日本農芸化学会誌
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41 巻, 9 号
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  • Amyloglucosidaseによる水飴の消化率について
    高橋 昭次, 桑田 五郎
    1967 年 41 巻 9 号 p. 409-416
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)水飴の加水分解係数について検討し, Critical Data TablesのD. Eと,各構成糖の表より算術的に計算を行ない,実用的な値として“0.94”と定めた.
    (2)この加水分解係数“0.94”を酸糖化水飴以外の製造法による水飴に適応したが,よい結果を得た.
    (3)本定量に使用するamylase量は第1報のglucose oxidase量,およびその他の分解条件を一定にした場合,安全を見込んで2,500単位とした.
    (4)水飴の全糖測定法は現在一般に行なわれているアンスロン法と分別全糖測定法を比較検討したところ,アンスロン法の不偏分散平方根は0.47であり,分別全糖測定法は0.12であった.また両者について等分散検定を行なったところ,有意水準5%で有意差のあることがわかった.そこで分別全糖測定法にて全糖を測定した.
    (5)酸糖化,純麦芽糖化,酸液化麦芽糖化水飴のそれぞれD. Eの異なる試料について消化率を測定したが,酸糖化水飴では88.9~92.7%で, D. Eが増加するにしたがい消化率が低下した.純麦芽水飴は98.4~99.2%とほぼ完全に消化された.またM .Eの増加に対しても,消化率は一定であった.酸液化麦芽糖化水飴は96.2~96.7%であり,その消化率も酸糖化水飴,純麦芽糖化水飴の中間の値を示し,他の両者の分解率および製造法から推定して酸液化麦芽糖化の場合,最初の酸液化が大きい影響を与えるものと考えられる.
    (5)混合糖でも,分別全糖測定法の問題を解決すれば第1報と同様な操作および精度で,系統的な糖定量法が可能であることがわかった.
  • 煮切について
    山下 勝, 大倉 鎮夫, 河村 稔, 土井 新次
    1967 年 41 巻 9 号 p. 417-421
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)味醂の煮切はアミラーゼにより,そのまわりの澱粉層を剥離された米粒中の蛋白が醪液中に溶出され,これが醪中のプロテアーゼにより部分的に分解されたものと考えられ,この等白は米麹の酵素蛋白とは異なるものである.
    (2)味醂の煮切の生成にはいろいろの条件が関与しているが,最も大きいものはアミラーゼによる澱粉の分解作用の強弱である.
    (3)酵素力をある線以下におさえることによって,味醂製造における煮切の生成を防ぐことが可能である.
  • 塩素剤処理の影響ならびに粒型大小による差異
    前沢 辰雄, 早川 幸男, 大久保 増太郎, 新堀 二千男
    1967 年 41 巻 9 号 p. 422-427
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) The liquefying properties of starch which was treated with bleaching powder solution were investigated. The amount of starch, which can hardly be hydrolyzed by liquefying enzyme and remained in hydrolyzate of the treated starch (starch resistant for enzyme liquefaction), increased gradually in proportion to the concentration of treating solution, and reached maximum amount at that of about 1/8 saturation. When starch was treated with solution of much higher concentration, the amount of starch resistant for enzyme liquefaction decreased, but degree of hydrolysis of the treated starch also decreased to a great extent. (2) By ultraviolet ray irradiation, starch was partially decomposed and it was recognized that starch resistant for enzyme liquefaction slightly increased. (3) Small-granule portions of potato and sweet potato starches have been found to have lower degree of hydrolysis and to be more resistant for enzyme liquefaction than large-granule portions.
  • 醤油酵母による香味の生成(その1)
    横塚 保, 逆井 利夫, 浅尾 保夫
    1967 年 41 巻 9 号 p. 428-433
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)香味の優れた醤油諸味より300余株の酵母の野生株を分離し,生成香気に主点を置き, 13株の優良酵母を選択した.
    (2)分離菌株を発育醗酵の様相によりI型,II型およびIII型に大別し,優良酵母としては最終的に醗酵率の大であるI型およびIII型が該当することを明らかにした.
