ヒマ種子油の生成過程を通じての脂肪酸組成の変勤を知るために,種子成熟の初期である開花後日数16日までのものについて脂肪酸組成をしらべた.
(1) 全波脂では種子油のリシノール酸含有量は初期よりすでに重要成分をなしていた.
(2) 種子油の中性油脂ではリシノール酸は初期(12日以前)で24.27%あったが,16日では76.34%に急速に増加していた.
C
l6:0酸,C
l8:2酸は20.35%, 20.5%よりそれぞれ2.43%,6.20%に減少し,C
l8:3酸も14.07%から2.20%に減少していた.
未確認のC物質(C
l2mono-ヒドロキシ酸と推定)は11.78%より1.80%に減少していた.
(3) 遊離脂肪酸ではリシノール酸は12日以前ですでに61.54%あり,16日で78.10%とやや増加していた.
C
l6:0酸,C
l8:2酸は中性油脂の場合に比較して含有量が少なく,かつ,成熟とともに減少する率も少なかった.
未確認のC,D物質は14日および16日に最高含有率を示し,とくにD,E物質は遊離脂肪酸の中に含まれていた.
(4) 未確認物質A,B,C,DおよびEは硅酸薄層クロマトグラフィーで分離すると,すべてヒドロキシ酸の分割区分に分離された.A,Bは炭素数16,14に相当し,Cは12に相当するヒドロキシ酸と推定された.またD,E物質はA,B,Cとはやや構造の異なったヒドロキシル基を有する不安定な物質であると推定された.
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