日本農芸化学会誌
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42 巻, 10 号
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  • Schizosaccharomyces pombeによる水稲種実のミオイノシトールの定量
    倉沢 文夫, 早川 利郎, 金内 喜昭
    1968 年 42 巻 10 号 p. 587-590
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Inositol was determined by a microbiological method using Schizosaccharomyces pombe M-1-5.
    The regression equation for inositol content (x) and optical density (y) was found to be:
    x=0.394+y-0.217/0.226
    (confidence limit for estimated x was also obtained). There was a highly significant relationship between the inositol content (0 and 1.0μg/ml) and the yeast growth.
    Total inositol of rice seeds in the ripening stage was determined to be 2.22mg per g of dry seed.
  • Dehydroacetic acid hydrolaseの性質
    阿部 捷男, 野々村 誠一, 辰巳 忠次
    1968 年 42 巻 10 号 p. 591-595
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    DHA分解菌Pseudomonas sp.を合成培地で培養して粗酵素液を得,これを硫安分画,セファデックスG-75によるカラムクロマトグラフィーを行ない,比活性16~20倍の部分精製酵素を得て,その性質を検討した.
    本酵素の最適pHは8.0付近,最適温度は40°付近で50°Cまでは安定であるが,70°C,5分間でほとんど失活する.本酵素はマグネシウム,マンガンの存在しないときは活性を示さないので両イオンのいずれかが必要であると推定され,なおマグネシウムの最適濃度は3×10-3M付近に認められた.阻害剤ではキレート剤EDTAによって完全に,またα,α'-ジピリジル,砒酸ソーダによって強く阻害された.4種の基質についてその特異性を検討したがρ-アセトアミノ安息香酸に対してのみその活性を示したことから基質特異性は高いと推定される.分解生成物であるTALはペーパークロマトグラフィ-で確認した.以上のことから,本酵素はDHAを分解してTALを生成する酵素であると推定される.
  • Triacetic acid lactone hydrolaseの性質
    加藤 清次郎, 上田 洋, 野々村 誠一, 辰巳 忠次
    1968 年 42 巻 10 号 p. 596-600
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    デヒドロ酢酸分解細菌PseudomonasSP.のTAL加水分解酵素を用いてその酵素的性質を検討した.
    (1) 硫安処理(0.33~0,45飽和), G-75セファデックス処理およびDEAE-セファデックスA-25によるカラムクロマトクラフィーによって約30倍に濃縮された.
    (2)酵素の性質: i) 最適PH 7.2~8.5,最適温度50~55°Cでかなり高温である. ii) 熱に対しては60°までは安定,80°Cでほとんど失活した.iii)金属イオンとしてMn2+イオンを必要とし,その量は2~4mMである. iv) 各種阻害剤のうちρ-CMBによって完全に阻害され,EDTA,o-フェナンスロリン等で阻害されることから,本酵素はSH基を必要とし,Mn2+イオンを賦活剤とする酵素であると推定した. V) 基質としてアルドノラクトンおよびウロノラクトンには作用しなくてTALのみを水解する. vi) 0~5°Cで約30日間は安定であるが,この温度で貯蔵すると活性を上昇する傾向を示した. (3) 本酵素によるTALの分解生成物をアルカリ性における295mμの変化,アニリンサイトレイト法による脱炭酸量およびo-フェニレンジアミン比色法の3法によって検討した結果から,TALはTAAに分解されるであろうと推定した.
  • 成熟過程におけるヒマ未熟種子油の脂肪酸組成の変動について
    竹内 芳一, 櫛笥 隆弘, 野口 知雄, 渥美 功, 岩狭 与三郎
    1968 年 42 巻 10 号 p. 601-606
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒマ種子油の生成過程を通じての脂肪酸組成の変勤を知るために,種子成熟の初期である開花後日数16日までのものについて脂肪酸組成をしらべた.
    (1) 全波脂では種子油のリシノール酸含有量は初期よりすでに重要成分をなしていた.
    (2) 種子油の中性油脂ではリシノール酸は初期(12日以前)で24.27%あったが,16日では76.34%に急速に増加していた.
    Cl6:0酸,Cl8:2酸は20.35%, 20.5%よりそれぞれ2.43%,6.20%に減少し,Cl8:3酸も14.07%から2.20%に減少していた.
    未確認のC物質(Cl2mono-ヒドロキシ酸と推定)は11.78%より1.80%に減少していた.
    (3) 遊離脂肪酸ではリシノール酸は12日以前ですでに61.54%あり,16日で78.10%とやや増加していた.