    (3)実際に選択菌株添加による醤油製品を醸造し,無添加のものと官能試験により比較してその有用性を指摘した.
    (4)優良酵母の中のI型およびIII型の代表株につきその付香特性の相異点を追究し,とくに顕著なる相異点として酢酸の生成ならびに4EG生成能の有無を定性的に指摘した.
    (5)以上の結果につき若干の考察をつけ加えた.
  • 醤油酵母による香味の生成(その2)
    浅尾 保夫, 逆井 利夫, 横塚 保
    1967 年 41 巻 9 号 p. 434-441
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) III型酵母の付香特性としてそのS. V. P.の生産につき検討して,前報において指摘した4 EGとともに醤油香味成分として従来未証明の4 EPの生成を明らかにした.
    (2)前記2種のS. V. P.とともに2-フェニルエタノールが生産されることを認め,同じく醤油香味成分としての同成分の存在を証明した.
    (3) 4 EGおよび4 EPのIII型酵母醗酵基質中の先駆成分を追究し,それぞれフェルラ酸およびp-クマル酸が該当することを明らかにした.
    (4)これらのS. V. P.の代表成分である4 EGの生成能につき各種醤油酵母について検討し, Torulopsisに属する酵母が,特徴的に前記先駆成分を基質として生成することを明らかにした.なお,主醗酵酵母Saccharomyces rouxiiおよびその他の種属の酵母には,その能力のないことも明らかにした.
    (5)醤油香味成分としての重要な系列であるS. V. P.の生成機構の全貌を明らかにし,その意義につき若干の考察をつけ加えた.
  • トルラ属酵母による4 EG付香と品質評価
    横塚 保, 浅尾 保夫, 逆井 利夫
    1967 年 41 巻 9 号 p. 442-447
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)生成香味の点で優良株として選択したトルラ属の酵母の1菌株を使用し, 4EGの付香された醸造醤油を調製した.
    (2)その付香活性が,酵母の添加時期に著しく影響されることを明らかにした.
    (3)試醸により調製した4 EG付香製品と,付香されていない製品とを官能検査により比較検討し, 4 EG含有量 1p.p.m.以上で明瞭な識別が可能であること,および約1~3p.p.m.の4 EG付香薬品の品質の優位性を指摘した.
    (4)全国の主要銘柄の製品における4 EG含有量と品質評価との関係につき検討し, 4EG含有製品は全体の約25%に過ぎないこと,およびそれらの製品の品質の優位性を指摘した.
    (5)以上の結果より醤油香味成分としての4 EGの意義につきその重要性を指摘し,若干の考察を加えた.
  • 畑中 千歳
    1967 年 41 巻 9 号 p. 448-453
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    微量のアルドースを定最する目的でミクロのヨウ素滴定法について検討し次のような結果を得た.
    (1)ヨウ素によるグルコースの酸化は反応液中のKIによって著しい影響を受ける.反応液中のKIの濃度が低過ぎるとグルコースの酸化は不完全であるが, 2.5%以上の濃度ではKI濃度の影響は認められず,つねに完全な酸化が得られることがわかった.
    (2)反応液中のKIの濃度が2.5%以上であれば,グルコースに対するヨウ素の量は理論量の1.25倍で十分であった.
    (3)ヨウ素による酸化の速度はアルドースの種類によってかなり異なる.ラムノースとオリゴおよびポリサッカライドは完全に酸化されるためにはヘキソース,ペントース,およびガラクチュロン酸の2.5~3倍の時間を必要とした.
    (4)グルコース,アラビノース,ラムノース,およびガラクチュロン酸について精度を求めると,誤差は10μgで1~1.5%, 50μgで0.2~0.5%であった.
  • Penicillium cyclopiumによる生産
    嶋田 協, 松島 欽一
    1967 年 41 巻 9 号 p. 454-458
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)土壌中から分離した青かび(Penicillium cyclopium)の麩培養抽出液中に,該菌の生産する酸性プロテアーゼをpH 3において失活させるある種の物質(プロテアーゼ・インヒビター)が存在することを見出した.
