混合塩型イオン交換樹脂処理による牛乳中の放射性SrおよびCsの除去率について種々検討した.
牛乳のpHをクエン酸添加により低下せしめることにより85Srの除去率を62.4 (pH6.59)から93.5% (pH5.45)にすることができた.しかし
194Csの除去率はpHによって影響されなかった.
乳温により常乳(pH6.59)の85Srの除去率はわずかながら変化し12.5°Cで61.0%,30°Cでは68.2%であった.しかし,さらに40°Cに上げても除去率に変化はなかった.一方,クエン酸添加の場Aの
85Srの除去率および常乳での
134Csの除去率は乳温により変化が認められなかった.
85Srでは常乳(pH 6.59)の場合,流速および通乳量に比例して除去率の低下が認められ,S. V. 1あたり約0.3%の低下を示した,クエン酸添加(pH 5.45)の場合,最初の10倍量程度ではS. V.にほとんど影響されず90~95%の除去率を示したが,その後20~30倍量で急激に低下し,50倍量, S. V. 10で通乳した場合の除去率は58.2%であった.
134CSの場合も樹脂量の10倍量通乳したときの除去率は90%以上であるが30倍量では25.1%, 50倍量では10%以下に低下した.
流速S. V. 10,室温,通乳量を樹脂量の50倍とした場合の本法による
85Srの除去率はpH6.59で55.9%,pH 5.45では88.0%であり,
134Csの除去率はpH6.59で45.7%であった.
樹脂量の10倍量の再生液により樹脂を再調整する場合,樹脂に吸着交換されていた
85Srおよび
134Csの95%以上が離脱され樹脂の連続使用が可能であった.
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