    Cl6:0酸,Cl8:2酸は中性油脂の場合に比較して含有量が少なく,かつ,成熟とともに減少する率も少なかった.
    未確認のC,D物質は14日および16日に最高含有率を示し,とくにD,E物質は遊離脂肪酸の中に含まれていた.
    (4) 未確認物質A,B,C,DおよびEは硅酸薄層クロマトグラフィーで分離すると,すべてヒドロキシ酸の分割区分に分離された.A,Bは炭素数16,14に相当し,Cは12に相当するヒドロキシ酸と推定された.またD,E物質はA,B,Cとはやや構造の異なったヒドロキシル基を有する不安定な物質であると推定された.
  • 小笠原 八十吉, 小原 哲二郎
    1968 年 42 巻 10 号 p. 607-612
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    塩化ヘキサミンコバルト[Co(NH3)6C13],NH4Cl, NH4,OH,タンパク質(牛肉タンパク質またはゼラチン),およびアミノ酸類を含む電解液におけるアルギニンのポーラログラフ波を比較検討して,次のような結果を得た.
    (1) 塩化ヘキサミンコバルトを含むNH4Cl-NH40H電解液中では,-1.3V付近にアルギニソ波をあらわす.
    (2) タンパク質やアミノ酸類はアルギニン波やコバルト波を抑制するが,ある濃度以内のそれらが共存しても,安定したアルギニン波をあらわして,アルギニン波の波高とアルギニン濃度との間には直線的関係が成立する.
    (3) ヒスチジンは-1.37V付近にヒスチジン波をあらわす.けれども,5×10--5M以下のヒスチジンでは,共存するアルギニンによって抑制されてヒスチジン波は消失し,安定したアルギニン波をあらわす.
    (4) ある濃度以内のシスチンまたはシステイン共存下では,-1.15V付近に安定したアルギニン波をあらわす。3×10-4M以上の濃厚なアルギニンを含むシスチンまたはシステイン共存液では,-1.2Vと-1.33V付近に二つの極大をもつアルギニン液をあらわす.
    (5) 牛肉タンパク質またはゼラチンの共存する場合の結果から見れば,他のタンパク質が共存する場合にも,安定したアルギニン波をあらわすものと考えられる.
  • ヒアルロニダーゼ生産菌の分離同定と活性測定法
    金子 安之, 大矢 隆一, 大岩 仁志, 窪田 重行
    1968 年 42 巻 10 号 p. 613-620
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    現在まで病原性細菌以外には,その存在が知られていなかったHAase生産菌を,土壌より分離した放線菌の中より初めて発見し,その菌の菌学的性質を検討した結果,新種と認めSt. hyalurolyticus nov. SP.と命名した.細菌以外の微生物でHAaseを生産する菌を見いだしたのは,これが最初である.
    酵素活性の灘定はTolksdorf法を本藤のHAaseに適台するように改変した.その結果,ビアルロニダーゼ活性を有する培養濾液は,現在までに知られているHAaseとは異なった性質をもち,至適pHは5.0付近,作用至適温度は65~70°Cと非常に高く,この点からしても今までのHAaseとは異なったものであり,とくに熱に安定な酵素と考えられる.
  • 放線菌ウリカーゼの精製ならびに精製酵素の性質
    渡辺 保人, 矢野 真弓, 福本 寿一郎
    1968 年 42 巻 10 号 p. 621-626
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Streptomycesに属する1菌株を塚酸を含む培地で培養し,菌体内のウリカーゼを超音波処理によって抽出した.この抽出液よりウリカーゼを,硫安分画,アセトン分画,DEAE-セファデツクスカラムクロマトグラフィー,セファデツクG-200ゲル濾過等の方法により,約600倍精製した.
    精製酵素の反応最適PHは,硼酸緩衝液中ではpH 8.0,燐酸およびトリス緩衝液中ではpH9.0であり,その活性は,pH 8.0の硼酸緩衝液中で最高であった.反応の最適温度は,30~50°Cであった.精製酵素は,pH 6.0以上,また50°C以下では極めて安定であった.硼酸塩を含まない反応液中では,290mμの吸光度で測定した尿酸の減少に遅れが認められたが,これは紫外部に吸収のある反応中間産物の影響によるものと考えられた.放線菌のウリカーゼは,哺乳動物の酵素と同様に,高濃度の基質によって阻害され,またキサンチンにより拮抗的に阻害された.精製酵素の尿酸に対するKmは2.50×10-5M,キサンチンに対するKi1.33×10-4Mであった.
