(1)
Pseudomonasに属する数種の細菌がL-リジンから著量の5-アミノ吉草酸を培養液中に生成することを, 5-アミノ吉草酸の結晶を分離し,融点,元素分析値,赤外線吸収スペクトルからの同定により確認した.
(2) 5-アミノ吉草酸の生成活性はL-リジンの存在で誘導され,グルコースの存在で抑制された.したがってL-リジンが培養初期に存在することが必要であり,培地のグルコース濃度は1~2%が適当であった.
(3)生菌体,アセトン菌体にも顕著な5-アミノ吉草酸の生成活性が認められ,その反応系の至適なpHは9.0付近に存在した.
(4) 5-アミノ吉草酸はL-リジンからはほぼ定量的に生成したが, DL-リジンからはその半量の生成が認められ,未反応のリジンの残存が認められた.
(5)少量のL-リジンの存在で培養し, 5-アミノ吉草酸の生成活性の誘導された培養液に高濃度のL-リジンを添加,培養し, 10~20mg/ml, 40~60mg/mlのL-リジン塩酸塩からそれぞれ75%, 65%の収率で5-アミノ吉草酸をえ.アセトン菌体を用いた場合は40mg/mlのL-リジン塩酸塩からほぼ100%に近い収率で25.2mg/mlの5-アミノ吉草酸が生成蓄積した.
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