    (2)本インヒビターは硫安(80%飽和)では沈澱しないが,アセトン(80%)で沈澱させることができる. Sephadex G-50を用いたゲル濾過における溶出速度,ならびにセロファンチューブの膜を通過しない性質から,かなり高分子物質と思われる.
    (3) pH 3では濃度に比例して酵素を失活させるが, pH 6では作用力がなかった.
    (4)本菌のインヒビター生産に対して,米糠および小麦麩が,固体ならびに液内培養法のいずれにおいても特に顕著な効果を示した.
  • 足立 収生, 山田 秀明, 緒方 浩一
    1967 年 41 巻 9 号 p. 459-464
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    界面活性剤を用いてAspergillus nigerの菌糸体よりアミン酸化酵素を抽出することを試み,有効界面活性剤の選択およびその使用条件の検討を行なった.使用した界面活性剤のうち, Aerosol OTが最も顕著な抽出効果を示し,その使用最適条件はAerosol OT濃度0.1%,菌糸体濃度2.5%, 0.06Mリン酸緩衝液, pH 8.0,温度30°で抽出時間は9時間であった.
    抽出した酵素は硫安分画,アセトン分画,プロタミン処理およびセファデックスG-200によるゲル濾過法によって部分精製し,その基質および阻害剤特異性について検討した.基質特異性や,金属キレート試薬およびカルボニール試薬に対する挙動などは,結晶標品のそれらと全く同様であった.
    Aerosol OTやステアリン酸ナトリウムは酵素活性を阻害しないが,非イオン性界面活性剤は顕著に阻害し,これらの界面活性剤によって酵素は非可逆的な変性失活を受けるものと考えられる.
  • 温度勾配法による乳用乳酸菌の高温耐性の検定
    中江 利孝, 中西 武雄
    1967 年 41 巻 9 号 p. 465-469
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    液体の上下方向に定常熱伝導を与えた温度勾配槽を用い,一定量の菌液を含む寒天培地入り培養管を槽内に垂直に立てることによって,微生物を熱にさらすための一連の加熱温度条件を同時に得ることができる.したがって,目的とする微生物と寒天培地を含む培養管を温度勾配方式で種々の所定時間加熱処理後,その微生物の適温付近で培養し,発生する集落帯または指示薬の変色帯の限界点に相当する温度を検定することによって,その微生物の熱死滅点,熱死滅時間曲線, z値などの耐熱性または高温耐性の特性を簡易迅速に求めることができる.このような温度勾配法による耐熱性の表現について,乳用乳酸菌を供試菌として従来の耐熱性検定法と比較検討し,また,本法に基づく熱死滅点の意義および検定におよぼす影響要因を検索した.それらの結果から,温度勾配法による高温耐性検定の有用性が認められた.
  • 渡辺 敏幸, 川村 杉生, 丹野 睦子, 松田 和雄
    1967 年 41 巻 9 号 p. 470-474
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Endomyces系の粗酵素剤マツラーゼGによるD-グルコースからの逆合成糖類の生成量は,グルクザイムの約2倍であった.また逆合成糖類のマルトース区分とイソマルトース区分を比較するとマツラーゼGではイソマルトース区分が多く,マルトースの2倍以上であったが,グルクザイムではイソマルトース区分よりマルトース区分がやや多かった.
    40% D-グルコース溶液にマツラーゼGを作用させ,えられた逆合成糖類をCarbon CCで分別し,イソマルトース区分およびゲンチオビオース区分はそれぞれアセチル化し,ニゲロース,マルトース区分はアセチル化後Mag. CCで分別して,ニゲロース,マルトース,イソマルトースおよびゲンチオビオースをアセチル化物として結晶状に分離確認した.またラミナリビオースは厚手濾紙から切取りアセチル化物として,パノース区分は厚手濾紙から切取り,還元後アセチル化してパニトールのアセチル化物としてそれぞれ結晶状に分離確認した.
    マツラーゼGによるマルトースからの転移作用が認められなかったことから,ここに得られたグルコ二,三糖類はグルコースから逆合成の結果生成したものと考えられる.
  • 高橋 穣二
    1967 年 41 巻 9 号 p. R27-R33
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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