  • いわゆる“coryneform bacteria”のcomputer analysis (1)
    増尾 栄太郎, 中川 俊夫
    1968 年 42 巻 10 号 p. 627-632
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    通常“coryneform bacteria”と呼ばれる細菌のうち,現行分類上genus Arthrobacter, genus Corynebacteriumおよびgenus Cellulomonasに含められている27細菌を対象とし,それらの持つ84個の性質を,それぞれ二状態,質的ならびに量的多状態性質として記号化し,そのoverall similarityに基づき,計数分類学用計算プログラム“NUTAX”によってcomputer analysisを試み,次の結果を得た.
    (1) 対象細菌のうち,genus Cellulomonasの5細菌は相互に極めて高い相似度を持つ細菌として1群を形成し,他の2つのgenusの細菌とは明瞭に区分せられた.
    (2) Genus Arthrobacterの12細菌も高い相似度を持つ独立した細菌群とみなされたが,この群はさらに群内で栄養要求性の有無で2つの亜群に分かれた.この点でBergey's Manua1 (1957)との一致がみられた.
    (3) Genus Corynebacterium10細菌のうち5細菌は比較的高い相似度で1群を形成するが,他の5細菌はこの群とは離れている.C. pyagenes, C. poinsettiaeあるいはC. insidiosumのように,今回の対象細菌のいずれとも相似度が低く,かつ群形成のみられないものも存在する.
    (4) 以上のことから,現行分類学におけるgenus Arthrobacterとgenus Cellulomonasは,一応homogeneousな分類群とみなされるが,genus Corynebacteriumは一部にかなりheterogeneousなものが含まれていると推察された.
  • 糸状菌の呼吸,蛋白・核酸合成および細胞壁合成に対する影響
    佐々木 茂樹, 太田 農夫也, 山口 勇, 黒田 節, 見里 朝正
    1968 年 42 巻 10 号 p. 633-638
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    A new agricultural antibiotic polyoxin D shows antimicrobial activities at a low concentration to fungi, such as Pellicularia sasakii, Alternaria kikuchiana and Cochliobolus miyabeanus, but not to bacteria and yeasts. In addition, at the minimal inhibitory concentration, polyoxin D causes characteristic swelling phenomenon at the tips of growing mycelia and germ-tubes of fungi spores.
    To elucidate these mechanisms of action of polyoxin D on fungi, experiments have been carried out. The results are as follows: 1) Endogenous and Exogenous respiration of resting cells of Cochlio. miyabeanus, Pelli. sasakii and Alter. kikuchiana are not completely inhibited by polyoxin D, even at 50mcg/ml. 2) Incorporation of 14C-amino acids into the protein fractions of Cochlio. miyabeanus and Alter. kikuchiana are not affected by polyoxin D. Incorporation of 32P-phosphoric acid into the RNA and DNA fractions of the above mentioned fungi are also not affected. 3) Incorporation of 14C-glucosamine which is a constituent of chitin, a main component of cell-wall of a group of fungi, into the 6N hydrochloric acid-hydrolysis fraction of Cochlio. miyabeanus mycelia is inhibited by 5 to 50mcg/ml of polyoxin D at the rate of 85 to 95%.
  • 温度勾配培養法による低温性細菌の発育温度特性の検定とその意義
    中江 利孝
    1968 年 42 巻 10 号 p. 639-644
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    冷蔵下の畜産食品65点から5°Cで10日以内に集落を形成する低温性細菌96菌株を分離し,その菌の同定試験を行なう一方,温度勾配培養法による発育温度特性の検定を行ない,低温細菌を定義づけるその特性値の意義に検討を加えた.分離菌の多くはPseudomonas,Alcaligenes, Achromobacterなどのグラム陰性桿菌であり,グラム陽性菌ではMicrococcusの検出率が高かった.温度勾配培養による発育温度特性値としては,発育適温,24時間培養後の最高および最低発育温度ならびに致死培養温度を測定した.その結果,発育適温は主として26~32°Cの範囲にあり,また,24時間培養の最低発育温度は11~15°Cの例が多く,供試菌はすべて中温性低温菌であることがわかった.
    発育温度特性値のうち,発育適温,発育最高および致死培養温度を分類因子として低温細菌を大別すると,グループI~IVの4群に分類でき,そのうち,発育適温25~30°CのグループIIは最高発育温度区分で2つに細分された.また,温度勾配下で集落帯が発育適温相当位置から高温側および低温側に拡大していく速度,またはそれらを総括的に画いた温度勾配下の発育温度曲線は,低温細菌の発育温度の性質と定義に新しい知見を加えるものである.
  • 1968 年 42 巻 10 号 p. e3
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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