるL-リンゴ酸の生成に有効な界面活性剤としては, C.P.C.をはじめとするカチオン界面活性剤, sodium lauryl sulfateをはじめとするアニオン界面活性剤,さらにはalkyl betaine等の両性界面活性剤のうちに多数見出されたが,非イオン性界面活性剤は概して効果が低かった.
    (3)上記のBrevibacterium細菌をはじめとする各種の菌株のgrowing cellによるフマル酸からL-リンゴ酸の生成に際して界面活性剤の添加の影響を調べた. L-リンゴ酸の生成能は活性剤の添加によって増大し,なかでもBrevibcterium, Corynebacetrium, Bacillus, Protaus並びにL-グルタミン酸生産菌として総括される細菌等は特にすぐれていた.
    (4) Brevibacterium ammoniagenesを使用して, growing cellでL-リンゴ酸生成条件の検討を行なった.その結果,フマル酸は, Na-塩よりもCa-塩として添加するとモル収率が高くなること,フマル酸濃度は10g/100mlまでL-リンゴ酸の生成が容易であることがわかった.
    (5) L-リンゴ酸生成における界面活性剤の作用は,基質の細胞膜透過性を促進するのみ〓生産物であるL-リンゴ酸の酸化分解を阻比〓明らかにした.
  • Corticium rolfsiiが生産する耐酸性酵素の利用に関する研究
    梶 明, 田川 清
    1966 年 40 巻 9 号 p. 325-330
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) C. rolfsiiはendo-PG, pectinesterase, pectin depolymerase,アラバナーゼ,プロテアーゼをよく生産する.
    (2) 最適pHはendo-PG: 4.5~5.0, pectinesterase: 4.5, pectin depolymerase: 3.5,アラバナーゼ: 3.0~3.6,プロテアーゼ: 2.5である. macerationはpH 1.5~2.5に強く出現した.
    (3) endo-PG, macerationに関与する酵素,プロテアーゼは耐酸性に富むことがわかった.
    (4) 酵素による植物組織の崩壊作用およびアラバナーゼ,プロテアーゼによる応用面開拓の可能性を指摘した.
  • バニリン-硫酸法によるレブリン酸の比色定量法
    野村 圀夫, 上原 潤二郎, 飯倉 善一郎, 横塚 保
    1966 年 40 巻 9 号 p. 331-335
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    レブリン酸をバニリン-硫酸法による比色定量法について検討を加え,しょう油中のレブリン酸定量に応用した.
    レブリン酸とバニリン-硫酸の加熱により生成する呈色域の吸収極大は610mμにある.定量操作は簡単であり,加熱時間は5分, 30分の放置後610mμにおける吸光度を測定する.呈色液中のレブリン酸の測定濃度0.7mg/ml以内は直線的である.また試薬は安定である.
    しょう油中におけるレブリン酸の回収率を調べたが,エーテルによる抽出条件にはpHが影響し,最適は3.0,抽出時間は6時間でほぼ完全に回収できた.
    市販の各種しょう油標品についてレブリン酸を定量し,従来法と比較検討を行なった.
  • ツノロウムシのリン脂質
    橋本 皓, 向井 克憲
    1966 年 40 巻 9 号 p. 336-340
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ツノロウ雌成虫のリン脂質成分の構成を調べ,つぎのことを明らかにした.
    (1) 虫体から分泌された虫体被覆物中にはリン脂質は含有されない.
    (2) 虫体リピド中にはリン脂質が約4%含有された.
    (3) ホスファチジルエタノールアミンおよびボスファチジルコリンが主要リン脂質で,他に少量のホスファチジルセリン,リゾホスファチジルエタノールアミン,リゾホスフアチジルコリン,カルジオリピン様物質が存在した.
    (4) ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリンの構成脂肪酸は, C18酸が主で,特にオクタデカジエン酸が,前者に41.8%,後者に47.8%と高率に含有した.
  • ホスファターゼおよびプロテアーゼとの分離
    向井 純一郎, 原 彰, 松本 昭子, 阿久根 了
    1966 年 40 巻 9 号 p. 341-346
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    A method has been devised for the improved purification of an endonuclease from the digestive juice of silkworm larvae, with special consideration for the complete elimination of phosphatase contamination. The method comprises ammonium sulfate precipitation, butanol treatment, Sephadex G-75 gel filtration, selective negative adsorption to DEAE-cellulose, CM-cellulose chromatography, and finally adsorption chromatography on hydroxylapatite gel. The extent of purification and yield of the nuclease attained were about 3, 000-fold and 8%, respectively. pH 10.3, 1_??_5×10-4M Mg2+ ion, and 0.1_??_0.2M NaCI are the optimal conditions for the nuclease action. The purified enzyme hydrolyses DNA, RNA, and polyadenylic acid at a similar rate. Exhaustive digestion products from these substrates were found to consist of exclusively mono-, di-, and trinucleotides terminated in 5'-phosphate.
  • ライソソームの調製過程におけるカテプシンの挙動
    小笠原 八十吉
    1966 年 40 巻 9 号 p. 347-352
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ライソソームの特性の一端を明らかにするために,兎腎からライソソームを分別し,その調製過程におけるカテプシンの挙動を比較検討した.
    (2) ホモジネートのカテプシン総量の17%が,ライソソーム分画に移行し,その場合のカテプシン純度は12.9倍に及んだ.ライソソーム分画内に移行したカテプシンの80%は,ライソソーム顆粒内に存在するカテプシンであった.
    (3) ライソソーム顆粒内に存在するカテプシンの主要部分は, 3.9付近に至適pHをもつカテプシンであった.それ以外にも認められた8.1付近に至適pHをもつカテプシンについては,ライソソームに由来するものであるかどうか,今後の検討にまたねばならない.
    (4) 0°で24時間保蔵すれば,ライソソーム膜はある程度膨潤して, 5%付近のカテプシンが膜外に遊離した.この場合,弱い失活も認められた.
    (5) ライソソーム分画を-10°で保蔵すれば,保蔵の進むにつれてカテプシン活性が次第に低下し, 10日後では15%のカテプシンが失活した.この場合,カテプシン純度の低いライソソーム分画では,さらにその失活が増大した.
    (6) 15,000×gで10分間程度の遠心分離では,ライソソーム分画内に遊離しているカテプシンは沈降しなかった.また,その程度の分離操作では,安定化してあるライソソーム膜は破壊されなかった.
  • 大熊 和彦
    1966 年 40 巻 9 号 p. R45-R52
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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